このページでは【ゼノブレイド】のキャラクター、
クラウス
を解説する。
【MOTHER3】のキャラクターは【クラウス(MOTHER3)】を参照。
巨神界を生み出した巨神ザンザのかつての姿で、血と肉を持っていた一人の人間。
ザンザの三聖の使徒【アルヴィース】曰く純粋な探求心から「新たな宇宙を作り出す」実験をしていた科学者だという。
彼が行った相転移実験によってかつての世界は消えて、後に【シュルク】達が生まれることになる新たな世界が生まれ、記憶を失ったクラウスはその世界で巨神ザンザとなって【ホムス】?・【ハイエンター】?といった種族を生み出すこととなる。
最終決戦直後、アルヴィースによって僅かに相転移実験の様子が触れられ、ここで初めて巨神ザンザと機神メイナスの正体が明らかになる。
…のだが、このくだりが非常に短いカットでアルヴィースの実験に対する説明も非常に簡素なので「元は二人とも普通の人間だった」程度しか理解し得るものがない。
ザンザを倒すまでの時点で、本作でバラまいた伏線の回収はほぼ済んでおり、後は平和な世界を手に入れるばかりという段階だったのだが、そんな中でいきなり謎の宇宙ステーションだの宇宙を生み出す実験だの一つの宇宙が消えただのの新情報がわらわら出てきたため、「結局こいつらはなんなんだよ」という疑問を抱かせる形で本作のシナリオは幕を下ろしていたのだが…
局長 、『ゲート』の管理権限が―――
どうした!?
プロフェッサー・クラウスに専任委譲されています!
こちらからではアクセスできません!
まさかの再登場。
外見は長髪の老人だが、異空間に飛ばされた左半身部分は黒い闇に包まれた異形の姿となっている。
ホムラ/ヒカリに「とうさま」、【メツ】に「オヤジ」と呼ばれ、古くからの伝承におけるアルストの神と称えられていた男だった。
本来の彼は西暦20XX年の地球にて、突如として人類の前に現れたマルチバースジョイント「ゲート」の研究施設「ビーンストーク」の研究員の一人であった。
当時の地球は長く続く戦いにより荒廃し、人類は活動拠点を静止衛星軌道に築いた大型コロニーへと移していた。
しかし地表を焼き尽くしてもなお人類は戦いをやめようとはせず、彼が所属する政府軍と、ゲートを狙う反政府軍(サルワートル)との戦いが繰り広げられていた。
クラウスはそんな人類に絶望した一方、無限のエネルギーを供給するゲートのことを「神が人類に差し伸ばした手」と見なしており、その力をもってすれば人類もまた神に近づけると信じていた。
しかしゲートを使った相転移実験は失敗し、ゲートを通じて多くの人や物が別世界へと飛ばされ、クラウスは半身を失い、当時の人類のほぼすべてが死滅する大惨事を引き起こしてしまう。
地表で僅かに生き延びた人類は永劫の命を求めてコアクリスタルを体内に埋め込むが、それが原因でコアがある限り無限に生き続ける異形の怪物と化してしまい、地球に残されたのは無限の寿命を手に入れてしまったクラウスただ一人となった。
これにより、ゼノブレイドの舞台は彼がゲートの力を使って行った相転移実験で新しく生まれた世界であり、ゼノブレイド2の舞台は実験によって荒廃してしまった地球の成れの果てであることと、ザンザの正体は相転移実験によって飛ばされたクラウスの半身に過ぎないことが明らかになった。
クラウスは世界を滅ぼしてしまった罪の意識から自身の消失を願うも、ゲートの力の影響で不死身となっておりそれは叶わなかった。
そして自らの罪を償うため荒廃した世界を再生することを決意。そうして生まれたのがゼノブレイド2の舞台「アルスト」であった。
ゼノブレイドのアルヴィース視点では「純粋な探究心」から「宇宙を誕生させる実験」を行った人物として描かれていたが、彼の視点で描かれた本作では若干描写が異なる。
ゲートの力を使ったのはあくまでも争い続ける人間に対する絶望がきっかけであり、純粋な探究心どころか、当時はゲートそのものが反政府軍に奪われる寸前のギリギリの状態だった。
「宇宙の誕生」というのも実際に異世界を作りだとそうとしたわけではなく、ゲートの力で愚かな人類を至高の存在へと作り変えることを指して「新たな宇宙の誕生とも言える」と語っていた(と言っても実際に新しい世界は誕生してしまったが)。
そうして幾万年の時を経て新たな世界を作り上げることに成功するも、そこで生まれた人類も結局残された大地を求め争い続けており、クラウスの目にはかつての争いの果てに滅びの道を突き進んだかつての人類と何ら変わらない存在にしか映らなかった。
そんな中で世界樹を上って現れた【マルベーニ】に至っては「この世の醜さに耐え切れず神の領域に踏み込んで世界を変えようとする」というかつての自分と全く同じ過ちを犯している人間であった。
その結果クラウスは「何回繰り返しても人類は変わることはなく、いずれ世界を滅ぼす。これはもはや運命であり、神が与えた自分への罰である。自分はこの罪を永遠に償えない」という諦観の境地に入り、マルベーニがトリニティプロセッサーのロゴス(メツ)とプネウマ(ホムラ/ヒカリ)をコアクリスタルとして回収した時も、メツがアルストを破壊しようとした時も放置するようになってしまっていた。
しかしながら、レックスとホムラが本来あり得ない再同調と命の共有という奇跡を起こし、それと同時に相転移実験後沈黙し続けていたゲートが再起動したことから「もしかしたら世界は変わるのかもしれない」という希望を抱き始める。
彼自身はゲートの影響で不死身なのだが、半身であるザンザが死ねば彼自身も消失してしまう。
本作のストーリーが始まった前後で、マルチバースで同時進行しているゼノブレイドの世界では自身の半身である巨神ザンザがシュルク達と対立。
クラウスは本作の最終話時点でザンザがシュルク達に敗北する未来を読み取っており(*1)、自身に残されたタイムリミットが僅かであることを悟っていた。
最終的にレックス達が【メツ】と彼が操る【アイオーン・デバイス】を倒すとと同時に、ザンザがシュルク達に倒されることで長い生涯を終える。
消滅の間際『自分ができる最後の手向け』を残し、レックス達にその希望を託して消えていった。
「神」と称され、実際にそれに相応しい功績と力があるにもかかわらず実際には生れも内面も人間そのもの。それでいてその長く孤独な生涯を世界のために捧げ続け、より良い世界を作るため次代に希望を託した。
己の個の意識の消失を恐れ、永遠に破壊と再生を繰り返す世界を望んだ半身のザンザとは対照的
「神なき世界」を望んだシュルクによって倒されたザンザと、希望を託したレックスに産んでくれたことを感謝されたクラウスと、その最期まで徹底的に対照的な存在として描かれていた。
相転移実験失敗の際に、クラウスがかつての世界に抱いていた人の業の部分が切り離されザンザとして構築されたという見方もできよう。というのも、クラウスは構築したアルストに生まれた【マルベーニ】の抱く業をかつて相転移実験をするに至った自身の業と照らし合わせており、そのマルベーニの業はザンザの姿と瓜二つとなっているため。
DLCパックを購入すればシュルクと【フィオルン】を仲間にして彼の前に連れてくることも可能。もちろん掛け合いなどは用意されてないが、双方内心複雑そうである。
本作で再び相転移実験の様子が描かれたが、こちらではゼノブレイド2との設定補完をするような様子はなく、ゼノブレイド同様アルヴィース視点の「純粋な探究心」によるものとして描かれた。
クラウス自身が「人間の脳細胞の代わり」として作り出した、全ての生命情報を持つ「コアクリスタル」は、アイオニオンの中でアグヌスの女王のコアクリスタルとオリジン金属が合わさることで、流れの外の力の1つ「ウロボロスストーン」を形成した。
ケヴェス・アグヌスの兵士であった主人公6人がウロボロスストーンの力でウロボロスとなると、人間本来の「性の意識」を覚えるようになった。これは、ウロボロスストーンを形成した要素の1つであるコアクリスタルに、人間本来の営みの情報も記録されておりこれが兵士にフィードバックされたものによると思われる。
また、ウロボロス状態ではコアが破壊されない限り何度でも再生可能という、クラウスがアルストで作り上げたブレイドによく似た特徴を持つ。
DLCストーリー「新たなる未来」にて、クラウス自身が及ぼしていた影響などが描写された。
アルストの世界樹最上層・ラダマンティスに残っていた間、クラウス自身の存在とその後悔は、遥か別次元に飛ばされたウーシア(アルヴィース)が人間的な判断を下すために機能していた。厳密にいえば、ロゴスとプネウマが合わさって合議可能なトリニティ・プロセッサーでありその2基の間を取り持つ裁定者たるウーシアは、別次元に飛ばされた先でありながらクラウスの後悔の念とザンザをロゴス、プネウマの代用としていた。
しかし、アルストでゲートが消滅しそれと同時にクラウス自身も消滅すると、ウーシアは人間的な判断を下すことができなくなる。
その状態のまま「オリジン」のコアに用いられた結果、ゼット達メビウスが作り上げたアイオニオンの中でウーシアは「古き人間(巨神界・アルストの人間)を捨て、新しき人間(シティーの人間)だけで新たな世界へ旅立つ」という機械的・冷徹な判断を下してしまった。
また、『2』本編ではかつてクラウスが住んでいた世界であり廃墟と化した「モルスの地」が登場したが、本作ではオリジン(ウーシア)の記憶から、相転移実験が失敗する前(モルスの地となる前)のクラウスの世界「ラダマンティス自治州」が登場した。
したがって、クラウスはラダマンティス自治州の人間であった可能性が濃厚。
加えて、ラダマンティス自治州には巨大な軌道エレベーターが1基設備されていた。後に世界樹となるこの軌道エレベーター、そしてモルスの地との関係から、雲海と命の記憶の循環を主としていた頃のアルスト(巨神獣が世界樹周辺を回遊していたエリア)はラダマンティス自治州と同じ位置にあった可能性も濃厚となった。
オリジンの記憶では反政府軍(サルワートル)に関する問題も僅かながら流れていたことに加え、同じ部分で「統合政府が地球種移民計画によって約300万人の移民を宇宙へ旅立たせている」ということも明らかとなった。
これは『ゼノブレイドクロス』の移民の経緯に相当するものだが、綺麗に話がリンクしているわけではない。
というのも、『ゼノブレイドクロス』では地球において謎の異性文明間の争いに巻き込まれ地球人が脱出し惑星ミラへ辿り着いたという経緯であるのだが、『ゼノブレイド1~3』でのウーシアやクラウスの記憶では、移民は謎の異性文明間の争いに巻き込まれて脱出しているわけではなく(そもそも移民船出発のニュースが報じられている当時のラダマンティス自治州等は平和そのもの)、争いという面では統合政府と反政府軍(サルワートル)がゲートをめぐって両軍がデバイスを使役した戦いであるため。