"Let me see your identification."
(身分証明書を見せろ)
ルーカスフィルムの映画『スターウォーズ』シリーズに登場するヴィラン。
呼称としては中黒の付いたストーム・トルーパーという表記がされる事も多い。
旧3部作の時代までは口元がへの字だったが、続3部作におけるファースト・オーダー版はWの形に変わった。
ストームトルーパーは作中における主な敵対勢力「銀河帝国」の正規軍に所属するエリート機動歩兵であり、
元々は新3部作の時代に帝国の前身たる銀河共和国の軍事力として製造された
クローントルーパーを前身としている。
その名が示す通り、彼らは戦闘民族
マンダロリアンの中でも歴戦の戦士である
ジャンゴ・フェットを遺伝子ホストとし、
実戦投入を早めるために成長速度を2倍にした上で、10年の間に幼少期から徹底的な軍事訓練を施された優秀な戦士である。
敵対勢力の分離主義者の主戦力であるバトルドロイドがいくらでも生産可能なドロイドであるが故の「量」で攻めてくる中、
戦士としての「質」で互角以上の戦いを繰り広げていた。
彼らの着用するアーマーは白い装甲部分と簡易宇宙服を兼ねる黒いインナーとで構成されているが、
クローン大戦の長期化等から時代を経る毎に改良され、可動性や拡張性の強化が図られている。
最初期型のフェイズIでは全員がデザイン上も全く同一の物を着用していたが、
フェイズII以降からは所属ユニットや兵科・階級に応じたバリエーションが大量に作り出されている。
特に
赤い肩当ては将校である事を示すわかりやすい一例。
また、クローン兵は後のストームトルーパーと異なりヘルメットを任務中に脱ぐ事も特に禁じられておらず、
自身の個性を表現したいという願いから髪型やタトゥー、ヘルメットのペイント等に凝る者も多かった。
そして、クローン兵の製造元である惑星カミーノの原住民の美学によってデザインされたその白い装甲ヘルメットは、
本来は彼らクローントルーパー達、即ち民主主義の守り手を象徴する喜ばしいシンボルだったのだが、
後年には帝国やファースト・オーダーの活動によって恐ろしい軍隊を連想させる物となった。
クローン大戦が終結し、帝国による銀河系の統治が始まった旧3部作の時代になると、殆どのクローン兵は加齢等で兵士を引退。
帝国軍のプロパガンダと徴兵によって招集された人間の兵士がアーマーを着込む様になり、以後彼らはストームトルーパーと呼称されるようになる。
純粋な戦力としてはジャンゴ・フェットから遺伝した戦士としての高度な資質と、幼少期からの訓練を施されたクローン兵の方が明らかに勝っていたものの、
ジャンゴ・フェットが大戦中に死亡したためホストとなる遺伝子が劣化したのに加え、
大量生産した上で10年もの訓練を要する上に、通常の人間の二倍の速度で加齢してあっという間に定年を迎えてしまうクローン兵は非常にコストが高く、
大戦が終了したことで表向きは平和になった帝国からすれば、そもそもそこまで高水準な戦力の部隊を求めていないので、徐々に置き換わっていった。
士官候補生達にとって、ロザルやアケニスといった帝国領の惑星にあるアカデミーへ入学するのは栄誉ある事とされ、
そこで彼らは徹底した帝国至上主義や上官の命令(※例え非人道的な物であっても)に対する絶対服従等、
帝国軍による厳格な統治を支えるための「恐怖」と「秩序」を象徴する兵士としての教育を受ける。
その中でも特に優秀な者達はパイロットとなり、そうでない者はストームトルーパーの兵団に送られる
(ストームトルーパーは銀河帝国においては陸軍や宇宙軍といった各軍の歩兵部隊とは独立して存在する兵科である)。
配属後は帝国軍に敵対する勢力との戦闘のみならず、支配地域の治安維持などに幅広く活躍した。
高度な教育を受けたトルーパー達の綱紀は非常に厳しく、あらゆる地域で満遍なく治安が悪いスター・ウォーズの銀河系においても、
「ストームトルーパーには賄賂や買収が通用しない」という認識が一般的になっている。
作中では主人公の所属する反乱勢力の敵、即ち「悪役」としての役割を与えられているトルーパー達だが、
同時に民間人に害を及ぼす大規模な犯罪組織の摘発なども積極的に行っており、
当の帝国軍が体制維持に必要とあらば非人道的な行為も平然と行い、トルーパー達もそうした命令に反抗しない事を除けば、
平時においてはむしろ銀河帝国の善良な市民達の生活をしっかりと守っており、それは彼らも自負する所である。
また、帝国に暮らす善良な一般市民の若者達にとってはストームトルーパーは正に英雄的存在、憧れの職業であり、
中でもタイ・ファイターパイロットに憧れアカデミーに志願する者は後を絶たないという。
シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカス氏もファンからの「トルーパーは善人なのか?」という質問に、
「ストームトルーパーは良い人たちだ。ただ、とても悪い人からの命令に従っているだけだ」と答えている。
その発言を知っていたかどうかは定かではないが、
藤子・F・不二雄氏の『裏町裏通り名画館』では、
『ヌターウォーズ』というタイトルで、帝国辺境に暮らす善良な若者ヨサークが、故郷の両親のため、恋人のため、
そして戦場で反乱軍に殺された親友のため、命を懸けてトルーパーとして戦場に赴くという物語が描かれている。
……しかしその一方、やはりその支配体制に疑問を抱くトルーパーや帝国軍人も一部ではあるが存在し、
密かなサボタージュで反帝国活動へ協力する者や、脱走して反乱同盟軍へ加わった者も決して少なくは無かった。
*1
主な武器はSE-14Cブラスターで、反動が大きい分、高い連射性を持つ。
帝国軍が壊滅した続3部作の時代に残党によって結成されたファースト・オーダーのストームトルーパーは、
有名メーカーのマー=ソン社とブラステック社の間で結ばれた秘密のパートナーシップによって、
残党軍という境遇に似合わず、最新かつ最高性能の小火器が充実している。
一方で人員に関してはかつてのように志願兵による補充が見込めなくなってしまったため、
ファースト・オーダーは
支配地域の一般人から子供を拉致・誘拐するという非道な手段で兵力を確保している。
彼らはブレンドル・ハックス司令が開発し、息子のアーミテイジ・ハックスが引き継いだ訓練プログラムのおかげで装備の性能に見合った技量を持つが、
そのプログラムにはこうした境遇に疑問を抱かせないための洗脳教育等も含まれており、それを象徴するかのように、
ファースト・オーダーのトルーパー達には認識番号以外には人間としての「名前」すら与えられていない。
暴徒鎮圧を担うファースト・オーダー・ストームトルーパー・ユニットは相手に電撃を与える警棒を装備し、
好戦的な相手の撃退に用いる。反面、自分が電撃を食らわない様に訓練を積む必要もある。
(参考資料:『スター・ウォーズビジュアル・エンサイクロペディア 完全保存版ビジュアル大百科』)
上記の通り、設定上はアカデミーで正式に教育を受けた帝国軍の精鋭であり、
帝国の武力を象徴する恐るべき存在のはずなのだが、映画のナンバリングシリーズの中では清々しい程にやられ役でしかなく、
記念すべき第一作『新たなる希望』の時点で片手で数えられる程度の人数で
デススターに潜入した
ルーク一行に圧倒的多勢で攻めかかっても全く仕留められず、
ひたすら出し抜かれまくった挙句
レイア姫奪還を許してまんまと逃げられてしまう始末
(一番の戦力である
ダース・ベイダーを
オビワンが足止めしてくれたおかげではあるが)。
非常に目立つゴツイ装甲服だが、ぶっちゃけ如何にも敵として分かりやすいデザインというビジュアル性以外の面では何の役にも立っておらず、
防御力を作中で実感するような場面は皆無。
ブラスターが掠めて死ぬのは当然の事、『ジェダイの帰還』に至っては、
身長1mの小さな原始的なエイリアン種族・イウォークが使う弓矢や投石を喰らうだけで呆気なく死んでいた。
こういった雑魚敵を代表するような悲しい扱いからか、
「
モブ兵士はどれだけ強力な装備を持っていても物語の趨勢には関与出来ない」「特に大軍になる程顕著」
という作劇上のあるあるを示すネタとして「ストームトルーパー効果」というものが有名。
彼らの持つブラスターは命中すればジェダイでも普通に致命傷になるのだが、主人公達に大挙して押し寄せ乱射してる時ほど、
単なる背景の如くまるで当たる気配がない事を揶揄した用語で、わざわざジョークのような相関式まで作られている。
また逆に、重要でないモブ兵士は、どれだけ装備が良かろうが主要キャラにバタバタ薙ぎ倒される事の例にも引用される。
なお劇中の描写からして、彼らの射撃がこうまで当たらないのはヘルメットの視界が劣悪なのが原因との説が有力
(ルークにも酷評され、射撃の名手が変装したら途端に糞エイムになりキレてヘルメットを放り投げるレベル!)。
エピソード4で出撃したストームトルーパーの1人がうっかり頭を隔壁にぶつけたシーンは有名。後に公開された特別篇で効果音まで付けられた程。
後にこのシーンについては
ジャンゴ・フェットの登場シーンでもオマージュされ、
視界不良ではなく「クローン・トルーパーの生き残りだから」という理由付けがされたが、
実際に撮影時、役者がトイレに行った後に慌ててヘルメットを被った所上手くかぶれず、視界が全く無かったせいでぶつかってしまったとの事。
なので「トルーパーのヘルメットの視界がすこぶる悪い」という事自体は(ある意味)事実だと言える。
ただ、このトルーパーを演じたと主張する人物は三人おり、また複数テイク撮影されたにもかかわらず何故か頭をぶつけたテイクが採用されているため、
実際の所どうしてこうなったのかについては真偽不明である。
ちなみにスピンオフアニメでは引退した元クローントルーパーがストームトルーパーのアーマーを着た際に、
「クローンアーマーとは比較にならない粗悪品だ」と詰っている場面があり、
どうやらクローン兵時代に比べると兵士の質に加えて装備の面でも徹底したコストカットが図られているらしい。
メタ的に言ってしまうと主役達が顔を隠す時間をなるべく少なくする理由付けなのかも知れないが、少し上記の内容を思い出して欲しい。
彼らはそんな産廃ヘルメットを任務中脱ぐ事が禁止されているのだ。
また、ページ冒頭の画像を見ると、ブラスターを左持ちしている者が多いのに気が付くのではないだろうか。
これはブラスターの弾倉が左側に突き出ている為、右持ちだと引っかかってしまうのが原因だったようだ。
候補生や育成時代の訓練では右撃ちだった記録もあり、右撃ちで訓練していたのに実戦では左撃ちになれば、
それはまあ当たらないのも当然であろう。劣悪な制式装備を
使わざるを得ない軍人の悲哀を感じる。
なお上記の写真で分かる通り、装備が更新されたファーストオーダーは右持ち出来るようになっている。
MUGENにおけるストームトルーパー
HelloMyNameIsAAA氏による「StormFrooper」が公開されている。
Pgrs111MAGEN氏が製作したストームトルーパー(現在入手不可)を
MUGEN1.0以降専用に改変したキャラ。
その出来は一言で言うとカオス。
小ポトレは
目の焦点が合ってないストームだし、大ポトレのストームトルーパーもやはり目の焦点が合ってない。
通常技も
飛び道具の「Shoot」は射線がランダムだったり、「Tackle」は何故かヘッドスライディングをかましたりと、色々おかしい。
超必殺技はShootを撃ちまくるストームトルーパーを2人呼び、延々と
ステージに居座る「Little Friends」、
キンダーサプライズが降ってきて、そこから割って出てきたアイテム毎に異なる効果を発揮する「Surprise Mechanics」、
デススターで
地球ごと吹き飛ばす
即死攻撃「Fire the Death Star」の3種。
勝利ポーズは『フォースの覚醒』に登場した「
Traitor(裏切者)!」と叫んでバトンを振り回すストームトルーパーのキャプチャ映像がリピートされつつ、
ノリの良い
BGMと共に流されるのだが、「Fire the Death Star」でトドメを刺すと海外のミーム「Dancing Stormtrooper」
*2の映像が流れる。
AIも搭載されており、技の性能もあってか雑に強い。
出場大会
*1
実際、旧3部作の主人公である
ルーク・スカイウォーカーも物語の開始時点では故郷タトゥイーンを出て、
帝国軍のアカデミーを卒業してパイロットになりたいという(田舎から出たいという願望交じりの)希望を持っていた。
後に帝国による支配の実態を知ってからはそのまま反乱同盟軍に参加しているが、
ここで肩を並べて戦う事になる「レッド2」ことウェッジ・アンティリーズや「ゴールドリーダー」ジョン・ヴァンダーらも元々は帝国軍のパイロットである。
更には密輸業者として協力を依頼し、後に無二の親友となるハン・ソロもかつては帝国軍のパイロット候補生であり、
命令違反が原因でアカデミーを追い出され、配属された歩兵部隊からも戦闘中に脱走、アウトローとなった元・帝国兵であった。
そして続3部作では主人公格の登場人物として、良心に従いファースト・オーダーを脱走したトルーパーFN-2187が登場した。
後に非道な命令に従う事ができずに部隊単位でオーダーを離脱した者達の存在も描かれている。
*2
元々は2004年に「Cookie Thiever」というサイトで投稿されたGIF。2007年にはYouTubeへ転載されて2000万回以上再生された(現在は削除済み)。
最終更新:2025年02月18日 02:01