ドラえもん のび太の人魚大海戦

登録日:2019/09/02 Mon 06:21:04
更新日:2025/04/01 Tue 22:33:38
所要時間:約 9 分で読めます




僕らのキズナは、海より深い!


監督:楠葉宏三
脚本:真保裕一
主題歌:青山テルマ「帰る場所」
挿入歌:武田鉄矢「遠い海から来たあなた」


『ドラえもん のび太の人魚大海戦』とは、『映画ドラえもん第2期シリーズ』の第5作目のタイトルである。
2010年3月6日公開で上映時間は98分。


【概要】

『映画ドラえもん』30周年記念作品で、通算30作目に当たる。
また、本作が公開された年は漫画連載40周年でもあった。

原作『深夜の町は海の底』を原案とした作品で、『海底鬼岩城』以来久々に海底が舞台となっている。

本作では『銀河超特急』まで主題歌や挿入歌に携わっていた武田鉄矢が14年ぶりに挿入歌を担当しており、公開当時は話題となった。


【ストーリー】

パラオの海でスキューバダイビングをしたというスネ夫の話を羨ましがり、自分もやりたいとドラえもんに駄々をこねるのび太。
そこでドラえもんは架空水面シミュレーターポンプを使い、架空の海でダイビングをやろうと提案する。

昼間のうちに下準備を終えたドラえもんとのび太は、深夜に架空の海でスキューバダイビングを楽しむ。
サメが迷い込むアクシデントがあったもののそれなりにダイビングは楽しめたのび太だったが、翌朝に庭で見知らぬ女の子が倒れているのを発見する。
ソフィアと名乗ったその少女は人魚族の姫であり、架空海水まきぞえガスを浴びた事で架空の海に迷い込んだのである。

人魚族は元々、地球に良く似たアクア星で平和に暮らしていたが、海が汚染され生き物が住める環境ではなくなったので、5000年ほど前に地球へ移住していた。
話を聞いたドラえもん達はソフィアの国に興味を持ち、ソフィアの人魚スーツをコピーして彼女の住む海底を訪れる。
だがそこでは怪魚族が全宇宙を支配するために、人魚族の宝「人魚の剣」を狙っていた。
そうとは知らないドラえもん達は、ドラえもんの道具で人魚の剣探しを始める。
その後、静香が人魚族の姫と間違われて怪魚族に誘拐されてしまい、事情を知ったドラえもん達は全宇宙を守るために怪魚族と戦う事を決意した。


【レギュラーキャラクター】


ご存知22世紀のネコ型ロボット。「あたたかい目」健在。
ダイビングをやりたいと泣きつくのび太を見かね、架空の海を作りそこでダイビングをやろうと提案する。
道具で何でもできるので、ソフィアに海の神様・マナティアみたいと言われていた。
また一人で何とかしようとするハリ坊に対して「一人で頑張ろうと思うのは素敵な事だよ。でも…一人でやるより、皆で力を合わせた方がもっと素敵だよ」と諭す一幕も。
いつもはタヌキと呼ばれるが、今回は何とフグに間違えられる。
漫画版では入浴中のソフィアの人魚スーツを諸事情で漁っていたので静香から大目玉を喰らわされた。

ご存知怠け者のメガネ少年。
例によって事の発端。ドラえもんの道具でダイビングを楽しんだ後、庭で倒れているソフィアを見つけ仲良くなる。
冒頭ではビニールの剣で海賊ごっこをしようとしていたが、これが後に静香救出に役立つ事になる。

ご存知風呂好きヒロイン。
ソフィアと仲良くなり、彼女のティアラを貸してもらうが、これによって怪魚族に姫と間違われ誘拐されてしまう。
捕まっている間にテキオー灯の効き目が切れかけるが、ギリギリのところでドラえもん達に助けられた。
漫画版ではお風呂を知らないソフィアに驚いていた。

また「南半球なら馭者座が見える筈」と話しているが、実はこの映画が公開された3月6日の南半球のシドニーの夜空では馭者座を見ることはできるため一応正しいことを言っている。
ただ北の低空に僅か3時間ほどしか見られないのだが…


ご存知頼りになるガキ大将。
ソフィアと初めて会った時には「のび太の心の友、ジャイアンこと剛田武です」と調子のいい事を言っていた。
「俺を食べても、うまかな~い♪」
漫画版ではスネ夫の名前をスネ川ホネ夫とあるまじき間違いをしてソフィアに紹介した*1

ご存知イヤミなお坊ちゃま。
一昨日までいとことパラオの海でダイビングを楽しんでいたが、ジャイアンにはパラオを「スネ夫のいとこの名前なのか」と間違えられてしまう。

最初のほうでのび太にお使いを頼もうとしたが、遊びに出掛けたのでドラえもんにお使いを頼む。
エピローグではドラミにお使いを頼んでいた。

お使いを頼まれたがドラえもんに押し付けた。
真夜中に酔って歩いていた時にサメを目撃し、それをお巡りさんに話すが信じてもらえなかった。

ドラえもんからの頼みで人魚の事を調べ、様々な伝説を語ってくれる*2
中盤から合流し、静香を助け出すために色々な道具を用意していた。

序盤とラストのみ登場。
天体観測をしていた所、架空水に入ってきたソフィアの影を目撃。その直後にサメと遭遇し、引っくり返ってしまう。
多分、今まで彼が登場した映画の中でも一番損な役割である。


【ゲストキャラクター】


  • ソフィア
CV:田中理恵
人魚族の姫。
心優しく勇気があり、好奇心旺盛な美少女。
海を泳いでいた時に架空海水巻き添えガスを浴び、架空の水に沈んだ東京に迷い込む。
のび太の家の庭で倒れていたところを発見され、ドラえもん達と仲良くなった。
ドラえもん達を海の宮殿に招待し、彼らと人魚の剣探しをする。
静香が自分と間違われ誘拐されると、ドラえもん達と一緒に静香救出に向かう。
漫画版では気の強さが強調されており、映画版以上にオンディーヌに反発したりブイキンに食って掛かったりする。

  • ハリ坊
CV:飯塚雅弓
人魚族の近衛兵隊長。
幼い頃に両親を亡くしており、育ての親であるオンディーヌとその孫娘のソフィアに忠誠を誓っている。
海を平気で汚す地上人を敵視しており、当初はドラえもん達を巨大魚に襲わせて処刑しようとしていた。
早い話が今作の海底人天上人ポジション。

ソフィアによって誤解が解けた後も警戒していたが、交流するうちに段々と心を許すようになる。
漫画版ではかなり口が悪くなっており、また口が滑りやすい。

  • オンディーヌ
CV:真矢みき
人魚族の女王でソフィアの祖母。
後継者であるソフィアには厳しい態度で接しているが、誰よりもソフィアの事を愛しており、厳しくしているのも彼女を立派な後継者に育てるためであった。
漫画版では容姿が異なり、厳しいおばあさまという一面が映画版以上に描かれている。

  • メジーナ博士
CV:温水洋一
王国に住む科学者。
古代アクア語を研究しており、人魚の剣についての古文書を解読しようとしている。
漫画版では登場せず。

  • サッカーナ
CV:さかなクン
メジーナ博士の助手。
漫画版では登場せず。

  • ブイキン
CV:山野史人
怪魚族のボス。
目的のためなら手段を選ばない冷酷な人物。
味方すらも平気で裏切り、躊躇なく他人の命を奪う。
全宇宙を支配するため、人魚族が守っている人魚の剣を奪おうとしている。
漫画版ではより怪魚っぽい見た目になり、人魚の鎧を実際に着込んで人魚族と闘う。

  • トラギス
CV:ケンドーコバヤシ
怪魚族の指揮官。
静香を誘拐し、彼女と引きかえに人魚の剣を手に入れようとする。


【用語】


  • 人魚族
海底に住んでいる種族。地上人と同じ外見のタイプと、俗に言う半魚人のような外見のタイプの2種類に分かれている。
彼らの祖先は、今から5000年ほど前に地球にやってきたアクア星人。
海が汚染された事でアクア星に住めなくなった祖先は、自分達の星に良く似た地球を見つけて移住し、海の底に町を作って今まで平穏に暮らしていたという。

人魚族と称されているが、普段は地上人と同じく二足歩行であり、海の中を泳ぐ時には「人魚スーツ」で下半身を魚のように変化させている。
陸上でも活動はできるが、長時間陸上にいると肌が乾燥し、そのままの状態が続くと体調が悪くなってしまう。
彼らの祖先が5000年前に地球にやってきた頃から世界各地で人魚伝説が生まれたため、ドラえもんは人魚伝説のモデルはソフィア達の先祖かもしれないと推測している。

地上人が平気な顔で海を汚し続けているため、ハリ坊のように陸上人を警戒している者も少なくない。
そのせいか陸地に上がる事は固く禁じられているため、殆どの人魚族は地上世界の事を知らない。
初めて陸地に上がったソフィアは、飛行機を初めて見て「泳いでいる」と呟き、タケコプターで空を飛んだ時には大はしゃぎしていた。

  • 怪魚族
アクア星で人魚族と共存していたもう1つの種族。
海の資源を食い物にして勢力を広げていき、突如アクア星を乗っ取った。
生き残った人魚族は怪魚族の圧倒的な戦力に敵わず、逃げるようにアクア星を去る。
その後は人魚族が守る人魚の剣を求め、彼らが流れ着いた地球に襲来した。

  • 人魚の剣
人魚族が危機にさらされた時に海の神様・マナティアが現れ、この剣を使って人々を助けるとされている。
人魚族は古くからこの剣を大切に守っているが、今はどこにあるのか分からないという。
言い伝えによると、真珠のように光り輝く美しい剣であるらしい。
またメジーナ博士が解読を進めている古文書には、剣の秘密にはソフィアが深く関わっており、この剣と怪魚族が持つ鎧、ソフィアの持つティアラが揃った時にとてつもなく大きな力が生まれ、世界を支配できると書かれていた。


【登場したひみつ道具】


  • タケコプター
お馴染みの移動手段その1。

  • 架空水面シミュレーターポンプ
地球の海面が上昇した場合どうなるかを調査するために架空の水を作り出す道具。
架空の水は下記の専用メガネをかけないと見えない。

  • 架空水体感メガネ
架空水面シミュレーターポンプで作り出した水を体感するためのメガネ。

  • トトスキー
魚が喜んで食べる餌。

  • お座敷つりぼり
今回は魚達を架空水に誘うための入り口として使用。

  • 架空海水まきぞえガス
これに触れた魚は架空水でも住めるようになる。

  • かなづち用足ひれ
かなづちの人でも水中で泳げるようになる。

  • ゴーホームオルゴール
このメロディを聞くとすぐに家に帰りたくなってしまう。
架空水に迷い込んだサメを追い払うのに使用する。

ソフィア達の言語を理解するために使用する。

お馴染みの移動手段その2。

  • タイム電話
ドラミと連絡をとる時に使用。
ちなみにドラミが持っていたのは「タイム電話ニューモデル」。

ソフィアの人魚スーツを増やす際に使用。
今回は色が変更できる機能がついているが、漫画版ではドラミから借りた新型の機能である事が分かる。

  • テキオー灯
『海底鬼岩城』同様、海底に行くために使用されている。ドラえもんのいない所で効果が切れかけるピンチが訪れるのも同様である。

  • 水よけロープ
これで囲んだ部分は水が入ってこなくなる。

  • テントアパート
ソフィアの国に行く途中で使用。
今回は水よけロープの中で使用していたので、排水云々の話は特に出てこなかった。

  • 宝探しペーパーとあぶり出し暖炉
大事なものを探す時にヒントがあぶり出しで出てくる。

  • 水圧砲

  • ツーカー錠
漫画版のみ登場。事情を知らないドラミに「ツー」だけで全てが伝わった。

  • インスタントパール*3
この中に入れたものは何でも真珠になってしまう。
のび太のビニールの剣を入れて真珠化し、それを人魚の剣と言い張って交渉に使っていた。

  • 手ばりデラックスバージョン
過去に出てきた手ばりよりも数段デカイ特別製。

  • ただのサーフボード

  • 名刀電光丸
ブイキンとの対決の際にドラえもんが使用する。

【漫画版】

緑の巨人伝』『ひみつ道具博物館』などと同じく、映画版と漫画版で細かな差異があり、漫画版の方では「人魚の剣」「謎解き」などの設定がより細かく描かれている。
「映画ドラえ本 30周年記念スペシャル!!!」での監督インタビューでは、「小さな子供にも分かりやすい映画にする」「話が広がりすぎるためにカット」と今作の映画について監督が答えているため、漫画版では元の脚本通りのものを含んでいる様子。
映画版とはまるで印象が異なる作品のため、映画版を見た人でも一見の価値あり。

  • ブイキンの容姿が怪物らしいものに。
  • ブイキンが水を操る剣を欲し、たんに水を操る剣で宇宙征服を企む理由をきちんと説明。「全ての生命は水から生まれ水無くして生きられる生命はいないため、水を支配することはすなわち生命そのものを支配すること」とのこと。
  • ソフィアとオンディーヌに映画版と違いクローズアップしない。
  • 怪魚族は人魚族とは別の種族の侵略者。
  • ソフィアの両親の不在は、怪魚族に攻められたときに両親を亡くしたため(人魚族と地球人とで時間の経過が違うことをきちんと暗示)。
  • ソフィアのため懸命に頑張るのび太の活躍あり。
  • 人魚族の出自について可能性だが明かされる。人魚族は故郷を目指して旅立つ。





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最終更新:2025年04月01日 22:33

*1 その後ソフィアにもホネ夫ちゃんと呼ばれていたが特にスネ夫が気にする事は無かった。

*2 漫画版ではメロンパン20個と引き換えの情報だった。

*3 しんじゅ製造アコヤケースの上位互換?