コーカサスオオカブト

登録日:2011/07/27 Wed 17:39:52
更新日:2025/04/25 Fri 21:04:52
所要時間:約 6 分で読めます





コーカサスオオカブトとは、主にマレーシア原産の甲虫の一種。体長は最大で13cm。
ヘラクレスオオカブトアクティオンゾウカブトと並び、しばしば世界最強クラスのカブトムシと言われる。


●特色

緑がかった黒くツヤツヤのでっかいボディと、額にトライデントを持ったイカした奴である。

似たような奴にアトラスオオカブトがいるが、ちょっと小さく角の形が違う。こっちは最近、ものすごく小さいのが雌雄ペアでホームセンターでも見られるが、それはまた別の話。


…さて、このコーカサスには非常に厄介な特徴がある。それが何か分かるかねインテグラ



…巨大な体?違うな。それなら2種だけとはいえヘラクレスオオカブトネプチューンオオカブトがいる。


…三本の角?確かにな。だがそれは決定的とは言えない。


…そう、注意するべきはその「存在そのもの」なんだよインテグラ。

手に生えた爪は木の皮を容易く引き裂き、羽や頭の関節も下手に触れれば鋭利な刃物と化す…
その角は自分より重いものを軽々と挟み込んで持ち上げることができ、

チョーク程度なら簡単にへし折る。

しかも厄介な事に、彼らはその力を「自覚」しているんだよ。「自覚」した上で、その力を我々に行使するんだ…




…………





…ここに挙げた事は決して誇張ではなく、コーカサスはカブトムシに限らず、肉食でない昆虫の中でも1、2を争うほど危険で攻撃的な奴なのである。

前脚の爪はもちろん、体の節々もとげのように鋭く、まさに全身凶器

気性も非常に荒く、雌雄問わず一晩同じケースに入れておいた日には、翌日に1匹除いてバラバラにされる事件が99.9999%の確率で起こる。

雌に対しても例外ではなく、交尾中にあやまって殺してしまう事も珍しくない。プラスチックケースの壁を破壊して逃げ出すという話もある。


たまに手の平の上に乗せて写真を撮ったりする猛者もいるが、管理する際には細心の注意を払おう。近類のアトラスも同様である。

だが、その見た目と暴れん坊っぷりから、彼もまたヘラクレスに並ぶちびっ子達の人気者である。

●戦闘能力

前述した通り、コーカサスオオカブトはその凶暴性や大柄な体格などからカブトムシ全体の中でも屈指の実力者として知られている。

最大の武器はやはりその立派な角。湾曲した頭角を相手の体の下に差し込み、強靭な筋力で一気に跳ね上げ2本の胸角と挟んで相手を投げ飛ばすのを基本戦術としている。
同じく跳ね上げを得意とする日本のカブトムシと比較すると、
  • 湾曲の弱い頭角と小さく短い胸角により、瞬時に吹き飛ばすことに特化したカブトムシ。
  • 湾曲の強い頭角と大きく長い胸角により、持ち上げ力と拘束力を確保したコーカサス。
という差異があるだろうか。*1

一方で純粋な脚力ではヘラクレスやゾウカブトに及ばないので、彼らと正面からぶつかれば押し負けてしまうが、それだけでは終わらないのが最強候補。
コーカサスの脚は他の大型カブトムシと比べても長めであるため、多少持ち上げられても樹皮に踏ん張り続けることができる。
そのためリーチが一定未満の虫がコーカサスを投げ飛ばすのは至難の業であり、格下では土俵にすら立てないのである。

特に得意とする相手はフタマタクワガタの仲間。彼らは姿勢が高いためにコーカサスの3本の角で拘束しやすく、インファイトに持ち込めば負けることはそう滅多にない。
逆に姿勢の低さ故に頭角を差し込むことが難しく、胸角も当てにくいヒラタクワガタは苦手な相手。特に斜めから頭を挟まれてしまうと何もできず押し切られてしまいがちで、勝つためには正面から向かい合い続けることが重要である。

ムシキング時代から長らくヘラクレスオオカブトと並んで世界最強のカブトムシとして挙げられる事の多かったコーカサスオオカブトであったが、2024年現在ではやや逆風を受けている。
というのもライバルとして挙げられるヘラクレスオオカブトはブリード技術の発達によりギネス記録は180mmに達しているが、コーカサスオオカブトは安価で野外個体が輸入される上にブリードが難しく、世間一般でイメージされるような角を持つ個体を飼育下で生み出すことは困難なためにギネス記録がそこまで頻繁に更新されず、体格的に不利になりつつあるのである。
しかし未だに世界最強のカブトムシはコーカサスオオカブトであるという声は多い。
もっとも、後述の「甲虫王者ムシキング」の他にも「百獣大戦アニマルカイザー」や「どうぶつの森」といった「ヘルクレスオオカブトとともに登場する作品」では2番手として扱われる事が多いのも事実ではあるが。

トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~」の企画「PRYDE カブト祭り2005」でも登場。
優勝候補の一角と呼ばれ、第一戦ではゴホンヅノカブトを圧倒。攻撃から逃げられはしたものの、力の差を見せつけられたゴホンヅノの戦意を喪失させ、逃亡させた。
しかし日本のカブトムシとの戦いでは、飛び立ってしまっての仕切り直しから、まさかの速攻で押し切られて敗退した。
その後、「最大のヘラクレスとの戦いを見たかった」という岡島秀治教授からの声を受けて、本戦で優勝したヘラクレスとのスペシャルマッチが展開。
双方ともに死力を尽くした激闘の末、惜しくも敗北している。

「世界最強虫王決定戦」や「虫皇帝」でもレギュラーとして登場しており、第1回カブト王トーナメントでは見事優勝を果たしている。
ケース内でのバーリトゥードマッチにおいては、角の強力さが健在であるのに加えて、甲虫同士の相撲においては牽制にすぎなかった前脚による攻撃もソフトインセクトや毒虫に対しては十分な打点となり得る。

●余談

仮面ライダー剣』でも、主人公の仮面ライダーブレイドが戦ったカテゴリーK(キング)のアンデッドのモチーフになり、
そのラウズカードを使う事でブレイドは劇中最強のキングフォームに変身した。
また、このフォームは『仮面ライダーディケイド』の最終回にも登場している。

それ以外でも、映画『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』でも、
武蔵扮する黒崎一誠が変身する黄金のライダー・仮面ライダーコーカサスのモチーフとなっている他、
仮面ライダーゼロワン』では、仮面ライダーサウザーのモチーフの1つとなっている。

スーパー戦隊シリーズ第47作『王様戦隊キングオージャー』では、五代王国が一つ・シュゴッダムを統べる城・コーカサスカブト城が登場。その名の如くコーカサスカブトモチーフで、変形することで超巨大ロボ・キングコーカサスカブトとなる。CGで表現されたその圧倒的な巨大感は必見。

キン肉マン(漫画)においては“修練の神”コーカサスマンのモチーフとなっている。神が下天して肉体を得た超神の多くは概念的な名前かあるいは伝説上の存在を名乗っており、カブトムシを名乗るのは珍しい。

マイナー映画(?)『虫が演じるシェイクスピア ロミオとジュリエット』では主役のロミオを演じた。
この映画は文字通り出演者が全て本物の虫であり、声優が声を当てている。名古屋テレビ(現・メ〜テレ)や京都テレビで一度放送されたりもした。
ちなみにロミオの声優は進藤尚美。
コーカサスオオカブト(ロミオ)とその中の人の熱演っぷりが凄まじく、皆口裕子やら稲田徹などの実力派声優も揃っているので興味のある昆虫ファン及び声優ファンはDVDを是非とも買おう。

勘違いされやすいが、コーカサス地方とコーカサスオオカブトは全くの無関係で、生息していない。
どちらも“白い雪”を意味する「クロウカシス」から名前が取られているが、コーカサスオオカブトの場合は「コーカサス地方に生息しているカブトムシだから」ではなく、「漆黒の上翅に反射した光がまるで雪のようだから」という理由でコーカサスという名が付けられているのである。

また、近年になって国際命名規約により学名がChalcosoma caucasusからChalcosoma chironへと見直され、それに則れば本種はキロンオオカブトと呼称するのがより正確とされるようになった。*2
この「キロン/chiron」はギリシャ神話に登場する「ケイローン」を指す。ヘラクレスに武術を教えたという神話で有名なケンタウロスである。言うまでもない事だがもちろんヘラクレスオオカブトのヘラクレスである。
……予てより宿命のライバル関係にあるヘラクレスオオカブトとコーカサスオオカブトだが、この学名変更によりまたしてもその因縁が深まってしまったというところか。


甲虫王者ムシキングでのコーカサスオオカブト


初期シリーズより登場。必殺技わざはパー。強さは180と控えめ。
肩書きは「アジア最強のカブトムシ」。
性格はスーパーアタックタイプ(復活後)&アタックタイプ(復活前)。
超必殺わざ 「ローリングドライバー」
相手を空中に投げ飛ばし、空を飛んでさかさまに抱え込んだ後回転しながら落下し地面にねじ込む。

2004ファースト拡張パックで一旦排出を終了するが、2006ファーストで復活。グラフィックが若干変わった。
ただし、製作場の都合で超必殺わざはそのままで、折角の立派な三本角をあまり活かしていないのも悔やまれる。

2005セカンドでは敵限定のムシ「改造コーカサスオオカブト」が登場。
サナギのころからアダーの改造手術を受けていたムシで、羽が固まるごとに強さの数値が増していくという能力を持ち、最終的には「強さ300」まで上がる。後にポポ達との死闘の末に倒されたが生死は不明。 

◆アダー完結編
第三弾EXノーマル
ダゲキ58 ハサミ55 ナゲ127 体力140 防御11

第三弾ハイパーレア
ダゲキ41 ハサミ55 ナゲ140 体力182 防御8

第五弾
上記の通り。

自慢の高い攻撃力はさらに上昇したが、防御はワーストでありハイパーレアでは体力は高いとはいえ過信は禁物。
相性の良い甲虫をカスタマイズしてカバーしよう。


後にアダー完結編にてイベント配布限定カードとして登場。
羽の固まり具合によって肩書きが「プロトタイプ・アルファ」「プロトタイプ・ベータ」「プロトタイプ・ガンマ」と分かれている。ガンマが一番完全体に近い。
また敵限定で「究極完全体 改造コーカサスオオカブト完全体」が登場。
なお強さはこの通り

プロトタイプ・アルファ
ダゲキ44 ハサミ40 ナゲ92 体力160 防御25

プロトタイプ・ベータ
ダゲキ56 ハサミ52 ナゲ118 体力174 防御17

プロトタイプ・ガンマ
ダゲキ58 ハサミ55 ナゲ133 体力202 防御11

究極完全体
ダゲキ65 ハサミ41 ナゲ150 体力256 防御0


メトロイドとは違いこちらは羽が固まり成長していく。
初めの形態はそこまで強くないが完全体になればこのように暴君と化し、最強の攻撃力と脅威の体力は虫カードの中でトップクラスの数値を誇りまさに化け物である。
しかし注目するのは防御でなんと0でありあのデオキシスアタックフォルムもビックリ!!
…まぁこのゲームでは速さは関係ないのでせめての救いだが。こちらもカスタマイズして更に強化させよう。
結局、最後までアダーに利用された悲しい悪役である。

究極完全体「俺が化け物…違う、俺は悪魔だ!!」

ムシキング「オラー!少しは手加減しろぉ!!」

オオクワガタ「もうだめだ…おしまいだぁOTZ!!」


改造コーカサスオオカブトは映画「甲虫王者ムシキングスーパーバトルムービー 闇の改造甲虫」でもラスボスとして登場。ムシキングやスジブトヒラタクワガタと戦った。
なお上記映画の入場者特典で配布(のちに2007ファーストで「映画大ヒットありがとう記念」として排出)されたスジブトヒラタクワガタのカードをアダー完結編で使うとこの映画をモチーフにしたスペシャルストーリーが楽しめた。もちろんラスボスは改造コーカサスオオカブト完全体。

シリーズ最新作、新甲虫王者ムシキングにも参戦。レア度はSRで、前作同様銀レアに当たる立ち位置。
ローリングドライバーのキレが増していたり、公式ブラウザゲームのムシキングびより内にて「世界最強のカブトムシ」と称されていたり(旧作ではヘラヘラが世界最大・最強カブトムシと称されていた)と優遇されている。
2016ファーストでSSRに覚醒。必殺技はトライデントドライバー。

次弾では同じカルコソマのモーレンカンプオオカブトもSRとして参戦。
攻撃力特化型のコーカサスとは違い、こちらはサタンオオカブトを彷彿させる体力特化型。元銅レアであるモーレンの方が明らかに強いのは内緒。
2016セカンドでは同じカルコソマ属のアトラスオオカブトもSRとして参戦している。

激闘4弾では亜種の一つである「マレーコーカサスオオカブト」がシリーズ初登場。
カルコソマ属としては初の常設SSRであり、意外にも必殺技はグー。
とはいえお助け相性や攻撃に偏ったステータスの関係で、実質パーが必殺技と言っても差し支えは無いのだが…

/追記・修正は後楽園遊園地で俺と握手してからだ!!\

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最終更新:2025年04月25日 21:04

*1 なおコーカサスにも大型個体では体中央にカブトムシのような小さい4本目の角を持つものがおり、同様に跳ね上げの補助に用いる。

*2 もっとも標準和名とは「最も一般的な呼称」のことであり、学術的に定められるものではないので、Chalcosoma chironに対するコーカサスオオカブトという標準和名は当分の間残り続けるものと思われる。