パンチアウト!!

登録日:2024/06/25 Tue 02:45:13
更新日:2025/08/16 Sat 09:03:10
所要時間:約 30 分で読めます





『パンチアウト!!』(英: Punch-Out!!)シリーズは任天堂から発売されているボクシングゲームシリーズ。
第1作はアーケードゲームとして1984年に稼働し、後にアーケードゲームのみならず家庭用機種向けの続編も発売されている。



☆概要


プレイヤーはWorld Video Boxing Association(W.V.B.A)の挑戦者であるボクサーを操作し、世界チャンピオンを目指す一連のゲームシリーズ。

本作はニンテンドー・オブ・アメリカの意向を強く受けた作品であり、アーケードゲームとして稼働した第1作目からボクシングの本場であるアメリカのマーケットを念頭に置いて製作された。主人公のリトル・マックを筆頭に登場人物にやたらとアメリカ人が多いのもこの為。
そのマーケティングの甲斐あって当のアメリカを中心とした海外人気は現在でも根強く、任天堂以外からも本作のゲームシステムや雰囲気を踏襲した「パンチアウト!!“ライク”」なインディーズゲームが数多くリリースされている。

一方で日本での知名度と認識はレトロゲームの立ち位置を脱せず今ひとつだったものの、その海外人気の高さが評価されてFC・Wii版にて主役を務めたリトル・マックが大乱闘スマッシュブラザーズシリーズに参戦を果たすと、それをきっかけに日本でも知名度が急上昇し広く知られるようになった。


☆ゲームシステム


FC・Wii版における試合ルールは1ラウンド3分間*1の3ラウンド制で、SFC版では1ラウンドのみ。ダウン後立ち上がれなければ「KO」、1ラウンド中に3度のダウンを奪えば「TKO」となる。
加えて3ラウンド終了時に決着がつかない場合は判定に持ち込まれ、試合を通して優勢に立ち回った方が判定勝ちとなる。*2

主人公の攻撃行動はそれぞれ顔面とボディを狙う左右パンチの打ち分けからなる4種類のジャブ・ボディブローに加え、作品ごとに特定条件を満たす事で繰り出せる大ダメージの必殺パンチシステム*3が存在する。
防御行動は左右に避けるスウェーと一部の攻撃を防げるブロック、しゃがみ回避のダッキング*4のみで基本操作はシリーズを通じて非常にシンプル。
ゲームはこれらの行動を駆使して相手のパンチをかわしたり、相手の攻撃を先んじて封じ、そのスキにラッシュパンチを打ち込む事がセオリーとなる。
またFC・Wii版ではブロックに用いるスタミナシステムも存在し、ブロックのみならず攻撃を打ち損じたりダメージを受ける事で減り、0になると行動が制限される仕様になっている。

そしてシリーズ通じて、

対戦相手は主人公の倍近い巨漢で体格差ガン無視な無差別級ボクシングである

という点が、本ゲームシリーズを語る上で欠かせない最大の特徴。

特にFC版・Wii版の二作での試合中の画面では「小人のようなサイズの主人公に対してその倍近い体格の相手が立ちはだかる」*5という恐ろしい構図となっている。
加えて対戦相手の中には現実世界では反則となる技含めてエルボー・頭突き・裏拳・ドーピング武器魔術(!?)といった多種多様な攻撃手段を持っている者がいたり、上述のセオリー通りの戦法が通用しない者もいる等どれも非常に個性的で、打ち崩すことは非常に困難とその難易度は極めて高く、ただ闇雲にパンチを繰り返すだけではまず勝ち続けられない。

一見すると非常にシンプルかつ単純明快なゲームシステムに感じられるかもしれないが、ランクが上がる毎に激しさを増していく相手の攻撃をいなす「動体視力・テクニック」、相手の行動パターンを頭に叩き込む「記憶力」、そして何より何度倒れても揺るがない「折れない心」が重要とされる、俗に言う「死に覚えゲー」の走りとなった作品である。
相手のパンチを見切ってかわし、攻略法を見つけながらパンチを叩き込み勝利を掴むカタルシスが本シリーズ最大の魅力となっている。



☆シリーズ作品


パンチアウト!!(AC)

1984年稼働。記念すべきシリーズ第一作目にして、基本動作やそのゲームシステムは既に完成されていた。
視点は厳密に言えば三人称ではあるものの、ほぼ自分の真後ろに視点があり自分がワイヤー表示されているため感覚は一人称が近い。
任天堂がAC版ドンキーコングの成功に舞い上がった結果大量に余っていたテレビの在庫をどうにかする為に「テレビを二台使用したゲーム」を作ることが命題とされ、得点・ステータス表示のUI画面とキャラクター表示画面の2画面を搭載したアップライト筐体を採用している。

アメリカの業務用ゲーム市場での展開を念頭にニンテンドー・オブ・アメリカのスタッフによる監修を受け制作された為、アメリカ受けを意識した作風が目立つのが特徴。
主人公はリトル・マックではなく大人のケツアゴ名無しボクサー。ただし『スマブラ』シリーズでは統合され、この作品がリトル・マックの初出作品として扱われている。
加えてマリオルイージ・初代ドンキーコング・ドンキーコングJr.が観客としてカメオ出演している小ネタも。


スーパーパンチアウト!!(AC)

1985年稼働。『パンチアウト!!』シリーズ2作目だがこの時代、人気作品であっても続編が出るのは稀な事だった。
基本動作に新たな防御行動としてダッキングが実装。またゲーム展開も各国のチャンピオンに挑戦するというものに変わった。

基本的なシステムは前作とほぼ同じだが、一作目でボクシングでやれることはやってしまったため本作から一部敵ボクサーが反則技を行うようになり、以降本作最大の魅力と言える「何でもあり」なゲームデザインが確立されることとなった。


マイクタイソン・パンチアウト!!(FC)

1987年発売。基本動作やそのゲームシステムをそのままに、ほぼ一人称視点だったアーケード版から完全に三人称視点に変更されるのを中心に画面構成などにも変更を加えたアレンジ移植作品。
また新要素として特定条件で得られる☆を用いて繰り出す「スターパンチ」システム、ブロックに用いるスタミナシステムが実装されている。

本作は先ず1987年に開催された任天堂の公式企画であるディスクシステムソフト「ゴルフUSコース」の大会の景品として製造された非売品の「パンチアウト!!」*6が配布され、これに当時ヘビー級世界チャンピオンだったマイク・タイソンとタイアップし、彼をラスボスに据えて同年に日本にて一般販売されたものがこの「マイクタイソン・パンチアウト!!」である。
なお海外版では1990年にライセンス契約の都合によりマイクタイソンを「Mr.ドリーム」というオリジナルキャラに差し替えた再販版「Punch-Out!! Featuring Mr. Dream」が一般販売されており、今現在他機種への移植がなされているのもこの再販版が大半である。

リトル・マックとドック・ルイスが正式にデビューした作品であり、対戦相手も新キャラクターが多く追加された。加えてアーケード版の二作品から多数のボクサーも再出演しているが、なんとマリオもレフェリーとして登場しており、まさかの続投を果たした。


スーパーパンチアウト!!(SFC)

日本では1998年発売。ニンテンドウパワーでの書き換え専用販売。
ファミコン版には無かった上下ブロックやパワーメーターに相当するガッツメーターによる4種類のスペシャルパンチシステムが実装されており、基本的なゲームシステムがさらにアーケード版に寄せられている 。

主人公には特定の名前はなくプレイヤーが好きな名前を付ける事ができる。外見は金髪の青年であり、ファミコン版やWii版の主人公リトル・マックとは外見が大きく異なるが、海外版では彼もマックと同一人物として扱われている。
敵ボクサーもAC・FC版から続投したのはごく僅かでその殆どが新キャラクターである他、本作独自の要素として対戦相手のセコンドの指示が表示され、相手の行動の予測に役立つようになった。


PUNCH-OUT!!(Wii)

2009年発売。前作から11年ぶりの家庭用新作として発売された、現地点ではシリーズ最終作。
『FC版』をベースに従来のボタン操作だけでなく、Wiiリモコンとヌンチャク、バランスWiiボードに対応した体感要素などを加え、よりリアルなボクシングのプレイ感が楽しめる。
ファミコン版『パンチアウト!!』のリメイク的な作品であり、ゲームシステムや登場キャラクターは概ねファミコン版と同じ。敵ボクサーの行動パターンもFC版でのものを踏襲している為、昔取った杵柄でもそれ相応には戦える様になっている。ただし、2周目からが本番。

画面はトゥーンレンダリングを用いた3Dグラフィックに移行し、過去作に見られた別キャラ同士での体格やモーションの使い回しも撤廃。これにより各キャラクターにそれぞれ固有のモーションが用意され、一挙手一投足に至るまで個性豊かな挙動を見せるようになっている。
また登場人物がキチンと自身の母国語で話したり*7、対戦前にそのボクサーの人となりが分かるショートムービーが挿入される他、対戦相手の出身国やイメージに合わせた専用テーマ曲が用意されている*8などキャラクターをより魅力的に魅せる演出面にも多くの工夫がなされている。まあドック以外字幕が表示されないのでその国の言語に詳しくないと何言ってんのか分からないが

そして新要素として一度エンディングを迎えた後、2周目にあたる「防衛戦」が追加。これまで戦った相手が強化版となって再登場し、こちらは一周目と打て変わって「全員ラスボス」と言ってもおかしくない程の難易度を誇る。
更に隠しキャラクターとしてなんと某ゴリラがゲスト参戦。つくづくマリオシリーズと縁がある作品である。


Doc Louis's Punch-Out!!(Wii)

北米におけるクラブニンテンドーのプラチナ会員特典として発表された非売品ソフト。
そのタイトルが示す通りマックのセコンドであるドック・ルイスをメインに据えた作品で、なんと彼と戦うことができる。



☆外部出演


Arm Wrestling

1985年に日本国外でのみ稼働していたアーケードゲーム。タイトル通り腕相撲を題材としたゲームで、パンチアウトシリーズの番外編に位置する作品であり、ボールド・ブルが謎の覆面選手「Mask-X」としてゲスト出演している。…どう見てもバレバレな上に、勝つためには覆面を奪う必要があるので正体があっさりバレてしまう。


キャプテン★レインボー

2008年に発売されたアクションアドベンチャーゲーム。任天堂作品にしては珍しく下ネタやパロディネタが豊富で、パッケージ裏には「実はかっこいいヒーローのゲームではない!」といった煽り文がデカデカと強調されている。本作には昔懐かしい落ち目のマイナーな任天堂キャラクターが数多く登場しており、その特徴から汚いスマブラと形容されることもあったり。
その一人にリトル・マックがブクブクと太った衝撃的な姿で登場。もう一度チャンピオンの座に返り咲くため過酷な減量トレーニングに挑むことになる。
なおマックは本作の登場の翌年に11年ぶりのシリーズ新作がリリースされ、さらに同作に登場したキャラクターの中で唯一『スマブラ』へのファイター参戦を果たした


ルイージマンション3

ルイージマンション3の舞台「ラストリゾート」の8F「スタジオフロア」にあるエントランスホールに飾られているポスターの一つとして登場。デザインはPUNCH-OUT!!(Wii)のもので、リトル・マックとドック・ルイス、そしてMr.サンドマンが描かれている。*9
なお本作はWii版パンチアウトの開発元であるNext Level Games社が手がけており、他にも同じ理由で「マリオストライカーズ チャージド」や「メトロイドプライム フェデレーションフォース」のポスターも確認できる。
シリーズを通じて何かとマリオシリーズとの関わりが多かった本作だが、パンチアウト側がマリオシリーズへの客演する初の事例となった。


大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ

リトル・マックが『X』でアシストフィギュアとして登場し、その後続編の『for』にてファイターに昇格。アシストフィギュアからファイターに昇格した初の事例となった。
デザインはWii版のアートワークを踏襲しており、近距離での殴り合いと地上戦に大きく特化した圧倒的な地上性能と、ワザ名に「苦手」とつく程に貧弱な空中性能を持つ極端な性能に仕上がっている。
地上戦では無類の強さを誇る一方で空中戦、対飛び道具、そして崖外からの復帰が絶望的に弱いため、初心者では高すぎる地上機動力も相まって動かすだけでも一苦労の上級者向け
スマブラは歴代通して空中での立ち回りの重要度が高いガチ対戦環境のために中堅下位〜最弱クラスとあまり評価が芳しくないが、必殺技である「K.O.アッパーカット」の一発逆転性能に魅せられて好んで使用するプレイヤーは後を絶たない。
また愚直に地上戦に持ち込めばその分有利に戦える極端さから、リトル・マックが絡む対戦は良くも悪くもワンサイドゲームになりやすく、その特異性と破壊力は上級者の腕前であってもマックに苦手意識を持つプレイヤーも存在するほど。
因みにその場回避・しゃがみのモーションが原作におけるスウェー・ダッキングと同じであるなど細かすぎる原作再現がなされている他、AC・SFC版におけるゲージシステムを踏襲した専用の「K.O.ゲージ」による貴重な超必殺技要素を持っている。
スマブラの仕様に合わせて原作とは少々勝手が異なるものの、ゲージを溜めればFC版のスターパンチを彷彿とさせる迫力満点のアッパーカットを放つことが可能で、ダメージレースに持ち込まれた相手にプレッシャーを与える仕上がりとなっている。
また原作における敵とのサイズ差の表現か、かなり身体が小さく描写されているのも特徴*10
セコンドのドック・ルイスも登場し、勝利画面では姿を見せる他アピール時には低確率でやかましい激励をかけてくれる。


メイド イン ワリオシリーズ

Wiiにて発売された「おどる メイド イン ワリオ」にてプチゲームとして登場。ただし操作するのはマックではなくレフェリーのマリオマック「解せぬ」
また、ボクシングが題材のボスゲーム「ダブルパンチ」では対戦相手が本作の敵選手を意識したデザインとなっており、ほかの作品でも本作のゲームシステムに酷似した「ボクシング」というボスゲームが登場する。
Nintendo Switchにて発売された「超おどる メイド イン ワリオ」では、相手にアッパーカットを決めるプチゲームも登場。レベル1ではグラスジョー、レベル2ではフォンカイザー、レベル3ではピストン本田が登場する。


ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

作中にはストーリー序盤のブルックリンの街並みに任天堂のファミコンソフトの小ネタがあちこちに用意されているのだが、その一つに本作も「ピッツェリア パンチアウト‼︎」というピザ屋として登場。*11
店内には本作の登場キャラクターの写真が所狭しと飾られており、他にもリトル・マックのグローブやトランクス、ベア・ハッガーや大分美化されているグラス・ジョーのサイン付きの写真、原作では見られなかったマッチアップ*12を収めた写真等が確認できる。


☆登場キャラクター



LittleMACリトルマック



CV:Matt Hardy(Wii版)/江川央生(スマブラX)/鳥海浩輔(スマブラfor~)

FC・Wii版の主人公。アメリカ合衆国・ブロンクス出身の17歳。
元はケンカ好きの若者だったがその才能をトレーナー兼セコンドのドック・ルイスに見込まれ、彼と共にWVBAの頂点を目指す。
名前に「リトル」と付く様に非常に小柄で打たれ弱いものの、機敏なフットワークと必殺技のスターパンチを武器に自身の2倍近くはあろうかという巨漢ボクサー達に挑んでいく。
なおWii版では新たに身長・体重が設定されたが、その身長は172cmとそこまで小さくはなかったりする。アメリカ人男性の平均身長は175.7cm*13であり、平均値を少し下回る程度。それでも遠近法によりFC版での極端な体格の差は忠実に再現されている。寧ろ気になるのは体重の方で、その体重はなんと48kgと非常に軽い。同年代・同水準身長の陸奥九十九だって60kg台半ばだ。BMIに至ってはたったの16.2。この設定ならボクシングどころかガリガリな体型になるハズなのだが…まあそれで3戦負けた頃には確かに肉体はボロボロかも。
衣装はアマチュアに相当する年齢の為か黒いランニングシャツを着用し、緑のグローブとトランクスがトレードマーク。なお、原作ではランク・サーキットが上がる度に衣装の色が変化する。またトレーニング時はピンク色のスウェットを着用。
因みにFC版ではインターバル中にドックとの掛け合いで情けない弱音を吐くセリフがあったが、Wii版ではオミットされ、掛け声や悲鳴等のボイスのみに限定されている。
またWii版では「防衛戦シリーズ」もクリアすると自身の引退を賭けた、エンドレスサバイバル「ラストスタンド」に突入。 そしてラストスタンドにて3回負けるとボクシングを引退してリングを去り、ゲームは真のエンディングを迎えることとなる。
またWii版では対人戦モードに限り条件を満たすと一時的に「ギガ・マック」に変身することが出来る。名前の通り巨大化して筋骨隆々しい姿となり、顔も原始人の如く厳ついモノに変化。その見た目に反せず攻撃力が増大するが、それ相応に後隙も大きくなる。なお「そもそもギガ・マックとは何なのか」「何故変身できるのか」といった謎は一切明かされていない


DocLouisドックルイス



“Join the Nintendo Fun Club today, Mac!"(フム~、任天堂ファン・クラブにでも入るかい。)


CV:Riley Inge(Wii版)/小山剛志(スマブラfor~)

リトル・マックのトレーナー兼セコンド。年齢は58歳で、一人称は「ワシ」
元は名の知れたヘビー級ボクサーであったものの(この世界のボクシングに階級制度があるのか甚だ疑問だが)、引退後は酒浸りの日々を送っていた。しかしマックとの出会いで一念発起し、彼をチャンピオンに導くために断酒。トレーナーとしてマックを指導する…というのがFC版の大まかなストーリーとなる。
小粋なジョークを欠かさない陽気な人物で、特に上述の台詞は海外では彼の代名詞ともいえる程の知名度を誇る有名なフレーズ。*14
Wii版ではチョコバーが大好物との設定が追加され、フルボイスで彼のジョークを堪能できるようになっている。キチンと字幕も付くので英語がわからない人でも安心。
また上述のジョークは任天堂ファンクラブがすでにサービスを終えていたことを踏まえてか“Join the Nintendo Fun...I mean,Club Nintendo today, Mac! "(ニンテンドーファン……じゃなくて、クラブニンテンドーに入ろうぜマック!)に変わっている。*15
なおFC・Wii版共にインターバル中に特定のコマンドを入力することで彼の挙動が変化*16し、マックの次ラウンドでの体力が回復する小ネタが存在する。
因みにそんなクラブニンテンドーの景品として、北米版のみ『Doc Louis's PUNCH-OUT!!』が存在。こちらのゲームではスパーリング形式でなんと彼と戦うことが出来る。その実力は本物で、見事なフットワークと一撃必殺のスターパンチが持ち味の強敵。その一方で試合中に突然チョコバーを齧り体力を回復するという反則をすることもある(スパーリングとはいえ。…いやそれでも駄目だけど)。まさか現役時代も同じことをやっていたりしなかったよね?このチョコバーはパンチではたき落とすことが可能だが、チョコバーを食い損ねると怒ってジャージを一枚脱ぎ、さらに本気を出してくる。
『スマブラ』シリーズでは初となる日本語音声が実装されているが、言語を日本語・中国語・韓国語以外の言語に設定すると原作よろしくRiley Inge氏による英語ボイスとなる。



対戦相手

本作の魅力を語る上で外せないのが、プレイヤーの前に立ちはだかる個性豊かな対戦相手たちである。
主人公と相対する彼らの身長は主人公の倍はあろうかという巨漢揃いであり、加えて中には現実世界では反則となる技含めて多種多様な攻撃手段を持っている者がいたりと非常に個性的。
また各選手にはそれぞれ出身地や戦績、簡単なバックボーンが事細かに設定されている他、戦法や外見、キャラクター性には自身の出身国の牧歌的なステレオタイプ表現がかなり誇張されて盛り込まれているのも特徴で、彼らの魅力を引き上げるのに一役買っている。その一方で北米ではこの表現が人種差別ではないかと割と本気で問題視された事もあったが…
特にWii版では演出面が強化され、キャラのモーション一つとっても戦法や挑発、挙げ句はダウンの仕方に至るまでしっかりと作り込まれており、ただでさえ強烈な個性をより際立たせている。
加えてWii版では各対戦相手全員にはそれぞれの出身国やイメージに合わせた専用のテーマ曲が用意されている。その全てがマイナーサーキットBGMのアレンジとなっているが、元がカッチョイイだけあってどのテーマ曲も非常にクオリティが高く、個性豊かなキャラクターの魅力をより引き出す名BGM揃いである。必聴。


以下、Wii版における対戦相手を紹介。


GlassJoeグラスジョー



"Mon docteur a déclaré que tu es mauvais... pour ma santé."(僕の主治医に言われたよ...もうボクシングは健康に悪いからやめろって)


CV:Christian Bernard
フランス・パリ出身、38歳、身長178cm、体重49kg。戦績は1勝99敗1KO

見るからに弱そうな外見と凄まじい敗戦成績を持つ、リトル・マック最初の対戦相手となるボクサー。入場曲はフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」で、Wii版における専用テーマ曲はフランス風のおしゃれアレンジ。
彼の特徴はただ「弱い」の一言に尽き、そのリングネーム*17が示す通り打たれ弱く体力も貧弱で、ガードも脆ければ攻撃も遅いと正に最弱。それでも一丁前に挑発だけは欠かさない。
同じジョーでもこっちのジョーとは大違いである。
いうなればプレイヤーがゲームに慣れる為のチュートリアルキャラクターの立ち位置にあたる存在で、ゲームに慣れれば秒殺も可能。それはもうプレイヤーのほうが見てて気の毒になるくらいに…。寧ろ誰がコイツに一度KO負けしたのか気になる所
Wii版でもその弱さは相変わらずで、挑発にはボイスが追加されている。"Eh, eh?(えっ、えっ...?) Vive la France!"(フランス万歳!)
また一部の動作にはFC版と同じ効果音が鳴ったり、同じくFC版を彷彿とさせるフラフラと情けない倒れ方をするなど古参プレイヤーならニヤリと出来る演出も。
2周目の防衛戦ではマック戦での敗北により遂に通算100敗目を喫し、かかりつけの医者からハンディキャップとして贈呈されたヘッドギアを着けて試合に望む。*18ヘッドギアによってアッパー攻撃は無効化され、さらに攻撃そして挑発にもフェイントやディレイを交えるなど1周目と比べてパターンが増えたので初見時はちょっと戸惑うだろう。
一方少しの間戦ってくと勘付くとは思うが、このヘッドギアには「スターパンチを防げない」という致命的な欠点があり、その欠点をタイミング良く突けば相手に一切の自由を与えずハメ殺しも可能。それはもう見てて気の毒にn(ry。
結局雑魚的に変わりは無いが、彼のレアモノ勝利ムービー(つまりマックの敗北)では大はしゃぎしてj'ai gagné(勝ったぞー!)とすごく嬉しそうに叫ぶ感慨深い姿を拝む事が出来る。一度くらいは勝ちを譲って夢を見させてあげてもいいのかもしれない。

…まあ裏を返せば2周目の1人目からハメ殺さないと厳しいと言う事でもあるが。


VonKaiserフォンカイザー



"Das ist boxen, Little Mac, und kein Tantenkaffee!"(貴様、これはボクシングだぞ!断じて貴婦人のティーパーティなどではない!)


CV:Horst Laxton
ドイツ・ベルリン出身、42歳、身長183cm、体重65kg。戦績は23勝13敗10KO

立派な口髭を蓄えた軍人気質なボクサー。入場曲は「ワルキューレの騎行」第三幕で、Wii版における専用テーマ曲は軍用ラッパをふんだんに用いた軍隊行進曲風アレンジ。トランクスではなく長ズボンを履いている。
『ドイツの鋼鉄マシーン』の異名を持ち、FC版及びWii版に出てくるボクサーの中では最も高齢のベテラン。またFC版ではかつてドイツの陸軍学校でボクシングの教官をしていたという設定がある。
対戦相手としてはまだ序の口であり、スターパンチに滅法弱かったり*19、パンチを繰り出す前に首を震わす癖があったりと弱点も多いが、ジョーよりも明らかにガードが固くパンチが早いため目に見えて手強くなっている。もっともこれはジョーが弱すぎるのもあるが
Wii版では衣装がサスペンダー付きの軍用ズボンと軍用ブーツという描写になっており、首を揺らす際にはブリキのおもちゃの様な音を出す等その異名に違わずどこか機械じみた動きを見せる様になった。あと一部ボイスが「ポン酢!」に聞こえると専らの評判
普段は子供にボクシングを教えており、インターバル中にも靴磨きを欠かさない紳士な一面を見せる一方で、紹介ムービーではその教え子の子供達にボコボコにされるわ、あがり症でも患ったのか試合前から息切れしているわ、あまつさえいい年して試合中に"Mami…(母さ~ん…)"とボヤく始末だわと、かなり情けない一面が目立つ。
グラス・ジョーより手強いのは確かだが、パターンさえ覚えればジョーより早く秒殺できる。
そんな彼も防衛戦では髪を角刈りにして気合いを入れ直し、あがり症も克服。
更にダウンからの復帰直後には雄叫びを上げた後に一撃必殺のぶん回しパンチ「カイザーナックル」を繰り出すなど真っ当に強化されている。


DiscoKidディスコキッド



"I have a 3-step program for you."(キミのために3ステップのプログラムを用意したんだ)
I punch you. You fall down. I win!"(ボクがキミを殴る、キミがダウンする、ボクの勝ち!)


CV:Donny Lucas
アメリカ合衆国・ブルックリン出身、20歳、身長191cm、体重95kg。戦績は4勝12敗2KO

Wii版にて追加された新キャラクター*20で、元ダンサーの陽気な黒人青年ボクサー。あと何気にかの有名な同社のスーパースターとは同郷である。Wii版における専用テーマ曲はもちろんディスコ。ギターやベースがカッコ良く、Wii版屈指の名BGMである。こいつに使ってるのが勿体ないくらいに
元はダンサーだったが、何を勘違いしたのか突如としてボクシングに転身した摩訶不思議な経歴の持ち主。因みに数多くのトロフィー*21や試合中の見事なポージングを見る限りダンサーとしては素晴らしい成功を収めていた様子。一体何がそこまで彼をボクシングに駆り立てたのか本当に謎である。
しかし肝心のボクシングの腕は未だ発展途上の様で、戦績も悲惨な上に攻撃をガードされると露骨に痛がる等その実力は付け焼き刃の素人。挙句ダンサー時代の目立ちたがり屋な性分が災いし、試合中に踊り出したり決めポーズを取ったりと隙も多いポンコツボクサーだが、その一方でそんな試合中に見せる動作や声は大変ネタに満ち溢れており、プレイヤーからも「ウザキモイ」と評判。
こんな有り様の為に当然ボクサーとしては伸び悩んでいたが、マックとの試合後に出会ったボクササイズを習得した事で覚醒。
防衛戦では髪型がアフロヘアーになり、衣装もレオタードに変更された。目立ちたがり屋な悪癖こそ相変わらずだがボクサーとしてしっかりと成熟し、ボクシングにエアロビクスを取り入れた正に彼ピッタリなファイトスタイルを取る様になる。またサークル*22の予備操作から3連パンチを叩き込む「ディスコアタック」なる新技も追加されている。
因みに、彼はこんな見た目でも防衛戦でも反則をしていない貴重なキャラである。


KingHippoキングヒッポー



"DO YOU LIKE MY NEW TRUNKS? THEY ARE SIZE XXX LARGE! HA, HA, HA!"(どうだい、このおニューのトランクスは。カッコいいだろ。これは特注のデカパンなんだよ。)
*23


CV:なし(サウンドエフェクト)
南太平洋・ヒッポーアイランド出身、年齢・身長・体重ともに不明。戦績は18勝9敗18KO。

そのリングネーム通りカバを思わせる肥満体と王冠が特徴のボクサー。Wii版における専用テーマ曲は南国風アレンジで、ダウンBGMは王冠を落とすと聴ける。
個性豊かな巨漢揃いの本作に於いても一際目立つ巨大な体躯を持ち、その威圧感満載の外見から繰り出されるパンチは超強力。しかし彼の最大の強みは超鉄壁のガードと体力で、従来のカウンターパンチを打つだけでは100%ガードされてしまう初見殺しな性能を誇り、プレイヤーの鬼門として立ちはだかる。
唯一の攻略法はストレートを打つ時に必ず口が大きく開くので、その時の顔面にカウンターを打ち込むこと。これによりボディがガラ空きになり、ようやくラッシュを打ち込むことが出来る。なおパンチを当てるとトランクスが脱げる演出がある。嬉しくない
体力こそ多いがその巨体が災いしダウンすると自力で起き上がれない為、1回でもダウンを奪えば確定でKO勝ちとなる。
ちなみにFC版では全てのバージョンでコンパチキャラが存在しない唯一の相手でもある。
Wii版ではマイナーサーキットチャンピオンとして登場。出身がヒッポー・アイランドなる架空の国となっており、故に既知の言語すら話さなくなってしまった。ボイスもSEで、怪物の様な雄叫びを発するのみ。
無尽蔵なタフネスと超鉄壁のガードついでにパンモロは健在。特に本作ではそれまでの対戦相手が「最弱」「ヘタレ」「ウザキモイ」と続いた中での登場となる為、前作以上に「初見殺し」「最初の難関」としての立ち位置が強調されている。
一方でランクが格下げされている分性能は大分マイルドになっており、前作と違って☆の獲得や早期撃墜も可能になっている他、王冠を吹っ飛ばすと怯むような仕草を見せる。一度ダウンを奪えば勝てるのも相変わらずで、KO時にはバランスを崩してリングから転落する演出に変更された。確実に観客数名が巻き込まれている気がするが
防衛戦では弱点の腹を守るため持ち逃げしたマンホールの蓋を腹に貼り付けたとんでもない姿で登場。反則以前に犯罪である。
幸い基本的な攻略方法自体には大した変化はないが、マンホールを引き剥がす為の過程が必要になる上により磨きのかかった鉄壁の防御、ベアハグからのアックスハンドル*24等増加した攻撃パターンに悩まされること請け合い。


PistonHondoピストンホンドー



拙者、ホンドーと申す。


CV:高橋研二
日本・東京出身、28歳、身長188cm、体重79kg。戦績は26勝1敗18KO。

頭に巻いた「日本一」の鉢巻と、攻撃時にピクピク動く太い眉毛が特徴の日本人ボクサー。モデルは実在の元プロボクサーである浜田剛史*25とされる。入場曲は日本民謡「さくらさくら」で、Wii版における専用テーマ曲は和風アレンジだが一部銅鐸が用いられた若干中国風混じりのアジアンテイストとなっている。
FC版ではマイナーサーキットのチャンピオンを務め、当時のリングネームは「ピストン・本田」であった。*26
そのリングネームが示す通りピストンの如く素早く連続で繰り出す必殺技「ホンドーラッシュ」を持ち味とし、その為今までのセオリーであるスウェー・ダッキングによる避けが通用しない。幸いお誂え向けと言わんばかりに、この試合ではブロック用のスタミナがかなり多めに設定されいるため、しっかりガードを固めて反撃に転じたい所。それにしても作中トップクラスの優秀な戦績を収めているのに何故マイナーで燻ってたのだろうか…。*27
しかし、後にワールドサーキットの1戦目の相手として再登場。三連続のストレートやスピードの増したホンドーラッシュなど、初戦時とは比べ物にならない強敵として立ちはだかってくる。
Wi版では一人称が「拙者」で試合中に礼をしたりとさながら武士道を重んじる侍の様になり、インターバル中では諺と漫画*28を読んだり特訓として白羽取りや座禅を組む等、外国から見た一昔前の日本人像そのものな雰囲気を醸し出すボクサーとなった。勿論好物は寿司。でも一番好きなネタは玉子
なお頭の鉢巻は文字が「一番」に変更され、ランクもメジャーサーキット3位に格上げされている(それでもまだ低すぎる気がするが)。
防衛戦では「ホンドーラッシュ」が強化され、礼をするように見せかけた無礼なフェイントをする様になるが、本作では大変貴重な反則を一切しない真面目で実直な正統派ボクサーとして描かれている。
因みに登場作品では唯一の日本人であり、必然的にWii版にて日本語で話すキャラクターは彼だけとなっている。


BearHuggerベアハッガー



"I like raw fish."(オラは生魚が好きなんだな)


CV:Richard Newman
カナダ・サーモンアーム*29出身、32歳、身長191cm、体重199kg。戦績は17勝12敗10KO。

リングネーム通り熊並みの体躯を持ち、鮭やメープルシロップを好む正に熊そのものなボクサー。Wii版における専用テーマ曲は陽気なメロディーのカントリー風アレンジ。巨体の裸オーバーオールという奇抜な取り合わせが特徴的。
得意技は名前そのままのベアハッグで、加えて「ボディへの攻撃が無効(SFC版)」「ラッシュが入らない(Wii防衛戦)」等兎に角タフで頑丈というキャラ付けをされる事が多い。ただし前記のフォン・カイザーと同じくコイツもスターパンチに弱い。
初出のアーケード版ではカナダチャンピオンとして登場し、日本語版に限り「ロッキー熊五郎」というリングネームで呼ばれる。
SFC版では一人称が「オラ」で、熊殺しの異名を持ち、元々は大工の職に就いていたことが語られている。
Wii版でもベロを出す挑発やお得意のベアハッグは健在。故郷・カナダでは木こりをしているようで、その際に仲良くなった野生の熊にコーチをしてもらっている等SFC版時代と比べてほのぼのとする設定に変更された。ある意味熊殺しより凄いことやってる。リングの外でもシャツは着ておらず、冬を迎えようが常に裸オーバーオールで過ごしている模様。
また木こりらしくダウン時には"Timber~!"*30と叫び、同時に木が倒れるようなSEが聴こえる演出がされる。
防衛戦では頭にニット帽を被って再登場。なのだがなんとその中には同じ山で出会い仲良くなった、ボクシンググローブ装備のリスがいる。攻撃時にはこのリスと共にフェイントや攻撃のタイミングをズラすようになり、彼がダウンすると腹を飛び回って起こそうとしてくる。かわいい。

また本作では彼にダメージを蓄積させていくと徐々にボクサーが傷を負っていくのだが、中でも彼のソレは歯が欠け、抜けていく結構エグい演出となっている。
なおインターバルにて聴けるゲップのSEがどう聞いてもレア社仕様だが、本作には無関係である
インターバル中にメープルシロップをがぶ飲みし爆睡するなど野性味溢れる正に熊そのものといった人物で、生魚が好物とは本人の談。しかし彼の故郷カナダでは衛生上の問題で魚介類を生で食べる習慣は無く*31、それ故にこの発言のインパクトは大きかったのか海外ファンの間では上述の台詞は彼を象徴するセリフとして扱われるほどの知名度を誇る。



GreatTigerグレートタイガー



तुम्हारा ध्यान जरा सा टूटा, और मैं ग़ायब।(一瞬でも集中を欠けば、もう私を捉えることは出来ないさ)


CV:Sumit Seru
インド・ムンバイ出身。29歳、身長181cm、体重59kg。戦績は24勝5敗3KO。

ターバンを被り*32、人体消失にテレポート、分身をしたりと日本人が盛大に勘違いしたインド人像をそのまま体現したかの様な色物ボクサー。専用テーマ曲は落ち着いた雰囲気のインド風アレンジ。
初出のAC版『スーパーパンチアウト!!』では後述のピストン・ハリケーンのコンパチキャラで、彼の「ピストン・ラッシュ」を基にした「タイガー・ラッシュ」という必殺技を持つ正統派ボクサーであった。FC版ではハリケーンの特徴を受け継いだピストン・本田が新たに登場したためか、自身を「魔術師」と称し、その自負に違わず己の能力を最大限活用した奇怪な戦法を得意とする変則型ボクサーへと大幅に路線変更された。AC版では猫でも被っていたのだろうか?因みにドックによれば、彼の父親もまたインドで名の知れた偉大な魔術師であったらしい。
また、コンパチ関係キャラがフォン・カイザーに変更されたため、服装も彼に合わせてトランクスからズボンになっている。
流石に腕は伸びないし火も吹かないが、宙に浮いたりワープや分身など魔術と形容される様々な変則技を持つ。
必殺技は高速で分身*33しつつリング奥から孤を描くようにパンチを繰り返す「スーパーマジックアタック」で、そのスピードと幻惑効果ゆえにスウェーやダッキングで凌ぎきることは非常に困難。攻撃の際にはターバンの宝石が光り、光る色に応じて発する効果音も違うので、光と音でどの攻撃が来るかを記憶した上で*34、かつその僅かな隙を見逃さないように。
Wii版では衣装が柄のズボンに変更され、空飛ぶ絨毯に乗ったり分身と共に踊りだしたりテレポートで自分とセコンドのドック・ルイスの場所を瞬時に入れ替えたり等と挙動の奇天烈さ及び勘違いインド人像っぷりに更に磨きがかかった。一方で必殺技は2体に分身した後2人連続で攻撃する「マジックアタック」に変更され、FC版と比べると大幅に弱体化しているが、それでも初見時ではなかなかの強敵。
かわしにくくはあるも幸い攻撃力そのものは最弱クラスなので多少のダメージは許容して落ち着いて攻撃を当てていこう。
防衛戦では衣装がシマウマホワイトタイガーを思わせる色合いに変化。試合ではターバンの宝石の色によって4を打ち分けるようになり、それを利用した予備動作なしのコンビネーションも放ってくる。
ただ例によって攻撃力自体は最弱なのも相変わらずなので、一発二発程度は大丈夫という心構えで落ち着いて対処していきたい。
また必殺技もFC版を彷彿とさせる「スーパーマジックアタック」が復活し、その幻惑的なイメージに違わないトリッキーな技が目白押しとなっている。

なお彼からダウンを奪った際のカウントの時、時折「あと5分寝かせて」という旨のセリフをほざくが、5分はもはや10カウントの30倍の数字である。
また、彼に敗北した際のムービーもまた、分身によるダンシングは腹筋崩壊モノ。必見。
そして防衛線で彼からKOを奪うと、なんと物理的に消滅する。


DonFlamencoドンフラメンコ



"¿Has visto hombre? ¿Cómo enamoro a las chicas?"(私がいつもどうやってレディを口説いているか知りたいかね?)


CV:Juan Amador Pulido
スペイン・マドリード出身、23歳、身長186cm、体重68kg。戦績は22勝3敗9KO。

イカした髪型に薔薇を携え、ダンスを踊るなど華やかな立ち振舞が特徴的な如何にもスパニッシュな香り漂うナルシスト伊達男ボクサー。入場曲は皆さんご存じ「カルメン」で、Wii版における専用テーマ曲は名前そのままフラメンコ風アレンジ。
自分から攻撃をせずこちらを挑発し相手の攻撃をいなしてカウンターを仕掛ける、お国柄故かさながら闘牛士の様な戦法を取り、他ボクサーと比べて戦闘スタイルが特殊な為厄介な相手。だがその一方でタイミング良く特定のパンチを繰り返すだけでパンチハメが可能で、そのまま何もさせずにダウンが取れる不憫な特徴も持つ。
後にワールドサーキット4戦目の対戦相手として再登場し、この試合では普通に自分からも攻撃してくる他、初戦時と違い挑発パターンに入ってもカウンターをしてこない場合があり、こちらのスタミナを消費させてくるといった狡猾な戦法も使ってくる。
因みにFC版にてレフェリーを務めたマリオの帽子を気に入っているらしく、インターバル中には彼に話しかける場面も。
Wii版ではメジャーサーキットチャンピオンとして登場。闘牛士としても活躍しているらしく、試合前ムービーでは剣もムレータ(牛を誘い出す赤いマント)も使わず薔薇を片手にアッパー一発で牛を空中へと吹き飛ばすという離れ業をやってのけている。
戦闘スタイルと永久パンチハメはそのままに攻撃パターンがより多彩になり、右フックを3連打する「ローズアタック」という必殺技も身に付けた。
なおその外見から女性人気も高い様だが、彼お気に入りの髪型の正体は実は「ヅラ」
FC版時代からプレイヤー有利の状態でインターバルに入るとヅラが取れた姿を確認できたのだが、なんとWii版では試合中にヅラを吹っ飛ばす事が可能。ヅラが取れると豹変してどっちが猛牛なのかわからないほど怒り狂い、行動パターンも変化。そのラウンドが終了するかマックがダウンを取られるまでの間非常に攻撃的なファイトスタイルに変わる。
防衛戦ではヅラをバラされた逆恨み敗れた悔しさからマックに強い怨みを持つようになり、持っている薔薇も漆黒に変色している。*35戦闘スタイルは相変わらずだが「ローズアタック」は左右のフックに打ち分ける様になり、さらにダウンの度に回数が増加して最大5回も打ってくる。加えて反則技の裏拳もしれっと使ってくる。
一応パンチハメやヅラも健在だが、前者はタイミングがかなりシビアになった上にパターンもより複雑に進化、後者は元に戻る条件が「そのラウンドが終了するまで」のみとなっている。


AranRyanアランライアン



"You prob'ly got cheeseburgers in those gloves, have ya, Mac?!"(ヘッ、テメェそのグローブの中にチーズバーガーでも入れてんじゃねえのか!?)


CV:Stephen Webster
アイルランド・ダブリン出身、23歳、身長186cm、体重72kg。戦績は18勝10敗16KO。*36

ベア・ハッガーと共にSFC版『スーパーパンチアウト!!』から続投したボクサー。Wii版における専用テーマ曲は軽快なアイリッシュ風アレンジ。
初登場となるSFC版では(パンチアウトの基準で見れば)真っ当なボクサーだったのだがWii版では別人クラスに豹変。
顔付きが大分悪人ヅラになり、その顔に違わず反則技すら厭わない性悪なラフファイターに変貌してしまった。*37
その数と内容は頭突き・エルボーなどの反則技に加え、グローブに蹄鉄を仕込む自作の武器持参(防衛戦)とぶっ飛んだもの含めて20以上にのぼり、もはや真っ当に戦うつもりはさらさら無い様子。レフェリー仕事しろ
加えて上述の台詞の様に必要以上に対戦相手を煽るなど性格も最悪で、当然ながら観客にはブーイングを食らい物を投げつけられる程に嫌われている。製作陣はアイルランド人に恨みでもあるのだろうか?
また"Keep hittin' me! I love it!"(もっとぶん殴ってくれ!大好きなんだよ!)の台詞通り、マックとの敗戦後もキャラセレクト画面にてボロボロになりつつも唯一不敵に微笑む不気味な一面も。決してアレな訳ではない。
しかしこれでもワールドサーキットの選手なだけあって非常に手強い相手であり、試合中はリングを機敏に動き回り定位置(リトル・マックの正面)にはほぼ止まらず殆ど左右どちらかの隅にいる風変わりなファイトスタイルが特徴。この戦法故に相手のパンチを回避してのラッシュ攻撃は通用しないので、彼の攻撃前にタイミングよくカウンターパンチを当てる必要があり、これまで以上に特殊な対策が要求される。
防衛戦ではグローブを新調したが、なんとお古のグローブをロープでくくりつけて振り回し攻撃を行う新技が追加されている。レフェリーマジで仕事しろ
更にダウン時にも性懲り無くロープ付きグローブを振りかぶり道連れを狙ってくる*38為、しっかり躱すかカウンターでトドメを刺してやろう。
中々のヒールボクサーに転身した一方で「Luck of the Irish」との表現がある程に幸運のイメージを付与されがちなアイルランド人らしく、そのトランクスには四つ葉のクローバーが刺繍されていたり、ダウンしても必ず7カウントで立ち上がる、ラッシュは7発まで、マックのスタミナが全試合中最小の7(!?)*39と、幸運の数字「7」に拘るマメな一面も見られる。
因みにアイルランド語ではなくアイルランド訛りのイギリス英語で話すが、実際のアイルランドでもイギリスに関わる歴史的背景を始めとした諸々の国家事情により、ほぼ全ての国民が英語を母語としているため、これ自体は不自然な描写ではない。


SodaPopinskiソーダポピンスキー



Мой любимый напиток это победа!(俺が好きな飲み物は勝利と言う名の美酒だ!)


CV:Ihor Mota
ロシア・モスクワ出身、35歳、身長199cm、体重107kg。戦績は33勝2敗24KO。

読んで字の如くソーダをこよなく愛するロシア出身の飲んだくれボクサー。因み本作唯一のサウスポー。入場曲はロシア民謡「ヴォルガの舟歌」で、Wii版における専用テーマ曲は男声コーラスによる軍歌風アレンジ。トランクスの代わりにプロレスラーみたいなパンツを履いている。
初登場となるAC版では「ウォッカ・ドランケンスキー」という名前で出身もソビエト連邦という設定だったが、流石に色んな意味で危なすぎた為かFC版以降は現在のリングネームに変更されている。飲むたびに飲む度に体が火照るがソーダである。
なおあのザンギエフの企画段階の名前に「ウォッカ・ゴバルスキー」というものがあり、この「ウォッカ」の元ネタが彼であることは有名(「ゴバルスキー」は恐らく男塾から)。
FC版ではゲーム終盤の選手ながら他選手と違いモーションや体型の使い回しでは無い新たなタイプとして登場し、見た目通り「これまでの敵とは一味違う」オーラを放つ強敵。
特に彼の代名詞とも言える高速連続アッパー無尽蔵なタフネスは脅威で、その凄まじい強さと印象的な高笑いに辛酸を嘗めた当時のプレイヤーも多いだろう。
Wii版でも脅威的な連続アッパーカットや高笑いは健在だが、本作における彼の最大の特徴はなんと大好物のソーダを試合中にもガブ飲みする様になった事何処に隠してたのかダウン時にも一滴飲んで復活*40し、試合中にも隙あらばソーダを飲んで体力回復を狙ってくる。
一応後者はフックでボトルを叩き落とす事が可能だが、そうするとブチギレて連続アッパーカットをかましてくる。理不尽*41
加えてパンチを当てるとコポコポという音と共に泡が出現する不気味すぎる特徴がある。
防衛戦では謎の研究員の手によって改造された怪しさMAXのソーダを引っ提げ、飲めば飲むほど速くなる様になった。最早言い逃れ不可能なドーピング行為である。*42
また試合開始時にはラッシュ攻撃が出来ず、ダメージを与えるには相手の攻撃を全てかわして地道に一発ずつラッシュ可能数を増やしていく必要があり、そのタフネスにも磨きがかかっている。
因みに有野課長でお馴染みのゲームセンターCXにおいても課長の行く手を阻む壁として立ち塞がり、有野マックを何度もGAME OVERにしている為*43に、視聴者からは『魔界村』のレッドアリーマー等と並び、課長のライバルの一人としても名高い。

なお、Wii版ではダメージを積み重ねていと何故だか顔付きがブルそっくりになっていく。


BaldBullボールドブル



"Allah, kahretsin, kahretsin, kahretsin... KAHRETSİN!!"(畜生、畜生、畜生、畜生…。畜生め!)


CV:Erse Yagan
トルコ・イスタンブール出身、36歳、身長188cm、体重135kg。戦績は34勝4敗29KO。*44

AC2版除く全ての作品に登場しており、FC版カセットではパッケージを飾る等シリーズの顔役とも言える名物ボクサー。Wii版における専用テーマ曲は中東チックなアレンジがなされている。
登場作品毎に肩書きやランク、戦績にはバラつきがあれどその闘牛の様なファイトスタイルと必殺技「ブルチャージ」は健在。「禿げた雄牛」の名に違わぬ獰猛な闘牛の様なパワーとタフさが持ち味で、見た目通りのハードパンチャー。
特に沈み込みながら兎跳びしつつ突進する必殺技「ブルチャージ」は彼の代名詞とも言える技であり、大抵の作品で食らえば一撃必殺の超威力。タイミング良くボディにカウンターを合わせると一撃ダウンする弱点もあるが、この弱点は本人も重々承知のようで2度目以降の対戦や後の作品などではタイミングをズラしたり、突進距離を短縮した「ショート・ブルチャージ」を織り交ぜるなど何かしらの対抗策を講じてくる事が殆ど。
Wii版では伝家の宝刀「ブルチャージ」の演出が蒸気機関車の如く鼻息を荒し地団太を踏んだ後、高速の猛突進からのアッパーを繰り返すという動作に変更された。
そして防衛戦ではFC版2周目同様スターパンチ以外ではダウンが取れなくなっており、常にスターの獲得と保持を余儀なくされる強敵になっている。
弱点であるブルチャージへのカウンターを決めても耐えてくるようになっているが、ドヤ顔で戻ってきたところにカウンター時に獲得した☆でスターパンチを決めればそのまま撃墜できる。不憫である
なお闘牛の如く強面で獰猛なボクサーだが、意外にも反則行為のオンパレードとなる本作にてルールの範囲内でボクシングをしている数少ない一人だったりする。
余談だが、北米でのみ稼働していたアーケードゲーム『Arm Wrestling』という腕相撲のゲームにて何故か覆面を被った「MASK X」として選手の一人として登場したことがあり、Wii版ではインターバル中ドックにその事を弄られる小ネタも。一方でブルはドックに何かしらの恨みでもあるのかWii・FC版共に彼に対しては矢鱈辛辣な物言いが目立つ。



SuperMachoManスーパーマッチョマン



 "Release the Bogus!"
"Are you ready? 'Cause I'm gonna put on a show!"(準備は良いかね?これからショーをご覧に入れよう!)


CV:Mike Inglehart
アメリカ合衆国・ハリウッド出身、27歳、身長194cm、体重109kg。戦績は35勝1敗29KO。*45

リングネームに恥じない肉体美を誇り、常にポージングを絶やさないボディビルダー然としたボクサー。Wii版における専用テーマ曲はサーフミュージック風アレンジ。
得意技は「スーパーマッチョスピン」と銘打たれた身体ごと回転して繰り出すラリアットにしか見えない一撃必殺の3連フックで、回避のタイミングを間違えればその餌食になってしまう。
初登場のAC2版では、日本語版に限り「スーパーボディービル」のリングネームで世界チャンプとして大トリを務め、次いでFC版でも再びチャンピオンとして君臨するもピクセルの都合上肌色が変更されていた為に、その外見を「志村けん」とネタにされていたしており、後述のMr.サンドマンと共に作品毎に変わる代わるラスボスを務める本シリーズ最強格のライバルの一人。ポピンスキーのコンパチキャラのため、彼同様にプロレスラー風のパンツを履いている。
Wii版ではボクサーとして成功を収め莫大な財力を得た様だが、その一方でスター気取りの傲慢な立ち振る舞いと鼻につくナルシストぶり故に観客からもブーイングを受けるなど扱いが結構悪い。SFC版時代の健気な熱血筋肉バカっぷりは何処へ…。*46
更にFC版と違ってチャンピオンから降格しており、性能も大幅に弱体化。攻撃動作はかなり大袈裟でお得意の「スーパーマッチョスピン」もお見事な3連ポージングからのフラッシュの後光と共に繰り出す豪華な演出こそ追加されたものの一撃必殺では無くなる等、ラスボス時代の威厳はすっかり消え失せてしまっている。
防衛戦では自分の人気をマックにゴッソリ取られた事で漸く真面目にトレーニングを再開。「スーパーマッチョスピン」も人気低迷故かフラッシュはなくなったが、一撃必殺技に戻る等相応に強化されている。
ムービー中こそ登場時にはあからさまにスポットライトから避けられ観客からはさらにブーイングを浴び、挙句インターバルには物を投げつけられるなどなかなかキツい仕打ちを受けているが、実力は「シリーズ最強格のライバル」の肩書きに恥じないものへと回帰したと言えるだろう。
マックに勝利すると再び自分を照らし始めたスポットライトを嫌みたらしく避けつつポージングを決める。そういうとこやぞ
余談だが、Wii版でマッチョマンの声を担当したMike Inglehart氏は同作のディレクターでもある。
なお上述の台詞は彼が攻撃の際に発する"Release the Beast!"と、その攻撃を回避した際に、ちょうど「Beast」の部分に置き換わる形で発する"Bogus!"を組み合わせたかばん語で、この不条理ながらセリフの違和感のない繋がり様から海外では彼を象徴するミームとして広く認知されている。


Mr.Sandmanミスターサンドマン



" It's way past your bedtime, Mac baby!"(おねんねの時間だ、マック坊や!)


CV:Riley Inge
アメリカ合衆国・フィラデルフィア出身、31歳、身長196cm、体重128kg。戦績は31勝0敗31KO。*47

大柄でイカつい風貌の黒人ボクサー。Wii版における専用テーマ曲はラスボスらしいヘヴィメタル風アレンジ。
リングネームの由来は同名の眠りをもたらす妖精「ザントマン」*48から来ており、そのため彼のファイトスタイルは相手を「寝かしつける」こと。目にも止まらぬ三連アッパーカットが持ち味で、それでいて非常にタフ。攻撃を回避し顔面にジャブ→ボディブローラッシュのコンボをマスターしない限りまともにダメージすら与えられない。
記念すべきシリーズ第1作目にて世界チャンプとしてラスボスを務め、Wii版にて再びラスボスの座に返り咲いた彼もまた本作最強格のライバルの一人。
Wii版ではワールドサーキットチャンピオンに格上げされ、久々にラスボスとして降臨。必殺技の3連続アッパーにも「ドリームランドエクスプレス」の名前が付き、一部セリフや演出などには名前の由来である眠りの妖精に関連した演出が多く見られる様になっている。
これまでマックと対戦した選手達全員にKO勝ちを収めてきたその実力は本物で、反則行為や奇天烈な技も無いシンプルなファイトスタイルながら、正直それまでの選手の比ではないほどに強いと言っても過言ではない。
防衛戦では髪型がモヒカンスタイル(真上から見ると「Z」に見える)になり、ムービーでもマックのポスターが貼られた建物ごとパンチだけで粉砕するなどマックに対する強い恨みと人間離れした凶暴性を見せる。そして建造物損壊罪である。特に桁違いの速さを誇るアッパーは更に強化され、目視での回避は不可能な程に超高速。しかしアッパー攻撃の前にウインクをする癖があるので、しっかりとタイミングを覚え回避・カウンターを狙いたい。
そして彼から2ダウンを奪うと、行動パターン・攻撃スピードがなんとFC版のラスボスであった「マイク・タイソン」 を思わせる超高速アッパーの連発に変化するというニクい原作再現が施されている。
上述の隠し要素や「攻撃前にウィンクをする」特徴、そして"Dreamland!"等夢に言及する一部セリフはFC版にてラスボスを飾ったマイク・タイソン並びにMr.ドリームを彷彿とさせる特徴を引き継いでおり*49、彼らのリファインキャラクターとしての一面も併せ持ったキャラクターに仕上がっている。
また、彼は挑戦者編、防衛戦ともに反則をしない正統派ボクサーである。流石は世界チャンピオン。
なお中の人はドック・ルイスと同じ。その為か登場シーンでは何やら意味深な描写も見られたが、結局作中でその真相が語られることはなかった。


ドンキーコング/DK


CV:長嶝高士

まさかの『マリオ』『ドンキーコング』シリーズからのゲストキャラクター。Wii版にのみ隠しボスとして登場。ゴリラなので当然ボクシングのルールを知るはずも無く、煽り性能の高い挑発や反則含めたトリッキーでバリエーション豊かな連続カウンターパンチをしかけてくる強敵。何故かいつに無くテンションの高いボイスの数々は必聴。
困ったことに、マックの動きに応じて行動パターンが変化するという、実質1キャラの中に複数人分の行動パターンを持つズルい一面があり、一定した攻略パターンを構築しにくいのも頭を悩ませてくれる。
ただしパンチのスピード自体は幾分かは抑えめで(あくまで慣れた人にはだが)ほとんどがまだ目視で回避可能な範疇なので、純粋にあまりのスピードのために「わかっていても避けられない」怖さがある防衛戦サンドマンや最高段階までドーピングしきったポピンスキーの方がニガテというプレイヤーも多い。コングと対峙する際は落ち着いて、冷静に戦うことがなにより大切になるだろう。
なおドンキーコングも本作のゲームシステムによく似た、『ドンキーコング ジャングルビート』という作品があったりする。
因みにドンキーコングは初代アーケード版でも観客としてカメオ出演していた(観戦に来ていたのは現クランキーコングの初代とドンキーコングJrの方だが)他、リトル・マックとはスマブラXにてファイターとアシストフィギュアという立場で共演経験がある。その為かユーザーからは「スマブラでやれ」だのネタにされていたが、後にマックは本当にファイターとして『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズに参戦。おかげで本作での共演が「スマブラ採用試験」と言われることも。


+ SFC版に登場したキャラクター

GABBY・JAYガビー・ジェイ

フランス・パリ出身、56歳、110ポンド、戦績は1勝99敗。
嘗てはカフェのオーナーであったが挫折し、一念発起してボクシングに転身したボクサー。戦績と実力見る限り、その一念発起は大失敗だったのでは…?
グラス・ジョーのリファインキャラクターであり、イニシャルネームや戦績を引き継いでいる他、行動パターンと凄まじい弱さも彼にそっくり。練習相手にどうぞ。
因みにガビー・ジェイのたった一つの白星はなんとグラス・ジョーから得たものである事が紹介ポスターにて記載されている。コイツにすら負けるジョーって…
まず試合開始前からして「久しぶりに勝たせてもらうか」と、やけに余裕たっぷりだったり、敗戦後もEDにてめげる事なく「絶対に引退なんかせん」「生涯現役、まだまだこれから」と熱く語っている辺り非常にバイタリティ溢れる元気なお方。FC版にて「とっとと引退したい」とかほざいてた上、Wii版でドクターストップさえ喰らってたジョーとは大違いである


PISTON・HURRICANEピストン・ハリケーン

キューバ・ハバナ出身、25歳、170ポンド、戦績は21勝10敗。
初登場はAC版。SFC版では髪型がアフロヘアーからパーマのかかったモヒカンヘアーになる等外見が大分変わったが、素早い攻撃速度と必殺技「ピストン・ラッシュ」は健在。
紹介ポスター曰く、嘗て故郷を襲ったハリケーン(竜巻)で家を失った過去があるとのこと。
なおFC・Wii版に登場したピストン・本田(ホンドー)は彼の行動パターンを踏襲している。


BOB・CHARLIEボブ・チャーリー

ジャマイカ・キングストン出身、26歳、140ポンド、戦績は24勝13敗。
見た目・名前がまんまボブ・マーレイな、如何にもジャマイカ人然としたレゲエミュージシャンのような風貌のボクサー。フェイントと挑発を交えたファイトスタイルが特徴。
要するにSFC版におけるドン・フラメンコのポジション。
紹介ポスターでは故郷キングストンでジャイブ*50の王として名を馳せていたらしく、その肩書きに恥じず試合中には見事なダンスやダンスの素振りからの3連アッパーを披露することも。


DRAGON・CHANドラゴン・チェン

香港出身、22歳、130ポンド、戦績は15勝7敗。
カンフーそのものな構えと稽古着が特徴のボクサー。元ネタは言わずもがなジャッキー・チェンとブルース・リーと思われる。
AC2版では香港チャンピオンとして登場。キックボクサーからボクシングに転身した経歴の持ち主で、今になっても昔の癖かリング端から飛び掛かる様に行う蹴り技をかまして来る。キックボクシングに帰れ
SFC版ではAC版の蹴り技を3連続で行う「龍牙三連舞」や瞑想によって体力を回復する「気沈丹田法」なる新技が追加されている。
余談だがSFC版での紹介ポスターには彼のセコンドは「母国語しか喋らない」との記載があり、その設定に従い技名を叫ぶセコンドの台詞は英語版でも翻訳されていない小ネタがある。少なくとも日本人にはバレバレだが


MASKED・MUSCLEマスクド・マッスル

メキシコ・メキシコシティ出身、29歳、240ポンド、19勝5敗。
覆面マスクと膝当てを装着したプロレスラーの様な風貌のボクサー。なんでレスラーがボクサーやってるんだろうか
元ネタはプロレスの本場・メキシコの国技ルチャ・リブレと思われるが、頭突き等の反則行為も平然と行うなど、むしろアメリカなどの一般的なプロレスにおけるヒールレスラーにしか見えない。
加えて技の一つに日本プロレス名物の毒霧があったりと所々日本のプロレス文化が混在しているフシが見られる。


HEIKE・KAGERO平家陽炎

日本・大阪出身、19歳、120ポンド、戦績は14勝8敗。
歌舞伎の女形の様な風貌のオカマボクサー。因みに本シリーズを通じて主人公の対戦相手としては最も若いボクサーである。
幼少の頃から日本舞踊を修め、その技術を用いた分身の術で戦うSFC版の色物枠。またその長い髪を活かして歌舞伎の「毛振り」を彷彿とさせるぶん回し攻撃までも使ってくる。


MAD・CLOWNマッド・クラウン

イタリア・ミラノ出身、27歳、390ポンド*51、戦績は17勝9敗。
オペラ歌手→サーカス団→ボクシングとなかなか数奇な遍歴を持つピエロの様な風貌のボクサー。
その陽気な見た目に反して、元々オペラ歌手だったが精神を病んでサーカスに入団した中々重いバックボーンを持ち、ボクシングでもサーカスで培った技術を使い、宛ら曲芸の様なボール投げの技で戦う。


NARCIS・PRINCEナルシス・プリンス

イングランド・ロンドン出身、20歳、150ポンド、戦績は12勝3敗。
Vマークが入ったダサいセーターを着用したイケメンで、その名が示す通り重度のナルシストなボクサー。
通常時は冷静にこちらの攻撃をいなして主人公を翻弄するが、一度そのハンサム顔を殴られると激昂して冷静さを失い隙を見せる様になる。顔殴られたくないならボクサーやんなきゃいいのに
一人称は「余」で普段は気取った口調だが、つい気を抜くと関西弁のような砕けた口調になる。

…なんというかガビーは(本人はやる気満々だが)老人虐待っぽく思えて気が引けることだし、むしろコイツこそを最初に戦う最弱ポジにすべきだったのでは感が拭えないキャラ。


HOI・QUARLOW回鍋肉

中国・北京出身、78歳、100ポンド、戦績は62勝13敗。
杖を携え武道家の様な道着を着用した、シリーズ最高齢となる御年78歳の超ベテランボクサー。その為か対戦経験も豊富。
高齢を感じさせない程の軽やかな立ち回りを見せ、蹴りや裏拳挙句は手に持つ杖で攻撃するなど反則のオンパレードと云うべき破茶滅茶な戦闘スタイルが特徴。
一方で彼自身は主人公の事を「元気的根性少年」と呼び、敗戦後も主人公に気さくに接する好々爺だったりする。


RICK・BRUISERリック・ブルーザー

出身地不明、年齢不詳、210ポンド、戦績は41勝1敗。
兄と共に戦績・身長以外の情報が謎に包まれたボクサー。
寡黙な兄と違って陽気で自信家な性格であり、自身に唯一黒星をつけた兄に対しては強い対抗心を燃やしている。
攻撃を受けると時々暴走し、当たればこちらの行動を阻害してくるエルボーをかましてくる事も。


NICK・BRUISERニック・ブルーザー

出身地不明、年齢不詳、210ポンド、戦績は42勝0敗。
本作のラスボスであり、弟と共に戦績・身長以外の情報が謎に包まれたボクサー。
顔は弟と瓜二つだが寡黙で異常な程の冷静さを持ち、試合前にて登場人物の中では唯一何も喋らない上にパンチを食らっても表情を一切変えない。
彼もリックと同様に肘を使った攻撃をしてくる上に、ガードをしても体力を奪われるほどの強烈なラッシュを繰り出すこともある。

+ AC・FC版のみに登場したキャラクター

MIKE・TYSONマイク・タイソン



"You think the speed of your fingers can match the strength of my fists?"(たとえファミコンできたえた君の指さばきでも、ボクのダイナマイトパンチにかかればイチコロさ。)

アメリカ合衆国・ニューヨーク州キャッツキル出身、21歳、220ポンド。戦績は31勝0敗27KO。

FC版『マイクタイソン・パンチアウト!!』にてラスボスを務めた、実在のプロボクサー。元WBA・WBC・IBF世界ヘビー級統一王者。
「Kid Dynamite」の異名を取った伝説的なボクサーであり、上述の凄まじい戦績も当時彼が収めていた実際のものである。
タイソン本人の持ち味である圧倒的なパワーとスピードとクッソ怖い顔は忠実に再現されており、その強さはまさに別格。特に1R前半での彼の攻撃はその全てが一撃必殺の殺人パンチという凄まじい性能で、おまけに攻撃速度も速いので一度でも回避をミスればそのままリングに沈むことになる。
余談だが意外にもタイソン本人は本作に思い入れがある素振りを見せており、引退後には「タイソン本人がゲームのマイク・タイソンに挑む」という企画を行なう等度々ゲームをノリノリでプレイしているその腕前はグラス・ジョーに負けるほどド下手他、自身のTwitterにおいても「新作出すなら俺に話を通せ!」とジョークを交えたツイートを投稿したこともあった。


Mr.DREAMMr.ドリーム

ドリームランド出身、99勝0敗99KO。
日本国外再販版およびVC版『パンチアウト!!』のみに登場。
ライセンスの都合上マイク・タイソンから差し替えられた形でラスボスを務めたキャラクターであり、性能は台詞などは彼の使い回し。その風貌や戦績等から元ネタはロッキー・マルシアノと思われる。
Wii版でも続投を果たせず文字通り夢と消えたが、ラスボスのサンドマンがちょくちょく「ドリームランド」と発言するなど一部にその面影を残している。


KID・QUICKキッド・クイック

アメリカ合衆国・ブルックリン出身の小柄で徐々に攻撃スピードが上がる特異な特徴を持つボクサー。
彼自身の登場はAC版のみだがWii版に登場したディスコ・キッドが一部プロフィールとその特徴を引き継いでいる。しかし、ディスコと違いそれなりの実力はある。


PIZZA・PASTAピッツァ・パスタ

イタリア・ナポリ出身の如何にもすぎる安直なネーミングのボクサー。もし彼が日本人なら「スシ・テンプラ」とかだろうか
一応そのリングネームには「(どちらの料理にも使われる)チーズの様に粘り強くて厄介な敵」という意味が込められているらしい。
彼も登場はAC版のみで後の作品には登場しないがSFC版のアラン・ライアンがその性質を受け継いでいる。






“Tsuiki’ like a fly, "Syusei" like a mosquito!”(ハエのごとく追記して、蚊のごとく修正しろ。それがお前のボクシングだ!)

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最終更新:2025年08月16日 09:03

*1 作品によっては1秒の早さが違うケースもあり、実際の3分より短い作品もある。

*2 なおFC版では何故か相手に非常に有利な判定が下される仕様となっており、中には絶対に判定勝ちできないキャラもチラホラいる程の理不尽仕様であった

*3 FC・Wii版では特定条件で入手可能な☆を用いて繰り出すスターパンチ。AC版のパワーメーター及びSFC版のガッツメーターによるスペシャルパンチが該当

*4 ダッキングはシリーズ2作目のアーケード版から追加

*5 Wii版にて登場キャラクター全員の身長が明かされたが、その身長はマックの倍も変わらないどころか全員が2m未満であった。遠近法によって体格差を際立たせている部分もあると思われる。

*6 景品版は形状がやや大きめで金色の塗装がなされた特製カートリッジとなっており、加えて大会上位1万名にのみ配布されたその希少性の高さからコレクターからの需要が高く、今尚も割と高値で取引されている。現在はファミリーコンピュータ Nintendo Switch Onlineにてこの景品版が配信されているので、単に遊ぶ分にはハードルは低くなっている。

*7 フランス人のジョーはフランス語、ロシア人のポピンスキーはロシア語といった具合。また同じ英語圏のキャラクターでもカナダ訛りがあるベアや、アイルランド訛りがあるイギリス英語のアラン等訛りがあるキャラクターも見られる。

*8 そのすべてがマイナーサーキットBGMのアレンジとなっており、ダウンBGMやファンファーレにもしっかり適用されている

*9 因みにさらなる小ネタとして、パンチアウトのポスターを壊すとリトル・マックの巨大なグローブが飛び出してくる

*10 ちなみに原作での設定(172cm)に準拠すればシュルク(171cm)やリザードン(170cm)よりも高くなるはずである。

*11 まさか初代以来登場できておらず、キッド・クイックですらディスコ・キッドとしてリファインされたというに、Wii版での出場すら逃したピッツァ・パスタ選手がこんなところで名を表そうとは…

*12 ボールド・ブルvsピストン・ホンドー、ドン・フラメンコvsフォン・カイザーといった具合

*13 尤もアメリカは多民族国家なので一概に平均と言えども人種によって身長の差が激しいのだが。

*14 このNintendo Fun Clubというのは嘗てNintendo of Americaが発行していた月刊の無料雑誌のことらしいが、ファミコン版『パンチアウト!!』が発売された後にほどなくして廃刊となってしまっている。

*15 クラブニンテンドーは、任天堂が2003年10月1日から2015年9月30日までウェブ上で行っていた会員制ポイントサービス。こちらはきちんと日本でも展開されていたが2015年にサービス終了。

*16 FC版ではマックの肩を叩く動きが早くなる、Wii版ではチョコバーを食べる

*17 彼の様にアゴが脆くノックダウンしやすい選手を指す『Glass Jaw(ガラスのアゴ)』が由来。

*18 …もうおわかりだと思うが、プロの舞台でボクシングやるのはもうやめとけという遠回りなメッセージであろう。

*19 気絶中にスターパンチを当てると一撃でダウンしてしまう

*20 厳密にはアーケード版のみの登場にとどまるキッド・クイックのリファインキャラ。ドックは彼を「This KID is QUICK!!」と称していることから片鱗が窺える上、出身地も同じくブルックリンである。

*21 その証拠に彼の持つトロフィーにはどれも踊る人間や音符等が装飾されている

*22 顔の前で糸巻きの動きを持続させる運動。ビリーズブートキャンプなどではお馴染みの動き

*23 ファミコン版でのセリフ。後述の通りWii版では台詞なし

*24 アックスハンドルはプロレス技であり、ボクシングでは反則

*25 沖縄出身の元WBC世界スーパーライト級チャンピオンで破壊力抜群の強打から『KOキング』と謳われた名ボクサー。選手時代に記録した15連続KO勝利は現在でも日本記録。ちなみにFC版発売当時は未だ現役だった。

*26 何故本田からホンドーに変更されたかは明言されていないものの、ユーザーの間ではストリートファイターシリーズのエドモンド・本田と区別をつけるためではないかと噂されている。

*27 通算成績で敗戦が一度だけ、更にこの敗戦はWii版にて同作のチャンピオンMr.サンドマンによるものであることが判明

*28 因みに彼が読んでる漫画は有志による解析の結果、「セーラームーン」であることが明らかになっている。

*29 海外のSFC版の説明書でのみ、サスカトゥーン出身と表記されていた

*30 直訳すると「木材」を意味し、それが転じて木こりが木を切り倒す際のかけ声として使われている

*31 カナダでも生で食べれるほど新鮮な魚介類が手に入るのはバンクーバーくらいであり、それ以外でもごく稀にアジア人向け用に高額で売られている程度。

*32 インド人のステレオタイプとしてお馴染みのターバンであるが、実際にターバンを巻くのはシク教を崇拝する人に見られる風習であり、ヒンドゥー教徒が多いインドでは実は少数派だったりする

*33 なおインターバルシーンによると、この分身は一体一体が独立した意思を持っているらしく、分身同士が駄弁っている様子も見られる。

*34 パンチアウトが覚えゲーと言われるゆえんの極致とも言えるかもしれない。実際に「お前記憶力は言い方か?」という旨のセリフも発してくる。

*35 2周目以降のフラメンコに1度でも敗北すると、恨みを晴らしたフラメンコの持つ黒い薔薇は1周目の赤い薔薇に戻る演出がなされる。

*36 後述の通り反則だらけの彼が、どうやって2回も判定“勝ち”を拾ったのが気になるところ。まさかワイロをつかませたわけではあるまいな…。

*37 一応SFC版の紹介文には「幼少期クラスメイトからの虐めに遭い性格が荒んでしまった」との記載があったり、試合でもクリンチ直後に攻撃をする反則を行う一面もあった

*38 この動作は挑戦者戦でも行っており、この防衛戦における伏線だったと言える

*39 一部では「試合前に一服盛ったのでは?」という疑惑もささやかれているとか

*40 一試合で計6度ダウンさせるとついにその一滴すらなくなり、困惑しつつ力尽きるKOモーションを見ることができる

*41 なおその時「Where’s My Vodka?!」と聞こえる空耳要素があり、修正前の名前とも、実際ソーダをはたき落とされたこととのダブルミーニング的に意味が合っているようにも聞こえる。

*42 前述の防衛戦でのアラン戦のインターバルにて、ブーイングの際投げ込まれていくモノに彼のボトルと思しきモノも含まれているが、ご覧の通りポピンスキーもドーピングという反則行為をやらかしているので、正直アランのことを言えない身分なのは言わずもがなである。

*43 2009年の通常回での挑戦失敗から始まり、2013年と2018年の武道館SPと三度に渡り対決したもののいずれも有野マックを返り討ちにしている。

*44 Wii版での設定

*45 Wii版での設定

*46 サンドマンともどもSFC版のマッチョマンは二代目だったのでは?とも言われてるとか。サンドマンの場合は年齢が違うことが根拠。

*47 Wii版での設定。なおこれはマイクタイソン・パンチアウト発売時のタイソンの勝利数と、Mr.ドリームの全戦KO勝ちを掛け合わせたものである。

*48 ドイツなどヨーロッパ諸国の民間伝承に伝わる睡魔で、彼のリングネームは「ザントマン」(Sandmann)を英語読みしたものである。

*49 マイクタイソンはFC版にて一部の攻撃前にウィンクをする癖がある。またドリームランドはMr.ドリームの出身国という設定

*50 テンポが早めのジャズに合わせて踊る社交ダンス

*51 説明書では370ポンドと記載されていた