儚無みずき(遊戯王OCG)

登録日:2023/08/25 Fri 00:18:07
更新日:2025/04/26 Sat 16:58:04
所要時間:約 8 分で読めます




【概要】

儚無みずき》とは「遊戯王OCG」に登場するカードである。
初収録パックは10期のレギュラーパック「DARK NEOSTORM」で、9期より冬に発売するレギュラーパックで恒例行事となっていた妖怪少女シリーズの5枚目で水属性担当。
妖怪少女シリーズは《屋敷わらし》がこれまで和装だったのに対して洋装となっていたが、《儚無みずき》もこれを引き継いでおり洋装となっている。
レアリティはこれまで通りスーパーレア(シークレット、20thシク仕様もあり)。

イラストはシスターの様な服を着た少女が霊体の犬と共に座っている姿。
名前の元ネタは春の季語にもなっているハナミズキと思われる。
隣の霊体の犬はハナミズキの英名が「dogwood(ドッグウッド)」であることから来ていると思われる。

【効果】

チューナー・効果モンスター
星3/水属性/アンデット族/攻 0/守1800
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手ターンに、このカードを手札から捨てて発動できる。
このターン中、以下の効果を適用する。
●相手がメインフェイズ及びバトルフェイズに効果モンスターを特殊召喚する度に、
自分はそのモンスターの攻撃力分だけLPを回復する。
この効果で自分のLPが回復しなかった場合、エンドフェイズに自分のLPは半分になる。

手札から捨てて発動し、そのターンの間「メインフェイズとバトルフェイズに相手が特殊召喚したモンスターの攻撃力分ライフを回復する効果と、この効果で回復できなかった場合はエンドフェイズに自分のライフが半分になる」効果を適用する
相手の行動に干渉しない上にライフ回復を行うという、手札誘発としてはかなり異質な効果を持っている。
ライフ回復効果はチェーンブロックを作らないため、効果モンスターが特殊召喚されたら即ライフを回復する。
妖怪少女シリーズの中では唯一発動条件を必要とせず、フリーチェーンで発動できるがエンドフェイズでの発動はできない。
また、妖怪少女唯一の《増殖するG》や《ドロール&ロックバード》の様な発動ターン中効果が残存するタイプとなっている。
ある意味ドローを回復に置き換えた《増殖するG》の亜種として見ることもできる。

ライフ回復カードとして他のカードと比べると、相手の行動に依存はしてしまうものの比較的少ない消費で簡単な条件で大量のライフの回復を狙えるため、ライフ回復カードの中ではコスパは良好な方
展開の終着点となるエース格の大型モンスターは勿論、小型モンスターでも展開途中に数回特殊召喚されるため、発動されても相手が躊躇なく展開してきた場合は万単位のライフ回復も狙える
ただし、効果モンスター限定のため通常モンスター及びトークンは非対応な点には注意が必要で、《原始生命態ニビル》に対して発動しても原始生命態トークンが万単位の攻撃力を得ようが本体の方の3000しか回復できない。




【長所】

  • 少ない消費で大量のライフ回復を狙える
前述の通り。
ライフ回復カードはあまりコストパフォーマンスが良いものが少なく、1000を超える回復を狙う場合は発動条件が面倒だったり、コストに見合わないなど安定しないものも多い。
《儚無みずき》は相手に依存するとはいえ1枚の消費で相手が特殊召喚しているだけでライフがモリモリ回復する
似たような効果を持つ《増殖するG》のドローと比べると《儚無みずき》のライフ回復は、相手が止めずに展開してくる可能性も高いため大量のライフ回復を狙える。
そのため1枚の消費で大量のライフ回復が実現しやすいため、大量のライフを必要とするデッキでは有難いカードとなる。


  • ワンキル対策になる
普通のデッキでワンキルを狙う場合は大型モンスターを立てたり、モンスターを横並べしライフを削り落とすことを狙うため、《儚無みずき》を発動すると展開途中にライフ回復が起こるためダメージ量が追い付かなくなる。
元々の攻撃力ではなく特殊召喚時の攻撃力を参照にするため、元々の攻撃力が低くて効果で高攻撃力を実現するようなタイプにも対応できる。
ワンキルは初期ライフの8000をギリギリ削ることが前提なのも珍しくはないため、戦略が根本から崩壊してしまい、特にワンキル特化デッキへのメタカードにもなる。
《増殖するG》はドローされることをかまわず展開してきてワンキルを目指してきた場合は、有効なカードを引けなければそのまま負けてしまうが、《儚無みずき》は延命性能が高いためその様なことは防ぎやすい。


  • 効果がそのターン中ずっと適用されること
単発の使い捨てではないため、効果が適用されたら相手は「効果モンスターを特殊召喚すると相手のライフが回復する」状況と向き合い続けることになる
《増殖するG》は強制ドローによるデッキデスに移行されて負けてしまう可能性もあるが、《儚無みずき》はライフ回復効果なので自滅行為になってしまう事にはなりにくく、逆手に取られにくい効果なのも強み。


【短所】

  • ライフ回復をしていないとデメリットでライフが半分になる
効果的適用後に回復ができなかった場合はエンドフェイズにライフを半分にされてしまい、本来ライフを回復するためのカードなのに真逆の結果となってしまう
確実に回復をしたいなら特殊召喚効果にチェーンをすれば良いが、チェーンを組まない特殊召喚を多用するデッキに対しては発動タイミングが難しくなる。
ただ、発動後に相手が特殊召喚を行わなかった場合は自分のライフを半分と引き換えに相手の行動を抑制したと考えることもできる。
逆手に取って自分のライフを削るカードとして使うこともできるが、手札を1枚消費してライフを半分にするだけなので微妙な所。


  • ワンキルの仕方によっては穴を突かれる
あくまで特殊召喚成功時(・・・)の効果モンスターの攻撃力を参照して回復しているため、特殊召喚後にカードの効果で攻撃力を爆上げしてくるタイプには回復量が足りなくなりやすい。
また、通常モンスターやトークンを並べるワンキルなどにも無力。
相手とのライフの差分攻撃力を上げる《E・HERO エアー・ネオス》の様なカードは実質メタのような性質を持っているため天敵となる。


  • 回復行為を逆手に取られることがある
発動後に回復をダメージに変換する《シモッチによる副作用》や《堕天使ナース-レフィキュル》を出されると、特殊召喚されるたびにダメージが発生する地獄の様な状況に陥る。
また、《活路への希望》を使われると大量ドローを許すことになる。
とはいえ、これらのカードを使うデッキは特殊な動きをするデッキであり、特殊召喚を連打するようデッキ構成になっていることは少ないのであまり気にしなくても良い。
むしろ、これらのデッキに対しては効果が腐ることの方が問題になるが、その場合は何らかの素材に使いたい。
幸い、チューナーだしアンデット族なので対応するサポートは豊富であり、素材には使いやすい。

  • ライフ回復自体が勝利へ繋がらない
上記の弱点は正直なところ、「一部の相手に対して相性が悪い」程度の話であり大したものではなかったりするのだが、ここからが《儚無みずき》が抱える根本的な問題になる
遊戯王だけでなく多くのTCGでも言われることだが、ライフ回復は死ににくくなるだけで勝利に繋がらないのである。
他のTCGではライフ(またはそれに該当するもの)が減少した際に手札が増えたり、カードの発動コストを軽減または踏み倒しながら発動したり何らかの行動のコストの支払いに使うためのリソースになったりと、
ライフの減少が逆転要素に繋がるシステムが搭載されていることがあるが、遊戯王にはその様なシステムはなく本当に死ににくくなるだけである。
勿論ライフはあるに越したことはなく、サブとなる効果にライフ回復がついている場合には評価されるのだが、ライフ回復しかできないカードの評価は低くなりやすい
つまり、限度はあるにしろ極端な話「ライフが0でなければゲームは続けられるから問題ない」というライフアドバンテージが軽視されやすいゲーム性となっているため、
遊戯王では他のリソースを消費してまでライフを増やしに行く意味が薄い。
むしろ、手札を消費してライフアドバンテージを取りに行くなら基本的な勝利条件となる「相手のライフを0にする」という最終目標に近づけるバーンの方が価値が高い。
また、遊戯王のカードプールは回復することによるライフアドバンテージを活かせるカードが少ないと言った事情もある。

  • ライフ回復行為では相手の行動の抑制になりにくい
長所の方で「《増殖するG》と比べると相手が止めずに展開してくる可能性が高く大量のライフ回復を狙える」と書いたが、この長所は短所の裏返しでもあり、例えライフを万単位で回復されようが、相手の脅威になりにくいということである。
採用率の高い《増殖するG》の「特殊召喚する度にドロー」する効果が展開する相手にとって脅威となるのは、ドローされた手札誘発で展開を止められて盤面も形成できず相手に手札を与えただけで終わってしまう可能性や、
展開をし終えたとしても返しのターンで相手の潤沢な手札から飛んでくる多数の捲り手段によって盤面を崩されてしまうリスクが大きく付きまとうからである。
《儚無みずき》のライフ回復の場合はいくら回復しようが展開は妨害されないし、返しの捲り手段が増える訳でもない。なんなら《儚無みずき》で手札を1枚使ってしまっているのでむしろ有利な状況になっているとすら言える。
1キルならばいいが、制圧のできる相手に対しては、時間を稼いでも状況は好転しない。放っておいたら、基本的に制圧盤面はさらに強固になっていくのだから。
要は死なないだけで何もできずに殴られる時間が無駄に増えるだけである。


【儚無みずきを発動して勝利する方法】

上記の通りただ使っただけではゲーム状況に大した影響を及ぼさず、更に悪い言い方をすれば手札を1枚捨てて無駄に延命しただけの様な状況にすらなってしまう。
つまり使用する場合は、《儚無みずき》によるライフ回復を勝利に繋げる方法や状況を考えて使用する必要がある。
ライフ回復効果というわかりやすくシンプルな効果でありながら、実態は《浮幽さくら》以上にピーキーであり、妖怪少女の中で最も扱いが難しいカードと言えるかもしれない。

  • 稼いだライフを何かしらのアドバンテージに変換する
稼いだライフをカードの効果などで有効に使うという、最もシンプルな方法
コズミック・サイクロン》や《神の通告》などの固定ライフを払って発動するカードの発動を気兼ねなくできるようになるが、これらのカードは基本的に初期ライフでやりくりすることを前提に運用することが殆どなので、これらのカードのために使うことはまずない。
単純な所で発動条件に初期ライフの8000よりも大きい9000以上であることを要求し、コストとして2000ライフを払って発動する2ドローを行う《エンシェント・リーフ》がある。
このカードは発動にライフポイントを支払う必要があるため、2枚目以降を引いても大量に稼いだライフポイントを使い連打することも可能。

相手のライフを上回った差分攻撃力を上げる《エンシェント・ホーリー・ワイバーン》《力の代行者 マーズ》《天空勇士ネオパーシアス》はワンパンで相手を倒せるレベルの攻撃力を得られる可能性がある。
後者2枚は効果を適用するために《天空の聖域》を必要とするため専用デッキを組む必要があるが、《エンシェント・ホーリー・ワイバーン》は素材指定に光属性チューナーこそあるが比較的汎用性が高い。
また、《機皇帝グランエル∞》も自分のライフの半分を攻撃力と守備力とする効果を持ち、機械族のため攻撃力が足りない分も《リミッター解除》などを併用してカバーすればワンキルを狙える。
昔に比べて格段に使いやすくなった《ラーの翼神竜》や、自身のライフをダイレクトに攻撃力に変換する《幻の召喚神エクゾディア》も相手よりライフ量が多ければワンターン☆キルを狙えるので効果的。

……もっとも、先攻でこれらのカードの使用を妨害できる制圧盤面を組まれる場合、このようなデッキだったとてどうしようもないのだが。

アロマ】は「ライフを回復することが効果の発動条件」「相手よりライフを上回っていると発動または適用できる効果がある」「ライフを支払って発動する効果がある」と、
ライフ回復効果及びライフアドバンテージを活かしにくい遊戯王において全ての要素を必要とする希少なテーマとなっている。


  • 生き延びさえすれば勝てる状況
どんな形であれとにかく生き延びれば勝てる状況で使う
前述の通り普通の展開系に使っても効果は薄いが、ワンキル特化のデッキで特に先攻1キル特化の場合は「1ターン目で勝てなければ負け」の様なデッキ編成になってることが多く、
ワンキルに失敗すると良くても耐性もなく妨害もできないモンスターが棒立ちしてるだけになることもあり、死ななければ実質勝ったような状況になりやすい。

生き延びさえすれば勝てる状況を作るカードと言えば《終焉のカウントダウン》もあるが、こちらは長いターン生き延びないといけないので、
何時引いても使いやすい攻撃を止めるカードや相手の動きを縛る永続系のカードを使った方が良く、《儚無みずき》を使う意味は薄い。


  • 相手にとってライフを回復されると脅威となる状況
ライフ回復を回復されること自体の影響が大きい状況で使うか、その様な状況を作る
例えばトリガーとして相手にバーンダメージを与える《ビッグバンガール》を使う。
特殊召喚をすればするほど死に近づいていくため、相手も意識して展開する必要が出てくる。

また大会のルールなどによっては「時間制限が過ぎたら既定のターン数だけゲームを行い、そこで決着がつかなかったらライフの多い方を勝者とする」というエキストラターンやエキストラデュエルと呼ばれるルールもある。
このルールが適用された場合にはライフを回復されること自体が負けに近づく状況となってしまうため、特にバトルフェイズを行えないエキストラデュエルの先攻1ターン目では《増殖するG》以上の脅威となることもある。
この様なルールがある大会で、特に短いターンでの大幅なライフカットをしにくい罠ビート系のデッキなどは、サイドデッキに採用していることもある。



【余談】

  • ガンドラXのメタカード
登場した時期は《破滅竜ガンドラX》のバーンによる先攻ワンキルが暴れていた時期のため、それに対するメタカードとしてデザインされたと言われていた。
情報が出た当時は対策カードとして注目されていたのだが、フィールドのモンスターの攻撃力をバーンの火力に変換する性質上、自分と相手とのライフの差分攻撃力を上げる《No.35 ラベノス・タランチュラ》を出すことで、いくら回復されようが帳消しにできるため対策されてしまった
そのため、メタカードとして破綻してしまい《儚無みずき》にとって苦いデビューとなってしまった。

  • 再録
再録は他の妖怪少女と一緒にされており、「RARITY COLLECTION-PREMIUM GOLD EDITION-」「PRISMATIC ART COLLECTION」では他の妖怪少女と一緒にイラスト違い版が収録されている。
イラスト違い版は海外で先行登場したものを輸入したものとなっている。
非常にピーキーかつ汎用性が低いせいか、ストラクチャーデッキなどに単独で再録されることは2023年8月までなかったが、デッキビルドパック ヴァリアント・スマッシャーズにノーマルで収録された。一箱買えば3枚は余裕で手に入るのでレアリティを気にしないのなら非常に手に入れやすい。
同パックには、ライフ回復をトリガーにカードにカウンターを乗せる【ヴァルモニカ】が登場したので、そちらとのシナジーを意識したものだろう。
実際、回復をトリガーとしたカウンターを3つ乗せられれば、相手ターンにL召喚すると荒らし性能が高い《ヴァルモニカの異神-ジュラルメ》をチラつかせることができるので相性は悪くはない。
また、その性質から採用されることがお世辞にも多いとは言い難いカードのため、シングル価格は安め。

  • 海外版イラスト
シスター服っぽいという宗教色の強い衣装だからか、やはりというべきか海外ではイラストが修正されており頭巾の黒部分が無くなっている。
しかし白い部分は残されてカチューシャっぽくなっており、これはこれで可愛いと評判。




追記・修正はライフポイントを2万以上回復してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 妖怪少女
  • チューナー
  • 水属性
  • ライフ回復
  • 遊戯王
  • 遊戯王OCG
  • シスター
  • 星3
  • 手札誘発
  • アンデット族
  • DARK NEOSTORM
  • レアコレ再録
  • 儚無みずき
  • 攻撃力0
最終更新:2025年04月26日 16:58