サイバーマン


"Delete!"

(消去セヨ!)

イギリスのSFドラマ『ドクター・フー』に登場するエイリアン/モンスターにして悪役。サイバイマンではない。
英語表記は「Cyberman」だが基本的に複数形の「Cybermen」と表記される事が多い。まあ、数が多い種族だからね
『ドクター・フー』の詳細に関してはダーレクの項目に詳細に記してあるのでそちらを参照願いたい。
+ サイバーマン、その恐るべきチート種族っぷりと超絶進化
  • 加速移動によるプッチ神父並の高速行動とゴルゴ13並の遠距離精密狙撃を併せ持つ
  • 手首や頭を本体から取り外して独立行動させることができる
  • 一個体が倒される度にその死因を学習し残りの全個体が耐性を付けるため、
    最終的には惑星ごと爆破しなければ倒せない(=宇宙に飛び出したら対処不能)
  • ミッシーが造ったサイバーマンは「ダークウォーター」という水に触れた死体をアップグレードしてサイバーマンに換える上に、
    歴史上のあらゆる死者の霊魂をデータドライブの中に保存(そのために擬似的に死後の世界を創って人類史を操作)、
    感情を消し去りサイバーボディにアップロードしてサイバーマンが造られるため、
    無限に増産され、敵を殺せば殺すほど数を増して強くなる性質を持つ
  • 前述のダークウォーターを雲に変えて地球の空を全て覆い、
    降り注ぐ黒い雨の力で世界中の死体をサイバーマンに換える=墓の下からわらわらとサイバーマンが這い出てくる
  • 6代目マスターが歴史上最初に生み出したサイバーマンは宇宙船の下から上へ上る過程で進化を果たし最新バージョンへと自動アップグレードされていく
+ そして…(後述のネタバレ関連なので閲覧注意!)
  • 8代目マスターはとうとうタイムロードをサイバーマン化して「サイバーマスターズ」という新種族を生み出す。
    再生能力を回数制限無しで使用可能なので完全不死身、しかもドクターのメンタルを大いに削る
    • 想像してみてほしい、女体化したストライダー飛竜の前に、必死で再興させたストライダーズのメンバーを
      ことごとく量産型ソロに改造したストライダー飛燕がニコニコしながら現れて「お前に懐かしのお仲間を紹介するよ♪」とほざく姿を。
      しかもそいつらは『ストV』で是空が用いる「宿命」に相当する能力を無制限に使用でき、プラズマエネルギーも保有しているのだ。
      マスターはドクターにサイバーマスターの再生能力保有を知らしめるため、わざわざドクターの目の前でその中の一体に仲間を「殺せ」と命じ、
      実際に殺させてから再生する様子を見せ付けるという外道な行為を行っている。

サイバーマンはドクター・フーを代表する悪役の中の一つであり、中でもダーレクに次いで長い歴史と人気を誇る敵である。
旧シリーズのシーズン4第2話にして初代ドクターにとっての最終回「The Tenth Planet」(ドクターが初めて「再生」をした回)で初登場し、
それ以降ドクターと度々対決する宿敵として人気を博す事となった。
通常の個体の他に頭が黒い隊長「サイバーリーダー」や脳が露出した司令官「サイバーコントローラー」、作戦参謀である「サイバープランナー」などがおり、
さらには鼠のような形状の小型サポートロボット「サイバーマット」を使役する事がある。
新シリーズを含めると大きく分けて2種類のサイバーマンが作中に登場するため、それぞれを解説する。

+ モンダス製サイバーマン

モンダス製サイバーマン

旧シリーズに登場するサイバーマンは全てこちら。
かつて(人類誕生より前)地球の傍に双子星として存在していた惑星モンダス(Mondas)出身の種族(モンダス星人)が元である。
最初は人類そっくりな姿をしていたが、種族全体の寿命が縮みゆく中で生き延びる手段を模索し、
全身の臓器を機械と置き換えるという行為を繰り返した結果、最早サイボーグというよりロボットのような外見になり、
強力なパワーと引き換えに人間性も感情も失った結果、冷酷で合理的で利己的な種族に生まれ変わってしまった。
しかしそれでもサイバーマンは滅び行く種族であるらしく、枯渇する資源を補充するためモンダスそのものを地球へと接近させ侵略活動を開始、
侵略を阻むため抵抗する初代ドクターとそのコンパニオン達の妨害を受け敗れた。
この時のサイバーマンは放射線を弱点としており、生身の部分を滅ぼされると空気の抜けた風船のように萎んで死ぬ描写があった。
これ以降登場するサイバーマンは「サイバーシップ」に乗って旅をする事で生き延びた別働隊の一団や、墓に封印されていた一団などで、
外見や能力はバージョンアップを繰り返すものの、目的はいつも「他種族をサイバーマンに改造して仲間を増やす事」で一貫している。
ゆくゆくは全宇宙の知的生命体を全てサイバーマンにする事が最終目標らしい。実に傍迷惑な話である。
『スター・トレック』の悪役である「ボーグ」と似ているが、登場したのはサイバーマンの方が先である。
旧シリーズのサイバーマンは金が弱点という設定があり、胸に金粉をかけられるだけで呼吸器系を壊して死んでしまうため、
人類側は金を放射する光輝銃を開発してサイバー戦争に勝利し、サイバーマンを打ち負かしている。
感情の無いサイバーマンでも敵を警戒する能力はあるため、金を産出する惑星ボガを爆破しようとするなど対策を取る事がある。
それなりに強い種族なのだが、1983年の20周年記念番組「5人のドクター」において「ラストン戦士ロボット」という最強の戦闘用ロボットと戦った際は、
一体に対し十体近くで挑んだもののかすり傷一つ負わせることすらできず、一瞬で全滅させられた。
旧シリーズの頃はまだ弱かったのである。

デザインに共通しているのは頭部の特徴的なハンドル(パイプ?)と能面のような顔*1である。
当初は頭の上にサーチライトのようなものが付いていたが、後にこの部分に銃を搭載するようになった。
この銃は威力の加減が可能で、ドクターに対し殺さぬよう射撃し気絶させて連れ去るシーンがある。
胸にはレーダーのような機器を装備し水圧を利用して動く筋肉を搭載、力が強く過酷な環境にも耐えられる。
「サイバーガン」という銃を手に持って使用する事もあった。

新シリーズでは序盤の方に、死んだモンダス製サイバーマンの頭部が登場する程度で長らく出番が無かったが、
シリーズ6以降に再び登場するようになり、それ以降は全てモンダス由来のサイバーマンで占められることとなる。
上記のチート能力サイバーマンはいずれもこのモンダス由来タイプであり、特にチート化に拍車が掛かったのはシリーズ7以降である。
最も未来の時間軸に位置する最新式サイバーマンは弱点であった金も克服している上、
サポートメカであるサイバーマットも進化して「サイバーマイト」になり、
生き物に触れただけで一瞬にしてアップグレードしてしまうようになった。
ミッシー製サイバーマンはダーレクに遅ればせながら飛行能力も会得している。
シリーズ12においては更なる進化版である「サイバーウォリアー」も誕生した。

かの作家メアリー・シェリーが『フランケンシュタイン』を執筆するにあたりインスピレーションを得たのは、
ドクターと共に損傷したサイバーマンと遭遇したことがきっかけであるということも判明している。

余談だが、シリーズ6に登場したサイバーマンは地球への墜落のショックで損傷しており、
不足する設備を補うため標的の男性を服を着たままの姿でサイバーボディに押し込めて即席サイバーコントローラーへの改造を試みたが、
その男性は幼い息子へのの力で抵抗し、逆にサイバーマン達に感情エネルギーを注入してオーバーヒートさせ撃破&生還している。
シリーズ8では事故死した男性がダークウォーターでサイバーマンにされたものの、恋人の女性への愛の力で自我を取り戻し、
最後には恋人と世界を救うために自ら身を捧げ高空で自爆することで黒い雲を晴らしてダークウォーターを消している。
シリーズ10に登場したヘザーは愛する女の子を護るために体の一部を水滴に変えて女の子の肉体に忍ばせ、
その子がサイバーマンにされてしまった際に近くに姿を現わし原子構造を組み換えることで元通りの人間に戻している。
サイバーマンも愛には弱い。

長らく「そもそも誰がサイバーマンを生み出したのか」については曖昧だったが、
シリーズ10の最終回にてドクターのライバルであるマスター(6代目)が歴史上最初のサイバーマンを造った張本人である事が判明した。
これ以降サイバーマンは半ばマスターのオモチャになっており、遂には…(後述)

+ サイバス製サイバーマン

サイバス製サイバーマン

新シリーズの序盤からしばらくの間を占める新種のサイバーマン。
パラレルワールドの地球で誕生した地球製サイバーマンである。
世界中のITを支配下に置く、イギリスの実業家ジョン・ルーミック率いる大企業「サイバス工業」が生み出した。
成功者だが不治の病に冒され死を待つばかりとなっていたルーミックは何としても生き延びたいと願い、
サイボーグテクノロジーで次世代の人類「第二人類」に生まれ変わる事を画策。
倫理委員会の承諾も期待せず、開発に関わった者の中から背信者を悉く抹消し、果ては試作品の材料として飢えに喘ぐホームレスを騙して拉致し利用
最終的に自らがサイバーマンになるまでの試験として大量のサイバーマン軍団を生み出したのだった。

ルーミック本人は自身のサイバーマン化を「最後の息をした後」にするつもりだったが、
部下の反逆によって危篤に陥ったことで強制的にサイバーマン化され、
サイバーコントローラー化という特別待遇を受けている。ちゃっかり感情も残っていた

人間をサイバーマンに改造することを「アップグレード」と称し、「アップグレードは義務」と宣言する。
拒む者に対しては「Delete!(消去セヨ!)」と叫びながら攻撃し殺害してくる。
アップグレードは名誉であり皆が望むことと勝手に決め付け、
心の底から善意で他者にアップグレードを強要してくるという迷惑極まりない性質を持つ。
他作品で喩えるとSIRENの屍人にイメージが近いだろうか。生前の記憶が残ってたりする辺りも似てるし。涙も流すし
サイバー「マン」というだけあって声は男性的な電子音声であり、
結婚式を間近に控えた花嫁だろうと四十路のおばちゃんだろうと改造されればみんな同じサイバーマンにされてしまう。
この世界ではサイバス工業により「イヤポッド」という耳着けタイプのスマホ的デバイスが流行っており、
人々は脳に直接情報をダウンロードして生活できるようになっているのだが、
ルーミックはこれを悪用して人間を遠隔操作、人々を円滑にサイバー工場へ運びサイバーマン製造が行われた。
ちなみに工場は七つの大陸全てにある
「感情こそがストレスの元となり寿命を縮める要因」というルーミックの持論により、感情抑制装置を組み込まれているこのサイバーマンは、
ダーレクのような怒りや憎悪すら全く無い虚無の心を持っており完全に無感情。
個にして全であり皆の心が一つに繋がっている。
一個体の経験や知識は全個体が共有するため学校教育は不要、性差も人種の違いも無く年齢も宗教も関係なく戦争もいじめも無いという、
一見すると魅力的に思える存在になっている。
しかしそれは「個の意思を完全に踏みにじった無慈悲な同一化・画一化の強制」であり、「他者の排除・排斥」というダーレクのそれと根本的に同じ、
「違いを受け容れない排他性・個性や自由を縛る不寛容」そのものである(イギリス版人類補完計画?)。
競争や対立の存在しないサイバーマンには発展も進歩もない。
人はぶつかり合ってこそ分かり合い寄り添えるのだが、サイバーマンは互いに反発することが無いので変わらない。
ドクターからもその点を真っ向から指摘され、ルーミックの持論は完全論破されており、
しかも「心が一つに繋がっている」という点を逆手に取った作戦で一網打尽にされ、倒される事となった。
この時のサイバーマン達の阿鼻叫喚の死に様は怖がりな視聴者にとってトラウマ級の地獄絵図であり、
「ドクター・フーで最も怖かったモンスター」のアンケートでサイバーマンがよく上位に上がる原因となっている。
だが全滅はせず生き残った個体がたくさん(500万)居り、そんなサイバーマン達を一般市民達が、
「まだ助けられるかも」「元は人間なんだし殺すのはどうなの?」とゴネている間に彼らはパラレルワールドへの抜け道を見付け逃走。
なんとこちらの世界へ出現し地球を危機に陥れる事になった。ホント迷惑千万

機械系モンスターのお約束であり高圧電流には弱い。作中では電磁波爆弾で一個体が撃破されている。
ダーレクに比べると耐久力も脆く、イギリス軍の兵士が放ったロケットランチャーが直撃し撃破された個体もいる。
こちらの世界に出現した際にダーレクと遭遇し、全ての視聴者がワクワクドキドキする中とうとうご対面。
頓珍漢な問答をした末に同盟交渉が決裂しビームの撃ち合いになったが、サイバーマン側の火力不足とダーレク側のフォースフィールド完全防御、
そしてダーレクのチート火力とサイバーマンの貧弱ボディという組み合わせにより、結果はダーレクの圧勝であった。
生み出された当初は掌からの高圧電流しか攻撃手段の無かったサイバーマンもこちらの世界に来るまでの間に進化し、
腕にレーザーガンを搭載するほどにはなっていたのだが、やはりダーレクでは相手が悪かった
(後のシリーズのサイバーマンもこの「リスト(手首)レーザーガン」を常用するようになる)。

そしてダーレクやら人類やらと大戦争を繰り広げる中、我らがドクターの奇策に嵌まって敗北。ヴォイド空間に封印される。
一安心と思いきや、ダーレクの生みの親であるダヴロス博士がヴォイド空間を崩壊させるという余計な事をしたため解き放たれてしまう。
そしてヴィクトリア朝のロンドンで暗躍し、動物を改造した「サイバーシェイド」やスチームパンク式の巨大ロボット「サイバーキング」を生み出したり、
ゲーム版で11代目ドクターと何度も対決したり、宇宙船を造ったり、ちゃっかりダーレクと同盟を結んだり、
人類が用いていたレーザーガンを元に改良した自前の武器「サイバーウェポン」を装備して自己強化したりと好き放題やっていたのだが、
シリーズ5最終回で宇宙が一度消滅した後創り直された際に、本来こちらの宇宙の住民でないサイバス製サイバーマンは復活させてもらえず、
敢え無く全滅してしまったのだった…。
その後、シリーズ7では死んだサイバス製サイバーマンのボディが展示物という形でカメオ出演していた。
また、シリーズ6等に登場するモンダス製サイバーマンはデザインがサイバス製とそっくりであり、
違いは胸のロゴくらいしかない(サイバス製は頭文字の「C」、モンダス製は「○」)。

+ その他のサイバーマン。ちょっと気分の悪いものも含むため閲覧注意!

サイバーウーマン

ドクター・フーのスピンオフである『秘密情報部トーチウッド』の第四話「Cyberwoman(邦題:戦いの傷跡)」に登場した個体。
上記のサイバス製サイバーマンがこちらの世界へ侵攻してきた際に対ダーレク用戦力増強目的で片っ端から人間を急速アップグレードする必要に迫られ、
エイリアン対策組織である「トーチウッド(Torchwood=Doctor Whoのアナグラム)」のメンバーの女性が改造されて生み出された個体。
通常、サイバーマンを生み出す際は人間の脳を肉体から麻酔無しで切り取って機械の身体に組み込むのだが、
急速アップグレード方式の場合は体そのものを直接的に機械化して改造するため、この女性は半分人間半分機械という外見になった。

本来ならば完全に機械化されサイバーマンにされる所を、恋人の男性であるイアントから助け出され、
人目に触れないようトーチウッド3の地下に匿われていたため、自力では呼吸もできない不完全な体で生命維持装置に繋がれ、
イアントからの介護を受けながら命を繋いでいた。
しかし改造および人格変換は既に脳に及んでいたらしく、彼女を助けようと高名な科学者を呼び寄せたイアントが科学者に彼女を看させた所、突如暴走。
科学者を殺害して不完全な設備でアップグレードさせようと試み、事態を隠蔽しようと奔走する恋人イアントを大いに苦しめた。
イアントに対してだけは危害を加えず「そのままで良い」と認識している節があるため、
サイバーマインドと人間性が混在する状態にあった(恋人への愛情が残っていた)と思われる。
しかし結局彼女の存在はトーチウッドのメンバーに発覚し、互いに敵意を抱いた事で大事件が勃発。
トーチウッド3のリーダーであるジャック・ハークネスを一度は殺害するものの、とある事情で不死身である彼は蘇生し、
メンバー全員が一時基地から退避。
その後、直前にピザの注文を受けていた馴染みのピザ屋の女性店員が何も知らずにトーチウッドを訪れてしまい、
しかもサイバーウーマンは「自分がイアントから受け容れてもらえないのは変わり果てた外見のせいだ」と思い込んでいた事から、
基地に入り込んだ女性店員は…。
仲間を騙し続けていた事を咎められたイアントは一人で基地に戻りサイバーウーマンを始末する事を強いられ、
基地に入った彼が目にしたのは、自らの脳をピザ屋店員の体に移して人間の肉体を取り戻したかつての恋人の姿だった。
人間らしい、女性らしい肉体を取り戻した事でイアントから受け容れてもらえると思っていたサイバーウーマンだが、
イアントは悲痛な慟哭を上げるばかり。
そしてイアントは恋人だったモノに拳銃を向ける。
しかし、撃てなかった。
代わりに撃ったのは、イアントの後を追い基地内に戻ってきたトーチウッド3の仲間達だった
(誰が直接致命傷を与えたのか分からなくするために全員で一斉射撃しており、結果的にピザ屋店員の体は蜂の巣にされてしまった。憐れ…)。
結局事態は収まり、イアントはそのままなし崩しでトーチウッドに勤め続けるのだが、
この『秘密情報部トーチウッド』という作品はアメリカドラマを参考にドロドロした人間関係やR18展開を繰り広げる陰鬱な物語であるため、
本家ドクター・フーとの落差が酷いのは仕方ないにしても、
イアントと恋人の救われなさ加減はあまりにもあんまりである。

ゲーム版オリジナルのサイバーマン

シリーズ5放送の時期にイギリスで公開されていたゲーム『Blood of the Cybermen』の中に登場したサイバーマン。
詳細は不明だが、モンダス製ともサイバス製とも異なる出自らしく、
見た目も胸のロゴが「サイバーマンの顔を戯画化したマーク」になっているなど微妙に違う。
首から上だけサイバーマン化した「サイバースレイヴ」を使役してきた。

ハンドルズ(Handles)

新シリーズのシリーズ7最後を飾るクリスマススペシャルエピソードにして
11代目ドクターの最終回である「The Time of the Doctor(邦題:ドクターの時)」に登場した個体。
ドリウムという名の宇宙闇商人が経営するマーケットでドクターが購入したサイバーマンの頭部である。
既に中身の頭脳は失われていたためドクターが自前でAIを搭載し、自身のサポート用マシンに仕立て上げた。
名前の由来は恐らく頭のハンドルからだろう。

やや融通が利かず、いかにも機械的な思考をするおとぼけキャラになってしまっているが、口調は丁寧でドクターに忠実であり、
嘆きの天使に取り囲まれて絶体絶命のドクターとその仲間をターディスで迎えに来て救出したり、
時空間の裂け目から漏れ聞こえてくる謎のメッセージを解読したりと多方面でドクターをサポートした。
舞台となる惑星トレンザロア(Trenzalore)に訳あって留まる事を決意したドクターは、
仲間を巻き込むまいと騙してターディスで現代の地球へと送り返してしまい、
結果的にハンドルズはドクターの唯一の相棒として共にトレンザロアでダーレクやサイバーマン、ソンターラン、嘆きの天使といった、
凶悪なエイリアン達と戦い続ける事となった。
だが、再生回数を使い果たしているドクターは後は老いるだけであり、そしてハンドルズも経年と共に弱り故障が多くなっていく。
独り言が多くなるドクターの唯一の話し相手として傍に寄り添うハンドルズ…。
やがて思わぬタイミングでターディスと仲間がドクターの前に戻ってくると、老いたドクターはそれを迎え入れ、
一日の内に昼間が数時間しかないトレンザロアにて、夜明けを迎える事を楽しみにしながら戦いを続ける。
仲間と共に焚き火を囲み焼きマシュマロを食べながら語らうドクターだったが、ハンドルズはもう限界を迎えていた。
優しい手つきでハンドルズの表面に付いた汚れを拭き取るドクターだが、ハンドルズは異音を立てながら弱々しく光を点滅させ…
新たな夜明けを迎える事無くドクターの手の中で機能を停止した。
彼もまたドクターの大事なコンパニオンの中の一名であり、宇宙を救う事に力を役立てた勇士の一人であったと言えよう。

これ以降は2020年のシリーズ12のネタバレなので閲覧する方は注意!
+ ある意味ショッキングなので注意

サイバーマスターズ

2020年のシリーズ12終盤エピソード「The Timeless Children(邦題「時を超えた子供たち」)」に登場した悪夢の新サイバーマン。
マスターがガリフレイを襲撃し首都を滅ぼした際に、殺したタイムロードの遺体をアップグレードして生み出したタイムロードとサイバーマンのハイブリッド。
見た目にはタイムロードの儀礼服の意匠を施してあり、デザインセンスからして悪趣味全開。
設定上は攻撃力などの基本スペックも今までのものより上で、何よりドクター個人への精神攻撃にピンポイントに特化している*2
マスターは彼らを率いてあらゆる時空を襲い侵略・征服するという野望を語る。そしてサイバーマンのデータベースであるサイベリアムと融合し、
全サイバーマンの指揮権を持つサイバーマンとタイムロードのハイブリッドと化す。
サイバーマンの希望の星であった“孤高のサイバーマン”が有する特殊な兵器
(サイバーマンの胸のロゴ部分を模ったような爆弾。使うと全宇宙の有機的な生物が一斉に死ぬ)を奪い取ったマスターは、
最終的には13代目ドクターとの対決の末に、その兵器を逆に自分のいる惑星限定で使ってきたとある人物と共に爆発に呑まれ消滅。
ドクターは今度こそ名実共に最後のタイムロードとなり、強大な宿敵と同時に唯一の同胞を失ったのであった…。

+ そして2022年…
2022年スペシャルの最後を飾り13代目ドクターの最期を描いたエピソード「The Power of the Doctor」において、
マスターおよびサイバーマスターズはしぶとく復活を遂げる。上記の爆発を辛くも逃れ彼らは生き延びていたのだ。
マスターは自らの肉体に限界が迫っていることを悟り、なんとドクターの肉体を奪うことを画策、
ドクターの最大の仇敵であるダーレクとサイバーマンに同盟を組ませ、その両者を(に化けて)裏から操ることで、
ダーレク&サイバーマン+マスターによる総攻撃を仕掛けてくるのだった。

ダーレクは基本系(やたらゴツいツノが生えてるけど)一種であるが、
サイバーマンはその時点での最新型であるサイバーウォリアーに加えサイバーマスターズ、さらに孤高のサイバーマンと三種類もいる。
マスターはそれらを操りドクターに挑戦し、謎ダンスを踊ったりしつつ首尾よくドクターを捕らえて肉体を奪うことに成功する。
傍から見たら突然女性ものの服に着替えただけに見えるのでシュールだが
…しかしそこはドクター、事前に対処法を考えて仲間に指示を出しており、
ホログラムの偽物の自分を活用した作戦でサイバーマスターズに同士討ちさせることで彼らの再生を促し、
いざ再生し始めた所でその再生エネルギーを奪い取りマスター(inドクター'sボディ)に注入させる。
結果としてマスターは過剰に注入された再生エネルギーが原因で無理やり再生させられ、
あろうことか元通りの13代目ドクターに、マスター自身は傷んだ肉体に精神を送り返されてしまった。
しかもサイバーマスターズは再生機構を奪い取られたことでもう再生できなくなっており事実上ポンコツ同然、
終いには生みの親であるマスターから見捨てられてしまい、悲しいかな全ての個体がひっそりと死んでいったのだった…。


MUGENにおけるサイバーマン

ダーレクと同様、Basara-kun氏によって製作されたものが存在する。
2020年のエイプリルフール公開であり現在はβ版。アイアンマンドット絵を改変して製作されている。
まさかトニーをアップグレードさせたわけじゃあるまいな…
大ポトレの画像から、サイバス製のもの(それも初期)をイメージして作られているようだ。
ほとんどアイアンマンの替えキャラに近いが、細部に描き換えて差別化を施してあるようだ。は原作の言語版英語をしっかり喋る。
加工された電子ボイスなので言われないと気付かないと思うが、実はダーレクとサイバーマンは同じ人が声を当てているのである。
ダーレクと同様にAIは未搭載でカラーも2種類しか無いなど、ダーレクに比べちょっと寂しい…。

サイバス製サイバーマンお馴染みの「ズギョンズギョン…」という重々しい効果音を鳴らしながら歩行する。当然、走る事も飛び退く事も不可能。
ただしジャンプは可能でありガードも出来る。
攻撃手段は2段階のパンチ&キック…要するに通常技のみだが、ヒット時に電撃やられを伴い1ヒットで必ずダウンを奪うという特徴がある。
原作と違って生身の人間キャラクターに当てても即死させないのでご安心を。
また、地味に「ダーレクの即死ビームを一発までなら耐えられる」という耐久力を誇る。二発喰らったら死ぬが。
この他、挑発時には相手をアップグレードする事を宣言してくる。…良い子は間違っても受け容れないように。

ダーレク相手の特殊イントロを搭載しており、新シリーズのシリーズ2最終回で対峙した両者の会話が再現される。
……が、戦いではなく害虫駆除だと宣言されたり「お前達がダーレクより優れている点は簡単に壊れる事だけだ」と煽られたり、
ぶっちゃけ戦う前から敗色濃厚である。実際勝つのは難しいし


"You will become like us."

出場大会

  • 「[大会] [サイバーマン]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
人間の脳は3つの点が逆三角形に配置されるとヒトの顔として認識するというシミュラクラ現象を利用した
極めて簡素なデザインの顔である。
とことん個性を奪って画一化するというサイバーマンの意志を忠実に再現した秀逸なデザインと言える。

*2
この時点でタイムロードはドクターとマスターを除き絶滅しているため、
ドクターにとって自分以外の唯一の同胞は幼馴染みにしてサイコパスで、自分に対しマウント取りに来る宿敵のみという状態。
『ドクター・フー』の世界においてはタイムロードが認識した事実が改変不能の歴史として固定されるため、
ドクターにはもう既にタイムロードを救う手立てが残されていない。


最終更新:2023年06月20日 17:28