ファイアーエムブレム 聖戦の系譜
とは、【スーパーファミコン】用のゲーム。
概要
【スーパーファミコン】で発売したファイアーエムブレムシリーズの1本。
複数の国に勢力が入り混じった軍記モノとしての趣が強くなっており、それに合わせてゲームシステムが大きく変化。広大なユグドラル大陸と国を舞台としており、1章でいくつもの勢力と国を出す為に1つの章のマップが非常に広い。
二部制のストーリーはより複雑となり、敵側の明確なバックボーンが描かれたり、時にはプレイヤーの手が届かない箇所で勢力を変える様子が見られると言った具合に深みが増している。
親族内で殺し合いをするような展開は前作【ファイアーエムブレム 紋章の謎】にも一部あったが、本作ではこの展開の傾向がかなり強く、血みどろの戦いが多い。
特に親世代編のラストは衝撃の結末を迎えることになる。
最大の特徴はキャラクター同士のカップリングと、その二人組から産まれる子世代のキャラクター。親世代の組み合わせによってステータスが異なるために、キャラクター同士の相性(性格や身分等)のイメージから来るカップリングだけでなく、子供の実用性を巡るカップリング論争が多発する事となった。
そしてゲームの通しプレイ自体もかなりの時間がかかる大ボリューム作品であり、多くのコアなファンを獲得する事に成功した。
登場人物の殆どのキャラクターが神話から名前を取られており、メジャーな北欧神話だけでなく、当時ではややマイナー寄りだったケルト神話も大きく取り扱っているのが特徴。ただし名前を取っているだけで神話の内容とは殆ど関係がない。
十二聖戦士の伝説の武器も神話に由来するものがあるが、一部は神話に関係無かったり造語だったりするものもある。
(特に「イチイバル」は造語の武器と知らずに神話由来だと誤解して用いられるという現象まで起きている。任天堂の作品内でもコラボ武器扱いでもないのに【ドラガリアロスト】で使用されている。)
ストーリー
かつて、ユグドラル大陸には、十二聖戦士と呼ばれる者がいた。
その聖戦士たちは神から授かった武器を用い、大陸を支配していた闇を打ち砕いたという。
そして時は流れ今、その聖戦士の血と、彼らが用いたという伝説の武器を受け継いだ者たちがいる……。
大陸中央に位置するグランベル王国のシアルフィ公国(公爵家)も、聖戦士の血を受け継いだなかの1つであった。 そして広大な領地と、それぞれ軍隊を持つ1つの公国として、グランベル王国に従属しつつも独自性を保っていた。
シアルフィ公国の当主バイロン卿は、グランベル王家からの信任も厚く、東方の戦乱を鎮めるために、王家やほかの諸公たちと遠征中であった。バイロン卿の息子シグルドは留守を任されていた。
そんなおり、同盟国であったはずの、南西のヴェルダン王国の大軍が突然、国境を突破し、王国内に攻め入ったのである。
最初に包囲されたのは、シグルドの幼なじみエーディンのいるユングヴィの城。
すぐさま出陣の決意をしたシグルド。
やがて訪れる恐ろしい運命の渦に巻き込まれていくのであった。
ゲームシステム
殆どのものが前作【ファイアーエムブレム 紋章の謎】と異なっており、本作独自の仕様が非常に多い。
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長い章と広大なマップ
本作では城内マップは廃止されており、全てのマップが屋外戦の城の制圧戦で繰り広げられる。
更にマップが非常に広く、一つの章で複数の城を一つずつ制圧して進軍する。
例えるならば本作の1つの章は、他のシリーズの3~5章分を通しで行うような形である。
そのためにマップ中ではターン開始時にいつでもセーブが可能。毎ターンセーブするオートセーブ機能も搭載されている。
(ターンごとにセーブできるという仕様上、本作の難易度は大幅に低くなっている。その代わり、乱数の状態もセーブされているので、良い結果を出す場合は何かしら別の行動を挟むんで乱数調整をする必要がある)
この広大マップ化に伴い、「おりる/のる」のシステムも基本的には廃止されている。例外的にクラスチェンジしたセリスのみ可能。
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再移動
馬やペガサス、ドラゴンに乗っているユニットは攻撃・杖の後に残った移動力の数だけ移動を行える。
この仕様と広いマップのため騎馬ユニットが重視される傾向にある。
後の作品とは異なり、本作では再移動後も「たいき」以外の行動(「はなす」や「あげる」等)ができる。
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能力上限
今作からクラスごとにステータスの上限値が設定されており、歩兵ユニットは移動力で遅れを取る代わりにステータスの上限が騎馬ユニットより高い場合がある。
ただし歩兵だからと言って全てが高いわけではなく、「ウォーリア」は「グレートナイト」と速さ以外大差無い等の例外もある。
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スキル
ユニット毎に様々な能力を所持している。
兵種毎に設定された「兵種スキル」と、キャラクター毎に設定された「個人スキル」の2つが存在する。更に一部の武器装備中か、リング系アイテムを所持しているとスキルの効果を得られる。(武器については、後の『トラキア776』では「武器スキル」としてスキル欄に表示されるようになった。)
シリーズ初のシステムだけあってバランスは極端であり、確率で5連続攻撃ができる「りゅうせい剣」の使い手がほぼ一強、そもそも「剣」でしか発動しないスキルが複数ある等、かなりの格差を生んでいる。
前作『紋章の謎』までは基本システムで誰でも行えた「必殺の一撃」と「再攻撃」はスキル「ついげき」「ひっさつ」にそれぞれ割り振られたため、このスキルを持たない者は何かの手を加えないと行えない。
逆に言うとモブのザコは基本的には「必殺の一撃」「再攻撃」を一切行わないので、難易度が大幅に下がった。
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必殺と特効の仕様変更
本作の必殺の一撃は仕様が大幅に変更されており、必殺の一撃時のダメージが攻撃×2-守備(魔防)と凄まじいダメージを与えるものとなった。
更に特効武器も本作では「有効な相手に必ず必殺の一撃が出る」という仕様に。(逆に、武器特効かつ必殺という重複は本作では無い)
これらの効果は「みきり」で無効化される。
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3すくみ
剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強い…という「3すくみ」が導入された。本作では有利な方に命中20加算、不利な方に命中20減算と命中補正が大きい。
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恋愛システムと子世代
自由恋愛可能な男女のユニット同士にはそれぞれすべての組み合わせで「恋愛値」が存在し、特定の条件を満たすと恋愛値が上がっていく。値が500まで達すると恋人になる。非表示データなので具体的な数値はゲーム中に確認はできないが、「占い屋」である程度の進行状況の確認はできる。
前半のユニットが恋人になると女性キャラから決められた子供ユニットが2人ずつ産まれ、6章以降に登場。父親の血族・能力値・スキルによって子供の能力が変わる。
更に武器種が一致している場合は装備品も引き継ぐ。男女のどちらに引き継ぐのかは親の女性ユニット毎に決められている。
後半のユニットでも恋愛システムがあり、後半のユニットには子供という要素はないが、エンディングに影響する。
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恋愛値が上がる条件
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1.ターンの経過
ターンの経過だけでも徐々に加算されるようになっている。(章ごとに上限ターンあり) 「恋人が成立しやすい組み合わせ」は、この加算値が若干高めになっている。
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2.隣接させてターン経過
男女のユニット同士を隣接させてターン経過すると、上記とは別でさらに追加で値が加算される。
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3.「はなす」
男女間で「はなす」が発生して会話できるイベントがあり、会話すると恋愛値が加算される。ただし、すべての組み合わせで「はなす」は存在しないので、やはり「恋人が成立しやすい組み合わせ」に「はなす」が存在する傾向がある。
上記の仕様上、3章で離脱するフィンは恋人を確定させるのが難しいユニットとされている。その代わり、フィンは後半でもユニットとして登場するので、恋人を確定させて子供ばできれば、子供との会話イベントが発生するというご褒美的要素もある。
初めから夫婦で登場するキュアンとエスリン、結ばれる事が運命づけられているシグルドとディアドラは自由恋愛不可能ユニットとなる。
ハンニバルは高齢過ぎるため、アルテナは密かに思う人がいる扱いの為か自由恋愛不可能となっている。
なお、ユリアはセリス相手の初期値が非常に高いがターン経過で減算されるようになっており通常の範疇ではセリス相手に恋人は成立しないようになっている。
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代替キャラクター
女性ユニットが結婚しなかった場合、代替キャラクターと呼ばれるキャラが子世代で代わりに登場する。
全体的に能力値やスキルが乏しいが、代替キャラクターでしか発生しないイベントが用意されており、イベントを発生させると能力値が大きく上昇したり、このイベントでしか登場しないアイテムが手に入る場合もある。
十二聖戦士の血統を持ったキャラクターが大幅に減る事から、代替キャラクターだけで進む事を、通称「平民の系譜」と言う。(ただし、「アミッド」と「リンダ」に関しては、代替キャラクターではあるがトードの血統を持っている。)
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状態異常システム
「サイレス」「スリープ」「バサーク」というユニットへの状態異常が登場した。『紋章の謎』には、「フィールドがサイレス状態」というものがあったが、本作ではユニット毎に直接状態異常になる。
専用の状態異常杖や、「スリープの剣」等の特定の武器によって発生する。
なお、本作では状態異常にかかっても能力値は一切変化しない。よって、スリープで眠っているはずなのに回避するといったシュールな事が起きる。
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所持金
本作ではユニット毎にゴールドを所持している。
基本的に手に入れたアイテムを売るか、闘技場を勝ち進むか、村に訪問してお金を手に入れるしかない。
恋人同士ならお金を渡す事も可能。シーフ系のユニットは、お金を渡す事ができ、さらに「ぬすむ」のスキルで攻撃した相手からお金を奪う事ができる。「ぬすむ」のスキルが本作で唯一無尽蔵に稼げる方法だが、本作では意図的に稼ぐほどお金が必要になる状況はあまり無い。
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村の訪問
本作の村はマウンテンシーフ・パイレーツが滞在して毎ターン少しずつ破壊される形が取られ、10ターン経過すると全ての建物が壊れて村が滅んでしまう。
1つでも残っている状態で訪問すれば村を救う事ができ、(10-破壊された回数)×500Gのゴールドが訪問したユニットの所持金に入る。
また、村の損害状況とは別にアイテムを貰えたりイベントが発生する場合もある。
2章は早い段階でマウンテンシーフが村に放たれてるイベントが発生するので、全ての村を救えるか?というのもテーマになっている。
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城の防衛
本作では本城や一度制圧した城、同盟軍の城に敵ユニットが攻めてくる事があり、本城は制圧されるとゲームオーバー、同盟軍の城は制圧されると奪われ、一度制圧した城は制圧されると破壊されてしまう。
破壊されると戦略評価ダウン、章クリア時の所持金加算ボーナスダウンといったデメリットがある。
そのため本城を狙う敵がほとんどの章に登場し、何かしらの方法で阻止しなければならない。
城には城の守備という形でユニットを配置する事もできる。
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修理屋
全ての武器・杖は修理屋で有料で修理可能。値段はアイテムによって異なる。
その前提のため、武器の個数自体は有限であり、道具屋で品を買うとその品が売り物リストから消える。
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中古屋
本作ではアイテムを普通に渡す事はできず、預かり所に預けるか中古屋に売り払う事しかできない。
中古屋に売ったアイテムは他のユニットが金を払って購入できる。
他のユニットにアイテムを渡す場合、この方法を取るしかない。
ただし、買おうとしているユニットが装備できない武器は買えないので、そのユニットが装備できない武器を持たせるためには工夫が必要である。(武器をドロップする敵をそのユニットで倒す、武器が貰える村をそのユニットで訪問する等。これらは子供への武器引き継ぎのためのテクニックである。)
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闘技場
本作の闘技場は武器の持ち込みが可能で、対戦相手は章によって完全に固定されている。
ユニットごとに闘技場勝利数が記録され、7勝するとその章では闘技場を使用できなくなる。
また、負けても死亡する事はない。ただしHPが1になってしまう。
本作の特徴として、Bボタンを押すと即降参ではなく、降参するか武器の装備を変更するか選択になる。
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リング
本作では消費アイテムが一切無い代わりに、持っているだけで能力が上昇する「リング」(疑似的な装備品)がある。
持っている数だけアイテムに応じた能力値が上がったり、スキルを得られる。
ただし上述の中古屋システムの存在により、使い回す場合は中古屋を経由しなければならない。中古屋は恐らくこれを安易に使い回させないための仕様と思われる。
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増援部隊
敵部隊の隊長にあたるキャラクターは周りのユニットが少なくなると以下のどちらかの行動を取る。
1.城に戻って行き、増援部隊を呼んでくる。
2.ターン開始時に減った分のユニットを増援として城から続々登場させる。
1は名がある隊長、2は名がない隊長が主に行う。これを利用する事で経験値や撃破数の稼ぎが可能。
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武器の撃破数
武器にはそれぞれ敵を倒した数が記録される。
これが50を超えると「ひっさつ」スキル無しでも必殺の一撃が出るようになり、それ以降は倒す毎に必殺の発生率が増える。加算必殺率は「倒した数-50」。
100人倒すと★になってこれ以上増えない。
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武器レベル
本作の武器レベルは武器毎に英字で記載される。
英字よりも高い武器レベルの武器は使用できない。
本作では武器レベルは兵種と血筋によって完全に定められており、クラスチェンジと子世代への血統継承以外で武器レベルを上げる方法が存在しない。
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聖戦士の武器
本作の伝説の武器にあたる聖戦士の武器は特定のユニットしか装備できず、基本的にイベントで入手したユニットの専用武器となる。
子世代へ引き継がせた場合、レヴィンの「フォルセティ」、クロードの「バルキリー」は、恋人の女性ユニットを誰にするかによって子が変わるので、子がその武器を使えるクラスのユニットでないと使用できない。ただし装備できないキャラでも武器だけ引き継がれる。
例外的にバグで「バルムンク」を剣レベル★のラクチェ・スカサハに渡す方法が存在する。
なお、ブリギッドの「イチイバル」は(女性ユニットによって子は決まるので)「ファバル」が確定で引き継ぐので、恋人が成立すれば必ず引き継がれる。
その他の聖戦士の武器を持つユニットは恋人関係と子が確定しているので必ず引き継がれる。ただしストーリーの都合上、登場当初は聖戦士の武器を持っていない場合もある。
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聖戦士の血統
各キャラクターのプロフィール欄で聖戦士の血統を確認できる。この血統に決められた数値だけ成長率に補正がかかり、血統に決められた武器レベルが傍系なら1上がり、直系なら★になる。(ただし、武器レベルが「-」の時は「-」のままとなる。)
この血統は子世代へと引き継がれるため、血統を意識したカップリング案もよく見られる。
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オープニングデモ
オープニングで放置すると各ユニット同士の戦闘シーンが紹介される。
この戦闘シーンは周回するごとに増加し、ライバル同士の戦いだけでなく、本編では描かれていない裏エピソードも収録されている。
キャラクター
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【シグルド】
親世代の主人公。シアルフィ家の公爵。大陸西側を制圧しつつディアドラと恋に落ちるが、反逆者として処刑されてしまう。
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【ディアドラ】
親世代のヒロイン。精霊の森でシグルドと出会う不思議な女性。
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【セリス】
子世代の主人公。シグルドとディアドラの息子。イザークで解放軍を立ち上げ、光の公子と呼ばれるようになる。
初期はロードジュニアであるが、クラスチェンジをすることでロードナイトになる。
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【ユリア(ファイアーエムブレム 聖戦の系譜)】
子世代のヒロイン的な存在。レヴィンが連れて来る記憶喪失の少女。実はアルヴィスとディアドラの娘。
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【オイフェ】?
名軍師スサール卿の孫。シグルド達に助言を行い、セリスと共にイザークで身を隠す。
子世代からは、前線に加わる。
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【レヴィン】
シグルド達の軍に加わった謎の吟遊詩人。その正体は出奔したシレジアの王子。子世代ではセリス達に助言を行う存在となる。
レヴィンの子供と会話する際にはセリスの傍らにいるという形で会話をする。
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【アルヴィス】?
ヴェルトマー家の当主。マンフロイに唆され、何も知らないまま記憶操作されたディアドラと婚約、シグルドを利用して大陸西側を制圧、そして反逆者として処刑し、シレジアとレンスターも滅ぼす事で大陸の統一を果たす。
しかしロプトウスの器となるユリウスを生み出す為に利用されていただけに過ぎず、その後はマンフロイの傀儡のお飾り皇帝に成り果ててしまい、最終的にはセリスに討たれる事を望みシアルフィで決戦を挑む。
青年期はリカバーリング持ちでエンペラーになった後は、見切りと大盾を所持している。
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【ユリウス(ファイアーエムブレム 聖戦の系譜)】?
アルヴィスとディアドラの息子。虫も殺せないほどの優しい性格の少年だったが、ロプトウスに乗っ取られ残忍な性格に変わり果ててしまう。
所持している魔法ロプトウスは攻撃力を半減させる効果があり、1戦目で出現する場合には見切りを所持こそしていないが、2戦目では見切りを所持しており更に怒りにより必殺を出される恐れまである。
また、戦闘時の曲も1戦目、2戦目でセリス・ユリア対峙した場合かそうで無いかでそれぞれ異なる。
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【マンフロイ】?
暗黒教団の大司祭。ロプト帝国復活の為にありとあらゆる謀略を尽くし、大陸全土を巡る大戦争を引き起こす発端となった。
神器持ちではないが、カリスマ・連続・追撃などの強力なスキルを持ち、配下のダークマージも高性能の暗黒魔法ヨツムンガンドと遠距離魔法のフェンリルに加え、命中するとHPが1になるヘルや一定の魔法防御を保持していないと命中するスリープなどを所持している。
他のキャラクターは【ファイアーエムブレム 聖戦の系譜】/キャラクターを参照。
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最終更新:2024年07月13日 22:55