100系特急用電車

実車について

1990年(平成2年)、老朽化した1700系・1720系を置き換え、さらに設備面でのサービスレベル向上を図るべく登場した特急用電車。愛称は「スペーシア(SPACIA)」。
130km/hでの高速運転と、勾配区間である日光線での使用を想定して主電動機出力は150kWとし、さらに全車電動車で編成されている。
軽量化のため東武初のアルミ車体を採用、また、VVVFインバータ制御を採用した特急電車の中では、日本で初めて営業運転を開始した事も特筆される。

前頭部分は新型車であると同時に観光特急であることを意識し、スピード感と優雅さを兼ね備えたデザインになるよう配慮され、このためノーズ部分の長い曲面主体の流線型となった。
塗装はジャスミンホワイトにサニーコーラルオレンジとパープルルビーレッドの帯を配置、これもまた斜めストライプなどを効果的に配することで新型特急の存在を大いにアピールした。

日光・鬼怒川への観光客をメインターゲットにしていることから、シートピッチは1100mmと、JRのグリーン車並で座席も大きく、個室席やビュッフェ車などの設備も充実している。
内装デザインは銀座東武ホテルのデザインを手掛けたデザイナー、ロバート・マーチャントによるもので、個室部分のテーブルは大理石製である。ビュッフェは今でこそ売店に格下げされているものの、
それでもお弁当などといった軽食などを提供しており、総合的なサービスレベルは高い。

性能面で見れば、先述の通り主電動機出力は150kWの全電動車であり設計最高速度も130km/hであるが、これはあくまでカタログスペックでの話である。
実際には日光線の急勾配区間での定速巡航性能を確保すべく、起動加速度こそ2.0km/h/sであるにもかかわらず、その定加速領域(起動加速度を維持したまま力行できる上限の速度)も約100km/h付近までと高速性能を重視しており、
当初計画の130km/h運転に備えている。また、乗り心地改善のため、加速度制御されており、徐々に加速度を高めていく仕様である。
ノッチオフの際も徐々に電流を下げる絞り込み遮断を行っており、加速・減速時の前後衝動が2000年以降に製造された新型車両と比べても格段に少ない。加えて60km/h以上では任意の速度で設定可能な定速走行装置も装備する。
ちなみに、ある計算によれば平坦線均衡速度(その電車が性能的に出せる最大の速度)はおよそ210km/h程度まで達するという結果も出ており、この車輌がいかにピーキーな性能であるかがうかがえる。

現在は登場から20年が経過しており、東京スカイツリータウンの開業に合わせ2011年よりリニューアルが実施されている。


イラスト作成に当たって

東武鉄道のイラストをだいぶ描いてきていますが、実はこのスペーシアはその第1号として描き始めたものです。
「よーし!東武電車でも描くか!!」と思ったときに真っ先に描いたのがスペーシアだったってワケです。

スペーシアには何度か乗っておりますが、シートピッチが大きくとられているだけあって廃ったときも全然窮屈じゃないし、側窓も大きくとられているので車窓もなかなかにダイナミック。
個室席も椅子が適度に柔らかくてなかなか居心地がいいし、長時間乗っててもなかなか疲れません。お弁当も買ったその場でアテンダントさんがレンジで暖めてくれるし。

さて、イラストですがリニューアルが始まったとのことで登場当時のオリジナルカラーと、リニューアル後の「雅」(江戸紫)、「粋」(ライトブルー)、そして「サニーコーラルオレンジ」の3色を描いてあわせて4タイプそろえています。
このリニューアル車、プレスリリースを見たときは「なんじゃこりゃ!?」と驚かされたものですが、いざ実車がこの色になってみると結構サマになってるもんですねェ。ビックリ。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年12月09日 19:45
添付ファイル