ファイアーエムブレム トラキア776
とは、【スーパーファミコン】用のゲーム。
概要
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Fire Emblem: Thracia 776 (英語) |
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ふぁいあーえむぶれむ とらきあななななろく
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【スーパーファミコン】
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32Mbitロムカセット
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シミュレーションRPG
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任天堂
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インテリジェントシステムズ
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出石武宏
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広田麻由美
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1人
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書き換え:1999/08/28 カセット:2000/01/21
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SFC書き換え:2,500円(税別) DXパック:9,800円 SFCカセット:5,200円 Wii:926Wiiポイント Wii U:943円 3DS:943円
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CERO:B(12歳以上対象)
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ファイアーエムブレムシリーズ
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【Wii】:【バーチャルコンソール】 【Wii U】?:バーチャルコンソール New3DS:バーチャルコンソール
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10万6108本
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【スーパーファミコン】末期どころか【NINTENDO64】末期に片足突っ込んでいる時期に発売された、SFC向けのファイアーエムブレムシリーズの一作。
【ファイアーエムブレム 聖戦の系譜】のグラン歴776年における、リーフ達のトラキア半島における局地戦を描く。
ただし終盤は『聖戦の系譜』とは異なるパラレル展開となり、最終的には同じ結末になるものの厳密には『聖戦の系譜』における正史と言う訳ではない。
顔グラフィックは『聖戦の系譜』の使い回しではなく新たに書き下ろされている。
強大な帝国軍に対し、こちらは義勇兵から成る小規模な反乱軍という設定上、凄まじく高い難易度に設定されており、異常な程に多い初見殺し・インチキじみた能力バフや状態異常・基本的にプレイヤー側が不利なゲームシステム・複雑な隠し条件と言った具合にかなり厳しい。
システムの基本部分は【ファイアーエムブレム 紋章の謎】に先祖返りしており、スキルシステムや3すくみといった聖戦の系譜の要素も一部組み込まれており、根本部分は無難な形。
今後は暫くおなじみとなる「かつぐ」(救出)が初登場している。
本作をベースに難易度を軟化させたものが今後の基本設計となる。
全体的に杖が異常なほど強いため「杖ゲー」と称される事が多い。
当初は【ニンテンドウパワー】による書き換え版・最初から描き込まれた状態のニンテンドウパワーカセット版・それに加えて豪華特典が同梱された「DXパック」3種類がローソンで販売されたが、2000/01/21には他の店頭向けにロムカセット版も販売された。ロムカセット版はクリアランクが増加しており実質的なバージョンアップ版となっている。
ストーリー
後の世に「混迷の時代」とよばれたユグドラル統一戦争の初期
トラキア半島の小国レンスターに一人の英雄がいた。
聖戦士ノヴァの血を受け継ぐ王子、その名をキュアンという。
グラン暦761年、グランベル王国シアルフィの公子シグルドは宮廷内における勢力争いと、これを利用するロプト教団の策謀によって反逆者の汚名をきせられ、イード砂漠に孤立していた。
キュアン王子は苦境に立つ友を救うべく一軍を率いてイードに向かうが、その途上、背後よりトラキア軍の奇襲を受け配下のランスリッターとともに全滅する。
後に「イードの虐殺」と呼ばれるこの戦いでレンスター王国の希望であったキュアン王子は愛する妻とともに、その短い生涯を終えた。
王子夫妻の戦死によるレンスターの弱体化と皇帝アルヴィスによるグランベルの統一は
トラキア地方の勢力図を激変させた。
半島統一を悲願とするトラキア王トラバントは
この機を逃さじと侵攻を開始、またたくまに北部諸国を制圧する。
だが、時を移さずグランベル帝国軍がトラキアに侵攻、
メルゲン谷の戦いで大敗北を喫したトラバント王は野望むなしく南へと敗退した。
一方、レンスター王家の生き残りキュアン王子の遺児リーフは、
レンスター落城の際、騎士フィンに抱えられ、
数少ない仲間とともに辛くも脱出に成功する。
その後、リーフたちはアルスター、ターラといったトラキア各地をめぐる逃避行の末、東海岸の小さな開拓村、フィアナにたどりつく。
フィアナの女領主エーヴェルは、彼らを快く迎え入れ、
リーフは彼女の元で、彼女を慕って集う若者たちと交流を重ねながら、次第に大人へと成長を重ねていった。
時おりしも、大陸東方イザークの隠れ里ティルナノグでは、
シグルドの遺児セリスを中心とする勢力が着実に力をつけつつあり、
ゆるやかにではあったが、着実に新たな時代への胎動は始まっていた。
そしてグラン暦776年、リーフ15歳。
彼にとっての「聖戦」が、今始まろうとしている……
ゲームシステム
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外伝
特定の章で特定の条件を満たすとマップが追加される。外伝マップでしか仲間にできないキャラや武器もあるが、ゲームクリアには必須ではない。
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索敵マップ
夜や建物の内部など、一部のマップでは全体が真っ黒になり自軍・同盟軍(本作の緑軍は敵・味方不明の中立という事になっているが、索敵マップに出てくる緑軍は同盟軍である。)の周り3マスしか視野できない。後続のシリーズと異なり地形すらわからない。
暗い場所にいる敵に対しては一切攻撃が行えなず、移動時に敵がいた場合は引っかかって強制的に移動が止まる。
「たいまつ」または「トーチ」を使う事で視野できる範囲を広げられる。
なお、敵軍はこちらを認知しており、索敵範囲外から接近してきてそのまま攻撃してくる。あろうことか遠距離魔法まで飛んでくる。これはさすがにおかしいだろ!
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かつぐ
自分より「体格」が低い味方ユニットを持ち上げて自分と共に行動させる。
この状態ではステータスが下がってしまう。
「おろす」事で隣接する4マスの指定マスにユニットを配置できる。
「かつぐ」を使ったターンは再移動以外の行動を行えなくなるが、「人交換」を使って他の味方から受け取った場合はすぐに下ろす事もできる。
なお、ナイト系のユニットが馬等に乗っている場合は実際の「体格」の値に関係なく常に20として扱う。このため、ナイト系のユニットをかつぎたい場合は、かつがれる側が予め降りておく必要がある。
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捕える
敵より「体格」が高い場合、敵兵に対して「捕える」を行える。命中率や攻撃が半減するが、この攻撃で敵を倒した場合は捕獲状態となり、捕まえた敵のアイテムを奪い取れる。
敵が一切攻撃できない状態であれば、体格さえ上回っていれば無条件で捕獲できる。
味方と敵では捕えるを行った後の仕様が少し異なる。味方の場合は捕えるを行った後は即行動終了となり、アイテムを奪うには次のターンの行動で「物交換」を行うか、別のユニットを隣接させて「人交換」を行い「物交換」をする必要がある。(アイテムを奪うまで2手かかる。)
敵の場合は捕えるを行い成功した時点で全てのアイテムを奪う。アイテム欄の空きが足りない場合はアイテム欄が埋まるまで奪う。(捕えるの1手だけでアイテムが奪える。)
「かつぐ」同様、捕獲中はステータスが下がる。
敵に捕獲された場合、そのまま離脱されると捕虜になってしまい、終盤の特定のマップで救助が可能。
逆手に取って敵にわざと裸のキャラクターを捕獲させて弱体化を狙う戦略もある。ただし、一部の敵は丸腰の相手でも殺害を優先して攻撃してくる事があるので注意。
なお、ナイト系のユニットが馬等に乗っている場合は実際の「体格」の値に関係なく常に20として扱う。このため、ナイト系のユニットを捕えたい場合は眠らせて強制的に降ろす必要がある。
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体格
上記の「かつぐ」「捕える」の判定に使用される他、武器の重さを体格の値分軽減できる。例えば体格が5なら、重さ7の武器は重さ2として回避率・攻撃速度の計算を行う。なお、体格で軽減できるのは物理系の武器だけであり、魔導書の重さは軽減できない。
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離脱
本作では制圧の他に「離脱」という勝利条件もある。各ユニットを離脱ポイントに置く事で離脱させられる。
リーフが離脱するとクリアとなるが、マップ中に他のキャラクターが残っていた場合は捕虜になってしまう。
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到達
「離脱」と一見似ているが、全く反対の概念として「到達」がある。
こちらはリーフを到達ポイントに置いただけでクリアになる。離脱と違って他のユニットを到達ポイントに置く必要はなく、捕虜になる事も無い。
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防衛
普段とは反対に、敵が城門または玉座を制圧しようと攻めてくるので、制圧されないように守るマップ。当然、制圧されたらリーフが生き残っていようが負けになる。
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疲労
各キャラクターは戦う毎に「疲労」が蓄積されて行き、これが最大HPを超えると次の章では出撃不可となる。「Sドリンク」を使う事で回復できる。また、疲労状態でも「Sドリンク」を持っていれば出撃が可能で、出撃させて開始すると持っている「Sドリンク」を消費する。
なお、疲労による影響が出るのはあくまでも「疲労が溜まった後の次の章」なので、疲労が最大HPを超えた「現在進行中の章」では何の影響もなく普通に行動できる。この仕様を逆手にとって、疲労が最大HPを超えたユニットは武器の素振り等を繰り返して経験値等を稼ぐという手もある。(クリアターン数にこだわらない場合)
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出撃マス
本作では出撃順番の変更が行えないという嫌らしい仕様があり、出撃マスが部隊の順番で固定化される。間のユニットを出撃させない事で変化させられるが、先のマップを見据えて出撃させる必要もある。19章では「城に逃げ帰ろうとするグループ」と「城から援護をするために出撃するグループ」の2つに分かれるので、このような章を前提とした仕様だと思われるが、20章では自軍の城なのにバラバラに分断されてしまうという間抜けな事になる。
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再行動
行動後、確率で「♪」が出て再び行動できる。ユニットの再行動の★の数×5%で発動。普通は味方専用のように思えるこの能力を、敵も使ってくるのがトラキア776が高難易度である理由の1つ。
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指揮
自軍の全てのキャラクターの命中・回避率が、自軍のユニットの指揮の★合計値×3%ずつ上昇する。
22章では敵軍全体に合計★19(命中回避+57%)というふざけた補正がかかる事で有名。
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盗む
敵から指定のアイテムを盗む事ができる。本作では自分の体格より重さが低いアイテムであれば、どのようなアイテムでも盗む事が可能。
武器がなくなった敵は離脱を行うが、マップ内に武器屋がある場合は購入に向かう場合もある。
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闘技場
『聖戦の系譜』ではなく『紋章の謎』の頃の仕様に戻っており、倒されると当然死亡してしまう。
本作に限って棄権したターンに勝利しても経験値が手に入らない…ように見えるが、経験値入手からレベルアップまでの動作がカットされているだけであり、マップ画面に戻った後にユニット情報を確認するとしっかり加算されている。ただし、レベルアップした場合「何が上がったか」は闘技場に入る前のユニット情報を覚えていないとわからないため、レベルアップ目前で闘技場を利用するならこの事を気に留めておく必要がある。
なお、上級クラスレベル20に近づいた状態で闘技場に入り、対戦相手の「速さ」がカンスト20で出てくるようになると、後述の「追撃必殺係数(仮)」の仕様による再攻撃必殺が出せなくなってほぼ勝てなくなる。本作の闘技場はむしろ下級クラスや上級クラスレベル1に近い方が勝ちやすい。
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追撃必殺係数(仮)
全てのキャラクターに「再攻撃時の必殺率に特定の倍率がかかる」という隠し仕様が存在する。マスクデータのためゲーム中に確認する事は不可能。最小で0倍、最大で5倍となる。基本に強いキャラほど高く設定されている。
また、初撃の必殺率はどのような数値であろうと25%が限度となっている。
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紋章の謎の仕様に戻った点
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「必殺」「再攻撃」は、スキルではなく基本仕様に戻った。よってどのユニットでも行える。
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HP以外の能力値の最大値は20
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クラスチェンジするとレベル1に戻る
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場内マップが復活。ナイト系のユニットは馬等から降りる必要がある。
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特効は必殺とは別の仕様に戻った。特効対象攻撃時は武器威力×3
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セーブできるのは章クリア時のみで、章攻略中は「中断」になる。
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店売り武器は量産品で何個でも買える。その代わり修理屋は無く、使用回数を回復するためには特定の杖を使用する必要がある。
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武器レベルはクラスによって固定化されず戦闘を行う事で上昇する。ただしレベルアップには連動しておらず武器を使用した回数で個別に上がる。
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特定のキャラクターでしか使用できない専用武器が復活した。(『聖戦の系譜』では誰でも扱えた武器が本作では専用武器になっている物もある。)
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隣接したユニット同士でアイテムの交換が可能に戻った。
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『聖戦の系譜』では装備品的な扱いだった能力アップのリングが、使用する事で消費し能力アップするという『紋章の謎』でのドーピングアイテムと同じ扱いになった。
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クラスチェンジするにはクラスチェンジアイテム(ナイトプルフ)が必要に戻った。
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扉、跳ね橋、宝箱が復活。シーフ(盗賊)以外のユニットが開ける場合はそれぞれ対応する鍵「とびらのかぎ」「はねばしのかぎ」「たからのかぎ」が必要。
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ペガサスナイトは乗った状態で剣と槍を装備する事はできず、乗った状態では槍のみ、降りた状態では剣のみの装備に戻った。
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敵側の武器も使用回数が存在する仕様に戻った。
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外伝の仕様に戻った点
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経験値は、戦闘が発生すれば攻撃が外れても反撃できなくても得られる。得られる値は外伝とは異なり攻撃が当たった場合と同じ値が得られる。
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一部の回復の杖は、特定の確率で追撃のように2回目の回復が行われる。
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暗黒竜と光の剣の仕様に戻った点
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シーフ(盗賊)が扉、跳ね橋を開けるには「とうぞくのかぎ」が必要
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外伝の仕様に戻った点と重複するが、「経験値は、戦闘が発生すれば得られる。」という仕様から、「プリースト(そうりょ)は敵の攻撃に耐える事で経験値を得られる」という仕様に戻ったとも言える。
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どの過去作とも異なる仕様
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シーフ(盗賊)が宝箱を開ける際も「とうぞくのかぎ」が必要
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ユニットが馬から降りた状態で章をクリアした場合、そのユニットは次の章は降りた状態から開始となる。(ストーリーの内容が地続きの章ならこれでも問題ないが、章クリア後のストーリーで明らかに長い移動が入ったり数日以上経過した事になってから始まる場合は「どう考えても馬に乗る時間はあっただろ」という事で不自然になる。)
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ストーリー上「その時点では死亡してはいけない味方ユニット」は、「攻撃されて当たったらHP0になる状況」の場合は必ず攻撃を回避する。(ただし「捕える」に関しては回避できず捕獲されてしまう点には注意が必要。)
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死亡したユニットを復活させる手段が完全に存在しない
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弓、シューター、攻撃系魔法の使用回数は、攻撃を外した場合でも減る。シューターに関してはこの仕様を利用して弾切れさせて安全に進むという作戦が使える。
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移動力がレベルアップで成長するようになった。(ただし、超低確率。乱数調整を行わないと現実的ではない。)
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味方を対象とする杖(回復系魔法等)にも命中率(成功率)が存在する。失敗した場合は回復等は行われないが、杖の使用回数も減らない。
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「魔力」は魔法攻撃力と魔法防御力の両方に影響する。そのため「魔法防御」という個別の能力値は存在しない。
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本作にはマップ上のマスとしての「村」は存在しないため、敵のシーフが破壊する対象は「民家」となっている。
キャラクター
自軍
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【ナンナ】
本作のヒロイン。【ラケシス】?とフィンの娘。レイドリックに捕まってしまう。
ゲーム内のあらすじでは「フィンの娘」と記載されているが、公式HPでは【ベオウルフ】?を父親と記載していた事があり、現在は父親が不明となっている。
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【フィン】?
キュアンの代の頃からレンスター王国に仕えるランスナイト。リーフを守るために奮闘する。
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【エーヴェル】?
フィアナ村を纏め上げた女性剣士。過去の記憶を失っている。
『聖戦の系譜』の【ブリギッド】と酷似しており、作中では関連性が示唆されている。
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【セティ】
開放組織マギ団を率いる、「風の勇者」と呼ばれているシレジア王国の王子。本作ではレヴィンの息子であり、彼から引き継いだ風魔法「フォルセティ」を操る。
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【アウグスト】
イスの海岸で出会う謎に包まれた旅のブラギ僧。未熟で甘えん坊なリーフを厳しく導く。【レヴィン】とは何かしらの関係を持つ。
章開始時にユニットが分散配置される事を「アウグストの罠」と表現する俗称があるが、これは18章と20章でアウグストの指示で味方が分散されている事に由来する。
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【ドリアス】?
レンスターの遺臣である年老いた男性。アウグストと共にリーフを支える。
敵軍
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【レイドリック】?
元コノート王国の近衛将軍の男爵。ベルドの部下としてマンスター城を任せられる。
ロプトの剣を所持しており、相手の攻撃力を半減する効果を持つ。
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【ベルド】
北トラキア半島の暗黒教団を率いる司祭。マンフロイの腹心。
ベルクローゼンを各地へと派遣して様々な物事を裏から操り、本人は石化魔法「ストーン」を操る。本作のラスボス。
また、マンフロイほどの数は出せないが、彼もまた死者を「魔戦士」と呼ばれる存在に蘇らせ、傀儡にする事ができる。
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【ケンプフ】?
第12軍団を率いるフリージの将軍。ダンドラム要塞を守護する。姑息な戦い方を好み、何かと作戦名を付けたがる。
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【ラインハルト】
聖戦士トードの再来と呼ばれる、フリージ軍の魔道部隊ゲルプリッターに所属する将軍。【オルエン】?の兄。
イシュタルの守役であり、彼女に代わってゲルプリッターを指揮し、トラキア半島の反乱軍と激突する。
中立
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【サイアス】?
ヴェルトマー出身の旅の天才軍師。軍神と呼ばれる程の凄まじい戦術眼を持ち、彼がいるだけで部隊の士気が恐ろしい程に上昇する。
実は【アルヴィス】?とアイーダ?の隠し子であり、ファラフレイムの後継者。
尚、アイーダは子世代編で唐突に姿を消していたが、実際はマンフロイに殺害されていた。
他のキャラクターは【ファイアーエムブレム トラキア776】/キャラクター?を参照。
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最終更新:2025年03月02日 23:52