日輪刀(鬼滅の刃)

登録日:2020/03/02 Mon 13:04:04
更新日:2025/07/09 Wed 08:05:28
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日輪刀(にちりんとう)とは、漫画『鬼滅の刃』に登場する武器の一つ。
同作に登場する組織「鬼殺隊」の最終選別を生き残った剣士達に隊服や鎹鴉と共に支給され、以降はと戦い、頸を斬る為に苦楽を共にする道具。
鬼狩りという仕事をする上では、必需品と言える専用武器である。

鬼殺隊を象徴する武器でもあり、鬼殺隊最強の剣士である「」の持つ日輪刀には、刃元に鬼殺隊の信念である「惡鬼滅殺」の四文字が刻まれており、柱の立場を周知させる為の階級章の役割も果たしている。
ちなみに日輪刀という名前の由来は、後述する通り日光を吸収した鉄で作られた、日光の力が宿った刀だからである。



◆概要

本作における「鬼」に止めを刺す(=完全に命を奪う)手段は

  • 太陽の光を浴びせる
  • 鬼を造った存在自身の能力で細胞を破壊する
  • 鬼が苦手とする藤の花から作った毒を使う

そして
  • この特殊な刀で頸を切断する
である。

鬼は不死身の存在であり、通常の武器や人間の手では、仮に鬼に傷こそ付けられても瞬く間に完治してしまうので決定打にならない。
しかし、この刀を用いて鬼の頸を斬ると、切り口から炭化したように黒ずんで徐々に崩壊し、朽ちるように消滅する。
鬼が自身の血を用いて操る「血鬼術」についても効果があり、断ち切る事で無力化する事が可能。

…とはいえ、特別相性の良い武具というわけではない。
基本的にはこれで与えた損傷だろうと、頸でない限りは瞬く間に修復してしまう。
頸の傷も完全に切り離さない限りは再生してしまうので、確実に一太刀で殺す為には正確に頸を切り落とさなくてはならない。
血鬼術についても断ち切る事で無力化する事が可能だが、そもそも断ち切れなければ何の効果も期待できない。
一方で、日光を多く含んだ純度の高い鉄で作られた日輪刀であれば、斬った部位を灼いてある程度再生を遅らせる効力も持つ。

また、他に武具として際立った能力は無い
耐久力も側面から強い力を受けるなどすれば容易く折れてしまう等、鬼の頚を斬れば倒せるというだけで、それ以外は強度も含めて普通の日本刀と全く変わらない。その為、基本的には普通の日本刀と同じで一応消耗品扱いではある。
使い手が未熟ならばそれだけ刃もすぐに消耗し、太刀筋がぶれたり力加減を誤ったりすれば物は斬れないどころか逆に折れてしまう。
その為、当然ながら使い手の剣士には相応の技量が求められる。

ただし、普通の日本刀は相手を斬った際に付着する血糊や脂が、主に刀を劣化させ消耗品にする最大の要因となるのだが、鬼の場合はその鬼を倒せば刀身に付着した血糊や脂も自動的に消滅するので、その点で普通の日本刀に比べると格段に持ちは良く、定期的なメンテナンスで使い回せる。
作中の描写を見ても、余程強い鬼と戦ったり適正に合っていない刀や呼吸を使わない限りは、交換が必要なレベルまで破損する事は余り無い模様。

このように、完璧な鬼狩りの武器とは言い難いのだが、しかし鬼と戦う上ではこれ以上の武器は、少なくとも大正時代までの技術では実用化していない。
日輪刀と同じ原料の銃弾を用いる銃は、後述する不死川玄弥が使っているものの、ファンブックで説明されているが大正時代の技術では、銃で鬼の頚を吹き飛ばすだけの威力を出すと、玄弥以外の常人が使うと反動で腕の骨がバラバラになってしまうというとんでもない仕様になってしまう。しかも頚を正確に撃ち抜いても弱い鬼なら殺せる場合もある(・・・・・)という程度の殺傷力しかない*1
加えて、上記した藤の花の毒も使用する度に調合を変える必要性があり、下手に多用すると逆に鬼に耐性を与えてしまうので、使い手も限定されるという欠点がある。
いずれも主力武器とするには実用性が乏しく、それ故に鬼の頚を一撃で斬れるだけの日本刀特有の高い切れ味を持ち、鬼を確実に葬れるだけの純度と量の鉄を使える日輪刀が、大正時代の鬼殺隊においても未だに主力武器として使われているのである。


◆制度

全ての日輪刀は、鬼殺隊と提携している刀匠の集落・「刀鍛冶の里」で鍛造され、破損した場合はまた新しい物が支給される。

隊士が一番最初に手にする刀は、最終選別が終わった直後に自ら選ぶ玉鋼を材料にして作られる為、手元に届くのは10~15日後。
また、それぞれ専属の刀鍛冶が就き、新しい日輪刀の鍛造や修繕、維持修繕を担う。

なお、鬼殺隊はあくまで非公認の組織である為、廃刀令が敷かれたご時世では本当は携帯する事自体がアウト
刀を見つからないように隠し持ち、騒ぎを起こさないよう振る舞い、怪しまれたなら警察等の世話になる前にトンズラするしかない。
ただし、『鬼滅の刃』の前身となった読み切り『過狩り狩り』に登場する事情を知る警官は鬼狩りの刀の所持を黙認しており、『鬼滅』でもそういうケースはあると思われる。

また、鬼殺隊自体は一応政府非公認という事なのだが、トップの産屋敷一族が濡れ衣を着せられて処刑を言い渡された行冥を釈放させる等、政府側に対してかなり高い影響力とコネクションを持っているので、仮に捕まったとしても産屋敷一族や鬼殺隊のコネを使えばすぐに解放されるだろう*2

◇材質

太陽に最も近く、一年中曇らず雨も降らずに陽光が射す山と言われる陽光山(ようこうざん)で採掘される、猩々緋(しょうじょうひ)砂鉄(さてつ)」「猩々緋(しょうじょうひ)鉱石(こうせき)という太陽光を吸収する特殊な鋼材を原料としている。

刀鍛冶の技術は戦国時代が最盛期で、鉄の質も現在(大正時代)と比べると昔の方が格段に高かったらしい。これは陽光をより強く浴びるより地表に近い鉱石を上から採掘していく為、必然の結果だと言える。
ただし、一概に昔の鉄の方が良い訳ではなく、後世でも戦国時代ですら発見されなかった程の大量の陽光を吸収した高純度の鉄が発見されている。これ程に純度が高い鉄であれば、打ち合った鬼の体を日光のように灼いて弱体化させる事もできる。

また、刀鍛冶の技術についても後述する縁壱零式など失われた技術もあるが、少なくとも劇中の時代では鉄珍を初め、刀の技術については戦国時代にも勝るとも劣らない技術を持った刀鍛冶は存在しており、刀の質においても戦国時代以来の最盛期となっている。


◆色変わりの刀

日輪刀はある程度の剣術の技量がある人間が握ると、その人によって異なる色へと刀身が変化し、それぞれ異なる特性を持つ。

現れた色によって、「全集中の呼吸」のどの流派に適性があるのかが分かるらしい。
例:
赤色→炎の呼吸
青色→水の呼吸
緑色→風の呼吸
灰色→岩の呼吸
黄色→雷の呼吸
白色→霞の呼吸

正確には、呼吸はあくまで戦国時代に耳飾りの剣士がもたらしたものなので、戦国時代以前の剣士達が日輪刀の色に合わせて様々な鬼狩り用の剣術の流派を編み出し、
戦国時代に当時の始まりの呼吸の剣士達が、その各流派に適した呼吸を編み出し、各々の流派の剣術と合わせて「全集中の呼吸」としたという経緯になる。
それ故に日輪刀の色で、適性のある流派がある程度判別できる。

剣士ごとに様々な色が発現しているが、「こんな色だからこの呼吸が得意」という事を一概に判別するのは難しい。
劇中でも緑色の「風」から派生した「霞」が白色だったり、炎派生の「恋」と水派生の「花」がよく似たピンク系の色に染まったりしており、必ずしも同系統の色が近い呼吸になる訳ではない。
ちなみに日輪刀にもこの変色によって適性が生まれるらしく、例えば水の呼吸の剣士は同じ水の呼吸の剣士が握って青くなった日輪刀でなければ、十全な力やパフォーマンスを発揮する事は出来ない*3。こういう理由もあって、適性の違う呼吸を使ってもその力を完全に発揮しきる事は出来ない。

また、一定以上の剣の技術や才能が無く、呼吸も使えない人物が刀を持っても刀の色は変わらない*4
その為、鍛練に入る前に事前にこの日輪刀を持たせ、その人物の適性を探るといった使い方も残念ながら出来ない。
おまけに色の濃度も持ち主の剣の技量や才能に左右されるので、それが低い人間が持つと呼吸のエフェクトと同様に、殆ど肉眼では区別がつかない程度にしか色は変わらない。

アニメで登場するモブ隊士の刀の多くが、普通の多々良鉄のままに見えるのはこの為であり、しかも日輪刀の色が変わるのは最初の一度のみで、既に色が変わった刀を他人が持っても、それ以上色が変化する事は無い。
つまり、上記した色が多々良鉄からほぼ変わっていない刀を持つ隊士達も、その後に鍛練で技量を上げても刀自体を新品と交換しない限りは、刀の色はそのままである。なので刀の色が薄い剣士=実力が低い剣士と必ずしも決めつけられる訳でもない。

ちなみに竈門炭治郎の場合は、刃が漆黒に染まったが、黒刀は数が少なすぎて特性や適性共に不明。
その為、黒い刃の日輪刀を持つ者は、「すぐ死ぬから出世できない」などと揶揄されている。



赫刀


「お侍さまの刀 戦う時だけ赤くなるのねぇ」

「普段は黒曜石のような漆黒なのにね」
「とっても奇麗ですねぇ」

炭治郎が遺伝した記憶の中で垣間見た、耳飾りの剣士が使用していたとされる日輪刀の特殊な状態。
痣を出した者が死の淵に至る事で、漸く発揮できるような想像を絶する万力の握力、もしくは痣を出した者が日輪刀同士をぶつける事によって、強烈な熱と圧力を加える事で刀の温度が上昇して刀身が深紅に染まる。
おまけに刀身が変色するだけでなく熱も放つようになる。

当初は、耳飾りの剣士を初めとした日の呼吸の使い手のみが使える技だと思われていたが、後に上記した条件さえ満たせれば他の呼吸の剣士でも使える事が明らかになった*5

この赫刀状態の刀で鬼を斬ると切断面に灼けるような痛みを与え、鬼の再生力の阻害、発する熱による攻撃力の増強等、鬼のアドバンテージを大きく封じた上で戦うことができる。
赫刀の効力は使い手の練度に比例し、練度によって再生阻害効果や上記した痛み等も上下する。
原理としては、赫刀は刃に宿る日光の熱を完全に呼び起こした状態で、それで鬼の細胞を灼く為だと言われている。実際に、前述通り日光を多く含む純度の高い日輪刀は、元々鬼の再生能力を阻害して灼く効果があるので、赫刀はその力を極限まで引き出した状態だと言える。
その為、赫刀は上記した日輪刀と同じ鋼材を使った武器でしか発現できない*6

赫刀の発現には高い膂力と熱が必須なので、赫刀の発現は急激な身体能力の向上や体温の上昇等をもたらす痣を覚醒した痣者にしかできない。事実劇中で赫刀を出せたキャラクターは痣者だけである。
かといって、痣者であれば赫刀を必ずしも発現させられるかというとそうでもなく、あくまでここも個人の才覚に左右される。
加えて、冨岡義勇が日輪刀を火で熱した時には赫刀にならなかった事から、日輪刀を赫刀に変化させる為に必要なのは単純な熱ではなく、生物の体温が必要なのだと思われる。

また、原典の耳飾りの剣士と炭治郎が握力で赫刀を扱っている事から、本来は柄に握力で圧力を加えて出すのが正規ルートだと思われるが、無一郎伊黒も赫刀化させるだけで精一杯で直後に酸欠で昏倒しかけており、正規ルートで赫刀化させられる人間はかなり限られると思われる。
耳飾りの剣士はともかく、炭治郎も赫刀をある程度自由に操作できていた事から、日の呼吸の剣士は赫刀を出す難易度が比較的低いようだが、それ以外の呼吸の剣士では赫刀を出すだけでも相当な才覚と力量と体力が要求される。
とはいえ、2つ目の方法についても衝撃次第で簡単に折れてしまう刀を壊さないように強くぶつけるという方法なので、いずれにせよ達成する為には卓越した技量が必要となる事に変わりはない。

ちなみに初登場したのは最終決戦時だが、炭治郎は遊郭での堕姫戦の時点で、既に赫刀の効果の片鱗を見せていた。この事からも、やはり日の呼吸の剣士は赫刀を出す難易度が比較的低いらしい。


◇爆血刀

刀鍛冶の里での半天狗戦にて本格的に登場した、竈門禰豆子の血鬼術「爆血」によって、炭治郎の日輪刀の刀身を赤く熱した状態。
鬼殺しの血鬼術である爆血で、上記の赫刀を擬似的に再現した刀である。
初出は実は那田蜘蛛山での戦であり、折れた日輪刀で累の頚を斬り飛ばす際に、偶然付着していた嬭豆子の血で瞬間的にこの爆血刀になっていた。

効力自体は赫刀とほぼ同じだが、本家と違ってこちらは禰豆子の術に完全に依存している為、術の効果が切れれば効力は無くなって元の状態の日輪刀に戻ってしまう。その場合は、再度禰豆子から血か爆血で発生した炎を受ける必要がある。
利点は、上記した痣や刀への圧力といった赫刀を発動する際の難解な条件を無視して発動できることなのだが、逆に言えば当然ながら嬭豆子が近くにいないと使えない。
その為、赫刀に比べると使い勝手は悪く、おまけに嬭豆子がこれを実現したのが刀鍛冶の里編だったので、結局劇中では炭治郎が刀鍛冶の里編で2回使っただけの登場となってしまった。

ちなみに爆血で赫刀の状態が発現する理由は、爆血は文字通り嬭豆子の血の温度を上昇させて発動する術で、即ちそれは生物の体温の上昇に近い現象だからだと思われ、前述した赫刀の発現には生物の体温が必要という考察の裏付けにもなっている。


◆種類

基本的には一般的な日本刀と同じなのだが、剣士の戦闘スタイルによっては奇異にも程がある特殊な形状の武器を使っている場合もある。
特に柱は所有者の特性に合った特異な形状の日輪刀を与えられている場合が多い。
以下には、特殊な例を記述する。

刀身がギザギザに刃こぼれした日輪刀による二刀流。
鍔も柄も鞘もなく、柄の部分や刀身にはサラシを巻いているのが特徴。
これは元々そういう形状だった訳ではなく、元々は普通の日輪刀だったものを伊之助が勝手に改造したものである。しかも理由は「この方がカッコいいから」というもので、実用性は度外視している。
ただし、その形状から鋸のように使用することもでき、2本の刀を合わせることで通常の刀では柔らか過ぎて斬れない頚を、引いて斬ることも可能である。その形状から、後述の伊黒のそれと同じく傷口を複雑化して再生を遅らせる効果もあると思われる。
元々彼が使っていたものは、伊之助が過去に自分の山に来た鬼殺隊士2人からぶん取ったものであり、彼等が実力が低い隊士だったので刀身はほぼ多々良鉄の色のままだった*7。その為、この刀では伊之助自身の力を発揮しきれなかったらしく、那田蜘蛛山での父蜘蛛戦で両方とも破損してしまう。
その後は、鉄穴森が新たに伊之助に合った刀を作り、伊之助が持つ事で獣の呼吸の適正色である藍鼠色に染まった。これ以降は劇中で描かれる限りは、この刀を最後まで使用し続けている。

制作者は鉄珍様。
先端のみに刃が付いたレイピアのような細い刀身が特徴の刀。
刃元も殆ど無いので、「悪鬼滅殺」の字も両面に分けて彫られている。加えて刀身の大半が刃引きされているので、彼女の使う蟲の呼吸の色は藤色なのだが、その刀身の色も肉眼では殆ど分からない。
しのぶは横向きに振る腕力が弱く、鬼の頸を切断する事ができない。しかし、突く筋力には非常に優れている為、刺突と共に毒を注入して鬼を殺す戦法を取る。突き一発で大体50mgの毒を打ち込める。
つまりは、突き技によって毒を注入する事に特化した日輪刀であり、斬る事は最初から目的とはしていない。
鞘に納める事で、仕込むの変更や調合を行う絡繰仕掛けが仕込まれており、仕掛けの作動時には「キリキリ」という音が鳴る。

巨大な出刃包丁のような形状の日輪刀による二刀流。
このような形状の武器なので鞘もなく、隊服の背中に数本の布が装着されており、それに巻き付ける事で背中に固定して持ち運ぶ。
更に刀同士が柄のところでヌンチャクのように鎖で繋がれており、刃の先端を摘まんで振り回す事で自在に射程を伸ばしたり、鎖部分で攻撃を受け止めたりできる。
そして、高速で振り回す事で複数の鬼の頸をまとめて斬ったり、自在に間合いを操りながら広範囲を攻撃・防御する事ができる。
また、対鬼用の特別製の極小の火薬玉を刀で刺激して起爆させて戦いに用いる事で、爆発自体で鬼を攻撃するのは勿論、敵を撹乱したり爆発で敵の攻撃を減衰させたりと、元忍者らしいトリッキーな戦法を展開する事に長けた日輪刀。
同時に、これは純粋な剣士としての才覚や技量は、他の柱に比べると劣る天元の欠点を補う為の刀と戦闘スタイルでもある。

玄弥は呼吸を使えず剣士としての素質も無いが、的に当てる才能には恵まれていたので、日輪刀と同じ性質を持った弾丸を放てる銃を戦闘に用いている。
上記した通り、この日輪銃とも呼べる武器はある特異体質を持つ玄弥にしか扱えず、しかも鬼に対する殺傷力も日輪刀に比べると遥かに低いので、玄弥はそれを補うべく鬼へのトドメ用に日輪刀も装備している。
まず銃で遠距離から鬼の頚を撃ち抜いて倒し、仕留めきれていない場合は相手の動きが鈍っている間に、接近して日輪刀でトドメを刺すというのが玄弥の基本的な戦闘スタイル。
あくまで銃との併用を前提とした補助用の武器なので、呼吸の型を使えないのもあって取り回しを重視した脇差サイズの片手剣である。
ちなみに玄弥の適正の低さで刀身の色は多々良鉄のまま。また、アニメ版の刀鍛冶の里編のアニオリ描写から、どうやら玉壺に一番最初に喰われた刀鍛冶が玄弥の日輪刀を打った担当だったと思われる。

これも鉄珍様による刀。
インドの刀剣・ウルミや中国の腰帯剣を彷彿とさせる、極めて薄く柔い鋼で出来た、長い刀身が特徴であり、蜜璃本人はこれを新体操のリボンのように自在に扱える。
刀のしなりと刀身の長さに加え、蜜璃本人の強靭さと柔軟さを併せ持った筋肉や、本人の関節の可動域の広さによって、柱内俊足ランキング1位の天元すら越えた凄まじい剣速と、非常に広い攻撃範囲を両立した、極めて自由度の高い縦横無尽な剣技が実現する。そしてその剣速から繰り出される剣技の切れ味は、血鬼術の技自体を切り裂く程
加えて、刀を上記の通りリボンを操るかの如く手首のスナップだけで自在に操る事で、どんな体勢からでも高速で攻撃を連続して繰り出せるので、手数の多さにも非常に優れている。
しかし、扱い方によっては簡単に自分を斬ってしまうので、この刀を扱えるのは蜜璃の身体と感覚両面での天性の素質と技量ありきであり、炭治郎も刀自体よりも「あの刀を扱える甘露寺さんはもっと凄い」と評している。
ちなみに長すぎるので、普段はその薄さを活かして鞘の中に3つ折りにして収めている。アニメの大正こそこそ噂話では実際に納刀シーンも披露しているが、彼女の技量もあって納刀は一瞬で行われる。

鎖で繋がれた戦斧&巨大なトゲ付き鉄球。制作者は恐らくこれも鉄珍様。
ギリギリ「刃物」が付いてはいるが、最早刀でもなんでもない……(尤も刀じゃないといけない訳ではないが)。ちなみに「悪鬼滅殺」の字は戦斧の背に彫られている。
岩の呼吸は基本の5大流派の一つな事からも分かるが、別に歴代の岩の呼吸の剣士の武器がこうだった訳ではなく、恐らくは歴代の鬼殺隊全てを通して耳飾りの剣士を除いて最強格の実力者であり、同時に盲人でもある行冥に適した武器を追求した結果の最終形態がこの武器である*8

戦斧は勿論だがトゲ付き鉄球やそれを繋ぐ鎖に至るまで、刀匠の技術が最盛期とされていた戦国時代ですら発見されなかった、多くの陽光を含んだ史上最高純度の鉄で作られており、黒死牟の肉の刀をもってしても、鎖すら切断できない程の凄まじい強度を持つ。*9
戦闘においても、戦斧による斬撃と鉄球による大質量の打撃を戦況に応じて自由に使い分ける事ができる。
つまり、鬼の頸を斬るだけでなく純粋にその質量で肉体ごと叩き潰したり粉砕したりする事もできるので、急所でなくとも傷口を複雑かつ大きくして鬼の再生を遅らせる事もできる。
更には間の鎖でも相手を拘束したり、その強度を利用して相手の攻撃を防ぐ事も可能であり、鎖を使って振り回す事で前述した天元や蜜璃の日輪刀のように、自在に射程や間合いを変えて広範囲での縦横無尽な攻撃と防御を両立できる。
おまけに極めて多くの陽光を含んだ鉄で出来ているので、鉄自体に鬼の肉体を灼いて再生を阻害する効果まであり、戦斧や鉄球は勿論だが、鎖で拘束するだけでも鬼にダメージを与える事ができ、むしろ鬼の肉や骨で作られた武器では破壊しようとすると逆に灼け落ちてしまう程。
また、鎖の音の反響によって周囲の空間の障害物や敵の位置や動きを把握したり、武器を振り回す事で周囲の空間の広さや敵との間合いを図ったりと、盲人の行冥をサポートできる仕様にもなっている。

しかも、事実上二つの強力な武器を同時に使える仕様なので、戦斧と鉄球のいずれでも破壊できない程に強力な頚であっても、もう一方を重ねて強引に押し込む事で攻撃力を強化してゴリ押しする事もできる。
そしてこの仕様上、前述した赫刀化の発動条件の一方である「同じ技量を持った剣士同士で日輪刀をぶつけ合う」を一人で行う事ができるので、他の剣士よりは赫刀を出し易く、行冥の力量もあって状況に応じて自在に発動する事ができる。

このように一見トンチキな武器に見えるが、全てが必殺級の攻撃と文字通り鉄壁と言える防御を極めて高い自由度と射程範囲で実現。
拘束やデバフ効果まで持たせた上で、盲人の行冥のサポートまで成立させ、おまけに偶然にも赫刀化もセルフで行える仕様になっている、まごうことなき大正時代の鬼殺隊における最強の日輪刀であり、黒死牟からも「よく考えられた武器だ」と評されている。
このような最強武器を、鬼殺隊最強たる行冥に使わせる事で生まれるその戦闘力は“絶大”の一言で、鬼に金棒とはまさにこの事である。
ただし、これ程の大質量の武器なので当然ながら行冥レベルの体格と筋力がないと、そもそもまともに取り扱う事すらできない。そういう意味でも完全に行冥が使う事が前提の武器である。

フランベルジェのように刀身全体が波打った形状の両刃刀。制作者は鉄珍様の息子の願鉄。
小芭内の極めて柔軟な手首の間接を活かした曲がる太刀筋を、最大限に活かす事に特化した日輪刀であり、刀身自体を曲げる事でより殺傷力を上げているこの刀を、更に小芭内が太刀筋を曲げて使用する事で、まるで蛇に喰い千切られるかの如き威力の斬撃を鬼に浴びせられる。
加えて、小芭内自身の技量もあって曲がる太刀筋を自由自在に操り、驚く程の精度で敵の急所に正確に打ち込む事が可能で、これにより広範囲にいる鬼の頚を複数体まとめて斬り飛ばす事もできる。
攻撃の自由度の高さと手数と攻撃範囲では流石に上記した蜜璃に軍配が上がるが、こちらは敵の不意を突くトリッキーな攻撃と、太刀筋の精密なコントロールによる攻撃の精度、そしてその両方を活かした一撃の殺傷力により優れている。
加えて、元ネタであろうフランベルジェ同様に鬼の傷口を複雑化して再生を遅らせる効果や、相手の攻撃を受け流す防御にも優れていると思われ、後者の性質については受けに優れた水の呼吸の派生である蛇の呼吸とも相性が良い。
その形状故に普通の鞘では抜刀も納刀もできないので、弱めの磁石入りの革で刀身を包み込むようにして納める特注の鞘を使っている。

◆刀鍛冶の里

日輪刀を初めとした鬼狩り用の武器制作を担う総本山。
鬼殺隊で運用される武器は、基本的には全てここで開発されている。

まさに鬼殺隊の活動を支える生命線とも言える最重要拠点であり、鬼にその所在地が万が一にも露見しないよう、非常に複雑なセキュリティと徹底した情報秘匿を以て守られている。
具体的には、鬼殺隊内でも里の正確な所在地を知っている者は産屋敷一族を始めとしたほんの一握りだけで、最高位の剣士である柱ですら基本的には知らされていない。
柱を含む鬼殺隊士は、希望して許可が下りれば里を訪れる事ができるが、目隠し*10をした上で、後方支援に従事する「隠」達が交代しながら背負って運搬する。

しかも、この運搬役の隠や隠を案内する鎹鴉ですら正確な場所を知っている者はほぼおらず、経路や担当箇所の変更も定期的に行われている。
なお、鬼殺隊の本拠地である産屋敷邸は、より複雑な方法で隠されているらしい。

しかし、遊郭の決戦後に上弦の伍・玉壺により所在を特定され*11、彼と上弦の肆・半天狗による襲撃を受ける。
柱2を含む鬼殺隊の活躍により2体の上弦の鬼は討伐されたが、里には壊滅的な被害が生じてしまった。

刀鍛冶は火仕事の象徴「火男(ひょっとこ)」の面を着用しており、日常的に脱ぐ事は殆ど無い。
また、全員が里で生まれ育った人達で、名前に「鉄」や「鋼」の字が含まれているのが特徴。加えて、職人気質なので総じて口が悪い


◇刀鍛冶・住民

  • 鉄地河原(てっちかわはら)鉄珍(てっちん)
「折れるような(ナマクラ)を作ったあの子が悪いのや」

CV:屋良有作
刀鍛冶の里の現在の長。
見た目は非常に背丈の小柄な老人。鋼鐵塚の名付け親でもある。
老人ながら「よろぴく」と言うなど非常にノリが軽く陽気な性格。
だが、刀を折ったことを謝る炭治郎に対して、「すぐに折れる鈍を作る方が悪い」と逆に鋼鐵塚を酷評する等、刀に対しては非常に辛辣で厳しい人物で、この際には炭治郎すら気圧される程の怒気を発している。
現在の里で最高の技術を有した刀鍛冶であり、その腕は刀鍛冶の腕が最盛期だったとされる戦国時代の刀鍛冶にも引けを取らず、どっかの逆刃刀を作った刀鍛冶にも勝るとも劣らない程の奇剣の数々を制作している。
加えて、しのぶの日輪刀を見る限り、絡繰にも精通しているようである。

一方で、若くて可愛い女好きであり、そういった理由もあって蜜璃やしのぶの特殊な日輪刀も打った。
玉壺の使い魔である魚の化け物に握り潰され、血反吐を吐いたにも関わらず、蜜璃に助けられると「若く可愛い娘に抱かれてなんだかんだで幸せ」と発言していた。元気だなこのジジイ
また、外伝小説では縁談好きという設定も明かされ、彼好みの若くて可愛い娘との縁談を組むのを好んでいる。里の人間の縁談も多くは彼が組んでおり、同エピソードの鋼鐵塚の縁談も彼が組んだ。

ちなみに素顔は(3ゝ3)。

  • 鋼鐵塚(はがねづか)(ほたる)(37歳)
「刀を失くすとはどういう了見だ貴様ァアアアア!!万死に値する…万死に値するゥ!!! ア゙アアア゙ア゙アアア!!!」

CV:浪川大輔
火男の面を被り、風鈴を身に着けた旅装束の刀鍛冶。
炭治郎の日輪刀を製作して授けた刀鍛冶だが、その性格は激情家な上に人の話を聞かない自己中オブ自己中な37歳児
そのせいで、多くの隊士に嫌われて担当を外されてきた男。
詳細は個別項目へ。


  • 鉄穴森(かなもり)鋼蔵(こうぞう)
「まあ鋼鐵塚さんは情熱的な人ですからね」

CV:竹本英史
鋼鐵塚の同僚の刀鍛冶で、伊之助と後に無一郎の担当刀鍛冶を務めている。26歳。
刀鍛冶としての技量は確かであり、伊之助に打った刀は劇中で描写されてる限りは、最後まで大きな破損をする事なく彼に使われている。更に炭治郎の要望もあって鉄井戸の残した書き置きを基に、柱である無一郎に適した日輪刀も作成している*12
妻帯者であり、鋼鐵塚とは対照的に基本的には温厚で社交的な性格の持ち主で、年下の炭治郎や小鉄に対しても敬語で接する。加えて、玉壺から咄嗟に身を呈して小鉄を庇ったり、刀を研ぐのに夢中になっている鋼鐵塚を守ろうと、玉壺の前に必死で立ち塞がったりと心優しい人物である。
ただし、職人としての意識や刀への愛情はやはり強く、感情が高ぶると途端に口調が粗暴になる。
伊之助が端正を込めて作った刀を、彼の目の前で石でギザギザに刃こぼれさせたのを見た際には、「ぶっ殺してやるこの糞餓鬼!!」と殺意を剥き出しにした。当たり前である
なお、この時彼が見せた本気の怒りはかなり怖かったのか、その後帰る鉄穴森を見送る場面では、珍しく伊之助は炭治郎の後ろに隠れてしおらしくしていた上、鋼鐵塚すら大人しくしていた。

刀鍛冶のキャラクターの中でも、鋼鐵塚に次いで出番や見せ場が多いキャラであり、アニメの柱稽古編では無一郎のアニオリでも登場。
柱稽古の際に並行して刀を常に万全な状態にするべく、刀鍛冶とも協力すべきと提案した無一郎によって、無一郎達の刀の調整の為に彼の屋敷に招かれて専用の鍛造小屋で作業をしている。
彼が整えた刀は、正面に構えただけで衝突した紙飛行機を両断したりと、相変わらず刀鍛冶として見事な腕前を披露している。
他にも、炭治郎に無一郎が紙飛行機が好きな事を教えたり、その後の紙飛行機大会の審判をやったり自分も参加したりと、炭治郎と共に無一郎と隊士達の交友を深める手助けもした。

ちなみに素顔は目もシルエットも細長い。

  • 小鉄(こてつ)
「炭治郎さん 強くなって下さい そして奴にこう言うんです」
「その程度か?ゴミカスが 髪長すぎなんだよ切れ昆布頭 チビ 不細工の短足 切腹しろ恥知らず」
「打ち首獄門の方がいいですかね」

CV:村瀬歩
刀鍛冶の里に住む10歳の少年。
後述する縁壱零式を作った一族の子孫であり、彼の一族は刀鍛冶の中でも絡繰の扱いに特化した一族であるらしく、里では縁壱零式の管理とそれを使った剣士の鍛練をサポートする役割を持っている。
最初は気弱でネガティブな雰囲気の少年だったが、これは幼くして父親を亡くし、さらに後述の分析力故に自身の才能の限界を悟ってしまった事が原因。
しかし、時透無一郎の振る舞いにガチギレした事がきっかけで、元の調子を取り戻した。どっかの水柱の言う通り、怒りが人を突き動かす原動力になった結果である
実際の性格は、刀鍛冶の里の人間の例に漏れずかなりの激情家で、おまけにとんでもない毒舌家。ただし、後に直接言った訳ではないにも拘わらず、無一郎に毒舌を謝罪したり、鉄穴森達を助けるよう土下座して頼んだりと、本質的には素直な心優しい少年である。
また、こちらも下記の分析力故に負傷した自分の状態確認や、重傷を負った無一郎の介抱等も、年齢に見合わない冷静さで対応している。

実は分析力に長けており、炭治郎の動きを見ただけで問題点や弱点を看破できる程であり、どちらかと言えば自分が何かを発明するよりも、その補助や修繕する方に適した才能の持ち主だと言える。
この分析力自体は、剣士の鍛練の補助にも非常に優れた才覚なのだが、年齢が非常に若い故に指導者としてはド素人そのもので、ナチュラルに人間の限界点を理解していない
その結果、人間の限界点を一切考慮しない地獄の超スパルタ指導を炭治郎に課した。


当初は、前述の仕打ちもあって無一郎を激しく嫌っていたが、玉壺の血鬼術に襲われそうになった際に彼に助けられ、泣きながら無一郎に対する陰で言っていた悪口を謝罪。
更に、血鬼術で作り出された水の牢獄に囚われた無一郎を救う為、攻撃され負傷してもなお口で空気を送り込み、彼に全集中の呼吸をさせて反撃の機会を与えた
その後は、鳩尾に食らった一撃は懐に入れていた、炭治郎から預かっていた煉獄杏寿郎の日輪刀の鍔のおかげで助かり、アニオリでは事件終息後に鋼鐵塚や鉄穴森や鉄珍らと共に、里を立ち去る炭治郎を送り出した。

更に外伝小説では、縁壱零式の修理が進まず、先に移転した女性や子供に同行せず刀鍛冶の里に残っていたところ、里襲撃の2日後に里を訪れた無一郎と再会し、彼と共に縁壱零式の修理を行っていた事が明かされている。
そして、そこで改めて無一郎からこれまでの言動の謝罪と、里の件で自身を助けた事や記憶を取り戻せた事への感謝を伝えられた。
その上で、無一郎との再会を改めて約束していたのだが...

ちなみに素顔のパーツは着用している火男の面とほぼ同じ形で、周囲からは「面いらないのでは?」と言われているらしい。


  • 鉄地河原(てっちかわはら)願鉄(がんてつ)
里の刀鍛冶であり、鉄珍の実子。
本人は劇中未登場なので、キャラクター等は一切不明だが、小芭内の日輪刀の製作者であり、父親同様に特殊なスキルを持つ隊士に合わせた特殊な日輪刀をも作れる程の技量の持ち主である。
その技量や身の上からしても、恐らく刀鍛冶の里の長の後継ぎだと思われる。


  • 金剛寺(こんごうじ)鉄尾(てつお)鉄池(かないけ)鋼太郎(こうたろう)鉄広(てつひろ)
いずれも里の刀鍛冶。鉄広は小鉄の叔父にあたる人物である。
玉壺の手によって、作品「鍛人の断末魔」の 素材犠牲になった。


  • 鉄井戸(てついど)
CV:斧アツシ
時透の元担当鍛冶師。劇中では故人(心臓の病気)。
外見は煙管を吹かせた着物を着た老人で、素顔は不明。
無口で何を考えているのか分からず、人当たりも厳しいように見える無一郎が抱えていた内心で抱える不安や、血反吐を吐く程の努力を理解し、彼の事を理解してくれる者がこの先現れるだろうかと、ずっと心配して気にかけていた。
その為、次の担当刀鍛冶の為に自分が作っていた無一郎の刀に関する書き置きを予め遺しており、鉄穴森はこれを見て無一郎の日輪刀を完成させた。


  • 鉄穴森(かなもり)(えん)
鉄穴森の妻。24歳。
くびがやわらかい。
5年前はもうちょっと丸顔だったが、夫婦仲が良すぎて顔つきまで似てきた(細長くなった)。
外伝小説によると、刀鍛冶の里襲撃後は先に空里に移動し、荷解きや物質の搬入を担当していたらしい。


  • 鉄谷(てつたに)鉄本中(てつもとなか)鉄導寺(てつどうじ)
刀を抱えて避難していた鍛冶師。
半天狗に襲われたが、炭治郎の頑張りで間一髪生還した。
日光を克服した嬭豆子を見て、理由も状況も分からないが嬭豆子が助かって良かったと泣いたりと、シンプルに良い人達である。


◇施設など

  • 温泉
里にある温泉。
効能は切り傷・火傷・いぼ痔・切れ痔・便秘・痛風・糖尿病・高血圧・貧血・慢性胆嚢炎・筋肉痛・関節痛・性格の歪み思いやりの欠如・鼻炎・へその痒み・失恋の痛み
……後半いくつか変なのが無いか?というか温泉に浸かった程度で効果あるのか?
日常的に使用している筈の37歳や10歳を見る限り、それらの効能は期待できなさそうである…


  • 縁壱(よりいち)零式(ぜろしき)
小鉄の祖先が戦国時代に作り上げた、等身大サイズの戦闘用絡繰人形。
表面が破損した左顔面、6本の腕を除けば人間と全く変わらない外見を持つ。その外見のモデルは炭治郎の夢や無惨の回想に登場した耳飾りの剣士である。
なお、腕が6本ある理由は人形のモデルになった剣士の技量が腕が6本無いと再現できない事に起因している。まあ後に明らかになった耳飾りの剣士の技量を考えれば、これでも到底再現できていたとは言えないが...。

モデルとなった耳飾りの剣士が呼吸の開祖であった為か、それを再現した縁壱零式も呼吸の剣士用の訓練人形として作られており、人間を凌駕する力を持ち、百八通りの動きを可能とする。その性能は柱と正面から剣術で渡り合える程である。
更に指を回転させる事で動きを調整する事ができ、それによって相手の剣士の弱点を突くような動きを作れる。つまり、縁壱零式は零式の動きを組む刀鍛冶と二人三脚であり、担当の刀鍛冶(劇中だと小鉄)がいて初めて訓練人形としての真価を発揮するのである。逆にこの動きの調整をする人材がいない零式と打ち合ってもあまり意味はない。
しかし、300年以上も剣士の鍛練に使われ続けた事で零式も老朽化が進んでおり、しかもオーパーツと言える程に時代の先を行く技術で作られている為、修復する技術も失われているどころか子孫の技術も全く追い付いておらず、管理者である小鉄は動かす事を忌諱している。

劇中では、無一郎が無理矢理行った鍛練で壊れたかと思われたが、無事に再起動した後は、上記した通り小鉄の監督下で炭治郎に対する無茶苦茶な修行に使われ、最終的には新たに獲得したスキルで零式の動きに対応した炭治郎によって破壊された。
しかし、その人形の中からおよそ300年以上前のもの、恐らくは耳飾りの剣士その人のものと思われる極めて質の良い鉄で打たれた黒刀の日輪刀が出現。それを鋼鐵塚が研磨し、後に杏寿郎の形見の鍔を付け、その刀で炭治郎は最終決戦に挑む事となる。

その後外伝小説では、縁壱零式と以前手合わせした無一郎が零式の動きを再現し、それを小鉄が書き写して組み込む事で零式をある程度かつての動きができるように修復する事に成功している。


  • 空里(からざと)
万全のセキュリティを施した上で、万が一にも里が機能不全に陥ったり鬼に発見された際に、即座に移転する為に各地に複数用意されている予備の里。
いつでも新しい刀鍛冶の里として機能できるように、常に受け入れ準備と管理が行われており、劇中では上弦による刀鍛冶の里襲撃後に里の機能をこの空里に移すべく、急ピッチで移転の準備が進められた。
外伝小説によると、先に女子供を移転させて向こうで準備をさせた上で、里襲撃からおよそ4日後(炭治郎が意識を取り戻す3日前)に全ての移転作業を完了している。


◆まさかの商品化

2020年にバンダイからDX玩具として商品化されることが決定した。
水の呼吸とヒノカミ神楽の刀身を付け替える事でモードチェンジし、ボタンや刀を振れば音声が流れる。
ここまで書いてわかる通り、商品仕様からパッケージまで完全にニチアサグッズのノリで、ファンを驚愕させた。
ついでに光るパジャマも出るよ!

更にその後第二弾として、胡蝶しのぶバージョンのDX日輪刀も発売決定。
こちらも第一弾同様やっぱりニチアサ、というか『プリキュア』の玩具のノリで、刀身にあしらわれた蝶が輝くなどのエフェクト付き。
なお、しのぶの中の人は『魔法つかいプリキュア!』にてキュアフェリーチェを演じている。
……しかし刀身に「悪鬼滅殺」の文字が輝く女児向け玩具など前代未聞だろう。
ちなみに本製品は、本来の刀身の周りをクリアパーツによる毒や蝶のエフェクトで覆ったものになっている。
前述の通り本来は非常に細い刀身だが、そのまま商品化すると尖って危ないため*14と思われ、開発の創意工夫が見てとれる。

更に更にその後第三弾として、我妻善逸バージョンのDX日輪刀も発売決定。
刀身と鞘の付け替えで音と遊びが変化し、「雷の呼吸モード」「ヘタレ善逸モード」などなどが楽しめる、との事。

でもってこれで終わりではなく、第四段として甘露寺蜜璃バージョンも発売。
あの特徴的すぎる刀身はリボンで再現されている。こちらもにいくつかのモードチェンジ機能が実装されており、なりきって遊べる。

DXのバリエーションとは別にPROPLICAでも発売されたが、DX玩具との対比でなのかCSM日輪刀」がトレンド入りしてしまった。
更に、呪術廻戦本編でもまさかのこのDX日輪刀が登場した


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最終更新:2025年07月09日 08:05

*1 これは後述する猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石が、銃では銃弾に使用する事になるので、鉄の量や質が著しく落ちるのが原因だと思われる。

*2 そもそも鬼殺隊のような組織が政府非公認として存在する事を許されてる時点で、実際は政府や各有力者に対して相当なコネや影響力を持っていると思われる。

*3 義勇が最終決戦の際に、水の呼吸の剣士の刀を拾おうとしている描写がある。

*4 その為、作った刀鍛冶達が持っても日輪刀の色が変わる事はない

*5 ちなみに黒死牟によると、耳飾りの剣士以外の始まりの呼吸の剣士達は、黒死牟本人も含めて誰も赫刀を出せなかったらしい。

*6 実際に、耳飾りの剣士ですら日輪刀以外を赫刀化させた描写は無い。

*7 伊之助が最初の日輪刀を得た経緯は、ドラマCD「嘴平伊之助の力比べ」で詳細に掘り下げられている。

*8 むしろ行冥はこの武器に合わせて、岩の呼吸の各型を改造していたようである。

*9 これは黒死牟の扱う刀が鬼である自身の肉体から作られたものであり、日輪刀と打ち合うには相性が悪かった事もある。

*10 他の感覚が優れる者には更に鼻栓なども。

*11 方法は明言されていないが、劇中の描写を見る限り玉壺が一般市場に流通させていた壺を誤って里に入れてしまったのだと思われる。

*12 ただ無一郎の刀が縁壱零式との訓練で折れてから、炭治郎が鉄穴森と再会するまでかなりの時間が経っており、刀の鍛造にかかる時間を考慮しても途中までは別の刀鍛冶が作っていたのだと思われる。

*13 とはいえ、5日間以上の絶食に加え過酷な運動により極端な低栄養状態になっていると思われるので、いきなり沢山食べたら逆に危険ではあったのである意味これは正解である。リフーディング症候群も参照

*14 かといってデフォルメしすぎると、スポーツチャンバラ風のダサい刀身になってしまう。