ザラカル立憲王国
国の標語:旅を恐れない
国歌:
主要言語 ズリナ語
メリ語
現代標準リパライン語
首都 アギズィル
最大の都市 ヴズヴァ
政府 氏族会議
国家元首の称号
政治体制 氏族合議制
人口 260万人
主な宗教
通貨 ズリナ・レジュ
領 土
ファヴニ高原

 ザラカル立憲王国はクラナ大陸のファヴニ高原(摺:Vɯvrozna、ヴヴロズナ高原)一帯を領有する立憲君主制国家。国王の権力は弱く、実質氏族代表者による代表民主制である。
 クラナ大陸国家連合への加盟を通じ間接的にユエスレオネ連邦に加盟している。
 国土のほぼ全域がファヴニ高原に位置しているという特性上、現代の都市化においても全人口の6割が遊牧生活を送っており、クラナ諸国の中では都市定住人口が少ないという特色を有する国として知られている。


概要

 国土面積は約33万平方キロメートル*1。ファヴニ高原のほぼ全域を領有しており、首都のアギズィルは標高2800メートルで、クラナ大陸国家連合加盟国の中では最も標高の高い首都となっている。

 貝殻戦争で敗れてメリ共和国に南部タファ沿岸部の領土を奪われて以降は内陸国となっており、北東はキエラヴィ、西はヴィテール、南はスローヴェ、南西はメリと国境を接している。

 ファヴニ高原には豊富な天然資源を持つとされているが、実際には経済力は乏しく、クラナ最貧国の一つとも言われている。現在、天然資源開発の国策を検討しており、外国資本による開発を求めている。

国名

 ザラカルという国名は「人間」を意味するズリナ語のzarlakarlに由来する。
 ズリナ語はリナエスト語族の言語であり、istikta > zdika > z(ə)läk(ə)l > zarlakarlのように変化したとされている。

歴史

パンテガード王朝時代

 ファヴニ高原地方は農耕民族たちにとっては農耕に適さない広大な台地とされていた。
 そのため、直接的な支配は受けず、朝貢国の一つに加わった。

 彼らの支配下においてはズィリ(クラナラクダ)やギリヴィリ(クラナダチョウ)等の家畜を進貢していた他、兵役に参加し、腕の立つ騎手を多く輩出した。

 しかしながら直接的支配を受けなかったことは良くも悪くも影響を与え、ファヴニ高原特有の国土に縛られない自由な気質が醸成され、中世的国家を生み出す力は弱かった。そのため、メリ王朝からの独立まで「農耕民族の王朝に従属する辺境の遊牧民族」としての地位に甘んじていたと考えられている。

メリ王朝時代

 パンテガード王朝が支配していた土地の次の支配者となったメリ王国もまたファヴニ高原を支配した。
 しかし、パンテガード王朝のような支配ではなかったようで、ズリナ人の反感を買っていたようだ。
 最終的にはズリナ人氏族連合指導者(現在の国王)が率いる形で内乱が勃発し、ザラカルが独立した。
 独立時にメリ人の小作農や貧乏地主を味方につけたことで南部タファ地方沿岸部を獲得した。当時のザラカルは農民と遊牧民が同等の地位にあり、互いに連携していたとされる。

貝殻戦争

 独立後、メリとの国境では散発的な衝突が見られた。この衝突は次第にエスカレートしていき、貝殻戦争が勃発した。
 焦土作戦を決行したためザラカルのメリ人たちは生業を失い、メリ王朝側に寝返った。沿岸部撤退後も主要都市を取り返すことはできず、戦争に敗北した。
 この時、南部タファ地方沿岸部を失い、完全な内陸国となった。

クラナ紛争

 再び沿岸部を取り戻すべくスローヴェを独立させることに成功したが、肝心の奪還には至らなかった。

政治

 国王は、国王と氏族長と呼ばれる各氏族(クラン)の代表者たちと合同で氏族会議を開き、その議長を務める。
 氏族会議での決定は即時でそのまま国家意思の決定となるのではなく、改めてその内容について王府による諮問を経てから正式に決定される。

 国王は氏族を嚮導する神性を持つネートニアーの血族に限定される。

氏族

ザラカル有力十二氏族の旗印
 ザラカルでは特に発言力の高い12の氏族を有力十二氏族と呼ぶ。
 これらの氏族長は氏族会議の中心的人物として知られている。
 以下がその有力十二氏族の一覧である。
  • ゲヴナゴルドゥン族
  • ギリヴィリグン族
  • ギンヅィカル族
  • ルジョンヴァ族
  • ヴギヌン族
  • ズィンカル族
  • オロルギョズ族
  • ズィリヴン族
  • エヴェギニズ族
  • ウムギュサル族
  • ゲヴナムギニズ族
  • ヴァヌムン族

 また、それぞれの氏族の特徴については以下の通り。
  • ゲヴナゴルドゥン族
    • 最大規模の遊牧氏族
    • 裕福な遊牧民が多いため、ザラカルダチョウ(ギリヴィリ)を多く飼育でき、普段からギリヴィリに騎乗する
    • 熟練の弓使いが多く、変な体勢で正確な騎射をすることで有名
    • 軍事力の割には交易による利益や生産力はそれほどでもない
  • ギリヴィリグン族
    • 木材の加工が得意で生産力が高い
    • 弓矢の生産力が高く、全員が騎兵弓を装備している
    • このことを氏族構成員は裕福さの象徴として誇っている
  • ギンヅィカル族
    • ファヴニ高原を代表する保守派
    • ザラカル独立時に戦った氏族であり、誇り高く老練
  • ルジョンヴァ族
    • 人数は多いが貧しい出身が多く、農民だった人も少なくない
    • 弓を扱えない人や貧しくて弓を買えない人ばかりなので投石機を使う
    • 牧畜の生産性が低く、狩猟で食料を補っている
    • 野草に詳しい人が多い
  • ヴギヌン族
    • 構成員のほとんどが元奴隷か傭兵という変わった氏族
    • 戦闘も貿易もできるが、契約期間を過ぎるといなくなってしまう
  • ズィンカル族
    • 構成員のほとんどが元メリ人
    • 重武装・重装甲
    • 弓はほとんど使わない
    • 代わりに近接戦闘が上手
    • 数年ごとに畑を移動する移動式農業で生計を立てている
  • オロルギョズ族
    • 弓も剣も得意な武闘派構成員で占められた好戦的な氏族
    • 戦闘が上手なので牧畜よりも狩猟をメインに食料調達をする
    • 商売は苦手なので毛皮や角を買い付けに来た他の氏族に安価で売り渡している
  • ズィリヴン族
    • 商売上手の多い氏族
    • 長蛇のキャラバン隊を編成してファヴニ高原を縦横無尽に交易して回る
    • 盗賊を追い払う程度の戦闘力しかない
    • 長旅に慣れているのでサバイバル能力はやや高い
  • エヴェギニズ族
    • 牧畜がとても上手な氏族
    • 最も多くの畜産物を生産し、家畜の数も全氏族トップ
    • 交易もそこそこしている
    • 戦争を嫌い、挙兵にはめったに応じない
    • 戦闘力はあまり高くないが、頭数や資金力はそこそこある
  • ウムギュサル族
    • 構成員のほとんどが野生動物と心を通わせることができる
    • 家畜はおらず、パートナーの動物と共に行動する
    • 家畜化されて野生動物が野生で生きていけなくなるのを防ぐために、野生に返すことがある
    • サバイバル能力は随一であり、薬草や毒草の知識が豊富
    • 動物には優しいが人間(特に侵入者)には厳しい
  • ゲヴナムギニズ族
    • 中規模の氏族にしては弓の普及率が高く、練度も高い
  • ヴァヌムン族
    • 影の氏族
    • ヤマンバオオカミを飼育する唯一の氏族であり、ほぼ全員がヤマンバオオカミに乗って移動する
    • 国内の犯罪者や逃亡者を処罰する仕事を請け負っており、忌み嫌われながらもザラカル社会には必要とされている存在である
    • 政府から報酬金をもらっているため生活には困っていないようだ

地理

軍事

国際関係

文化

価値観

遊牧生活の誇り
 遊牧生活を営むズリナ人の大半は伝統的に「自然の中で生きる我々は豊かで自由な生活を送っている」と自認している。
 彼らズリナ人は都会を基本的に良いものと思っておらず、景色や見通しが悪く、空気もよどんでいて汚く、病気やネズミが蔓延っている。穀物以外の食べ物が少なく、都会の人間は脂っこいものやしょっぱいものをたらふく食って汚く肥え太っている。一方で我々ズリナ人の生活は澄み渡る荒野の中で食べる食事は質素だがどんな贅沢にも代えられないものであり、富める者も貧しき者も皆身体を動かすので健康であり、颯爽とギリヴィリを乗りこなす。ズリナ人は家畜を保有し、豊かな自然がもたらす季節の恵みから果物や木の実、野菜等の食物を得たり、近くに周遊してくる鳥類や魚類等の小動物を食べたりする。そのため穀物に依存することはなく、都市の住民よりも多彩な食料をより柔軟に確保することが可能な生活をしていると考えている。
 また、古代パンテガード王朝やメリ王国の農民とは異なり、ズリナ人は王国や領土に縛られず、税金を払う必要がなく、自由に生きていくことができる。なるほど確かに王国民でも王族や貴族に生まれれば幸せかもしれない。しかしそんな者は王国の一握りで、ひとたび奴隷や農民に生まれ落ちてしまえば、飢えと寒さと年貢に怯えて生きていくしかなかろう。国家のトレンドは平等による幸福ということで共和政が流行っているが、ズリナ人にとっては氏族単位での社会が本当の自由と平等であり、細かく規定された碑文の法律では真の平等にはありつけないだろうと考えている。

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最終更新:2025年06月05日 05:51

*1 現世ではフィンランドやベトナム程度の面積