シャドウ・グール(遊戯王OCG)

登録日:2018/07/04 Wed 02:55:21
更新日:2025/03/29 Sat 11:41:07
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《シャドウ・グール》とは、遊戯王オフィシャルカードゲーム(以下、OCGと表記)に登場するモンスターカードの一枚。
OCGでの初登場は第1期のVol.6で、その弾のスーパーレア枠だった。


効果モンスター
星5/闇属性/アンデット族/攻1600/守1300
自分の墓地に存在するモンスター1体につき、このカードの攻撃力は100ポイントアップする。


緑色の体と大量の赤い目玉が特徴的なモンスター。攻撃名は「ティアーズ・オブ・セメタリー」。
性能ははっきり言ってレアリティに見合わず弱い。第1期特有の貧弱なステータスを持つ上級モンスターの一体であり、効果もショボい。
どれくらいショボいかというと、効果だけを見ると第3期で登場した墓地のモンスター1体につき攻撃力300ポイントアップする《カオスネクロマンサー》の下位互換。ステータスでは一応勝っているが、墓地に8体以上モンスターがいると攻撃力は追い抜かれる。
そもそも肥やした墓地からモンスターを蘇生して展開することを得意とするアンデット族とは今となってはアンチシナジーとも言える。

闇属性、アンデット族と恵まれており、《ピラミッド・タートル》や《カオスエンドマスター》に対応しているため第1期の上級では頑張っている方だが、
同じ種族・属性で似たような効果を持つ《ワイトキング》にはあらゆる面で劣る。

上記の通り召喚しやすい方ではあるのでランク5エクシーズ素材としてワンチャンあるかもしれないが、
アンデット族ならヴァンパイア一族や地味に厄介な効果を持つ《ノーブル・ド・ノワール》、闇属性なら《カース・オブ・ドラゴン》の方が使いやすいか。

しかし、最初期のコンマイとしてはそこそこ強いカードとして認識されていたらしく、ザ・ヴァリアブルブック2では《シャドウ・グール》を切り札としたデッキが紹介されていた。
が、このデッキはコンボパーツが軒並みエラッタor禁止カード化しているため現在では構築不可能な上、実際にやってみても攻撃力は最低でも2300までしか上がらない。
あのそれ、第1期のカード限定で見ても《機械王》をA召喚するだけで到達できる数値なんですが……。

原作では迷宮兄弟が使用。
特に効果は持っておらず、《迷宮壁-ラビリンス・ウォール-》と融合して《ウォール・シャドウ》となった。
壁の中を自由自在に動き回り奇襲戦法を行っていたが、《鎖付きブーメラン》で強化された《アックス・レイダー》に捕まり、《エルフの剣士》に切り捨てられる。

なお、OCG化された《ウォール・シャドウ》は、なぜか融合モンスターではなくなった。
装備魔法カード《迷宮変化》の効果で、迷宮変化と装備した迷宮壁をリリースすることによってデッキから召喚できる特殊召喚モンスターになってしまい、《シャドウ・グール》とはまったく関係の無いモンスターと化した。
おまけに岩石族とアンデット族が融合したのに何故か戦士族である。


このようにOCGでも原作でもあまり良いとこ無しな《シャドウ・グール》は、他のカードと共に決闘者たちの記憶の片隅に埋もれていく……、



……はずだった。



ところが、アニメオリジナルエピソードである相棒こと武藤遊戯レベッカ・ホプキンス戦にて、《シャドウ・グール》は思わぬ役割を与えられることになる。

なんとこの決闘において《シャドウ・グール》、レベッカの切り札として召喚されたのだ。(《カオスネクロマンサー》は第3期のカードなので登場できなかった)
《クリッター》《黒き森のウィッチ》《死者への手向け》《キャノン・ソルジャー
《ジャッジメント・ボンバー》(オリカ。手札を五枚捨て相手のモンスターをすべて破壊する)を使い、最終的に攻撃力は2800と最上級クラスにまで上昇。その力でフィールドを制圧する。

この時、遊戯のフィールドには《ブラック・マジシャン》がおり、手札には《魂の解放》があったため、
《魂の解放》で《シャドウ・グール》の攻撃力を2300まで弱体化させ、《ブラック・マジシャン》で戦闘破壊すれば遊戯の勝ちだった。
ところが、遊戯はサレンダー、すなわち自らの敗北を宣言。レベッカの勝利となった。


そして、ここから《シャドウ・グール》が真価を発揮することになる。


遊戯は決闘中に、その場にやってきたレベッカの祖父アーサーは決闘終了後に、
墓地のモンスターを《シャドウ・グール》の強化素材としか考えていないレベッカに、
それぞれ「勝利のためにモンスターを墓地に送るのは間違っている」「失われた者への敬意がなければならない」と諭す。(《シャドウ・グール》の使い方をレベッカに教えたのもアーサーである)
更にアーサーは遊戯が魂の解放を発動していれば遊戯の勝ちであったこと、かつて自分と武藤双六が決闘した時も同じ状況になったことを語る。

作中の数年前に行われたこの決闘は、エジプトの発掘現場の崩落で閉じ込められた二人が飲み水を賭けた状況で行われていた。(その割には二人とも余裕そうだったが)
この時、双六は《シャドウ・グール》を突破できていたようだが、アーサーの体調不良を鑑みた双六は上記の決闘同様にあえてサレンダーを選んでいたのだ。
そして遊戯がサレンダーを選んだのも、勝ち負けしか考えないレベッカを自分なりに救いたかったからである。
この話を聞いたレベッカは考えを改め、後に遊戯をダーリンと呼び慕うようになる。


……こうして『祖父の命を救い、祖父から孫へと受け継がれ、孫が改心するきっかけになった』《シャドウ・グール》。
決闘自体は対戦相手の優しさによってもたらされた勝利であったし、現実では使いづらいカードと言う事実は変わらない。
だが決闘者とカードの絆を重要視する原作・アニメの世界においては、マスターを支えるしもべとしての役割を果たしたと言えるのではないだろうか。

再登場したレベッカはドラゴン族、【キュアバーン】を用いて戦うようになったため、おそらく《シャドウ・グール》はリストラされている。
だが、祖父の教えと遊戯の言葉が彼女の記憶から消えていないことは、ドーマ編を見れば明らかである。王様ェ……。

ちなみに、《シャドウ・グール》の攻撃名「ティアーズ・オブ・セメタリー」は、遊戯対レベッカ戦で判明したアニメオリジナルのものであり、和訳すると「墓場の涙」。
おそらく「失われた者への敬意がなければならない」というアーサーの言葉のために用意されたのだろう。

このように完全にホプキンス家を代表するカードになってしまった《シャドウ・グール》だが、アニメでの彼の優遇はこれで終わらなかった。

なんとアニメ版の記憶編にて、精霊(カー)として召喚されたのである。それも後の《ブラック・マジシャン》であるマハードに。
『祖父から孫に受け継がれたエースモンスター』同士が、まさかの共闘を果たした。
武藤家とホプキンス家の関わりもまた、古代から決まっていたということなのか……。
しかしこの《シャドウ・グール》は壁抜け能力を持っているので、スタッフが《ウォール・シャドウ》と間違えたのかも。

それから更に月日は流れ…。
《迷宮に潜むシャドウ・グール》
効果モンスター
星5/闇属性/アンデット族/攻1600/守1300
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「ラビリンス・ウォール」カード1枚を手札に加える。
(2):相手モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時、自分フィールドに「ラビリンス・ウォール」カードが存在する場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。
その相手モンスターを破壊する。

ついにリメイクされた。運用方法については三魔神(遊戯王OCG)の項目を参照。



追記・修正は失われた者への敬意を持ってお願いします。

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最終更新:2025年03月29日 11:41