洗脳-ブレインコントロール(遊戯王OCG)

登録日:2023/02/17 Fri 12:48:55
更新日:2025/04/21 Mon 09:55:18
所要時間:約 3 分で読めます




君のモンスターはもらったぁ!
これがエスパーデッキの洗脳戦術だ!!

オレのモンスターが二体とも奪われた!

そうさ!
ボクの狙いはキミのモンスターを二体とも奪い最強のモンスターを召喚することにあった!
スーパーエキスパートルールでは七ッ星以上のモンスターは二体の生け贄が必要だからね――!


《洗脳-ブレインコントロール》とは、『遊戯王OCG』のカードである。

【テキスト(エラッタ前)】

洗脳-ブレインコントロール
通常魔法
800ライフポイントを払って発動できる。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、エンドフェイズ時までコントロールを得る。



【概要】

初収録は第4期の「THE LOST MILLENNIUM」。略称は「ブレコン」。
丁度同じコントロール奪取系カードである《心変わり》が禁止から一旦釈放された時期に登場した、要するに調整版。
《心変わり》の方はノーコストで奪えるモンスターに制限が無い。
800ライフのコストと表側表示限定という制限が付いているこのカードは事実上そちらの下位互換である。
ただし、攻撃やリリースは自由にできる点は変わっていないのでほとんど同じ様に使用できる。
【帝】での生け贄確保をはじめ、多くのデッキで採用されていた。

なお、同じく《心変わり》の調整版として《精神操作》も既に登場していた。
しかしあちらは「奪ったモンスターは攻撃も生け贄にもできない」というデメリット付きで、このせいで当時の環境では非常に使いにくいカード*1で《洗脳-ブレインコントロール》の方が汎用性が高かった。
このカードが登場して間もなく、上位互換の《心変わり》は再び禁止に指定。コントロール奪取系カードとして重宝されるようになる。

ライフコストが必要とはいえ簡単にボードアドを稼げる強力なカードには変わりなく、07年9月1日に制限カードとなる。
そして、S召喚の登場以降は奪ったモンスターをS素材にできるという点も問題視されるようになってきた。
先程比較対象に挙げた《精神操作》すら制限カードに指定されてしまう中、当然その前から制限だったこのカードも無事で済むはずが無い。
最終的に10年9月1日をもって禁止カードに指定された。



エラッタされて復帰! したのだが…

その後、時は流れること17年1月1日。
王宮の勅命》《ゴヨウ・ガーディアン》《氷結界の龍 ブリューナク
レスキューキャット》《未来融合-フューチャー・フュージョン》と一緒にエラッタされて制限カードとして復帰。
エラッタ後のテキストは以下の通りである。

洗脳-ブレインコントロール
通常魔法
(1):800LPを払い、相手フィールドの通常召喚可能な表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

エラッタによって、通常召喚可能なモンスターのみ奪えるよう変更された。

だが、現代においてデッキのフィニッシャーを務めているのは、EXデッキから呼び出すような特殊召喚モンスターなのはわざわざ書くまでもないこと。
しかも、このカードが緩和された時期はX召喚を主体とする【十二獣】の全盛期
ターンが終わった時に奪えるモンスターが残ってることはほぼ無かった。

ならばA召喚などメインデッキで戦うデッキには強い……はずなのだが、【真竜】が猛威を振るっていた時期でもあまり活躍できなかった。
何故なら、あちらのキーカードである《真竜剣皇マスターP》は効果で魔法耐性を得られたからである。
まぁ、基本的に得るのはモンスター効果耐性と罠耐性だったので狙おうと思えば狙えない事もなかったが、大体隣に奪えない奴が立っていたりしたのでミラーマッチ対策としても複数枚入れられる《帝王の烈旋》の方が優先された。
結果、17年7月1日に制限解除となった。

一応奪ったモンスターで攻撃できるという点はそのままなので、全く使えないカードというわけでもない。
しかし、奪えるモンスターに制限が掛かっているのがネック。
素材として処理するだけなら《精神操作》、リリースなら(名称ターン1制限かつEXデッキから特殊召喚できなくなるデメリットはあるが)《帝王の烈旋》が目の上のたんこぶ。
EXデッキのモンスターで戦うのが主流となっているため、弱体化部分が響く場面があまりにも多すぎるのである。
皮肉なことに、かつての《精神操作》とは完全に立場が逆転してしまっている。
せめて、逆の「通常召喚できるモンスターが奪えない」だったらと言われることもある。

このままなら4枚目以降の《精神操作》という扱いで終わっていたが、23年1月1日、更なる悲劇が《洗脳-ブレインコントロール》を襲う。

《心変わり》「おいっすー!」

《心変わり》、エラッタ無しで制限カードに復帰。
とうとう完全上位互換が解禁されるまで時代が進んでしまったのである。哀れな……

さらに24年1月1日には《心変わり》が準制限カードにまで緩和され、24年4月1日には制限解除される。
こうなってはもはやエラッタされ損としか言いようがなく、エラッタ復帰の悪例として挙げられることが多い。

再エラッタによる強化は最早絶望視されているというか、エラッタ前が元々《心変わり》の完全下位互換として作成されており、差別化要素はない。
エラッタ前に戻したところで出番がある可能性は0に近い。

原作の挙動を再現しようしているシリーズカードの「マジックカード-○○」に拾われて転生リメイクされる事の方がまだ現実的と言われている。

《洗脳-ブレインコントロール》や《キラー・スネーク》の惨劇から学びを得たからなのか、その後のエラッタカードは比較的まともな調整になっているのが唯一の救いだろうか……


まさかの救済

ブレインコントローラー
チューナー・効果モンスター
星1/闇属性/サイキック族/攻 100/守 200
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「洗脳-ブレインコントロール」1枚を手札に加える。
(2):自分がLPを払った場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象とし、
1~8までの任意のレベルを宣言して発動できる。
そのモンスターのレベルを宣言したレベルにする。
(3):このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。
このカードを効果を無効にして相手フィールドに守備表示で特殊召喚する。

2025年最初のパック、『ALLIANCE INSIGHT』にてなんと《洗脳ーブレインコントロール》のサポートカードが登場。

1つ目の効果は《洗脳ーブレインコントロール》のサーチ。このモンスターだけでなく、《緊急テレポート》や《ワン・フォー・ワン》などのこのカードをリクルート出来るカードも《洗脳ーブレインコントロール》にアクセスできる様になる。

2つ目の効果はライフを払った時に場のモンスターのレベルを変更する効果。《洗脳ーブレインコントロール》で条件を満たせる上にこのカードがレベル1チューナーなので、奪ったモンスターと合わせて幅広い範囲のS召喚が可能になる。
また、ライフを払う行為ならなんでもトリガーに出来るため、【P.U.N.K.】の様なライフコストの多いデッキにレベル操作のできるチューナーとして単独で仕事させる事も可能。
後述の効果には繋がらないものの、S召喚以外の特殊召喚や、X召喚への活用も可能。例として、
といった動きができる。

3つ目の効果はS素材になった時に相手の場に効果無効かつ守備表示で特殊召喚される効果。
これで「相手の場にモンスターがいないor奪えないモンスターしかいない」と言う場合でも《洗脳ーブレインコントロール》で奪う的を用意し、再度レベル1チューナーとして利用出来る。
ステータスが低いため、守備貫通効果持ちで攻撃する的にも出来る。

まだ単体では使いづらい事は変わってないものの、このカードの登場により《心変わり》《精神操作》とは一応の差別化ができる様になったのは喜ばしい事である。


【原作などの活躍】

実は原作では王国編から登場する古参カードである。
効果は《心変わり》と全く同じであり、中々OCG化しなかったのはこれが原因と思われる。

主な使い手は闇遊戯
コントロール奪取したモンスターは生け贄にしたり《カタパルト・タートル》の弾にしたりしている。
人形戦では再生中の《リバイバルスライム》を洗脳し大逆転のキーカードとなった。
また原作でのみ最上級モンスターとなっている《人造人間-サイコ・ショッカー》の生け贄要員を確保するべく、エスパー絽場が使用する場面がある。

ゲーム作品においても古くから登場し、『DM4』では遊戯デッキのみ使用できるカードとなっている。
が、しかし城之内デッキを選んでもほぼ同じ効果の《心変わり》を使用できた。
他のカードの汎用性で大きな差があったことから、遊戯デッキを選ぶ人は少なかった。ここでも不遇な《洗脳-ブレインコントロール》であった。
とはいえ、GB版シリーズでの《心変わり》は「相手モンスターのコントロールを完全に乗っ取る」という、OCG以上のチートじみた効果。
OCGでの《心変わり》の性能を持っているこのカードは依然として強力な部類。
相手モンスターのコントロールを奪った後はそのまま融合素材にしてしまったりA召喚に繋げてしまうのがベスト。
その様な事から、効果モンスターを用いたテクニカル戦術を得意とする遊戯デッキでは除去とコントロール奪取の両方を備えている。
大嵐》や《死者蘇生》と共に、遊戯デッキでの必須となる魔法カードの一つでもある。



余談だが、「洗脳」という良い響きからR-18の二次創作ではお声がかかることが多い。
……と思いきや、『遊戯王5D's WORLD CHAMPION SHIP 2010 Reverse of Arcadia』では公式でディヴァインおじさんマジで使用。
このカードで主人公をブレインコントロールしてしまった。



追記・修正は、相手のお気に入りモンスターを洗脳してからお願いします。

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最終更新:2025年04月21日 09:55

*1 当時はリンク召喚どころかシンクロ召喚すら無く、融合召喚も当時はほとんどが名称指定で今日の様な「カテゴリ×2」「特定の種族・属性×2」といった手軽に出せるものがまずないため融合素材としての活用も難しかった。実質的に「射出モンスターの弾にする」か「他の自軍モンスターで直接攻撃する為に道を開けさせる」程度の使い道しか無かった。