黒歴史

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黒歴史 - (2023/10/06 (金) 05:29:33) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/06/11 Thu 19:04:13
更新日:2024/03/23 Sat 15:01:30
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※この記事では項目・コメント欄共に、”3.ファンの間での「黒歴史」”に当たるものについては個別作品名及び個別キャラクター名等を出すことを禁止します。
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1.原義

1.『∀ガンダム』の用語で、「月光蝶により文明が崩壊する前の時代」、つまり『∀』以外のガンダムシリーズの事。
これは『∀』以前だけでなく、コズミック・イラ西暦アドバンス・ジェネレーションといった『∀』以後の作品も含む。
これらは、未来世界である『∀ガンダム』における過去の話という設定になっており、黒歴史=ガンダムシリーズの正史である。
なお、『機動戦士ガンダム Extreme vs.』及びそのコミカライズである『ガンダムEXA』は、
「全てのガンダム世界の歴史が終了した遠未来であり、登場する過去のキャラクターはデータベース内に収められたデータ」
という設定であるが、唯一正暦のみ「出所不明のデータ」とされており、この作品が『∀』の過去か未来かは曖昧な形にされている。
ただし、1・3両方の意味で黒歴史になった作品(『ガイア・ギア』『G-SAVIOUR』など。前者から後者に繋がりそうにないため)もある。


…というのがかつての見解だったのだが、最近になって富野監督は『Gのレコンギスタ』の舞台が『∀』の約500年後の世界のつもりで製作したことを明かした。
これは∀ガンダム本編の設定とで矛盾が生じるが、上記発言と同時に富野監督自身は、
「自分がガンダムシリーズ全ての設定を決める権限はない」「皆さんなりに“ガンダム全史”みたいなものを作っていただければいい」とも言い足しており、
これらの発言から∀ガンダム以降の作品は無理に正暦より前の時代と想定しなくても良いと思われる。
一方で、かつての公式は「SEED以降も全て黒歴史に含まれる」と発言しており、これがややこしさを産んでいるのだが…。

そもそもガンダム作品は地球や太陽系が舞台という部分は大体共通だが、
1stと同様に明確に西暦から繋がっている作品が複数ある上*1、1stのシドニーを始めとする地形が大きく変わる出来事もザラにあったり*2と、
全てを同一世界だと厳密に考えるのはかなり無理がある。

上記とは分けて考えるべきだが、同一作品且つ宇宙世紀に限定しても1stの時点からTV版、劇場版で違いがあったり*3
むしろTV版と違う部分の方が多い小説版などもあり、こちらはこちらで黒歴史として一つに統合するのは無理がある*4

なお例外として、各種ガンダム作品が劇中劇として扱われるビルドシリーズは明確に黒歴史には含まれない*5

という、世界観的な話を抜きにした身も蓋もないことを言うと、この設定自体の意図は全てのガンダムを肯定することにあると思われる。
アナザーガンダムが3作品放送された中、旧作のファンからは宇宙世紀を懐かしんだり、富野製のガンダムを求める声がなかなか止まなかった。
富野はこういう良くも悪くも熱心で意固地なタイプのファン、もっといえばガンダムオタクを反吐が出るレベルで嫌っていたようで、
いわばこの設定は
「アナザーガンダムも全てガンダム。原作者である自分(富野)がそう定義したのだからこの不毛な話は終わり」
という意図を多分に含んでいると言え、Gガンダムの世界観由来と思われる設定を多く採用しているのも少なからずその意図が感じられる。
先の公式見解である「SEED以降もガンダム」という見解も、「黒歴史に内包されていないガンダムはガンダムではない」という批判を避けるための言及と取れる。
ガノタは昔から面倒くさいから……

とはいえこの設定は一定の効果を発揮し、以降少しずつ「何がガンダムで何がガンダムではないか」といった答えの見えない議論は目に見えて減少した。
新規顧客の増加もまた要因ながら、原作者である富野がアナザーガンダムの存在を肯定した、というのは少なくない影響を与えたのは疑いようがない。


2.『スーパーロボット大戦シリーズ』における黒歴史

2.『∀ガンダム』が参戦している『α外伝』『Zシリーズ』どちらにおいても、∀原作同様重要な設定となっている。
ちなみに、どちらの作品でも共演している『ガンダムX』のD.O.M.E.が冬の宮殿に代わって黒歴史の真実を管理している。

『α外伝』における黒歴史とは、ダカールにおけるネオ・グランゾンとの戦闘において、プリベンター一行がタイムスリップしてしまったことで、
α』における超重力崩壊の衝撃波を防げず、地球が荒廃してしまった歴史のことであった。
それによるコロニー群の壊滅や、その後に起こったミケーネ帝国ら地下勢力の侵攻による地上の荒廃、ターンタイプによる月光蝶の発動によって地球の文明は埋葬されることとなった。
そして最終的に、プリベンターが過去に戻って衝撃波を防ぐイージス計画を成功させたことにより、黒歴史は防がれることとなり、新たな未来に繋がっていく。
(なお、過去が改変されたといっても、未来世界は抹消されたわけではなく、独立した並行世界として残っている)

『Z』における黒歴史は、なんと自分達が今いる世界の、未来の可能性…正確に言えば「過去の未来」であった。
(ただし、甲児が「俺の知らないマジンガー」と発言しており、完全に同じというわけではないようだ)
アムロとシャアの私闘による地球の寒冷化、ザ・ビッグの大群による破壊、ターンタイプによる文明の埋葬…
これらの果てに、太極の次元力によって多元世界は崩壊し、世界が分かたれた状態で1万2000年の歴史を歩み、再び多元世界が誕生し…
というループを繰り返しているのである。黒歴史を繰り返さないことを誓っておかないと果て無き戦いの環に突っ込むので注意。

また、これによって別の世界の出来事が断片的に伝わっており、が堕天翅やオーバーデビルの存在を知っていたり、
フロスト兄弟デスティニープランによってカテゴリーFとして認定され、デュランダルを恨むといった事態も見られた。

続いて『第2次Z再世篇』において、更なる黒歴史の真実が明かされる。黒歴史とは、根源的な災厄との遭遇であり、
次元を超えてあらゆる世界を巻き込み、全てを滅ぼすのだという。また、黒歴史は「真戦」という異名を持っているとも明かされた。

なお、エスターが自分の過去を「黒歴史」と呼んだことでZEUTHの面々を驚愕させていたが、
エルガンの推察によると、真戦が神話として伝えられたことによって本来の意味と変質してしまったからのようだ。
(この場に居合わせなかったロランは天獄篇にてアレルヤの黒歴史という発言に驚き、キラからADWでは黒歴史は隠したい過去と言う意味で使うと説明された)

最後の『第3次Z天獄篇』では、ガルガンティア船団の存在意義がナノマシン(ヒカリムシ)による海洋汚染の除去のためであったこと、
そして、月光蝶の発動による文明後退が進化を監視する組織、クロノの意志によるものであったことも明かされた。
また、中盤のとあるルート分岐ではシャアがアクシズ落としを敢行しアムロらZEUTHと戦う、という黒歴史の始まりの一端を見ることも出来る。

ちなみに、『第3次Z時獄篇』では、Zシリーズ中唯一『∀』が参戦していない(が、シナリオ上でシャアの所業に触れる必要があった)ため、
「黒歴史」と濁されている。既にスラングとして定着した単語なのに、律儀というべきか?

30』でもC.C.が「封印された黒い歴史かもしれないがな」という台詞を発しており、
スパロボ的には黒歴史は飽くまでスラングではなく『∀』の固有名詞である、という認識のようだ。


3.ファンの間での「黒歴史」

※この記事では項目・コメント欄共に、”3.ファンの間での「黒歴史」”に当たるものについては個別作品名及び個別キャラクター名等を出すことを禁止します。
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3.アニメやゲームなどの新作が受け入れられず、ファンからなかったことにされる事
主にシリーズ物で見られる話題だが、単体の作品であっても「アニメ史の黒歴史」「スタッフの黒歴史」といったニュアンスで使用される場合も。
あくまでもファンからなかったことにされるだけであり、公式との扱いは異なる事に注意。

元々、1の意味での「黒歴史」は滅びたために伝わっていないだけでなく、
真相を知っている者の中にも隠し通すことを主張していた者もおり、それを巡る争いも山場となっていた。

ストーリー・設定・キャラクター・演出・BGM・スタッフ・キャストの大幅な変更によるセンス・雰囲気の変化から、
作画崩壊、スタッフの私物化、ゲームバランス悪化など純粋に低クオリティな物まで黒歴史扱いされる理由は多岐にわたる。
シリーズ物の場合は原作レイプに匹敵する愚行として、徹底的に叩かれてしまうも珍しくない。
要は、旧来のファンに受け入れてもらえたかどうかあり、作品本来のクオリティはあまり関係ない。
そのため、「単体の作品で見れば悪くない」、「視聴者の嗜好の変化」、「過去作とは別のファン層に受けた」、
「新作がもっと酷かった」、「後にスタッフ・キャストが有名なった」などの理由で再評価される事もある。

近年のアニメ作品、特にエロゲからアニメ化した作品や、原作を問わず実写化した作品に異様に多い。
黒歴史化するとかなりの高確率で主人公がヘタレ化する。更に酷くなるとヒロインがヤンデレ化する。

だが、何故かOPやEDだけは良い……どころか神曲となるケースも多い。
これはクソゲーのBGMだけが良い法則と同じで、クリエイターの個人的な技量に左右される面が大きい為と思われる。
逆に言えばOPに騙される人が多いという事を意味するが。

また漫画やゲームなどを一度アニメにして何年か後に再アニメ化されるケースも増えて来ており、
再アニメ化されたものが好評であった場合は前のアニメは黒歴史として扱われることが多い。
まあこんな出来なら作り直さない方がよかった、と言われるケースもあるが。

たまに公式側から黒歴史扱いされる作品もある。出来の悪さから黒歴史認定される作品もあるが、大人の事情でそうなることもある(封印作品も参照)。


なお元ネタであるガンダムシリーズにおいては、黒歴史という単語を3の意味で下手に使用しない方が良い。
実際に1と3の意味を混合してトラブルになった例がある。
重ねて言うが、ガンダムシリーズにおいては黒歴史=正史である。
……が、「滅びる運命である」ことを嫌がるガンダムファンもおり、∀以後に生まれた世界観が黒歴史に含まれるかどうかはガンダムシリーズでも結構デリケートな話題だったりする


4.評価とは関係なく「なかったことになった」例

4.シリーズ作品の続編製作が決まった際、大人の事情、設定の改変・後付けなどによって先に作られたものが正史から外される(パラレルワールド扱いになる)ケースもある。
本作を元に再編集及びエピソードを大幅に追加したTVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2』において結末が変更され、以降はその続編となっている。
初代の中核スタッフの一部、特に河森正治・板野一郎が関わらなかったことや制作会社の違いから、その両者が参加した『マクロスプラス』以降、シリーズの時系列はこの作品に繋がらないことになった。
最近は「マクロス作品はマクロス世界で製作されたドラマや映画である」というマクロス特有の設定により再び正史になりつつある。
  • STAR WARSシリーズの小説やコミック等のスピンオフ設定
エピゾード7~9の続三部作の制作決定に伴い、正史はエピソード1~6、クローン・ウォーズ、反乱者たち、ディズニー版小説とコミックのみ。それ以外はパラレルという扱いとなった。
設定間の矛盾や連載時と単行本での修正が多いことで知られるキン肉マン(漫画)はこの意味で当初の説明が消えた「黒歴史」が多いと言えば多い(もはや誰も気にしない)が、近年、ネメシスが原義に近い「政治的意図で抹消された歴史」の意で「黒歴史」の語を作中において使用した。
  • アニメ『魔装機神サイバスター』
1999年にテレビ東京系で放送されたアニメ。
一応、スパロボシリーズの元祖オリジナルロボである『魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』を題材にしてはいる。
しかし、原典が異世界ラ・ギアスを舞台にしたいわゆる召喚ファンタジー戦記だったのに対して、アニメ版は環境破壊で荒廃した地球が舞台。
キャラ・メカもリアル寄りで原典と異なり肉弾戦中心。
主役機であるサイバスターもサイバードに変形せずマッシブなものになっており、劇中ではあたかも怪物のように扱われている。
聞く所によると、バンプレストの寺田プロデューサーの預かり知らぬ場所でアニメが製作された逸話があり、不安定すぎる作画・演出とストーリーの悪さから突貫工事で作られたことが見受けられる。
当時の公式ホームページの荒れ具合もあってか、制作側もファンも共通で「すでになかったこと」にされているのが現状である。

5.一般化した「黒歴史」

5.3の言葉からさらに発展して、「個人的に無かったことにしたい・忘れ去りたい過去」全般を指すスラング。

単純に恥をかいた、悪事を働いた思い出に対して使われる事もあるが、多くの場合いわゆる中二病・邪気眼的なエピソードが絡んでくるものに使われる。

一般的に中二病を発症し、その症状が表に出ていた時期のアイタタタな言動やエピソードは、すべて時を経て黒歴史と化す。
また表に出ていなくとも「中二病的考えを持っていた」「中二病的言動をしようとしていた」事もその人がそれを恥ずべき事実だと感じていれば、それも黒歴史となる。

さらにその中二病によって物理的に産み出された過去――ノートやメモ用紙、
果ては400字詰め原稿用紙にしたためられた文章であったり絵であったりも黒歴史と呼ばれる事もある。
特にそのクオリティが自他共に認める低さ・痛々しさであった場合、当事者はそれを黒歴史と呼ぶ。

「黒歴史ノート」でググれば邪気眼の者たちの凄まじい記録が相見えるだろう。
まぁ他人の目から見てそんなことなくても当人にとって黒歴史扱いな事もあるが。

これの特に厄介なところは、単なる過去のエピソードと違って廃棄しない限りいつまでも残り続けるところであろう。
いわば「物理的に存在する黒歴史」といったところか。当人からすれば、さながら過去から来た殺戮マシーンである。
他人に見られようものなら悶死してしまうほど恥ずかしい事請け合い。

……もっとも、これら黒歴史はその人の中二病が既に完治している事が前提だけど。

ただし、その熱意が突き抜けていたならば、そんなノートも芸術作品となり得る。

なお黒歴史は正史なので消す方法は無い。
頭の中に月光蝶を呼んでも、ふとしたきっかけで記憶がフラッシュバックすることがあるので、
覚悟を決めて布団の中で悶絶しよう。

過ちを気に病むことはない。
ただ認めて次の糧にすればいい。
それが大人の特権だ

なお、4の意味と複合して、「 カリスマ性溢れるキャラが登場初期のころやってた恥ずかしい行動 」などが黒歴史呼ばわりされることも。

また、歌手などの著名人が過去にかかわった活動に一切触れなくなったりすることも同様に語られる。
本人のイメージと違う、制作時の諸々の事情から、本人の印象が良くない時に起こりやすい。
ガンダム関連で言えば、長い間ヒットに恵まれずにいた時に劇場版ガンダムの主題歌『砂の十字架』で13万枚のヒットとなったことを
「人生最大の汚点」とまで語った、故・やしきたかじん氏の話が有名であろうか(ただし、これには事情がある)。

一方で、時には本人にそのつもりがなくても事務所やスポンサー等の意向で触れられなくなったり、
周囲が勝手に本人が黒歴史として扱っている風に誤解している場合もあるので注意が必要。
中には、特撮作品に出演した俳優によくあるように「イメージの固定化を防ぎたい」という意向の場合もあり、作品に関わった過去を拒絶しているとは限らない。

どちらにしても古参ファンからネタにされたり、非公式サイト(Wikipedia等)には載せられてしまう運命にある。

注意

『∀』の劇中における本来の意味ではあくまで“過去史における隠された空白の歴史”という言葉であったが、
現在ではこれについて語ったアグリッパ・メンテナー (彼が如何なる人物かはご自身の目で確かめて欲しい)の“封印しておくべき忌まわしい過去”という理屈のみが広まり、
それが前述の3.の解釈につながっている。

その結果として個人に対しては“過去に犯してしまった過失や失敗、あるいは犯罪”を指し、
作品などの創作物に対しては“出来の悪い駄作か失敗作”を指すなど、
もはや“決して認めてはいけない否定されるべきもの”という意味の極めて批判的かつ揶揄的なレッテルのごとく扱われているこの黒歴史という言葉だが、
注意しておくと自分のことに関してのものならともかく他人の過去や作品をこれ呼ばわりしたり、
こう決めつけたりするのはアンチも同然と取られかねない非常に不躾で失礼な行為であり、
本当ならばそんな評価目的で濫りに使って良いものではないことを忘れてはいけない。

事実、当wikiのこの記事でもそういう理由から基本的に特定の作品や人物に対して黒歴史という言葉を使ってはいけないことになっている(とは言え、このタグが批判的な意味で付けられている記事は少なくないのも事実だが)。

物語後半、実際に黒歴史の内容を知ったロランやディアナ達はその黒歴史を人類全体に公表し、そしてそれを受け入れるという選択を取っている。
例え巷で、あるいは自分にとって黒歴史とされるものであったとしても、感情的にそれを否定、排除しようとしたりするよりなぜそんな風に言われるようになったのか、
なぜ自分がそう感じるような結果になってしまったのかという問題点について考え、それを反省として次に活かした方が建設的と言えるだろう。



その項目を追記・修正しねぇと、また黒歴史が来るぞぉーっ!!

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