銃(ONE PIECE)

登録日:2019/11/23 Sat 01:11:45
更新日:2025/04/07 Mon 19:17:38
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(ピストル)を抜いたからには命を懸けろよ


あァ!? 何言ってやがる


そいつは威しの道具じゃねェって言ったんだ・・・




ここでは漫画ONE PIECE』に登場する銃を紹介する。



概要

海賊と言えば、伝統的なイメージで武器にしているのは多くの場合「サーベル・カットラス」、そして「フリントロック拳銃」であろう。

当然、そんな大海賊時代をモデルにしている『ONE PIECE』世界にも多くの銃が登場している……のだが、その扱いは……



不遇



この一言に尽きる。
撃っても当たらないわ、効かないわ、酷い場合にはそもそも発砲前にやられるか……。

一応少年時代のモンキー・D・ルフィは「おれのパンチ(ピストル)のように強いんだ!」と強さアピールの基準とし、海賊となって使う技の幾つかにも銃器の名を取り入れているが、
ONE PIECE』の登場人物中で有効活用できているのは、一般市民などの非戦闘員を攻撃する時か、脅迫の道具にする時ぐらいである。


なんでこんなに不遇なのか?

原因①悪魔の実の存在

体を煙やなどの不定形に変化させられる自然(ロギア)系能力者には基本的に銃弾は完全に無効である。
それ以外にも主人公ルフィが食べた「ゴムゴムの実」のように「打撃」「銃撃」を無効化できる効力のある実も存在する。
初期の斧手のモーガンの部下の一斉射撃にしても、ルフィに無効化されるところがハッキリ描かれている*1
能力の扱いに習熟した能力者なら、銃弾程度は無視できて当たり前であろう。

原因②覇気の存在

特に「見聞色の覇気」に長けた実力者は遠距離狙撃すら容易に察知して回避してしまうので、銃の利点である「射程」「弾速」も無力化されてしまう。
武装色の覇気」も鍛え上げれば銃弾すら無効化できてしまうので、余計に不遇さが増すことになっている。
覇王色の覇気」ともなれば万単位の下っ端を無効化できるので、もはや武器すら必要としないレベル。
また、「武装色の覇気」を弓矢に纏わせれば下手な銃弾など軽く上回る破壊力が出るためこの点も銃の扱いを悪くしている。

覇気もまた偶発的に発現した場合や生まれつき使用可能な場合といった例外を除いて自在に操れるようになるには長期間に渡る過酷な修行を要し、それでも尚レイリー曰く「ほとんどの場合生涯開花することはない」とされる程に習得が難しいため、割合で言えば覇気を使えない者の方が圧倒的に多数ではあるのだが、
覇王色を除いた覇気は誰もが持つ素質なため「偉大なる航路」前半ならまだしも、新世界で頂上争いをしているような巨大海賊団幹部クラスやそれに立ち向かう海軍の精鋭達の中では「覇気使い」の希少性はかなり低い。
海軍本部中将など全員が使用可能であり、九蛇海賊団など幹部どころか一般戦闘員すらほとんどが使用可能なほど。

原因③銃よりよほど強力な攻撃手段の存在

動物系以外の悪魔の実の能力者は、実の能力による何等かの遠距離攻撃手段を得ている事は少なくない。
殊更自然系の能力者は、そのほとんどが銃より遥かに強大な「威力」「攻撃範囲」「射程」を持つ攻撃手段を有している。
そうでなくても、魚人族が得意とする体術「撃水」の熟練者は、手元に水さえあれば銃弾のごとき破壊力を叩き出す。
水場での魚人族は実質弾数無制限の遠距離攻撃手段を持っているに等しい。
四皇の一つビッグ・マム海賊団最高戦力のシャーロット・カタクリは、ジェリービーンズを指で弾くだけで銃弾並みの威力を叩き出し、アニメオリジナルシーンのレイリーも、同じく銃弾を指で弾いて(素早く投げ付けている様にも見える)大砲の砲弾を打ち砕いて迎撃する場面が描かれている。
これらは指弾という実在する技術の延長でもあるが、つまり鍛え抜かれた強者ならば銃に頼らずともそれと同等の攻撃ができる事の証左である。

また本来は遠距離攻撃ができない剣士ですら、ゾロミホークのレベルになると「飛ぶ斬撃」により数百メートル単位で離れた相手すら一刀両断できてしまう。
「飛ぶ斬撃」は海軍本部大佐クラスでも習得者が居り、一般的とは言えないまでも極々希少な技術という訳でもない程度に普及している。
他にも六式には遠距離でこそないが「指銃*2」や「嵐脚」といった威力面では銃弾以上の殺傷力を有する攻撃手段とそれを実現する高速移動手段や接近術が複数あり、しかもこれらは鍛錬を重ね、過酷な訓練を耐え抜けさえすれば理論的には誰でも習得できる。
総合すると、彼らのような達人級戦士にとってわざわざ銃に頼る必要がない。
高速移動や遠距離攻撃の手段がある場合、銃で攻撃される前に逃げるか、先んじて攻撃して潰してしまう事ができる。

原因④そもそも根本的に銃器に関する技術力が低い

上記のような事情もあってか、ONE PIECE世界における銃はいまだにフリントロック式が主流で、ライフル銃すらろくに普及していない模様。
雨に濡れただけで使い物にならなくなるということから火薬の保存技術も低いようで、根本的な信頼性の部分で大きな欠陥があるようだ。
このこともあり、水中戦を得意とする魚人族で銃火器を使用しているのは卑怯者のマクロやリュウグウ王国内の衛兵くらいである。
高性能な銃ないし遠距離攻撃手段も一応存在はしているようだが、ほとんど流通していないか、特定個人専用の一点物のような描写をされていることが多い。
作中の強者がほとんど銃を使っていないのはこれらの不安定さを嫌ってのこともあるのかもしれない。
なお、演出という事もあるのだろうがアニメでは複数回連発しているシーンがあるが、フリントロック銃は先込め式の単発銃であり本来連発は不可能。
2年後編では従来の銃を駆逐するほど普及してはいないとはいえ自動小銃や手回しガトリング銃が登場しており、何らかの技術進歩があったと考えられる。
…と言うより、そもそもフランキーやパシフィスタのような現代科学よりも高度な科学技術があるのだから、むしろ未だに発展していない方がおかしいとも言えるが。普及させるにはコストが高すぎるのだろうか。

原因⑤当たれば効くがそもそも当たらない、当たっても効かないキャラクターの存在

仮に覇気や悪魔の実の能力を度外視したとしても、作中の強者には素の身体能力からして銃が無力なキャラクターがうじゃうじゃいる。
例えば六式の使い手なら「剃」の超高速移動で容易に回避するし、熟練者の「鉄塊」なら直撃しても弾き返す。
これらは先述の「指銃」同様に訓練次第で誰にでも習得できる可能性のある技術であり、一定以上の六式使いには銃弾がそもそも通用しないということになる。
これは悪魔の実の能力者の致命的な弱点である海楼石製の銃弾が普及しない最大の理由の一つでもあり、元海軍大将のゼファーも「能力にかまけていない新世界の海賊相手にはこんな弾丸は当たらない」と発言している。
実際万国編でジグラが呼び寄せた暗殺者集団に対し、ファイアタンク海賊団がマシンガンで応戦したが、一発残らず弾を叩き落されていた。六式使いですら無い名無しのモブですらこの有り様では何をいわんやである。
能力が無くても素の身体能力だけで弾丸程度はひょいひょい回避し、あまつさえ直撃をも耐えることができてしまうのだ。
ただし、基本的には強者は体術なり能力なりで回避や防御に専念したり攻撃される前に先んじて潰したりしており、基本的には無防備に受ければ有効
ゾロがブラハムの攻撃を回避したりワノ国編では銃撃の雨を鉄の体を持つフランキーに防いでもらったり、トラファルガー・ローはドフラミンゴに処刑としてまともに撃ち込まれて重傷を負わされた。
当たれば有効だからこそ対抗できるようにしているとも言える。
例外として、作中でも最高クラスである四皇の中には生まれつきの突然変異で異常な肉体強度を有する者もおり、シャーロット・リンリンカイドウは銃撃どころか砲撃も効かない。
このレベルになると銃本来の利点である「弱者が使っても一定の戦力が約束される」メリットはないも同然である。

原因⑥演出上、作劇上の都合

本作に限らないが、そもそも銃という武器はバトル漫画には不向きである。
比較的自由な表現ができるにしても、銃口を相手に向けて引き金を引くだけで攻撃が成立する銃では動きが少なく、整合性のために描画表現が難しい程に弾速が速くならざるを得ず、攻撃範囲の狭い銃は画的に映えないのである*3
また、銃に依存するということは「銃の性能」に縛られるということでもあり、剣などの手持ち武器のように身体を鍛えても性能は上がらないし、『超遠距離狙撃』『高速の早撃ち』『跳弾で死角に銃撃』『未来予知めいた偏差射撃』といった「強者の銃使い」特有の技は、現実寄りの世界ならともかくとしても少年漫画としてはやはり格闘や剣などの振り回すタイプの武器や悪魔の実の能力などの派手な大技に比べれば地味と言わざるを得ない。もちろんバズーカや光線銃などならその限りではないが、上記の技術からして不似合いだろう…
修行の成果の発揮、相対した者が相当な強者である事の表現などに向かない銃は根本的に少年バトル漫画では相性が悪く使い辛いのである。
特に戦闘能力がインフレ気味な本作に於いて『如何にして相手の居場所を捉える、もしくは誘き出して確実に仕留めるか』という頭脳戦ははっきり言って絵面が地味。


銃の活躍の場

一方で作中では重要人物やキャラクターの恩人等が銃によって殺害、負傷するケースは多い。
概要にて暗殺や民間人の殺害にしか役に立たない…と言われているが、逆に言えば民間人にとってはそれでも十分な脅威であり、弱者を襲う理不尽な“暴力”として印象的なシーンに銃は使用されているのだ。

もっとも、腐っても銃は高速で金属を飛ばせる性質上、並の人間では撃たれてから回避は出来ず、ましてや掃射の雨を潜り抜けたり弾丸をピンポイントで切り裂いたりなんて芸当は出来ないので、裏を返して『並大抵のモブよりは強く、ある程度の戦闘能力を持つ固有名詞持ちのキャラクター相手だと無力』を印象付ける演出のダシには使いやすい。


作中に登場した主な銃使い

海軍の標準装備として、マスケット銃らしき銃を装備している。
が、全くと言っていいほど役に立っていない
やられ役の宿命
水に濡れて使用不能になる、悪魔の実によって使用不能にされる、トンタッタ族に盗まれる、酷い時はキッドの能力で奪われて逆に武器にされるなど。
もう持っていない方がマシじゃないかな

元海兵であり手慣れたライフル使いを見せたが、ノコギリのアーロンには突きつけた銃身を噛み砕かれ無力化されてしまった。
その後、アーロンの手で処刑に近い形で銃殺されている。
なお駐在のゲンさんも二丁拳銃でアーロン一味とは戦ったがクロオビのヒレには通用しなかった。

麦わらの一味で唯一、本編で拳銃を使用した描写がある。
ただし、ニコ・ロビンが密航した時に脅しとして突き付けただけであり、そもそも本人の性格もあって本気で撃つつもりではなくノリで構えただけだが。
サンジのメイン武器は蹴りだが、足技では脅迫として成り立ちにくいのであえて拳銃を使ったものと思われる。そいつは脅しの道具じゃねぇって言ったんだ
拳銃を使用しているのは本当にこのワンシーンだけなのだが、なぜか初期の『グランドバトル』シリーズなどではサンジの技に銃を使う演出があったりする。

  • イガラム/Mr.8
バロックワークスの社員として潜入していたアラバスタ王国護衛隊長、ウイスキーピークでは「イガラッポイ」と名乗り、町長を演じていた。
サックスの形をしたショットガン「イガラッパ」と、髪の毛に隠した6門の大型銃「イガラッパッパ」で戦うも、本気を出したゾロには通用しなかった。
その後、正体がバレて自分達を始末しに来たMr.5達にイガラッパッパを放つも爆風で消し飛ばされる。

  • Mr.7&ミス・ファーザーズデー
バロックワークスのフロンティアエージェントで狙撃手の二人組。
Mr.7はサイコロみたいな弾丸を放つ「黄色い銃」を、ミス・ファーザーズデーはカエルを模した「ゲロゲロ銃」を使う。
弾丸は普通の弾と違い、当たると炸裂する仕様になっている。
この銃で砲撃を邪魔しにきたペルを撃ち落としている。
更にビビも撃ち殺そうとしたが、己の身を捨てたゾロにより“斬り上げ”られたビビにより二人とも敗れ去る*4

  • モンブラン・クリケット
ひし形のおっさん。モンブラン・ノーランドの子孫で、世間的には大嘘つきとされる彼の風評で人生を狂わされた元海賊船長。
同士のマシラ・ショウジョウは直接戦闘描写があるのに対し、クリケットは銃を用いた戦闘の描写しかなく、作中対峙した全員に無傷であしらわれている。
一応かつては「偉大なる航路」の海賊船長のムキムキマッチョマンなので、近接戦闘ができないわけではないのだろうが持病故か…

  • ラキ
女だてらにシャンディアの主力の一角を務める戦士。
小銃を武器とするがいかんせん戦闘シーンが少なく、大活躍したとは言い難い。
アニメ版では神官オームに挑む場面があったが全く敵わなかった。

ウォーターセブンの最精鋭、1番ドックに属する5人の職長達の一人。
登場直後の1番ドックでの乱闘の際は二丁拳銃ならぬ二丁水平2連で戦っていた。
職長達は超一流の船大工としての腕前と同時に並の海賊を一蹴する戦闘能力を持っており、彼も雑兵海兵程度は悠々蹴散らせるが、
乱闘ではルフィに命中弾を与えるも通常の銃弾であるため当然効かず、彼の強さが発揮されたエニエス・ロビーでの戦いでは戦法を二刀流剣術に切り替えていたため、彼自身強者ではあるが「銃で活躍」はしていない。

CP9所属の「四式」使い。六式の「指銃」を習得していなかったため、小道具として拳銃を使用する。
しかし相手がサイボーグのフランキーだったため有効打にはならず。

偽麦わらの一味の船長。もちろんゴムゴムの(ピストル)は使えないので、その代わり本物の拳銃を使っていた。マジマジの銃
一応、本人の懸賞金は2600万ベリーでシャボンディ諸島まで到達している為、策略による懸賞金であれそれなりに実力はあると思われるが…。*5
銃しか攻撃方法がなく、他のルーキーと比べれば口先だけなので戦桃丸に一瞬でやられた。*6

自然(ロギア)系悪魔の実「ヌマヌマの実」の能力者。
腹が四次元ポケット能力で無限大の容積を持つ底無し沼となっており、そこに無数の武器を仕込んである。
悪魔の実の強さに物言わせた、実の能力に頼り切りの典型的な小物チンピラで、四次元ポケット底無し沼から手回し式のガトリング銃を取り出してペコムズに発砲した。
しかし「カメカメの実」の甲羅には傷一つ付けられず、ぺコムズの裏拳の一撃でノックアウトされた。
なおガトリング銃の登場は19世紀半ばであり、本編の主なモチーフとなる時代より100~200年程未来である。

  • イエティCOOL BROTHERS
「雪山の殺し屋」の異名を持つ二人組の巨大な獣人コンビ。極寒の雪山なのに己の毛皮のみの裸一貫で寒がっている。
彼らの持っているライフルは人間からすると大砲サイズで、巨体に似合わず素早い動きと毒ガス弾なども持っている。
中身がナミになっているフランキーと茶ヒゲを捕らえたものの、ルフィ、フランキー(inチョッパー)、ローによりあっさり敗北した。

生まれて始めて人を殺したのは8歳の時。
後に部下となるトレーボルから渡された拳銃で父ドンキホーテ・ホーミングを殺害し、その首級で凱旋した。
そして若き日に海賊X・バレルズを射殺、同じ銃で裏切った弟・コラソンを殺した。
自分を裏切った相手の処刑用道具として愛用し、「憎い相手を殺すにはこれに限る」と嘯き、この処刑を持って「許す」つもりだという。
ローを戦闘不能に追い込んだ上で何発も打ち込んで重傷を負わせている。
しかし、このこだわりからローを取り逃がし、天より堕とされることとなるのは皮肉というべきか。

ドンキホーテファミリー「ピーカ軍」の幹部。
超人(パラミシア)系悪魔の実「ブキブキの実」の能力者で、自分の体の一部をあらゆる武器に変形させることが可能な全身武器人間。
その種類の中には銃も含まれる。

  • シャーロット・エフィレ
ビッグ・マムの5女。銃をメイン武器としている。

  • NEO海軍一般兵
やはり大した活躍はしていないが、『FILM Z』に登場したNEO海軍の兵士も小銃を標準装備としている。
驚くべきはフリントロック銃が一般的なかの世界にあってどう見てもドラムマガジン付き自動小銃という点。
自動小銃自体は本編でも散見されるが、それが一般兵士に広く配備されているというのは他に例が無い。

天竜人の一部は奴隷や下々民を脅したり処刑したりする道具として銃を携帯していることがある。
実力ある銃使いという肩書とは程遠いものの、ちょっと気に障ったら怒鳴る程度の感覚で躊躇いもなく引き金を引くあたりは、ある意味、最も質の悪い銃使い達。

なんと世界最高権威の五老星も銃の扱いを心得ている。
常に携帯しているのかは不明だが、ネフェルタリ・コブラが五老星に謁見した際には懐に隠し持っており、コブラの命運が尽きた(・・・・・・)時に一斉に取り出している。
ただし、これも普通の天竜人と同じく威嚇・処刑の道具として所持しているだけの模様。本当の臨戦態勢に入るときには銃など比ではない恐ろしい力を開放する。

ちなみに、所持している銃は五老星といえど特別製ではないようで、この世界で一般的なフリントロック式の片手銃。
また、刀を愛用するイーザンバロン・V・ナス寿郎聖だけは銃ではなく刀を構えていた。

  • ひばり
海軍本部機密特殊部隊「SWORD」のメンバーで狙撃手。

フェスティバル海賊団の船長。『STAMPEDE』に登場。
銃を取り出したが撃つ前にサボにやられた。
使用している銃はリボルバー拳銃で、小説版によると海楼石製の弾丸が込められている。

銃を用いて活躍したキャラクター

だが劇中には、数は少ないながら銃を使って渡り合う実力者もいる。
今後いかにして強さを認識させるかが見ものである。

ONE PIECE FILM STRONG WORLDの終盤にてシキと彼が傘下に加えた海賊団船長達との宴会に麦わらの一味が乗り込んだ際、囚われていたためその場に居なかったナミ以外の全員が武器として銃器を使用し雑兵共を蹴散らしていた。
少数VS多勢だったことで流れ弾による同士討ちを怖れ、傘下の海賊達はまともに反撃できなかった。
ちなみに使用したのはフランキーお手製のマシンガンや擲弾銃、ロケット砲などの携行火砲で、ちょっとした軍艦クラスの威力となっている。
上記のサンジを含め、普段銃を使わないメンバーが銃を使うのはこのシーンくらいだが、非常に見応えのあるシーンになっている。

『Z』でも終盤のNEO海軍との決戦に向け用意された「最強装備」の一つである金色の銃をサンジとチョッパーが使用している。
サンジは数発撃ってすぐに捨てていつもの蹴り技スタイルに戻っていたが、チョッパーは複数の銃を毛皮で巻き取り、前方に向けて一斉発射するという「イガラッパッパ」を彷彿とさせる「チョッパー戦車」なる技を披露していた。

またW7編ではナミが一人でメリー号の船番をしていた際、武器として箱に入れられた大量の銃を用意しており、遂に使用はしなかったが実際に銃を手に取り、敵の襲撃に備えるシーンがあった。
使用者が居ないだけで麦わらの一味にも予備の武器として銃が装備されている事が分かる。

なお表紙絵や扉絵、フィギュアなど本編外では麦わら一味メンバー(特にウソップ)が銃を構えるシーン自体はかねてから存在する。

自慢の「武力」の象徴として鎧の中にいくつもの銃を仕込んでおり、一斉射撃でバラティエの戦うコック達を一掃した。
ゴム人間のルフィには銃弾が効かずほとんど役に立たなかったが、弾頭の尖った「杭」を撃ち出す機関銃はルフィにもダメージを与えている。

バロックワークスの社員の一人で、「フリントロック式44口径6連発リボルバー」の使い手。
「南の海」の最新モデルらしく、作中でもほとんど使い手のいないリボルバー式拳銃。
「ボムボムの実」を食べた爆弾人間であるMr.5は自らの「爆発する息」を吹き込んで弾丸として使用。
正確には銃そのものとして使っているわけではないが、見えない弾は強力な武器であった。

なおリボルバー銃は16世紀には存在していたが、実用的なものが普及し始めたのはパーカッションロック式*7が登場した19世紀半ば頃と、劇中の時代を考慮すればかなり先進的。
劇中に登場した「フリントロック式リボルバー」も19世紀初頭に登場した事がある。

  • Mr.4
バロックワークスの社員の一人で、イヌイヌの実を食べた「犬銃ラッスー」が武器。
ラッスーは野球ボール型の時限爆弾を放ち、Mr.4がそれをバッティングで打つ。尚、この爆弾はとんでもなく重い。
劇中ではウソップとチョッパー相手に絨毯爆撃のような熾烈な攻撃を浴びせた。

  • ブラハム
スカイピアに住むシャンディアの主力戦士の一人。
閃光を放つフラッシュダイヤルを仕込み、撃つと同時に光を放つ特殊な銃「フラッシュガン」を武器にしていた。
作中でも珍しい二丁拳銃の使い手であり、シャンディアの戦士の主力というだけあって並みの戦士では敵わない神兵を軽くあしらうなかなかの実力者。
偶然遭遇したゾロとの対決では、閃光による目くらましでゾロの防御や回避のテンポを乱して大いに苦戦させた。
だがゾロの初披露となる飛ぶ斬撃「三十六煩悩砲」の前に銃撃より前に攻撃を受けて敗れた。新技お披露目のための噛ませ犬に近い。

麦わらの一味としては銃器を武器として常用する唯一のメンバー。
左腕に大砲「ウェポンズ(レフト)」と四連装機関銃「ビーンズ(レフト)*8」、拳銃「アウチフィンガー」が仕込まれている。
大幹部クラスの強者相手には格闘技や、より強力な空気砲「風来砲(クー・ド・ヴァン)」やレーザー砲「ラディカルビーム」を使用する事が多いが、名も無き雑兵の掃除や幹部未満の敵の相手ではむしろ十二分な効果を発揮している。

白ひげ海賊団16番隊隊長。
ワノ国出身にして光月おでんの忠臣の一人だった、女形の様ないでたちをした男性。
二丁拳銃使いであり、具体的な戦闘シーンは少ないものの、白ひげ海賊団幹部というだけあって実力は高く、新世界の猛者共の一人とされる。

  • 新世界の海賊
頂上決戦にて、白ひげ傘下の新世界の海賊が銃を武器にパシフィスタを粉砕した(事を示唆する)描写がある。
上記の通り銃はバトル漫画の主人公やそれが相対する強敵が使うには作劇上不向きであるが、逆を言えば画面外・主要登場人物以外であれば活躍する余地はあるのかもしれない。

メンバーは幹部の“怪銃”ヴィトや“殺し屋”ゴッティなど銃を使う者が多い。
船長であるカポネ・ベッジは揺れる船の上から遠く離れた敵の顔面にハンドガンを命中させる狙撃能力の持ち主で、それに加えてベッジの能力で彼の体内から下っ端が大勢出現して多人数で急襲を仕掛け、敵が驚いているうちに一気に制圧する戦法を得意とする。
特にいきなり体から四方八方弾丸砲弾が飛んだり、現れた多人数が銃口を突き付けたり撃ってきたりするのは地味ながらかなりの脅威。
ゾウでのサンジとベッジの邂逅では、この戦法でナミ・チョッパー達も一気に人質に取ってサンジをいやおうなしに話し合いのテーブルにつかせた。
ある意味やられ役の銃兵を一番有効活用できている存在。

シャーロット家35女で、武器としてパーカッションロック式36口径「ウォーカー」*9という拳銃を使用。
特殊な「キャンディジャケット」という弾丸を装填でき、その威力はを構えた装甲兵を背中まで撃ち抜くほどで、鉄並みの強度を誇る外骨格を持つレイジュの足を貫く破壊力を見せた。
本来プリン自身の戦闘力は乏しいため、「弱者が使っても一定の威力がある」という銃としての強みが珍しく前面に押し出された形となっている。

使う銃こそ火縄銃とあまり性能の高いものではないが、走る駕籠の上から高所に磔にされている人間に弾を命中させるなど狙撃能力は高く、下記のトの康を射殺した。

拳銃やバルカン砲で使う奥の手の弾丸が、クイーンお手製の疫災弾(エキサイトだん)という特殊なもの。
疫災弾は接触感染するウィルスが仕込まれており、集団だろうと一人にでも当たれば接触感染でウィルス感染者が瞬く間に増えていき手を下さずとも全滅することとなる。

  • ヴァン・オーガー
黒ひげ海賊団狙撃手。
愛用のラッパ銃「千陸」は水平線の彼方のカモメも撃ち落とす射程を誇る。
何気に作中で登場した銃の中でも珍しい銘持ちである。
2年前の時点ではエースに有効打を浴びせられていなかったが、新世界でも船長を任せられていることから現在はベックマン同様に自然系への何かしらの対処方法は習得済みと思われる。
なおマーシャル・D・ティーチら他の何人かも、白ひげ殺害時には拳銃を使用している。

赤髪のシャンクス率いる赤髪海賊団の幹部たち。いずれも何かしらの形で銃を使う。
狙撃手であるヤソップはアリの眉間にも銃弾を当てられると豪語する腕前。
戦闘描写はいまだにないが、ルフィは彼が的を外したところを見たことがないと評しており、命中率が極めて高いことをうかがわせる。
ラッキー・ルウは連載第一話で銃を使用した劇中初の銃使用者(先に抜いたのはヒグマ配下の山賊だが)。
骨付き肉を持ったふとっちょのコミカルな見た目に反し、船長シャンクスの動きに合わせ躊躇なく拳銃をぶっ放した。
地味ながら連携能力の高さと、人を殺しながら肉を貪る冷徹さを窺わせる。
このシーンは、赤髪海賊団が決して甘い気持ちで結成したお人よしのグループではないということ、そして海賊の世界では脅しも情けも存在しない実力主義の世界であることを、視聴者と当時のルフィに暗に表現していることがうかがえる。
この時に銃を指してシャンクスが発した「そいつは脅しの道具じゃねぇって言ったんだ」のセリフは『ONE PIECE』世界における海賊の格を表している言葉のひとつであるなど、後の扱いからは考えられない程銃が重要なアイテムになっている。
だが、何と言っても副船長であるベン・ベックマンの「銃口を向けて''黄猿を黙らせた''」という実績は作中の銃使いの中ではトップクラスの功績だろう。
光の速度で移動でき、もちろん自然系なので覇気なしの攻撃は一切無効の黄猿をして「ヤバイ」と実感させるだけの攻撃を銃を使って行える(少なくとも黄猿にそう確信させられる)のは、流石は四皇の副船長といったところか。
このおかげで銃使いは単なる不遇ではなく、然るべき時に活躍することが期待されるようになった。

TVスペシャルで登場したアニメオリジナルの海賊船長。
8連装のリボルバー式ハンドキャノンを使用。
着弾すると爆発を起こし、劇中ではナミとウソップを背後から撃って気絶させた。
8本に束ねた銃身はマガジン兼リローダーにもなっており、弾を撃ち尽くした際には銃身ごと排莢して予備の銃身を装着し直す必要がある。本人曰く「弾ならいくらでもある」との事。

  • ダンデライオン
『From TV animation ONE PIECE 幻のグランドライン冒険記』で登場したゲームオリジナルの悪役。
愛銃の「ハモニカガン」は様々な弾が撃てる万能武器でルフィの弱点である刃物も装填されている。


銃によってやられたキャラクター

  • シャンクスに銃を向けた山賊
明確な生死の確認はできないが、記念すべき第一話の作中初の死者にして初めて銃で殺害されたキャラと思われる。
シャンクスのこめかみに銃を突きつけるも、シャンクスに「それは威しの道具じゃねえ」と言われた直後、逆に一瞬で肉薄して来たラッキー・ルウにこめかみを撃ち抜かれた。

ナミノジコの育ての親。
ココヤシ村にアーロン一味が侵攻してきた際に三人分の貢ぎ金を払う事が出来ず、自分が犠牲になる事を選びアーロンに銃殺される。

  • Mr.11
バロックワークスの社員。
海軍によって拘束されていたところ、自らの地位を狙う「ビリオンズ」のMr.メロウによって射殺される。

ご存知世界最強の男。
マリンフォードにおける海軍との頂上戦争にて満身創痍の重傷を負っていた所に、黒ひげが来襲。
油断した黒ひげに一撃を加えるも、直後に黒ひげ海賊団の仲間総出で銃・大鎌でめった撃ちにされ死亡する。
しかしその身体は仁王立ちで決して倒れることなく、最強の男に相応しい雄々しい死に様であった。

  • オトヒメ王妃
かつての魚人島の王妃。地上の人間との友好関係を結ぶべく奔走していたが、その夢が叶う直前で人間の暗殺者によって殺害される。
…と思われていたが、その真犯人は人間を忌み嫌いオトヒメの政策を邪魔に思っていたホーディ・ジョーンズであった。

  • スカーレット
キュロスの妻・レベッカの母親にして元ドレスローザ王国第一王女。
ドンキホーテ・ドフラミンゴの策略により生家のリク王家が転覆し、頼りのキュロスも行方不明になった後は、追手から逃れる為レベッカを連れて国中を逃げ回る。
しかし食糧調達の為街に出た所をディアマンテに見つかり、雨降る街中で銃殺される。
キュロスもその場に居合わせていたが、ホビホビの実の能力でおもちゃに変えられたキュロスはスカーレットの記憶から消去されており、「愛する人が自分を忘れたまま自分の手の中で死ぬ」という余りにも無慈悲な結末をキュロスは味わうことになった。

  • ドンキホーテ・ホーミング聖
ドンキホーテ・ドフラミンゴロシナンテの父親。
天竜人としての立場を捨て平民として生きようと下界に下りるが、天竜人に恨みを持つ人々によって家族纏めて迫害を受け、最期は境遇を恨んだ息子であるドフラミンゴによって殺害される。
なおドフラミンゴは後に弟のロシナンテもスパイ容疑で銃殺しており、結果的に肉親二人を自らの手で銃殺している。

  • トの康
ワノ国の貧民街「えびす町」で暮らす人気者。
ワノ国を騒がす大泥棒「丑三つ小僧」の名を騙り盗みを行うが捕まり羅刹町で磔にされるが、処刑直前に都にばら撒かれている綿えもんの判じ絵は自分が悪戯で作った物だと偽証し、反乱計画がオロチの妄想であるとの印象を植え付けた。
綿えもんたちにオロチとカイドウ討伐を託し、辞世の句としてオロチへの批判をぶちまけ、最期はオロチ自らの手で銃殺された。

ワノ国の九里の郷の大名。
家臣の赤鞘九人男を助けるために釜茹での刑にも耐えるが、最後はカイドウに射殺されてしまう。

  • 光月トキ
光月おでんの妻。
おでんが処刑された後、光月家を滅ぼすべくおでん城が焼き討ちに遭った際に、トキトキの実の力で息子のモモの助や綿えもんを20年後の未来へと飛ばした後、城を脱出。
九里の郷に着いた彼女は焼け落ちるおでん城を背に予言めいた辞世の句を詠い、その直後に百獣海賊団の団員によって射殺された。

  • クラップ
バーソロミュー・くまの父親。
希少種族バッカニア族の一人で、くまが幼少期の頃に家族ともども天竜人の奴隷にされる。息子にとある戦士について話していたところ、うるさいという理由で天竜人によりくまの目の前で射殺された。


余談

  • 覇気と銃
割とよく考察対象になるのが「武装色の覇気は銃と合わせられるの?」という疑問である。
ワノ国編に至るまでこのような合わせ技を使用したキャラがおらず、そもそもの銃使いの幅の狭さから推測しかできない状況が続いていた。
弓矢でも使えた事や、ベックマンが黄猿を黙らせた事実からして「『できる可能性は十分ある』という見方はある」程度だったが、後に『FILM RED』の入場者特典「四十億巻」に掲載されたデザインワークスのベックマンの項目にて、記されていたメモ書きに「覇気+ライフル 弾丸貫通」との文言があるため、どうやら銃弾に覇気を込める事は可能である模様。

  • 海楼石の銃弾
海楼石で銃弾作れば能力者にも有効じゃないか?」という意見も時々見られるが、実際劇場版では試作品と思しき海楼石製の銃弾が登場している。
が、元大将曰く、そもそも新世界クラスの海賊だと銃弾などろくに当たらないためほとんど意味がないらしい。
作中では見聞色の覇気による未来予知を身につけたルフィが、ワノ国編で難なく避け続けている。
しかも銃弾のような細かい加工はワノ国でしかできないらしく、ただでさえ海楼石は貴重なのにコストも嵩みそうである……。
当然、銃弾を作ったとしても、弾が奪われて相手にも利用されるリスクも考慮する必要がある。

原作での銃は、何人かの強者を処刑したり、ゾロは回避したり、ローは重傷を負わされたり、ナミやチョッパーは人質にされたりと、能力や覇気なしで受ければ危険なものという扱いだが、モンキー・D・ルフィリンリンに普通の銃弾が効かないことや、作中での銃兵が雑兵扱いなこともあり、アニメスタッフには侮られがちな様子。
万国編では、ジグラの仲間だった臓器売買暗殺集団が、モブ戦闘員でも銃弾の雨あられを剣で弾いたり、その中の「150」なる筋肉の塊の大男は体で弾いていた。
917話でゲッコー・モリアが海賊島ハチノスに殴り込みをかけた際、モリアはとくに能力も使わず、下っ端達の銃撃を体で弾いている。






追記・修正は銃使いの活躍を夢見ながらお願いします。

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最終更新:2025年04月07日 19:17

*1 悪魔の実は伝説とされるほど稀少なので『ONE PIECE』世界で銃自体が陳腐化する程能力者が出回っているわけでもないのだが、ルフィが海賊王という頂点を目指しているため『ONE PIECE』の物語に登場する名のある勢力には悪魔の実の能力者が必ずと言っていいほど在籍している。

*2 厳密には派生形の「撥」。

*3 映画やドラマなどの銃撃戦シーンで、やたら手摺りに当たって火花を散らしたり、壁に穴を空けたり、背景の花瓶などが破壊されるのも『銃弾が発射され着弾した』事を分かりやすく表現するための工夫と演出である。逆に言えばこうしないと絵面として地味になるということでもある

*4 ちなみにこの際にゾロは無防備な状態で二人の同時狙撃がまともに直撃しているが、ペル共々ご存じの通り死んでいなかった。

*5 その時は億クラスがゴロゴロと存在するタイミングなので忘れられがちだが1000万越えというのも十分実力者であり、それでもなおシャボンディ諸島はこいつを上回る程の金額の海賊が集まる為銃一丁でこの金額、かつここまで辿り着いたなら実力で見るなら5000万は下らない

*6 ただし戦桃丸のによる怒りの一撃で死んでないので、地味に打たれ強いのかもしれない。

*7 現代の銃弾の薬莢の後ろにある雷管を手動で取り付けて点火する

*8 こちらを「ウェポンズ左」の呼称で使用したこともある。

*9 モデルは1846年のColt Walkerだが.44口径である