Fate/EXTELLA

登録日:2019/04/02 Tue 23:01:19
更新日:2024/01/28 Sun 05:01:23
所要時間:約 11 分で読めます






新章、開幕。

月の聖杯は誰の手に



『Fate/EXTELLA』とは、TYPE-MOONのヴィジュアルノベル『Fate/stay night』に端を発する『Fate』シリーズの作品のひとつ。
開発は前作『EXTRA』『EXTRA CCC』で販売を担当していたマーベラスで、ジャンルは「ハイスピードサーヴァントアクション」と題した所謂無双ゲーム。
対応ハードはPS VITA及びPS4のマルチプラットフォームだったが、後にNintendo Switch版も発売された。

メインシナリオは原作者である奈須きのこ、サブシナリオは『蒼銀のフラグメンツ』『Grand Order』で型月と親交のある桜井光が担当。
キャラクター原案は武内崇、イラストは『EXTRA』シリーズではおなじみとなったワダアルコが担当。



概要

位置付けとしてはシリーズのひとつ『Fate/EXTRA』の続編的立ち位置ではあるが、公式からアナウンスされた通り『EXTRA』の世界観をベースとしつつも様々な要素を刷新した、これまでとはまた違った新たな世界が舞台となる。
そのため、最低限ではあるが今作の過去がどうであったかは作中でも補足が入っていたり、原作者ブログである「竹箒日記」にて『EXTELLA/Zero』と題した前日譚(のようなもの)が公開されている。

他にも限定版に付属したマテリアルなど、今作の物語を十全に理解するためにはこれらに触れる必要があるが、逆に今作から『EXTRA』シリーズや『Fate』シリーズそのものに触れた、という人にとっては、
既存層にとっては混乱の元となり得る前作との差異に引っ掛かることがないため、サーヴァントの真名バレを気にしないのであれば、この作品が「続編」ということだけ頭に入れておけばむしろすんなり理解できるかもしれない。
が、主人公の三分割など端々で深い原作理解度が求められるところはいつもの型月だったり。ディープなファン向けのネタも散りばめられているため、やはり型月の世界観への理解度が高ければ高いほど魅力的なのは確か。


ストーリー

月に存在するあらゆる願いを叶える力を持った霊子コンピュータ『ムーンセル・オートマトン』。
その所有権を巡る霊子虚構世界『SE.RA.PH』での「聖杯戦争」の覇者となったマスターとネロ。
王の証たる指輪”レガリア”を授けられた2人は、「聖杯戦争」でしのぎを削り合ったサーヴァントたちを臣下として生まれ変わった月の世界(SE.RA.PH)の開闢を始める。

だが、”もう一人のマスター”と共に”もう一つのレガリアを手にした玉藻の前”がサーヴァントたちを従え2人の前に立ちふさがる。

新世界の支配権を巡りしのぎを削り合う二つの陣営であったが、突如として第三の勢力を率いた「アルテラ」が姿を現す。
”文明を破壊するもの”として侵攻を開始する「アルテラ」になすすべもなく追い詰められる「ネロ」と「玉藻の前」。
「アルテラ」の目的とは?彼女に与するサーヴァントたちの真意とは?

3つの陣営による月の存亡をかけた戦いが今、始まる。(公式サイトより)

前作では契約するサーヴァントによってルートが変わり、一本の本筋を軸に少しずつ違った物語を楽しむ形式だったが、
今作は「焔詩編」「蘭詩編」「未明編」そして「金詩編」の各メインストーリーに加え、登場サーヴァントたち視点のサブストーリーというそれぞれ独立した物語を順に遊んでいく形となる。
話の根柢に型月ファンにはお馴染みの並行世界という概念がこれまで以上に絡むため、始点を同じくするそれぞれの物語は別々の結末を辿るが、
前のルートでは垣間見ることしか出来なかった他の陣営の背景や事情を、今度はその陣営のマスター視点、あるいはそこに所属するサーヴァントの視点から見ることで、段々と裏に隠された真実が見えてくるようになっている。


ゲームシステム

前述の通り、ダンジョン探索型のコマンドバトルRPGだった前作から一転、今作ではサーヴァントを操作して並み居る敵を薙ぎ払い、「セクター」と呼ばれる領土を奪取・防衛する無双アクションに。
常人離れした身体能力を持つサーヴァントを駆って敵を倒す爽快感がウリの一つ…だが、開発が移り変わっての第一作かつ『Fate』シリーズでは久々の3Dアクションということもあって、
  • 敵軍の自陣への侵攻の頻度が高く、サーヴァント含めNPCがあまり強くないため、自陣の防衛がNPC任せだとかなり厳しい
  • セクターからセクターへの移動に若干時間を取られ、隣接しているならともかく数個離れたセクターだと移動している間に落とされることもある
  • ボス格であるアグレッサーが(無双ゲーにしては、という範囲だが)やけに火力・耐久力が高い上に結構な勢いで湧く
  • 切り札である宝具の発動条件がやや面倒で、状況次第では一発も撃てないステージもありうる。
などの問題点が、一部から挙がっていたグラフィックへの不満(質感がややのっぺり気味と感じるとか)と相まって不満要素として挙げられやすい。

ただそれでも問題が如実に表れるのはやりこみ段階で、普通にクリアする分にはさほど問題ない範囲に収まっており、更に後に発売された外伝である『EXTELLA LINK』はグラフィックも含め目立つ問題点は軒並み解消された、という点は留意されたい。

ちなみに、今回の戦いではムーンセルのサポートによって全ての宝具に対軍性能が付与されている。アサシンとかがえらいことになっているのはそのせい。

用語

前述の通り今作では様々な要素が変わっているため、シリーズファンにとっては馴染み深い単語も他の意味を持つ場合がある。

  • ムーンセル・オートマトン
月の内部で発見された超大型の霊子演算装置。この世界の月は外面以外全てがこのムーンセルであり、都市型エンジンである霊子虚構世界「SE.RA.PH」によって運営されている。
聖杯戦争の勝者となったマスターの願いによってムーンセルはその役割を変え、現在は滅びに瀕した人類の為の新天地となっている。
が、今回は天敵ともいうべきヴェルバーの襲来に対応してスリープ状態に入っており、その運営はレガリアを持つマスターとそのサーヴァントに一任されている。

  • レガリア
ムーンセルがヴェルバー襲来に際して作り出したシステム。SE.RA.PH内での形状は指輪。
レガリアはムーンセルの機能を自由に使える王権のようなものであり、万が一破壊されるようなことがあれば…

  • 捕食遊星ヴェルバー
14000年周期で地球圏に飛来する遊星。ムーンセルを作った異星文明が遺したと思われる異なるタイプの観測装置。
「捕食遊星」の名の通り文明を跡形も無く破壊することで観測を行う。
前回襲来時にはムーンセルの記録したデータを破壊し、地球上の文明どころか対向してきた神霊も纏めて薙ぎ払ったとされる。おかげで攻撃さえウェルカムなムーンセルに敵認定されている。
OPでは下記のセファール含む3つの破片が投下されていることが確認できる。続編への盛大なフラグである。
何故破壊するかの説明はないが、おそらく記録した星に再度訪れる必要がないようにするための処置と思われる。

  • 白き巨人(セファール)
14000年前のヴェルバー襲来時に地上に現れた存在。
当時の文明と人類やその庇護に回った神々、他天体からの降臨者も含めてそのほぼ全てを蹂躙。
当時最も強かった戦神とされる存在をも撃ち破って侵攻を続けるも、星の祈りを集めた聖剣を持った者による一撃によって打ち倒されたとされる。
本体である遊星の破片(星舟)は未だにムーンセルに残されており、苦肉の策としてムーンセル自身も一切干渉のできない未明領域として隔離されている。

  • マスター
かつての聖杯戦争においてはムーンセルに招かれ、サーヴァントと契約した魔術師(ウィザード)を指す言葉。
今作では登場するマスターは主人公のみであるため、そのまま彼/彼女を指す言葉になっている。

  • サーヴァント
ムーンセルが記録した、古今東西の英雄のデータから再現された存在。
今まではマスターとの契約無しに現界することは出来なかったが、ムーンセルが新たな形に生まれ変わって以降は「ソロ・サーヴァント」と呼ばれる単独で存在するサーヴァントも多数存在する模様。
さらに、ムーンセル直々に召喚した最上位のサーヴァントをトップサーヴァントと呼ばれる模様。ただし、だからと言ってムーンセルに忠実という訳ではない。
また、『EXTELLA』世界独自のものとして、メインに契約しているサーヴァントとは別にサーヴァントと契約する「サブサーヴァント」という仕組みも存在したとか。

登場キャラクター

『EXTRA』とは違う経緯で聖杯戦争を勝ち抜き、その先に違う願いを叶えたマスター。しかしその骨子は紛れもなくこれまでの彼/彼女と同一。
お馴染みとなった「岸波白野」がデフォルトネームとして設定されているが、これまで同様姓名を自由に設定できる。
今作ではあることが原因で自身の存在が「精神」「魂」「肉体」の3つのデータに分割されており、若干自己が曖昧故に基本的には『EXTRA CCC』程のキャラの濃さは見せない。…基本的には。
「精神」はネロのところに、「魂」は玉藻の前のところに、そして「肉体」はアルテラのところにそれぞれ所属している。

ネロ・クラウディウス陣営

薔薇の皇帝ことネロが率いる陣営。新生SE.RA.PHに誕生した「薔薇の帝都」を本拠地としている。
陣営のサーヴァントは全体的にネロというよりマスターに集っているが、ネロはネロでマスターの意に反するような動きはしないため、比較的素直に従う。

事実上の今作主人公。主人公と共に聖杯戦争を勝ち抜いたサーヴァント。華やかな舞台衣装の少女剣士。
やはり奏者(マスター)へのデレっぷりは相変わらずだが、今回は民と芸術を愛するローマ皇帝としての面が特に表れている。
強化形態であるムーンクラッチ形態になると、セイバーからバーニングナックラーになる。

皆さんお馴染み赤い外套のアーチャー。皮肉屋かつ面倒見のいいオカン属性のは変わらずだが、メインだったこれまでとはうってかわって今回は裏方に徹しており、ストーリーでもあまり前面には出てこない。
今作の彼はある意味で一番特異な立ち位置にある。

アーサー王伝説に名高い借金取り太陽の騎士。レオの好敵手だったマスターを全面的に信頼し、剣を預けてくれる。
でもマッシュポテトはやめてください。

こちらもお馴染みアルスターの光の御子。対軍仕様のゲイ・ボルクで一刺一殺どころか百単位の敵を吹き飛ばしてくれる。
ゲーム的には多分今作最強。

武の真髄を極めた拳法家…否、KENPOKA。「二の打ち要らず」と名高い現状『EXTRA』シリーズ唯一のアサシン。
基本的に一対一での立ち合いが主の彼にとって、一対多の今回の戦いはあまり好ましいものではないとか。
だからといってなんで拳の打ち込みが広範囲に爆発するんですかねこの人…

玉藻の前陣営

良妻巫女狐こと玉藻の前が率いる…率いる?陣営。平安京都な雰囲気にところどころディスコ的な場所もあったりする謎エリア「千年魔京」を本拠地としている。
カルナさんを除いた全員が裏切りを目論んでいるヤバイ陣営。そのカルナさんも義理でしたがっているので忠誠心は特にない。でも、当人は全く気付いてない
第一宝具候補に膝枕が躍り出そうになった。

聖杯戦争の折に主人公に惚れ込んで鞍替えし、サブサーヴァントとして聖杯戦争をくぐり抜けたサーヴァント。「魂」の主人公と分割されたもう一つのレガリアを手に、ネロ陣営の前に現れる。
封じていたはずの大怪狐としての側面を全面発揮し、ネロやエリザへの当たりが特段厳しくなっているが、その理由は今回の敵と、そして彼女の「大元」にある。

インド神話に登場する施しの英雄。今回はランサー。ランチャーではなく。
傾国モードのタマモに心から仕えてくれる忠臣ぶりは変わらず。

かの悪名高き血の伯爵夫人であり、今回はタマモ陣営の小間使い。
ネタバレにつき詳しくは言えないが君抑止力のバックアップ受けてない?

三国志に名だたる裏切りの武将。何故自陣に引き込んだキャス狐や。同じ中国系だろ。
というか、咆哮の意味や彼の来歴を全く知らず、逆に一番の忠臣だと思い込んでいる。阿呆だ。
ちなみに、ランサーやライダーは何を言っているか分かる。分かった上で放置している。
プレイヤーも、彼のシナリオ時に意味を知ることが可能。どうやら、バーサーカー化してても思考力は失われてないようで、キャス狐の発言を理解して応答していたりする。

サイバーっぽい衣装に着替えたライダーさんことギリシャ神話のゴルゴン三姉妹の末妹。

アルテラ陣営

突如としてSE.RA.PHに現れたアルテラ率いる「破壊の軍勢」。ムーンセル内部の未明領域を拠点としている。
所属しているサーヴァント全員我が強く、いつ空中分解してもおかしくないくらいなのだが…

ネロ陣営と玉藻陣営の抗争の最中に突然現れた、「破壊の大王」を自称する白い戦装束を纏う褐色の剣姫。
極彩色の剣を振るうその正体はフン族の王・アッティラなのだが、その名で呼ばれることを嫌がる。
マスターを「我が虜」と呼び、ことあるごとに「この夢はいつ覚めるのか…」と気だるげに語るが…?
間違いなく今作のメインヒロイン。

ご存知人類最古の英雄王。アルテラを裁定するために自ら次元を切り裂いて現れ襲撃するが、彼女の「(マスター)」を見ると態度を一変させ陣営入りを名乗り出る。まことか。
本人曰く「最強の武器を手に入れたと思え」とのことだが…「後で我の下に来い!ンン労ってくれる!!」
事あるごとに「肉体」のマスターの前に現れては覚悟を問い、そしてここぞという場面では最高の形で介入してくれる。

フランス救国の聖処女。当初はムーンセルがヴェルバーの軍勢に対抗すべく召喚したトップサーヴァントの一騎だったが、アルテラのある「願い」を見定めるために一時彼女の軍門に下る。
前述の通りどいつもこいつも我が強いので、真面目な委員長気質の彼女は陣営の取り纏めに苦労する羽目に。ジャンヌはジャンヌで大概だけど
元々直接戦闘するタイプではないためか、攻撃力が低く設定されている模様。また、宝具を使うと本当に死ぬ

Zero』からの参戦サーヴァントを決める事前投票で参戦が決定した、征服王ことイスカンダル。
ムーンセルにトップサーヴァントとして召喚された故か様々な技能が底上げされているが、その豪放磊落な性格は相変わらず。

無所属

特にどの陣営にも属さないサーヴァント。

人類史に名高い数学者。聖杯戦争には参加せず、ムーンセルの技術者を任せられている特殊なサーヴァント。
理性と合理性を良しとし、できるかぎり自らの主観によらない、客観的な正しさで物事を納められるよう努めている。
理性と合理性を良しとし、できるかぎり自らの主観によらない、客観的な正しさで物事を納められるよう努めている。

皆さんご存知ブリテンの騎士王アーサー。ムーンセルに呼び出されたトップサーヴァントの一騎にして、ヴェルバー対策のファイナルセーフティ。
本編の物語には一切関わらない、所謂隠しキャラ的な立ち位置。思いっきりパッケージにいて、思いっきり超強いけど。


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最終更新:2024年01月28日 05:01