ナギムナー村(DQⅪ)

登録日: 2017/09/30 Sat 17:07:35
更新日:2023/11/07 Tue 16:23:48
所要時間:約 17 分で読めます








*この項目はドラゴンクエストⅪのネタバレを含みます。







さぁ みんな。しずかに よくお聞き。

今から話して 聞かせるのは
この村に伝わる 忌まわしい呪いのお話。

この世で もっとも美しく
もっともおそろしい 生き物の物語じゃ……。




ナギムナー村とは、「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」に登場する村の一つである。

概要

ワールドマップ南東のホムスビ山地の海岸に位置する漁村。内陸の方が山地であるためか村は崖に囲まれている。
ストーリー上では後述のロミアのお願いを聞いて立ち寄ることになる。

特徴として赤瓦の平屋の家や石垣が並んでいるなど、村の雰囲気はいかにも東南の島国……というかまんま琉球。家の前にシーサーらしき像とかあるし。
村民たちの中にも「○○さぁ〜」というどう見ても「なんくるないさぁ」を意識した語尾をつけて喋る者がいるなど、モデルは確かに沖縄だろう。
村名のナギムナーというのもおそらく「凪+キジムナー(沖縄に伝わる樹木に宿る妖怪)」が由来。

世界一の真珠が採れることで有名らしく、村の主な生業も真珠を中心とした漁業である。
実際に村のよろず屋で売られているのもブラックパール、ピンクパールホワイトパールと全部真珠。
だが最近ではある厄介者のせいで漁ができなくなっているようで、初めて訪れたときには村の男たちが厄介者退治に出払っている状態。

「人魚の呪い」

紙芝居としてナギムナーに伝わる、人魚にまつわる伝承。
人魚に魂を食われてしまった男のことが描かれており、この物語のせいで村では人魚に対してあまり良い印象を持たない人が少なくない。



主な登場人物


村の関係者

  • ロミア
「キナイ キナイなの?」

CV:茅野愛衣(Switch版)
桃色の髪をした美しい人魚。おっぱいも大きい。

かつてキナイという人間の男と結婚の約束をし、彼の迎えを約束の場所である白の入り江でずっと待ち続けている。
しかし今まで一度も約束を破ったことのないキナイが一向に姿を見せないのを心配し、主人公たちにナギムナー村まで行って彼の様子を見てきてもらえないかお願いする。

人魚は海を離れて生きられない上に、一度陸に上がるとふたたび海に戻るときに泡となって消えてしまう。
そうした種族の宿命のために人間との恋は本来許されていないのだが、それを知ったキナイが彼女のために海底で暮らすと誓ったため、2人の婚約は海底王国の女王公認のお墨付きのものとなっている。

見た目も美しいが内面も美人で、想い人を疑わずに信じる姿もそうだが、キナイを見つける代わりに海底王国へ連れて行ってもらうという約束を快く引き受けてくれたり、
抜け出すのが困難な白の入り江からシルビア号を脱出させてくれたり、主人公らとキナイの身を案じて待ってる間ずっと祈りの唄を歌ってくれていたりとかなりの良い人。


  • キナイ
「おい おじょうちゃん。この村では 人魚 人魚と 気安く 言わんほうがいい。」

CV:中村悠一(Switch版)
ナギムナー村の漁師で、麦わら帽子を目深に被った青年。焼けた黒い肌とタレ目が特徴。
ロミア曰く「荒波のように男らしく 潮風のように爽やかで 海のようにおおらかな漁師」とベタ褒めのことだが、村人からは何故か変わり者扱いされている模様。
最初は村の生業を脅かす化け物イカの退治に参加しているため、会うにはイカ退治を手伝う必要がある。


  • キナイの母
「しかし 気をつけるのじゃぞ 旅人さん。海で もっともおそれるべきものは 人々を惑わす 人魚ですからの….…。」

文字通りキナイのお母さんである老婆。ピンク髪。
村の子供たちに日頃から「人魚の呪い」の紙芝居を見せたり、何やらやたら人魚の恐怖を説いて回っているようだが…
早くに寝てしまうために夜は会うことができない。
ちなみに好きなものはレバニラとレバ刺し。


  • クラーゴン
「プギシャーー!!」

シリーズお馴染み(?)の巨大イカにしてこのチャプターにおけるボス。
周辺の海を荒らしてまわっている暴れん坊で、村の漁が滞ってしまっているのはこいつが原因。

で登場した頃と比べてかなり巨大化し、船1隻を空高く放り投げるなどのパワーも見せるが、図体に反して大きな音が苦手という弱点も。
以前ダーハルーネでの逃亡劇の際に現れたものとおそらく同一個体で、以前はイベントのみの登場だったが今回はガチで戦うことになる。

戦闘では本体とは別に「みぎあし」「ひだりあし」が出現し(2Dモードでは足の代わりにだいおうキッズを呼ぶ)、
ばくれつけんに船ゆらし(全体転倒攻撃)、あまいいきにこおりのいきといったブレスも吐くなどかなりの曲者。
しかし、討伐に行く前に大砲ばあさんから大砲を貰っておくと…?


  • 大砲ばあさん
村の東の崖にいるおばあさん。
名前どおりの大砲マニアであり、クラーゴン退治のことを話すと大砲1門を譲ってくれる。所有している大砲は亡き旦那との思い出が詰まった形見であるらしく、夫婦揃って大砲愛好家だった模様。
ちなみに「物を撃つのは主義に反する」ということで彼女のコレクションである大砲は全部空砲。しかしクラーゴンには効き目バッチリなので問題なし。


  • 落ち着いた老人
村の隅っこでクエスト『青春の1ページ』を依頼してくるお爺さん。
若い頃は世界中を旅をし、ここには余生を過ごすために住んでいるらしい。テオの親友のようだ。
主人公に真の大人の階段を登らすために西の孤島に住むおにこんぼうをある連携技で倒せと依頼をしてくる。
果たして真の大人の階段とは……? 青春の1ページとは……? 全ての答えはぱふぱふにあり。



勇者御一行

命の大樹へ向かうためにオーブを探して旅する我らが悪魔の子。
オーブが沈んでいるという海底王国へと向かうためにロミアの依頼を受けることになる。
彼女が人魚だとわかっても全く驚かないなど、相変わらず至って冷静。

「(主人公)! 上だーー!!」
イケメンの相棒。
化け物イカ退治ではクラーゴンの迫力に驚いていた。
ロミアの依頼に対しては比較的ドライな印象を受けるが、それはおそらく彼の過去に起因している。

「宴会の席に 子供は いちゃダメだって 酒場に入れてくれないのよ! どいつも こいつも アタマがかたいんだから!」
ょぅι゛ょ。
キナイの安否確認の代わりに海底王国へ行かせてもらう約束をロミアに取り付けたのは彼女。
そうした言い出しっぺである立場と元来の責任感の強さからかキナイの捜索にはかなり乗り気である。
シルビアから真珠の話を聞いたときの「ステキ!」がかわいい。

「漁師の皆さまの 治療をしているのですが なんだか おかしいですわ……。ケガ人が だんだんと 増えている気がします。」
ベロニカの双子の妹。
その清楚系な感じと優しさが海の男の心にどストライクしたのか、彼女の前に行列ができるほど漁師たちからモテモテ。
姉と同じく「ステキ!」がかわいい。

「青い海! 白い砂浜! きらめく真珠と 屈強な海の男たち! まさに 地上の楽園ねん!!」
頼りになる姉御。
村に来て一番テンション上がってるのは多分この人。
クラーゴン戦においても前回襲われた借りを返すべく、「スルメにおなり!」「みんなで マリネにしちゃいましょ!」と意気揚々。

「そうですか レバニラが 好きですか」
おじいちゃん。
子どもを持つ老人同士ということでキナイの母親とは話に花を咲かせていた。
過去に多くの大切な人たちを失った経験からかどこか達観したアドバイスを主人公にくれる。

「ごめんなさい。急に 身体を動かしたくなったわ。….…それじゃあ もう一度 聞くわね?」
エロいおねえちゃん。
ベロニカと同じくロミアと最初に居合わせたためか、彼女もキナイ捜索に乗り気。
ロミアの頼みを断ろうとすると顔面ハイキック(寸止め)で脅してくる。こわい。


関連スポット

  • 白の入り江
ソルティコの町・裏の水門をくぐって外海に出た直後にある入り江。ロミアがキナイを待ち続けている約束の場所でもある。
辺りの海域には白い霧が深く立ち込めている一方で、その中心となる場所では極めて穏やかな天候…というか波風が全く立たないせいで下手に迷い込むと簡単には抜け出せない。
海図にも描かれていなかったり何やら大昔の船の残骸も座礁しているなど、言わば魔の海域。
しかし入り江中心の景色は透き通った青空が波一つない海面に映る美しいもので、ロミアがいるときにはドラクエⅥBGM「精霊の冠」が流れることも相まってかなり神秘的である。
モチーフはおそらくウユニ塩湖。

  • しじまヶ浜
村の北に位置する浜辺。“しじま”とは「静寂」という意味。ドラクエでは珍しいひらがなが使われている場所名である。
死んだ者の魂が海へ、命の大樹へ帰っていきやすいよう、見晴らしの良いこの浜が村の墓地となっている。
「人魚の呪い」のお話に出てくる漁師の住居らしき小屋もここにあり、その下の浜辺には小さな墓が墓地から離されて立てられている。
キナイはどうやらこの浜辺が嫌いだというが…





以下、真相



















真相


クラーゴン退治成功祝いの宴で賑わう夜の中、宴に参加せず一人黙々と船を直しているキナイを見つけた主人公、マルティナ、ベロニカの3人。
早速ロミアのことをキナイに話してみるが、彼は「全く身に覚えがない」と言う。
ベロニカが問い正すと、ロミアの言うキナイとは彼の祖父キナイ・ユキであること、人魚の呪いの物語が50年ほど前に村で起きた実話であること、そしてその話に登場する漁師こそキナイ・ユキだということが判明する。

渡したいものがあると言うキナイ。彼の待つしじまヶ浜の小屋へ向かうとあるものを託される。
それはキナイ・ユキが死の床まで握りしめていたというウェディングベール、約束のベールだった。
そして祖父を待つ人魚にベールを渡して彼がもう死んだという事実を伝えてほしいと頼まれるのだが…

ここでプレイヤーはロミアに嘘をつくか真実を話すかを選択することとなる。









  • ロミア
「キナイ 私は いつまでも ここで あなたを待ってるわ。 」

仮初めの希望を抱かせて命を救うか、真実を伝えて心を救うか。
どちらにせよ彼女が真に報われることはないのでプレイヤー次第の難しい選択である。

性格は一貫して健気で、自分を置いて逝ってしまったキナイ・ユキを恨むどころか彼がひとりぼっちで死んでいったことを感じ取り悲しむなど美しい心の持ち主。
さらに主人公のついた嘘をあまり疑うことなく信じたり…というより500年も生きるだけあってか気長というか若干ポジティブシンキングな面も。人魚の時間感覚に置き換えても十数年は彼の迎えを信じて待ち続けていたことになる。

の両親のようにドラクエの異種間恋愛はどうしても悲しい結末となる定めのようである。Ⅵのロブとディーネは上手くいってたけど
しかし裏シナリオにおいては…?


  • キナイ・ユキ
「すまない…ロミア 俺は……。」

「人魚の呪い」の話に登場する漁師その人。故人。ロミアの恋人であり、キナイの祖父でもある。

かつては村長から気に入られるほど村一番の凄腕の漁師であり、許嫁である村長の娘・ダナトラからも好意を寄せられるなど人望も厚い青年だった。
ロミア曰く「マジメで お人よし いつでも人のことばかり」。
麦わら帽子を目深に被った姿は孫そっくりだが、凛々しい顔つきが特徴。
病みあがりだというのに見栄を張って怪我が痛んだりと、少しおっちょこちょいなところも。
ロミアの肖像画を見るに画力も高かったようだ。

ある日、大嵐に巻き込まれ生死の境をさまようが、そこで自らを助け看病してくれたロミアと出会い恋に落ちる。
彼女と結婚の約束まで結んで村へと帰るが、許嫁を捨てるも同然なそのことが知れ渡り、村長の怒りを買った彼は自分の船を燃やされた上にしじまヶ浜に軟禁されてしまう。

彼が村八分のような扱いを受けて数年後、別の男と結婚し子供をもうけていたかつての許嫁ダナトラが大嵐で夫と父を失う。そのことで生きる希望を失った彼女が生まれたばかりの子供を抱いてしじまヶ浜の崖に立っているのを目撃してしまう。深い悲しみに包まれたダナトラに彼の言葉は届かず、目の前で身を投げてしまった。

2人とも救おうとしたものの助けることができたのは赤ん坊だけ。
自分だけが幸せになることが許せなかった彼はその赤ん坊を自分の子として育て上げ、終ぞロミアに再会することなく約束のベールを握りしめながらこの世を去った。

渡すことも叶わなかった手紙には、ロミアと別れてから起きたことと人魚たちを貶めることになってしまったことへの謝罪、そして彼女への変わらぬ愛を示す言葉が綴られていた。

「人魚の呪い」の物語は自分のようなおろかな人間が二度と出ることのないよう自らの体験をいましめとして彼が村に残したもの。

ロミアに優しく手を握られたことを思い起こしながら自分の指を握って泣き止む赤ん坊を見て、膝から浜に崩れ落ちる彼の姿はなんともやるせないものがある。

「……君は まだ あの入り江で 俺を待っているのだろうか。」
「俺はもう 君を迎えにいく 資格がない。だが これだけは 信じてほしい。」

「……君を 愛している。」


  • キナイ
「今なら じいさんの 気持ちがわかる。恋を……してしまいそうだった。」

祖父が過去に犯した出来事のために母共々村人から白い目で見られ続けてきた経験から人魚のことを憎んでいた。
実際彼ら親子が村で生きていくことは簡単でないらしく、人魚の子孫なのかとベロニカに驚かれた際には思わず憤り取り乱すほど。しかしすぐにそのことを謝るなど本人は至って常識人。ただ、宴でも酒は飲まないし船の修理に勤しむなど少し変わっているところもある。

ロミアとの出会いと別れを通して人魚に対する考えを改め、彼女の美しさに心を奪われかけたことをポツリと口にしている。

祖父であるキナイ・ユキとは血が繋がっておらず顔も違うが、全体的な風貌は似ている。漁に対するひたむきな思いからかロミアは「同じ手をしている」と言った。

ちなみに友人らしい人物はいないようだがぶっきらぼうながらも彼のことを心配する踊り子がいる。

  • キナイの母
明言こそされていないが、キナイ・ユキが拾った赤ん坊は彼女である。
育ての親が親なので苦しい立場だったらしく、ようやく結婚できたのは彼の死後だという。今ではそれを紙芝居のネタにしてこづかいかせぎするなど強い女性。
息子と違って人魚そのものを忌み嫌うような言動はなく、キナイ・ユキの真意を汲んでいるのかもしれない。



余談

  • 3DS版とPS4版では登場人物たちの表情や仕草に微妙な差異があり、美麗なムービーによる機微が見られるPS4に対し、3DS版ではストレートに感情を見せてくれることが多い。このチャプター(特にロミアの最期やキナイ・ユキの回想)においても例外ではないので、興味がある人は見比べてみよう。

  • キナイ・ユキの死をロミアに伝えるか否かの選択をする直前に白の入り江で仲間たちと話すと彼らの色々な意見が聞ける。
    各々違った意見が聞けるので耳を傾けてみるといいかもしれない。


  • 一連のイベントの元ネタは
    人魚と人間の恋路はロブとディーネ、真実を告げるかどうかはアモスのイベントが由来。
    本作にはもう一つアモス由来のイベントがあるが、どちらも後味の悪い結末となっている。


追記・修正は悲しき恋を見届けてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ドラクエ
  • DQ11
  • 人魚
  • 沖縄
  • 異種間恋愛
  • 漁村
  • クラーゴン
  • 悲恋
  • 悲しき恋の見届け人
  • ドラクエ国家・都市・村
  • ドラクエ観光名所
  • ナギムナー村
  • 人魚の呪い
  • ロミア
  • キナイ
  • 悲しい結末
  • ドラゴンクエスト
最終更新:2023年11月07日 16:23