ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険

登録日:2018/04/24 Tue 14:45:40
更新日:2025/04/15 Tue 15:54:03
所要時間:約 10 分で読めます








その友情は、10万年先まで凍らない。



10万年後に助けてくれ。



時を超えるのが、友情だろ。


『のび太の南極カチコチ大冒険』とは、2017年3月4日に公開された映画ドラえもんシリーズの第37作目(わさドラ映画としては12作目)の映画。


概要

物語はコミックス18巻収録の「大氷山の小さな家」を基に構成され、タイトルにある通り舞台は長編シリーズ初の南極
キャッチコピーにある10万年という年月も物語の展開を握る重要な要素として組み込まれており、何気ない出来事が後半に重要な意味をもたらすといった、ドラえもんの醍醐味「タイムスリップ」がよく活かされている作品となっている。



あらすじ

連日の猛暑により東京は茹だるような暑さに見舞われていた。
すっかり夏バテしたのび太はたらふくかき氷を食べたいとせがむも、ドラえもんにも一蹴されてしまう。
直後、ドラミから占いで「氷難」の相が出ていると告げられるも、同じく一蹴するドラえもん。

しかし、氷と聞いて巨大氷山が南極から北上中との記事を思い出し、のび太と共に避暑を満喫。のび太の閃きで氷山を遊園地に作り変え、いつもの仲間達を招待し楽しいひと時を過ごす。

しかし、のび太が氷山の底で見つけた不思議なリングを調べると、凍ったのは約10万年前の南極という分析結果が出たことで一同は騒然。翌日、南極へと冒険に出ることになるのだった。

推測を頼りに冒険を進めるドラえもん達だったが、ある地点で「ここほれワイヤー」が巨大な遺跡のようなものを探知する。
ひみつ道具を用いて地下へと向かうと、そこには凍りついた巨大な都市が存在していた。
そこにいた不思議な生き物・パオパオと不気味な動く石像に遭遇した一同は10万年前にここで何があったのかを調べるためにタイムベルトを用いて10万年前の地下都市へと向かうのだった…



いつもの登場人物


今作は気になる新聞の記事を切り抜いて取っておいたり、南極に向かう前夜にしっかりと現地の下調べをしておく等、彼のマメな一面が現れているシーンが多いのも見どころの1つとなっている。
敵やトラブル等によるひみつ道具の制限からの弱体化などはなく、全体を通して活躍。特に終盤の展開は彼の閃きがなければ間違いなくバッドエンド



本作は劇場版ならではの勇ましい面よりもアニメ版でもよく見せてくれる優しさが強調されており、劇中で度々起こるトラブルの解決は彼の優しさがキーとなっているシーンが多い。
また、ひみつ道具をとっさに応用するお馴染みの機転の良さも数多く見せてくれる。


いつもはマメな性格が活きた活躍を見せてくれるが、今作は他のキャラクター達が全体的にクレバーな活躍を見せるため相対的に活躍の場は薄い。
しかし、今作は衣装の可愛さやとあるシーンで見せる表情等、普段では見れない場面があるので一見の価値あり。


劇場版では漢気全開の姿が恒例となっているものの、今回はアニメ版と同じく良くも悪くも年相応の言動が多く、今回の役どころはまさかのスネ夫ポジション(ヘタレ)。その反動故か、次回作では漢気全開で大活躍するが。

いつもとは一味違って終盤は(ひみつ道具があるとはいえ)みんなを守るためにラスボスの攻撃から逃げることなく立ち向かう勇敢さを発揮する。
今作も劇場版恒例シーンは多いが、前述の通り今作はジャイアンもなので、相対的にはかっこよく見えたり見えなかったり。



ご存じドラえもんの妹。
冒頭にて登場。22世紀で流行っているロボット占いで不吉な相がでたことで忠告のためにドラえもんに電話をするが、流行りものに興味がないドラえもんに聞く耳を持ってもらえず、一方的に通話を切られてしまうという何とも不憫な役回りであった。

しかし、後の展開を考えると占いの結果もあながち間違いでは無かったとも言える。


ゲストキャラクター達


地球から見て、約10万光年先にある「ヒョーガヒョーガ星」からやって来たヒョーガヒョーガ星人の勝気な少女。
地下都市を守る怪物達を相手取っても怯むことなく向かっていく強さが随所で描写されているが、年相応の少女らしさを見せることも。
彼女達は、幾多もの惑星を旅する中で、ヒョーガヒョーガ星を救うためのリングが地球の地下都市にあることを突き止め、カーラとともにリング及び、古代ヒョーガヒョーガ星の技術の回収へと向かう。
しかし回収途中でトラブルに見舞われた結果、リングを遺跡の水路に落としてしまい、それが巡り巡って10万年後のび太の手に渡るのである。


カーラと同じくヒョーガヒョーガ星を救うべく宇宙を旅する考古学者の老人。収集癖があるようで、旅の途中で訪れた星の玩具やお土産を買い込んでおり、自身のシェルターへとやって来たドラえもん達を歓迎する際に披露をしている。
劇中ではリング回収時のトラブルによって足を骨折する大怪我を負ったため、主にカーラ達を無線でサポートする役割を担っている。


まさかの再登場を果たした象のような姿のパオパオと呼ばれる種族。劇中ではカーラの相棒であるユカタンの他にヒャッコイ博士の飼育する数十体、そして何故かカーラ達の元から離れていた右耳の一部がかけていたモフ助(のび太が命名)が存在している。

今作では彼らの生態系が深く掘り下げられており、なんと人間よりも長生きでありながら、氷の中で冬眠をすることで不老のまま生き抜くことが可能な上に、多少の高低差なら生身で着地しても問題ないという頑強さも顕となった。
この掘り下げによって、一部のファンの間ではヒョーガヒョーガ星とコーヤーコーヤ星は同じ惑星系にあるのではないかという説やコーヤコーヤ星の人々は逃げ延びてきた元ヒョーガヒョーガ星人ではないかなどと様々な考察が挙がってきている。



その他の用語


  • ヒョーガヒョーガ星
嘗ては宇宙の果てまで航行が出来るほどの科学技術を誇った文明だったが、その技術はヒャッコイ博士達の代までは伝わってはおらず、博士達は古代ヒョーガヒョーガ星人達が残した各地の遺跡に残された技術を頼りに科学を発展させて来た。
しかし、ある時調査をしていた遺跡の中に古代ヒョーガヒョーガ星人が作り上げた巨兵ブリザーガ(後述)の格納庫を見つけ出してしまったことで事態は急転する。
無数の暴走した巨兵達を制御することなどできるはずもなく、住民達はなすすべなく星を脱出し、ヒョーガヒョーガ星はブリザーガの力によって、氷だけの死の星と化してしまった。


  • リング
のび太が氷山で見つけた不思議なリング。
その正体は古代ヒョーガヒョーガ星人達が作り上げたオーパーツであり、氷だらけの死の星となってしまったヒョーガヒョーガ星に蔓延るブリザーガを倒す力を秘めている。
本来は巨大な剣の姿を持っているが、カーラ達が未完成のブリザーガから回収した直後に柄の一番上の部分だけを残してリングとなった。


  • オクトゴン(CV.八木真澄)
地下都市を守るタコの石像。ツボをかぶったような姿をしており、体内から粘着性のある毒液を出す。
カーラがリングを回収したことで攻撃対象とみなし、後に落としたリングを取りに来たカーラを見つけて追いかけるが、カーラから弱点が音であることをドラえもんに気付かれ、最後はドラえもんが出した驚音波発振式害獣撃退器を使ったジャイアンの歌声で倒される。
終盤ではブリザーガの冷凍ビームで凍らされており、凍ったままの姿で一瞬だけ登場した。


  • イシコウモリ
地下都市に住まう文字通り石で出来たコウモリ達。
大きさこそ他の石像と比べると小さいものの、圧倒的な数の暴力で襲いかかってくるため非常に厄介な存在となる。
劇中では食べ物や光るものを狙って攻撃をして来たが、これによってジャイアンとスネ夫の荷物、カーラのリングの2つが奪われてしまったために、ドラえもん達はこれを探して地下都市の遺跡を冒険することとなる。


  • ヤミテム(CV.高橋茂雄)
ペンギンの形をした石像。
声帯模写が可能で、相手の口を封じる魔法も持つ。また、自我と感情も持ち合わせ更にはジャイアン達を欺くなどの知略にも長けている。
リングを探しにやってきたドラえもんを襲撃した後、鈴と四次元ポケットを強奪し、ドラえもんに変身してのび太達を罠に嵌めようと企み助けに来た本物のドラえもんを追い詰める。が、本物を選ぶことに躊躇したのび太に痺れを切らし急速冷灯をのび太に向けて放ったことが仇となって正体がバレ、最後は怒り狂い襲い掛かろうとしたが、カーラが放った急速冷灯により凍らされた。

実は物語の中盤でも登場しており、ドラえもん達がタイムスリップする前に襲撃してきた不気味な石像の正体はこいつである。


  • ブリザーガ(CV.平原綾香)
古代ヒョーガヒョーガ星人が作り出した石の骨格に氷で肉付けされた巨大な像。
惑星が凍結すると、解凍後に生命の爆発的進化が起こる現象(スノーボールアース)を人為的に起こすために作られた道具で、良く言えば大規模な開拓・悪く言えば都合の良い侵略を行うための石像である。
口から惑星をも凍り付かせる程の強力な冷凍ビームを放つことができ、たった一体でも相当な範囲の土地を凍りつかせることが出来るのだが、ヒャッコイ博士曰く氷を取り込んでさらに巨大な存在へとなっていくという非常にたちの悪い性質を持っており、挙句にの果てに飛行形態まで兼ね備えているというチート兵器

しかし、一番恐ろしいのはこれが最終兵器といった扱いではなく量産されているという事実であり、スノーボールアース現象の発現というのは建前で、実際には侵略を優先して作られた可能性もあり得るドラえもん映画史上でも屈指の恐るべき兵器となっている。



主題歌

  • オープニング
「夢を叶えてドラえもん」
作詞・作曲 - 黒須克彦 / 編曲 - 大久保薫 / 歌 - mao / コーラス - ひまわりキッズ(日本コロムビア)
今作は独立したオープニングになっておらず、前述の遊園地で遊ぶシーンはこのオープニングの中で行われている。

  • エンディング
「僕の心を作ってよ」
作詞・作曲・歌 - 平井堅 / 編曲 - 亀田誠治(アリオラジャパン)
平井堅氏が醸し出す、良い意味でドラえもんらしからぬ静かな曲調と、のび太とドラえもんの関係性を暗示するような心に響く歌詞が光る良曲となっているため、一度は聴いてみることをオススメする。

  • 劇中歌
「パオパオダンス」
作詞 - マイクスギヤマ / 作曲・編曲 - 沢田完 / 歌 - 杉並児童合唱団
劇中にて、ユカタンとモフ助が邂逅した際に披露されるダンスに使用されており、底抜けに明るい歌は挨拶とも歓迎ともとれるような明るい気持ちにさせてくれる。





本作のネタバレ





余談


今作のドラえもんは南極という極限環境の他に、ドラえもん達の敵達の大半が自我を持たずに大暴れをする巨大な怪物達という設定が盛り込まれており、それを反映してか、いつものドラえもんらしい明るい雰囲気を醸しつつも、どこか焦燥感や不安感を煽るような演出やサウンドが盛り込まれている

特に地下都市に入ってからはそれが顕著になっており、映画公開後は南極や巨大な怪物のワードからラヴクラフトの一節である「狂気山脈」のオマージュが本作に入っているのでは?と考察するファンも少なくはなく、今作の映画の俗称を「ドラクラフトorラヴえもん」または「ハッピーエンドルートの狂気山脈」と呼ばれることが多く、実際に放映中には泣き出す子供も一定数いたとか。

また、エンディング後に次回作の映画の予告が流されるのが恒例となっているが、その内容がキャプテンハットを被ったドラえもんが現れた後、「航海決定(数秒後に公開に変更される)」という映像が流れたことで次回作は「南海大冒険」のリメイクが濃厚なのでは?とファンの間で大きな話題を呼んだが、2017年6月に「のび太の宝島」というオリジナルタイトルが発表されたことで、期待するファンと落胆するファンで二分された。






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最終更新:2025年04月15日 15:54

*1 テレビシリーズではSP「のび太を愛した美少女」に登場するルリィを担当していた。