第二次世界大戦中にイギリス軍で開発が行われていた珍兵器ロケット推進式の陸上爆雷。
名称は開発に参加した海軍中尉で小説家のネヴィル・シュート氏により、
サミュエル・フットの詩「偉大なパンジャンドラム(The Great Panjandrum「お偉方」の意)」から命名された。
連合軍によるヨーロッパ大陸への反攻作戦で作戦の最大の障害となることが予想される、
ドイツがフランスからノルウェーまでの北海側海岸線に構築したコンクリート製の防御陣地「大西洋の壁」を破壊すべく考案された。
1800kgの爆薬が詰まったドラムを一対の直径約3mの車輪で挟んだ構造で、車輪の枠に沿って黒色火薬ロケットが並べられて、
ロケットに点火されるとその推進力で車輪を回し、防御陣地の有効射程圏外に位置した上陸用舟艇から発進、
高速で水面を転がり自走させ、防御陣地に激突・爆散させるという構想であった。
しかし試作機を作って海水浴場で実験してみると全く直進することなく、
たちまちコースを逸れたり、その場でグルグル回ったり、ロケットが外れて猛スピードで進行方向とも別の方向に飛び回ったり、
敵どころか
上陸作戦中の味方にとっても極めて危険な代物となり、幾多の改良を行いながら実験は繰り返されたがこの欠陥を解消できず、
もちろん実用化はされなかった。
+
|
……だが |
実はこのパンジャンドラムの開発自体が、「コンクリート壁が攻撃目標」とドイツ側に誤認させるブラフで、
コンクリート壁付近に兵力を集中させた隙を突いて全く別の場所を攻めるのが本命の計画であり、
パンジャンドラムは最初から実用化度外視で作られていた……という説が有力視されている。
人目に付きやすい海水浴場で実験が行われたのも敢えてドイツ側に嗅ぎ付けさせるためと考えれば不自然ではない。
この場合、アホな構造とコンセプトに見えて、パンジャンドラムは「役割」は果たしていたと言える。
|
+
|
ネット&創作物での扱い |
「近代兵器の英国面」(たまに突拍子もない発想で生まれる英国産の珍妙な失敗試作兵器の数々)を象徴する逸品の一つとして、
第二次大戦期の歴史の闇に埋もれた知る人ぞ知る珍兵器だったが、様々なブロックを組み合わせて思い思いの攻城兵器を製作する、
つまりは高度な物理演算で遊ぶ積み木遊びゲーム『Besiege』において、パンジャンドラム風の兵器で全ステージクリアしようという、
珍妙な縛りプレイ動画を投稿する 変態技術者「たらちゃん(英国面)」氏の登場によって『Besiege』共々知名度が一気に上昇。
遂には有志が互いの変態技術の粋を集めて製作したパンジャンドラムを持ち寄り、爆音轟く熾烈なデスレースを繰り広げる、
『P1グランプリ(Panjandrum 1 Grand Prix)』が毎年の恒例行事としてオンライン開催されるに至った。
自爆用の爆弾を内蔵し車輪さえ付いていれば他は一切不問に近いフリーダム極まるレギュレーションの下、
毎年様々な新機構や珍兵器が考案され、大会の度に新たな暴挙で我々の腹筋を襲う変態技術の祭典は必見。
さあ皆さんご一緒に! パンコロー
|
バグパイプの音も高らかに 全てはここから始まった
|
航空パンジャンくらいはほんの序の口。デザインの芸術点や自爆キル数に注目するようになれば、貴方も立派な紅茶の使徒である
ちなみに『Besiege』界隈は、パンジャンドラムに限らず、ひたすら自己流の ガンタンクを開発し続ける人物など、
それぞれのこだわりを持って邁進する 変態技術者の宝庫なので、興味が湧いたなら調べてみてもいいだろう。
Fateシリーズのスピンオフ『氷室の天地 Fate/school Life』では読者投稿企画「僕の考えた最強偉人募集」、
要は読者が考えたサーヴァントの投稿企画において、とある読者が上記のネヴィル・シュート氏を投稿したのだが、
なんか見た目がパンジャンドラムに 手足と顔が生えた悪魔超人っぽい外見にされていた。
|
MUGENにおけるパンジャンドラム
ルピ氏の製作したキャラが公開中。
突っ込んで爆発したり小型パンジャンで攻撃する技で戦う。
一部技は本体もダメージを受ける自爆技なので注意。
また、ネヴィル・シュートが現れてパンジャンドラムを投下する技も持つ。
AIはデフォルトで搭載されている。
なお、「動作の保証ができないので同キャラ対戦は禁止」とのこと。
出場大会
最終更新:2025年05月01日 21:01