グレネーダー(漫画)

登録日:2022/12/30 Fri 13:09:27
更新日:2024/12/09 Mon 23:01:07
所要時間:約 11 分で読めます




ご一緒、しませんか?


『グレネーダー』とは、海瀬壮祐による漫画作品である。
本項目では、アニメ版の『グレネーダー~ほほえみの閃士~』に関しても記載する。


概要(原作漫画)

原作漫画は『月刊少年エース』に2003~2005年にかけて連載された。単行本は全7巻。
もう連載中に生まれた子供が成人しているほど前の作品なので現在では新品で単行本を購入するのは困難かもしれないが、電子書籍は容易に入手可能である。

極限まで内容を圧縮したうえで端的に説明すると
爆乳金髪美少女ガンナー最後の武士道を貫くイケメン侍が、銃と硝煙の世界を生き抜く活劇ロマン」
という代物になる。
全く知らない人でも「おっぱいリロード」って書けばわかる方もおられるかもしれない。

本作は戦国時代の日本に西部劇っぽい要素を加えた異世界が舞台となっており、銃砲火器が歪なまでに発展した世界を下地に、
単なる拳銃と普通の日本刀*1という化石のような武器で戦い抜くダブル主人公の活躍を描いている。
少年漫画では鬼門ともいえる「男女バディもの」であるが、本作ではどちらか片方に活躍が偏り過ぎることもなく、
完璧な起承転結を整え短くも波乱に満ちた物語を終えている。

特に女主人公の琉朱菜は銃使いである。
少年漫画で「銃」は、ともすればかませ武器(何なら本作も敵に関してはそうだったりする)となりがちであるが、
本作ではガン・カタおっぱいを取り入れたダイナミックな殺陣により、その不可能を可能にしている。
まあ、あまりにやり過ぎていくらなんでもこれで死なないのはおかしいだろ」「作者は銃を何だと思ってんだ」ってシーンも多いが、そこはご愛敬。

あと『ONE PIECE』に書き文字や演出がやったらめったら似ているが、それも気にした奴はゼロ距離射程閃術天竜星撃(ダブルインパクト)の刑である。


アニメ版に関しては後段に譲る。


あらすじ(原作漫画)

・序章(1・2巻)
時は戦国世界。
侍が安寧を守り統治されていた国土は、銃火器の異常発達により一瞬にして戦乱に包まれた。
銃を司る戦士は「閃士」と呼ばれ、市民は悪徳閃士により虐げられることとなる。

そんな銃と硝煙の世界で、今なお刀で戦う侍の少年・虎島弥次郎は、ある任務で一人の少女と出会う。
金の髪、金の目を持つ少女・天道琉朱菜。彼女は凄腕の閃士、「殲滅閃士」グレネーダーであった。

2人は旅を続けるうちに、風船使いの少女・紅みかんと出会う。
みかんの引き取られた先は、戦国の男たちから女たちを守るために元「十天閃」頭目・紅桃華が作った遊郭「桃華楼」であった。
桃華楼「護衛」(要するに経営権簒奪)を目論む豪族・天魔党は、巨大絡繰を駆る武者貴族と結託し桃華楼を襲う。
親の仇討ちを目論むみかんを制し、琉朱菜と弥次郎は天魔党と武者貴族に勝利、彼らを更生させる。
こうして2人の旅路にみかんが加わるのであった。


・ほほえみの閃士編(3・4巻)
旅を続けるうちに、琉朱菜は朝廷から指名手配されてしまった。
天子の真意を探るべく、一行は霧に包まれた天都に向かう。
だが、その行き先に現「十天閃」が立ちはだかる。


・天都大戦編(5・6・7巻)
天子を滅ぼすべく結集する「反朝廷軍」。
琉朱菜と弥次郎は、かつて姉(兄)と慕った最強のライバルと対峙し、その壁を乗り越える。
天都に巣食う最大の巨悪相手に、閃士と侍は最後の決戦へと赴く。


用語解説

・閃士
大まかに言ってしまえば、火薬類を使用した近代武器の扱いに長けている兵士・戦士の総称。
したがって拳銃やマシンガンのみならず、バズーカや爆弾、さらには火薬仕込みのや手甲、
しまいにはパワードスーツですらそれを使用して戦闘ができれば閃士と呼ばれることになる。
元は豪族や侍から転身したものが多いが、剣や槍と違い、使用すれば子供でも簡単に殺傷手段を得ることができるため、
民を守るという使命を忘れ暴徒化・盗賊化した閃士は、武器を持たない市民を弾圧し搾取する被害を出している。

・閃術
閃士の戦闘技能。
基本的に物理法則を無視している。

・武者貴族
閃士の技術を得た貴族。
アニメ版では単なる腐敗した悪代官みたいな扱いだが、原作後半においては十天閃が現れるまでは天子防衛の任を預かっていたことが発覚。
そのため天都で十天閃がでかい顔をしているのを嫌っていたが…?

・十天閃
天子を守護する国内最強の閃士十人衆。
所属している閃士には姓・名のどちらかに色を表す漢字が付いていることが多い。
アニメ版は途中で終わったため10人全員が揃うことが無かったほか、一部メンバーがオリジナルのものになっている。

・天子
中央天都におわす国家元首。
原作では空気もいいところであったが、アニメでは大幅に出番が増え、掘り下げられている。


主な登場人物

とにかく非常~~~~~~に登場人物が多い(7巻しか無いのに)ため、ここでは主要キャラを端的に纏める。

天道琉朱菜
CV.高橋美佳子
主人公その1。17歳(アニメでは16歳)。全くそうは見えないが17(16)歳。
金色の髪と目を持つ絶世の美少女で、B104・W53・H83後ろ二つは絶対鯖読んでるだろという本作一のプロポーションを誇る。
アンティーク同然の6連装リボルバー拳銃『向日葵三十八式』を操る凄腕の閃士であり、タイトルのグレネーダーは彼女の異名。
なのだがほとんどその異名で言われることが無い寧ろ『ガン×ソード』みたいなタイトルのほうが適切な気がする
普段はボディコン+チャイナドレスのような形容しづらい服を着ていて、胸の谷間~下乳にかけて無数の銃弾を保管しており、
おっぱいをばるる~~~んと揺らすことで弾丸を胸の谷間から宙に飛び出させて一瞬でリロードする「おっぱいリロード」は本作を代表する技。
普段は前述の『向日葵三十八式』一挺を愛銃としているが、敵から奪った銃を活用したり、二挺拳銃の技巧を披露したりなど、銃器の扱い全般に長ける。
一見ノンビリしており能天気で大食いでお風呂好きな可愛い女の子に見えるが、その真価は途轍もない身体能力ずば抜けて明晰な頭脳にある。
その筋力は素手で馬車の軌道を強引に変えるほどであり、動体視力は宙を舞う銃弾の1個1個すら容易に弾道を見切るほど。
如何なる窮地においても緊張とリラックスを容易に切り替え、敵の弱点や特性を一瞬のうちに見抜き、
類稀なる発想力と柔軟性、持ち前の身体能力に裏打ちされたアクロバティックなガンアクションで敵を撃破する。
銃で人の命を奪うことを何より嫌悪しているため、銃の引き金は(物理的に)とてつもなく重く、みかんでは両手の握力でも引けないほど。
原作とアニメで少し違うが「笑顔」を重んじ人を「救う」閃術を極めている。

原作とアニメで性格や出自が全く異なる異例のキャラ。

余談だが電子書籍配信サイトのあらすじでは「金髪、い目の少女」とデタラメが書いてある。表紙すら見てないのか紹介文書いた奴

虎島弥次郎
CV.中井和哉
主人公その2。流れの傭兵稼業を営む剣士。
よくTVなどの声優紹介コーナーで「中井和哉氏はロロノア・ゾロ土方十四郎伊達政宗虎島弥次郎など数多くの剣士を演じ~」などと紹介されるので
グレネーダーを全く知らなくても聞いたことくらいはあるかもしれない。そうだよ、その弥次郎ってこの人だよこの人。
剣士の一族「虎島家」分家の跡取り息子でしんがりの虎の異名を持つ。
「命を奪う重さ」を指一本で軽く済ませてしまう銃を嫌い、刀一本で弾雨に立ち向かっている。
琉朱菜とは逆にガンコかつ直情径行であるが、義に篤く、女性や子供に優しい。
物語序盤は雑魚散らしくらいしか戦闘で出番がなかったが、桃華楼防衛戦で亜音速の砲弾をぶった切ったのを皮切りに、琉朱菜と協力して巨岩を両断したり、
琉朱菜ですら見切るのに苦労したナマリの鬼阿修羅を、狙いを付ける為に一瞬だけ静止した隙をついて斬り落としたりと凄まじい剣技を見せる。
年相応以上に初心であり、みかんからは「ムッツリ」呼ばわりされている。
外見はかなりのイケメンであり、化粧して入れ乳しただけで完璧な女装ができる(やったのは琉朱菜とみかん)。

この人も琉朱菜ほどじゃないが原作とアニメでかなりキャラが異なる。


紅みかん
CV.松岡由貴
ヒロイン。大小形状様々な「風船」を使う風船使いの末裔。
非常に男勝りで「オイラ」が一人称。客からよく銃や刀を盗むなど手癖が悪い。…『ど〇ろ』だこれ!
幼い頃に両親を天魔党に殺され、桃華楼に引き取られて小間使いとして働いていた。
天魔党頭首のガン蔵を討つ為に無謀な仇討ちを目論んでいた(上記の武器泥棒もその為)が、年若い純粋なみかんが手を汚すことを懸念した琉朱菜に止められる。
桃華楼防衛戦終結後は琉朱菜と弥次郎の旅路に同行し、その風船術で度々2人の危地を救っている。

本作の戦闘キャラの中では間違いなく最弱の部類であるが、原作・アニメともに最終回では最強の敵に思いもよらぬ痛打を与えている。


・紅桃華
CV.小菅真美
遊郭「桃華楼」オーナー。25歳。…25歳!?
戦国の世では商品同然である女性を保護するため、桃華楼で匿い、恋をして新たなパートナーを見つけたら送り出すという活動を行っていた。
そして男たちに対しても「戦意」を「安らぎ」で和らげ、戦いを終わらせようとしているスゴい女将さん。
その正体は元「十天閃」頭目「拳槍閃士」で、天子の意志を継ぐ者の一人。
仕込み火薬入り鎖付鉄球付槍(属性が長ぇ!)の「拳槍」を自在に操る戦闘の天才であるが、現在は肺を病み長時間の戦闘ができない。
アニメ最終回では予想外の登場を果たし視聴者の腹筋を破壊した。


・藍前鉄破
CV.檜山修之 / 水橋かおり(少年期)
メガネでクールな青年……と見せておいて実際は色狂いの変態ムッツリスケベ野郎。
代々十天閃を務めた鉱山師(比喩ではない)の一族「藍前家」現当主で、アニメ版では琉朱菜の元同級生。
ダイヤモンドを仕込んだ特殊な布「鎧布」を操る閃術の使い手で、琉朱菜ほどではないが慎重で知的。
アニメでは大幅に設定が掘り下げられており、可愛い彼女もできた。良かったね。
原作? 最終巻で妹(十天閃)に最近までオネショしてたことバラされてベソかいてたよ。


・銀ナマリ
原作にのみ登場する女閃士。凶暴にして無慈悲、冷酷な性格だが、ギャグにもちゃんとツッコミを入れる憎めない人。
反朝廷軍の総帥であり、身分を隠して一部の十天閃と密通していた。
その正体は琉朱菜の姉弟子で、幼い頃の琉朱菜の不手際で顔に傷を負い、琉朱菜ばかりが名声を得ていく事に逆恨みを募らせていた。
ある理由で失った左目には万透眼(スキャンガン)が仕込まれ、4本のロボットアーム「鬼阿修羅」を使いこなす。
琉朱菜と和解した後、姉妹弟子揃っての最初で最後の共闘を果たし、巨悪の陰謀に終止符を打つ。


・大御堂刹那
CV.本多知恵子(天子と2役)
アニメ版におけるナマリに相当するキャラ(外見がほぼ同じ)。
天子の影武者であったが、道化師と結託して「平和」を手にするべく天子を監禁して成りすまし国を掌握した。
原作では十天閃の独断となっている琉朱菜の指名手配は、アニメ版では彼女が黒幕ということになっている。


・道化師
CV.中田和宏
本作最大の大悪党。
「力」への妄執に取り込まれた狂人であり、序盤から最終回まで原作・アニメ双方で悪の限りを尽くす。
アニメ版はまだ彼なりの主張がうかがえるのだが、原作漫画では1㎜の同情の余地もない絶対悪*2である。


アニメ『グレネーダー~ほほえみの閃士~』

2004年10月~2005年1月までWOWOWで放送されたTVアニメ。終了直後、地方ローカルで再放送された。
製作はグループ・タックといんどり小屋(スタジオ・ライブ)。
アニメはWOWOW版と再放送・DVD(配信)版でOP/EDが異なる。

このアニメは原作が連載中に製作され、一足先に完結することになっていたため、終盤の『天都大戦編』は放送されないことが予め決まっていた。
そのため、基本的な世界観とキャラ設定のみ原作と同一であるが、それ以外は全く違うといっても過言ではない。
原作では刺身のツマみたいな扱いだったおっぱいリロードがアニメだとド派手になってるのもそれが原因である(笑)

最大の違いとしては、原作で琉朱菜が「銃で人を殺めない」という鉄より硬い信念を貫いていたのから一歩踏み込み、
「本当の強さとは何か?」という問いがメインテーマとなっている事がある。
原作では空気もいいところであった天子様はその答えとして「笑顔をもって人と接すること」を挙げた。*3
琉朱菜はその教えを遵守し、そして敵に対してもそれを貫く。
生半可な覚悟でできるものではなく生半可な力でできることでもない
しかし琉朱菜はくじけそうになりながらも、弥次郎やみかん、そして敵だった人たちからも支えられ、最後は自分自身でその意を貫いたのである。


そのほか、アニメと原作の違いを簡潔に纏める。

  • 上記の通り琉朱菜は天子の影武者となっている。そのため、一部十天閃とも開始時点で面識がある。
  • 原作では能天気でガサツで大雑把だった琉朱菜が、アニメではたおやかで女性的な物腰になっており、子供にも敬語を使う。
    わかりやすく表現すると、原作琉朱菜が「女ルフィ麦わら帽子被ってるし相方はCV.中井和哉だしだとすれば、アニメ版琉朱菜は「女炭治郎」みたいなキャラである。
  • アニメの琉朱菜は天都出身のため、原作の望郷の夢が無い。その方が幸せだった
  • 弥次郎が元反朝廷軍であり、天子の考えを頭から否定していた(最終的に考えを改める)。
  • 道化師の正体は弥次郎の元師匠。
  • 原作では序盤の風龍王編でしか出てこなかった道化師の発明品「魔の閃」が終盤まで登場する。
  • 原作で死亡したキャラがアニメでは生存する、あるいはその逆。



ちなみにアニメでは琉朱菜と弥次郎は恋愛感情が掘り下げられないまま終わっているが、原作では……。


ネタバレを避けて言うなら「カプ厨大勝利」ってところであろうか。






追記・修正は心の鎧を脱いでからお願いします。
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  • 2003年
最終更新:2024年12月09日 23:01

*1 漫画版後半では銘刀に代わるが

*2 ネタバレになるが、彼1人のエゴのせいで国一個が完全消滅した

*3 原作では琉朱菜とナマリの師匠である金剛早雲が言った事になっている