タッセル(仮面ライダーセイバー)

登録日:2021/03/21 Sun 00:00:07
更新日:2023/09/12 Tue 22:24:46
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皆さん、ボンヌ・レクチュ~ル!僕はタッセル。

今日は僕の項目を見に来てくれてありがとう。

ここには僕の事が沢山書かれてあるから、ここを見て少しでも僕の事を知ってくれたら嬉しいよ。

記事はすぐに始まるから、楽しんできてね?







タッセルとは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーセイバー』の登場人物である。

演:レ・ロマネスクTOBI


【概要】

異世界「ワンダーワールド」の何処かにある一軒家に住む謎の男性。
その姿は、
  • 緑色のウェーブが掛かったロングヘア
  • 立派なカイゼル髭
  • 黒縁丸眼鏡
  • ピンクのシルクハットに全身ピンクのスーツ
  • 銀の肩当のある赤い上着
  • 左肩に乗っけた鳥の巣付きの木
という、グロンギ族メ集団も裸足で逃げ出すような奇抜過ぎるものであり、一度見たら絶対に忘れられないインパクトを醸し出している。
新堂倫太郎「普通のホモ・サピエンスじゃ…ないんですね?」
大秦寺哲雄「どうしてそんな斬新な恰好をしているんだ…?」
“斬新”…?

そんな外見に違わず、劇中における立ち位置や行動も一際異彩を放っている。


【人物像と行動】

一人称は「僕」
常に異様に明るく、「ボンヌ・レクチュール(フランス語で「よい読書を」という意味)」という挨拶を多用する他、第1章では「本って本当に素晴らしいですよね!?」前作主人公のような駄洒落を出す茶目っ気のある姿をよく見せる。
また、話によっては外に出て傘で空を飛んでいたり、家の天井をぶち破って落下してくるなど、ギャグ漫画染みた登場シーンや一幕を晒す事もあった。

そんな彼の役割は一種の狂言回し
物語開始当初は主人公の神山飛羽真達が動く主軸の物語には殆ど関与せず、毎度冒頭と終わりに現れては前回までのあらすじ解説による導入や、その回の締めくくりを担当するのが専らの活動であった。
ただし、基本はその性格もあって単なる解説で終わらせず、新キャラの登場に興奮したり、飛び出す絵本を使って分かりやすく説明してくれる他、電話での通話を遮っての解説の末にうっかり切ってしまうなど、大なり小なりのユーモアを交えていた。
なお、この時は「神山飛羽真の活躍に注目している」と度々明言しており、彼の快進撃には興奮し、逆に彼の周りでトラブルや不幸な事が起これば焦っており、まるでテレビの前にいる我々視聴者の如く一喜一憂していた。

その明らかに第4の壁を超えた行動の数々と、主要メンバーと一切交わらない立ち位置故に当初は正体不明そのものであり、
公式にさえ「人間なのか、人間ではないのか、はたまた現在に生きているのか、或いは過去の存在なのか、それすらも不明」とまで記載されており、飛羽真達と関わる存在なのかどうかすらも不明であった。
他方、公式サイトの人物紹介文では「彼が飛羽真達と関わる時、多くの謎が明らかになり、物語が大きく動いていく」とある事から単なる傍観者ではなく、やがて飛羽真達と出会うであろう事が示唆されている。

変化

しかし、そんな彼の動向にも徐々に変化が訪れる。
本の魔人メギド仮面ライダーカリバーの活動が本格化し、『大いなる本=全知全能の書』の『目次録』へ至らんとする道が開かれようとする事に前後して、今までの振り返りのみならず、本編での言及や描写が無かった設定についても話すようになった。
実際、闇黒剣月闇が最初に生まれた2本の聖剣の一つであった事が明かされたのは彼の口からである。
また、第10章のラストでは「僕もそろそろ、“彼”に会わなければ……」と呟き、物語への関与を仄めかした。

そして、第12章ではその「彼」と並んで登場したが、それはかつて飛羽真がアヴァロンで出会った青年・ユーリであった。
この事から、タッセル自身も『セイバー』という物語の中で進行する物語に組み込まれた存在である事が明らかになり、更に同章終盤では遂にユーリ共々飛羽真のすぐ近くに現れた。
しかし、その時は状況が状況だったのか飛羽真に接触する事はせず、悲しむ彼を一瞥するだけに留まった。

その後、しばらくはワンダーワールドに留まりつつも、中々足並みの揃わないユーリと飛羽真の先行きを不安がり、その団結を知ると安堵するなど再び解説役に戻ったが、
第21章冒頭にて再びユーリと対面し、「彼の剣士としての歴史」が記されたワンダーライドブックを返すよう言われるも、どこにしまっていたのかを忘れてしまい、そのまま本編に移行。
何とかいつも被っていた帽子の中にあったワンダーワールド物語 光剛剣最光ワンダーワールドブックを見つけ出すと、「これで彼らを導いてください」と差し出し、最光が真の力を取り戻す切っ掛けを作った。

と、このように今までの役割を全うする一方で、これまで以上に明らかに物語への関与が強くなっており、第25章ではまた別の“彼”に会うべく、ワンダーワールドを後にした。
そして……


【正体】


現れたか、“ビクトール”。

今は“タッセル”と呼んで欲しいなぁ~。

その正体は、2000年前に人間界とワンダーワールドを繋げた一人の女性の下に集まった「始まりの5人」の一人にして、本名は「ビクトール」
即ち、彼もまたユーリと同様に悠久の時を生きる古代人の一人だったのである。
なお、この5人は以前から後ろ姿のみ描かれており、その中には「緑髪で左肩に木を乗せた人物」という今のタッセルと酷似した人物が見受けられたため、以前から同一人物説は囁かれていた。
ただし、この時の姿は今のような異様なファッションではなく、ユーリのようなローブ姿であった。
仕組みは不明ながら、当時から老化などは殆ど起こっていないらしく、既に普通のホモ・サピエンス人間ではなくなっている模様。
その役目は「ワンダーワールドの守護と監視」
彼自身元々は人間界出身の普通の人間であったが、その女性と、ソードオブロゴスを立ち上げた初代マスターロゴスとの間で「2つの世界の均衡を維持する」という約束を交わし、今に至るのだった。

その関係上、当代のマスターロゴス(イザク)とも顔見知りらしく、上記のように本名で呼ばれる一幕もあったが、
改名の切っ掛けやそれに拘る理由は不明ながら、本人はあくまでも「タッセル」の名で通すつもりらしい。

第26章及び『仮面ライダーセイバー スピンオフ ソードオブロゴスサーガ 後編』では遂にサウザンベースに降り立ち、組織を暴走させるイザクを批判した。

君達はこの世界を、僕はワンダーワールドを守り、2つの世界の均衡を維持する。それが初代マスターロゴスとの約束だ。

しかし、イザクは「所詮偽善者の自己満足だ。私がした約束ではない」と聞き入れないどころか、
傲慢にも「私は『全知全能の書』を手に入れ、その力を我が物とする。この愚かな世界を創り替え、支配者となる……!」とまでのたまう始末。
挙句、

富加宮賢人の復活は予想外でした。また私が導いてやらなければ…。

君はそうやって、富加宮隼人を利用したんだね?

……絶望に苛まれていた彼に使命を与えてやったんだ。上條大地に邪魔はされたが、あれはあれで面白い結末だった。

世界を守るためにソードオブロゴスを組織した先人の意思を完全に蔑ろにするだけでなく、自分勝手な都合で富加宮隼人や上條大地富加宮賢人を利用するなど、
最早メギドと何ら変わらないやり方には流石のタッセルも「人の運命を弄んじゃいけません…!」と抗議の声を上げた。
しかし、イザクはおもむろに『全知全能の書』の力の一部たる一冊の本を取り出すと、

いいんですよ!!私には、その資格がある!
だから全てを利用する。剣士も、メギドも。そして、あなたも……。

その直後、本から放たれた光を浴びたタッセルは赤い粒子と化し、消えてしまったと思われたが……


やっぱり君は凄いよ、神山飛羽真!

……あなたは?

僕はタッセル。ありがとう、誰にも救えなかったこの子の魂を救ってくれて。
きっと、あの少女も喜んでるはずだ。

“あの少女”……?ルナの事ですか!?

世界は今、最悪の方向へと向かっている。君は早くあの子と会わなければ……駄目だ!


これまた如何なる理由か、第27章にて何事も無かったかのようにしれっと登場。
脇にプリミティブドラゴンの心が具現化した少年を連れて飛羽真と精神世界で会合し、プリミティブドラゴンの心を救った彼を讃えつつも、上記のようにあの少女=ルナに一刻も早く会うようにとの忠告を残した。
その真意を完全には掴めずも、飛羽真は改めてルナを救う決意を固めるのだった。

その後、第31章ラストにて光り輝く小鳥=タッセルが救い出した富加宮隼人の魂から、タッセルはマスターロゴスの攻撃で一時的に力を失い、肉体を回復している最中である事が明かされ、
第39章冒頭にて無事肉体の修復を終えて復活を果たすと、ルナを探しにワンダーワールド中を探索する事となった。

なお、タッセルの現在の立ち位置である「ワンダーワールドの守り人」については終盤で一つの事実が語られている。
ユーリによれば、それは「世界を繋ぐ存在に選ばれてワンダーワールドの力の全てを手にし、その代償として現実世界での存在を失った者」であり、今は飛羽真が次の守り人となる宿命を背負っているらしい。
ビクトールも同様だとすれば、彼を「選んだ」のは始まりの5人を導いた巫女だったと思われるが……


【二千年、綴られた願い。】

マスターロゴスによる『全知全能の書』復活の儀式後、ルナは飛羽真の前から再び姿を消してしまい、ワンダーワールドで復活する。
第40章でタッセルはそんなルナを保護し、彼女の意志を確認すると、続く第41章で単身飛羽真に会いに再度現実世界に赴く。
ノーザンベースに現れたタッセルは大切な話があるといい、剣士達の前でゆっくりと話し始めた。


僕には過去の話であり、君にとっては未来の話だ。

……俺の、未来?

『全知全能の書』とは何か?ワンダーワールドとは何か?
全ての始まりは、2000年前……。

2000年前、ビクトールはストリウスレジエルズオス、そして後の初代マスターロゴスと共に、文明の基礎となった技術、物語を人に授ける知識の源を探していた。
それらが見つかれば、人々が飢えや天災、疫病に怯えずに済み、更なる世界の繁栄が訪れると信じて……。

そして、見つけたんだ。ずっと探し求めていた、知識の源を!

タッセルがその知識の源に触れると一冊の本になり、開くと新たな世界・ワンダーワールドが生まれた。
タッセル一行はその世界を見て喜びの声を上げるも、ストリウスだけは不気味な笑みを浮かべていた。
そして、ストリウス、レジエル、ズオスの3人は『全知全能の書』の力に魅入られ、その一部を奪ってその身に取り込み、メギドとなってしまった。
更に力を求めて争いが起こり、本と共に現れた「世界を繋ぐ存在=始まりの巫女」は力を奪われないように『全知全能の書』をワンダーライドブックとして散逸し、自らも消滅してしまう。
それでも終わらない争いに対抗するため、タッセルと初代マスターロゴスは残された『全知全能の書』を3冊に分割し、2つの世界の均衡を保つ約束を交わした。
ワンダーワールドの守り人となったタッセルは現実世界に干渉出来なくなり、なおも続く争いを傍観するしかなかったが、15年前に新たな「世界を繋ぐ存在」であるルナが現れ、飛羽真を選んだ。
そして、タッセルは残酷な事実を飛羽真に明かす。
それは、「ルナと会えば飛羽真はワンダーワールドの力を全て手にするが、代償として現実世界から消えてしまう」というもの。
タッセルは飛羽真に究極の選択を迫る。


神山飛羽真。それでも君は、あの子に会いたいかい?

……ルナと会います。

でも俺は、ルナとも……仲間達とも、ずっと一緒にいたい。一緒に笑い合っていたい。
だから俺は、この未来を変えます。

約束します。仲間達と一緒に、この長い争いを…必ず終わらせます。

衝撃の事実を聞いた飛羽真は驚愕するが、それでも飛羽真はルナと会い、仲間達とも一緒に生きて未来を変えると宣言する。
その言葉に安心したタッセルはそれならばと、ルナを迎えにワンダーワールドに戻った。
しかし、ワンダーワールドの自宅に保護したはずのルナは姿を消しており、タッセルは動揺する。そこへ……

ようやく見つけましたよ、ビクトール…!

ストリウスが、タッセルの持つ『全知全能の書』の最後の一部を手に入れようと急襲。
流石にそれを渡すわけにはいかないとワンダーワールド中を逃げ回るタッセルだったが、メギド化したストリウスを振り切る事は出来ず、追いつかれてしまう。


反撃しないのですか?この世界で消滅すれば、あなたは本当に死ぬんですよ?

もう、終わりにしないか……?

では、遠慮なく―――

思い出してくれ!僕達が何故、力を求めたのか……!全ては人の為……人が困らず、豊かに暮らす為だったはずだ…!

力を追って、見つけた時は、嬉しかったなあ……!
でも結局!力を求めて、争いになった…!悲しかったよ…!友達と戦わなきゃいけないのは……!!

……“友達”……。なんて懐かしい響き……。

……もう『始まりの5人』も、僕と君だけになっちゃったね……。

私がこの力を手にした時、世界の終焉を見ました。

……でも、待ち望んだルナと、神山飛羽真が現れた…。

私も、待ち焦がれました…。

この物語は―――いや、運命は…僕達の手から離れたんだ。

でも…

グッ…!

結末を他人に委ねるなんて……愚かだ!

ごめんね…。グァッ!ウゥッ……!
僕が…力を見つけた所為で、君達は……!ごめんね……。

それでもかつての志を語り掛けて翻意を促すが、既に「世界の終焉」を知ってしまったストリウスの意志を変える事は出来ず、腹部を刺し貫かれて致命傷を負い、
自身が力を手にした結果、長きに渡る争いの引き金を引いてしまった事を涙ながらに詫びるも、最終的に『全知全能の書』の最後の断片を奪われてしまう*1

君達はきっと、大丈夫だよ。飛羽真……。

そして、最後まで新たな守護者の可能性を信じながら、その体はシャボン玉となって消えていった……。

知られざる、かつての役柄。

最終盤において、『仮面ライダーセイバー』の世界の歴史は始まりから終わりまで、全てが『全知全能の書』に予め記された「シナリオ」だった事が判明。
タッセル=ビクトールはこのシナリオにおいて2000年前の時点における「主人公」の立ち位置であった。
そしてストリウスが『全知全能の書』を読んだ経緯の関係で、当然タッセルも全てを知っていた。
第四の壁を認識しているかのような頓狂な振舞いの正体は、物語を語るという体裁を取る事で現実逃避しながら現状と向き合うための防衛行動だったと思われる。

最終的に剣士達は世界の終焉を覆すことは叶わなかったものの、須藤芽依の呼びかけで世界中から集まった「忘れえぬ物語」により現実世界はギリギリで消滅を免れ、
ワンダーワールドは新たな守護者となった飛羽真によって再建された事で未知の歴史が紡がれ始めるという形で決着。

これでみんな、元の世界に戻れたはずだ。

タッセル自身もこれにより復活を遂げ、ルナ、バハト、再結集した「始まりの5人」と共に帰還する飛羽真を見送った。




【余談】

  • 演じるレ・ロマネスクTOBI氏は、本職は海外を拠点に活動する音楽ユニット「レ・ロマネスク」の一員である。
    調べてもらうと分かると思うが、実はこの格好でもまだ大人しい方だったりする。

  • かねてより視聴者の間では「カリバーの変身者」「『大いなる本』のアバター」など、様々な憶測が飛び交っており、その大半がメギドの一員だったり、はたまた全てを掌の上で転がす黒幕だったりと、良からぬ存在という予想が大半を占めていた*2が、
    実際は多少言動が胡散臭いだけで、本人なりの良識を弁えている人物であった。

  • 制作サイドによれば「番組を分かりやすい形で振り返り、見ていても飽きないキャラクターを目指している」との事。
    また、登場シーンはロケの分量を減らせるよう、セットや合成も駆使した撮影となっているが、これは新型コロナウイルスの感染拡大でロケが不可能になったり、前作『仮面ライダーゼロワン』と同様の状況に陥り、総集編を組む必要が発生しうる事態を見越したものとなっている*3

  • 第26章で突如として消滅した彼であるが、2021年3月現在でレ・ロマネスクTOBI氏のオールアップ宣言がないため、生存している可能性は高いと思われていた。
    そして案の定、上記の通り姿を見せた事で、その動向がより注目されている。


僕の事を知ってくれた人は、追記と修正よろしくね?


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  • ワンダーワールド物語ワンダーライドブック
  • 監視者
  • 守護者
  • 全知全能の書

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最終更新:2023年09月12日 22:24

*1 ストリウスの方も思うところがあったのか、このシーンでは終始表情が消えていた他、謝罪の言葉を受けた際にはひどく動揺していた。

*2 過去作では似たポジションに『仮面ライダー鎧武』のDJサガラや、『仮面ライダージオウ』のウォズといった、黒幕やその手先がいたために、尚更そう感じた視聴者が多かった。

*3 実際は『セイバー』撮影期間中、東京では4度に渡り緊急事態宣言が発表されているが、撮影が止まって総集編が放送されるような事態とはならなかった。