---航空母艦『ライオン』内:救護室---

俺「・・・・・」スゥ…スゥ…

サーニャ「・・・・・」キュッ…

エイラ「・・・・・」

先刻の戦いから数時間後、俺はいまだ意識を取り戻さず、死んだように眠っていた。

一通りの手当ては終わり、とりあえずは安静にしていれば命を失うことはないという。

それでも不安を拭うことはできず、サーニャは眠る俺の手を握り続けていた。

ツカツカ

坂本「二人とも、そろそろ出撃する。ハンガーまで来てくれ。」

エイラ「了解・・・行こう、サーニャ。」

サーニャ「・・・・・」

エイラ「サーニャ・・・」

坂本「先に行っててくれエイラ。少しサーニャと話したいことがある。」

エイラ「・・・わかっタ。待ってるからナ。」

ツカツカ

坂本「・・・サーニャ。」

サーニャ「はい・・・」

坂本「お前の心中は察する・・・戦いたくないのなら、無理はしないでくれ。」

サーニャ「・・・・・」

坂本「迷っているか?」

数秒間が空いてから、サーニャは返答する。

サーニャ「・・・わかりません・・・どうしたらいいのか・・・」

坂本「そうか・・・一つ、聞いてほしいことがある。」

サーニャ「・・・?」

坂本「以前、俺と私が修行している時に、俺に戦う理由を問うたことがある・・・」

――(回想)――

俺「戦う理由・・・ですか?」

坂本「ああ。お前にも戦う理由はあるだろう。それを教えてほしい。」

俺「えと・・・正直、理由なんてあげたらきりがないっス。多分全部あげようとしたら3時間ぐらいずっと言い続ける自信ありますよ、俺。」

坂本「はっはっは!それは私も困るな。・・・ならば、あえて一つ・・・今のお前の最も戦う理由となっているものを挙げるとすれば・・・なんだ?」

俺「一番は・・・サーニャです。」

坂本「ほぉ・・・サーニャか・・・」

俺「俺、あの子を守りたいです。もちろん、あの子だけじゃなくて、少佐や宮藤さん・・・みんなを守ることも、ちゃんと理由にあります。」

俺「でも、一番の理由はあの子を守ること・・・明日も明後日も、この先もずーっとサーニャが笑顔でいられるように、あの子を守る・・・それが、今の俺の一番の理由っス。」

――(回想終わり)――

サーニャ「! ・・・」

坂本「俺は、なによりもお前を守るために戦うと言っていた。お前の笑顔を守るためにと。」

坂本「お前に戦いを強いるつもりはない。むしろ、俺としてはお前には戦ってほしくないと思っているはずだ。」

サーニャは俺の横たわるベッドへと視線を向ける。

俺「・・・・・」

サーニャ(俺・・・)

視線を坂本へと戻し、サーニャは告げる。

サーニャ「・・・俺に言ったんです・・・どんなことがあっても、絶対に私が守るって。」

サーニャ「だから・・・戦います。」

坂本「・・・それでいいんだな?」

サーニャ「・・・・・」コクッ

坂本「・・・わかった。俺の事は私がみている。必ず、生きて戻ってきてくれ。」

サーニャ「はい・・・!」


---艦内:ハンガー---

エイラ「サーニャ・・・大丈夫か・・・?」

サーニャ「うん。もう大丈夫。今度は、私が俺を守る番・・・エイラのことも、私がきっと守る・・・」

エイラ「サーニャ・・・うん、ワタシも絶対にサーニャのこと守るヨ。それと、俺も・・・」

サーニャ「・・・ありがとう、エイラ。絶対に戻ろうね・・・」

エイラ「ああ!」

エイラ(安心しろヨ、俺・・・サーニャは、絶対にワタシが守るからナ・・・!)

サーニャ(もう俺を、ネウロイの事で苦しませたりはしない・・・)キュッ

俺から預かったままのリボンを握りしめ、一度閉じていた瞳を静かに開く。

ミーナ「これより、501統合戦闘航空団はオペレーション『ラグナロク』に参加します!!」

ミーナ「ストライクウィッチーズ、出撃!!」

全員『了解!!』


---北海海上:ネウロイの塔頂上---

空を漆黒が覆う中、天頂で不気味な程大きな月が赤黒い光を放ち、この星を照らす。海面はそんな月の光を受け禍々しく揺らいでいた。

ここは高度約6000m地点のネウロイの塔の頂上。

ミーナの号令を受け出撃したウィッチーズたちは決戦の場所、ネウロイの塔の頂上で浮遊していた。

頂上は真っ黒な塔の表面とは違い、撃墜したネウロイの破片のように純白に輝いている。

やがて、501のメンバーに続くように、続々と他の統合戦闘団のウィッチたちが頂上へと集う。

ブロロロロロロ…

フェル「あら。あれ、宮藤ちゃんたちじゃないの?」

マルチナ「あ、ホントだ!おーい!!」フリフリ

ルチアナ「ふ、二人とも・・・」

アンジ―「あ!こら!勝手に隊を離れるなー!」

宮藤「フェルナンディアさん!マルチナさんにルチアナさんも!・・・あ!あなたは・・・」

諏訪「えっ?あ・・・あなたは・・・宮藤博士の娘さん!?ご、ご無沙汰してます!」

中島「宮藤博士の娘・・・君が宮藤芳佳か!」

芳佳「は、はい!えっと・・・あなたは・・・」

中島「あぁ、すまない。私は中島錦。階級は少尉だ。よろしく。」

彼女たちに続くように、ウィッチたちは一度隊を離れなじみの顔を見つけては会話を始める。

・・・ ・・・ ・・・

伯爵「やぁ、フラウ。元気だったかい?」

エーリカ「あ、伯爵だ!」

ゲルト「こら、挨拶ぐらいきちんとせんかハルトマン。久しぶりだな、クルピンスキー。今は中尉だったか。」

伯爵「相変わらずお堅いね、トゥルーデ。ちなみにボクも今は大尉だよ。」

ゲルト「そうだったのか。失礼した、クルピンスキー大尉。」

ロスマン≪ハルトマン・・・いるの?≫

一線を退いたロスマンは、母艦から通信を行っていた。

伯爵「ああ、いるよ。ボクの目の前に。トゥルーデも一緒だよ。」

ロスマン≪ちょっと話がしたいわ。彼女に周波数を教えてあげて。≫

伯爵「りょーかい。フラウ、キミと話したい人がいるって。」

エーリカ「?」

・・・ ・・・ ・・・

シャーリー「お!あんたは確か・・・ドミニカ・ジェンダイル大尉・・・だっけ?」

ドミニカ「・・・ジェーン、コイツ誰だ?」

ジェーン「ちょっと大将!シャーロット・イェーガー大尉ですよ!!知ってるでしょう!?」

ドミニカ「ああ、あんたか。噂は聞いてる。レシプロで音速を超えたんだってな。」

シャーリー「あはは、知っててもらえたようでうれしいよ。」

ルッキーニ「シャーリー。この人たち誰?」

シャーリー「あたしと同じ、リべリオン出身のトップエース、ドミニカ・ジェンダイル大尉と、ジェーン・ゴッドフリー大尉だよ。所属は504だってさ。」

ジェーン「か、かわいい・・・///」

ドミニカ「む・・・」ジーッ

ルッキーニ「うじゅ?」

ドミニカ「おい、ちっこいの。」

ルッキーニ「ちっこいのじゃないよ!ルッキーニって名前があるもん!それに、おっぱいはおっきくなってるもん!」

ドミニカ「ルッキーニ。ジェーンは渡さないからな。」

ルッキーニ「?」

ジェーン「ちょ!?え・・・大将・・・///」

シャーリー「あっはっは!お熱いなぁ~」

・・・ ・・・ ・・・

サーシャ「あれは・・・」

ニパ「イッル!」

エイラ「え?・・・あ、ニパ!!」

ニパ「久しぶりだな、イッル!サーニャさんも。」

サーシャ「お久しぶりです、お二人とも。」

サーニャ「こんばんわ、ニパさん、サーシャさん。」

エイラ「久しぶり。元気そうだナ、ニパ。相変わらず落ちてるのカ?」

サーシャ「ええ・・・もうストライカーの補給が間に合わないくらい・・・」

ニパ「なっ!?ま、前よりは減ったんだからな!!」

サーニャ「ふふっ・・・ ?」

ハインリーケ「ぬ・・・むぅ・・・」モジモジ

サーニャ「あの・・・」

ハインリーケ「! な、なんじゃ!」

サーニャ「あなたも、ナイトウィッチの方・・・なんですよね・・・?」

ハインリーケ「い、いかにも!妾こそ、誉れ高きヴィトゲンシュタイン家が一人!ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタインじゃ!」

サーニャ「あなたが、ハイデマリーさんの言ってた・・・」

ハインリーケ「む?ハイデマリーを知っているのか?」

サーニャ「は、はい・・・前にお話ししたことがあって・・・」

ハインリーケ「そうか!そうじゃったか!それで、お主。名はなんという?」

サーニャ「わ、私は・・・」アセアセ

エイラ(あ、サーニャまた新しい奴と話してる・・・でも、よかった・・・元気になったみたいで・・・)ホッ

再会を喜ぶもの。新たな出会いを喜ぶもの。とても決戦の場とは思えない、和やかな雰囲気が漂う。

いかにウィッチと言えど、彼女たちもどこにでもいるごく普通の少女と何ら変わりはない。各々、しばらく団欒に花を咲かせていた。

しかし、

サーニャ&ハインリーケ「!!」ヴン

エイラ「サーニャ!?」

サーニャ「来る・・・丁度、月の方角・・・数は12・・・」

その雰囲気を断ち切るように、異形の影が彼女たちへと迫っていた。

♪Darkness

ガランド≪来たか・・・各統合戦闘団隊長に通達。高度20000に航空ネウロイを確認。現在こちらへ接近中。」

ガランド「数は12。各隊一機ずつ迎撃に当たり、これを殲滅せよ。残りの一機は艦砲射撃と艦上戦闘機により撃滅する。尚、指揮は全て、現場の隊長である君たちに一任することとする。≫

ガランド≪諸君、これが我々人類の最後の戦いになる。世界の命運は、君たちに委ねられている。必ず、全員生きて帰ってきてくれ!≫

本作戦の発案者であり、501再結成に尽力したガランド少将の激励がインカム越しから飛ばされる。

やがて、月を背景に12機編隊のX級ネウロイの群れが現れた。

ミーナ「みんな聞こえたわね・・・これが最後・・・絶対に勝つわよ!!」

ラル≪これが最後の宴になるはずだ。ネウロイどもにたっぷりと塩水を飲ませてやれ!!≫

フェデリカ≪みんなならきっと勝てると信じてるわ。必ず、みんなで生きて帰りましょう!≫

加東≪今更あなた達が負けるなんて思ってないわ。アフリカにいるみんなにいい報告ができるよう、尽力すること。それだけ。がんばって!≫

それぞれの隊員たちは、その言葉に高らかに返事を返す。

全員『了解っ!!』

戦いの火蓋が、切って落とされた。



Episode21 『全ての人の魂の戦い』





---カールスラント国境付近---

北海のネウロイの出現に合わせるように、国境付近にもX級ネウロイが姿を現していた。

ハーピー7「ちっくしょおおおおおおおお!!」ダダダダダダダダ

ハーピー1≪くそっ!ネウロイどもめ!墜ちろよッ!!≫ダダダダダダダダダダダ

戦闘機部隊と地上部隊が防空に当たるが、弾丸をばら撒けどネウロイは傷一つ負わない。

ビシュウウゥ!!

ハーピー1≪! ハーピー7!ブレイク!ブレイク!≫

ハーピー7「!?」

迫るビーム。回避行動をとるが間に合わず、左翼に被弾する。墜落する戦闘機。

ハーピー7「くそぉっ!!」

ベイルアウトを図り、何とか機体から脱出し、パラシュートを広げる。しかし、

コオオォォォォ…

ベイルアウトした兵士のいる方角へ向けて、ネウロイからビームが放たれようとしていた。

ハーピー7「くっ・・・」

諦めたのか、兵士は静かに目を閉じる。

ハーピー7(ごめんなぁ・・・兄ちゃん、お前を守ってやれなかったよ・・・)

兵士は首にかけたロケットペンダントを握りしめ、その時を待つ。

ドガアアアアァァァ!!

ハーピー7「!!?」

ギュアアアァァァァァ

突如、ネウロイが白い粉塵に包まれ、悲鳴を上げる。

ハイデマリー「カールスラント空軍夜間戦闘航空団、ただ今到着しました!」

ハーピー7「はは・・・すげぇ・・・ウィッチだ・・・」

ヘルマ「だ、大丈夫でありますか!?」

兵士の横に一人の少女が浮遊している。彼女の足にはカールスラントで研究中のジェットストライカーが装備されていた。

夜間戦闘団に続き、ジェトストライカー部隊も救援に駆けつけていたのだ。

ウィッチA≪ヘルマ!その人を無事に地上までおろしてあげて!≫

ヘルマ「り、了解であります!」

ハーピー4≪ハハハ!!見ろ!ウィッチだ!!≫

ハーピー3≪おいおい!女神たちの前でだせぇことできねぇぞ!気合いれてけ!≫

ウィッチの登場に兵士たちの士気が上がる。

ベイルアウトした兵士はヘルマの手により地上へと降ろされた。

ヘルマ「大丈夫でありますか!?怪我は・・・」

ハーピー7「あ、あぁ・・・大丈夫だよ。ありがとう・・・」

ヘルマ「よかったであります・・・えと、私も戦わなければいけないので、避難は・・・」

ハーピー7「ああ、大丈夫。自分でできるから・・・」

ヘルマ「そうでありますか・・・それでは・・・」

ハーピー7「あ、ちょっと待ってくれ!」

ヘルマ「? なんでありましょうか?」

ハーピー7「頼む・・・俺たちの国を・・・空を・・・取り戻してくれ・・・」

ヘルマ「・・・モチロンでありますっ!」ビシッ

ヘルマは一度敬礼し、ネウロイのいる空を見据える。

ヘルマ(この男の人のためにも、平和を望んでいる人たちのためにも・・・きっと取り戻してみせるであります!)

ビュン!

ヘルマは再び、勢いよく空へと駆け出した。

ハーピー7「頼むよ、ウィッチ達・・・俺たちの希望・・・」


---スオムス戦線---

ラウラ「戦線を押し上げろ!ネウロイを近づけさせるな!!」

ウィッチ達『了解!』

北欧、スオムス戦線。雪が降る中、エイラとニパの戦友たちも同じようにネウロイとの合戦を繰り広げていた。

ウィンド「ラプラ、凄い気迫。ビックリちゃった。」

ラウラ「イッルとニパにばかりいい顔はさせられない。私たちも、私たちのできることを全力でやるだけだ。」

ラウラ「あいつらが戻ってきた時に、スオムスは壊滅しました、なんて笑い話にもならない。」

ウィンド「ふふっ・・・そうね。」

ラウラ「・・・ハッセ、勝負しよう。」

ウィンド「え?勝負・・・?」

ラウラ「ネウロイを多く墜とした方の勝ち。これだけ的があるんだ。どうだ?」

ウィンド「う、うん・・・いいけど、ラプラがそんなこと言うなんて・・・」

エルマ≪グリッド西から第二波接近中です!げ、迎撃してください!≫

ラウラ「了解。いくぞ!」ビュン!

ウィンド「あ!ちょっと、ラプラ!もう・・・!」ブォン!


---アフリカ:北アフリカ戦線---

ここは北アフリカ。この地にも大量の陸戦ネウロイが出現し、すでに魔女たちが交戦を始めていた。

マイルズ「マイルズ隊射撃開始!!」

ガガガガガ ドガァァァァ

パトリシア「パットンガールズ!ロックンロール!!」ガガガガガガ

マリリン&アビゲイル「イヤッフー!!」ダダダダダダダ

ドヒュンドヒュン 

古子「ハァ・・・ハァ・・・なんて数なの・・・シャーロットちゃん大丈夫?」

シャーロット「う、うん・・・でも、なんでこんな急に・・・」

古子「わからない・・・いくらブリタニア空軍の援軍が来るって言っても・・・これじゃあそれまで持つか・・・」

マティルダ「ふっ!!」ヒュン!

ザクッ! ドガァァァ!

投擲した槍がコアを穿つ。ネウロイは姿勢を崩したかと思うと崩壊を始めた。

シャーロット「すごい、マティルダさん・・・槍で・・・」

フレデリカ「ルコ!シャーロット!前!!」

古子&シャーロット「!!」

気づけば、二人の目前には既にビームの充填を終え、今にも二人に向けて発射しようとするネウロイがいた。

二人は、思わず目を閉じる。が、

ドガァァァァン!!

シャーロット「え・・・」

ネウロイの姿勢が崩れ、ビームは二人に向かってではなく上方へと放たれた。更に次々と砲弾が撃ち込まれ、爆風と同時に砂煙とネウロイ達の破片が巻き上がる。

それらが一通り晴れると、そこにはもうネウロイの姿はなかった。

?「大丈夫か!!」

古子「あ・・・あぁ・・・あれは・・・」

ナセル「私はエジプト軍のガマル・アブドゥル・ナセル少佐だ!我々エジプト軍はこれより、君たち魔女たちの援護に回る!!」

古子「おじさん!!」

?「さあ、プレゼントだ!!」

ダアァン!ダアァン!

撃ち込まれるアハトアハトの砲弾。轟音が響き渡るとともに異形が次々と地に伏してゆく。

マイルズ「ロ、ロレンス大佐!?」

ロレンス「気に入ってもらえたかな?我々のプレゼントを。」

パットン「ハッハァー!見ろよモンティ!ネウロイどもが木端微塵だ!」

モントゴメリー「ああ・・・これなら・・・勝てる!」

ロンメル「後は、空軍による援護を待つのみだな・・・」

マティルダ「・・・・・」

マティルダは天を見上げる。

マティルダ(鷹の使いよ、あなたの居場所は私達が必ず守ります。どうか私達のことは御心配なさらず、無事に帰ってきてください・・・)


---北海上空---

~アフリカSide~

一方で北海の上空。ネウロイの編隊は崩れ、すでに各戦闘団がそれぞれ1機ずつネウロイと交戦を行っていた。

ハンナ「!」ピクッ

ライーサ「どうしました?ティナ?」

ハンナ「フフ・・・いや、向こうはどうやら大丈夫なようだ。」

ライーサ「?」

ハンナ「そうだ・・・おい、聞こえるかバルクホルン。」

ゲルト≪ザザッ・・・なんだ!?今忙しい!!≫バララララララララ

ハンナ「銀獅子は、どうなった・・・?」

ゲルト≪・・・俺なら無事だ。今は意識を失って、救護室で眠っている。≫バラララララララ

ハンナ「そうか・・・邪魔をしたな。切るぞ。」ブツッ

ライーサ「ティナ・・・銀獅子って・・・」

ハンナ「・・・今はあいつのことはいい。無事がわかっただけで十分だ。ケイ、聞こえるか?」

加東≪ザザッ…なにかしら、ティナ?≫

ハンナ「ん?おいケイ!今なんて・・・」

加東≪コホン・・・なにかしら、マルセイユ?≫

ハンナ「ぐっ・・・ティナって呼んでくれたと思ったのに・・・」

加東≪無事に帰ってこれたら、いくらでも呼んであげるわ。それで、用は?≫

ハンナ「いや、同じことを言おうと思っていた。帰ったらティナって呼ぶ約束、絶対だからな!」

加東≪はいはい。・・・必ず戻ってきてね、みんなそろって。≫ブチッ

ハンナ「ははっ・・・これは負けられないな・・・行くぞ、ライーサ!マミ!それと戦闘機乗りども!」

ライーサ「了解!」

稲垣「は、はい!!」

戦闘機隊≪≪YAHHHHH!≫≫

ハンナ「『黄の14(ゲルベフィアツェーン)』・・・行くぞッ!!」

・・・ ・・・ ・・・

少しさかのぼって・・・

ブツッ

ゲルト「あ!切れたか・・・まったく・・・」バララララララ

エーリカ「ハンナ?」バラララララララ

ゲルト「ああ。俺のことを聞かれた。」

エーリカ「まだ決着つけようとしてるんだ・・・」

エーリカ「・・・! トゥルーデ!!」バッ

ゲルト「!!」

ビシュウウゥゥン!

突如、赤光がゲルトへと襲い掛かる。間一髪、エーリカが間に入り、シールドで防ぎとめた。

ゲルト「す、すまないハルトマン・・・」

エーリカ「いいって。それに、クリスを悲しませるわけにはいかないもん。」

ゲルト「クリス・・・か・・・」


---ブリタニア某病院---

ブリタニアの町中に警報が響き渡っている。ここでも、小型のネウロイと大型が一機上空に出現していた。

看護婦「大丈夫よ、クリスちゃん・・・ここにいれば平気だから・・・」

クリス「はい・・・」

はるか遠くの方で爆発が起り、爆音と衝撃により窓が小刻みにガタガタと揺れる。

クリス「・・・・・」ギュッ

枕を抱きかかえ、顔をうずめる。

クリス(お姉ちゃん・・・きっと、お姉ちゃんは今もどこかで戦ってるんだよね・・・)

クリス(恐いけど・・・でも、お姉ちゃんががんばってるなら、私も頑張れるよ・・・)

クリス(だからお願い・・・きっと無事でいて・・・お姉ちゃん・・・)


---北海上空---

ゲルト「クリス・・・」グッ…

ゲルト(待っていろ、クリス。お前の為にも、私は絶対に負けない!)ジャキッ!

ゲルト「世話をかけた、エーリカ。今度は私がお前を守る。」

エーリカ「う、うん・・・」

エーリカ(トゥルーデの目、すごい覇気がある・・・あたしも、覚悟決めなきゃね・・・)

ネウロイを見据えたまま、エーリカは腕に巻いたリボンを握りしめる。

エーリカ(父さま、母さま、ウルスラ・・・わたしも、みんなを守るために戦うよ!)

エーリカ「行こう、トゥルーデ!」

ゲルト「ああ!!」

構え、二人はネウロイへと突き進む。

ゲルト「うおおおおぉぉぉぉ!!」バララララララララ

エーリカ「シュトゥルム!!」ギュオオオォォォォォ!

・・・ ・・・ ・・・

芳佳「やああああぁぁぁぁ!!」ダダダダダダダダダ

ペリーヌ「はああああぁぁぁっ!!」ガガガガガガガガ

ネウロイの巨体へと向かい弾丸をばら撒く。しかし、装甲の再生が早く一向に攻撃が意味を成さない。

ペリーヌ「くっ・・・」

芳佳「一体・・・どうしたら・・・」

ペリーヌ「・・・・・」


---ガリア戦線---

ペリーヌの祖国のウィッチたちも、現れたネウロイを討つべく奮闘していた。

かつてペリーヌの僚機であったアメリーも、同じく祖国を守るためネウロイと戦っていた。

アメリー「いやっ!」バチイィ!

ウィッチA「アメリー!!」

放たれたビームを懸命に受け止めるアメリー。相手は最前線に現れるようなX級ネウロイ。普段X級との戦闘を体験しなかった彼女にとっては、ビームの威力も桁が違であった。しかし、

アメリー(ペリーヌさんたちが必死に復興させたこのガリアを・・・壊させたりなんかしない・・・祖国は、私たちが守るっ!)

アメリー「こんなところで・・・こんなところで負けるわけにはいかないんです!!」

アメリーの体を光が覆い始めたかと思うと、シールドがさらに頑強になる。やがて、ネウロイの赤光が止むと、彼女は果敢にもネウロイへと立ち向かう。

アメリー「やあああぁぁぁぁ!!」ダダダダダダダダダダダ

ウィッチA「すごい・・・あの子・・・こんなポテンシャルを秘めてたなんて・・・」

ウィッチB「うちらも負けてられないよ!みんな!アメリーに続け!!」

アメリー(心配しないでください、ペリーヌさん・・・貴女のやってきたこと、絶対に無駄になんかさせません!)


---北海海上---

ペリーヌ(きっと、今だってアメリーや、祖国の彼女たちは懸命に闘っているはずですわ・・・)

ペリーヌ「弱音を吐いている場合なんてありませんわ!もう一度行きますわよ!宮藤さん!!」

芳佳「ペリーヌさん・・・はい!!」

ペリーヌ(少佐、アメリー・・・そして祖国の人たちのため・・・私たちは負けるわけにはいきませんの!)

腰に据えたレイピアを引き抜き、帯電。そして、必殺の一言を発する。

ペリーヌ「トネェェルっ!!」

・・・ ・・・ ・・・

ルッキーニ「にゃあああああああっ!」ダダダダダダダダダダダダ

シャーリー「お、おい!ルッキーニ!」

果敢にもルッキーニがネウロイへと接近し弾丸を叩き込んでゆく。

しかし他の者と同様、なかなか有効打を与えられないでいた。

やむなくルッキーニは一度離脱する。

シャーリー「あまり無茶するなルッキーニ。」

ルッキーニ「うん。わかってるよ、シャーリー。」

シャーリー「分かってないよ、だっておま・・・」

ルッキーニ「・・・・・」

シャーリー「ルッキーニ・・・」

黙ってネウロイを見据えているルッキーニ。横からでも、その瞳に静かなる闘志が秘められていることは明らかであった。

ルッキーニの心には様々の者への思いが混同していた。

ルッキーニ(パーパ、マーマ、マリア、俺・・・)


---ロマーニャ皇国:ローマ---

一度は解放されたこの地も、例外なくネウロイが出現していた。

ボディガード「ここにいては危険です!お逃げください!マリア様!」

マリア「なりません!民の避難が終わっていないというのに、為政者である私が先に逃げることなど、私自身が許しません!」

ボディガード「しかし・・・」

マリア「なら、あなただけ先に逃げなさい。私はここに残ります。」

ボディガード「マリア様・・・」

兵士「も、申し上げます!ジェノヴァ方面から救援要請!航空ネウロイが一機出現し、市民が被害を受けています!本部は陛下の指示を仰げと・・・」

マリア「っ!! 急ぎ救援隊と航空戦闘部隊を派遣しなさい!ネウロイの討伐よりも先に、市民の救援を優先して!早く!」

兵士「はっ!」

タッタッタ

ボディガード「・・・申し訳ありませんでした、マリア王女。貴女の御身は、私のすべてを懸けて、必ずお守りいたします。」

マリア「あなた・・・ありがとう・・・」

マリア(ルッキーニさん。きっと、あなたも世界のどこかで戦っているんでしょう・・・)

マリア(だから、あなたのいない間・・・ロマーニャは必ず私達が守って見せます!)


---北海上空---

ルッキーニ(みんな・・・みんな私が守るから・・・ぜったいに!)

クシャクシャ

ルッキーニ「んっ・・・シャーリー?」

シャーリー「一人で全部やろうとすんなよ、ルッキーニ。私もいるんだからさ。」ニコッ

ルッキーニ「シャーリー・・・うん!」

シャーリー「さて・・・いつもの、やっとくか?」

ルッキーニ「おうっ!」

シャーリーはルッキーニの腕を引っ掴み、

ブンブンブンブン…

シャーリー「いっけぇぇ!ルッキーニ!!」ブンッ!

最大まで加速させ、投げ飛ばす。

ギュウウウウゥゥゥゥゥン!!

ルッキーニ「おりゃあああああああぁぁぁぁ!!」

ルッキーニは目の前にシールドを展開し、固有魔法を発動させ真っ直ぐネウロイへと向かってゆく。様々な者への思いを乗せて。

・・・ ・・・ ・・・

ダァン!

一方のミーナとリーネ。ミーナが指示をだし、その位置にリーネが的確に弾丸を撃ち込む。

ミーナ「次!あそこにお願い!」

リーネ「はいっ!」

俺がいない今、魔眼によるコア探索はできない。二人は手探りでコアの在り処とネウロイの弱点となる場所を探っていた。

照準器を覗きこみ、感覚によって風量を測り、しっかりと照準を合わせる。

ダァン!

発砲。弾丸は風の影響をも計算に入れ、ネウロイへと飛んでゆく。

バラバラ

被弾。ネウロイの破片が飛び散るが、すぐに再生が始まる。

今の発砲でネウロイの意識がこちらに向いた。すぐさまネウロイはビームを二人の元へ飛ばす。

ビシュウウウゥゥ!

リーネ「きゃっ!」

ミーナ「させないわ!」バッ

ミーナが間に割り込み、シールドによってビームを受け止める。

ミーナ「くっ・・・うぅ・・・っ!」

ピシッ…

シールドにひびが入りこむ。ミーナの魔力も減衰が始まってから多くの時間が経った。

今こうして飛んでいられるのもミーナの気力があってこそ。守りたいという強い信念のもとにある力であった。

ミーナ(クルト・・・あなたがいたこの世界・・・私、これからも守りたい・・・この世界で生き続けたい・・・だから・・・)

ブゥン

ミーナ「!」

ミーナにかかっていた負荷がふと軽くなる。

リーネ「大丈夫ですか、ミーナ隊長!?」

リーネがミーナの肩に手を添え、魔力を送り込む。シールドはさらに強固さを増す。

ミーナ「え、えぇ・・・ありがとう、リーネさん・・・」

次第にビームの勢いは衰え、ついには消え失せた。

リーネ「すみません・・・私がもっとしっかりしてれば・・・」

ミーナ「いいえ、ずっと集中し続けてたんだもの。無理もないわ。それに、あなたが集中している間は、私が守るって言ったんだから、気にする必要はないわ。」

リーネ「はい・・・あの、それで・・・ネウロイの弱点。多分、見つけました。」

ミーナ「本当!?」

リーネ「はい。さっきネウロイの丁度真上で撃った時・・・あの部分だけ、再生が他の場所と比べて遅かったです・・・」

ミーナ「間違いないのね!?」

リーネ「は、はい!間違いないです・・・」

ミーナ「よく見つけてくれたわ!各機に通達!ネウロイの弱点を発見したわ!場所は・・・」

リーネ(よかった・・・私も、ちゃんと役に立てたよ、お姉ちゃん・・・)

リーネ(・・・ううん、まだこれからだよね。わかってる。私、ウィルマお姉ちゃんや、お父さんお母さん・・・みんなの為にも、きっと・・・)

ミーナ「行くわよ!リーネさん!」

リーネ「はいっ!」

リーネ(・・・勝ってみせる!)

・・・ ・・・ ・・・

ミーナの指示を受け、ウィッチーズは火線を避けつつ、全力をもってネウロイの弱点となる場所へと攻撃を叩き込む。

ミーナ「はああああああぁぁぁっ!!」バラララララララララ

ゲルト「つおりゃあああああああぁぁぁぁ!!」バラララララララララララララ

エーリカ「シュトゥルムッ!」ヒュオォォォォォ

ペリーヌ「トネエェェェル!!」バリバリバリ!!

リーネ「あたって!!」ダァン!

ルッキーニ「おっちろー!!」ガガガガガガガガガガガガガ

シャーリー「お前らに渡してたまるかよっ!!」バララララララララララ

そして、この二人も・・・

エイラ「サーニャ!」

エイラがサーニャの後ろに付き、近未来予知による照準の補助を行う。

エイラ「まだだ・・・まだ・・・」

フリーガーハマーの威力は宮藤の操る烈風斬とネウロイのビームに次いで、501の中でも高威力を誇る。

宮藤とサーニャの攻撃を最も効果的なタイミングで撃ち込むことが今回の戦闘のカギであった。

エイラ(サーニャも、俺も・・・私が守るんダ・・・何があっても・・・)

エイラ(ここで守れなかったら、きっとスオムスの皆にも笑われる・・・絶対に、負けない!)

サーニャ(これが終われば、もうネウロイに苦しまなくて済む・・・お父様達も・・・俺も・・・みんな・・・)

サーニャ(・・・大丈夫。エイラもいるんだもの・・・絶対に、できる・・・)

――絶対、生きて帰って来よう・・・――

サーニャ(うん・・・一緒に帰ろう・・・俺!)

そして、その時は来た。

エイラ「! 今だッ!!」

サーニャ「もう、みんなを苦しませないで!」バシュッ!バシュッ!

二人の思いとたっぷりの炸薬を乗せたそれは、白い煙の尾を引きながら真っ直ぐネウロイへと突き進む。

宮藤「お願い!!」シュン!シュン!

同時に、宮藤の翳した手から赤い光が飛び出し、同じく一直線にネウロイへ向かう。

ドガアアアアアァァァ!

被弾したネウロイから派手な爆発音とともに、まるで煙のように破片が巻き上がる。

瞬間、コアの光が漏れだす。サーニャは、その好機を見逃さなかった。

サーニャ「いって!!」バシュッ!

ただ一発のロケット弾。しかし、それには思いの強さに比例した渾身の魔力が込められていた。

バララララララララ!!

ガガガガガガガガ!

それに続くように、仲間たちが露出したコアへと弾丸を叩き込む。

様々な者の、たくさんの思いが込められた弾丸は、一つも外れることなくネウロイへと注ぎ込まれ、

ギュイイイイィィィィ!

ネウロイの断末魔が上がると同時に、

パキィィィィン…

コアは微塵に砕かれた。

ゆっくりと、ネウロイが崩壊をはじめ、破片が鮮やかに海へと落ちてゆく。

芳佳「やった・・・やったよ、リーネちゃん!!」

リーネ「うん!これで、もう・・・」

ミーナ「501隊長から本部へ。対象のネウロイを撃墜しました。」

ガランド≪ああ、確認したよ。よくやってくれた、ヴィルケ中佐!いや、501の諸君と言った方がいいな。本当によくやった!≫

そして、501の戦果に続くように続々とネウロイが墜とされてゆく。

続き→ペルソナ21.5
最終更新:2013年01月29日 14:28