スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd

登録日:2011/08/17(水) 04:43:45
更新日:2023/10/25 Wed 16:32:57
所要時間:約 6 分で読めます





2007年にプレイステーション2用ソフトとして発売されたスーパーロボット大戦シリーズのひとつ。
従来のスパロボとは異なりRTS形式で戦闘を行う『Scramble Commander』シリーズの第二作目である。
前作は後々のことを考えて機体を出撃させないと、最悪詰みかねないヘビーユーザー仕様であったが、
前作に比べてユーザーフレンドリーな作りになり、システムの追加などしっかりと改良され、
出来の良いシナリオもあってスパロボの中でも隠れた名作扱いされている。

【概要】

前作同様に、リアル等身のユニットにリアルタイムで指示を与えるRTSである。
自軍のユニットに大まかな指示を与えた後は、ユニットがそれに従いオートで行動する。
今作からはミッション中にユニットを一機、アクションゲームの要領で自由に操作可能になり、ゲームの自由度と快適さを上げた。
また、味方ユニットは最大8機まで出撃可能、精神コマンド追加、空中戦、宇宙戦の概念、マップが追加など、前作から改良が図られている。
ただ、マップに出現するユニットが激増したせいか、前作に比べてフレームレートが落ちており、機体の動きはもっさり気味に。
前作に無かった「フリーモード」の追加のおかげで、気の済むまで経験値や機体強化ポイント、パイロットの育成が可能になった。

【参戦作品(★は新規参戦作品)】



初参戦はSEED DESTINY、マクロスゼロ、ゴーダンナー。
Ζガンダムのキャラクターの顔グラと声は劇場版のものが採用されている。
劇場版の設定で他作品に出演するのは本作が初めてで、本作以降声優は劇場版準拠となる。

【シナリオ】

ゴーダンナー、DESTINY、マクロスシリーズ、ラーゼフォン辺りがメイン。
特機法と呼ばれる法律で所謂スーパーロボットの製造や活動が制限された世界を舞台にしており、最近のスパロボとしては珍しくスーパー系の作品達が世界観の中心となっている。
コンバトラー、ライディーン、ダンクーガといったいつもはいるだけ参戦の多いスーパー系作品の原作再現もしっかり行われている。
その分DESTINY以外のガンダム系はやや影が薄いのだが…。
また、葉月博士や葵博士といった各作品の博士キャラの出番が多いのも特徴。
特機法を初めとした、スーパー系のロボを丁寧に作品の中に取り込むリアルな描写やSCシリーズ独特の演出方法も相まって、
良質なアニメでも見てるかのような感覚になる。

マクロスゼロは時系列的な続編である初代との共演の都合で、新規参戦なのに原作終了後(いるだけ参戦)というやや残念な事に。
しかしストーリーには深く関わっており、扱いは良い。シンとフォッカーの再会シーンは胸熱もの。

よく誤解されているが、DESTINYは初登場がZでは無く本作である。
アークエンジェル視点で物語が進み、シンミネルバ勢は途中のスポット参戦を除き終盤まで敵のままという原作ストーリーに近い扱い。

シナリオは上手くまとまっており評価は高い。
ゴーダンナーを中心に上手くクロスオーバーするスーパー系や、原作がやや投げっぱなしで終わったマクロスゼロのストーリーの補完などがその要因。

アークセツコと並ぶ程の過酷な運命を辿っていく主人公・ケイジなどオリジナルキャラも大体好評。

【オリジナルキャラ】


◆ケイジ・タチバナ
主人公。顔の傷が特徴。中の人はクォヴレーと同じ。
主人公部隊となる組織『A3』に所属する少尉。
礼儀正しい努力家の好青年だが、誰にでも腰を低くしがちな控えめ過ぎる一面も。
士官学校では獣戦機隊の後輩で、A3に入った後も忍を始めメンバーからは可愛がられている。
パトロール中に遭遇した謎の特機『羽々斬』に成り行きで乗り込み、戦って行くこととなる。
士官学校時代から高い能力を見せ、同期の中では有名な存在だった。
そのため顔にある傷にかけて、スカーフェイスキッドの異名を付けられている。
しかしこれは家族を失った戦火に巻き込まれた時に出来た傷の為、本人はこの呼び名を嫌っている。
また、この経験からか命を弄ぶ者への怒りと民間人を守る為なら自分の命はどうなってもいいという思いが度が過ぎる程強い。

◆バレンティナ・レアニカ
ヒロイン。士官学校でケイジと同期だが、飛び級で卒業したため階級は中尉となっているエリート。
頑固で生真面目なオペレーターで、あまり融通が利かないために部隊のメンバーと衝突する事もある。
実は士官学校時代からケイジに好意を抱いており、スカーフェイスキッドの異名を考えたのも彼女。
軍で再会した後も、生真面目な性格からお互いの階級を重視した付き合いをしていた。しかし、段々と他のメンバーに自分の気持ちを指摘されていき、次第に素直になっていく。

◆セイジュウロウ・ソガ
人間の感情を動力に変換する『セレスチアル・リアクター』を開発した科学者。
かつて特機量産計画が持ち上がった際にセレスチアル・リアクターを搭載した機体・ネメシスシリーズを造り上げたが、パイロットに重大な負担を掛けるリアクターの危険性を指摘されシリーズの採用を見送られ自身も表舞台から追放された過去を持つ。
その後はユキムラと共にネメシスシリーズの力で世界への復讐を企てる。

◆シュウイチロウ・ユキムラ
ソガ博士と共にネメシスシリーズを開発した男。
実はソガ博士の息子であり、子供の頃にセレスチアル・リアクターの実験台にされた事で性格が大きく歪んでしまった。
本作のラスボスであり、ストーリー終盤ではスパロボ史上屈指の大惨事を引き起こす。
余談だが今作に使われている独特の文字フォントのせいで「ユキムラ」が「コキムラ」に見えてしまい度々ネタにされる。
あと顔芸が凄い。


【主人公機】

◆羽々斬(はばきり)
ソガとユキムラが開発したネメシスシリーズの試作機。近接戦闘に特化している。
パイロットの感情を動力とするセレスチアル・リアクターを搭載しており、適合者でなければ扱えない特殊な機体。
パイロットに適性が無い場合は激しい頭痛や嘔吐等の拒絶反応を起こし、最悪死んでしまう。
また、適合者であっても負荷を完全に無くすことは出来ず段々とダメージが蓄積されるという鬼畜仕様。

後に飛行能力と追加武装を得て、パイロットへの負荷も軽減された『天羽々斬(あまのはばきり)』へと強化される。
ユニットとしては安定した能力で使いやすい。

【余談】

  • セレスチアル・リアクターの元になったユニットであるオリジン・ユニット。時空間構造に破壊波を放射して平行世界を創ったり壊したりできるこんなものをプロトカルチャーが造った理由は、星界の果てからどうしても敵わない恐怖が到来する時に平行世界を創ってこの宇宙から逃げて移民するためであった。

【小ネタ】


  • 「スパロボのキラ天然キャラ」という法則はこの頃から健在であり、目の前でレプラカーンがハイパー化して皆ビビってる中、「……もうなんでもアリだね」とか冷静に突っ込んだりカガリをいじりにいじったりしちゃう。

  • 珍しく五飛がまともな扱いであり、Wキャラの中で一番最初に参戦し、最後まで離脱しない。エンディングではシンとルナマリアを部下にしている。

  • 版権キャラは基本的に才能の持ち主であり、この部隊はその集まり、であると解説され、そして特に戦いの才能がないケイジは、そんな連中の中で戦い続けるには通常の何倍の特訓が必要であり、常日頃からそれを実践している、というエピソードがある。このように版権キャラが本来持つ強さを説きながら、努力によって逸れに並ぶ、という展開になるオリキャラは結構居るのだが、ケイジはそれをさらに踏み込んで表現したと言える…。
    尚、柿崎は謙遜したが、才能が無ければスカル小隊に居続ける事自体できないと言われた、そりゃそうだ。
    (原作では凄まじい人手不足という背景や、成績は良いのにビビリすぎて実戦で活躍して無いのは内緒)

  • ゲームの仕様上、短時間に連射できる武器が強く、バルキリーのガンポッド等を鍛えると、凄まじい勢いで敵が溶けていく。柿崎もエースってなもんです。

  • 今作のアムロはやたらとクワトロ大尉に毒舌であり、「あんた」呼ばわりすることもしばしば。

  • ユキムラが作中でやった所業があまりにも凄まじく、ドラマチックな決戦を経て、最後は人間であることが枷となり敗北する…と言う、これだけで壮大な物語に出来るので、彼を1から全部説明しようとすると、なんだか大層な文になってしまうことが多く、気をつけないとポエムになる。おのれコキムラ…。

  • 後の作品では微妙なゴーダンナーが最強クラスの性能。
    猿渡さんのステータスも序盤に参戦するキャラとは思えないほどに高い。豹馬やプロに強く尊敬されるなどストーリー上の扱いも良い。

  • 今作のデスティニープランシロッコのクローンで地球圏の防衛を行うというものだった。
    …島田兵にでも育て上げるつもりだったのだろうか。

  • 今作のフリーダム撃墜はベルリン上空で起こり味方機がいるはずなのに誰も助けに入らずそのまま撃墜。しかも爆発が少ないとはいえそれなりの高さから落ちたのに軽傷なキラ。と突っ込み所満載になっている

  • 本作のディレクター・シナリオ・オリジナルメカデザインを担当したのは小説家のオキシタケヒコである。


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最終更新:2023年10月25日 16:32