魔族(スレイヤーズ)

登録日:2020/08/20 (木曜日) 14:47:59
更新日:2025/04/14 Mon 23:46:39
所要時間:約 32 分で読めます



本項目ではライトノベル『スレイヤーズ』に登場する魔族について解説する。


概要

作中における敵勢力であり、作中世界の全ての生きとし生けるものにとって最大の脅威。
物理的肉体を持たず、精神世界面に存在する精神生命体であり、矛盾を内包した存在に満ちた世界よりも完全なる秩序に満ちた無の世界を望み、世界を滅ぼしたその後は自分達をも滅ぼして、世界ごと無と化すことを目的として活動している。
世界を無に帰すという目的自体も危険だが、他にも魔族は怒りや不安、恐怖、悲しみといった負の感情を糧としており、生物で言う食事に近い感覚で、負の感情を得るために人間に対して積極的に危害を加える*1
このため、生存を望む生物たちとは決して決して相容れない存在である。

精神世界の存在であるため、物理世界では自分の力で具現化させた端末を実体にして、意識を移す形で行動する。
存在自体が物理法則から外れているため、精神世界面に対しても影響力を持つ物理攻撃か特殊な武器、魔族の力を借りた黒魔術、精神系の精霊魔術や神聖魔法でなければ、ダメージを与えることはできない。
また、この特性から、応用として敵の攻撃で端末が撃破される直前に意識と端末のリンクを切り離し、直後に物理世界に別の端末を具現化して意識を移し、空間転移したように現れるという戦法がある(通称「トカゲのしっぽ切り」)。
このため、魔族を倒すには端末と意識を切り離す隙も与えないような不意打ち等が有効である。

特性

魔族の力量によってこれらの端末には差があり
  • 高位魔族:ダメージを受けても人間の姿のまま
  • 中位魔族:ある程度ダメージを受けると人間の姿を取れなくなる
  • 下位魔族:元から人間の姿を取れない
  • 亜魔族:そもそも自力で実体化できない
という区分で力関係が分けられている。
高位魔族もその気になれば化け物じみた姿を取れるが、姿を変えたところでパワーアップするわけではなく、戦略・戦術的な必要性が有るか*2、内部で同化しようとした人間の魂が激しく抵抗している様な状況でも無い限り人間の姿を保っている。
「人間を下等な存在として見下している=魔族が人の姿になることに嫌悪感がある」とは必ずしも限らず、上記のような特殊なケースを除いて人間の姿になれる個体が人間の姿になることは恥や醜態とはみなされない。
むしろ、ある半人半魔族によればわざと怪物染みた姿を取ることは魔族側にとっても「コケ脅し」と認識されるとのこと。

精神生命体という特性から、魔族は「死」と「滅び」という概念が明確に区別されている。
魔族の「死」は、大幅にダメージを負い物理世界へ現れる力を失った状態を指す。
対して「滅び」とは、その存在が完全に消え失せた状態を指し、死んだ場合はやがて力を回復して復活できるが、滅びた魔族は二度と復活しない。

そういった特性を除いても基本的に生物よりはるかに強い。
最下級のデーモンでさえ、人間が他者から力を借りないと発動できない魔術を自力で発動させている。
下級までなら一流の冒険者でもなんとかなるが、中級以上は人間ではほとんど相手にならず、魔王の腹心クラスになると普通の生物ではまずかなわない極悪な強さとなる。
作中で強い魔族を退けられたのも様々な要因が重なった結果であり、真っ向勝負では押し負けていることが多かった。

なお、人間は原則精神世界に干渉することが一切できないため、魔族は精神世界側から攻撃すればどれほど強大な人間あろうと一切の抵抗を許さずに確実に抹殺することが可能(尤も、精神世界からの奇襲に気づいて警告を発することが出来た例外も1人いるが)。
しかし、このようなことをすると「私は人間程度すら本気を出さないと殺すことができません」と認めるのと同義であり、精神生命体である魔族にとって実質的に自殺に等しいため、決してこのような戦法をとってくることはない*3
魔族が妙なところでフェアなのはこれが理由であり、弱者である人間相手には決して本気を出せない縛りプレイを強いられることになる。
逆に相手が精神世界に干渉できる種族や魔族同士の戦いなら、精神世界サイドから攻撃することもある(人間からは何をしているか全く理解できない戦いに見える)。

また、純粋な魔族である限り

  • 他の存在の力を借りた魔法を使えない(自身の非力さを示すような形になる)
  • 絶好調時の戦闘力は誕生時に費やされたコストに比例し成長や進化を行わない(同じコストで1体と2体の魔族が生み出された場合、後者は2人がかりで漸く前者と互角)
  • 自身の創造者の指示には絶対に逆らえない(たとえ「魔王と戦え」といった存在の根幹と反する指示でも)
  • 契約を結んだ相手か自分よりも魔力の強大な相手にしか服従しない(ただし、上に立つ存在の指示があれば商人の執事や国軍の将軍として勤務している描写がある。要は偽装などの行動には制限がつかない。)

といった制約も存在するが、人間と融合するとこれらの制約は無意味となる。

本編では言及されていないが、作者のインタビューによると下級魔族の繁殖は高位魔族がたまに絨毯爆撃的に種蒔きのように魔族の種のようなものを散布して増やしているらしい。
大半が亜魔族止まりだがごく一部力を溜めまくった個体だけが純魔族まで成長するとのこと。
高位魔族は魔王や腹心クラスでもない限り生成できず、さらに誕生させるのには莫大なリソースが必要&作るのに力を費やした産み手にそこそこ長期間の弱体化を招く。
本編時点ではシャブラニグドゥが封じられてるわ、リナの手で次々直属幹部クラスどころか腹心や魔王の分体まで消滅させられるわでただでさえ勢力が弱体化の一途をたどっている状況のため、
この状況で腹心を弱体化させてまで頭数だけ増やしてもメリットが無く、腹心直属の幹部が再生産されたことはない。

上述のように、作品世界の魔法には魔族から力を借りることで行使される「黒魔術」が存在し、特に高位魔族から力を借りた魔法は難易度が高い反面、威力や性能も優れている。
ただし、魔族Aから力を借りた魔法を魔族Aに放っても「お前を殺すのを手伝ってくれ」と言っている事に等しいため、どれほど強力な魔法であろうと本人が自殺でも望んでいない限り一切通じることは無い。

ちなみに愛情を有している魔族も度々登場している。
  • 自分が産み出した直属の部下に満悦して自分の名前の半分を与えたゼラス=メタリオム
  • 主人に道具呼ばわりされてガチで傷心したシェーラ
  • ペットの竜と生き別れた事で自暴自棄になったラギアソーン
あとがきによると「滅んだ相手を悼むような感情は本来魔族には無い」とされている。

感覚としては以下のような事が作中で分かっている
  • 聴覚は人間に近いが、人間に表現出来ない発音を使う事も有る
  • 視覚については、「最下級魔族が人間に如何見えるか想像出来ない」等、魔族等が目標だと見え方が人間と異なる
  • 味覚に関しては、原作でゼロスやシェーラ、ダルフィンが人間の食料を食べている場面があるので、人間の姿を取れる個体なら娯楽や人間に化ける演技として飲食を愉しむ事も出来る他、腹心級の魔族なら自分の一部を人間の食料に変化させて全く違和感なく食べさせる事も出来る
  • 臭覚に関してはリナに汚物塗れにされたシェーラが抗議している場面から、人間が汚物の臭いを嗅ぐと不快になる、ぐらいは理解している
  • 物理的な攻撃は無効なので痛覚は存在しないが、人間として生活した記憶が有るガーヴやシャブラニグドゥは痛覚をたとえ話に使った
また、チェスや喫煙の様な人間の娯楽を嗜んでいる例も度々描写されている。
命令によって酔っ払ったリナとガウリイと会話した下位魔族は揃って『何で自分がこんな酔っ払いの相手を』と露骨に嫌そうな態度を取っていたので、主食となる人間の恐怖を麻痺させる飲酒や酔っ払いは彼等にとって相当に嫌なものらしい。*4

なお、作中様々な魔族がポンポン出てきてはやられるため勘違いされがちだが、本来魔族はレア中のレアな存在でありそうそう出会うものではなく、強大な魔族や魔王の腹心ともなると「神話的存在」といえ、その実在を信じていない者すらいる。
実際、魔族絡みの事件でとある街の住民が全滅した顛末をリナが報告書にしたためて魔道士協会に提出した際には(目撃者が他にいなかった事もあり)完全に眉唾扱いされて取り合ってもらえなかった*5
なお、本編でやたら魔族が出てくるのは良くも悪くもリナが魔族側にとって重要な存在になったことから、つまりは「伝説級の事件が勝手に転がり込んでくる」特異点的人物となってしまったためである。
リナに関わった事であまりに犠牲が出過ぎた結果、現在連載中の第3部ではリナと事実上の休戦協定まで結んでいる。

なお、リナは本編で起きた魔族絡みの各種事件についても報告はしていたようだが、やはり与太話的な扱いだったようだ。
しかし、後に冥王や魔竜王の力を借りた黒魔術が使用できなくなった時期と報告との整合性が取れたことから「あれらの報告は真実なのではないか」と見直されることになった模様。
もっとも、リナ自身はあまり思い出したくない出来事が多かったためか特に肯定はしなかったが、その態度がかえって報告に真実味を帯びさせることとなったのは皮肉というべきか。

ちなみに上記の内容は主に原作の設定であり、他媒体では細かい設定が異なっている。

魔族の関連用語

  • 屍肉呪法(ラウグヌト・ルシャヴナ)
純魔族のみが使える呪法。
これをかけられた対象は無限に再生する異形の肉塊に変えられて、身体の表面から生まれる肉の蛇に食われては再生するのを繰り返し、
呪いをかけた魔族が滅びない限り死ぬことも出来ず、永遠に魔族の食料である「苦痛」という負の感情を垂れ流す物体となり果てる。


  • 精神世界面(アストラル・サイド)
人間達が暮らす物質世界とは表裏一体の関係にある別の次元。
物質世界とは異なる法則の次元・界であり、魔術も元々は呪文でこの精神世界面に干渉して引き起こすもの。
超ざっくり説明するならスレイヤーズ世界の高次元な霊的領域で、魔族の本体とはこの精神世界面に存在している意識、魂、力の総体のようなものである。
目や耳などで物質的な代物で感知は不可能だが、物質世界の生命体でもエルフやドラゴンのように魔力に敏感な種族なら感知は可能らしい。


  • 神魔戦争
本編より約5000年前に赤の竜神スィーフィードと赤眼の魔王シャブラニグドゥが舞台となっている世界の滅びと存続をかけて戦った戦争。
戦いはシャブラニグドゥが封印される形で決着が付くがスィーフィードも致命傷を負い、両者実質引き分けに終わる。
シャブラニグドゥ傘下の5人の腹心とスィーフィードの分身である四竜王は、この戦いの際に両名が封印・消滅する直前に遺される形で誕生したらしい。


  • 降魔戦争
本編より約1000年前に魔族、正確には冥王フィブリゾの策略により引き起こされた、魔族VS神族&竜族&エルフ&人間&ドワーフの戦争。
まず冥王が各地でレッサーデーモンを発生させて、人間の国同士のいざこざを起こし負の感情を発生させやすい戦乱という極限状況を誘発。
これにより封印されたシャブラニグドゥの分体の一欠片の発見と復活に成功して、当時カタートを拠点としていた水竜王を強襲。
戦いは水竜王の敗北に終わったが、後に「北の魔王」と呼ばれることになるシャブラニグドゥの分体も封印され、戦いに参戦したガーヴも死んで一時的に活動停止になるなど、魔族側も少なくない損害を受けた。


  • ディルス事変(仮)
本編より約20年前、英断王として名高かったディルス王国の国王「ディルス二世」が5千の精鋭を引き連れてカタート山脈の北の魔王討伐に向かった出来事。
表向きは誰1人戻らず世間ではディルス軍は北の魔王に返り討ちにあったと噂されたが、実はディルス二世は上述した「屍肉呪法」をかけられて国に送り返されて、
介錯しようにもできないため王城のどこかで苦痛の声を響かせている……という都市伝説がある。
そして2部において、その都市伝説が真実だとグラウシェラーの口から語られている。
実質魔族側の完勝だったが、参戦したラギアーソンによれば下位魔族だけでなくペットの竜も駆り出されるそれなりに激しい戦いだった模様。


※以降にストーリーの核心に関わるネタバレがあります。

未読、未視聴の方はご注意ください。

キャラクター

【魔王】

  • 赤眼の魔王(ルビーアイ) シャブラニグドゥ

魔族を統括する支配者。
約5000年前の「神魔戦争」にて「赤の竜神スィーフィード」によって相討ちに近い形で七つに切り裂かれ、それぞれ別の人間の心に封印された。
竜やエルフの魂に封じた方がより封印は強固になるとのことだが、あえて人間の魂に封じられたのは、スィーフィードが寿命の短い人間の魂とともに輪廻転生を繰り返させて、時間をかけて徐々に浄化消滅させる事を狙っていたため。
ただし、同時に器となる人柱が激しい負の感情に飲まれればそれを糧にシャブラニグドゥが復活する危険もあった。
人柱が自然死しても別の人間として転生するだけだが、一度でも覚醒してしまえば人柱は永久にシャブラニグドゥと同化する。
このためか、劇中で復活したシャブラニグドゥの分体は、中身は同じだが器の影響を受けてか個体により喋り方などが異なる。神魔戦争から5000年経っても未だに浄化消滅できていないどころか、7分割した内の3体が復活しているので正直スィーフィードの狙いは大失敗な気がしなくもない。
共通して力の一部を道具として具現化させた餓骨杖(がこつじょう)を武器とする。
赤眼の魔王の力を借りる呪文は竜破斬(ドラグ・スレイブ)魔王剣(ルビーアイ・ブレード)が登場している。

七つに割かれた状態なので力は劣化しているがその状態でも腹心より強く*6、魔族達はあの手この手でシャブラニグドゥの分体の捜索と復活のために動いている。
スレイヤーズでは、約1000年前に起きた「降魔戦争」において分体の1つが蘇っており、加えて本編において7つの分体の内2つが相次いで蘇り、リナと激突した。



【5人の腹心】

シャブラニグドゥ直属の大幹部である魔族。
降魔戦争の時に魔竜王を除く四人で神封じの結界を張っており、腹心自ら物質世界で直接行動を取ることは稀で、原則として有事には直属を始めとする配下の魔族を使役する。

  • 冥王(ヘルマスター) フィブリゾ
CV:伊倉一恵


「言うのは自由だよ。実行できるかどうかは別として」

5人の腹心の中で最強の力を持つ筆頭格であり、動けない北の魔王に代わり指揮を担っていた存在。
人間態は外見で人間を油断させて騙しやすくするため少女と見間違えるような少年の姿を取る。
輪廻転生を視る力を持ち、封印の弱まったシャブラニグドゥの欠片を探知する事ができる。
リナ達の時代より約1000年前に降魔戦争を起こし、レイ=マグナスを北の魔王として覚醒させたのもこいつの仕業である。
強大な力を持ちながらも、力を使うことよりも策を用いて戦うことを好む陰険悪辣な性格。
部下の扱いも悪く自身の神官、将軍を降魔戦争の際に捨て石にしてしまったらしい。
このため、ガーヴには「陰険野郎」、ゼロスには「変わり者」、リナには「根性悪魔族」と散々言われている。
本格的な活動は第1部後半で、本編では北の魔王から金色の魔王の呪文を使う人間の存在を教えられ、
リナの重破斬を暴走させて世界を無に帰す計画を立案。ついでこの計画を餌に離反した魔竜王ガーヴをおびき出し粛清しようとした。
九分九厘計画はうまくいくかと思われたが、肝心要の「重破斬を暴走させたら何が起こるのか」という点が希望的観測頼みだったのが命取りとなった。

シャブラニグドゥを除けば、魔族内で唯一無詠唱で人間の魔法を発動すらさせずに無効化できる。
参考までに同格のガーヴやグラウシェラーは簡単に防御できることを差し引いても発動そのものは阻止できなかった事を踏まえると、他の腹心を凌ぐフィブリゾの力の強さ窺える。

力を借りる呪文にはちょっと小粋でアドリブの利くゾンビを生み出す冥王幻朧呪(ラグナ・ドライブ)、闇のプラズマで敵を撃つ冥王降魔陣(ラグナ・ブラスト)などがある。
他の腹心の力を借りた呪文が原則「腹心の名前+α」なのにもかかわらず冥王の呪文だけ「ラグナ~」で呪文名が統一されているのは、作者曰く最初に冥王関連の術を開発した人がそのフレーズを使って以降慣習化したからで、
「開発者は最初は(呪文名に)フィブリゾと入れていたものの言いにくくて噛んだので変えたのかもしれません」とのこと。
なお、うっかり金色の魔王に喧嘩を売って滅ぼされてしまったため、彼の力を借りる上記の術は使用できなくなったが、すぺしゃる劇中で生成されたちょっと小粋でアドリブの利くゾンビは現存しているらしい。
また冥王とは言われているがあの世界の一般的なネクロマンサーはフィブリゾの力を借りているわけではなく、特に商売あがったりといったこともない様子。

余談だが、時系列的に本編の前にあたる「すぺしゃる」でリナが一般人にフィブリゾの名を挙げて「カマドウマに似ている」とホラを吹く場面があり、そのとばっちりで読者から虫扱いされることもしばしば。
当時のリナもまさかフィブリゾ当人に出会うとは思ってもいなかったであろうが。

スマホゲーム「ファンタジアリビルド」では「本編開始前の時間軸のフィブリゾ」として登場。
知り合ったルークがシャブラニグドゥの転生体であることに気づき*9彼の大切な存在であるミリーナを殺害。まんまとルークを覚醒させることに成功した。
…が、なんとか危機を脱した主人公たちによる数度の時間逆行によって魔王の覚醒こそ発生したものの、ミリーナを守り抜くことに成功。
そして主人公たちの「記憶の弾丸」を受けたルーク=シャブラニグドゥが一連の事件及び逆行前のフィブリゾの悪行を知り、自身を覚醒させたことをシャブラニグドゥ側の意思から称賛されると同時に「ミリーナを殺した罪」よってルーク側の意思によって滅ぼされた(ルークも魔族側にとって損失でしかないと認めている)。


  • 魔竜王(カオスドラゴン) ガーヴ


「善も悪もあるか。オレはオレが生き延びるためにそうしただけのことだ」

「自分が生きるために戦っている‐‐ってことじゃあ、あるいはオレとお前は似ているのかもしれないな。」

本編で最初に登場した(正確には正体を明かした)5人の腹心であり、降魔戦争で北の魔王と共に水竜王と戦った存在。
人間態は象牙色のコートを着た野生的な印象のある赤い長髪の男性の姿を取っている。本人曰く「この姿が気に入っている」
北の魔王が同じ「竜」としての属性を持ったガーヴを介して水竜王へ攻撃を行ったため*10滅びこそしなかったものの一時的に死ぬことになり、その隙を突かれる形で滅ぶ間際の水竜王の悪あがきにより、「竜」としての属性を逆手に取られて封印をかけられ、人間として転生する*11
封印が不完全であったため転生を繰り返すうちに魔竜王としての記憶と能力を取り戻したが、後遺症で人の心と混ざってしまい、存在し続けることを望み、自分の部下を連れ魔族陣営から離反して敵対した*12
セイルーンやディルスなどの大国や邪神教団に部下を潜ませ、北の魔王と戦う準備を密かに進めていたが、その最中に、フィブリゾによりわざと漏らされた「魔族はリナ=インバースを利用した大きな計画を進めている」という情報を得て、「リナという人間がどう関わるのか知らないけど念のため殺しとこう(意訳)」という理由で*13、部下にリナの命を狙わせていた。

「世界を守る為に魔王と戦う」という目的で活動しているが、完全な人間の味方という訳でも無く自分から攻撃する事は無くとも状況によっては捨て駒にするのも止むを得ないという容赦のなさは魔族寄り。
だが人間の心が混じっているためか、アメリアのボケにギャグ顔で硬直したり、「自分が生き延びようと魔王に反抗するのもリナ達が生きるために自分に抵抗するのも正当」「自分に大人しく殺されろと言うのはリナにとっては無茶な話」とリナの抵抗に一定の理解を見せたり、他の魔族と比較して人間味のある性格をしている。
一応、配下にはリナを例外として殺人を禁じ、自身に抵抗しようとしたガウリイとゼルガディスも一旦は説得で手を引かせようと試みる等、無益な殺人を嫌っている*14節もあるが、配下達には「自分が殺人を禁じられているなら人間の殺し屋を雇えば良い」「知能が低くて無差別攻撃しかねないレッサーデーモンをけしかけるのはOK」と暴走されている。

ゼロスから「気が短い」と評されているが、ゼロスの詭弁を見抜いてゼロスとゼラス=メタリオムが冥王の計画の詳細を知っている事に気付き、弱体化したゼロスが逃走に転じた際も慌てるラーシャートに冷静に追撃を指示し、正義を振りかざすアメリアを的確に論破する等理解力や判断力自体は悪くない。
人と混じっているとはいえ、ゼロスに容易に重傷を負わせ、人間が使える呪文で最強の攻撃力を有する崩霊裂や竜破斬を「(人間が)子猫に噛まれた程度の被害しか受けない術」と評して口笛のような短い呪文で簡単に無効化するなど実力は衰えておらず*15、加えて人間相手に精神世界側から攻撃できるかのような発言をしている(色々な事情で未遂)。

竜たちの峰(ドラゴンズ・ピーク)」においてリナと対峙するが、完全版「神滅斬」を受けて弱ったところでフィブリゾの奇襲を受けて滅ぼされた。
終わってみれば、対魔族用に集めた戦力を潰されるわ、リナをダシにまんまと誘き出されたところを狙われるわ、ことごとくフィブリゾの掌の上で踊らされた末の敗北であった。

力を借りる呪文には貫通力のある火線を放つ魔竜烈火咆(ガーヴ・フレア)などがあるが、冥王に滅ぼされてしまったため使用不可となった。

アニメ「TRY」では、ヴァルガーヴの回想に登場した他に最終話のアイキャッチでセーラー服で登場し、お茶の間の視聴者を凍り付かせた*16
尤も、原作小説でも「ガーヴが女性型魔族である」という俗説は沿岸諸国連合と呼ばれる一帯で知れ渡っており、
  • リナ・インバースの名前で人間社会に潜伏している
  • 人間の魂を狩り集めている
  • ある程度ダメージを与えると巨竜に変身する
等と「人間社会に潜伏している」」以外は真逆に近い尾鰭が付いている。


  • 覇王(ダイナスト) グラウシェラー


「その挑戦、受けて立とう!我、覇王グラウシェラーの名において!

来るがよい!命持ちたる者どもよ!」

第2部前半から中盤にかけてリナと敵対した腹心。
リナのせいで著しく戦力が減退した魔族陣営の巻き返しのため、
自身はガーヴ陣営が駆逐された後のディルス王国の混乱に乗じ、ウェルズ=ゼノ=ガイリア国王とすり替わる事で国を掌握。
シェーラ他数名の部下も潜入させて、表向きは「国王は傭兵シェーラに篭絡させられて性格が変わった」様に装っていた。
腹心の中でも特に冷酷な性格で、直属の部下の名前も手抜き*17かつ、公然と道具扱いする始末。
更に道具扱いされたシェーラの傷心を餌にして「同族の負の感情も中々美味」と悦に浸っていた。

人間の権力者として動きつつ、約1000年前のフィブリゾの模倣で、各地にレッサーデーモンを大量発生させて降魔戦争を再現しようとした。
しかし、フィブリゾの場合は争いの種をまくことで魔王の封印が解けやすい状況を作る意図があったのに対しグラウシェラーは行き当たりばったりにレッサーデーモンを暴れさせるだけというお粗末な模倣でしかなく、ルークが魔王の転生体だと発覚したのもほとんど偶然であった。
おまけにルークがシャブラニグドゥの転生体と知った後も、残りの側近を呼んできちんと戦力を整えることをせず、負けたシェーラ以下の実力しかない近場の部下を寄せ集めて早々リナ達に挑むなど、短慮かつ見切り発車的な行動が目立つ。
ミルガズィアやメンフィスとリナの合流という想定外の事態があった事を差し引いても、考え無しというか勢い任せの方針が一目瞭然であり、スペックはもちろん指揮官としてもフィブリゾに大きく劣る。
そもそも、ガーヴがラーシャートを通じて対魔族戦闘の訓練を施していたディルス王国で魔族を暴れさせるのは効果が薄い割にハイリスクでしかなく、実際、実体化した処をディルス兵に槍で動きを封じられて対魔族攻撃を直撃させられたり、即座に魔族と気付かれて組織立った反撃を許したりと無駄な被害を思い切り出している。

棚ぼたでルークが転生体という情報を入手したため、ディルスを離れようとしたリナ達を再度ガイリア・シティにおびき寄せて有り合わせの部下をけしかけ、「死の恐怖」による負の感情で魔王の覚醒を促そうとしたが、配下が悉く敗れたため自ら出陣。
圧倒的な力でリナたち6人を完全にもて遊んだが、メンフィスの鎧*18で精神世界の本体と意識を映した端末を切り離され、大きく力に制限ができたところを倒された。
端末と切り離された本体は精神世界に健在だが端末に注いでいた分の力をごっそり削がれて弱体化しており、しばらく表舞台から身を引いている。
一度死んだガーヴの例から時間をかければ復活は可能と思われるが、そのガーヴもゼロス曰く「復活するまでに何度も人間として転生した」、つまり少なく見積もっても100年以上の時間を有したのは確実であり*19
水竜王の転生術を受けたあちらとは一概に比較できないにせよ、決着後のミルガズィアの反応を見る限り真っ当な時間経過だけでリナ達の存命中に復活する可能性は限りなく低いと思われる。

主な敗因はグラウシェラーが終始遊びに徹して本気を出さなかったこと。
本人は舐めプしているかのように振る舞っていたが、より正確に言えば部下と同じく魔王の転生体のルークを殺さずに戦うという匙加減が難しく、おまけになまじ強いばかりにルークを巻き添えにすることを危惧して「まず仲間(特にミリーナ)を殺してルークを負の感情に飲ませる」という手段を取れず、リナ達に機を与えてしまったのである。*20
他にも、同様の理由でガウリイの攻撃を受けた際に咄嗟にガウリイ本人ではなく武器を攻撃して破壊しようとしたところ、
実は伝説の武器「斬妖剣(ブラスト・ソード)」だったその剣が本来の力を抑制していたガワの刀身が壊れてが真の力を発揮できるようになり、却って自分がピンチになる結果を招いている。
また、格下のゼロスが知っており、人間であるリナ達ですら断片的な情報から特性を見抜いていたザナッファー*21の特性を見抜けず、
冷静に対処すれば逆転の目もあった所をパニックを起こして結局いいように翻弄される等知識や判断力の面でも劣っている。
具体的にはメンフィスの鎧で切り離された際は意識が2つに分割された状態だったため、作者曰く鎧に捕らわれた端末とは別の端末を作って意識の片割れを移すという手も取れたらしいが、
やはりここでも勢い任せに深く考えずに「人間相手にそこまでやる必要はない」という油断もあり、ムキになってそのままゴリ押そうとしたのも失策であった。
このしょっぱさ故に、後にやっと封印が解けたルーク=シャブラニグドゥにはちっとも評価されていない。
果ては腹心の中で唯一立ち絵が無い可哀想な人。新装版の表紙もイラストはシルエットとなっている。

また、前述のようにウェルズ=ゼノ=ガイリア国王に化けてその名前で活動していたが、これは魔族としては極めて珍しい例であり、人間社会に潜伏する魔族も通常は本来の名前を人間に発音し易い形に訛らせた名前を名乗っている。

力を借りる呪文は、広範囲に電撃を放つ覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)、魔力の氷で対象を凍結粉砕する覇王氷河烈(ダイナスト・ブレス)がある。


  • 獣王(グレーター・ビースト) ゼラス=メタリオム


「乱暴だな。念の為に言っておくが竜とエルフには手を出すな」

ゼロスの上司として度々名前が登場していた腹心。
原作では最終巻で旅装で金髪をショートカットにした大柄な女性の姿で登場した。
アニメ版ではTRYのOPと最終話で登場しているが、長い金髪のドレス姿で喫煙をしている。
RevolutionのOPでは下半身のみ登場し、原作に近いデザインの衣装に変更している。
他の腹心は直属の部下を作る際に、一定の力を分割して複数の部下「将軍・神官」を創り出したのに対して、
ゼラス=メタリオムは神官ゼロスのみを創り出したという。
本編に同時登場したダルフィンとはその強引な行動に多少呆れはするが普通に接しているものの、ゼロスに自身の名前を付けて得意になっているのをグラウシェラーに嫌味で真似られたり、フィブリゾに部下の脱走を種に協力を強要されたりと他の腹心達との関係は余り良くない。
腹心の中では一番真面目な性格で誰にでも礼儀正しい態度を取り、ダルフィンが暴走しないよう釘を刺したりしているので、リナからは「味方のメンフィスの方が余程失礼」と評されている。

SFC版では翼の生えた獣人のような姿をしておりなんとラスボス

力を借りる呪文は、追尾性のある光の帯を放つ獣王牙操弾(ゼラス・ブリット)とその複数版「ゼラス・ファランクス」があり、前者ですらリナでも使用の際にタリスマンの補助で魔力容量を上げる必要がある。
作者の年賀状では「お魚(ディープ・シー)咥えた猫」として描かれた。


  • 海王(ディープシー) ダルフィン


「受付係、の、ようなものだと考えていただければ結構ですわ」

腹心の中で最も本編に絡まなかった個体。
原作では最終巻に高価そうな蒼いドレスを身に纏った長い黒髪の華奢な女性の姿で登場した。
外見こそお淑やかでリナに化けた際にも上品な言動で人間に接しているが、数少ない言動からかなり短気な性格だと分かる。
ただし、「疫病神のリナ・インバースとは関わるな」とゼラス=メタリオムとの合議で結論を出しており、自陣営の無益な被害を好まない一面も有する。
漫画『水竜王の騎士』では直接登場こそしないが、結界が消えた後結界の外側の地域に干渉しようとしていた。

力を借りる呪文は、長大な水の刃で広範囲を切り裂く海王滅殺陣(ダルフ・ゾーク)海王槍破撃(ダルフ・ストラッシュ)がある。前者は大量の水がある環境でのみ使用可能。
作者の年賀状に描かれたことがあるが、獣王の項目に書かれている通り「猫に咥えられてるお魚さん」となんとも言えない姿になっている。


【将軍・神官】

将軍(ジェネラル)」および「神官(プリースト)」の称号を持つ腹心直属の手足となって動く上級魔族。
あとがきでシャブラニグドゥが「中級」扱いしている、本編でノーストが自身を「上層部の一員」と言っている描写から、シャブラニグドゥ本来の構想では中堅幹部扱いだったのが、魔王の封印によってなし崩しに上級扱いされるようになった可能性が高い。
前述の通り、創造主から与えられた力の差によって同じ称号を持つ魔族でも実力には雲泥の差がある。

  • 獣神官 ゼロス


「それは秘密です」

ゼラス=メタリオムの側近にして、魔族で唯一のレギュラーメンバー。
神官の格好をした細目でミステリアスな雰囲気をした男性の姿をしている。
獣王陣営における直属の幹部はゼロスのみだが、それは同時に他の陣営の腹心が将軍・神官等複数の側近を創る際に、
分割していたリソースを丸々用いてゼロスが創られたという意味でもあり、単騎の実力は他の陣営の将軍・神官を上回る。
普段は茶目っ気を交えつつ温厚な雰囲気を漂わせているが、本性は作中の魔族の中でも突出して冷徹で残酷。リナ曰く「談笑しながら相手の首を掻っ切るタイプ」とのこと。
降魔戦争では単身で竜族をほぼ壊滅させた事から「竜を滅せし者(ドラゴン・スレイヤー)」の異名を冠している。
劇中では上の命令でリナをガーヴ陣営と戦わざるを得ない状況にするため、ガーヴ陣営の仕業に見せかけてガイリア・シティを焼き尽くす所業をしれっと実行し、
さらに自らの娯楽の為に同胞の魔族を滅ぼす所業も平然と行っており、普段の言動は長年任務で人間社会に潜伏した賜物で外面を作るのが巧みなだけで、ある意味腹心達よりもタチの悪い性格をしている。

一方で魔族全体の本願よりも自分の価値観と矜持(あと道楽)を優先しようとするなど、魔族としては変わった一面も持つ。
仕事自体は真面目に行うものの、支障をきたさない範囲では悪趣味な好奇心や遊び心を見せる傾向にあり、第1~3部全てにおいて結果論とはいえ、リナに助力したり有利になるような行動を取っている。あと部下がペット飼う事にOK出したりもする

本編でリナと対峙したことは無いが、戦いになればまともなやり方では勝てないとリナも判断しており、加えて、直接対決で敗れたシャブラニグドゥと事前に魔族仲間から情報を収集していたノーストを除けば唯一リナを軽視していなかった魔族ということもあり付け入るような隙も無い相手であった。
第1部当初ではフィブリゾに無理矢理パシられたのと、「人間の護衛」という任務内容が不服だったらしいが、リナが自分の正体を看破したうえで宣戦布告したことにより認識を改めたらしく、
第1部ラストでは、トドメを刺すチャンスだったにも関わらず「決着は別の機会に」とリナを見逃すなど彼女に対してある種の興味と敬意を持っている節がある。
どこまで本気だったかはともかく「負の感情を糧とする純魔族にとって人生賛歌はダメージになるはず(意訳)」というアメリアの脅しにかなり嫌そうな顔をしたり*22、タリスマンを買い取ろうとするリナに非現実的な値段を突き付けたつもりがあっさりそれだけの代価を用意されてしまったり、
リナに「後ろ姿がゴキブリ似」と言われて嫌がったり、ガウリイに決め台詞を取られて拗ねて去ってしまったりと、リナ一行にペースを狂わされる場面もあった。

第二回人気投票では上位に食い込み、第三回に至っては首位になるなどスレイヤーズの主に女性ファンから突出した人気があり、石田彰の演じたキャラの中でも特に強い人気を誇るが、普段から性格悪い言動が目立つ上、素が本気で冷酷なため、演者と作者は「何でこいつこんなに人気あんの?」と首をかしげたとか。


  • 竜神官 ラルターク


「共に戦うということは、すなわち、互いの力を利用すること。ならば、その能力に応じた役割を与えられるのが必然。

魔族を傷つける能力を持たぬ存在は、その数をもって盾となるのが適当というもの」

ガーヴの側近。白いと髪を生やした老年の男の姿をしている。
ガーヴ陣営が「リナが冥王の立案した計画の核となる」という情報を入手した後、
リナを殺そうとした部下のカンヅェル、マゼンダが相次いで敗れたため、自ら出撃してリナを突け狙った。
実力は相応にあり、登場当初は無害な商家の執事を装う等、演技力にも長けるが、ゼロスの介入で何度もリナを仕留め損ねるなど見せ場に乏しい。
更に「リナを殺すのは念のため程度」「人間は数を頼みに盾になる程度の同盟者」との失言の連発で同盟が成立しかけていた黄金竜(ゴールデンドラゴン)族のリーダー・ミルガズィアに愛想を尽かされ、事情によっては味方に付いても良いと目の前で宣言したリナを完全に敵に回すと言う大失態を犯している*23
使役したレッド&グレイの自爆攻撃によってアメリアを負傷させられたリナの怒りを買い、ゼロスの黒い錐2発と竜破斬を乗せた光の剣の集中攻撃を受けて滅ぼされた。
ついでに作者から「リナの姉はラルタークぐらいの相手なら笑いながらどつき倒せる程度の実力」と、引き合いに出されたりしている。


  • 竜将軍 ラーシャート

「正体すらよくわからん計画を潰す為に、自分達の進めていた計画--それも、かなり重要なのを、態々潰すバカが居るか?」

ガーヴの側近。
魔族陣営との戦争のため、ディルス王国内部に将軍として取り入り、戦力増強に勤めていた。(無論、人間達を捨て石にするつもりであったが)
その際、リナを対魔族戦の講師として雇おうとしている。*24
ガーヴの消滅後は指揮権がフィブリゾに移り、ガーヴの仇討ちを装いつつリナに「重破斬」を使用させようと付け狙ったが、
大根役者過ぎて本命の狙いをあっさり見破られた挙句、「重破斬を使わせるまでリナを殺すな」と命じられたのが災いし、無防備に突撃してくるリナに狼狽した隙を突かれてあっさり滅びた。
腹心直属の幹部のなかでは最初にリナに止めを刺された個体。
実力は確かだが、戦力差を理解せずに挑んだゼロスに半殺しにされた挙句こき下ろされ、おまけにリナを襲った時の大根役者っぷりが酷過ぎたため、読者や作中のキャラ達からはひたすら小物扱いされている。
上司のガーヴですらゼロスを追い詰めた際に「(今の攻撃で)ラーシャートだったら死んでた」と引き合いに出す始末だった。
人気投票で-1票しか票が入らなかったのは有名な話。


  • 竜神官 ヴァルガーヴ
CV:高木渉
アニメ版TRYに登場したガーヴの側近。
黄金竜(ゴールドドラゴン)によって滅ぼされた古代竜(エンシェントドラゴン)の生き残り。
重傷を負い逃亡していた時にガーヴに出会い、ガーヴの力を注ぎ込まれ配下になった。
パワー面ではゼロスをも上回り、尚且つ純粋な魔族ではないので魔族特有の縛りもないが、竜族に強引に魔族と人間の要素を移植したノウハウが皆無に近い合成体*25であるので全力発揮時の安定性に難がある。
命の恩人であるガーヴに対して強い忠誠心を持ち、ガーヴが滅ぶ切っ掛けを作ったリナに復讐しようとヴォルフィード世界の神族と手を組みダークスター5つの武器を探す傍ら、世界の安定という名目で一族を滅ぼされた恨みから、実はダークスターを召還し世界を滅ぼそうと企んでいた。
遂にダークスターを召還しダークスターによって消滅したと思われたが、ダークスターの半身と同化して復活した。
最終的に同化したダークスターの力で世界を滅ぼそうと猛威を振るうが、ダークスター5つの武器とフィリアの神の力とゼロスの魔の力を一つにしたガルヴェイラの光の矢によって消滅しダークスターは元の世界に押し返された。
決戦後現れた女性のシルエットのオーラ(おそらくヴォルフィードもしくは金色の魔王だと思われる)から再生したタマゴの姿で現れフィリアが預かり育てている。


  • 覇王将軍 シェーラ
グラウシェラーの側近。第2部前半で対峙し続けた敵。
「出身はカタート山脈*26と自称している事からゼロスやラーシャート、ラルタークよりも若い世代と思われる。
魔族にしてシェーラ自身のための魔剣「ドゥールゴーファ」を具現化して武器としている。
長年人間の娘のフリをして、魔力剣の噂を流し腕の立つ人間を誘い出し、持った人間と同化する能力を持つドゥールゴーファで魔王を封印している人柱を探していた。
リナにより正体が露呈した後はグラウシェラーと合流し、表向きは傭兵としてディルス王国に入り、国王とすり替わったグラウシェラーを自分が篭絡して傀儡にしたかのように振る舞って正体を隠していた。
最終的にリナ達に敗れるもその戦いで全くの偶然からルークが魔王の人柱であることが発覚したため、消滅の間際に何らかの方法でグラウシェラーに伝えた。

グラウシェラーよりはマシだが、彼女も割と大雑把で無計画な面があり、戦い寸前の空気だったにも関わらず、リナに自分の名前を手抜きとバカにされて沸騰し、(戦えば有利な状況だったのに)グラウシェラーに名前の由来を聞くために即撤退したりしている。
当のグラウシェラーからは「道具の名前なんてどうでもいい」とか言われてしまったらしく、割とマジでショックだった模様。
「承認要求を持ち、愛情を何よりも欲していた」という意味ではある意味、人間に近い性格をしている魔族と言える。
上記のドゥールゴーファによる地道な検査も、秘匿性はともかく魔王を捜す手段としては正直あまり効率は良くないのに15年近く続けたりしていた*27*28
陰謀家としては間抜けであったが、「相手の技術や知識を吸収して進化する」と言う魔族としては画期的な性質を有するドゥールゴーファを創造したり、人間の自我を破壊して技術を保持したままデーモンと融合させる技法を開発したりと発明家としては優れていた。


  • 覇王将軍 ノースト


「そりゃあね! オレもね! 悪さだってするさ! まぞくだもの!

でもって覇王将軍!ノルマとかはないけど肩書とか体面とかあるから、

ただボーっとしてるわけにもいかないし仕方ないじゃん!」

あとがきで名前が初出の高位魔族。グラウシェラーの側近。30歳程度の男性の姿をしている。
第三回人気投票でアメリアにインタビューすべくセイルーンの図書館を訪れるが、図書館員達に魔族であることがばれたため、叩き出されてしまった。

このようにただの出オチかと思われたが、第3部においてまさかの本編への登場を果たした。
これまでの将軍と比べると士気は低く、「覇王将軍のくせに何をやっている」との陰口を叩かれ始め、重い腰を上げて陰謀の下準備に取り掛かるが行動開始前に「魔族にとっての疫病神」であるリナとガウリイの訪問を受けてしまい、あっさり戦意喪失。
怪しまれた際に異空間に二人を引き込んでいたのだが、戦闘回避をする為に「10年間は人間に危害を加えない」「町で会っても知らない振りをする」と言う条件で二人を元の世界に返す事を約束し見逃してもらう事に成功。
が、そこはやはり魔族、「無事ラトカの街(異空間に閉じ込められる前にいた街の名前)に返す」とは約束したものの、「元居たラトカの街に返す」とは約束しておらず、結界の外にあるラトカの街に二人を転移。
そう簡単には戻ってこれない場所へ遠ざける事に成功した。
というか、結界が出来てからは結界の外とは交流が途絶えているレベルなので、リナが死ぬまで戻ってこない可能性すらありうる(魔族からすれば)快挙である。
なお、こんな嫌がらせをしたせいでリナからは恨まれており、いかにして約束を破らずに意趣返しをするかを本気で考えられている。

このような性格であるが故に主人の仇討の意欲等は皆無であり、ダルフィンとゼラス=メタリオムの「リナと関わると魔族にとって碌な事にはならないから避るよう」と言う結論にも諸手を挙げて賛成していた。
また、上記の通りリナの正体も分からないうちにシェーラを知っている敵と判断するや否や異空間に隔離し、それで後から相手がリナと知って慌てるなど、グラウシェラーやシェーラ程ではないがその場のノリで動く悪癖も共通している。
グラウシェラーとシェーラの失敗がグラウシェラーが化けた国王の武術師範であったアルス元将軍を通じてディルス王国上層部に知られている以上、その関係者と咄嗟に考えるのも無理はない一面は有るが。
反面、魔族仲間からの情報収集はしっかり行っており、その上で「世の中には上位魔族にも分からない事がある」との慎重な態度を崩さず、これまでの魔族が滅ぶ原因となった自己の力や知識への過信、部下や仲間を使い捨てにする事による戦力減耗とは無縁であり、隙が無い相手とも見做せる。


  • 覇王神官 グルー
  • 覇王神官 ディー
本編未登場の覇王側近。名前は新装版のあとがきにて明かされた。
なお覇王が直属の部下を4人生み出したのは降魔戦争で滅んだ冥将軍、冥神官の分の手数を補うためとの事。


  • 海将軍 リクスファルト
  • 海神官 ヒュレイカー
漫画『水竜王の騎士』に登場した海王側近。


  • 冥将軍
  • 冥神官
フィブリゾの側近だった魔族。いずれも本編前に消滅しているため、ゼロスなどの口から存在していたことが言及されるだけで名前および詳細は不明。
ゼロスが第一部でフィブリゾにこき使われた理由の一つが、こいつらが消滅したせいで人材難の冥王陣営には魔竜王陣営に対抗できる駒がいなかったためである。



【中位魔族】

上位からの命令系統がしっかりしているのはこのクラスまでとのこと。
人間に化けれるため国の高官など社会的地位のある場所に潜伏していることが多い。

  • カンヅェル
ガーヴ陣営配下の中位魔族。頬に刀傷のある男の姿をしている。
魔族陣営との戦争のため、セイルーンを戦力に加えようと、下克上を画策するアルフレッドに近づいていたが、
偶然介入したリナを殺すことを優先したためアルフレッドと袂を分かち、正体を現した。
腹心の力を借りた呪文をものともせずに打ち破り、怯んだリナに重傷を負わせる、更に「竜破斬」の直撃に耐える形で改めて魔族と人の差を思い知らせる*29が、追い詰めた余裕故にリナとガウリイの負の感情を食う為にリナをじわじわとなぶり殺しにしようとした隙を突かれ、追いついたアメリアに今度は逆に不意打ちの「崩霊裂」を打ち込まれ悶絶したところを「竜破斬」を上乗せした光の剣と二発目の「崩霊裂」でトドメを刺された。

因みに劇中で初めてリナたちと対決した中位魔族でありそれまでセイグラム級が高位と考えていたリナたちを愕然とさせた。


  • マゼンダ
ガーヴ陣営配下の中位魔族。
魔族に対抗する戦力を作るため、人間に扮してクロツ率いる邪神教団の幹部として潜入していた。
偶然遭遇した魔道士をリナだと知らずに遊び半分で魔力を封じ、後からリナだと知って殺そうとするが、その際リナと行動していたゼロスに遭遇するという不運に見舞われ呆気なく滅ぼされた。とは言え、後述のグラウシェラー配下の中位魔族達がゼロスより総合力が劣るミルガズィアに短時間で十人抜きされたのに対して、逃げと防戦に徹したとは言えゼロス相手に丸一日抗堪出来ているので何気に実力は高い。
クロツはこの時ゼロスと「異界黙示録」の写本の争奪戦を繰り広げていたのだが、クロツが重度の秘密主義だったのと、マゼンダがクロツ達を捨て石程度にしか考えず、クロツの行動について深く詮索しなかったため、避けられたはずの「異界黙示録」写本の処分担当のゼロスとの遭遇が起きた、いわば自身の怠惰が招いた末路だった。
また、魔竜王陣営の中で「フィブリゾがリナを使って何かしようと企んでいる」という情報を掴んだのもマゼンダだったらしい。ただし、この漏洩自体がフィブリゾの魔竜王陣営を誘導する計画の一環だったのだが、彼女がその事実を知ることはなかった。


  • サーディアン
グラウシェラー陣営の中位魔族。表向きは交易大臣としてディルス王国に潜入していた。
リナ達が以前共闘した騎士ジェイド=コードウェルの自我を破壊して肉体を下級魔族に乗っ取らせ、リナ達と戦う際に尖兵として使用するという外道な手口を用いた。
一方でファリアールが介入した時は、自分が魔族化ジェイドと2人だけで戦うと宣言したのを理由に、加勢を拒否しようとするなど、妙に律儀な面がある。
劇中の戦闘では何度も不覚を取るなどして劣勢になり、リナ達の実力を甘く見過ぎていたと思われていたが、実際にはシェーラがもたらした「ルークが魔王の人柱の転生体」という情報を受けて、ルークを殺さない程度に痛めつけつつ負の感情を誘発して封印を解く算段だった模様。
戦闘で不覚を取ったのは慢心だけでなく、「殺さない程度」という匙加減が魔族である彼には難しかったためらしい。


  • ファリアール
グラウシェラー陣営の中位魔族。
表向きは宮廷魔道士としてディルス王国に潜入していた。
サーディアンが追い詰められたのを見かねて参戦し、リナにそれなりの手傷を負わせるが、分断していたミルガズィアとメンフィスが予想より早く合流したためトドメを刺し損ね、ミルガズィアの翼によって首を切り落とされて滅びた。
こいつもサーディアン同様、封印を解くためルークを殺さない程度に追い詰めなければならなかったため匙加減がわからず、ミルガズィア達との合流を許すという失態に繋がったらしい。


  • グラウシェラー配下の中位魔族10人組
グラウシェラー陣営の中位魔族でディルス王宮に潜伏していた。
グラウシェラーの指示でリナ達に同行していた黄金竜(ゴールデンドラゴン)のミルガズィアとエルフのメンフィスを分断して撃破するべく集結していたが、メンフィスの纏う封魔装甲ゼナファ(完全版ザナッファー)に驚いて全員がパニックを起こしてしまい、ミルガズィアに瞬殺の各個撃破×10で壊滅してしまった。


  • ブラドゥ
金髪で覇気の無い男の姿をしている中位魔族。
枯れ木のような分身の魔族を複数生み出して使役する力があり、共闘しつつ時に防御をアシストするなどして、
枯れ木魔族を「1体でも残せば倒し切れず分身してくる部下の下位魔族」にみせかけて相手を消耗させる戦術を好む。
北の魔王とルーク=シャブラニグドゥが内ゲバを起こした際に、北の魔王の意思を尊重して、リナとガウリイをルーク=シャブラニグドゥに会う前に殺そうと試みた。
一度はゼロスに釘を刺されて撤退するが、ほとぼりが冷めたあたりで再襲撃をしかけるものの返り討ちにされ、
「ルーク=シャブラニグドゥの復活」という情報をカードにその場を凌ごうとしたが、
交渉する間もなく隠れて監視していたゼロスに「趣向を台無しにされてはつまらない」と口封じで滅ぼされた。


【下位魔族】

このクラスになるとほぼ好き勝手に行動しており人間と契約を結ぶものも珍しくない。
なかには人間と融合したり食われたものもいる。

  • ゾロム
CV:佐藤正治
レゾ配下の魔族。
本編で始めてガウリイの光の剣の犠牲になったかませ。
登場は原作第一巻で、まだ設定が固まってなかったため、純魔族と分かっていながらリナがファイアーボールで攻撃してしまう描写ミスがある。
新装版ではこの場面は「下位魔族としては人間に近い姿を取れた為、リナが人間と誤認した」と改められている。


  • セイグラム
CV:秋元羊介
下位魔族。仮面を顔の部分につけているが顔は無いため、「無貌」の二つ名を持つ。
ギオ=ガイアと組んで「白のハルシフォム」と契約を結んでいた魔族で、リナ達を誘導してハルシフォムの封印を解かせたが、光の剣に貫かれ重傷を負い、復讐を誓いながら逃走した。
しかし、傷も癒えぬうちにフィブリゾにより「リナを襲ってはならない」との命令が出たため、自分の恨みを優先して離反。
リナを狙おうとしていたガーヴ陣営に着き、リナに有事が起こる前に決着をつけるべく、同じくリナ達に敗北して重傷を負ってなお標的とするという共通の境遇と目的を持った人間ラドック=ランザード(ズーマ)と融合。
魔族としてのプライドを捨てるに等しい方法まで使って失った力を補い、リナ達と戦った。
しかし、ラドックの息子アベルに正体を知られ、勝てばアベルを殺さなければならない状況になり、ラドックが抱いた迷いに足を引っ張られる形で敗北し、自嘲気味に消滅した。

あとがきによれば、セイグラムは獣王陣営の末端で、第1部でゼロスが他陣営のフィブリゾにパシられていたのは、上司としてセイグラムの独断行動による不始末の尻拭いを強要されたためらしい。

アニメ版ではガーヴによってゼロスと渡り合うほどにパワーアップして再登場した。
最後にはリナの「神滅斬」により滅ぼされた。


  • ギオ=ガイア
「双仮面」の異名を持つ魔族。
セイグラム同様ハルシフォムと契約しており、封印を解かれたハルシフォムの命令で「敗れた際は実験に付き合う」という条件でリナたちに襲い掛かるが光の剣の存在を知らされておらず敗退。
約束通り実験に付き合いハルシフォムに文字通り食われるという末路を迎えた。


  • ヴィゼア
コピー・レゾ配下魔族の筆頭で元々はレゾ配下の魔族。
顔の半分だけ美男子という異様な顔をしている。
こいつが高位になればなるほど美形の部分が増えるらしい
ランツを格下と侮っていたが「祝福の剣(ブレス・ブレード)」の特性に気付かず不意打ちで致命傷を受け倒れた。


  • デュグルド
ラルターク配下の魔族。
後述のグドゥザと共にセイグラムに付き合う形で主にゼルガディスと交戦。
決戦時には配下のレッサーデーモンを殺害し、その苦痛を食らうことでダメージを回復するという荒業を見せたが、ゼルガディスに追い詰められ、さらに挑発されたことで逆上。
遂には同格と思しきグドゥザを食らってまで回復しようとするもフリーになったアメリアとの連携を許す結果となり敗北。


  • グドゥザ
ラルターク配下の魔族。
デュグルドと同様にセイグラムに付き合う形で主にアメリアと交戦。決戦時にはアメリアを追いつめていたものの、負けそうになったデュグルドに回復剤として食われた。


  • モルディラグ
ラーシャートの部下。
ガーヴの仇討ちという建前でリナに「重破斬」を使わせようとするラーシャートと共に戦ったが、
戦闘中に魔力が尽きてしまった(振りをした)リナの前から撤退する言い訳を作るために
ラーシャートに捨て駒にされた。


  • ドゥールゴーファ
シェーラの愛剣でもある魔族。
触れた人間が融合を望んでいないなら自我を破壊すると同時に無限再生の呪法をかけて憑依する、融合を望んでいるならば自身の持つ技能や能力を譲渡して同化する。
初期状態では剣と魔族の呪法幾つかしかインプットされていないが、生きている相手や死んでから間もない相手に突き刺さる事で能力や記憶、感情、知識、技術をコピーして学習する機能を有する。
再生能力に優れている上に、シェーラが健在ならば大破しても即座に復活する。


  • レビフォア
覇王配下の魔族。
何度もリナ一行と戦うが最後には体の一部を変形して攻撃をかわす性質を利用され敗れた。


  • リカギス
覇王配下の魔族。
一度宿でルークに負けて逃走し、再戦時には自分ひとりの力でルークを倒そうとするもあっさりぶった切られた。


  • グバーグ
覇王配下の魔族。
宿に泊まっていたリナ一行を襲撃するも恐怖を与えるつもりで自分の能力をぺらぺらしゃべったためにミリーナにどうやってもダメージを受ける状態に追い込まれて敗北。


  • ベイズ
覇王配下の魔族。
ミリーナと交戦するもあっさり手の内を見破られ、味方への援護の隠れ蓑に利用されるなど見せ場無し。


  • ミアンゾ
覇王配下の魔族。
根のようなものから水死体のような女性の生首が垂れ下がったようなホラーな外見をしている。
挿絵のインパクトの強烈さから下位魔族の中では知名度が高め。
リナとミリーナ2人の呪文を同時に受けて滅ぼされた。


  • ツェルゾナーク
覇王配下の魔族。
人間のプロポーションに頭の部分はのたくる角が群れ固まっている外見。
リナ達の泊まった宿を襲撃した際にミルガズィアに気を取られている隙にメンフィスのゼナフスレイドを受けて滅ぼされた。


  • ヅェヌイ
セレンティアにて火事を装って神官長を焼き殺し、不安に駆られた4つの分院の大神官たちそれぞれに神であるかのようにお告げを下して互いに争わせるよう仕向け、間接的に主要人物であるミリーナの死と(意図せずではあるが)ルークの魔王化を起こした元凶
しかし、最後には見せ場もないままリナの「竜破斬」で呆気なく粉砕されるというかませ以下の末路を迎えた。


  • 筋肉魔族(仮)
本名不明の魔族。
北の魔王とルーク=シャブラニグドゥが内ゲバを起こした際にルーク=シャブラニグドゥの意思を尊重する側に立っており、ある町で下級デーモンと共に暴れていた際に偶然出くわしたリナ達と戦うが、正体を知るとすぐに退却。
その後、北の魔王の意思を尊重してリナとガウリイを殺そうとする魔族達の襲撃時に再び現れて嫌々ながらリナとガウリイを守るために戦い、グオンを滅ぼすがブラドゥに滅ぼされた。


  • グオン
北の魔王とルーク=シャブラニグドゥが内ゲバを起こした際に、ブラドゥ、ヴァイタアヅと共に北の魔王の意思を尊重してリナとガウリイをルーク=シャブラニグドゥに会う前に殺そうと試みた一派の一員。
特に見せ場もなく筋肉魔族にあっさりと滅ぼされた。


  • ヴァイダアヅ
北の魔王とルーク=シャブラニグドゥが内ゲバを起こした際に、ブラドゥ、グオンと共に北の魔王の意思を尊重してリナとガウリイをルーク=シャブラニグドゥに会う前に殺そうと試みた一派の一員。
脈動する緑色の脳みそからねじれた脚がたくさん生えた姿をしており、無数の脚をすり合わせることで人間には聞こえない音波を発して攻撃する。
人間相手なら初見殺しの能力だったがエルフのメンフィスとドラゴンのミルガズィアが同行していたため、攻撃の正体を見抜かれて対策された上であっけなく滅ぼされた。


  • 枯れ木魔族(仮)
ブラドゥによって生み出された魔族。
一見するとブラドゥ配下の下位魔族に見えるが、より正確にはドゥールゴーファのような分身にして創造物。
本体であるブラドゥさえ倒せば消滅するが、複数体出現して時折ブラドゥが攻撃を庇うなどアシストするなどして、
1体でも残すと分裂するため全個体を同じタイミングで倒されないといけない能力の持ち主であるかのように演出するのがブラドウの基本戦術である。
魔族と戦い慣れている者ほどまずブラドゥよりも弱い枯れ木魔族の方を狙って頭数を減らす戦略を取るため消耗戦には有効だが、リナに正体を見破られてしまった。


  • ラギアソーン
『すぺしゃる』に登場した下位魔族。
魔族の掟に反して、ペットとしてドラゴンを飼っている。
そのペットのドラゴンと「殺人を犯さずにどれだけ人間に恐怖を与えられるか」というゲームに勤しんでいたので、恐らく隣国のディルス王国軍のカタート山殴り込みを招いた張本人であるが、当の本人は「いきなり人間の軍隊が攻めて来た」と全く自覚が無い。
ペットと生き別れたことに自棄になり人に親切にしたりゴミを拾ったりする荒んだ生活を送っていたらしい。
他にもリナに助けてもらうために、元の姿そのままで女性の格好をして癪で苦しむふりをしたり、魔王竜につけた名前がジョン、ジョンの姿を変えた際には子供の落書きのような姿にするなど短編の人物らしく凄まじい変人。
因みにゼロスの配下であることが示唆されている。


  • ルゾウル
『すぺしゃる』に登場した下位魔族。
クルシダの村で村に泊まった人間を村人に殺させて負の感情を食っていた(村人達も犠牲者の持つ金銭目当てに自発的に従っていた)。
だが、村を訪れたガウリイとオッサンと遭遇したのが運の付きで、オッサンの挑発によって出さざるをえない状況に追い込まれガウリイの光の剣で切られた末にオッサンの列閃槍の直撃で滅びた。
ついでに被害者面して縋り付こうとした村人達もオッサンから「自首しろ。さもなくばオレが村滅ぼす(意訳)」と追い討ちを受けた。因果応報極まれり。
余談だが、このオッサンは劇中の言動からリナの父親である可能性が高い。


  • ジョイロック
CV:玄田哲章
劇場版スレイヤーズ第1作目に登場した魔族。
享楽的な性格で劇場版の舞台であるミプロス島を支配しパニックや自堕落など念を食らっていた。様々な感情を食べるのは「かわりものだから」とのこと。
普段はモヒカンの生えた間抜け面の蛙のような姿をしているが戦闘の際には長身痩躯の不気味なリザードマンのような姿となる。
あえて島の人間をすぐに殺さず弄び、村の人間をゾンビに変えるなど劇場版スレイヤーズの敵としてはその行動は極めて悪辣。*30
はるか昔にミプロス島のエルフたちを皆殺しにし、若き日の賢者ラウディ*31も返り討ちにしており彼とは因縁の相手。
最後は過去に送られたリナの「竜破斬」を上乗せした過去のラウディの「光の剣」の一撃を受け滅ぼされた。
一応人間の姿をとらなかったため下級の魔族と思われるが彼がかわりものであること、竜破斬の直撃にも耐えたこと、倒され方が原作におけるカンヅェルと同じであることから実際は中級であった可能性もある。


【亜魔族】

レッサーデーモンや上位種のブラスデーモンが所属する。
その正体は自我の薄い動物に自力で具現化できない下級魔族が憑依したもの。
リナたちにとっては雑魚扱いだが一般人には驚異。
また取り扱いも比較的簡単で魔族だけでなく魔導士が戦力として召喚したり研究材料やキメラなどの素材に使うことがある。
人間は強い自我があるためデーモンの素材には普通はならない。逆に言うと上位の魔族が憑依したり自我の崩壊した人間ならば…

  • レッド&グレイ(仮)
厳密にはこの下位魔族以下の亜魔族の一体ながらラルタークの力で無理矢理物理世界に具現化された個体。
本名は不明で、上記の名前は具現化した赤と灰色の二つの球体の姿からリナに付けられたものである。
魔法攻撃を放たれてもグレイが受け止めて吸収しつつレッドが増幅して撃ち返す能力があり、レッドを狙おうとしても瞬時に互いを入れ替えるなどの連携で戦う。
というのも、こいつらは実は2体の魔族ではなく、1匹の魔族が2つの端末で動いている存在で、互いの位置を入れ替えたり片方が吸収した攻撃をもう片方が放出できるのも精神世界で繋がっているためである。
この正体を見抜いたリナ達に両方同時に攻撃されて倒されたが、悪あがきするかのように消滅直前に自爆して最後までリナ達を手こずらせた。



【異世界の魔族】

スレイヤーズ世界とは別の世界にて活動している魔族。
原則、スレイヤーズ世界に干渉することはないが、魔族の間でも名前だけは知られている。

  • 闇を撒くもの(ダークスター) デュグラディグドゥ
リナたちのいる世界とは別の(作者の別作品である『ロスト・ユニバース』の)世界の魔王。なんでも暴走してしまっているらしい。アニメ3期「TRY」ではラスボス
下記の通り、彼もルビーアイと同じく5人の部下を持つ。
作者の年賀状にて一度イラスト化されたが、その時の状況が原因で二つ名に反して色白(蒼白ともいう)なドラゴンとして描かれていた。


  • 颶風弓 ガルヴェイラ
  • 毒牙爪 ネザード
  • 瞬撃槍 ラグド・メゼギス
  • 破神槌 ボーディガー
  • 烈光の剣 ゴルンノヴァ
デュグラディグドゥ版「5人の腹心」ともいうべき存在。そのうちの一つであるゴルンノヴァがガウリイの持つ光の剣であり、諸事情でスレイヤーズの世界に来てしまったもの。原作ではフィブリゾによって第一部終盤にダークスターに返されてしまう


  • 蒼穹の王(カオティック・ブルー)
  • 白霧(デス・フォッグ)
異世界の魔王。今のところ二つ名のみ登場している。
















































【その他】

  • 金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)
魔王シャブラニグドゥのさらに上に君臨する超越者。
リナが使用する重破斬(ギガ・スレイブ)神滅斬(ラグナ・ブレード)の力を借りる対象である。
その存在はほとんどの人間は知らずリナもクレアバイブルの写本でたまたま知っただけである。この世界の基盤である混沌の海にたゆたう存在であるらしい…


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最終更新:2025年04月14日 23:46

*1 因みにこれは同族も例外ではなく、魔族が別の魔族の負念を食らう場面もある

*2 一例を挙げると、降魔戦争で「竜」としての特性を全開にする必要があった魔竜王ガーヴは『三つの頭を持つ巨竜』の姿を取って水竜王と戦った事がアニメで描写されている

*3 『「自分は弱い」という認識を持つ→精神に反映されて本当に致命的に弱体化する』という理屈

*4 逆に覇王将軍シェーラは酔っ払いに自分を娘だとの暗示をかけて彼の家を活動拠点にしていた。その上、「酔っ払いの言動を真人間は信用しない」事を理解出来ずに、「活動拠点を提供してくれたり便利な存在」と評している。

*5 これに関してはリナも腹立たしくは感じたものの「当然の反応」だと理解は示している

*6 降魔戦争で痛撃を受けたまま封印されて思うように力を振るえないレイ・シャブラニグドゥなら腹心でも辛うじて勝ち目が有るかも知れない、と言ったレベル

*7 レゾの孫のゼルガディスが、レゾに「あんなに見たがっていた世界を破壊するのか」と訴えかけた事もマイナスに働いた

*8 ルークがシャブラニグドゥの憑代であることは、シェーラ戦などで伏線が張られていた

*9 恐らく北の魔王同様輪廻転生を視る力によるものと思われる

*10 ドラゴンにドラゴンは効果抜群の理屈で致命傷を与えた

*11 他の腹心相手では同じようにはいかなかったが、これもドラゴンにドラゴンは効果抜群の理屈で通用した

*12 人間の生存本能と意識に魔族としての記憶と能力が乗っ取られてしまったとも見做せる

*13 正確には、そう進言したのは部下のカンヅエルでガーヴは「他の人間を殺すな」という条件を付けて許可を与えた

*14 人間やエルフ、竜族を味方に付けることも考えていたので外交的な配慮も含むが

*15 ただし作者はインタビューで「ガーヴは魔族として圧倒的なパワーを持っていたので人間と同化した部分が足を引っ張っている」と称しており、見えない部分では弱体化は起きていた模様

*16 作者によれば原作で第三回人気投票があった時にそういったイラストつきハガキが届けられたのを番組スタッフに話したのがきっかけらしい。

*17 更に「自身の名前の一部を直属の部下に付けて上機嫌になっていた」ゼラス=メタリオムへの嫌味も兼ねていた。

*18 ゼナファ=完全版ザナッファー

*19 因みにガーヴの主観ではその時点で1012年前の降魔戦争は「久し振り」、魔竜王の人格が人間の生存本能に乗っ取られて生き続けたいと願う様になったのは「最近」と表現しているので記憶を取り戻したのは比較的近年と思われる。

*20 グラウシェラーにとってルークだけ殺さず加減しろというのは、人間でたとえるなら複数の虫の群れを一匹だけ残したまま踏み潰せと言われるようなものだった

*21 精神世界から対象を隔離して黒魔術や精神世界からの攻撃を無効化する

*22 TRYではガウリイとゼルガディスを巻き込んで実践されている

*23 ラーシャートは「訳も分からない敵の計画を潰すために自分達の進めている重要計画を台無しにする奴がいるか?」と後に発言している

*24 最後には殺すつもりであったが、特訓が終わるまでは生かしておく心算であった

*25 すぺしゃるで登場したディオルが究極合成獣「リメラ」と言う設計案があるので完全に皆無というわけではない

*26 降魔戦争までは水竜王の拠点で現在は北の魔王が封印されている魔族の本拠

*27 似たようなことは人間の観光地で良く行われており、猿真似でしかなかった。

*28 強いて擁護するならば、魔族を裏切った魔竜王ガーヴが人間社会に潜伏しており、シェーラの地力ではガーヴどころかラルタークやラーシャートにも抗し得ない為、遭遇しないように用心する必要が有った事は留意すべきである

*29 このせいでレゾ=シャブラニグドゥよりリナを追い詰めたとか言われる

*30 そもそも劇場版自体が元々「すぺしゃる」の世界観故に敵役も大半がコメディ調な為、徹頭徹尾シリアスで最後まで外道でいたのがこのジョイロックくらい

*31 明言はされていないが、間違いなく後に本編でのリナの相棒となるガウリイの先祖。