魘夢


「夢を見ながら死ねるなんて幸せだよね」

漫画『鬼滅の刃』の登場人物。名前の読みは「えんむ」。いんむではない
アニメの担当声優は 平川大輔 氏。

鬼舞辻無惨に使えるの中でも無惨直属の幹部である十二鬼月の一体で、
本編時点における「下弦の壱」の称号を担っていた存在。
外見は中性的な顔立ちの青年で「夢見心地」「悪夢」などの夢に関係した言い回しを多用する。
一方、優男に見えて「人の不幸や苦しみを見るのが好き」と公言して憚らない異常者で、
人間をただ喰うだけでなく精神を苦しめる事を好んでいる。
事実、無惨のお気に入りとされた下弦の伍・が倒された事で彼らに見切りを付け、
下弦の一斉解体の為にパワハラ会議に招集し粛清されるも、他の面々の断末魔の叫びを聞けた事に満足しつつ、
最後に無惨の手に掛かる事に感謝した事で唯一生き残った。*1
かくして無惨に気に入られた事で血を分けて貰ったのだが、耐え切れずに死ぬかもしれない量の血を一気に流し込まれてしまう。
その後、花札の様な耳飾りの剣士を探し出して始末するように命じられた魘夢は、
蒸気機関車「無限列車」へと乗り込み、運転手や乗客達を利用し、乗り込んできた鬼殺隊士を捕食していた。
それを「上弦かもしれない」と踏んだ産屋敷家の判断により、炎柱煉獄杏寿郎が赴く事に…。
+ ネタバレ注意
車掌を従わせて血鬼術の条件を満たし、炭治郎達を夢の中へ閉じ込める事に成功。
配下の人間を夢の世界に送り込むと同時に、自身は列車の先頭車両にて汽車と一体化を進める。
ここまでは順調だったが、炭治郎に自身が夢の中にいる事をいち早く察知され、目を覚まされてしまう。
その後、炭治郎と先頭車両で対峙して血鬼術で何度も炭治郎を眠らせるが、
見せた悪夢のせいでむしろ炭治郎の逆鱗に触れてしまい*2、頚を切られる。
しかし、この時既に汽車と一体化していた魘夢は余裕の表情を崩さず、身体はもはや本体ではなくなっている事を明かし、
敢えてネタばらししつつそのまま汽車の乗客200人を餌として喰らって大幅に強化しようとする。
だが、乗客は善逸禰豆子、そして煉獄の手によって守られ、誰一人喰らう事ができないまま、
炭治郎と伊之助によって頚の位置も特定されてしまい、攻防の末についに頚を斬られて敗北した。
しかも、この直後に上弦の参・猗窩座が突如襲来したため、完全に前座扱いであった。

「なんという惨めな 悪夢… だ……」

手間暇かけながら結局1人の戦果も挙げる事ができなかった魘夢だが、
補足しておくならば彼の策略は決して悪いものではなかった。
ネタばらしや後回しにせずにとっとと乗客を喰いまくれば大幅な強化が見込めたのは確かだが、
敢えてばらして乗客を人質兼足手纏いにして防戦に追い込むという戦術は、端から見れば有効的である。
人質を庇いつつ自分の身も守りさらに鬼と同化した巨大な汽車の中から頚の位置も特定するという行為を同時に遂行するなど難しい……普通なら。

魘夢にとって不幸だったのは、これらを手分けして実行できる鬼殺隊の人材が揃っていた事である。
血鬼術に対抗できる手段を持っていたり、眠らせた事で無力化どころか逆に強くなってしまい血鬼術が仇になる等、
居合わせた鬼殺隊の全員が彼の能力に対抗できる特性を持っていたため、折角の戦略的アドバンテージを活かせなかったのである。
逆に言えば、煉獄か炭治郎一行の内誰か1人でも欠けていたら、鬼殺隊が負けていたか乗客に犠牲者が出る事は避けられなかったと思われる。

+ 戦闘能力
血鬼術「夢操作」の使い手で、対象を眠らせて任意の夢を見せる事ができる。
劇中では、己の血を混ぜたインクを使った切符を切らせる事で「鋏痕」を刻むという発動条件が明かされている他、
魘夢の目を通じて眠らせる事もできる。
魘夢の夢に囚われた者は意識と肉体を完全に切り離されるので外的刺激ではまず起きる事は無く、
普通であれば肉体を動かす事も自分が夢の世界に囚われている事に気付く事もできない。
また、術で作り出した縄で配下の人間と術の影響下にある対象の腕を繋がせ、配下を夢の中に侵入させる事も可能。
唯一、夢の中で「死ぬ」事で夢の世界から離脱して自発的に目覚める事ができる。
また、劇中では竈門禰󠄀豆子の「爆血」で切符や縄を焼滅させるという解呪手段が描写されたが、
これは血鬼術を燃やせる禰󠄀豆子のみ可能な例外中の例外である。
あとは侵入した配下が精神の核を破壊すれば完全な無力化が可能となるが、
夢の主の精神状態によっては、ハサミ怪人やイノシシ怪人など夢の主の化身が現れ侵入者を襲ってくる事や、
現実に絶望した人間に付け込んで配下にしているに過ぎないので、心が洗われるような美しい光景の夢に侵入すると改心してしまう事も有り得る。
解呪というわけではないが、目を通じて眠らせる技は被り物などでどこを向いているか分からない相手にはそもそも使いづらくなる。
手の内が割れていた訳でもないのにこんな面子が揃っていたのは奇跡的…魘夢にとっては正に悪夢と言わざるを得ない。

『中高一貫!!キメツ学園物語』では鬼の中では比較的人の姿を保った外見のためか、「魘夢民尾」という名の人間として登場。
前科6犯の電車に欲情するド変態というとんでもない奴で愛用のカメラも盗品という救いようの無いクズ。
劇中では電車の中で下半身を丸出しにして股間を床に擦り付ける行為に及んでいた所を、
炭治郎と駅員の三郎に取り押さえられるも隙を見て逃走。三郎も「打ち首にしてほしい」と憤慨していた。

『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』ではストーリーモードの敵としての登場し、
後に無償アップデートでプレイアブルキャラクターとして追加された。
紫色のオーラを飛ばす「囁き」、接近して囁きを設置する「囁きの響き」、足元から触手を伸ばす「肉の手」、
敵を捕縛して巨大な肉塊で押し潰す奥義「血鬼術 強制昏倒催眠の囁き・悪夢」等、
本作オリジナルの技もあるが、原作で使用した血鬼術や劇中のワンシーンを再現した技も揃っている。


MUGENにおける魘夢

Dark Night氏による、『JUS』風ドットを用いたMUGEN1.1専用のちびキャラが公開中。
Dimi2000氏提供のスプライトを用いて作られており、紫のオーラを設置したり相手を眠らせて動きを封じるなどテクニカルな技を持つ他、
床から肉体の一部を伸ばすリーチの長い通常攻撃により距離を空けながら戦える。
超必殺技では劇場版で見せた夥しい数の催眠効果のある目玉を持つ肉塊と化して攻撃する。
AIもデフォルトで搭載されている。
DLは下記の動画から

出場大会

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*1
無惨は自分以外の鬼の心を読む事はおろか動向を逐一把握する事も可能だったので、魘夢の言葉が本心だった事も大きく、
寧ろ粛清した他の面々はというと無惨からの叱責に対して心中で毒吐いた者が居たり、その人物が殺された様に恐怖して逃げ出そうとしたり、
口では無惨の為に戦うと言いながらその実柱との戦闘を避けたり、苦しい言い訳ばかり並べ立てて無惨の血を要求する者ばかりだった。
そもそも敵対陣営の鬼殺隊が柱に昇格する為の条件としては十二鬼月の討伐であり、上弦達と比べても戦死等による構成員の変動はザラで、
先述のお気に入りとされる累が討たれた事もあり、揃って戦意や忠義の低い連中ばかりとなれば見切りを付ける事も致し方ないといえよう。

なお、過去にも彼らとは別の下弦の鬼を処罰した事もあり、その人物は鬼として活動していくうちに人肉を受け付けられなくなったからだが、
その代替手段として稀血とされる人間を喰らうという量より質の路線に切り替え、実際に稀血の人間を確保する為の用意周到な策等もあり、
そうした行動力もあって下弦の称号剥奪に留めた
(尤も、下弦の称号が刻まれたのは片目だったのでそれを潰した形となったが)。

*2
この時炭治郎に見せた悪夢は「死んだ家族達に罵倒され続ける」というもの。
常人ならば罪悪感に打ちひしがれて動けなくなる所だろうが、炭治郎はその悪夢を見せられる度に、
「俺の家族がそんな事言うはずが無い」と信じて血鬼術を自力で解除している。
魘夢の悪辣さと炭治郎のヤバすぎる深い家族愛が窺い知れるシーンである。


最終更新:2024年07月17日 15:31
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