オーディン

息子ソーよりも強い北欧神話の王

"I now take from you your power!
   In the name of my father and his father before,
   I, Odin Allfather, cast you out!"

(お前の力を取り上げる!父と祖父の名において、我オーディンはお前を追放する!)

+ 日本語吹替声優
中村浩太郎
『アベンジャーズ:地球最強のヒーロー』
浦山迅
『マーベル・シネマティック・ユニバース』『ザ・シンプソンズ ロキとバートたちの大乱闘』
麦人
『勇者ソー ~アスガルドの伝説~』(ディズニーXD版)
乃村健次
『勇者ソー ~アスガルドの伝説~』(キングレコード版)
佐々木敏
『マーベル フューチャー・アベンジャーズ』

マーベルコミックの登場キャラクター。『テイルズオブシリーズ』のキャラはオーディーンを参照。
初出は1962年の『Journey into Mystery #86』。

フルネームはオーディン・ボルソン。ボルの息子であり、父の名を姓とする慣習から「ボルの子オーディン」という意味。身長206cm。体重295kg。
神々の国アスガードの王にしてソーの実父。ロキの養父でもある。
実際の北欧神話を下地にはしているが、色々と異なる設定もあり(原典のロキはオーディンの兄弟である)、
原典とマーベル版の違いを説明するために「マーベル版は一度ラグナロクで滅んだ後に再生した次世代の神々」という事になっている。

+ 北欧神話におけるオーディン。長いので格納
北欧神話に登場する主神にして戦争、知識の
投げれば必ず命中し、持ち主の手元に戻ってくる神槍「グングニル」の持ち主。
魔術の秘奥を得るため代償に片目を捧げ、ルーンの知識を得るため自ら首を吊り心臓をグングニルで貫いた状態で九日九晩その身を晒すなど、
知識を得るためならば手段を択ばず妥協もしないその貪欲な姿勢を伝える逸話には事欠かない。
自ら首を吊った逸話からタロットカードのNo.12「吊られた男」はオーディンをモチーフにしているとか。

神々の王、魔術の神として様々なファンタジー文学やゲーム作品に登場しており、日本での知名度も高い。
特に(何故か)斬鉄剣を得意とする*1『ファイナルファンタジー』シリーズや、世界中の神々が出演する『女神転生』シリーズで有名だろうか。
タイトルに冠しているものだと『オーディンスフィア』がある。

漫画・アニメ・ゲームなどでは神々の国アスガードごとアメリカに移住してくるとか(これが本項目の設定。ただしオーディンが死んでいる時期)、
ギリシャ神話が下地の世界観なのに何故か敵勢力として登場してくるとか、
(ただし勢力としては悪ではない。ポセイドン(ギリシャの神)に利用された弱小勢力扱いなのは気にするな!)、
幼女化して世界を何度も消しては創造を繰り返すとか、
ラスボスとして大仰に登場したが、話に収拾がつかなくなったので僅か9話で倒され、復活するも番組が打ち切りになってしまうとか、
自国の勝利と安寧のために人間界に混乱を起こさせて、記憶を封印させた部下に戦死した勇者の魂を集めさせるとか、
ラグナロクでスルトに大地を焼き尽くされ、女王とワルキューレ達が手を尽くしているものの、
わずかに生き残った人類も長く生きられないなど絶望的な未来を迎えた異聞帯(パラレルワールド)が登場するなど、
何故か破天荒な展開をやらかす事がある。宗教団体がうるさい神々と違って使いやすいのだろうか
尤も、原典からしてラグナロク(敵対する巨人族(巨神族)との最終戦争)を乗り越える為ならばどんな犠牲も汚い手も厭わないという性格なので、
あんまり元イメージから離れてないのがなんともはや。そもそも勇者の魂を集めるために人間界で戦乱を起こすのは原典でもやっているし。

また、変身の魔術を使っている神話やいくつもの呼び名が残っているため、美少女化しててもあまり違和感は無い気もする
(呼び名や姿がいくつもあるのは各地の土着信仰の神々を統一した結果でもある)。
実際、彼の義兄弟雌馬に化けて仔馬を産んだ産ませたではない)事さえあり、
その仔馬こそがオーディンの愛馬である八本足の馬・スレイプニルである。ある意味甥っ子だけど

(前述のオーディンによるマッチポンプも含め)死んだ英雄達の魂は戦乙女達により集められて、ラグナロクの為の戦力・エインヘルヤルとなる。
エインヘルヤルになれば、演習としてエインヘルヤル同士で毎日本気で殺し合うも夕方には生き返り、
夜は美人揃いの戦乙女達に酌をさせての宴会と言う、(戦闘狂にとっての)楽園であり、
当時の北欧の戦士にとってエインヘルヤルに選ばれる事は名誉であった。選ばれなかったのは雑魚と言う事になるし。
よって、病気や老衰で死んだ者は「藁の上の死」という不名誉であり、冥府ヘルヘイム(普通の人が逝く場所なので名前の印象に反して地獄と言うわけではない)に逝く。
この辺りは信仰されていた当時は戦乱が非常に多かったらしい事も原因であろう
(オーディンが主神となる前は、法や豊穣、平和を司る神が主神であったとする説もある)。
エインヘルヤルは日本では「エインフェリア」または「アインフェリア」とも発音され、
某アイドル育成ゲームでもヴァルキリー関係の曲が発表された際に後者がユニット名として使われている。
ロボットアニメでは死者達の魂を借りて戦う機動兵器の名前としても採用されている。

+ 鴉神
隻眼と槍の他にオーディンを象徴するものとして、
世界を飛び回り見たものをオーディンの肩で囁く一対のワタリガラス「フギン(思考)」と「ムニン(記憶)」、
神故に食べる必要が無いのでワインだけを飲み続けるオーディンの足元に侍り、
毎夜の宴会で饗される食物を代わりに喰らう一対の狼「ゲリ」と「フレキ」(いずれも「貪欲なもの」を意味する)がいる。
オーディンの元に戦死者を選別して運ぶ戦乙女達も鳥の化身であり、「ワルキューレの馬」とは狼を意味する言葉であるなど、
オーディンという神様にはとかく鴉と狼と戦死者が付き纏う。

要は、戦い終わった戦場で戦死者達の屍に群がる鴉と狼を司る神様なのである。

それを主神と崇めるバイキング達がどれだけ『シグルイ』(死狂い)なのかという証左でもあるが…うへぇ。
こうしてみると、オーディンの九日間連続首吊りタイムも、似たような刑死体に鴉が集るのを見て着想したのではと連想してしまう。
もっとも、鴉や狼を知恵ある者や神の御使いとして扱う宗教や伝承自体は、世界的に割と普遍的なものではあり、
日本神話における神鳥も、3本脚の鴉・八咫烏である(サッカー日本代表のシンボルマークもこれ)。
北欧のメタルバンド「ソナタアークティカ」は狼、鴉、オーディンらしき老人をよくCDジャケット絵に使っている。
また、一対のカラスを頭の両側に乗せた「ウエポンダンサー」という姿で描かれることもあるが、
バイキングの兜に角が生えているのはこれが由来というわけではない(というか実際のバイキングの兜に角は生えていない)。
参考動画(英語)

結局、オーディンはフェンリルに噛み殺され、ほとんどの神も巨人もラグナロクで死に、
生き残ったあるいは蘇生した次世代の神々、そしてリーヴとリーヴスラシルを新たな祖とした人類の手によって世界は新しい時代を迎える事となる。
未来に対する希望を残す物語ではあるものの、たとえ神やそれに選ばれた英雄達であっても運命という大きな流れを変える事はできない、
というゲルマン人達のショッギョ・ムッジョ無常観が見て取れる。

普段は神々の国アスガードを統治しているため現役ヒーローとして出てくる事は無く(紀元前100万年前に現役ヒーローだったというストーリーがある)、
もっぱら「ソーが困ったので助けを求めに行く」か「アスガードで問題が起きたのでソーを召喚する」という形での登場になる。
性質は「何かと傲慢なソーに対して温厚篤実で思慮深い老王」というキャラクター性で登場する事が多いが、
逆に「ソーの父親であり北欧神らしく、感情的で傲慢、人間に対しては無慈悲・無理解」という場合もある。
例として、とある事件でソーがムジョルニアを握れなくなり、ジェーン・フォスターという人間の女性がムジョルニアを継いで、
3代目のソーになった時には彼女を偽物と断じて激怒し、後述するデストロイヤーを送り込んでいる。
このあたりは物語の筆者が毎回変わるアメコミならではの特徴である。

使用する力(魔力)はそのままオーディン・フォースと呼ばれ、とりあえずなんでもできる。
攻撃、防御、回復、遠視、真実探求、瞬間移動用のゲートを開ける、などなどその場の都合でありとあらゆる事が可能。
出力の限界とか用途の制限と言ったものは作中で特に明示されず、欠点としては定期的に魔力回復のため睡眠が必要で、その間は完全に無防備となる事ぐらい。

その力はほぼ全知全能と言って良く、直接対決をさせればシルバーサーファーが一撃でのされ、
あのサノスでさえも「勝てはしないが、なんとか踏みとどまれた」程度でファンから賞賛されるレベル。
(キリスト教やイスラム教の神はアメコミに登場させる事が出来ないため)地球に存在する神話の神々の中ではゼウスと並んで最強の存在であり、
(ゼウスはあまりコミックに登場しないので)準レギュラーのキャラクターとしては、
ヒーローの味方陣営のキャラクターとしては地球最強の存在である。アスガードを地球に含んで良いのか?という問題はあるが

しかし地球の神の力では宇宙の神々の力には流石に及ばないらしく、
巨大種族「セレスティアルズ」の地球侵攻に対して巨大なアーマー「デストロイヤー」を建造して立ち向かうものの惨敗を喫した事がある。
『インフィニティ・ガントレット』事件では地球に存在する様々な神々をアスガードに呼び集めて女神転生みたいな軍団を結成したものの、
地球との次元を連結する橋を破壊されてしまったため戦えなくなってしまった。

武器は神話の通りグングニルを所持している他、
ムジョルニアに魔力を与えたのはオーディンなので、ムジョルニアを投げつけられても「本来の主の手に戻れ」と命じるだけで楽々キャッチ。
さらには「鞘から抜くとラグナロクが発動するので絶対に抜くな」という物騒極まる神剣オーディンソードを秘蔵している。
見ての通り、通常サイズの人間にはとても扱うことができない巨大な剣で、前述の巨大なアーマー「デストロイヤー」に装備させるための武器だった
(余談だがこのオーディンソード、CRPGウィザードリィに登場するムラサマブレード(ムラマサブレード)と並ぶ最強武器の元ネタという可能性がある。
 名称がOdin's SwordとかSword of Odinとかではなく、Odinswordの一語で表されているところが特徴的な共通点である)。

……が、後に人間サイズに縮小。別名ラグナロクと称する魔剣、ってそれは日本のゲームからネタを拝借していないかマーベル。

また、かっこいい言葉だからと「ラグナロク」を濫発した結果、マーベルユニバースでは
「アスガードの神々が幾度も迎える破滅の戦争(そして後に再生する)」という原典の意味の他、
「オーディンソードの異名」と、「Mr.ファンタスティックが作っちゃったソーのクローン(本物に倒された後ヴィラン化する)」の
3つの物事を指す言葉になってしまっている。

『MCU』では『マイティ・ソー』から登場。演じたのは名優アンソニー・ホプキンス氏。
ソーとロキといういずれ劣らぬ問題児達を息子として厳格ながら分け隔てなく愛し、ロキには実際に二度もひどい目に遭わされながらも、
最期は二人に看取られ、彼らへの変わらぬ愛情を告げながら天寿を全うし光となって消えた。


MUGENにおけるオーディン

+ Skhsato123氏 & RobsonMSH氏製作
  • Skhsato123氏 & RobsonMSH氏製作
ドット絵のベースはアビスと思われる。
現在は海外サイト「The Mugen Multiverse」にて代理公開されている。
巨大な黄金の鎧を纏い、神槍グングニルを携えた姿で神々の王たる威厳は十分。アメコミではソーより背が低かったような

6ボタン操作で動くが、他のマーベルキャラと違って『MVC』仕様ではなく、チェーンコンボやエリアルレイヴは無い。
まあ元々軽快に動き回るタイプの神様じゃ無いしね。
必殺技は口から炎を吐いたり、レッドドラゴン・ギルディスドラゴンを召喚して炎を吐かせたりと炎系攻撃を多用する。
やればできるんだろうけどそういう神様だったかな……
しかし真に恐るべきは通常技であり、しゃがみ中(強)Pや立ち強Kがヒットすると同じ技でキャンセル出来てしまう上、
自身のヒットバックが無いという素敵仕様なので、立ち強K連発だけで7~8割吹っ飛ぶ狂った火力を持つ。
だが、キャラクターの押し合いに使われる存在判定が本体の中央では無く後ろ側の足下にあるため、密着するとやけに体にめり込んだ状態になり、
この状態では立ち中(強)Kが出せなくなるという不具合がある。
他にも2Pのカラーパレットが正常に機能していない等、残念ながらキャラの完成度は高くない。
AIは未搭載…というか一応起動コマンドは用意されているのだが、起動した後の動作が設定されていない。
紹介動画

この他に、yolomate氏によりカラーパレットの不具合修正&新カラー追加が施されたバージョンも存在する。
ただしこちらは「The Mugen Multiverse」のキャラ公開所場所ではなく、RobsonMSH氏のフォーラムにて公開されているので注意。

+ Skhsato123氏製作
  • Skhsato123氏製作
上記と同じくSkhsato123氏によるもので、こちらのドットのベースは獅子王と思われる。
現在は海外サイト「The Mugen Multiverse」にて代理公開されている
なお、Readmeなどのテキストファイルが付属していないので、各種コマンドはcmdファイルを開いて確認されたし。

上記のものよりも小柄で、他の格ゲーキャラと並べても標準的なサイズに収まっている。
性能は上記のものと近く、変化している所もあるが同じ技もある。
恐怖の強K連打は中Kに変わっているものの健在で、地面から火柱を立てる技なのだがこれの攻撃判定が外見よりも遥かに左右に広い。
あと攻撃時に使われているボイスがやたら長い台詞が多く、連打していると非常にやかましい。
AIは搭載されていない。

出場大会

  • 「[大会] [オーディン]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
初出となる『FF3』当時、最初は元ネタ通り槍でグングニルの予定だったのだが、
ファイナルファンタジーシリーズのコンセプトデザインを手掛けていた天野喜孝画伯が剣を持った姿で描いてしまい、
しかもそれがそのまま採用されたのが発端となっている。
既に一撃死の能力を与える事は決まっていたため、「剣で一撃死なら斬鉄剣だろ」の一言で、ここに斬鉄剣を振り回すオーディンが誕生した。
なお、後の『FF5』において斬鉄剣が不発に終わった時の次弾としてグングニルも使用するようになった。

余談になるが、オーディンは自らの財宝を受け継ぐ資格を持つ者を選定する剣「グラム」の元々の持ち主であるし、
一説によると抜くと光を放つ剣を帯びているという話もあるので、剣を持っていてもそれはそれで間違いではない。
魔術の知識を得た代償の隻眼、杖代わりに常に携えたグングニルなどのトレードマークがまるで無い事に「あ…?あ…?」となるのは確かではあるが…。


最終更新:2025年04月21日 10:43