「教えてやろう。このナザリックにおいて、
死はこれ以上の苦痛を与えられないという意味で慈悲である」
小説投稿サイト「Arcadia」に掲載されて2012年にKADOKAWAエンターブレインより商業化された、
丸山くがね氏のライトノベル『オーバーロード』の主人公
(初期のPNは「むちむちぷりりん」だったが、読者から作品内容を誤解されないように、あと作者自身のイメージ的な問題で改名)。
なので『超神マスターフォース』に登場するデストロン破壊大使ではない
アニメの担当声優は
煉獄杏寿郎等で知られる
日野聡
氏。
+
|
ボイス集 |
『チェインクロニクル』
|
『#コンパス 戦闘摂理解析システム』
|
『このファン』
|
|
|
元々は
政府が崩壊し完全に資本主義の極まったディストピアと化した近未来日本*1において、
貧困労働者階級家庭(両親は過労死済み)の出自のブラック企業勤めな社畜青年で、本名は
鈴木悟。
一昔前は一世を風靡したオンラインゲーム『ユグドラシル』の最強クラスのギルドにして異形種プレイヤーかつ社会人のみが参加できる、
ギルド「アインズ・ウール・ゴウン」のギルドマスターである「モモンガ」という名のユーザーであった。
当初九人で結成されたこのギルドにおいて「ギルドでは後から数えた方が早いぐらい入団時期が遅く、強さも上位じゃない新人」に過ぎなかったのだが、
ギルドを結成するにあたってギルドマスターを決めねばならなくなり、
彼をギルドに誘った創設者にしてトップランカーの「たっち・みー」の推薦によりギルマスを
押し付けられた任される事に。
その後「アインズ・ウール・ゴウン」は『ユグドラシル』中にその名を轟かせる強豪ギルドまでに成長を遂げたものの、
やがて『ユグドラシル』の人気も過去のものとなってしまい、ギルドメンバーが(リアル事情等による引退で)一人辞め、二人辞めと消えていき、
そしてついに来てしまった『ユグドラシル』のサービス終了日。
ただ1人で今は居ない仲間達を想いながら(約一名久々にログインしてきてくれたが、モモンガ以上の社畜であったために明日に備えて途中でログアウト)、
かつてのギルメンが創造したNPCの
アルベドの「ちなみに
ビッチである」という設定を、
遊び心
とこれは性癖的にないわーという私見で「モモンガを愛している」に書き換える等して時間を潰していた。
サービスが終わり強制ログアウトが生じるその瞬間まで愛するゲーム内で待機していたが、
時間を過ぎても強制ログアウトどころかログアウト自体が出来なくなってしまう。
それと同時にゲーム内のキャラが独自に動き出すという現象に驚き、数々の観察や推理からゲームの世界が現実になっているだけでなく、
拠点としていたナザリック地下大墳墓全体が異世界へ転移した事が発覚。
混乱しつつも守護者(
NPC……と言うかペット)達の協力もあって自身が置かれた状況を理解した彼は、
自分と同じように『ユグドラシル』から転移したプレイヤーもいるはずと考え、
彼らと接触するために名を『ユグドラシル』のプレイヤーならばまず反応するであろうアインズ・ウール・ゴウンへと改める
(ただ一人残った自分が去っていったメンバー全員を背負う意味を込めたためでもある)。
そして、見知らぬ異世界で自身をゲーム時代と同じく「
智謀と策略に優れた絶対なる支配者」として崇めている元NPC達を失望させないように、
プレイヤーだった頃の知識やスキルを活用して威厳のある支配者の振りをし続けることになる。
ただし基本的に下っ端サラリーマンであったこともあり、正直な話執政者としての能力は皆無。作者からも異世界の支配者の中では最下位だと明言されている
一方で、ユグドラシル時代に総じてクセの強いギルドメンバーを取り纏めるなど、為政者としては凡人だがグループのリーダーとしての能力まで低いわけではなく、
責任というものに対して公平公正足らんとする姿勢により、自分の失敗は素直に認め
部下の失敗に関しても挽回の機会を与える。
こうした在り様と外面だけでもカリスマ性を保とうと努力している面が噛み合い、さらにNPC達がその行動を都合良く解釈するため、
正に理想の君主として部下からは狂信にも等しい忠誠を得ている。
また、異世界においては英雄であっても(『ユグドラシル』換算で)レベル40が限界なのに対し、アインズは
レベル100という文字通り次元の違う強さを誇る。
その差は本人が魔術師であるにも拘らず、異世界の戦士相手にフィジカルのみで容易く勝てるほど。
当然、魔術師としての本領を発揮すれば負ける要素は微塵も無い。
加えて、それだけの力を持ちながらも「自分が把握していないだけでこの世界にも自分に匹敵する脅威があるかもしれない」
「他の転移者(特に上位ランカー)が自分を討伐に来るかもしれない
*2」という事を前提に事を進めるため、付け入る隙も見当たらない。
前述の通りに執政者の能力には欠けるため、立てる策略も穴だらけなのだが、
アインズの意思を微妙に湾曲や忖度した形で守護者達が実行してしまい、なおかつ彼らもレベル40以上なので
力技で成功させてしまう。
そして結果だけを見れば策略が成功した様に見えるため、敵側の勘違いや読み違いまで誘発してしまう。
そうした結果、策略家としては無能なはずなのに、敵味方から恐るべき策略家として恐れられたり崇拝されたりするというドツボにはまってゆく。
特にアルベドからは設定を書き換えられた事をむしろ光栄に思われ、
「ビッチ」から
「モモンガ一筋の純情を通り越した狂愛乙女」と化した重い愛を向けてくる彼女にドン引きする事も。
*3
こんなんでも本作メインヒロインです。黙ってれば物憂げなセクシー美女の黒い翼の堕天使です
そして、アインズの最も恐ろしいのがその精神性。
元々、孤独な人生を送ってきたが故にゲームの中での繋がりでしか他者と触れ合えなかったこともあり、
仲間達との思い出であるナザリックに対する執着心はもはや狂人のソレ。
ただでさえ闇を抱えているのに、
アンデッドとして転移したせいで生物の三大欲求が消失、さらに精神耐性が付与された結果として心が完全に歪んでしまっている。
「無益な殺生は好まない」を自称しているが、これは
「利益があるなら殺す」と同義であり、自分の目的のためなら友好的な者でも容赦無く殺す。
更には、
ナザリック大墳墓や守護者達を侮辱する事は、
ナザリックを開拓したり守護者達を創造したギルメン達への侮辱と捉えて激怒するという地雷を抱えており、
その地雷を踏んでしまった者は、たとえそれまで一定の利害一致の協力関係を築いていたとしても惨たらしく殺される。
アルベドの設定変更はいーんすかね?一応は後悔しているらしいけど
そして冒頭のセリフの通り瞬殺するならばまだ慈悲をかけている方で、大抵の場合は悍ましい拷問と実験の果てに使い潰す事が多い。
そうした意志持つ暴風雨の如き被害も悪人キャラに向かうのならまあ「毒を以て毒を制す」として良識のある読者の溜飲も下がるのだが、
中には正真正銘
「悪いことは何もしていない、むしろ世の為や人の為に頑張っている善人の実力者」が呆気なく敗死したり、
当人やその仲間は特に悪くないのに、たまたま合同で団体パーティを組んだ一同の巻き添えを喰らってしまい、
そのままなし崩し的にナザリック内でアインズとエンカウントして地雷を踏んだ結果、無惨な末路に…という人々もいる。無情
(ただし前者の実力者は、序盤でアインズが介入し救わなければある村を守る戦いで敵軍により早い段階で死んでいたし、
後者の人物は正直そのまま生きていても生活能力の無い毒親の家庭に振り回され続ける生き地獄の環境ではあったが……。
一方でそういう話は一切無く、聖王女の立場でありながらも「たとえアンデッドでも王の責務を果たしているなら良い」と理解を示していた人物も、
「侵略の下準備」「守護者の玩具」として悪趣味な殺し方をしているが)。
一応、時代遅れのルーン技術を再興しようとするゴンド・ファイアビアドの姿勢には、
ギルドの「アインズ・ウール・ゴウン」を過去の遺物にしたくない自分の姿を重ねて助力、
冒険者モモンに扮していた際に接点を持ったニニャには(利用しようとしていた打算もあったが)それなりに情を抱き、
彼女を殺害したクレマンティーヌには凄惨な報復を与え、後に偶然配下のセバスが保護したツアレがニニャの生き別れの姉と判明すると、
人の身という条件下では破格の待遇でナザリックへ迎え入れるなど、
シンパシーを感じた相手や恩義のある対象はもちろんその縁者にはそれなりに丁重な扱いを見せる。
ただしそれでも「ナザリックの利益」が優越するという価値観が第一で、そしてそのためならばいかなる手段も辞さない姿勢はブレることがなく、
そのためならば友人(とアインズが勝手に思っている)であるジルクニフでさえ「必要ならば地獄に落ちてもらう」とも思っている。
そして特に性質が悪いのは、
モモンガ自身は自分の事を「ある程度は善人」だと認識している事。
同時に悪の帝王としての残虐非道な振る舞いはロールプレイ(演技)に過ぎないとも思っており、
アンデッドの種族的特性により生理的欲求が欠如した事も手伝ってその振る舞いはどこか現実感に欠けている
(言い換えると、
異世界の人間の事は「ゲームのキャラ」でしかないと思っているとも言える。
異世界転移ものの「ライバル転移者」の設定によくあること)。
実際、転移した直後の頃は何だかんだと理屈と言い訳をつけて、昔のギルメンの言葉に従って人助けもしていたのだが、
それも本当に序盤だけで、早々に
無辜のリザードマンの集落を実験と称して侵略し、蹂躙、虐殺した。
さらに決戦を前に死を覚悟したリザードマンの英雄と巫女が最後の逢瀬を交わしているのを、偵察用の千里眼で覗き見て、
なにやってるんだこいつらと半ば小馬鹿にしたような態度で呆れるなど、その本性はとても善人とは言えない。
最終的には巫女から英雄への恋慕を利用して監視役に仕立て上げることで集落を恭順させたが、
こうしたやり口は(もちろん全員ではないにせよ)かつてのギルドメンバーが知れば嫌悪するようなものである。
そもそもギルド「アインズ・ウール・ゴウン」は、
人間種プレイヤーにPKされる異形種プレイヤーを保護するためのギルドであり、
モモンガ自身もそうしたPK被害から救われたことでギルドに参加した事を、もはや完全に失念しているか、
覚えてはいても、かなり自分にとって都合よく解釈しているとしか受け取れない立ち居振る舞いが目立つ。
実際NPCが正義漢だった創造主譲りの態度を見せると、それに懐かしがる一方で自身の立ち居振る舞いを顧みる事は無い。
そもそも「理想の君主として振る舞わねばNPC達に見限られる」という考えからして、異世界転移という異常事態を差し引いても、
本質的な意味では
大切な友人達の残した子供達ですら誰一人として信用していないと言えるのである。
モモンガにとって大切な「アインズ・ウール・ゴウン」は、もはや現実のそれではなく、「彼の記憶の中のアインズ・ウール・ゴウン」でしかない。
そのためもし現在のモモンガとギルメン達が遭遇した場合、
決別は避けられないだろうと言われている。
作者からも「はた迷惑な狂人」と評される、心の空虚を狂気で埋めた恐るべきにして哀れなる大魔王。それがアインズ・ウール・ゴウンである。
果たしてその最早帰ってこないもの……かつてのギルドメンバーの影を求めて世界を征く彼とその配下の行く末は……。
*4
と言ってみるけど悪趣味で無計画な俺(のギルド皆で創り上げたもの)TUEEESUGEEEものとも言える。それはそれで需要はあるものです
また本作は「何故VRMMOのキャラクターが異世界に転移してしまったのか」という物語のきっかけは元より、
「何故異世界にも拘らず、ゲームと同じシステムやスキルが機能するのか」といった設定面や、
「異世界に高レベルのゲームキャラクター達が大量に出現したら人々はそれをどのように解釈するのか」といった、
所謂なろう系異世界ファンタジーではお約束としてスルーされがちな部分もきちんと考証されているのが魅力であり、
有志ファンによって作品wikiが制作され、各種考察などが積極的に行われている。
同作はWEB小説サイト投稿作品としては黎明期からの人気作であり、アニメ化もTV作品が計4度、劇場版が3度制作されている程である。
また序盤に退場した敵キャラクターであるクレマンティーヌを主人公とした、メトロイドヴァニア系のゲームも製作されている。
『
リゼロ』『
このすば』『
幼女戦記』等のWEB小説出身人気作のキャラ達とクロスオーバーした低頭身ギャグアニメ、
『異世界かるてっと』なるものも制作されている。
主人公内訳:引き籠りニート二名(スバルとカズマ)、社畜(モモンガ)、人事部のリストラ宣告担当エリート(ターニャ)。
特にターニャとは同じ社会人ながら、前世経歴を考慮したら色々と水と油なモモンガ
MUGENにおけるアインズ・ウール・ゴウン
蓝蔷薇氏を中心にした『JUS』キャラ製作者交流サイトのメンバー達により作られたキャラが公開中。
距離問わず当てる遠距離攻撃の「心臓掌握」や時止め技の「時間停止」などの高性能な技を多数持ち、
超必殺技では
即死技を使用する。
AIもデフォルトで搭載されている。
出場大会
*1
そんな終わっている社会であるため、一部の大資産家とその家族以外誰も彼も死んだ目で日々を労働しながら生きており、
オンラインゲームが数少ない貧民の娯楽として流行、また辛い現実を忘れさせるべく凄まじい品質のものが製作運営されている世の中であった。
『ユグドラシル』が
サービス終了を迎えたのも、単に後発作品に客を奪われただけの話に過ぎない。
古参プレイヤー達の大半も懐かしがりこそすれ、異常なほど『ユグドラシル』に固執しているのはモモンガくらいのものである。
なおギルドメンバー41人は一部に売れっ子声優やイラストレーターなどの有名人がいるものの基本的には一般市民なのだが、
中にはそんな荒廃した世界でも法と秩序を守ろうとする警察官、推定反体制派のテロリストと思しき人物、
さらにはメガコーポの不正を暴露しようとして抹殺され事故死とされたジャーナリストなども参加しており、
『ユグドラシル』サービス終了日は、そのうち二人が現実世界で対決していたというのだから穏やかではない。
当然ながらゲーム中でも対立や揉め事もあり、その影響で引退してしまった初期メンバーがいた事も語られているため、
モモンガの記憶しているほど美化された、和気あいあいとしたギルドでは無かった可能性も高い。
ただ、当初は高難易度ダンジョンだったナザリックを攻略した際にはメンバー全員が互いの健闘を讃えて喜び合っていたので、
モモンガの大切な思い出となり得る尊い瞬間があった事も確かである。
*2
そもそもモモンガがアインズ・ウール・ゴウンに入団した理由は、
称号目的の為の異形種プレイヤー狩り(PK:プレイヤーキラー)が流行っていた頃に、他のプレイヤーに襲われていた所をたっち・みーに救われたからである。
加入条件は「異形種であること」「社会人プレイヤー」であり、メンバーの身内でも「
エルフはギリギリ異形種じゃないから」と加入できないほど厳格。
ギルド名も、モモンガ含む初期メンバー9人が、自分達が異形種狩りの標的(得点)である事を自虐しつつも、
異形種狩りに抵抗することを決めて名乗った「ナインズ・オウン・ゴール(九人の自殺点)」が由来である。
一方で「人類と敵対する異形種ギルド」としてのロールプレイや、PKを逆に狩るPKK(事情を知らないプレイヤーからはPKとの区別が付かない)、
資源産出拠点の独占などから、ギルドとしての評判は最悪だったとか。
そのため一度大規模なナザリック討伐連合が結成され、アインズ・ウール・ゴウンがこれを撃退すると
悪質なチーター扱いされたほど。
モモンガが駆使する様々な戦術も、ギルメン達がこうした敵対勢力やPKをキルするために編み出したものばかりで、
言い方は悪いが、モモンガは彼らの受け売りをしているだけに過ぎない。
そして実際モモンガの懸念通り、過去に『ユグドラシル』から転移してきた高レベルPC達が存在した事が明らかになっており、
モモンガ同様、現在、あるいは今後、新たな転移者が『ユグドラシル』から継続して現れる可能性は極めて高い。
そしてモモンガは「
髑髏の死霊術師」という
ある種のロマンビルド構成をしていたため、
ガチ勢PCと遭遇した場合は苦戦必至
(本人によればPC全体の中の上程度で、強力なアイテムを多数所持している事を加味しても最上位勢には敵わないくらいの強さらしい)。
彼の過剰なまでの警戒と対策は、決して的外れなものではないのだ。
まぁ本編で遭遇する事はないって言われちゃってるから結局俺TUEEEEE系作品な部分は変わらないっぽいんだけどね
*3
その副次的影響かは不明だが、彼女は他のナザリックNPC達と違い、
自身を創り出した親とも言えるそれぞれのギルメンへの忠誠や、生みの親に帰ってきてほしいという渇愛とも言える感情が欠落してしまっており、
「自分達は捨てられた、モモンガ様だけが見捨てず残ってくれた慈悲深いお方」「どうせあの方々は帰ってこない」
「むしろ帰ってこられたらモモンガ様が自分を見てくれなくなるかもしれないから邪魔」と嫌悪の対象にすらなっている。
*4
特典小説として執筆された『亡国の吸血姫』では、モモンガ一人だけで転移してしまったIFの物語が描かれているが、
皮肉にもこちらでは無駄に見栄を張る必要も無いため、(比較的)善の魔術師として世界中を旅して回り、
現地のヒロインと共に巨悪から世界を救う、世界の守護者の一人というポジションに落ち着いている。
そしてエピローグでは「最後の至高の御方(モモンガ)からも見捨てられた」として狂乱状態に陥ったナザリックが転移してくるのだが……。
あくまでも特典小説のため、その後どうなったかについては触れられていない。
最終更新:2025年04月08日 22:16