SCP-1710-JP-J

登録日:2020/11/25 Wed 17:11:46
更新日:2024/12/05 Thu 02:56:07
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  現実(宮城県)虚構(寿司職人マグロ)

シン・ゴジラ


『私は寿司にした、君らも寿司にしろ』
「諦めず、最後までこの国を見捨てずにやろう」
※言ってません





SCP-1710-JP-J』は、2020年7月19日に公開された共同怪奇創作『SCP Foundation』日本支部のアノマリーである。

本オブジェクトでは1998年カノン及びスシブレードカノンと一致する語句が目立つものの、執筆者のMitan氏も認める通り、
本オブジェクトだけを読む上ではむしろ原点から逸脱している、程度。
本項目においても、直接関連しない事項については言及はするが詳細は省いている。
なお、オブジェクトクラスはEuclid。セキュリティクリアランスレベルは3。


概要

SCP-1710-JP-Jは、日本国宮城県[編集済]市に存在する最大幅120mの巨大な巨大な陥没穴である。
現在まで底は確認されておらず、財団は基底世界とは別の次元に接続されていると推測している。
これだけならよくある異次元ポータルにすぎないのだが、この穴は毎年9月から翌年1月にかけて、
胸びれが鍛え抜かれた寿司職人の腕になった異常なマグロ型生物を1万~2万匹放出するのである。
このマグロはシブがき隊のスシ食いねェ!を演奏する。

では、なぜこの穴は寿司職人マグロを放出するようになったのか。
これにはSCP-JP(財団日本支部)にて設定されている要注意団体(GoI-JP)である、『闇寿司』が関わって来る。
彼らは江戸前寿司から逸脱した邪道な寿司ばかり握る寿司職人たちで、スシブレードで世界を征服したいと願っている。
そのひとりの寿司職人が、1998年1月4日~6日の2日間に引き起こした『イベント・スシクイネ(財団命名)』によってこの、
寿司職人マグロが出てくるようになってしまったのである。

では、このイベント・スシクイネとはなんなのか、そして寿司職人マグロとはなんなのか、詳しく見ていこう。

GoI-8134 ("闇寿司")とは

GoI-8134 ("闇寿司")は、寿司職人の闇を親方とする寿司職人の集団である。
江戸前寿司を絶対視する回らない寿司協会から非難されるだけあって、全体的にガンギマっており、
前衛的な寿司開発・インスタ映え・直接攻撃・洗脳は平気で行う。メカニトかなにか?』
なおこれらの行動は別に彼らのオリジナルというわけではなく、回らない寿司協会からの離脱者やドクター・トラヤーの技術提供もあり、
ラーメンハンバーグも寿司に区分されるらしい。寿司もへんてこな団体に担ぎ上げられて寿司下駄の上からどう思っていることやら。
メンバーの多くは現実改変能力や奇跡論行使能力を有するらしく、
超常的な寿司を握ったり、寿司屋として収入を得たり、スシブレードで化身を召喚したりするのにそれらを行使している。
なお、最終的にはスシブレード、つまり寿司を廻して戦わせる競技を通して、
世界を征服するのが目的であるという。
日本で言えば全漫画を統べる神として手塚治虫あたりを召喚するような団体であると思えばいい。
だがこの寿司マグロ、財団の見立てだとマグロのそっくりさんでしかなく、しかもスシヲファージ実体であるという*1

では、その彼らがだいしゅき♡でたまらない寿司とはどういう食べ物なのか。

寿司

登録日:2020/11/25 Wed 17:11:46
更新日:2024/12/05 Thu 02:56:07
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寿司は、日本の食文化のひとつで、米飯と魚介類等を組み合わせたもの。


寿司の概要

寿司の起源は意外にも東南アジア諸国や中国における、魚肉保存法から由来するといわれ、
奈良時代にはすでに寿司が作られていたと言われる。
この時代の寿司というのは、「寿司売の女が酔いつぶれて寿司桶にオエーッしたので、かき混ぜてごまかした」
というほどに嘔吐物を混ぜても気づかない匂いの強いものとされたことから、魚や肉をごはんや塩と漬け込むなれ寿司だったとされる。

そんな寿司だが、時代とともに酒や酒粕、糀などを利用して魚の発酵を早めるようになり、
やがて酢の醸造技術の向上とともに早寿司、「酢で酸味をつけただけの魚を食う」という方向に進化した。
そして酢じめにした魚を米飯に載せて握る握り寿司が江戸末期に登場し、文政期には関西でも江戸すしとして売られるようになった。
いわば江戸時代のファーストフードだったわけである。この頃には巻き寿司やいなり寿司も登場した。

更に明治維新後は民間の寿司屋も製氷企業の登場で氷を安価に手に入れられるようになり、
そのあとは電気冷蔵庫を備える店も増えた。これにより、江戸前寿司では従来なら保存のために酢じめや燻製にする魚も
生のまま扱えるようになり、現代の寿司の形が完成した。

しかしその後第二次世界大戦の煽りでファーストフードとしての寿司は存続の危機に立たされる。
飲食営業緊急措置令の施行から表立って寿司屋を営業できなかったので、米を持ってきたらそれを寿司に加工する、
いわゆる委託加工の形で存続し、それが全国に広まったため、寿司といえば江戸前寿司一色になってしまう。
そして屋台や行商がマックや吉野家の如く販売していた寿司は、高度経済成長期を通して食の衛生の観点から倦厭され
ザギンでシースーするようなお高いランクになってしまうのである。
いっぽうで60年代から70年代の漫画ではリーマンが飲みすぎたときに妻や子供の機嫌を取るため折詰寿司を買うのは定番であった。

ふたたびの大衆化への道、そして寿司ネタの増加

そんな寿司だが、やがて大衆化路線に戻っていく
ひとつは出前ずし。注文を受けると盆のうえに寿司を並べてバイク自転車で宅配する出前がすいすいな寿司が登場した。

もうひとつは回転寿司チェーンの登場で、いわゆる「回る寿司」が家族連れで賑わう一般庶民の味として定着した。
いっぽうで、高級路線になった寿司屋は対比として「回らない寿司」と呼ばれるようになる。

この頃にはかつて猫も食べない猫またぎと呼ばれ、北大路魯山人をして「およそ食通を満足させるものではない」とまでディスられたマグロは、
日本人の嗜好の欧米化から国民のごちそうとなり、日本は世界有数のマグロ消費国にまでになったというのは
ミームで解説しているので読んできてね。

他方で海外でも寿司は人気を獲得しているが、海外の寿司屋における経営者や板前が日本人である店は10%未満とされ、
人気のネタであるマグロとサーモン(いずれも伝統的な江戸前寿司からは逸脱している)以外は寿司じゃない和食を提供していても
スシレストランやスシバーを名乗る店も登場した。
一時期は日本が「正しい日本食を理解してもらうための日本食の評価」を国外の寿司店に行う方針を打ち出したが、
海外からは「スシ警察こわちか」「食の多様性と発展を認めろ」といわれ方針転換を余儀なくされている。
でも天丼やてりやきをメインにしてたらそれは寿司屋じゃねえだろさすがに……
この中で生まれた創作寿司は、江戸前寿司とは異なるジャンルとして世界でも認められつつある。
1000年以上の歴史を通して寿司は多方面に進化しており、
なかには珍しい高級魚を使うものから、魚介でさえない何かを使ったりするケースも増えてきた。
回らない寿司でも昨今マグロは割と提供され、江戸前寿司の一員となっているが、
他方サーモンはまだ認められていない(というか、シャケではなくサーモン呼ばわりなのが江戸前寿司から阻害されてる感はある)。

寿司の分類

押し寿司

酢飯と具を重ね、力をかけて押した早寿司。箱寿司から発展し、のちの握り寿司の源流となった。
江戸以外ではこの寿司が主流であり、バッテラや棒寿司、鱒寿司、鯵の押し寿司など日本全国でこの系の寿司が地方寿司として存在する。

握り寿司

押し寿司の発展型。江戸で独自に発展した系統で、押すのではなく握ることが特徴。
しかしその後第二次世界大戦の影響で寿司屋は時間をかけて寿司を作ることができない委託加工業にならざるを得なかった時期があったため、
全国に広まっていった。

ちらし寿司

酢飯を装ったお椀などの上に、寿司種を並べたり混ぜこんで錦糸卵で飾り付けたもの。
酢飯になにか混ぜると五目寿司とも呼ぶ。
また酢飯にしないでふつうのご飯に載せた場合は海鮮丼と称する。寿司ではないが寿司屋ではよく見かける定番である。

巻き寿司

海苔で巻いた細長い寿司。俗に海苔巻きとも。
一つのネタだけを巻いた細巻き寿司と、複数種のネタを巻いた太巻きがある。
また巻き簀を使わずに手で錐状に巻いたものを手巻き寿司と称する。
日本のホームパーティーでは定番であり、アメリカにおけるバーベキューに相当する。
海苔巻とも言われるが、海苔を外に出すのは日本をふくむアジア圏くらいで、
欧米では海苔を内側に巻き込んだり、海苔以外のもので巻くのが主流である(カリフォルニアロール)。

いなり寿司

油揚げに酢飯を詰め込んだ寿司。江戸時代からあったものの、現在のものは当時に比べて小さくなった模様。

なれ寿司

寿司のそもそもの原型。発祥は滋賀県の鮒ずしとされる。

かつては匂いがきついものだったことは、「ゲロを混ぜてごまかしても」気付かないことからだいたい察せる。
東南アジア諸国や中国に起源を見つけることができる。


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財団VS寿司職人マグロ

寿司についてわかったところで、イベント・スシクイネまでの流れを追っていこう。
闇寿司は寿司の概念の神を召喚しようとしていることはここまで読めばわかると思うが、
闇寿司の闇親方はとあるスシブレーダーに対して、ポーランドの宗教組織GoI-484E ("聖ショパン再誕のための音術師協会")と連絡をとっていることを訝しみ、
その目的である寿司の概念の神とやらを聞かされて呆然としていたが放任した。

そのスシブレーダーは日本生類創研を利用すればいいのではないかと考えた。
かくして、ニッソの一般企業に偽装された施設に数名のスシブレーダーが現れて
いくらかの異常な魚類と甲殻類を奪った後、放火。
このとき財団は消火を手伝いつつアノマリーを押収。日本生類創研との間で一触触発……とはまったくならず、
向こうは「引き取ってくれてありがとうございます。可愛がってあげてください。」と感謝状を送りつけてきた。この世で怖いのは化け物でも魔法でもなく無責任な人たちですね…。
といって、寿司の概念の神の召喚も順風満帆ではなかった。
200人の賛助者を集める必要があるほどお金が足りなかったのである。闇親方「賛助者多くね?」

さて、そんな折GOCのエージェントは、回らない寿司協会のエージェントを連れて財団と交渉をしていた。
GOCは正直ドンパチやって闇寿司とかかわりあいたくなく、
闇寿司と聖ショパン再誕のための音術師協会の儀式を行おうとしている地域は財団が管理していたらしく、
いらんトラブルの回避のため「今からお前らの敷地でなんか起きるからお前らで始末しとけ」と挨拶しておこうと思ったのだ。
解決を押し付けてんじゃねえよ

しかし先に事を起こしたのは闇寿司聖ショパン再誕のための音術師協会のほうだった。
彼らが交渉(おしつけあい)をしている間に、召喚に踏み切ったのである。
彼らは魚類、甲殻類、ヒト、ほかなにかでできた寿司を飾り付け、刺身包丁を研ぎながら、このでっかい穴の周りで異世界との接続を開始した。
そこに、シブがき隊の『スシ食いねェ!』が流れ、スシブレーダーたちはへいらっしゃいと何度も叫んでいる。
ついに、ついに寿司の概念の神が…と喜んだのもつかの間。


たかさ90mにもなる、マグロがそこに現れた。




ス シ ン ・ ゴ ジ ラ




そう、やっとここでメタタイトル回収である。みなさんお待ちかねの(待ってなかっただろうが)巨大不明生物である。もちろん、腕は寿司職人。
闇寿司が悲鳴を上げるなか、このマグロはどういうわけかふつうの大きさの
寿司職人マグロを大量に使役して闇寿司メンバーを貪らせていく。
そう、この寿司職人マグロ、人を喰うのである。更に、このスシン・ゴジラに給餌する役割も持つ。
このタイミングで、財団とGOCは巨大神格実体対策本部回らない寿司協会を添えてを設立。巨災対ならぬ巨神対。
財団はこのスシン・ゴジラを下し、闇寿司メンバーのを殲滅ないし捕縛、
GOCのサポートと、寿司職人マグロからの住民の避難誘導、あと回らない寿司活動を行うことに決めた。

一方、スシン・ゴジラはゆっくりと民家を破壊しつつ北上。偵察ヘリがスシン・ゴジラの襲撃でヘリと乗組員をネタとした寿司になる。
ならばと財団とGOCの航空隊、及び正道のスシブレーダーたちが武装して出撃するが、それもまたスシン・ゴジラに寿司にさせられる。
財団とGOCは事ここにいたり隠してる場合ではないと日本政府に『ヒレが寿司職人のマグロの怪獣が民家を破壊しつつ北上している』と通達。
しかし日本政府は「事態の把握ができない」「寿司で壊滅ってどういうこと?」「というかスシブレードってなに?」と回答し
自衛隊の出動を拒否した。
その間にも財団、GOC、スシブレーダーたちは次々に押し寿司にされ圧死。
財界へのパイプを持つ衆議院議員(マドンナリリー)によって日本政府に財団が圧力をかけ自衛隊の出動を認めさせた。

自衛隊が出撃したときには、民間人の死者1万名を記録し、推定体長は140mにまで大きくなっていた。
しかもゴジラでさえ嫌なのに、北上しているのはマグロなのだ。腕は寿司職人だし。
カイザードビシみたいに十万のマグロを引き連れて攻撃してくるし。しかも腕は寿司職人だし。
しかも微妙に現実改変を起こしつつ、奇跡を起こしているらしい。それに加えて腕は寿司職人と来たものだ!
そして青森県大間町で寿司化、すなわち寿司への変態を経て人類の有する寿司への認識を大きく変異させ世界終焉シナリオを齎すことが予想される。
財団とGOC、そして自衛隊は戦闘資産を可能な限り展開、あわせてGOCと蒐集院が魔術結界を日本国北東部全域に展開した。
更に築地には日本全域に「高品質な酢飯のような匂い」を伴う超大規模な”闇の寿司に対する防衛術”の最大防衛術を展開。

しかしなかなか打つ手なしと思ったその時、マグロは奇跡を弱め、表面にはヒビが入った。
どういうわけか、スシアカデミアが闇の寿司に対する防衛術の儀式を執り行い、
スシン・ゴジラを弱体化させたようである。袂を分かった親にケツを拭かれて恥ずかしくないの、闇寿司?
これによりスシン・ゴジラは内部から脂の乗った赤身を露出させるが、
寿司職人マグロたちはNICEGUY人の楽曲である”Hai Irasshai”を奏でながら戦力資産を次々と溶解あるいは寿司化する。
しかし回らない寿司協会により正規寿司学的対抗回転体搭載ピンポイントミサイルを打ち込まれ、
GOCからも神聖祈念弾頭搭載ミサイルが打ち込まれて奇跡論パルス、及び現実化酢飯がかき消される
そしてスシン・ゴジラはついに、財団・GOC・自衛隊・回らない寿司協会・スシアカデミアによって撃破されるに至ったのだ。
GOC監督官の一人がサーモンで窒息死したが

しかしこれはもうひとつ、問題を引き起こした。
なにしろ、でっかい化け物がいたことは、もはや隠しようのない事実である。
たくさんの生者(目撃者)がいる。たくさんの死者(証人)がいる。
おまけにミサイルでとどめを刺したとき、破裂したスシン・ゴジラの起こした奇跡で日本北東部の人工物は圧潰して魚特有の生臭さに包まれた。
ヴェールは、取り払われてしまったのだ。
事ここにいたり、かくれんぼをしている場合ではない。財団とGOCと回らない寿司協会はついに国際社会の明るみに出ることになった。
未だ、寿司職人マグロは冬になれば現れる。
寿司職人マグロは雑食だ。現れればなんでも、人間ですら食い散らかしてしまう。

それにしても、日本人が愛し日本人が大量消費したマグロが、
日本を蹂躙し、日本を握り尽くす巨大不明生物となるとは皮肉にもほどがある話である。
そしてなにより、「これはまだ序章に過ぎない」のである──。




追記・修正は、自分の腕をしたマグロが数万匹現れてしまった人にお願いします。


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最終更新:2024年12月05日 02:56

*1 スシヲファージ実体とは、知性体の寿司によって自己の存在を維持・あるいは成長する実体のこと。早い話が守矢神社の神様みたいなもん。