海魔女のソレント


「聞きたまえ、死のメロディーを!」
 デッドエンドシンフォニー!」

「フッ、無駄だ。耳をふさいでもこの笛の音はきみの頭脳に直接届くのだ。
 そしてきみを殺す!」

+ 担当声優
塩屋翼
作品全般
小林裕介
『ライジングコスモ』

『週刊少年ジャンプ』で連載されていた車田正美氏の漫画『聖闘士星矢(セイントセイヤ) 海皇ポセイドン編』の登場人物。
「海魔女」は「セイレーン」と読む。
名前の由来はイタリア民謡の楽曲「帰れソレントへ」から。同曲の歌詞には「惑わしのセイレーン」というフレーズも登場する。
無論、ロレントソイレントは関係無い。
女顔の美形で、称号となっている海の怪物の名は「魔女なのに本人は男性だが、本作では称号と本人の性別が異なるのは良くある事である*1


原作での活躍

海皇ポセイドン*2配下である海闘士(マリーナ)中でも、最強格である七人の海将軍(ジェネラル)の内の一人で、南大西洋の柱を守護する16歳の青年。
当然、その実力はアテナ配下の聖闘士の中でも最強格である黄金聖闘士(ゴールドセイント)に負けず劣らず。
歌声で旅人を惑わして死に至らしめたというギリシャ神話の海の怪物「セイレーン」同様、自らも横笛の音色で相手の小宇宙(コスモ)を奪う技を使う。
その音色「デッド・エンド・シンフォニー」は小宇宙を通じて脳に直接響くため、鼓膜を破っても防ぐことはできない。
また笛の音は黄金聖闘士の血で強化された「最も黄金聖衣(ゴールドクロス)に近い青銅聖衣(ブロンズクロス)」をも砕く程の物理的な破壊力を持つ
その最高潮である「デッド・エンド・クライマックス」は、相手の体を宇宙の塵としてしまう。

主に笛の音で戦うため物理攻撃はほとんど見せた事は無いが、肉弾戦の際には笛を打撃武器としてネビュラチェーンを弾き返したり、
意識を失いかけた瞬にとどめを刺すために笛で殴りつけた事がある。
おそらく鱗衣(スケイル)と同じくオリハルコン製の笛だと思われるが、楽器を乱暴に扱うのは音楽家としてどうなんだ……
声を荒らげることは少ないが毒舌な発言も散見されるので、見た目の割に気性は激しいのかも知れない。

地上を粛清し善人だけの理想郷を築くためと信じ、海将軍第一の刺客として星矢暗殺に赴き、そこで牡牛座のアルデバランと激突。
先制の笛の音で小宇宙を奪っての断頭チョップは躱され無防備に背後を取られるも、
弱体化したアルデバランをデッド・エンド・シンフォニーの最高潮で消し去ったことは有耶無耶になるなど、*3
戦いは優勢だったが、その場に現れた女神(アテナ)こと城戸沙織の強大な小宇宙には逆らえず、海皇が鎮座する海底神殿へと案内する事になる。*4
前述の瞬との戦いに敗れたものの生き残り、そこで海皇が完全に目覚めておらず此度の侵攻が邪悪に仕組まれたものであったことを悟り、
神殿の破壊を黙認した後、双子座(ジェミニ)の弟でありながら海龍(シードラゴン)に成りすまし海皇を利用していた黒幕カノンの制裁へ向かう。
そして沙織の慈愛の心に触れた事により、地上粛清が過ちであると気付き、海皇編終了後は海皇の依り代だったジュリアン・ソロと共に贖罪の旅に出る。
後の『冥王ハーデス編』では、冥王の地上支配を妨害するために一時的に目覚めた海皇(ジュリアン)と共に登場。聖闘士達の健闘を祈った。

「地上はすべてが汚れきったわけではなかったのだ……
 たとえ一握りでも愛というものが残されている限りは……」

アニメ版オリジナルエピソードである『アスガルド編』では、終盤に(海皇の代行者としてだが)全ての黒幕として登場。
それを知った神闘士(ゴッドウォーリアー)アルファ星ドゥベのジークフリートによる自爆技の道連れにされたかに見えたが、直後のポセイドン編では無傷で登場。
星矢との闘いで瀕死だったジークフリートを瞬殺して脱出していた事が明かされた。

+ その後、ゲーム・外伝的続編への出演
上記の通り、彼は原作完結時に「敵勢力の戦士で無事に生き残ったという明確な描写がある」という極めて珍しいキャラクターとなった。*5
更には戦闘能力を失ったわけでも無く、鱗衣は水没した海底神殿にあるか、地上のどこかに保存してあると推測でき、
この世界の鎧は必要な時には鎧の方から飛んできて一瞬で装着されるものであるため、
(鱗衣がかなり破損しているとはいえ)いつでも戦線復帰が可能なのである。
魚座の黄金聖闘士を倒した技をまともに喰らってもこれで済んでいるあたりに見た目によらぬ打たれ強さが窺える。
そのため二次創作等では「新たな敵から地上を守るため聖闘士と共闘する」という展開が描かれる事もある。
ハーデス編では(僅かとは言え)海皇が聖闘士に協力しているため、ラスボスが海皇でさえなければ違和感も無い。

……と言う経緯があるので、アニメ続編『聖闘士星矢Ω』のゲーム化『アルティメットコスモ』に登場。
復活したポセイドンを守って再び地上侵略を狙う……かと思ったら、アテナに頼まれて若き聖闘士を鍛えるために協力していただけだった
ツンデレ味方枠になっちゃってませんか?一応ポセイドンはアテナからアクアドロップという報酬を受け取っている)。
この時までには海魔女の鱗衣は修復できており(聖衣のように修復士がいるわけでもないので十数年かかっての自然治癒と思われる。
 また、後述する『海皇再起』の描写を考えると、ポセイドンの血も受けているはず)、
さらに「アプスの隕石」の影響か、Ω時代の聖衣と同様にデザインが変化している。

更には、聖闘士達とハーデスの戦いの後、まだ聖闘士達が地上に戻ってきていない間に「復讐の女神ネメシス」が地上を襲撃した事に対し、
地上を他の神に奪わせまいとして完全にツンデレ味方枠になったポセイドンが復活してソレントら海将軍に出撃を命じた
『聖闘士星矢 海皇再起 RERISE OF POSEIDON』がチャンピオンREDで開始、ネメシスの手で異変が起きた際は真っ先に調査に赴いていた。
海底神殿で死んだ海将軍達や、冥界でラダマンティス諸共吹き飛んだカノンもハーデスの力で一時的に復活し、
ネメシスの配下英魂士(スピリット)との戦いが始まった。
なお、双子座の聖闘士になったはずのカノンがまた海龍(シードラゴン)の海闘士に戻ってきたが、
(流石に死んだ面々からは責められていたものの)事態が事態なので追及よりも地上防衛が優先となっている。
そもそも「ポセイドンは全て分かっていた上で(遊び半分で)カノンの悪企みに付き合ってやっただけ」という設定があり、
ポセイドンから「過ぎた事で争うでない」と赦しの言葉を授かったため海将軍達も引いてくれた。
さらにポセイドンから神の血を与えられた事によって、破損箇所が多かった海魔女の鱗衣は完全修復、
復活組がハーデスから与えられていた冥衣(サープリス)も鱗衣に変化。
アテナの血を受けて進化した神聖衣(ゴッドクロス)のように、神鱗衣(ゴッドスケイル)への進化も有り得るのでは?とファンからは期待されている。


MUGENにおける海魔女のソレント

Fido氏が製作した手描きキャラが存在。
現在は海外サイト「Extreme Team M.U.G.E.N」にて代理公開されている。
操作方法はシンプルな4ボタン方式で、横笛の音色を駆使して戦う。
持ち技の中でも彼のテーマ曲「海魔女ソレント」の後半部分を流用した超必殺技は中々の威力を誇る。


「かつては戦った身ながら……この世を暗黒にせぬためにも……
 健闘を祈るぞ、アテナの聖闘士よ……!」

出場大会

  • 「[大会] [海魔女のソレント]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
称号と性別が食い違っている例を挙げると
  • 主役陣の一人であるアンドロメダ星座(女性)の瞬(男性) 『Knights of the Zodiac』の事は忘れろ
  • 大熊座(美女が呪われて熊に)の檄(男性)
  • 鷲座(ヤリチン主神の化身)の魔鈴とユナ(共に女性)
  • 蛇使い座(男性)のシャイナ(女性)。なお、オブジェ形態(鎧を組み替えて作る星座型の「置物」形態)にもおっぱいが付いている。
    ただし昔は男性の聖闘士が務めていて、黄道十三星座説により黄金聖衣だったので形状も別物だったという後付け設定も登場している。
  • 星座も人物像も男らしい獅子座のアイオリア(男性)の名は実は女性名
  • そのものズバリ乙女座(女性)のシャカ(男性)
  • 元ネタは美少年のはずなのに背後に現れるイメージ画像は成人女性になっている水瓶座のカミュ(男性)
  • 魚座のアフロディーテ(男性)に至っては美の女神と同名である。不敬罪にならないのだろうか?
    なお魚座の元ネタはアフロディーテと息子のエロスである(なので本来の魚座は魚が2匹)
  • セイレーンと同じく女性型魔物であるハーピーのバレンタイン(男性)
  • 外伝的続編『聖闘士星矢Ω』の双子座(男性)の黄金聖闘士は女性(それ以前の歴代双子座は全員男性)
などなど……。

特に聖闘士は基本男性しかなれず、女性がなる場合は顔を隠して女を捨てる必要があるという設定はあるのだが、
女性が聖闘士になった場合の制約が定められていたり、明らかに女性用の聖衣があるという事から、数は少ないが規定事項の範疇と言える。
まぁ海闘士にそういう制限は無さげだが。

*2
字数を縮める際には「海皇(ポセイドン)」表記の場合もある。これは「冥王ハーデス」も同じ。
アテナは「アテナ」か「女神(アテナ)」表記で通っており、「女神アテナ」は無い。

*3
なおその際に、
  • 首を切断したと思っていたら回避されていて空っぽのヘルメットを抱えていた
  • 粉々に吹き飛ばしたアルデバランの遺した聖衣と小宇宙に行く手を阻まれたと思い、
    「アルデバラン、きみは死してなお星矢たちを守るのか……」と感動していたら、目の前にその大男が立っていた
……と二度に渡っておかしな事になっているが、これは「実は笛の音はソレント本人にも作用していて幻覚にかかっていたのではないか」という考察がある。
ソレント自身が「心の清らかな人間には安らぎとなって聞こえるが、悪しき者にはまさに死のメロディとなって衝撃を与える」と説明しており、
その安らぎと言うのは「アルデバランを討ち取ったという自分に都合のいい幻想」の事だったとしたら、かなり迷惑な技だと言える……。

だが、実の所一回目はともかく二回目については、
作者がアルデバランを殺した事を忘れてもう一度描いちゃったために殺したわけには行かなくなったというとんでもない事情があるため、
展開が無茶苦茶になったり、上の考察のようにソレントの技に責任が降りかかってくるのは酷いとばっちりなのである。

*4
この時、勝利の証として牡牛座の聖衣のヘルメットを海底神殿に持ち帰っているのだが、
同行してきた沙織さんや、実は生きていたアルデバランは何も言わなかったのだろうか……。
さらにこのヘルメットは以後一切登場せず海底神殿崩壊まで放置されたのだが、後のハーデス編ではアルデバランが再び着用しているので、
ポセイドン撃破後に星矢達が回収して聖域に帰ったと思われる。
あるいは改心したソレントが届けてくれたのだろうか。
想像するとなんとなく微笑ましい場面が浮かんでしまうのである……。

*5
ソレント以外の他勢力の闘士は基本的に全員死亡しており、外伝的短編のキャラである氷闘士(ブルーウォリアー)のアレクサーがいるくらい。
この氷闘士も元を辿れば北極海に封印した海皇の魂を監視する為に派遣された聖闘士の一種だったらしく、
草一本生えない北極圏に住んでいたために日の当たる地を求めて勢力拡大を志したが、白鳥座(キグナス)の氷河によってその野望は打ち砕かれた。
そんな僻地に派遣しておいて何のフォローもせずに放置してたアテナ(と言うか教皇)が悪いんじゃないのか?これ……

敵勢力ではなく「一時敵対した聖闘士」なら、主役陣の一人となった不死鳥座(フェニックス)の一輝、十二宮編の黄金聖闘士多数、
ポセイドン編では海龍(シードラゴン)の海闘士として戦ったが、改心後に双子座(ジェミニ)の黄金聖闘士(味方)となったカノンらが戦後も存命し、
アテナの聖闘士として戦いに参加している(が、カノンを含めた黄金聖闘士はハーデス編で全滅している)。
他にも一輝の元部下である暗黒聖闘士(ブラックセイント)で生存の可能性がある者もいるが、実力的に再登場は厳しいだろう。

例外として、アニメ版ではソレントと同じく海闘士の人魚姫(マーメイド)のテティスが生き残っている(原作では死亡)。

後の作品では、『Ω』の元マルス軍(アテナ軍に鞍替え)や『黄金魂』版神闘士(見習いに逆戻り)も数人が生き残っており、
特に元マルス軍であった牡牛座のハービンジャーは正式にアテナ軍の教皇の座を押し付けられるに就くと言う大出世を遂げた。
なお紛らわしいが、マルス軍(火星士(マーシアン))はアレス軍狂闘士(バーサーカー)狂闘霊(ファントム))とは全くの無関係


最終更新:2023年03月15日 14:52
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