「やるしかねぇ…今、やるしかねぇんだぁぁぁぁぁぁっ!!」
『Ultra Dimension!』
「輝け、フラッシュ!デッカ—————ッ!!」
『Ultraman Decker! Flash Type!』
円谷プロの特撮作品『ウルトラマンデッカー』に登場するウルトラマン。
ウルトラマンダイナと酷似した姿を持つウルトラ戦士で、変身者は元は煎餅屋で働いていた青年「アスミ・カナタ」(演:松本大輝)。
名前の由来はダイナと同じく「D」表記で始まることに加えて、
ファンの間では後述のアイテムから「デッキ」が名前の由来ではないかと言われている。
劇中では思わずデッカーの名を口走ってしまったカナタが「デッカくてカッコいいから」と誤魔化していた。
トリガーが地球を救ってから7年後、怪獣災害もなくなり宇宙進出に乗り出した地球が、
突如として宇宙浮遊物体
「スフィア」の襲撃に遭い、
避難中に瓦礫に埋もれた市民を見捨てられずGUTS-SELECTの新人と共に救援活動を行っていた際に、
襲撃したスフィアソルジャーに取り込まれあわや同化されかけるが、
強靭な意思で自我を取り戻した際に放り出された謎の空間にてデッカーと出会い、
ウルトラDフラッシャーとウルトラディメンションカードを渡されてデッカーの変身能力を獲得した。
激戦の末にスフィア合成獣「スフィアザウルス」を倒すが、その時の消耗が祟りスフィアの手で地球がバリアで覆われるのを止められず、
地球は宇宙から隔絶されて往来はおろか通信も断絶し、運悪く火星に旅行中だった両親の安否も分からなくなってしまう。
彼の護る意志を見出したムラホシ・タイジからGUTS-SELECTにスカウトを受けたカナタは、祖父ダイシロウの後押しもありTPU訓練校に入り、
1年間の訓練期間を経て正式にGUTS-SELECTの隊員となり(1話から2話にかけて1年経過している)、
失われた「当たり前の日常」を取り戻すために、スフィアの脅威に立ち向かうことになる。
なお、変身後の主導権はカナタに一任しているものの、
カナタとの迎合時にテレパシーのような能力でアイテムの使い方を教えるなど明確に意思疎通を行っている場面があり、
特殊な事情で中身と身体が分かれていたトリガーと異なり、デッカー本人の人格はきちんと存在している模様。
声はカナタにしか聞こえず視聴者にも伏せられていたが、カナタの主観では「女性の声ではない」とのこと。
ダイナと同様にその出自も不明で、ダイナと接点があるかどうかも定かではない
(ガッツウイングが現役の頃のフロンティアスペースから来たミツクニ会長もおそらくダイナを知らない)。
ユザレがディメンションカードを所持していたため超古代文明とは関わりがありそうだが、
ケンゴの見立てでは(接点はあるかはともかく)デッカーは超古代のウルトラ戦士ではない可能性が高いとのこと。
能力も外見もダイナに似ているが、左肩から右に伸びた左右非対称のプロテクターと、
胸部中央ではなく左胸のプロテクターにカラータイマーがあるというウルトラ戦士の中でも際立って異彩なデザインが、
ダイナと決定的に異なっている点である。
ちなみに左右非対称カラータイマー自体は前例があり、デザインが非対称というだけなら
ウルトラマンコスモスが、
位置も非対称な例も、同じく左胸に付いた
ダイナとは「ウルトラ羞恥心」の同僚であるウルトラマンナイスがいる。
ちなみにトリガーは放映当時、細部のデザインが「ティガよりも
イーヴィルティガに似ている」という声が上がっていたが、
デッカーのプロテクターの左右非対象のデザインもまた、
かつてダイナが戦った人造ウルトラマンのスフィア合成獣「ゼルガノイド」に似ているとファンの間では言われている。
また、デッカーがそもそもスフィアの内部でカナタと遭遇した第1話の展開や、
上記動画の通りデッカーの光線エフェクトがスフィアの電磁パルスのエフェクトと非常に酷似している点など、
デッカーとスフィアは浅からぬ関係にあるような描写が散見されているが……?
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ネタバレ注意 |
「今までよく頑張ってくれたな…だが、ここからは俺の仕事だ…
奴とのケリは俺がつける…」
デッカーの正体は 本編より数百年後の未来で戦っていたウルトラマンである。
本来の歴史では地球は宇宙に進出を果たしていたが、それを阻むかのようにスフィアが現れ、
未来の地球文明は多くの他の文明圏と連携してスフィアと戦っていた。
しかし、バズド星人アガムスが時間転移システムでスフィアを伴って過去に遡り地球を滅亡させようとする事態となり *1、
こちらに対処しなければならなくなった。
時間転移システムはアガムスが転移時に破壊しており、修理は困難だったが、アガムスの転移先の過去に「光」をレーダーで感知することに成功し、
一か八かの賭けとしてどんな人物かも分からない「光」に力を渡して助力するべく、
かろうじて可能だった非生物のみの物質転送によってウルトラDフラッシャーとウルトラディメンションカードを転送したのが、
カナタがデッカーの力を手にした時の出来事であった。
そして「アサカゲ・ユウイチロウ」を名乗ってGUTSセレクトの協力者として潜伏していたアガムスが 正体を現した際、
その未来から デッカー本人( 演:谷口賢志)が追って転移して来ることになった。
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それで、何故デッカーがカナタと交信できたかというと…? |
「我が家の家訓でなぁ、『今できる事を全力でやれ』って!
『仲間が欲しかったら腹を割って話せ』!
『負けた理由を探すより、勝てなかった自分を越える努力をしろ』!」
デッカーのフルネームは「デッカー・アスミ」。つまりウルトラマン化した数百年後のカナタの子孫である。
前述の理由からデッカーも力の託し先がご先祖様とは把握しておらず、何とか短時間だけ転移できるまで装置を修復して過去に飛び、
そこで出会ったカナタから話のはずみで彼の名前や実家が煎餅屋という話や家訓を聞いて、
力を渡せたのはレーダーに観測した「光」が自分の血縁者だったためと遅まきながら知ったのであった。
なお、未来の時代ではデッカーの他にその時代のユザレや、我々視聴者がよく知るウルトラマンダイナが協力してスフィアに立ち向かっているらしいが、
デッカーがアスカ・カズマのようにウルトラマン化した存在なのか、F計画のようなやり方で人工的にウルトラマンの力を得た地球人なのかは不明。
少なくとも「デッカー」が本名なので、カナタと異なり借り物の力という訳ではないのは確かな模様。
「負けるな!ウルトラマンなら立ち上がれぇっ!!」
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作風 |
前作とは別のマルチバースが舞台なのが基本だったニュージェネ以降の作品では『 ギンガS』以来となる前作の正当続編作品となっている。
また、新世代『 ティガ』というコンセプトだった前作『 トリガー』と同じく、
『ダイナ』の意匠を色濃く受け継いだ作品となっている。
ただ、監督曰く、
「トリガーが過去が現代に影響を及ぼし、過去に向かって戦いを挑む物語であるならば、
デッカーは『未来をどうするか』、『起こってしまったことに対してどのように順立て、打破するのか』」
というコンセプトとのことで、公式では『ダイナ』を意識しつつも、「『トリガー』の続編作品」である点を強調している。
一方次回作の『ウルトラマンブレーザー』は『デッカー』とも『ガイア』とも特に関係のない作品として制作されるに至っているが
なお、原典である『ダイナ』では未来をテーマとした傑作としてラセスタ星人のエピソードがあるが、
『デッカー』はまさにあのラセスタ星人のように、主役ウルトラマンが未来を切り開く当事者として立ち回っていく物語となっており、
上記の回が作品コンセプトの大きな下敷きにされていた可能性がある。
ケンゴ含む前作の主要人物達は大半が事件当時は火星にいたため隔絶された地球に干渉できず、
加えて火星もスフィアの襲撃に晒されていたためそちらで戦っていた。
ただし、アキトがスフィアならバリアを通過できるという部分に着眼し、
スフィアのエネルギーを再現するディメンションカードでスフィアに擬態するという突破手段を用意したため *2、
中盤でデッカーとトリガーの共演展開もある。そして、誰もが予想し得なかった あの存在との共闘も…。
スフィアという主要敵が存在するのに加えて地球が隔離されていることもあり、歴代で恒例だった異星人の侵略者は最小限に留められているが、
代わりに運悪くスフィア襲撃時に地球にいたため難民化せざるを得なかった異星人をメインにしたエピソードが幾度か描かれている。
また、OP「Wake up Decker!」のミュージックビデオの一部ダンスがエクササイズなことも話題になった。
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戦闘能力 |
ダイナと同じ名前の3つのタイプを持ち、ウルトラDフラッシャーでカードをリードする事で変化する。
一方でトリガーと異なり必殺技名はダイナとは異なる。
なお、ダイナと異なり「一度の戦闘につき片方にしかタイプチェンジできない」という制約はない。
また、『 ウルトラセブン』放送開始55周年ということもあり、 カプセル怪獣の「モンスディメンションカード」を使い、
カードに描かれたカプセル怪獣を「ディメンションカード怪獣」として召喚する力を持つが、
何故デッカーがカプセル怪獣のカードを持っているのかは不明で、最終話になっても明かされることは無かった。
第8話ラストではトリガーことマナカ ケンゴからトリガー三形態のウルトラディメンションカードと「ウルトラデュアルソード」という長剣を手渡される。
トリガーが使用する際は菱形の鍔の「トリガーモード」、デッカーが使用する際は鍔を展開し球体のクリスタルを露出させ「デッカーモード」となる。
どちらのモードもディメンションカードをリードすることで特殊効果が付加される。
基本形態。
身体能力と超能力のバランスが取れており、光線技が豊富。
必殺技は腕を十字に交差して放つ「セルジェンド光線」。
ダイナのソルジェント光線と異なり溜めが存在する他、上述の「ゼルガノイド」のように紫がかった色となっている。
「弾けろストロング!」
身体能力重視のパワー形態。
必殺技は赤いエネルギーを右拳に一点集中させて放つ「ドルネイドブレイカー」。
デッカー版ガルネイトボンバーだが、主に光線技として使っていたダイナとは異なり、
パンチ着弾→ゼロ距離光線発射で吹っ飛ばしという技になっている。
一応、初出時は素人には威力を出すのが難しいタイプのアッパーストレートで使用しており、
子供達が真似しても無難なように配慮されている。
「飛び出せミラクル!」
超能力とスピードに秀でた形態。
初出の エレキング戦では攻撃を一切せず、防御と鎮静化のみに使用する初戦となった。
映像技術の進歩により、ゲートを生成して怪獣ごと転移するなど、超能力描写がダイナより派手になっている。
必殺技は手の中に空間を圧縮してブラックホールを作り出し超衝撃波と共に放つ「レアリュートウェーブ」。
デッカー版レボリウムウェーブだが、背後のブラックホールに吸い込ませるのではなく、
ブラックホールそのものを衝撃波と共にぶつける似て非なる技である。
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ネタバレ注意 |
「迸れ!ダイナミック!!」
デッカーの最強形態。「アガムスとスフィアを止めて地球を守る」という覚悟を決めたカナタの意志が光となり覚醒した。
オリジナルのデッカーはこの力を所有しておらず、それどころか原典の『ダイナ』にも該当する存在が無い、
借り物ではないカナタだけのウルトラマンの姿である。
左右対称かつカラータイマーが中央に付いたオーソドックスなウルトラ戦士の姿となっており、
青をベースにしつつ赤・銀に加えて金色の部位が各部に追加されている。
必殺技「ダイミュード光線」は、チャージ版セルジェンド光線と同じ動作をして放つ必殺光線。
また、双刀と盾に変形する固有武器「デッカーシールドカリバー」を生成して戦う。
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特殊形態 |
最終回「彼方の光」にて発現した姿。上記の名前はファンからの俗称で公式では名前は無い。
外見はフラッシュタイプだが、グリッタートリガーエタニティのような黄金の輝きを纏っており、
マザースフィアザウルスのスフィアトルネイダーにセルジェンド光線で競り勝つほどの戦闘力を発揮していた。
この時のカナタは変身能力を失っていたため、
マザースフィアザウルスが地球から吸い上げていたエタニティコアの一部をウルトラマントリガーが奪還、
コアの力を光に変換して託された上での変身という特殊な手順を踏んでおり、それが作用したが故の姿と思われる。
劇場版『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』に登場したウルトラマン。
変身者はラヴィー星人ディナス。
過去にラヴィー星が宇宙人軍団によって襲撃され危機に陥った時、飛来したウルトラマンダイナが宇宙人を撃破し、
瀕死となっていたディナスに光の力で治療を試みた結果、ダイナの光を継ぐウルトラマンと化した存在。
その姿はデッカーと酷似しているが、デッカーの特徴でもあったプロテクターの銀河柄が無く、
カラータイマーが常に赤に点灯しているなどの違いがある。
終盤、ディナスを庇って致命傷を負ったカナタの治療のために、
かつて自分がダイナにされたようにディナスとしての「ウルトラマンの力」をカナタに継承した結果、
目覚めたカナタは「ウルトラDフラッシャー」でウルトラマンデッカーへと再び変身できるようになった。
つまり前述したゼルガノイドの前身であるテラノイドとは共にダイナの光から生まれた兄弟のような関係である
これらの描写と本作の敵であるギベルスがディナスに対して口にした「ウルトラマンのなり損ない」という台詞から、
すなわち、このディナスはデッカーの不完全態(アンファンスもしくはグルジオボーン)であり、
スフィアの介入が無い正史ではディナスからデッカー・アスミの手に渡り、やがてデッカーと化したのではないかと推測される。
その根拠として、デッカーも使用しているモンスディメンションカードは、元はラヴィー星の技術であることが語られている。
キャラクターデザインを手掛けた脇貴彦氏によれば、ディナスの色が紫となっている理由は『ウルトラマンサーガ』が原因とのこと。
なんでも、 ウルトラマンゼロがストロングコロナとルナミラクルの力を得たのと同じ現象がダイナにも起きており、
ディナスの体色はダイナに残留していた ウルトラマンコスモスのスペースコロナモードの力が反映されたためらしい。
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以降の作品での活躍 |
「我々の未来には、あなた達の紡いできた歴史が残っています」
「条件が揃えば未来から情報を送ることができます」
「ディメンションナイザーが導きとなるでしょう」
本作では光の国のシステムに何者かが侵入、今までのウルトラマン達の記録が全て消去されてしまうという事態が発生。
しかし、記録が消去されなかった未来のデッカーから ウルトラマンゼロへディメンションナイザーが託され、
ゼロはこれを複製、 ニュージェネレーションヒーローズの手に渡るというのが物語の導入となっている。
この時のデッカーの声は、明らかにカナタともデッカー・アスミとも違う声だが、このデッカーは何者なのか、
何故デッカーがいる未来には記録が残っているのか、 何故ディメンションナイザーがゼロが使用する前提のデザインなのか
黒幕の正体と事件の真相が判明して事件が収束を迎えた後も明らかにされる事はなかった。
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MUGENにおけるウルトラマンデッカー
pink sheep X氏の製作したキャラが公開中。
原則フラッシュタイプで戦う。
光線から飛び蹴りなどの近接攻撃までバランス良く備えた性能となっている他、
3匹のディメンションカード怪獣を
ストライカーとして呼び出して攻撃させる
必殺技も存在する。
AIは未搭載だが、徐の异界夏娜氏の外部AIが公開されている。
「俺はこれからも、前へ進んでいく。未来で……待っててくれよな!」
出場大会
*1
後に判明するが、スフィアに襲われた地球人が助力を求めた1つがバズド星で、
助力したらバズド星までスフィアの標的にされたとのこと。
ただし、デッカーの発言を見る限り、地球人に復讐しようとしているのはアガムスのみのようであり、
他のバズド星人はスフィアへの対処による根本的な解決を諦めていないという。
*2
半ば避難生活同然の状況かつ有り合わせの機材で制作したため回数限定の急造品であり、
トリガー1人を送り込むのが精一杯で、地球への救援隊の派遣や避難民の護送ができるまでには到っていない。
しかしそのような状況で開発にこぎつけるだけでも、やはりアキトは非凡としか言えないが。
最終更新:2024年11月17日 20:35