登録日:2023/03/28 Tue 21:19:37
更新日:2023/04/03 Mon 05:58:20
所要時間:約 10 分で読めます
ウルトラマンに、ダダ、ゼットン、バルタン星人、エレキング、ピグモン、カネゴン、ジェロニモン。
じつはなかよしだったんです。
あのウルトラマンと怪獣たちが、じつは仲よしだったとしたら?
ちょっととぼけたうるとらまんと、かいじゅうたちのもう一つのうるとらまん物語。
『かいじゅうたちが いる くらし―うるとらまん 愛のものがたり』とは、2001年6月1日に小学館より刊行されたウルトラシリーズ題材の書籍作品。
イラストは足立奈美、構成・編集協力は塩屋知子(いずれも奥付のみで書籍カバーにはノンクレジット)。
概要
2000年前後頃に円谷プロ公式で株式会社バンダイより商品展開されたぬいぐるみシリーズ「
ウルトラマン くたキャラシリーズ」のキャラデザインを用いて製作された絵物語。
元となったぬいぐるみシリーズが、ウルトラシリーズのヒーローや怪獣・宇宙人を
(・u・)みたいな顔のぬるいデザインにアレンジして造形されていた事もあってか、
それをベースとした本作も、ウルトラマンや怪獣達が平和に暮らす世界観を舞台にした日常もの、といった塩梅の基本心温まる物語を展開している。
……が、ヒッポリト星人の回など、ややシュール気味なネタを取り扱う事もあったり。
本の形態はハードカバーの一般的な絵本だが、本文は漢字が多い割にフリガナは全く無いなど、
恐らく対象年齢は幼年層ではなく子供を持つ親、せいぜい小学校高学年以上の層を想定しているものと思われる。
イメージ的には
下ネタやドタバタを全カットした「PTA提出用『ウルトラ怪獣かっとび!ランド』」みたいな感じであろうか。
書籍は現在は絶版だが、2023年時点で中古価格はそこまで高騰しておらず一般の中古相応なので、興味ある方はチェックされても損はないかもしれない。
本作の事実上の原案である「ウルトラマン くたキャラシリーズ」は当然ながら現在は絶版で、かつぬいぐるみという商品の性質故に美品の入手も困難を極める。
商品展開当時には、CM企画『
ウルトラマンナイス』の第19話「パパ、くたびれる」編において商品の宣伝がなされており、
円谷公式のサブスクサービス「TSUBURAYA IMAGINATION」にてこの『ナイス』における宣伝回も配信されているため、当時の名残を知りたい方はチェック。
……そして、2023年3月公開のアニメ映画『
グリッドマン ユニバース』にて、くたキャラシリーズのウルトラマンがまさかの
カメオ出演。当時を知る視聴者を驚かせた。
あらすじ
遠い宇宙の果ての果て、それこそ宇宙の端っこに存在する小さな星。
天文観測者の間ではその星がどのような名称で呼ばれているのかは定かではないが、そこの住民達は自分達の星を「メロウウェスト」と呼び、楽しく暮らしていた。
この物語は、メロウウェストに住まう住民達の、楽しくも心温まるそして時々シュールな日々のお話である。
登場人物
基となった「くたキャラシリーズ」ではウルトラマンや怪獣・宇宙人の名前は平仮名表記になっていたが、
『かいじゅうたちが いる くらし』においてはそのままだと文章が流石に読み辛くなることを考慮してか平仮名表記はうるとらまんのみとなっている。
また、登場人物はメイン・モブ共に、くたキャラシリーズにはラインナップされてない本作独自のキャラクターも含まれている。
メロウウェストの住民の中でもひときわ頼りになる人物。
ウルトラセブンと
ウルトラマンタロウとは遊び仲間の「ウルトラトリオ」で、一番星とは子供の頃に出会って彼を空に返す手伝いをして以来の仲良し。
うるとらまんの友達である、文字通り空に浮かぶ「一番星」。
科学特捜隊の流星マークが元ネタ……かどうかは不明。
昔、ながれ星の練習をした際にメロウウェストの地上に墜落し、子供の頃のうるとらまんに拾われ、彼の手によって空に帰れた身。
空に帰ってからはうるとらまんとは直接会う事はなかったようだが、夜にはうるとらまんに見えるように力いっぱい輝くよう頑張っている。
ヘア・サロンの「サロン・バルタン」を営むヘア・アーティストで、腕のハサミでどんなスタイルも自由自在に編み出す。
メロウウェストで一番のお洒落好きだが、それ故に髪の無いジャミラやガッツ星人、10年に1回しかカットに来ないウーにはほとほと困っている模様。
下半身の縞々模様はズボンであり、同じ柄のものを山ほど持っている。
ちなみにピグモンが書いたメロウウェストの地図によると、本作の世界観においても彼の出身であるバルタン星はもう無くなっているらしい。
バルタン星人の弟子で、二本の尻尾で起用にハサミを持ってサロンを手伝う。早く一人前になって自分の手、もとい尻尾で客をカットするのが目標。
何処からともなく現れて不思議なマジックショーを披露するマジシャン。普段何処にいるのかは全く謎。
そのトリックはマジックの域を越えており、作中ではマジックショーを観に来た観客全員を消すと宣言し、その言葉通り一瞬にして全員を消し去ってしまった。
……そして当然ながら観客が全員消えた以上、ヒッポリト星人の腕前を理解する者はこの世に無いため、彼の実力はメロウウェストの誰からも知られていないのだという。
ちなみに消された観客のシーンにはうるとらまんを始めとする本作のレギュラーキャラが複数名描かれている。姿が似ているだけの別個体なのだろうか
緑色の直立した恐竜という原作と比べて最も原型を留めてないデザイン。ちなみにこの容姿はくたキャラシリーズのぬいぐるみと全く同じ。
心優しい力持ちの配達屋だが、メロウウェストの住民達が届け物を頼むのは年に一度きりの誕生日の日(住民全員が同じ誕生日とのこと)なので、
毎年荷物の運送に苦労していたが、ガッツ星人が山ほど積まれた荷物で塞がれた視界の代わりを担うようになってからは彼と仲良くなり、共に配達屋をするようになった。
小さい。原作で特徴的な頭部や眼も小さく描かれているため、他のキャラと比較してもマスコット的な外見のちんまいデザイン。
身体のサイズが目測4、5倍くらいの差があるレッドキングとは配達屋を手伝うようになって以来の友達。小さいがその分知恵は回る。
自称ソーダ研究家で、何でもかんでもミックスしてソーダにしてしまうのが趣味。
腕前は時折ガス爆発で失敗しながらも確かなものだが、作っては片っ端からレシピを忘れるため、自力では同じものは二度と作れない。
メトロン星人のソーダ作りを黙々と手伝うマイペースな人物で、メトロン星人が作る傍から忘れるレシピをノートにメモするしっかり者。
メトロン星人とアングラモンと仲良しの、まんま小さな惑星の姿をしたメロウウェストの住民。
メトロン星人のソーダ作りに材料の惑星ガスを提供している。
音楽好きで、とにかくオーケストラを指揮したいが為に、仲間を招集してなかば強引にオーケストラを編成した。
自称天才発明家。これまで数々の発明品を作ったが、そのうち
役に立つものを数えた方が早いという困った博士。
発明の例を挙げれば、一旦時間を止めると
装置を解除する者も止まってしまうため一度も作動を試してない
「時間を止める機械」、
星座を作る為に飛ばした岩石で既存の星座を吹っ飛ばしかねない
「星座作成器」、
使えば誰でもウルトラセブンに変身できるが、当のセブンにしかサイズが合わず、更に言えば当人が
自分用を既に持っているため誰も使えない
「変身めがね」、
迷子のシーボーズを探すために作ったはいいものの全然役に立たない
「シーボーズ発見器」……等々、
控え目に言って何の役にも立たなかったり、傍迷惑になりかねないものばかりである。
ぶっちゃけるとメロウウェストのDr.スランプである
外見はキングジョーの胸に「Ⅱ」のマーキングが刻印されたもので、
平成ウルトラセブンの方に出てきた同名怪獣が元ネタかは不明。
キングジョーが冗談半分に作った自身そっくりのロボットだが、
「時空分離融合装置」「時空間移動装置」「物体融合分離装置」「異星探査機」など
創造主が作った事も無いような有益な発明品を次々と創り出す、メロウウェストのDr.パーフェクトとも言うべき存在。
容貌は上記の相違点以外はキングジョーと全く変わらないが、創造主曰く「私の方がちょっとハンサム」とのこと。
キングジョーの助手で、実験工房に遊びに行ってる内にいつの間にか助手扱いになっていた。
博士のアレな発明品にはいつも呆れており、工房でいらなくなった発明品をジェロニモンに押しつけプレゼントしたりしているらしい。
緑色。ちなみにくたキャラシリーズのぬいぐるみはデザインはほぼ同じながら赤茶色だった。
本作では原作における性質を光る物を集めると解釈されており、その目的は夜にしか咲かない宵咲草に昼の光を見せてあげるため。
メロウの丘に咲く一輪の花で、カネゴンの恋人。その名の通り夜にしか咲かないため、カネゴンがメロウウェスト中から集めた昼の光で初めてその姿を見ることが出来る。
ちなみにアロマ製作を仕事としているペスターからは「幻の花」として狙われているらしい。
仲間と一緒にいる事が好きな怪獣。まだ子供であり、早く大人になることが夢。ちょっとおっちょこちょいな性格。
毛がしょっちゅう伸びるため、バルタン星人によってはお得意様。
最近一人暮らしを始めたため、友達を呼ぶためにメロウウェストの大分アバウトな地図を書いたりしている。
ちなみに彼の地図をよく見ると、メロウウェストには「宇宙のあな」なる落ちたら危険な場所もある模様。
セラピスト。メロウウェスト中のあらゆる植物を用いてアロマオイルを調合するのが得意で、オリジナルアロマは効き目が抜群。
作中で紹介されている範疇では、リラックス効果がありゴモラのような角が生える「ダベンダー」、
疲労回復の効果がありレッドキングのような尻尾が生える「ペパーキント」、
保湿効果がありピグモンのようなモコモコした姿になる「セモングラス」といった副作用がアレなアロマを作れる模様。
評判は悪くないようで彼のハーブの実験も兼ねた即売会は盛況だが、失敗の連続でボロボロになる事も。
キングジョーやメトロン星人とは、工房に原材料を調達して見返りに発明品を貰ったり、材料を提供して作られたソーダを貰ったりする仲。
うるとらまん、キングジョーらと共に、迷子のシーボーズを探す捜索隊を結成しており、本人は捜索隊長のつもりだが、実際はシーボーズに負けず劣らず迷ってばかりらしい。
落とし穴に落ちたり道に迷ったりで、いつも迷子になって涙を流している迷惑な怪獣。たまにちゃっかり家に帰ってる事もあるらしい
メロウウェストの住民なら会った事があってもなくても皆友達と思っている怪獣。作中時点では友達は30人で、31人目を募集している。
うるとらまんの遊び仲間。頭頂部の
アイスラッガーには拘りがあるため、バルタン星人の困ったお客の一人でもある。変身用のメガネを自前で持っているらしい。
ピグモンには憧れられている。
うるとらまんの遊び仲間。作中ではほぼモブ扱いで目立った出番はないが、ジェロニモンの友達一覧には載っている。
バルタン星人のお客で、いつもパーマのコースを入れてくれるお得意さん。おしとやかなしっかり者。
のんびり屋。岩石を発掘する仕事をしているらしい。
彼もまたバルタン星人の困ったお客の一人で、たまには雰囲気を変えたいと注文して悩ませている。ちなみにピグモンにサロン・バルタンを紹介したのも彼らしい。
無口だが優しい怪獣。
サロン・バルタンには10年に一回しかカットに来ないため苦労させているが、バルタン星人にとっては楽しいお客である模様。
ピグモンの書いた地図によれば高い山に住んでいる模様。
分身能力を持ち、知人から食べ物を貰う際には分身して多くせしめようとする。
ジェロニモンは全く見分けのつかない三つ子と思っている模様。
ゴモラの音楽仲間。
ゼットンは「なんでも相談所」を始めたが、客が全く来なかったため、ガッツ星人の「よろず相談所」に相談に来ている。
Aタイプの外見。時に目立った出番はないが、本作の表紙や奥付のイラストでもチラッと描かれているため割と印象に残る。
その他にもモブキャラとして、くたキャラ調のデザインとなったウルトラシリーズの怪獣・宇宙人(主に
初代~
レオまでのもの)が作中で多数描かれている。
両眼から花を咲かせているドギューなど凡ミスも確認出来たり
追記・修正は、この書籍、もしくはくたキャラシリーズのぬいぐるみを所持している方がお願いします。
最終更新:2023年04月03日 05:58