空の大怪獣ラドン(1956年)
阿蘇の炭鉱内部の巨大な卵から孵化し、同じく炭鉱内で復活した古代トンボの幼虫 メガヌロンを食べて成長する。
成長後は福岡や佐世保などで暴れまわり、衝撃波と強風で街を壊滅させた。
生まれた場所である阿蘇山を巣窟として付近を訪れる観光客などを餌にし、生活していたが、
自衛隊のミサイル攻撃の集中砲火を受けて追い詰められ、
最後は集中砲火が原因の、阿蘇山の噴火に巻き込まれて噴火口へと消えていった。
この映画には2匹のラドンが出現しており、片方のラドンの危機を助けにもう一匹が出現したようにとれる形で出現した。
この2匹は設定上はつがいとなっており、劇中で直接の描写は無いものの、日本で初めてのつがいで登場した怪獣でもある。
映画そのものも、戦闘機とラドンの空中戦や西海橋の破壊シーン、福岡市を強風で壊滅させるラドンなどの特撮の凄まじい迫力、
火口に消えていくラドンのもがきが物悲しいラストシーンなどにより評価が高く、後の怪獣特撮に大きな影響を与えた。
ちなみにこのラストシーン、元々はラドンは死ぬ事は無かったのだが、
ラドンの飛び人形を吊っていたピアノ線が熱に耐えられず切れてしまったという事故を、
円谷英二が操演スタッフのアドリブと勘違いして撮影が続けられた結果生まれたものである。
三大怪獣 地球最大の決戦(1964年)
初の『ゴジラ』シリーズへの登場。やはり阿蘇山から出現した。
1956年に出現した初代と同一個体という説もあるが、外見の違いなどから別の個体と扱われる事も多く、
怪獣図鑑によっては1964年以降のラドンを2代目と表記している事もある
(1956年に出現したラドンはつがいという設定であったため、この2体の子供ではないかとする説も存在する)。
好戦的な性格で戦闘能力は高く、当時のゴジラ相手に互角の戦いを繰り広げた。
ゴジラの放射熱線(といっても、前作でのモスラ戦のダメージにより白熱光に劣化していたが)も効果は薄く、
地上のゴジラの攻撃を飛んで回避、クチバシでの攻撃や強風でゴジラを攻撃、
さらには2万トンのゴジラを足で掴んで飛び上がり、地面に落して叩き付けるという荒技を披露した。
このように最初はゴジラと仲が悪く、モスラに共にキングギドラと戦おうと呼びかけられてもゴジラと共に拒否したが、
単身キングギドラに立ち向かい苦戦するモスラを見て、最終的には協力してキングギドラに立ち向かった。
ちなみに上記のモスラの呼びかけや、それに対するゴジラやラドンの返答は小美人が翻訳して人類にも伝えているのだが、
小美人の若干砕けたような翻訳のせいかコミカルさを感じさせるシーンとなっており、
特にラドンが同調する部分のカット(字幕入り)は汎用性の高さからゴジラファンが主にネタとしてSNSで使用する事も多い
(例えるなら
これ
に近いか)。
……そして2019年、ある事を切っ掛けにこのフレーズは広く知れ渡る事となる(後述)。
怪獣大戦争(1965年)
X星人により、キングギドラ撃退のためゴジラ共々地球から連れ出される
(ちなみにX星人は、ラドンの事を「怪物02」と呼んでいる)。
しかしこれはX星人の策で、3大怪獣を侵略のために利用する事が真の狙いであり、操られてゴジラやギドラと共に破壊活動を行う。
人類の活躍でコントロールが切れた後はゴジラと協力し、ギドラと戦った。
本作の最後ではゴジラを持ち上げて飛行し、相手に体当たりするという合体攻撃を披露し、キングギドラを再び敗走させている。
本作と前作でラドンは「ゴジラと互角の強さを持つ頼もしいゴジラの仲間」という地位を確立し、当時の子供に人気となった。
後にラドンの着ぐるみが使えなくなった後も、このポジションは アンギラスに受け継がれる事になる。
怪獣総進撃(1968年)
小笠原諸島の怪獣ランドでゴジラや他の怪獣と共に暮らしており、エサとして イルカを捕えている姿も描かれている。 *1
本作の侵略者であるキラアク星人のコントロールでモスクワを襲撃するが、
終盤では地球怪獣連合軍の一員としてキラアクが呼び寄せたキングギドラやファイヤードラゴン(キラアクの円盤)と戦う活躍をした。
その他には1972年の『地球攻撃命令ゴジラ対 ガイガン』において、 バランと共に登場も検討されていたが、
アンギラスに変更され、この時はバラン共々出演できなかった。
ゴジラVSメカゴジラ(1993年)
『平成ゴジラシリーズ』では初めての登場。
ベーリング海のアドノア島で卵から孵化したプテラノドンが、放射性物質の影響で怪獣化したもの。
頭の角が2本だった昭和版と違い、こちらは角が3本に増えている。
本作ではゴジラの怪獣化前の恐竜ゴジラザウルスは、
プテラノドンの巣に自身の卵を産み付けて自分の子供を育てさせていたという設定になっており、
ラドンの卵の横にはゴジラザウルスの卵が産み付けられていた。
本作のラドンはこの卵とそこから孵化したベビーゴジラの事を同族だと思っており、
ベビーゴジラを守る為にゴジラやメカゴジラと戦った。
同族であるベビーゴジラに引き寄せられて出現したゴジラをソニックブームとクチバシで苦しめたが放射熱線に敗北。
しかしゴジラの放射熱線のエネルギーによって強化されて復活。赤い体のファイヤーラドンとして甦った。
新たに口からゴジラの放射熱線と同等の威力の赤い熱線「ウラニウム熱線」が吐けるようになり、
ベビーゴジラのいる幕張ベイエリアに向かうが、光線の反射能力を持つ メカゴジラに敗北した。
その後ゴジラまでもがスーパーメカゴジラに倒されるが、
ベビーゴジラを守る事を優先したラドンは自身のエネルギーをゴジラに与えて風化。
復活したゴジラはラドンのエネルギーを合わせて放つ「ウラニウム放射熱線」(バーンスパイラル熱線、赤色熱線など書籍により表記に違いあり)
でスーパーメカゴジラを粉砕した。
ゴジラと渡り合った昭和期ほどの強さは無かったが、こちらのラドンもベビーゴジラを守ろうとした生き様と最期から人気がある。
ゴジラ FINAL WARS(2004年)
『ミレニアムシリーズ』では最終作の本作に登場。
角が2本に戻った他、歴代のラドンの中では人型に近いプロポーションをしており、 烏天狗やガルーダを彷彿とさせる姿をしている。
X星人に操られてニューヨークを襲撃し、 空中戦艦「ランブリング」と戦い、これを撃墜せしめた。
上の画像の満月をバックにビル上に立つシーンは美しいと評判。
その後富士山麓でアンギラス、 キングシーサーと共にゴジラと戦い、アンギラスの暴龍怪球烈弾との連携で、
劇中登場した怪獣では初めてゴジラに一撃入れるが、直後にゴジラの尻尾に跳ね飛ばされたアンギラスが直撃して墜落した。
脚本段階では、その後他の二匹諸共放射熱線で焼き尽くされる流れになっていたが、
「流石にかわいそう」との事で、本編では三匹纏めてのされてグロッキーになった所でゴジラの勝利となっている。
この他にも、この映画ではこれまでに一度でもゴジラとの共闘経験のある怪獣は、
映画開始直後に轟天号に砕かれたマンダを除いて明確な死亡描写が一切無かったりする
(モスラはEDロールでインファント島に帰還、 クモンガは空の彼方に投げ飛ばされて以降出番無し)。
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年)
2017年の『 キングコング 髑髏島の巨神』のポストクレジットシーンにて
ゴジラやモスラ、キングギドラと共に壁画が映し出され、存在が示唆されていた。
その2年後となる本作、ついに15年ぶりに映画に登場し、ハリウッドデビューを果たす。
身長は46.9mと歴代のラドンの中では最小なのだが、体重は3万9043t、翼開長は265.4mと歴代ラドンの中では最重且つ最大の両翼を持つ。
本作の怪獣達はCGで表現されているため、このような人間離れしたデザインでも活き活きと暴れ回っている。
血液が溶岩に近い成分かつ溶岩以上の高温であり、翼から放つ熱波及び高熱の体温によって発生する上昇気流によって、
その巨体でも最新鋭の戦闘機を凌駕する飛行能力を発揮、ただ飛行するだけで地上にも甚大な被害を齎す。
この他、雲に隠れて奇襲する等それなりに知能もある模様。
劇中では墜落する戦闘機からベイルアウトしたパイロットを戦闘中にわざわざ直接捕食する凶暴さも見せている。
古代でも暴れ回ったらしく、現地では「炎の悪魔」として恐れられていたようである。
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劇中での活躍 |
メキシコの島「イスラ・デ・マーラ」の火山の中で眠っていた所、過激な環境テロリスト集団「マザーアース」によって目覚めさせられる。
怪獣達を監視・管理している組織モナークの戦闘機部隊をその高い飛行能力で手玉にとって次々に撃墜するも、
モナークの策にハマり、先に目覚めていたギドラと戦闘になる。さしものラドンもギドラ相手には敵わず、敗北するものの、
ゴジラがギドラを強襲したため、その場を逃走。
が、(ゴジラとギドラの共倒れを狙った)人類のオキシジェンデストロイヤーによってゴジラが倒れ、
ギドラが怪獣達の新たなる王「キングギドラ」となるや否や、
ラドンはその新たな王キングギドラに服従の姿勢を示し、その配下として他の怪獣達と共に地球侵略の尖兵となる。
最終決戦においてはゴジラ側についたモスラと戦い、その高熱の体温で燐紛攻撃を焼き尽くして無効化、
モスラを追い詰めるも、予想外の攻撃によって身体を貫かれる大ダメージを受け戦闘不能となった。
モスラの尊い犠牲を経てギドラを下し、王に返り咲いたゴジラの元に怪獣達が集う。
その中にちゃっかり生き残ってゴジラに平伏するラドンの姿があった。
流石のゴジラもこの手羽先返し手の平返しっぷりに怒ったらしく、牙を剥いて威嚇。
怒られたラドンは土下座するかのように這い蹲るしかなかった……。
……という 劇中きってのネタキャラ枠として、
「ゴジラ界のスタースクリーム」「怪獣界のぶりぶりざえもん」「
ゴマすりクソバード(二代目)
」等の愛称で呼ばれる事に。
特に「ゴマすりクソバード」はKOMを通じて一般層にも広がった結果、
元ネタ
がある事を知らない人も多い模様。
ただし、「クソ」の文字の通り、蔑称と受け取られかねないので、使う際は空気を読もう。
補足しておくと、他の怪獣達(前作でゴジラを苦戦させたムートーの同種を含む)は ギドラの一声で従ったのに対し、
ラドンは 直接対決し敗北した上で従っている。
また、市街地の大破壊やモナークの戦闘機部隊との空中戦やモスラとの対決など見せ場も多く、ある意味でとても優遇されている怪獣ではある。
……尤も、人類が創った怪獣とのコミュケーションシステム・オルカを用いてギドラの支配から怪獣達を一旦解放した時でも、
ギドラに従ってゴジラやモスラに攻撃を仕掛けたりギドラとゴジラの共倒れを狙っていたとも示唆されている事から、
スタースクリームやゴマすりクソバード呼ばわりも案外間違ってはいない。
ゴジラ、キングギドラ、モスラ、ラドンという事前の登場予告から、『三大怪獣 地球最大の決戦』のように、
「キングギドラをゴジラ・モスラ・ラドンが迎え撃つのでは」という予想も影響していたと思われる。
尤もこの映画は、
- ゴジラと長年の夫婦で命と引き換えにゴジラをバーニング化させるモスラ
- オキシジェンデストロイヤ―のダメージからゴジラを回復させるため手動で核兵器を起爆させる「芹沢博士」
など、過去作のオマージュながら予想できない描写のオンパレードなので、ラドンだけネタ扱いも不憫な気はするが。
また、『三大怪獣~』における上記の「ラドンもそうだそうだと言っています」の場面の、
いかにも尻馬に乗った感が『KOM』におけるラドンの行動とマッチしていたのか、本作を機にゴジラファン以外の層にも知れ渡る事となっている
(実際は先述した通りゴジラと互角に戦っている上、人間に対する考えが一致しておりゴジラが先にそれを述べただけに過ぎず、
状況が『KOM』とは大きく異なっている)。
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ちなみに、本作の監督であるマイケル・ドハティ氏の(ゴジラ以外では)最もお気に入りの怪獣であるらしい
(「ベイルアウト中に捕食されたパイロット」を演じたのもドハティ監督本人である)。
前述の通りギドラとの戦いの後でモスラと互角に戦い、
体を貫かれて倒れた上にバーニングゴジラの攻撃の余波を食らった可能性の高い位置にいて平然と挨拶に来る描写から、
打たれ強さはかなりのものである。
ゴジラS.P<シンギュラポイント>(2021年)
本作では物語の最初に登場した怪獣で、体長5mほど。姿はこれまでのどのシリーズよりも翼竜ケツァルコアトルスに近い。
最初の個体は逃尾街の七夕祭りの最中に突如として飛来、その場に居合わせた ジェットジャガーら主人公達と交戦するも、突然死する。
当初は翼竜の生き残りかと思われたが、調査の結果、
地球上の生物の多くが共通して持つホメオボックス遺伝子を持たず、胃に相当する器官が見当たらない等、
既存の生物とは隔絶した「怪獣」だと判明。
同時に放射性物質ラドンが細胞内から検出された事からいつの間にか「ラドン」が名前として定着した。
鳴き声には高周波の電磁波を含み、自身も 特定の波長の電磁波に反応するため「電波怪獣ラドン」とも。
逃尾街は ラドンを観光資源として活用し始め、ラドンを模したマスコットやラ丼なるメニューを提供していたが、
より地上に適応した小型のラドンが出現し始め、更には海から「赤い雲に見える」程の大群が出現、街を襲撃する。
街を襲撃した大群も地上への環境適応が不完全であり、突然死したが、
物語が進むにつれて活動時間が長くなり、終盤になる頃には完全に適応したラドンの大群が世界各地を襲撃するようになっていた。
また、一部の個体は巨大化し、 ゴジラ・テレストリスを襲撃するも、ゴジラが発した光の輪によって撃墜された。
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