パンダコパンダ

登録日:2024/07/25 Thu 03:55:41
更新日:2025/02/28 Fri 05:56:04
所要時間:約 9 分で読めます






日本一 つよい女の子。


パンダコパンダ



パンダコパンダとは、東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)制作の中編アニメーション映画である。

配給は東宝が担当し、「東宝チャンピオンまつり」の作品として東宝特撮と同時上映で公開された。




概要


日本の動物園で圧倒的な人気と比較して意外と漫画やアニメで扱われない動物「パンダ」をメインに据え、女子小学生の元に人語を話すパパンダとコパンダの親子がやって来るハートフルなコメディ作品。
カンカンとランランの来日に湧いた1972年のパンダブームに影響を受け、後述の児童小説『長くつ下のピッピ』の企画と合わさり誕生した。

言わずと知れたスタジオジブリの巨匠「宮崎駿」が原案・脚本・美術・画面設定と多くを手がけた初のオリジナルアニメ
ジブリ二大巨頭の高畑勲(監督・演出)、『アルプスの少女ハイジ』を共に手がける小田部羊一、宮崎の大先輩でジブリを支えた大塚康夫(作画監督)がメインスタッフに名を連ねている。
原画には『耳をすませば』の近藤喜文、『ルパン三世(1stシリーズ)』の青木悠三、『聖闘士星矢』の荒木伸吾等。男鹿和雄、保田道世といった後のジブリスタッフも揃っている。

第1作の『パンダコパンダ』は1972年に『ゴジラ電撃大作戦(原題:怪獣総進撃)』、『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』との併映、第2作『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』は1973年に『ゴジラ対メガロ』との併映で公開。
後の『とっとこハム太郎』と違い、ゴジパンくんの入場特典は無かった模様。

本作は約16年後公開の映画『となりのトトロ』に大きな影響を与えたとも言われ、パパンダを始め随所にその存在を感じることができる。
パパンダの目や口の開き方、出立ちといったビジュアル面は大トトロとそっくり
何かあるとニカッと笑い、周囲のピンチを体一つで救う度量の大きさや、子供達がその大きなお腹にしがみついている。
パパンダは演じる熊倉一雄に存分に喋って貰ったため、トトロは神秘性を保つため逆に流暢に言葉を喋らないキャラクターとした。

他のビジュアルや演出でも宮崎が手がける作品との関連性を感じさせ、洗濯物を干すシーンや暖炉のキッチンはハイジやジブリ作品に引き継がれた。
ジブリに出てくる食べ物・通称ジブリ飯も健在で、どこか彷彿とさせる作品に仕上がっている。
サブキャラやモブキャラは東京ムービーとAプロ作品に近く、群衆の中にはスタッフの遊び心で『ルパン三世』のルパン三世次元大介、『ど根性ガエル』のひろしと京子、『オバケのQ太郎』のQ太郎がカメオ出演している。

権利上はトムス作品なものの、ジブリ関連書籍として徳間書店から絵コンテや絵本が販売、本作の存在が取り上げられた。
公式サイトではトムスに加えスタジオジブリ、三鷹の森ジブリ美術館、日本テレビ、ディズニー等が提供として参加。
トムスとしても大事な作品のようで、定期的に復刻上映やパンダコパンダ展を開催しておりグッズも発売されている。

2024年には中国で現地吹き替え版の『熊猫家族』が上映予定。


制作経緯


本作を手がける以前、宮崎・高畑・小田部を中心としたスタッフとAプロダクションにより、スウェーデンの児童小説『長くつ下のピッピ』のテレビアニメ化企画が立ち上がった。
大塚が東映動画(現:東映アニメーション)からの移籍を手伝い、宮崎はロケハンを兼ねて東京ムービーの社長が現地に住む原作者のアストリッド・リンドグレーンの元を訪ねるも会うことすら叶わず企画は頓挫。

元々パンダ好きだった高畑が宮崎と共にパンダ作品の制作を試みるもボツになり、訪れたパンダブームによりこれ幸いと決まった本企画と合わさって『長くつ下のピッピ』用に温めていたイメージボードは『パンダコパンダ』に流用される形で纏まった。
そのためミミ子の容姿、パンちゃんの怪力は主人公のピッピ、キャッチコピーである「日本一つよい女の子」は「世界一つよい女の子」の影響を受けている。

スウェーデンでのゴットランド島のロケハンは無駄にならず、映画『魔女の宅急便』の舞台として日の目を見た。
80年代でも鈴木敏夫の力も借りて継続的にピッピアニメ化の交渉を重ねていたが叶わず、後年奇しくも息子の宮崎吾朗が手がける同作者の『山賊の娘ローニャ』版権交渉の際リンドグレーンの子孫の許諾を得て、企画当初のイメージボードや経緯を纏めた『幻の長くつ下のピッピ』が出版された。


あらすじ


パンダコパンダ

北秋津に住むミミ子は、竹やぶに囲まれた家でおばあちゃんと二人暮らし。
おばあちゃんが法事で留守の間、突然パンダのパパンダとパンちゃんが竹やぶを気に入って訪れる。
両親のいないミミ子の事情を知ったパパンダはお父さんに、そしてミミ子はパンちゃんのママになり、心躍る共同生活が始まった。
しかしパパンダとパンちゃんは動物園を逃げ出して大人に追われていた。

パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻

ミミ子の元にやって来たパパンダとパンちゃんはすっかり新たな生活に馴染んでいた。
そんな中、サーカスから逃げ出したトラちゃんがミミ子の家に迷い込む。
仲良くなったトラちゃんをサーカスに送り届け公演のチケットを貰うが、当日は豪雨により町が水没し、SOSの手紙を受け取ったミミ子たちは動物たちの救助に向かう。


登場人物


  • ミミ子
CV:杉山佳寿子
本作の主人公。愛称は「ミミちゃん」。
赤毛で三つ編みの小学生。性格は天真爛漫で明朗快活。
服装はTシャツとノースリーブのワンピースで、宮崎アニメの原点だけあって常時パンツが見えている。
嬉しいことがあるとうわー素敵ー!と逆立ちをしながらVサインのように足を開くのが癖。当然お腹もパンツも丸出し。
早くに両親を亡くしたためおばあちゃんと二人暮らしで、竹やぶに囲まれた二階建ての一軒家に住み、町ぐるみで見守られている。
簡単な足し算を習う年齢にも関わらず、炊事・洗濯・掃除といった家事が得意な逞しい女の子。
大雨で家が浸水しようと冷静に行動し、むしろイベントとして楽しむバイタリティに溢れている。
逆立ちのまま片手で階段を降りられるほど身軽で、躊躇なくダムに飛び込むほど度胸が据わっている。
当分の間の一人暮らしも気にせず、心配するおばあちゃんを快く送り出した。
本当は家族が欲しかったため、パンちゃんのママとして振る舞いつつ、父親代わりのパパンダに甘えている。
同居後は大中小の管楽器や歯ブラシを揃え、新たな暮らしを満喫中。

  • パパンダ
CV:熊倉一雄
二足歩行で日本語を喋るジャイアントパンダ。口癖は「特に竹やぶがいい」
デフォルメされた丸々とした体型で、顔つきは『となりのトトロ』の大トトロにそっくり。
大らかな性格で多少の事では動じず、いつもマイペースにドンと構えている。
人間用の椅子は壊れてしまうので切り株に座り、お風呂は庭に作られたドラム缶風呂に入り、全てにおいてビッグサイズ。
竹を主食としながらも人間用の料理を同じように食し、食後にはのんびりお茶を飲む。
緊急事態には普段から想像できないほど機敏に動き、サーカスに出演できるほど芸達者。
パンちゃんを凌ぐ怪力で木造の屋根を安易と破壊し、暴走機関車を正面から受け止めるほど強い。
暮らしていた動物園を脱走し、特に竹やぶを気に入ってミミ子の家に身を寄せた。
ミミ子に両親がいないと知るや「パパがママになるのは大変ですが、パパがお父さんになるのは簡単です」と父親代わりを名乗り出た。
理想の父親像に合わせて外出時には帽子、家ではパイプを咥えて新聞を読み*1、「お父さんは会社に行くもの」として逃げ出した動物園との和解後は社員扱いで雇用契約を交わし、朝から夕方までパンちゃんを連れてミミ子の家から電車通勤のサラリーマン生活を送っている。
ちなみに乗っている電車は実はよく見ると上野方面、つまり当時の京成電鉄の車両に近いデザインになっている。そのため勤務先は恩賜上野動物園がモデルとされている。

  • パンちゃん
CV:太田淑子→丸山裕子
パパンダの子供。パパンダ同様に日本語を喋る小さなパンダ。
お母さんがいないため、小学生のミミ子を「ママ」と慕う甘えん坊。
好きな相手にはお腹や胸目掛けて抱きつくのが癖。
度々ミミ子のマネをして逆立ちを披露し、すばしっこく玉乗りが得意。
冒険心に溢れ好奇心旺盛な性格で、ミミ子の小学校やサーカスで一騒動巻き起こした。
に噛みつかれても無傷で済む石頭で、自身の何十倍もの動物を片手でヒョイと持ち上げる怪力。
動物園との和解後はパパンダと一緒にパンダ園で働いている。

  • トラちゃん
CV:太田淑子
サーカスから逃げ出した小さなトラ
パンちゃん同様にミミ子の胸に抱きつく甘えん坊。
嬉しいことがあると尻尾で一本立ちするのが癖。
ミミ子の家に入り込みパンちゃんのベッドに身を隠していたが、パンちゃんと大の仲良しになって一晩泊まる。
トラのお母さんが恋しくなり、線路を伝ってパンちゃんをサーカスに連れていった。
パパンダたちと同様に日本語を話しているが、他のサーカスの動物たちにそうした様子はない。

  • おばあちゃん
CV:瀬熊礼子
ミミ子の祖母。
保護者だが高齢もあって家事はミミ子が担当し、町の住民の認識としてはミミ子がおばあちゃんの面倒を見ている模様。
法事のためミミ子を一人で家に残す事を心配しながらも、強引に送り出される形で長崎に向かった。
約束通り毎日送ってくる近況報告の手紙を楽しみに待っている。
最後まで帰宅しないため、パパンダやパンちゃんの事は手紙越しでしか知らない。とはいえ作中で異常事態だと見なしている描写は見受けられず、度量の広さはミミ子同様とも解釈できる。

  • お巡りさん
CV:山田康雄→安原義人
北秋津派出所に勤める警察官。
雑貨屋のおじさんや八百屋のおばさん達と共にミミ子を見守っている。
ダムに飛び込もうとしたミミ子を引き止めるも、手を噛みつかれて離してしまった。
2作目では暴走するサーカス列車にミミ子が乗っていることを聞きつけて自転車に乗って駆け付け、ブレーキをかけるように助言するも、ミミ子にはどれがどれだか分らなかった為無意味だった。

  • 動物園の園長
CV:和田文雄
パパンダが逃げ出した動物園の園長。
当然ながらいなくなったパパンダとパンちゃんを心配し、懸賞金をかけて町一丸となって探し回る。
労働環境に問題があった訳ではなく、「竹やぶやミミ子が居なくてつまらない」という理由で逃げられたため、和解後はパパンダを雇い入れ仕事中のみ動物園で過ごすよう融通。仕事仲間として付き合っている。

  • サーカスの団長
CV:和田文雄
トラちゃんが逃げ出したサーカスの団長。
トラちゃんを捜索中に手がかりを見つけてミミ子の家に侵入し、常軌を逸したビッグサイズの家具や食事に仰天。
泥棒と誤解したミミ子たちに熱烈な歓迎を受けた。

  • サーカスの団員
CV:山田康雄
団長と共にトラちゃんを捜索する団員。
上記のお巡りさんもだがそこはかとなくルパン三世と顔つきが似ている。(と言うか声優もおんなじ)


主題歌・挿入歌


ミミちゃんとパンダ・コパンダ
作詞:真田巌(中山千夏) 作曲:佐藤允彦 歌:水森亜土

ねんねんパンダ
作詞・作曲:真田巌(中山千夏) 編曲:佐藤允彦 歌:水森亜土



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最終更新:2025年02月28日 05:56

*1 グッズ化でも普通のパンダ姿・このいでたちのバージョン両方が用意されることも多い