ウィル・A・ツェペリ

登録日:2012/04/14 (土) 18:45:45
更新日:2020/04/29 Wed 18:05:56
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わたしはツェペリ男爵だ。
勇気だけでは『石仮面』の力には勝てんよォー



ウィル・A・ツェペリとはジョジョの奇妙な冒険の第一部『ファントムブラッド』に登場する人物。
CV:小山力也(ゲーム、劇場版)、塩谷翼(TVアニメ、オールスターバトル)

【概要】

ダンディな髭と派手な市松模様のシルクハットが特徴的な男。自分の名を男爵と付けて呼ぶ。

主人公ジョナサン・ジョースターに『波紋』を教えた師匠。
1838年生まれ。年齢は50歳。
2部に登場するマリオとシーザーは彼の子と孫。

ジョナサンからは「ツェペリさん」、スピードワゴンからは「ツェペリのおっさん」または「ツェペリの旦那」と呼ばれる。
ジョジョファンの間で単に「ツェペリ」という時は大抵彼を指す。

◆過去

元々は学者で若き時に父と共に遺跡発掘に向かっていたのだが、そこでたまたま石仮面を発掘してしまう。
その石仮面を船で運び帰国する際中、悲劇は起こった。
何物かが石仮面を使用したばかりに発掘隊が次々と惨殺され、遂には彼一人となってしまったのだ。
ツェペリ自身も危うく殺されるところであったが、その時太陽が出たため吸血鬼は蒸発し一命を取り留める。
……しかし、日が射す際に見た吸血鬼の顔は彼の父であった。

そして石仮面を積んだ船は行方不明となり、誰かの手に渡ることの恐怖と自分なりの使命を感じたツェペリは妻と子を故郷に置き、石仮面を探す旅に出る。

その旅の中でインドに渡った時、自らを医者と名乗り手を触れるだけで治療を行う奇妙な少年と出会う。
触れたものを復活させることから石仮面と対称的なものだと感じ、
彼からその師トンペティのいる場所を聞き出したツェペリはトンペティに師事して3年間の修行の末、波紋を習得。
Mr.噛ませ犬ことダイアーさんとはここで出会い、修行時代を共に過ごした親友となる。
修業を終えた彼はそれから25年もの間、石仮面の行方を追い続けてきた。
最終試練の時に師・トンペティから告げられた"死の宿命"を背負いながら…

◆劇中の活躍

ジョナサンからディオと石仮面の経緯の情報を聞く内に「ジョナサンと石仮面とは運命的関係にある」と察し、彼に波紋を授けた。


普段はつかみどころのない飄々とした態度を取ってはいるが実力はかなりのもの。
切り裂きジャックを軽くあしらったり、ジョナサンが沈みながら水面を歩く中、陸を歩くかのように進むなど実力は抜きんでている。
しかしディオには敵わず、気化冷凍法で波紋を封じられ返り討ちに遭い負傷してしまう。
(劇中ではこの辺りから対吸血鬼の特効手段と思われた波紋の弱点がクローズアップされていくようになる)
また、務めてクールに、剽軽に振る舞っているがその性根には熱いものを持っており、
ディオの「お前は今までに食ったパンの枚数を覚えているのか?」という挑発に見せた表情にも、それが現われている。
彼の孫であるシーザーに直情的で激情家な面があるのも、ツェペリ魂から受け継がれたものである…と言えなくも無い。


その後『双首竜の間』でタルカスに苦戦するジョナサンを救うため、『明日の勇気』を振り絞ったポコの尽力もあって立ち向かう。

だが…!!





(そなたは「死」への宿命を背負う事になるぞ…!!)



◆明日の勇気、受け継ぐ者




「…ついに、ついに来たか。あの予言の時が」

「これが運命なら…あるがまま受け入れよう!!」


「ツェペリさん…
あんた今、なんて…!?」


ツェペリの脳裏には、25年前の老師トンペティとの修行の風景が蘇っていた。

最終試験に入るその際、トンペティはツェペリに対して、ひとつの警告をした。
これ以上、波紋の修行を続けると、逃れられない「死」の宿命を背負う事になると。
勿論、彼を死なせまいとする師としてのせめてもの思いやりだった。*1
だが、ツェペリは折れなかった。「死」の宿命をも受け入れたのである。
その強い意志を汲んだトンペティは、彼に予言をした。



古からの死臭漂う密室で……

幼子が門を開く時!

鎖で繋がれた若き獅子を未来へ解き放つため!

おのが自身はその傷を燃やし!
しかる後に残酷なる死を迎えるであろう…!!


…そして、25年後。
古の『双首竜の間』。魔物となった騎士タルカス。暗黒の門を開いたポコ。そして鎖に繋がれたジョナサン…!!

トンペティの予言した『死の運命』と完全に一致した状況。
そうと知りながら、ツェペリもまたポコと同じく、『明日の勇気』を振り絞り、タルカスに立ち向かう。
少年たちの『明日』を守る為に。
…が、タルカスの必殺技「天地来蛇殺」を受け、胴体を両断される致命傷を負ってしまう。
しかし今際の際に自身の全生命エネルギーを託す究極奥義「深仙脈疾走」でジョナサンを復活させ息絶えた。
これによりジョナサンは2人分の波紋の相乗効果から劇的なパワーアップを遂げタルカスを圧倒。見事撃破する。

死後、遺体はその場で火葬され、彼の帽子はスピードワゴンが形見として被っている。
(そういった描写があったわけではないが、よく見るとツェペリさんの死の前と後でスピードワゴンの帽子が変わっていたりする)
この帽子は時を経て孫のシーザーに返している。


【名台詞】

「座ったままの跳躍」やメメタァなどシリアスな笑いを提供してきた彼だが、彼といったらこの言葉だろう。


「勇気」とは「怖さ」を知ることッ!「恐怖」を我が物とすることじゃあッ!

人間賛歌は「勇気」の賛歌ッ!!

人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!

いくら強くてもこいつら屍生人は「勇気」を知らん!

ノミと同類よォーッ!!

ご存じの通りジョジョのテーマとなっている「人間賛歌」は彼の発言によるものである。
ちなみに、のちに第3部でDIO様も似たような事を語っている*2。100年も棺桶に閉じ込められてなんか悟ったのだろうか。


【矛盾?】

さて、作品が経過する中彼にある不祥事が起きた。
少年ジャンプ掲載時に「結婚もしなかったし……家族ももたなかったが……」と死に際に発言していたが、2部には彼の孫シーザーが何事もなかったかのように登場。
読者に波紋を呼んだ。……波紋使いだけに
この不祥事には当然クレームがつき、荒木先生の信用にも関わる事態になったが、

『「おとなはウソつきだ」と思った少年少女のみなさん、どうもすみませんでした。
おとなはウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです……。』

という真摯かつ誠実な名言で許され、ジョジョ好きなら誰しも知るエピソードとして語り継がれるようになった。
一応、若い頃には結婚を約束した人がして、その人が彼の子を産んでいた…と設定しても辻褄は合わせられるが、
当時新人だった荒木先生はあまり良しとしなかったのだろう。え?デニーズでの打ち合わせの件?

この他にも、1部で語られたのは貴族で学者の家系なのに、
2部でシーザーの回想では父(つまりウィルの息子)マリオがイタリアで代々続く家具職人の家系とされているなど、ツェペリ家の設定には矛盾した記述が多い。
学者の家系が本家筋、家具職人が分家筋で、マリオは本家の家系だったが、波紋の修行ついでに家族を養う為、分家筋のツェペリ家の元で家具作りの修業をした…という推測もできる。*3
ちなみに息子マリオは、父が自分たちを捨てた理由については既に知っていたようであり、大人になった彼は父の遺志を継ぐことを決意する。
もしかしたら、奥さんは全てを知った上で夫を送り出していたか、もしくはストレイツォ達に応援を頼む手紙と同時に、家族宛に遺書も遺しておいていたのかもしれない。

なお、単行本・文庫、アニメ版などでは「わしは……若い頃結婚していた しかし石仮面のため家族をすてた」というセリフに修正されている。
したがって、カノン(公式設定)的には「結婚した後に石仮面をたまたま見つけ、それによって人生が狂った男」と言うのが正しいみたいだ。
まああんまりにも長くいなかったから家族には変な風に覚えられていた、なんて言われたら一発で解決するのだが。


【使用した技】

・膝での跳躍
いわゆる「座ったままの姿勢で跳躍をッ!」である。グワオン
人間離れした技だがシュール。シーザーも使える。
ちなみに麻原彰晃の座禅組んだまま飛ぶ姿も原理はこれと同じである

・ズームパンチ
肘の関節を外して放つ拳。10cmのリーチの差も覆し
棒立ちの状態の手打ちで体重100キロを越すジョジョを吹っ飛ばすほどの一撃を放てる。関節が外れる際の痛みは波紋で和らげると結構な力技。

・波紋カッター
口に含んだワインを歯と歯の隙間から高圧で押し出し
カッターのように円盤状に吹き出す技。パパウ パウパウ
作中では擬音表現だが、アニメやゲームなどで音声化した際は
声優が声に出して言っている。
その威力は鋼鉄のメスさえ切り裂く。フヒィィーン
孫のシーザーは発展させたシャボンカッターを使う。

・仙道波蹴
読みは「せんどうウェーブキック」。助走で加速をつけてのジャンピング・ニーパット。
切り裂きジャックの顔面を一撃で溶解させ、なおかつ手にしたグラスからは一滴もワインを零さなかった*4
…アニメ等では使う前の「人間讃歌」の講釈が長すぎてテンポはいまいちよくない。名台詞ではあるんだが…

・山吹色の波紋疾走
サンライトイエロー・オーバードライブ。拳から直接流し込む太陽の波紋。波紋法は純粋な破壊力ではなく、
相反する生命の波動によって石仮面のもたらす力を対消滅させることで亡者を倒すため、実は波紋エネルギーの蓄積が充分ならジョジョのようにがっつり殴りつける必要はない。
ツェペリの波紋疾走は手刀によるほんの僅かな打撃で屍生人数体をまとめて蒸発させる。

・生命磁気への波紋疾走
生物が帯びている微量な磁気を増幅する。作中では大量の落ち葉をくっつけ即席のグライダーを作った。

・波紋乱渦疾走
トルネーディ・オーバードライブ。頭上の死角から繰り出すきりもみキック。
仙道波蹴の派生技のようだが、簡単に避けられたため威力は不明。
孫のシーザーも跳躍からの波紋蹴りで「一手誤って」しまい致命傷を負っており、ツェペリ家にとって跳び蹴りは死亡フラグといえるかもしれない。

・深仙脈疾走
仙道波紋法究極の奥義。読みは「ディーパス・オーバードライブ」。
自身の持つ全生命エネルギーを他者に託す技。
これを使うということは即ち持てる寿命を一気に使い果たすことと同義であり、まさに命懸けの最終手段である。
劇中では瀕死の重傷を負ったジョジョにこの奥義を捧げ、その代償にツェペリの肉体は急激に老化。
髪は白髪になり、まるで老人のようになってしまった。
その効果は凄まじくツェペリの全エネルギーを受け継いだジョジョは頚骨の骨折という致命的ダメージを一瞬で治癒し、
最強の屍生人であるタルカスですら破壊にてこずる鋼鉄の首輪を純粋な腕力のみで引きちぎり奔るほどの強さを手に入れた。
これはジョジョ自身が波紋法を習得していたことで、
二人の波紋パワーが相乗効果を起こした結果であり、結果的にジョジョの波紋レベルに大幅なブーストがかかることとなった。
血流操作などの精密な技能にもパワーアップ効果は働いており
血管中に混入した毒などの異物を体外に排出するなどチベットの達人たちも
感心するほどの芸当をジョジョはこなしている

ディーパスのスペルは「Deep Path」(深遠なる経路)であろう。

なおこの時体が上半身だけになっていながらもこの技を使い、「全ての生命力を使い果たした」とか言っときながらジョジョとカルタスの戦いが終わった後にペラペラと満足に喋ったのは良くツッコまれ、人によっては「この時ディーパス使わなかったら生き延びていたんじゃないの?」と言われたり。

この他にも劇中で、カエルを傷つけることなくその下の岩だけを破壊する、波紋エネルギーを使い川の上を走って渡るといった芸当を披露した。


【余談】

函装版「ジョジョニウム」収録の各キャラクターに纏わる誕生秘話によると、ツェペリは荒木先生の持つ
「師匠キャラのイメージ」を元に構築されていったキャラクターであるとのこと。

そのイメージとは第一印象ではあまりスゴイ人には見えず「コイツ本当に強いのか~?」と思わせておいて、
徐々にその偉大さが見えてくるというもの。「能ある鷹は爪を隠す」というやつである。

それに伴い、ヴィジュアルも奇術師や詐欺師を思わせる胡散臭さを表現するために、
「派手な帽子*5のヒゲのオッサン」にしたが、
一方で当時の少年漫画においてヒゲは「老けて見える」ことを筆頭にあまり良い印象を与えるパーツではなかったため、
この決断は結構リスクをはらんだ賭けでもあり、本当にこれで行くのかどうかは迷いもあったらしい。

また、ツェペリという名は荒木先生も尊敬してやまない言わずと知れたロックバンド「レッド・ツェッペリン」からだが、
音楽関連モチーフとしてはここ一番で使おうと温存していたネタなのに割と作品初期に使ってしまい、
先生曰く「トランプのジョーカーをいきなり切っちゃった気分」だったとのこと。




愛して、その人を得ることは最上である…

愛して、その人を失うのはその次によい


ウィリアム・M・サッカレー
19世紀英国作家




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