登録日: 2017/12/16 Sat 23:53:08
更新日:2024/12/30 Mon 00:07:09
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ディスコミュニケーション
変態漫画家植芝理一による、1992~2002年に月刊アフタヌーンに連載された漫画作品。(1話のみモーニング)
オカルト学、宗教学、比較神話学、
民俗学、心理学、ジェンダー学、サブカルなどなどの要素に関する作者の見解が冗漫なまでに組み込まれてる作風と
空間を埋め尽くすかのような雑多な小物溢れた画風が特徴であるが、
「ひとはなぜ人を好きになるのか?」ということを突き詰めようとした恋愛漫画でもあり、以降の作風の原点ともなった。
ちなみに
「好きな人のよだれが甘い」ネタはこっちが初出。
作者は
早稲田大学在学中にデビューしたが、その後卒業することもなく連載に力を入れていたという
1996年にはラジオドラマ化。
『謎の彼女X』9巻付属OVAにはゲストとして戸川と松笛も登場する。キャストは当時のまま。
あらすじ
【冥界編】
南高に通う普通の女子高生、戸川安里香は放課後の教室に残る松笛篁臣をたまたま眺めていた時に好きになり、告白して付き合うようになった。
いやらしいことはしないが、不思議なプレイの要求と彼自身の不可解な部分を見つめつつ奇妙な付き合いで仲を深めていく。
不慮のキスによって戸川から卵が産まれ、仮面の二人組に出会った時、その不思議は新たなる局面へと変わる。
それは並行世界の戸川と松笛、そして「影」を巻き込んだ、冥界を巡る壮絶な冒険の始まりだった…
というわけでほのぼの不思議ラブコメだった本作はオカルトバトル青春漫画へと変わって3年以上続いたのだった。
とりあえずわけがわからないし、結局掘り下げなかった設定もあるが、作者の情熱…というか欲望はよく伝わるであろう。
新装版解説ではこの急展開を『謎の彼女X』に置き換え「スーパーミラクル・パンツハサミ!」と巨大化したハサミを掲げて叫ぶ卜部が描かれている。
【学園編】
長い冒険から帰ってきた戸川と松笛は普通の学園生活に戻る。それほど普通でもない不思議に満ちた生徒たちとの生活に
というわけで冥界編序盤のようなラブコメ路線に回帰したわけだが、メインの戸川と松笛は狂言回しであり、周囲の生徒たちの悩みを主軸として展開する。
男の娘、BL、性嫌悪、夢見、幼児退行、パンツ盗撮、ブラジャー作りなどその所業はまさしく変態祭りである。(と、言い切るのはちょっと問題か…)
また後半に行くにしたがって心的問題への言及や絵の隙間での雑談が無駄に多くなっていく。
旧単行本では第53-58話は「あまりにも反響が大きすぎて」という理由から「学園編」と銘打ってナンバリングとは別に単行本が出版された。
具体的には「男の娘×2を巡る学園間戦争」と「幼児退行プレイのアイドル部」の話。
【内宇宙編】
前半は冥界編序盤のような戸川と松笛の変態プレイ路線。ただしより心的描写がより濃ゆくなっている。
後半は学園編のような変態的な人々(言い切るのはちょっと問(ry)を様々に描いており、戸川と松笛以外の恋愛の中心にフェードインしていく、
具体的には同性愛、
近親相姦、涙フェチ、電波、髪フェチなど。
終盤3話は旧単行本では未収録
【精霊編】
不思議な日々を送る戸川と松笛の前に現れた三島塔子・燐子姉妹。
彼女たちは人の空想と精神の世界が原因で起こる奇妙な事件を、精霊の力を借りて解決する「夢使い」であった。
松笛も少しだけ過去に関わるある一つの恋愛事件に、夢使いたちは、戸川と松笛はどう立ち向かっていくのか
というわけで、完全に主人公が三島姉妹に移行し次作『夢使い』の実質的なプロローグともいえるようなオカルトバトル恋愛物語となった。
ただし、設定上の齟齬があるので『夢使い』とは
パラレルワールド。
これにて戸川と松笛による「どうして人は人を好きになるのか」の探求はいったん終了し、8年の連載は『夢使い』へとつながることになった。
【登場人?物】
ヒロイン
高2-A(17)
放課後の教室で唐突に松笛を見て、唐突に好きになった眼鏡っ娘。
「わたしはどうして松笛くんを好きになったんだろう?」という疑問を解くため、変態プレイにつきあい、冥界を旅し、変態たちと出会う日々を送りツッコミ役を果たしていく。
その変態たちと渡り合ってる時点で割と本人も変な奴なのはツッコんではいけない。
好奇心とツッコミ属性が災いしてトラブルに巻き込まれることも多い。
本人はショタの脚フェチ
たまに隠れて
ビールを飲むのが趣味
芋臭いというか割と幼げであるが、内宇宙編くらいからやけに
色っぽくなっている。
現在の画風で書くとちょっとでかい丘さんになる。
あと
非処女。
第一話では「そういう経験はない」と松笛に言ってるが。
並行世界の戸川は松笛と高校時代に出会わなかった。
最終的には主婦。
ヒーロー
高2-A(17)
「篁」の字は本来「タケカンムリ⺮の下にサンズイ氵と星(氵星)」。作者による私造字。このページのたかの字は自分で脳内変換してね!
戸川の告白を受け入れて付き合うようになった少年。
トレードマークは
狐面と
白目。基本無表情でたまの笑顔は
気持ち悪い。
戸川の襟足を切ったり涙を飲んだりするのが趣味の変態。でも一応好きな気持ちは本音
オカルトについて深い知見を持ち、本人もそういう儀式にいそしんでいる。
源泉にあるのは歓喜天信仰であり、松笛の出自に関りがあると思われる。(要するにこの世界の人間でないのかも…)
サブカルオタでもあり、
ロボアニメ・特撮・YMO・コスプレを特に嗜んでいる。
狐面は燐子にパクられ、最終的に塔子に受け継がれた。
並行世界の松笛は普通の青年で、大学時代に「夢分析同好会」で戸川と出会い、結婚まで行く。
最終的にはアクタヌーンの編集。
CVは結城比呂
マスコット。
しめ縄を締めたニワトリ。よく誰にも聞かれてないままツッコミを入れたりしている。
その正体は松笛の「影」。冥界での冒険をサポートし、最終的には神々しい鳥姿になる。
鳥類の癖に松笛に比べると普通の感性。
最終的には三島姉妹に飼われることになった。
【冥界編】
冥界編に登場。
松笛とキスした戸川から生まれたもの
正体は戸川の「影」。冥界での(ry
戸川に比べると強気で冷静。
冥界編より登場
高2-A
野球部所属のデブメガネ。
松笛の不思議さに気づいており、戸川に忠告する。
学園編以降は基本的にはいい友人。
戸川に惚れている設定があった気がしたが、神無月の女装に魅かれるうちに告白し
付き合うことになった。やったぜ。
ビビると
ウサギになる。
冥界編より登場
高2(17)
戸川の中学時代の元カレ。いまだに戸川に未練がある
が、内宇宙編では彼女ができていた。
元カレなのでまあつまりそういうことである。
冥界編より登場
中3(15)
戸川の妹だがずっと大人っぽく見える。
なんなら実の家族からも姉妹関係を間違えられる。
大学生高校生中学生の彼氏がいる。うーんこの
ビッチ
CVは平松晶子
冥界編より登場
高2-A
戸川の友達の三つ編み。
受験生の彼氏持ち。
冥界編に登場
小4
割と強めの霊感少女。
松笛の特異性に気づき魅かれ「ダーリン」と呼ぶが振られる。
植芝先生は
ロリコン(偏見)
冥界編に登場
小4
夜理子の同級生。
夜理子の「王子さま」になりたがっている。
女装が似合う
男の娘。
植芝先生は
ショタコン(決めつけ)
冥界編に登場
ミトゥナ像を掲げている、タントラの行者と思しき狐面の男女二人。
松笛が「鳥」の力に関連するのに対し、「眠る蛇(クンダリニー)」の力を操る。
松笛を抹殺しようとし、盛大な呪戦の果てに冥界送りにする。それを戸川が追いかけたことで長い冥界の冒険は始まった。
生還してからも再度殺そうとするが戸川の邪魔によってついに呆れつつ諦めた。
おそらくは松笛の縁者で同じところから来たと思われる。
【学園編】
高2
演劇部。女装が似合う男の娘。
元はハマノと同じ野球部のチビメガネ。
松笛に告白したが振られ、真面目に告白したハマノとカップルになった。割と良妻っぽい。
ホモというかはトランスと思われる。
高2-D
演劇部部長。神無月を女装させてた。
いつも花魁みたいな恰好をしている。
- 万賀道雄(まがみちお)/歳野茂(さいのしげる)/星野菫(ほしのすみれ)
高2-B
漫画研究会に属する。
幼いころから菫の体を二人でキャンパスにして漫画を描いていた。
茂と菫が付き合うことになって残った道雄は戸川をキャンパスにしようとする。
最終的には松笛の画策で昔のように三人で付き合うことになった。
藤子不二雄先生は一切関係ない。(すっとぼけ)
高2-F
写真部部長
パンチラに心惹かれてそういう盗撮写真ばっかり撮っている。
なぜか箱谷のパンチラ写真に「眼」が見える。
高2-F
ヘアバンダー。
皿造を面白い人だと思って告白する。パンチラ趣味は別に気にしない。
皿造とは小4の時の同級生で
スカートめくりされたことがある。
北高の生徒。
神無月同様女装趣味の男の娘で、同じような存在の神無月に魅かれる。
神無月よりも女の子っぽい。
北高の生徒会会長。剣道部の主将。眼鏡。
桃祭とは
幼なじみで、女装を進行させてしまった本人。
贖罪として神無月を拉致させてつき合わせようとしているが本人の気持ちは…
北高演劇部部長。
北枕とは
ライバル的な関係。
いつも異常にでかくて重い飾りを頭に載せている。
高2-G
放送部という名のアイドル研究会部長。
高校生を幼児に扮させるというコンセプトのアイドルとして詩水と戸川をプロデュースさせようとしている。
高2-A
放送部に属するアイドル候補。
普段は地味デコ眼鏡だが幼児化する時だけ六本松にベッタリ。
その根源にあるのは本人の失恋。
高2-J
美乳
地下木のブラをつけたら死んだはずの彼氏・数人(
TDNじゃないよ)の手形がつくようになった。
今度こそ彼に抱かれたいと思っている。つまり
処女
高2-J
手芸部部長
ブラジャーフェチで、製作したブラは「幸運のブラジャー」という謎能力を持つ。
高2-C
痴漢にあったりするので性嫌悪になった
ツンデレ
男女の頭の上に「リンガ」と「ヨニ」(
性器を模した象徴心理)を見ることができる。
リンガとヨニが強く反応すると「天使」が降ってくる。
高2
美記の幼馴染の野球部員。
美記とは惹かれ合ってるはずだけど上記の事情でうまく行かない。
押し倒したら怒るよそりゃ
高2
文芸部。でも書いた小説は意味が分からない。
そんな作品を褒めた角田に魅かれ、ちょっとした
ストーカーになる。
「夢の扉」の先が見たい。
高2
きたない部屋に引きこもるヘタレ眼鏡。
素顔は割と
イケメン。
【内宇宙編】
毎年夏前に空に仲間を一人飛ばしていく子どもたちのリーダー格
シルクハットに釣りズボンでオサレ。
松笛とは旧知。
エロガキ。
戸川の
小学校の主である土地神。
卒業生に
触手プレイを敢行する変態。
空飛ぶ円盤を呼ぶことができる女の子。
彼氏の陽一君とキスがしたいお年頃。
- 高箸雪弘(たかはしゆきひろ)/囃原恵美(はやしばらめぐみ)
恵美の涙を飲むプレイに興じるカップル。
彼氏は留学中なので一升瓶に涙をためて待っていたが…
名前の元ネタがわかりやすい。
小5(11)
大人気のチャイドル。昔は地味な子だった。
蓮太郎を溺愛して告白するが拒否される。
腹黒策士。
植芝先生はロリコン(主張)
小5
理佳からのアプローチを拒否するが、内心は一番のファンだった。
なんで拒否したかって?名字見てね
理佳と共演予定のアラサーのアイドル俳優。
ロリコン(真実)。下記の人とは同名の別人。
高2-A/高1
美術部の先輩と後輩。
お互い知らぬ間に服をパクって相手の姿になるプレイに興じていた。
顔が似てて両思いじゃなきゃ悲惨だった。
高2
幼なじみの雪の寝顔を溺愛する
百合っ子。
転校すると言われたのでつい告白してしまった。
高2-A
告白に応えることはできなかったが彼女なりのプレゼントは考えていた。
妻を亡くした国立大教授とその息子。
息子が嫁に取り憑かれたかのような迫り方をしてくるのに悩んでいる。
近親相姦かつ同性愛とか頭一つ抜けてヤバ目な感がある。
植芝先生はショタコン(レッテル貼り)
ちなみに『夢使い』にも同名の人物が登場する。
南高の桜の木の下には髪フェチが埋まっている。
黒髪ロングの新入生から髪をもらっては望み通りの恋人との出会いを導いている。
最後のコマが
気持ち悪い。
【精霊編】
高1(16)
精霊編から…ではなく実際には冥界編初期から登場。
その頃は松笛に魅かれる幻視家の少女という感じであった。
あと飲んだくれ。おい未成年
顔見知りであることと酒飲み以外の設定は消滅して7年越しに再登場。
スカートにジャージで過ごす世捨て人
左目に先祖で初代遊部の円目王(「令集解」に現れる超常的な皇族)が潜んでおり、高い夢見の能力を持つが右目でしか泣けなくなってしまった。
父・宙明(ひろあき)の号・童遊斎(わらべゆうさい)を受け継ぐ夢使いのリーダー格で、
日曜星を司る。
その父のことは
異性として愛していた節がある
戦闘時は
ガ○ォークになったり
真○ラゴンになったりなんとかトマホークを揮ったりする。
小3(9)。またはスーパー小学生
塔子の妹で夢使いの一人。
スーパーを自称するだけあって子供の領域を超えたオカルト知識を持つ
でもたまに
ドキンちゃんになる。
火の精霊の彼氏を持ち、
火曜星を司る。
そのためか服の下にマッチを多数常備してる。あと
黒下着とガーター。
必殺技は
超電○ヨーヨー…じゃないフリスビー。頭が
パカっと開くのでちょっとキモい。
ドリル○ームも使えるらしい。
情報屋。普段は子供向けの電脳紙芝居屋。
燐子がドストライクなロリコン(事実)。上記の人とは別人ですってば
『夢使い』では金曜星の夢使い。
高2(17)
三島姉妹が手掛けている事件の張本人。
過眠症になっては
露出狂と化して走り回り、目覚めても巫女神としてトランスする。
中央小学校時代は児童会会長を務め、卒業記念に大きな「妖怪城」を作った。
また優秀な尸童(よりまし)としてこっくりさんに興じ、友達のために夢を現実に変えていたという。
その裏にあった真実とは…
どうでもいいがかーちゃんが結構色っぽい。
麗珠の小学校時代の先生で児童会顧問。担当は美術。
ある目的のために麗珠の精巧すぎる
(アソコも完備)人形を作っていた。
愛する相手との関係の業がいちいち
深い。
麗珠の小学校(ry。
麗珠、朱氏とともに生徒たちの夢を叶える手伝いをしていた。
5年前に交通事故で死亡している。
用語
【聖歓喜天】
互いに抱き合う二体の像頭人身の仏身象。
戸川は松笛とこの象の前で互いの指を針で傷つけてその血を飲むという儀式を行い、法悦状態となって何かを悟ったつもりが目覚めた時にはそれを忘れてしまう不思議な体験をする。
2人の絆の象徴的存在として冥界編では大きな役割を果たし、新装版第一巻の表紙も飾っている。
【南高】
主要人物たちが在籍する県立の高等学校。
北高、東高、西高もある。あからさまに手抜きなのだ!
異常に部活動が発達しており、どいつもこいつも胡散臭い活動をしている変態揃いである。
他の高校と喧嘩するための実働部隊なんてのもある。
ただし勝負の決め方は頭部にセットした紙風船を割られたらアウトのスポーツチャンバラとこの漫画にしては健全。
【夢使い】
古代の遊部――死の儀礼を司り霊を祓ってきた一族――の力を受け継ぐ者たち。
現在は心理学・
歴史学・オカルトの高い知識と精霊たちの力を以てして夢…つまり精神の世界を起源とする事件の解決にあたっている。
正式の装束は巫女服に箒神を持つ姿。
箒神には祠が仕込まれており、そこに思い思いの玩具を入れることで覚醒夢においてその姿に変身して戦う。
こうした趣向は玩具屋をしていた先代の童遊斎が作り上げたという。「遊」という漢字が元は『神が旗を掲げて戦いに行く様』から成り立っていることから、夢使いたちは戦うことを「遊ぶ」と称する。
ブンドドするという意味では無い。
なお夢の世界で戦っている間は、現実世界ではみんな
棒立ちなのでそこから見ると割とシュール。
塔子が掲げるポリシーは「
行く道一つのただ一つ。これが我らの生きる道」
ちなみに『夢使い』の方では玩具を使うのは共通だが超常アクションで戦ってる。
また本作と『夢使い』本編とアニメ版は
全てパラレル。アニメ版脚本家はニチアサでお馴染みの小林靖子。勝利のイマジネーション!
冥殿はどうして
サイカノを好きになったんだろう?
ワカラナイカラ 追記・修正スル
- 夢使いでの塔子は17歳だったから過去の話かな? -- 名無しさん (2017-12-17 18:36:55)
- ※夢使いとは基本パラレルです。 -- 名無しさん (2018-07-01 17:02:18)
最終更新:2024年12月30日 00:07