9.18事件(IDOLM@STER)

登録日:2010/10/06 Wed 18:16:52
更新日:2025/06/22 Sun 16:52:47
所要時間:約 15 分で読めます




9.18事件(きゅうてんいちはちじけん)とは、2010年9月18日に行われた東京ゲームショウ(TGS)における『THE IDOLM@STER』関連の騒動、及びそれを発端とした出来事の一部始終である。



事前知識

まず、『THE IDOLM@STER』(2007年発売のXbox 360版。以下「アイマス」と略す)についての概要を記す。
  • プロデューサーとなってアイドルを育成する「育成シミュレーションゲーム」
  • アイドル以外のキャラの没個性化により、アイドルに焦点の当たる作りに
  • ゲームのプレイヤーは男性がほとんど
  • ソフトの売上自体は特筆すべきものではないが、プレイヤーのダウンロードコンテンツ課金によって莫大な利益を生みだし、一躍キラータイトルとなった
    • なんとその売り上げは当時世界3位
特にニコニコ動画では、東方ProjectVOCALOIDに並んで「御三家」と呼ばれ、爆発的な人気を得ていた。

また、多数のアニメ化やゲーム作品が豊富な現在とは違い、事件当時は
  • アーケードゲームが元であった為にストーリーが希薄であり、その影響で二次創作が隆盛を誇っていた
  • この事件以前にアニメ化はされてはいるが、完全に別物だった
  • 一部の固定ファンから愛されている地下アイドル的な人気
  • ゲームの開発のスピードは比較的遅い方で新作はとても貴重
……といった特徴も挙げられていた。


事件当日

事件は2010年9月18日、東京ゲームショウで起きた。
「プロデューサー決起集会*1」と銘打たれたアイマスイベントでは、アイマスガールズ(所謂キャラの中の人)と坂上陽三プロデューサー(以下「坂上P」と略)が壇上に上がり、新作『アイドルマスター2』の情報を告げるなど、かなりの盛り上がりを見せていた。
しかし、時が進むごとに告げられる新情報は観客(以下「P」と表記)の度肝を抜くあまりにも衝撃的なものだった。


●新キャラ3人がまさかの男

元々ライバルとして新キャラが登場する事は事前に告知されていたが、従来のアイマスにいなかった男性アイドル(もちろんイケメン「ジュピター」の登場に会場は一瞬ざわつき、やがて静まり返った。

これまでの盛り上がりが嘘のように、P達は何ら一言も発さなかった*2

ただ、この時はサイリウムを振るなど、まだ余裕のある者もいた。
しかし次の発表により、多くの者がその余裕を失う事になる。


竜宮小町メンバー4人のリストラ


既存のアイドルキャラ4人(水瀬伊織三浦あずさ双海亜美秋月律子)がまさかのNPC化───つまりプロデュース(攻略)不可である事が決定的となったのである。
これは前情報で告知されていたものの、多くのPは「どうせDLCでプロデュース可能になるだろう」と考えていた。
しかし坂上プロデューサーから直々に、何のフォローもなく告げられた事で、その場にいたP達は大きなダメージを負った。

続いて坂上Pが淡々と告げる言葉は、それまでアイマスを支えてきたP達にとって、まるで「死刑宣告」のように響いた。

  • 4人のファンはもとより、他のアイドルのファンにとっても、マイナスには成り得ても決してプラスには成り得ない誰得展開
  • PVでは4人も普通に登場していた
    • その為、後に「PV詐欺」だと揶揄される事に。
  • 亜美、伊織が使えなくなった事でロリトリオは解散し、亜美/真美の同時プロデュースや姉妹デュオも不可能になった
  • 先に男性キャラの追加という情報が出ている為、「容量の問題で仕方ない」と無理に納得することも不可能だった
  • この重大な問題がついでのように出された事への反発
    • 順序として最初に最大の追加点を出すのは不自然ではないが、ファンの注目度はどちらが上かは言うまでもない。
  • 決定的な言葉は退場直前に置き逃げのようにさらっと言っている事
    • 彼もまた表舞台に立たされてしまった一人ではあるが……

こうしてP達のテンションは一気に沈んだのだが、それでも来年度に行われるライブの告知などで、多少は息を吹き返しつつあった。

しかし続く発表は、
  • 9人のメンバーを3×3のユニットに分け投票を行い、一番人気の高いユニットがライブで新曲を歌えるといういわばサバイバル方式
    • 当時のAKB48の選挙を連想させた為、「AKB商法だ」などと揶揄された。
  • 結果、テーマの「団結」とはほど遠い事態に
  • そして当然のように省かれる竜宮小町
……など、P達の傷心に追い討ちをかけるものでしかなかった*3

これらの情報を伝えた後、ライブの為にアイマスガールズを残し、坂上Pはステージを去ってしまう。
本来なら新情報発表により、会場の熱気は最高潮に達している……はずだったのだが、実際にはもはや成す術もなく呆然とするP達が取り残されているだけだった。
この惨状に、律子役の若林直美氏は「プロデューサー*4になれました」と明るい口調で挨拶し、他のアイマスガールズ達もなんとか場を盛り上げようと元気よく歌い、踊った。

しかし冷めきった空気はもはやどうにもならなかった。一部のP達はサイリウムを振る元気すらもなく、アンコールの声も上がらないという、前代未聞の事態となる。
これはさすがにスタッフにも予想外だったようで、公式の動画放映サイトがアンコール枠としてとっていた6分ほどの撮影枠が、全て粛々と退場するP達とスタッフの撤収作業で埋められるという凄まじい絵面となった*5

ちなみにNHKの番組『MAG・ネット』のニュースコーナーでTGSの模様が特集された際、わずかながら決起集会の発表の瞬間も放送されており、カメラは呆然とする観客の姿を映し出していた。
ナレーション小野D「(特集のBGMまで止まり)Oh, サプラーイズ…」

この知らせを受けたネットの反応は凄まじく、2ちゃんねるのギャルゲー板のアイマス本スレは大炎上。
まさに葬式状態であり、その落ち込みようは煽りに来た別のスレの住人が思わず慰めるほど。
TGS2010での発表に湧くゲハ本スレや、公開初日の『劇場版 機動戦士ガンダム00』スレ、発売当日の『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』スレさえも抑えて、勢いランキングにて1位で走り続けた。


事件翌日~アイマス2発売まで

また、事態は18日のみに留まらなかった。

翌19日のラジオにおけるミニドラマで女性アイドルとジュピターのメンバーが共演。
取りようによっては恋愛フラグにも見えるやり取りをし、ファンを不安の渦に巻き込んだ*6
まあ収録はTGS以前の為、タイミングが悪かったとしかいいようがない。

余談だが、このラジオでの内容を受けてある男性声優が「男性キャラがアイマスに出ていいのだろうか?」というPに近い視点での発言をした為、彼に支持が集まった。
その人物もプロデューサーであった為に色々思うところがあったのだろう。
ちなみにその人物、この9年後に開催された後述するバンナムフェスにて司会進行を行い、奇しくもジュピター含むSideMの面々と絡む事になったりする。

さらに、後日発売されたCDにおいても一騒動があった。
このCDの楽曲は以前歌われた曲のリミックスなのだが、変更された歌詞が……


「男の人が大好きです」


などの……うん、なんというか、これまた本当にタイミングの悪い状況での歌詞だった。
本来なら萩原雪歩が緊張のあまり噛んだという解釈で、笑ってスルーかちょっと一騒動起こるくらいのものだったが、本当にタイミングが悪かった……

男女の絡みという部分には特に不安や怒りを覚えていたユーザーも多く、騒動直後にニコニコ動画に投稿された本件に関するある総統閣下シリーズ(現在は削除済み)の中での総統の台詞「可能性を生み出しただけでアウトなんだよ!!」は多くのPから共感を呼ぶこととなった。
もっとも、今となっては当時の暴走したPの迷言といったような認識になっているが……
余談だが、『2』以降のアイマス二次創作においてはジュピターの面々とのノマカプものも多く見られるようになり、特に天海春香天ヶ瀬冬馬「あまあまコンビ」は界隈でも高い人気がある。
公式での越境展開も多くなったその後の展開を思うと、なんとも皮肉ではある。

そして発売が近づくにつれ、徐々にそれ以外の新要素も公開されていったが、その内容も
  • アイドル同士の不仲や対立が発生するシステム
  • 芸能界に特有の圧力を表現
  • 生々しい描写を暗喩するテキストや暗いシナリオ*7
  • 好評だったオンライン対戦システムの廃止
……など、これまでの作品と比べて印象が暗いものや悪いものが多かった為、火に油を注いでしまった。
もちろん、新曲や新システムなど評価すべきものもあったのだが……

批判は当然開発スタッフにも集まった。
  • なぜ今回のことが騒動になると分からなかったのか。見立てが甘すぎる。マーケティングがおかしい。
  • お通夜ムードのTGS会場で、声優を残して去る坂上P
    • 「声優を盾にした」かのように解釈されていた
  • ナンバリングタイトルでなぜこんな冒険を……
こうした批判が噴出する中、公式スタッフの対応でまた対立が起きる。

今回の一連の変更に対し、公式インタビューで石原章弘ディレクター(以降石原D)が「保守的なオタクには受けない(笑)」と(本人的には冗談のつもりで)発言し、大炎上となってしまったのだ。
石原Dは元々失言の多い人物だったのだが、今回は状況が悪すぎた。

これには大きな批判の声が集まり、さらには石原Dへの脅迫や殺害予告まで飛び出す始末だった。
これはれっきとした犯罪なのだが、このせいで「石原章弘」とGoogle検索するとサジェストに「石原章弘 ◯ね」と出てくる時期まであった程。

石原Dはインタビュー内で「(リストラを)こっそり言うのは嫌だった」というコメントを残しているが、動画をどう見ても去り際にさらっとこっそり言っている。
実際にステージで発言したのは坂上Pの方であった為に多少の食い違いは仕方ないが、これをこっそりではないというのは少々無理があった。

さらに公式から「声優に対する誹謗中傷はやめて」との通達がなされた。
心無い者による声優への誹謗中傷があった事は事実で、通達自体はごく正論であった。
しかし、これが「自分達(運営陣)に対する批判は無視するということか」と一部P達の神経を逆撫でし、「批判をされるような物を作るのが悪い」と却って泥沼化してしまった。
なお、この事件は現状に不満を持つPたちの「署名騒動」に発展。
8,000名にも及ぶ署名が集まり、10月7日にバンナムに宛て提出されたが、10年以上経った今でも結局反応は無いままである。

ニコニコ動画内でもP達が投稿したアイマス動画に荒らしがはびこり、動画のカテゴリタグである「アイドルマスター」を登録した動画自体の減少(2010/9/19には123,873件あった動画も、2010/9/24には122,960件にまで減少)という影響が見られ、「御三家崩壊」と言われるまでの騒ぎとなった。
ニコニコにおいてアイマスのファン動画は一つの文化となっており、ほぼ権利者削除も行われていなかった為、いかにこの件でショックを受けて創作活動を止めたPが多かったかを示すものと言える。
余談だが、これに関連して当時のニコ動では「アイマスをニコニコ御三家から降ろして、代わりにドリームクラブを後釜に据えよう」という動きも一部で見られた。
しかし、そもそもニコニコ御三家とはニコ動において支配的だとか支持を得ているコンテンツという意味ではなく、ほぼ同時期にニコ動のブームに乗って突出して知名度を上げた3つの代表的なコンテンツを意味する為、崩壊も陥落も本来お門違いであるとしてそのまま立ち消えとなった*8

舞台外でもファン同士の苛烈な衝突が見られた。
「2を認めるか否か」「プロデュース(ゲームプレイ)を続けるか否か」などで衝突が起こり、崩壊するコミュニティも出たという。
さらに当時全盛期であったあるアフィブログにより、PV稼ぎの餌にされて内輪揉めが拡大するなど、事態は混乱を極めた。

ちなみにこの騒動が影響してか、開発元のバンダイナムコホールディングスの株価が800円を割る下落を見せる。
そして2010年10月1日、終値が765(ナムコ)円になるというちょっとした奇跡が起こった。


アイマス2発売以降

2011年2月24日に『アイマス2』が発売されたが、その内容は事前情報よりもさらにP達の期待を裏切るものだった為、彼らの怒りが収まる事はなかった。
遂には初回版の売り上げ不振の為、通常版が販売前に廃盤という事態に陥ってしまう。

この結果には『アイマス2』のゲームとしての完成度の低さに大きな原因があったと言える。
CGモデルは出来が良かったのだが、前述するようなシナリオやゲームシステムそのもののまずさや、ネット対戦を消去するなどゲーム性を悪化させたのも響いた。
まあ「無印家庭版からしてゲームよりモデルが重視されていた」と言われればそれまでだが……
また、ジュピターにしても竜宮小町にしても、実装に際して大きな混乱を生んだわりにはわざわざ彼ら、彼女らを起用した事に意味があるほどの活躍をしない点も大きな不満となった。
ライバルポジションにいるにもかかわらず、きっちりと決着をつけられないジュピターもだが、
特に竜宮小町は序盤のプレイヤーユニットのかませ犬扱的な扱いに留まり、それ以上の活躍はなく序盤で話からフェードアウトするという、既存キャラを使ってやるにしてもあまりにもお粗末極まりないその扱いは多くのPの怒りを買った*9
なかには『アイマス2』発表~アニメ放送までの間を「冬の時代」と評するPも……

その後、アニメのDVD・Blu-rayの発売に合わせた2011年7月21日、『アイマス2』はPlayStation3でも発売された。
このPS3版限定で一部DLCが同梱され、短時間ではあるが竜宮小町のメンバーと触れ合えるモードが追加された。
またアニメのBlu-rayには、「G4U」(グラビアフォーユー)というモデル撮影に特化したPS3専用ゲームが付属し、好評を呼ぶ。
一部で切望されていたDearlyStars組のHDモデルも作られ、これも大好評であった。涼ちんにアレがないっぽいのはなんでなんですかね……
しかしこれらはXbox 360版でプレイできず、一部のXboxユーザーからは批判を浴びた*10
さらに、ゲームと両輪であったCDの売上もDearlyStars組辺りから本隊も初動1万枚を切るのが珍しくなかったが、2絡みのCDは1万枚切り常連となってしまった。

この下がり傾向はアニメ版のOPである「READY!!」の発売まで続いた。もっとも、アルバム「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 2」(MA2)リリースの頃からは立ち直りの気配があったが。
ちなみに、竜宮小町組のMA2もしれっと発売されている。ここはコロムビアいい判断した。
余談になるが、如月千早のMA2は初動売上約7200枚を記録した。

しかしその後、「READY!!」が過去最高の初動売上を記録し、アニメ版MAとも言うべき「生っすかSPECIAL」シリーズはレコード大賞で企画賞を受賞する。
アイマスシリーズ全体としても、アニメのヒットを起点として、その終了に揃えてリリースされた『アイドルマスター シンデレラガールズ』や、グリーがアニメスタッフと組んで始めた『アイドルマスター ミリオンライブ!』といったソーシャルゲームがヒットし、
『シンデレラ』や『ミリオン』のCDも(おまけ付きの上にシンデレラのシリーズは安めの設定になっているとはいえ)、軒並み初動1万枚超えする優良コンテンツに育った。

こうして以前より勢いを増した快進撃で本隊・DS・シンデレラ・ミリオンついでにジュピターが完全合体したXENOGLOSSIA?知らない子ですね…。まあ2017年になって色々回収され始めたけど最大規模のSSA2Daysライブが成功を収め、
直後に次々と中の人が結婚し、『シンデレラ』と『ミリオン』もそれぞれ単独ライブイベントを打つなど、コンテンツとしてのアイドルマスターは大きく発展する。

2014年には765プロメンバー全員がプロデュースできる『アイドルマスター ワンフォーオール』が発売。
『ワンフォーオール』は全員プロデュースに戻り、『2』で不評だったシステムも改善され、DLCで『シンデレラ』や『ミリオン』のアイドルが参戦するなど、アニメで取り込んだファンを狙った事もあり、発売週だけで8.3万本を売りあげる。
これに対して「結局元に戻しただけじゃないか」と厳しい意見もあるものの、概ね好評であり以後のシリーズの基点になったとも言える。

そしてアイマスは2015年に10周年に到達、念願のリアルライブでの「ドームですよ!ドーム!」を達成した。


ジュピターのその後

9.18事件において最悪の形でユニットがお披露目されてしまった為、一時はいわれのない中傷を受けるなど、もう一方の被害者とも言えるジュピターだが、公式からの扱いはまちまちなものであった。

一応ゲーム内で歌われた曲のフルバージョンが入ったCDが発売されたり、続編のゲームでもわずかに登場するなど出番はあったが、日に日に露出は少なくなっていた。
アイマス声優であればほぼ全員が体験しているライブも、彼らの曲を女性声優陣がカバーしたり休憩時間に会場内で流したりするだけであり、今回の騒動や男と女のファン層の違いなど様々な問題があり、参加する事はなかった。
しかし、なんだかんだで3人とも根は真面目でキャラと楽曲自体は魅力的、そして良くも悪くもゲーム中ではそこまで目立たず、ジュピター云々以前に他の部分のアラと不満点が目立つ事もあり、応援するファンが徐々に増えて行った。

そして2014年7月17日、プロデュース対象を男性アイドルとした『アイドルマスターSideM』が発表。
ジュピターも『2』で所属していた961プロから315プロへ移籍し、プロデュースが可能となる。

そして2015年12月に行われた『SideM』の1stライブにて、ユニット発表から約5年、ジュピターは遂に念願の初ステージを踏んだのである。
ライブでは『SideM』での楽曲しか歌わなかったものの、ライブ内のミニドラマやキャラ紹介には元961プロと示された。

担当の声優陣は、この時を5年間待ち続けてくれた事についてファンに感謝の意を捧げた。
御手洗翔太役の松岡禎丞氏や伊集院北斗役の神原大地氏は、嬉しさと感動のあまり男泣きし、
冬馬役の寺島拓篤氏もブログで長く苦しかった5年間について深く熱くその思いを語り、「見たか、765プロ!!」と雄叫びを上げている。

2018年の3rdライブツアー幕張公演では、961プロ時代の楽曲「Alice or Guilty」を披露し、長年にわたる雪辱を晴らした。

そして2019年、バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル(以下バンナムフェス)において、765プロや346プロ、当時最後発だった『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の面々と共にジュピターもまた、アイマスシリーズのライブ初となる東京ドームに立った。
バンナムフェス1日目での765プロ側は『765ミリオンスターズ』名義で、ASから春香、千早、我那覇響菊地真がミリオンの後輩アイドル達を率いつつ出演。
一方のジュピター側も315プロの仲間たちと共に出演し、『SideM』がオープニングとエンディングの両方を担当。
ジュピターは「BRAND NEW FIELD」にてエンディングで披露されたユニット曲のトリを務める大役を見事に果たした。
ラストは『SideM』の全体楽曲である「DRIVE A LIVE」を全出演者で熱唱し、遂にジュピターと765ASが同じステージで同じ曲を共に歌う日が来たのであった。

しかし、同年発表された『アイドルマスター スターリットシーズン』では5ブランド中『SideM』だけがハブられる事が判明。876プロ? いつもの事ですよ……
9.18事件の時とは逆に「男がいない事」に非難が殺到するという皮肉な事態となってしまった*1
裏を返せば、上記の通り徐々に人気を獲得していったが故に起きた批判でもあるので、むしろ感慨深いものがあると言えなくもない。
一応、フェス用ライバルキャラでジュピターとDRAMATIC STARS、そしてDS5組が登場しており、専用カットインに楽曲も流れる。
扱いとしては端役ではあるが、「どのような形であれ出てるだけでも嬉しい」という意見もあるということは留意しておきたい。

なお、後に配信された『アイドルマスター ポップリンクス』では『SideM』も平等に扱われていた。やはりと言うべきか「男混ぜるな」という意見も無いわけではなかったのだが……

2023年2月開催の5ブランド合同ライブ「M@STERS OF IDOL WORLD!!!!!2023」では2日目に寺島氏と神原氏が出演。特に寺島氏は春香役の中村繪里子氏と「GO MY WAY!!」を歌唱するなど、9.18の完全精算を達成した。

こういった事もあり、現在となっては10年以上もの時が流れた事も大きく事件は完全に過去の話となっている。
というよりも新展開の多くを無視して未だに『アイマス2』に囚われている方がおかしいと言うべきか……
だがそれから間もない4月、『アイドルマスター SideM GROWING STARS』の7月終了が告知。
これに先立つ1月にモバゲー版SideMも終了しており、遂に『SideM』のゲームが全滅するという扱いの悪さに猛烈な非難が殺到した。
事件から12年もの月日が流れ風化の一途を辿った事、男性キャラも受け入れられた事、時間の経過とともに怒りも静まったPも多い事などもあり、これには他マスのPからも同情が寄せられている。

同じく2023年、初代作以来のアーケード凱旋作となる『アイドルマスターツアーズ』において、『SideM』も含めたアイマス5ブランドが平等に扱われる事が告知。
ただ、ロケテスト初期の段階では『SideM』は未実装であり、第2ロケテストからの実装となるなど慎重な動きとなっており、未だに事件の影響がある事もうかがえる。
バンナム側にとって炎上が相当なトラウマになっているのだろうか?
そして2025年に遂に正式サービスがスタート。『学園アイドルマスター』からも追加アップデートで参戦が告知されており、今後の展開にも期待したいところである。


石原D

アイマス10周年のインタビューにおいて、石原Dは10周年の節目ということで、9.18を振り返り謝罪した。

石原Dは『2』でやろうとした事の難しさや言葉足らずだった事を反省し、この時の出来事は『制作サイド』と『応援するファンサイド』の関係性についても、色々と考える切っ掛けとなった」と語った。
ただ、当時の騒ぎの中心となった竜宮小町やジュピターの設定に関しては、当時『2』と同時に動いていたアニメにも無くてはならなかったものであり、当時も今も心底納得しているという。

また竜宮小町のNPC化については、上層部からの時間や予算の制約によるものであるとし、そこでライバルとして彼女達を登場させる事で、少しでも出番をカバーしようとした結果だったとのこと。

その後、石原Dは制作スタッフが誰に変わろうと永遠に作品が続く「自分の理想のIPの姿を見たい」と述べ、2016年1月31日をもってバンダイナムコを円満退職した。



追記・修正は頑張るアイドル達をこれからも応援し続けるプロデューサーの皆様方にお願いします。

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最終更新:2025年06月22日 16:52

*1 ここでの「プロデューサー」とはアイマスシリーズのプレイヤーを意味する。

*2 一応、秋月涼のような「男の娘」という前例もあるにはあるのだが、こちらは女装でもなんでもなくガチ男である為、抵抗も大きかったようである。

*3 後日、投票はネットで行うと発表され、さらに投票先に「ユニット全員で歌う」という強力な選択肢が登場。「あまりの不評に慌てて付け足したのでは」という憶測を呼んだ。

*4 ややこしいが、律子というキャラクターが前作から望んでいた役職という意味である。

*5 単独イベントと異なり、「ゲームショウのメインステージなのでアンコールし辛い要素がある」「アンコール開始前に参加者退席のアナウンスが流れた為」などの考察もあったが、公式動画サイトの放送予定枠が、アンコールを想定していた事をうかがわせていた。

*6 「素直に憎めるような性格の悪い敵キャラなら逆にまだ許せた」という人もいたのだが、いかんせんジュピターのメンバーはイケメンなうえ、それぞれに癖はあるものの性格も良かった。

*7 あるキャラクターのシナリオには、はっきりとした言及こそないが、所謂「枕営業」を匂わせる展開まで存在する。

*8 ちなみに『ドリームクラブ』は2014年発売の『ドリームクラブGogo.』以降、コンテンツとしては停止状態である。

*9 なお、『アイマス2』のセーブデータのサムネイルには本編で登場しないアイドル(とアイドルの頭頂部)のイラストが使用されており、没データにはさらにもう一人のアイドルと合わせたボイス・歌唱データが確認されている。もしこの3人が没データにならずにしっかりストーリーに絡んでいたら、『アイマス2』ももう少し評価が見直されていたのだろうか……

*10 「G4U」に関しては、アニメ制作会社がA-1 Picturesやアニプレックスなどソニー系列だから仕方ないが。