スーパーX2


1989年公開の東宝映画『ゴジラVSビオランテ』に登場する兵器。決してメガドライブとジョイントする奴ではない
資料によっては「スーパーXII」とも表記される。

かつてゴジラ相手に交戦したスーパーXの後継機。
先代は「空飛ぶ炊飯器」などと揶揄されたが、本機は謂わば「空飛ぶアイロン」と呼ぶべきのっぺりとした外観をしており、
ややもするとスーパー戦隊のメカでも運びそうなサイズ感と形状である。
尤も、この手の「戦隊母艦」は1988年のマシンバッファロー(『超獣戦隊ライブマン』)を最後に「売れない」という理由で姿を消したが…
(以降は自身もロボットに変形するなどのギミックを仕込む為にデザインラインが変わった)

ちなみにスーパーXシリーズでは唯一の遠隔操作型無人機である。
先代スーパーXはゴジラと正面から撃ち合って放射熱線に三度耐え、搭載したカドミウム弾で一度は膝を突かせる大金星を上げたが、
本機は先代のチタン合金セラミック複合材を更に強化した耐熱特殊装甲「TA32」を外装に採用。
更に対ゴジラ用に開発された、合成ダイアモンドを使用した熱線反射鏡「ファイアーミラー」を搭載しており、
ゴジラの放射熱線の光を一万倍に増幅し、レーザーに変換して反射する機能を有する
(あくまで光を増幅するのであって、放射熱線自体を一万倍返しする訳ではない点に注意)。

ファイアーミラー使用時には船首部分が縦二分割して左右に展開、観音開きの三面鏡のように変形して対象に反射光を集中させる。
試作兵器だった事もあり最終的には融解してしまったものの、実際にゴジラの放射熱線を十回も反射してみせた実績は高く評価され、
この合成ダイアモンドを使用した対熱線装甲の技術は後の対ゴジラ兵器にも活かされる事になる。
ただ、ファイヤーミラー稼働と無人機故の通信システムに電力を割く必要から、
レーザーやメーサーなどの光学兵器は搭載されておらず、ファイヤーミラー以外の武装はバルカン砲、ミサイルなど全て実弾火器である。
また、潜水艦としての機能も備えており、水深1万mまで潜水が可能。水中攻撃用の魚雷も装備している。

作中では「ヤングエリート集団」と評される自衛隊のエリート部隊「特殊戦略作戦室」の黒木翔特務三佐(演:高嶋政伸)*1によって指揮される。
三原山で休眠状態から目覚めたゴジラの迎撃のため出撃するが、ゴジラの熱線が予想以上の火力であった事と、
反射されてなおゴジラが熱線連発でゴリ押した事で、ファイアーミラーが耐え切れずに融解。
ミラーの修復が間に合わぬまま、大阪防衛戦に投入された際には「ありったけの」ミサイルとバルカンで交戦した。
最終的に弾切れに陥るが、この任務は対ゴジラ用に開発された生物兵器「抗核エネルギーバクテリア」を撃ち込むまでの囮だったため、
黒木特佐はリスクを承知でファイアーミラーの展開を指示。結果、ゴジラの熱線が直撃してミラーが融解し、スーパーX2は撃墜されてしまったものの、
その爆発でゴジラが怯んだ隙に周辺の高層ビルに潜伏していた特殊部隊がゴジラに抗核エネルギーバクテリアを撃ち込む事に成功した。
この時の「薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん!」という、命を賭した権藤吾郎一佐の台詞は名言として数えられている。
その後の「サンダービーム作戦」*2とビオランテとの激闘により、ゴジラの体温をバクテリアの活動域まで上昇させた事でゴジラ体内の核反応抑制に成功。
不活性化されたゴジラは海の彼方へ撤退した。
余談だが、『VSビオランテ』のEDテーマはスーパーX2のテーマのアレンジである。
宇宙空間に薔薇の花が浮かぶ見ようによっては不穏な映像(恐らくゴジラ撃退の功労者としての扱いと思われる)をバックに、
すぎやまこういち氏による軽快な曲が流れるEDに強烈なインパクトを受けたという人も多いだろう。

こうしてスーパーX2はその身を犠牲にして人類に勝利をもたらし、ゴジラの脅威から解放された日本は23世紀頃には世界一の大国へ成長したそうなのだが、
次回作にて未来人の時間干渉でゴジラがより強大な力を得て復活。日本の経済成長も夢と消えてしまったのだった……。
尤も、ゴジラがパワーアップした分は未来人の技術をリバースエンジニアリングした対G兵器を続々と開発してトントンにまで持ち込むあたり、
転んでもただでは起きないのが特撮世界の日本である

また、東京都庁第一本庁舎のプロジェクションマッピング『ゴジラ都庁襲撃~GODZILLA: ATTACK ON TOKYO~』には改良機のスーパーX2改が登場する。
従来の武装に加えてメーサー砲が2門追加されている他、何故か無人機から有人機へと変更されている。
都庁を守るために出撃し、ファイアーミラーでゴジラの熱線を反射して転倒に追い込むが、よりパワーアップした熱線で反撃されて損傷。
操縦不能になった所を捕縛され、ミラー開口部に至近距離から熱線を浴びせられて爆発した。搭乗員は直前に脱出し、全員生還している。
1:00~

小説『GODZILLA -怪獣黙示録-』でも登場している。
同作では新造された後続機ではなく、ビオランテとの戦いの後で甚大な損傷を受けたスーパーXを、
修復しつつ無人機へと改造した機体だったらしい。
2機存在しており、2039年の欧州奪還作戦時に実戦投入されたが、ゴロザウルスとの戦いで撃墜されてしまった。


ゲーム『ゴジラ爆闘烈伝』でのスーパーX2の性能

格闘ゲームではPCエンジンの『ゴジラ 爆闘烈伝』に登場。
本作は最終ステージ到達時点のスコア次第で選択可能なラスボスの種類が増えるが、スーパーX2は最低スコアでも選択可能なラスボスである。
他の怪獣より小さい体格と常時飛行による高い機動力が特徴で、ファイアーミラーでゴジラの熱線を反射可能。
原作に無い能力として、投げ技に対して電撃を流して反撃するという特殊能力がある。先述のX2改にもこの機能があれば
選択難度の低さから分かるように初心者向きのラスボスであり、倒すことは難しくない。
但し、人操作の場合はその行動範囲の自由度や飛び道具の豊富さも相まって同じく常時飛行のバトラ(成虫)と並んで最強キャラと化す。
5:00~


MUGENにおけるスーパーX2

怪獣キャラでお馴染みのカーベィ氏の製作したキャラが2025年に公開された。
『ゴジラ 爆闘列伝』に登場するキャラの中では最後にMUGEN入りすることとなった。
スプライトは『爆闘烈伝』のものを使っているが、システム面については氏曰く「なんちゃって大決戦仕様」とのこと。
『大決戦』に登場する轟天号に近い仕様となっており、常に空中を浮遊している代わりにガード不可となっているほか、
『爆闘烈伝』にはなかったダッシュや回避行動をとれるのが特徴。

ミサイルやバルカン砲などの飛び道具をメインに戦う他、飛び道具を反射する「ファイヤーミラー」も持つ。
攻撃されることで溜まり、満タンになると一定時間気絶する「ショックゲージ」、
同じく攻撃されることで溜まり、満タンになると攻撃力上昇、超必殺技を使うと0になる「怒号ゲージ」も搭載されている。
超必殺技は攻撃判定を纏った状態で相手に体当たりする事が可能になる「電撃」。
AIはデフォルトで搭載済み。

出場大会

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*1
映画シリーズではその後『VSデストロイア』のスーパーX3司令官としても登場しているが、高嶋政伸氏のスケジュール問題があり、
『VSメカゴジラ』でガルーダパイロットの青木も演じた兄の高嶋政宏氏(『ガンヘッド』のブルックリンやヤマトタケルも演じている)に変更となったものの、
対ゴジラ戦が自衛隊からGフォースに移行してもゴジラとの戦いに備え、熱意を燃やしていた事が窺える。

一方、別冊コロコロコミックで展開されていた坂井孝行氏による漫画版『VSシリーズ』では、
全作登場している事実上のシリーズ主人公となっている。黒木特佐原理主義者!
『VSキングギドラ』では1989年の対ゴジラ作戦指揮が高く評価されたことを受けて、キングギドラ迎撃作戦の指揮を取ったが、
通常兵器やメーサー戦車ではキングギドラを食い止める事はできなかった。
『VSモスラ』では侵攻を続ける幼虫モスラをM6000TCシステムを用いて迎撃し、一度は焼殺する事に成功する。
しかしその後モスラは蘇生、成虫へと羽化してしまった。
『VSメカゴジラ』ではGフォースに出向。これまで培ってきた対ゴジラ戦の経験を踏まえ、臨機応変に指揮を取り、
ベビーゴジラを保護するなどの柔軟な対応を見せる。
『VSスペースゴジラ』ではかつて「勝った方が我々の敵になる」と呟いた身でありながらゴジラの勝利を願うしかなく、
またスペースゴジラに立ち向かう結城晃にかつての戦友・権藤の姿を重ねている。
『VSデストロイア』ではコミカライズ独自の作戦を立て、スーパーX3を結城に託すと、人工デストロイアとゴジラジュニアを激突させる奇策を取り、
自身はM6000TCシステムによる冷却でゴジラのメルトダウンを阻止する。

その後は同人誌版で幾つかの作品のリメイクや外伝として黒木特佐の活躍が描かれており、2014年にハリウッド版ゴジラが公開されると、
本作をVSシリーズと地続きにした上で「VSビオランテビギニング」と称して、『VSシリーズ』本編以前の黒木特佐の物語が展開された。
これによると国土庁Gルーム創設のための視察として権藤と共に渡米、そこで米軍の対ゴジラおよび対ムートー作戦に巻き込まれる形となり、
米軍独自の超兵器を駆使した対ゴジラ作戦がことごとく失敗する中、反目しながらも黒木と権藤が協力して奮闘する事によってゴジラ迎撃に成功。
黒木はこれにより高い評価を得たが、権藤はこの戦いで放射線障害を負って余命幾ばくもない状態で日本に帰国、『VSビオランテ』へと物語は続いていく……。
また、本作では「1954年のゴジラ初上陸時、防衛隊で対ゴジラ作戦の指揮を取ったのが黒木の祖父」という事になっているようだ。

漫画版世界ではかなりの有名人らしく、『実録 黒木特佐1993』という映画が公開されているらしい描写があったり、
同人誌では『VSキングギドラ』の主人公・寺沢健一郎が黒木特佐の評伝を書くためにインタビューを行っており、
漫画版『VSシリーズ』における対ゴジラ戦の伝説的英雄といっても過言ではない人物となっている。

*2
ヨウ化銀で作った人工雲と巨大な電位差発生装置により人工的に落雷を発生させ、発生した超高周波により分子振動を起こして目標を加熱する、
謂わば巨大な電子レンジとも言える「M6000TCシステム」を用い、発生装置上に誘導したゴジラをチンして加熱する作戦。
ゴジラの巨体を短時間に加熱しようという作戦に使用されるだけあって、作動時に発生する熱量は凄まじいものがあり、
人体などという小規模目標は瞬時に蒸発してしまう。テロリスト相手にだが、実際やって蒸発したので間違いはない。

最終更新:2025年07月09日 10:16