コナン・ザ・グレート/キング・オブ・デストロイヤー(映画)

登録日:2015/08/22 (土) 21:09:22
更新日:2023/08/14 Mon 23:43:44
所要時間:約 13 分で読めます






コナン・ザ・グレート並びにキング・オブ・デストロイヤーとは、
それぞれ1982年、1984年に公開されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演のアメリカ映画である。


◆概要
ロバート・E・ハワードのヒロイックファンタジー小説「英雄コナン」シリーズを原作としたアクションファンタジー。
シュワちゃん演じる元奴隷の冒険者コナンによる復讐劇、冒険活劇が主題となっている。


特に1作目であるコナン・ザ・グレートは既に世界的なボディビルダーとして脚光を浴び始めていたシュワちゃんのハリウッド・メジャー初進出作品であり、
日本ではシリーズの人気を呼んだフランク・フラゼッタの表紙絵に描かれたコナンの美しい肉体美を再現したとして話題に。
この作品で知名度を上げたことによりコマンドーターミネーターといった作品の主役を掴むことになる。


1作目コナン・ザ・グレートはコナンの半生から復讐を果たすまでのシリアスでダークな面の強いストーリーである一方、
続編のキング・オブ・デストロイヤーはファンタジー要素やアクション性を強調した冒険活劇といった趣き。


カメラワークや演出、戦闘シーンの重みなど、今見返すと如何にも80年代の香りが満載であり、
余すところなく躍動するシュワちゃんの肉体美も合わせて迫力満点の飽きさせない作品と言える。
ただ、シナリオの進行速度は(特に1作目は)かなり急なので、よく見ておかないと唐突にポカンとするようなことになってしまうかも。

また1作目は日本から殺陣師を呼んでアクションシーンを撮影しているため、一撃必殺を重んじる極めてリアリティある出来栄えとなっている。




◆あらすじ
  • コナン・ザ・グレート
有史以前のハイボリア時代、北方に棲まうキンメリア人の子供として生まれた少年コナン。
キンメリア人は鋼のクロムを奉じ、優れたを鍛え上げることで知られていた。
しかし鋼の秘密を求めて村へと攻め入ってきた大王タルサ・ドゥーム率いるバニール族によって両親を殺され村を失ったコナンは、
自身もまた他の多くの子供たち同様に奴隷として拉致され、辺境の地で過酷な日々を過ごすことになってしまう。

コナンは次々と他の奴隷が斃れる15年の奴隷生活、バニール族の余興として剣闘士に命じられたことによる闘いの日々に晒され、
その強さが認められての剣術や読み書きの指南など数々の特別待遇なども通して、屈強な肉体を持つ戦士として成長する。

そしてある日コナンは拘束を解かれ、自由の身となって奴隷からの逃亡に走る。
追手の闘犬から逃げる最中、偶然迷い込んだ墳墓で見つけたのは一振りの*1
剣1本をその手に闘犬たちを蹴散らしたコナンは、自身の仇であるタルサ大王への復讐を果たす為に旅立つ。
コナンの前には広大なハイボリアの大地、そして数々の冒険が待ち受けていた。


  • キング・オブ・デストロイヤー
自らが王になるまでの間に紡がれた出来事、コナンの持つ数多の冒険譚の一つ。
復讐を終えた後、宝石泥棒マラクと行動を共にしていたコナンは、ある日突然謎の一団に襲撃される。
その一団の悉くを蹴散らした先に現れたのは、シャデイザーの女王タラミス。

タラミスは国で崇拝されている眠れる神「ダゴス」を蘇らせるための角を求めており、
その角を持ち帰ることが出来る強い戦士を探し求めていた。

嘗ての仲間であり恋人でもあった女戦士バレリアを蘇らせることを条件に依頼を受けたコナンは
ダゴスの角を求め、新たな仲間たちを伴って再び冒険へと旅立つ――。


◆主要登場人物
  • コナン
演:アーノルド・シュワルツェネッガー
吹替:麦草平(1作目、日本テレビ版)
   大塚芳忠(2作目、TBS版)
   玄田哲章(両作、テレビ朝日版)

刀鍛冶の名匠である父と心優しくも勇敢な母の間に生まれたキンメリア人の少年。
幼い頃に奴隷となったため、まともな倫理、価値観などもわからずに育ち、
ただ生きるために過酷な奴隷生活を耐え抜き、百戦錬磨の頑強な戦士として成長を遂げた。

その過酷な過去、出自もあって常に寡黙で冷たい雰囲気を纏っているものの、
内に秘めた闘志は熱く、一度剣を振るえば多数の兵士や襲い来る猛獣を瞬く間に薙ぎ払っていく。

また、現代とモラルが相当に異なるという理由もあるのだろうが性行為に関してはなかなかオープン。
奴隷の身から脱した直後に上がり込んだ女の誘惑に乗せられるままに激しい濡れ場を演じたりなんてことも。
他にも大金を手にして町で大はしゃぎ、肉焼きを豪快に丸かじりなど意外に俗な一面もあったり。

また神に対して一度も祈ったことがないという彼が、初めてクロムの神へ祈りを捧げるシーンは必見である。

2作目では復讐を果たしたことによってある程度余裕が出来たのか、口数もそれなりに多くなっており、
基本ぶっきらぼうではあるものの、仲間思いな面も多くみられるようになっている。
ただ、1作目で失ってしまったバレリアのことに関してはずっと引きずっている模様。

後にアキロニアの大帝王コナンとして歴史にその名を遺すことになる。


  • サボタイ
演:ジェリー・ロペス、サブ・シモノ(声)
吹替:池田秀一(日本テレビ版)
   中尾隆聖(テレビ朝日版)

1作目におけるコナンの仲間の1人で、陽気な盗賊。
彼もまたの扱いに長けた戦士であり、風の神を崇拝している。
囚われの身となっていたところをコナンと出会い、野垂れ死ぬくらいなら闘って死にたいと語ったところを解放されて同行することに。

コナンと比べるとお喋りで、彼と同様に女遊びも嗜むなどムードメーカー的な存在。
闘いにおいても遠距離からの正確な弓の射撃による援護だけでなく、接近戦もある程度こなすことができる。

一度はタルサの強大さ故にコナンと別れるも、コナンの危機に再び駆けつけ彼を助け出し、
その後はコナンと共にたった二人で軍勢を迎え撃ち、最後まで共に闘い抜くなど仲間意識も強いナイスガイ。

あとどうでもいいが吹替が赤くて3倍のロリコンとか53万な宇宙の帝王な所為でコナンよりも強く感じてしまうかも。


  • バレリア
演:サンダール・バーグマン
吹替:小宮和枝(日本テレビ版)
   戸田恵子(テレビ朝日版)

サボタイと並ぶ1作目での仲間、コナンに次ぐ凄腕の女戦士。
ザモラ王国の蛇の塔へ盗みに入った際に出会い、以降同行するようになる。

ずっと1人で闘ってきていたこともあってなかなかに過激な性格をしており、
蛇の塔では女神官を背後から襲って服を奪い取り信者に成りすまして不意を狙うなんていった一幕も。
だがその反面、孤独の寂しさも抱えており、初めて信頼できる仲間となったコナンとサボタイとの連帯感は強く、
特にコナンへは人一倍強い思い入れを見せるようになる。

サボタイと共に一度はコナンと別れることになってしまうも、彼の窮地に駆け付け、
瀕死の重傷を追ったコナンへ襲い来る死神愛の力によって撃退してみせた。

だがしかし、敵の城から脱出する際にタルサの放った蛇矢の一撃を受けてしまったことにより、
コナンの腕の中で息を引き取るという悲しい最期を遂げることに。

しかしコナンが再び窮地に陥った際、幻か霊魂か、きらびやかな鎧を纏って彼の前に姿を見せた。


  • アキロ
演:マコ岩松
吹替;内田稔(1作目、日本テレビ版)
   峰恵研(2作目、TBS版)
   及川ヒロオ(両作、テレビ朝日版)

朽ち果てた神々の闘いの地で、たった1人墓守を務めている魔術師の老人。
旅の途中でふらりと現れたコナンとすぐさま意気投合し、自らの持つ伝記などを語る。
また、本作においてコナンの数々の伝説を語る語り部としての役割も持つ。

異能の力を操る魔法使いでありその力を存分に奮ってコナンの窮地を救っている。
1作目におけるバニール族との最終決戦では武器を片手に奮戦して見せるなどなかなかのハイスペックジジイ。

主役のコナンと幻影という形で登場したバレリアを除けば、2作目でも唯一続投したメインキャラクター。
因みに2作目の登場時点ではその魔法の力に目を付けた異民族に丸焼きにされて食べられそうになっていた。
腕前の方は全く衰えておらず、敵の魔法使いとの魔法対決で勝利して見せるなど、コナンパーティの重要戦力として活躍する。


  • タルサ・ドゥーム
演:ジェームズ・アール・ジョーンズ
吹替:石田弦太郎(日本テレビ版)
   坂口芳貞(テレビ朝日版)

蛇族とも呼ばれる強大な戦力を有するバニール族の首領、1作目におけるラスボス
悪霊を操る黒魔術によって多くの人々を恐怖に駆り立て、力による弱肉強食な絶対支配を強いている。

前述のとおりコナンの幼少期に彼の村を襲撃し、部下たちと共に村民たちを惨殺した挙げ句、
1人残ったコナンの母をコナンの目の前で首を刎ねて殺すなどその性格は正に冷徹非道。

黒魔術によって洗脳した多くの信者を従え、世界の終末を高らかに説き続けている。
どんなに硬い鋼もそれを操る肉の力には敵わないと豪語し、信者の女性を飛び降りさせるなど外道の極み。
他、毒蛇を矢として放つという技を用いることによってコナンの恋人となったバレリアまで殺害している。

最終的にはコナンたちの活躍によって部下の多くを失い、自身も信者が集う祭壇上でコナンに追い詰められる。
得意の黒魔術によってコナンを洗脳しようとするも、それを跳ね除けたコナンの剣の一振りによって首を切断されてしまい、
多くの信者たちの前でその首を晒されて息絶えるという無残な最期を遂げた。

ちなみに名前でピンと来た人も多いかもしれないが演者はダース・ヴェイダーの声優としても世界的に有名な御方。


  • オズリック王
演:マックス・フォン・シドー
吹替:宮沢元(日本テレビ版)
   黒沢良(テレビ朝日版)

ザモラという地を治めている国王。
若い頃は名君と謳われていたが、年老いた現在は酒浸りのダメ国王として悪評が広まっている。

だがそれは上役であるタルサの目を誤魔化す為のポーズでもあったようで、
バニール族に逆らったコナンたちの気概を認め、タルサに洗脳された娘を救い出してほしいと懇願した。


  • ヤスミナ姫
演:ヴァレリー・クイネッセン
吹替:達依久子(日本テレビ版)
   深見梨加(テレビ朝日版)

オズリック王の1人娘。
他の多くの信者と同様にタルサの洗脳を受け彼の傍らに侍らせられていたがコナンたちがバニール族の宮殿に攻め入った際に奪還される。

タルサたちをおびき寄せるためのエサとして利用された挙げ句、用済みとしてタルサの蛇矢で殺されそうになるも間一髪でサボタイとアキロによって救われる。
それによって洗脳が解けたのか、コナンがタルサの祭壇に向かう際にその協力をしていた。
タルサが倒れた後は無事にオズリック王の下へと戻れたようである。


  • ジェナ姫
演:オリヴィア・ダボ
吹替:玉川紗己子(TBS版)
   渡辺菜生子(テレビ朝日版)

女王タラミスの姪っ子にして、2作目におけるメインヒロイン的な存在。
タラミスの依頼を受けたコナンパーティにお目付け役と共に加わることに。

勝ち気で活発明るい性格で、当初はパーティのリーダーを自称しワガママな態度を取ることも。
メンバーの中で唯一直接的な戦闘力を持っていなかったが、ダゴスの角とそのカギとなる悪魔のハートの封印を解ける唯一の存在。

中盤以降は自分を守ってくれるコナンの姿に惹かれる様になり、仲間たちにその想いを打ち明けていた。

タラミスが自身の野望が潰えたまま倒れたことによりシャデイザーの新女王として即位。
旅の仲間たちを重要なポストに就かせたものの、唯1人その褒章を断ったコナンに口付けをし、彼を見送った。


  • マラク
演:トレイシー・ウォルター
吹替:大山高男(TBS版)
   安原義人(テレビ朝日版)

2作目におけるコナンの相棒的存在。宝石をメインに狙う盗賊
所謂お調子者の三枚目な道化ポジションであり、最初の襲撃の際にも物陰に隠れて怯えているなど情けない姿を見せていた。

しかし、中盤以降は2本のナイフを武器に襲い来る敵たちを撃退するなど意外と戦闘能力が高かったことば判明。
他にも、危険に飛び込むコナンと仲間たちに俺は行かないからな! と反論するも、最終的に何だかんだで付いて行ってしまうツンデレさんでもある。

全ての決着がついた後は新たな女王となったジェナによってモノホンの道化役に抜擢されるという大出世を遂げた。


  • ズーラ
演:グレース・ジョーンズ
吹替:山田礼子(TBS版)
   山田栄子(テレビ朝日版)

コナンが旅の途中で訪れた集落で出会った山賊の生き残りの女戦士、色黒で細身な外見で闘いの際には棒術を扱う。
拘束されたまま6人もの相手にリンチを受けていたところをコナンによって助けられ、彼に命を捧げる決意をしてパーティに加わった。

非常に気性が激しく、大の男が相手でも全く臆することなく棒を片手に襲い掛かる。
その棒術捌きは見事な物で、直接的な戦闘要員としてはコナンに次ぐ強さを誇ると言っても過言ではない。
最近じゃなくてもネーチャンはキツかった。

反面コナンに恋心を抱いて「自分でも闘えるのか」と問うてきたジェナに対して、
闘い方を指南してやろうとするなど、意外にも面倒見の良い部分も持ち合わせていたりする。

最後はマラクと同様、女王となったジェナに衛兵隊長として抜擢された。


  • 女王タラミス
演:サラ・ダグラス
吹替:鈴木弘子(TBS版)
   高畑淳子(テレビ朝日版)

眠れる神「ダゴス」を崇拝するシャデイザーの支配者で、2作目における黒幕。
物語冒頭にコナンの強さに目を付け、ダゴスの角の捜索を命じたのが全ての始まり。

彼女もまた魔法が使えるようで、コナンの心を覗いた上で、依頼の成功報酬として恋人バレリアの蘇生を約束したり、
悪夢に魘され怯える姪のジェナを優しく慰めて眠らせてあげるなど優しい面が見られる……と、思いきや、
それらは全て偽りの姿で、コナンが角を見つけたら即座に始末するように命じたり、
姪のジェナもまた復活したダゴスの怒りを鎮めるための生け贄として差し出すつもりなど、1作目のタルサに負けず劣らずの冷酷さを見せる。

角を持ち帰ったジェナに薬を盛り、全ては自分の思い通りになるかと思われた矢先、
駆けつけたコナンたちの乱入を受けたことにより目論見が崩れ、復活したダゴスの角に貫かれて息絶えることになる。


  • ボンバータ
演:ウィルト・チェンバレン
吹替:平林尚三(TBS版)
   郷里大輔(テレビ朝日版)

タラミスの部下の1人で、ジェナ姫のお目付け役の大男。ジェナからも高い信頼を得ている。
得物であるメイスを手に戦闘でも活躍する。

職務に忠実な厳格な性格で、ズーラの加入に反対し彼女と一戦交えるといった場面も。

が、実際の所はタラミスの命を受けて同行していただけの獅子身中の虫に過ぎず、
角を手に入れた後にコナンたちを出し抜きジェナと共にシャデイザーに帰還。
ダゴス復活の時間稼ぎの為に駆け付けたコナンと闘うも敗れて死亡した。


  • トスアモン
演:パット・ローチ

ダゴスの角の封印を解く為の重要アイテム、悪魔のハートを持つ異形の王。
黄金の義指を装着し、右目が塞がれているなど不気味な外観をしている。
彼もまた魔法の使い手で、煙の鳥に変身ししたり鏡を利用して緑色の怪物を繰り出したりする。

自身の力によってジェナ姫を誘拐し、自身の城に乗り込んできたコナンを怪物によって窮地に追い込むも、
鏡を割られるとダメージを受けるという弱点を突かれ、怪物が倒れるのと同時に消滅してしまった。

2作目のタイトルを象徴するキャラの筈が、扱い的には中ボスだった。


◆その他
他のシュワ映画の例に漏れず、テレビ朝日での放映ではお馴染み玄田哲章が主役コナンの吹替えを担当。
というより(シュワちゃんの映画メジャーデビュー作だからでもあるが)本作から専属吹替え声優となっている。

両作ともDVD・BDの発売がされており、コナン・ザ・グレートの方には玄田版の吹替えが収録されているが、
キング・オブ・デストロイヤーの方は2015年発売の最新特価版にも玄田版はおろか吹替えそのものが入っていないので
これから購入を考えている人はその辺注意である。





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最終更新:2023年08月14日 23:43

*1 ハワードの他シリーズ、アトランティス大陸を統べたカル大王の剣とされる