ファイアーエムブレム風花雪月主人公


『ファイアーエムブレム』シリーズの第17作目『ファイアーエムブレム 風花雪月』(「花鳥風月」ではない)の主人公。
名前はプレイヤー側が自由に設定可能だが、デフォルトネームとして「ベレト(男性)」「ベレス(女性)」も存在し、
外部作品にはこちらの名前で登場している。由来は72の悪魔ベレトと思われる。
CVは男性が 小林裕介 氏、女性は 伊藤静 女史。
歴代のマイユニットと異なり男女で名前が異なるため、ファンからの愛称は「先生」「(せんせい)」「ベレトス」。

父であるジェラルトが率いる「ジェラルト傭兵団」の一員であり、若年ながら無表情で敵を葬る「灰色の悪魔」の異名で呼ばれる凄腕の傭兵
(『無双 風花雪月』の主人公のシェズも、本編では恐らく彼/彼女に葬られたとされている)。
傭兵の仕事で向かった村にて士官学校の級長3人を救った際、殺されそうになったエーデルガルトを庇い致命傷を負う瞬間、
脳内でソティスという少女に出会い、時間を巻き戻す「天刻の拍動」に目覚め、窮地を脱する。
戦闘後ジェラルトの旧知であったアロイスに出会った事で、ガルグ=マク大修道院に向かう事になり、
そこでいきなり士官学校の教師に抜擢、3つのクラスの内の一つを率いる事になる。

ジェラルトの教育方針で、一般的に広まっているセイロス教の事を全く知らなかったり、なんなら自分の年齢すら知らない
更には心臓が動いていない、超常の力である天刻の拍動が使える等、明らかに普通の人間ではない部分が見受けられ、
上記の画像で所持している英雄の遺産*1「天帝の剣」も、主人公が振るえば蛇腹剣として扱えるが、
主人公と同じ紋章を所持、逆に紋章すら持たない者が振るっても妙に重いただの剣にしかならないと、普通の英雄の遺産と異なる。

なお歴代の主人公達と異なり、選択肢や戦闘以外では基本的に台詞が用意されていない。
とはいえ「灰色の悪魔」らしく無個性型というわけでもなく、
生徒(女性)の部屋を訪れた理由を聞かれた際に冗談で「夜這い」と答えたりする等、変な所でお茶目。
また、自身が主人公ではない『無双』や『ヒーローズ』などでは普通に喋る。

シリーズお馴染みの恋愛要素も存在しており、
母の形見の指輪をエンゲージリングとして渡す事で結婚が可能。
歴代主人公の中でもかなり対象キャラが多く、基本的には(既婚者を除いた)異性キャラなら誰でも結婚相手として選ぶ事が出来る上に、
一部キャラには同性婚を申し込む事も可能である。

+ 『ファイアーエムブレム風花雪月』という作品について
ハードをswitchに移して初の発売となった『FE』シリーズ。
コーエーテクモとの共同製作であり、『信長の野望』『三國志』といった歴史SLGやコーエー製のRPG「ジルオール」のエッセンスも盛り込まれている。
選択した学級+プレイヤーの行動によって4ルートに分岐し、
上述の通り士官学校の教師として選択したクラスの生徒を育てていくという学園ものの要素が盛り込まれるなど、意欲的な試みがなされた。
+ しかし……
本作のストーリーは2部構成になっており、前半は学園生活を描いたもの。
そして、後半はその学園の生徒が戦争によって引き裂かれ、殺し合う羽目になるというものである。
敵として立ちはだかる生徒はもちろん撃破してしまえば(前半にスカウトで事前に引き抜いていなければ)死亡となる。
絶対にスカウトできないメインキャラは、ルートによっては悲惨な最期を遂げる事もざらである。
ストーリーの重さはシリーズでも「聖戦の系譜」に匹敵するといわれており、前作『if』のような全勢力が和解する展開やグランドエンディングは無い*2
つまり、どのルートを選んでも殺し合いは回避できないのである。
しかし、ライトファンタジー色が強くなった現在の『FE』おいて、この稀に見るシビアな作風を支持するプレイヤーも少なくない。

『無双 風花雪月』においては、主人公がガルグ=マクに来なかったら、というコンセプトであり、
冒頭から主人公シェズが所属していた傭兵団をシェズ以外皆殺しにする「灰色の悪魔」っぷりを見せる
(ただし団長が仕事ついでに「ジェラルト傭兵団を倒して名をあげる」と勇んだのが原因であり、
 本来の依頼が片付いたタイミングで「もう戦う理由はない」と剣を収めてシェズは生き延び、こちらがガルグ=マクに行く事に)。
所謂「呂布」枠であり、シナリオの都合天刻の拍動(中盤に習得)も天帝の剣も所持していないにもかかわらず、劇中最強キャラとして立ちふさがる。
ちなみにこちらでは一人称が「自分」で、目上に敬語こそ使うものの、父であるジェラルト含めて全員呼び捨てにしている。
なおこちらは主人公が来なかった結果、3クラスの内2つは明らかに本編より自体が好転しているため、主人公の扱いの悪さについては賛否両論に。


大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにおけるベレト/ベレス


「大乱闘に参戦するのじゃ」

『SP』において2020年1月29日のDLCとして参戦。
ファイターとしての名義は「ベレト/ベレス」となり、奇数カラーでベレト、偶数カラーでベレスになる。
原作におけるメインウェポン「天帝の剣」の他、原作では両立させるのが不可能だった級長3名の英雄の遺産、
「フェイルノート(弓)」「アラドヴァル(槍)」「アイムール(斧)」の三種を駆使して戦う。

ファイターパスVol.1最終弾で参戦が決定したファイターだが、
発表当時は「せっかくのオールスター作品なのに『FE』出身、それも剣士キャラが多すぎる」という声が一定数見られていた中での参戦とあって、
前評判はいまいちであった(特に『SP』ではダッシュファイターを含めるとマルス ベース性能の剣士キャラだけで4人もいた)。
バンジョー&カズーイテリー・ボガードという意外性が強いファイターの参戦が続いた中で、
昔からの定番シリーズの(当時の)最新作主人公と言うのがよく言えば妥当、悪く言えば無難なチョイスに見えたのも大きいか。
一応、この手の反応は公式でも予測されていたようで、参戦ムービーでは招待状を渡されたベレトが意気揚々と大乱闘に参戦した所、
既存の非FE剣士キャラに何もできずにボコボコにされて『風花雪月』世界に送り返された挙句、
相方のソティスに「何?剣士はもうたくさんおるからよいじゃろうと?」と言われてしまうという、あんまりにもあんまりな場面が描かれた。
そして「それでも男か!」と詰められたため、ベレスに性転換して説教から逃れようとした
「あー、そういう手で来おったか、なるほどのうー」

実際に参戦してみると、まずそもそも天帝の剣に関しては蛇腹剣として活用する事が多く、
それ以上に驚異のリーチを誇る槍のアラドヴァルを振り回す印象が強いせいか、
既存の『FE』キャラとはかなり差別化された性能となっており、偏見を抜きにした一ファイターとしては一定の評価を得ている。
更に「ヤバタイ先生」の異名を持つベレスの巨乳・へそ出し・柄入りタイツという教職員らしからぬセクシーなビジュアルに一切の規制が無く、
原作には無かった生脚衣装まで用意されたため、紳士なユーザーからは概ね好評を得ている。
なお、もっとヤバいスタイルと衣装のキャラが参戦した際には流石に規制が入ったため、全年齢対象の境目にいるキャラクターなのかもしれない。

性能としては重量級寄りで、機動力はルフレよりマシだがかなり低い部類。
その分、「間合いの鬼」と呼ばれる程の攻撃範囲と高いパワーを誇り、使いこなせれば相手を寄せ付けずに倒す事もできる。
なお、鈍重な動きとは裏腹に重量そのものは中量級程度。
原作でも「英雄の遺産」という重量武器を4つも持たせていると「重さ」のシステム的に凄まじく鈍重になってしまうので、ある意味原作再現である。
攻撃ワザとしてつかう英雄の遺産は、レバーを入力した方向によって異なるのが特徴
そのため、通常ワザだろうとどの武器を使うのかを把握しつつよく考えて振らないとせっかくのリーチも宝の持ち腐れに。
機動力は低いものの中距離戦における制圧力の高さから、キャラランク的には中の上~上の下程度はあるとされる。

全くの余談だが『ゼノブレイド2』のメインキャラクターには「青髪」「火属性」「セクシーな巨乳のお姉さん」「蛇腹剣の使い手」「CV伊藤静」という、
偶然ではあるが何かとベレスと共通点の多いカグツチというキャラがおり、一部ユーザーからたまにその類似性をネタにされたりしていたのだが、
DLCで実装された「アルストの雲海」の背景キャラとしてランダムで登場するため、妙な形で競演を果たしている。
なお、残念ながらカグツチはバッチリ衣装修正を喰らっており「原作衣装のままCERO-A突破」という点においては共通しなかった。

+ 各種必殺ワザ(以降「B」と表記)
各種必殺ワザ(以降「B」と表記)
  • 魔弓 フェイルノート(NB)
弓を引き絞り一定時間で矢を射る。長押しすると高威力で長射程の光線を放つ。
ボタン押しっぱなしで溜まる段階式の溜めワザで、一定時間長押しすると更に弓を引き絞る動作に入り、放つ矢が光線状になる。
1段階目の溜め動作中はジャンプ、シールド、その場・空中回避でキャンセル、それに加えて一度だけ振り向きも出来るが、
2段階目の溜め動作中はそれらが出来なくなってしまい、大きな隙が出来てしまう。
その分、飛び道具ワザとしては破格の性能となっており、
放った瞬間に通常のステージならほぼ無限に等しい射程距離から30%近いダメージ量を叩き出せれる。
…まあ如何せん溜めるモーションが長すぎてバレバレなので、溜め無しで立ち回るのが基本となる。
溜めてない状態の矢も決して低威力とは言えないので

  • 魔剣 天帝の剣(上B)
剣を伸ばし捕らえた相手を踏んでジャンプする。崖に当てるとぶら下がって復帰できる。
所謂ワイヤー復帰ワザなのだが、このワザは特に異質な性質を持っている。
相手を引っ掛けた場合、剣を戻しながら相手に接近し相手を踏み台にジャンプしながらダメージを与えるのだが、
この時、相手が空中にいる且つダメージが50%以上蓄積していると、何とメテオ判定になる。
つまり復帰中の相手にこのワザを上手く引っ掛ければ、そのまま相手を場外に叩き落す事が出来る。
ちなみに本来のこのキャラはカベジャンプは出来ないが、このワザを利用すれば疑似的カベジャンプで復帰もできる。

  • 魔斧 アイムール(下B)
斧を構えて力をため思いきり振り下ろす。
ガノンドロフの魔人拳並みの隙の大きさ(それでも発生だけならこちらの方が上)を持っている代わりに、
振り下ろす直前にヘビーアーマー、ジャストミートで確実にガードブレイク、
更にファルコンパンチと魔人拳同様、溜め動作中にスティックの入力で一度だけ振り向く事が可能
(もちろんその際には威力が更に増す)。
なお、振り下ろす瞬間には上方向にも攻撃判定が付くため、戦場などのすり抜け床で安置してると痛い目を見る事になる。
地味に床に叩き付けた際の衝撃波にも低威力ながら攻撃判定が付いており、
足場の端で出した時は衝撃波は発生しないが、その時は地面より下まで振り下ろせるので、咄嗟の崖復帰阻止に使えたりする。

  • 魔槍 アラドヴァル(横B)
槍で弧を描くように前方を広く斬り上げる。はじき入力で出すと前進しながら斬り上げる。
非常に長いリーチを持ち、上下の範囲も広く、対空や復帰阻止にすら活躍する汎用性が高い優秀な主力技。
はじき入力で出した場合、大体終点の3分の1程度まで届く超リーチになる。
ただし(フェイルノートとアイムールよりは全然マシとはいえ)隙の大きさもあるので、
基本的にガードされれば逆に手痛い反撃を受ける事になる。

「意思を合わせよ!」

剣を伸ばして前方の広範囲を攻撃し、相手に当たるとソティスの力を宿して荒れ狂う天帝の剣で渾身の一撃を放つ、
同じくFE出身且つ前作のDLCだったカムイと同じビジュアル攻撃。


MUGENにおけるFE風花雪月主人公

OHMSBY氏による女性主人公が公開されている。
MUGEN1.1専用だが、別途公開されているパッチでMUGEN1.0でも使用可能。
モデルやモーションは『スマブラSP』に基づいたものとなっているため神器による攻撃が中心。
氏恒例のアーク格ゲーのシステムを採用しており、チェーンコンボや空中ダッシュなどを備えているので、
『スマブラ』版よりもスピーディな印象を与える。
AI強上位程度の強さのものがデフォルトで搭載済み。
紹介動画(公開サイトへのリンク有り)

出場大会

  • 「[大会] [ファイアーエムブレム風花雪月主人公]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
「フォドラ十傑」と呼ばれる者達が紋章と共に女神から授かったと言われる武具の総称。
通常の武具より遥かに強力なものの、総じて骨のような不気味な外観をしており、時折蠢く。
使用するには紋章を持っている事が必要不可欠で、尚且つ真の力を引き出せるのは対応する紋章を所持しているもののみ。
そして紋章を所持していないものが無理矢理使用した場合は……と、「英雄の遺産」という名称に反してやたらきな臭い描写が目立つ。

*2
鬱展開を苦手とするプレイヤーから『if』と同じ大団円を要望する声も不特定多数いた。
……が、公式からは、
「大団円ルートがあるとどうしてもそのルートが正解になってしまう。
 本作ではどのルートもこのゲームの正史であって、遊んでくれた方それぞれに自分の正史を決めてほしかった。
 それぞれに譲れない想いがある3人の級長がいて、誰につくかによって世界の見えかたが違ってくる。
 そういった現実にもあるようなジレンマみたいなものをテーマとして描きたかった」
との事で、企画当初から大団円を入れるつもりはなかったという全く救いの無い回答。
シリーズ前作の『if』は、真EDはDLCやストーリーの作中描写不足といった諸々の批判が多く、それなりに騒がれた作品であり、
横田弦紀ディレクターは逆に肯定していたが、「『if』と同じ事をやってもな…」という考えが強かったのだとか。


最終更新:2024年07月05日 18:24