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中島春雄

登録日:2019/05/29 Wed 21:58:55
更新日:2026/03/20 Fri 11:27:37
所要時間:約 7 分で読めます




中島(なかじま)春雄(はるお)は、日本の俳優、スタントマン。


プロフィール

生年月日:1929年1月1日
没年月日:2017年8月7日
出身地:山形県酒田市
身長:168cm
特技:水泳・素潜り

来歴

実家は肉屋を営んでおり、五人兄弟の三男として生まれる。14歳から16歳までの間、海軍に所属していた。

1947年に広告を見て「東宝俳優学校」に応募して俳優養成所の門をたたき、東宝などの映画撮影所に出入りするように。
そして、1949年に黒澤明による監督作品『野良犬』でデビューを飾ったと思いきや、春雄の出演シーンは編集によりすべてカットされてしまうという憂き目に遭った。

1950年に俳優学校からの誘いで東宝に入社し大部屋俳優(正式な所属表記は「Bホーム」の「B2」所属俳優)となる。
「大部屋俳優」というのはクレジットに名前の出ない…つまり端役や斬られ役といった端役を演じる俳優たちの通称である。

1953年に出演した『太平洋の嵐』では吹き替え(今でいうスタントマン)で全身火達磨となってファイヤースタントを担当。
この時期にはこういった仕事を多く担っていたという。

そんなこんなで大役に恵まれずにいたが、1954年に遂に転機が訪れた。
東宝が贈り出す日本初の特撮怪獣映画に登場する怪獣・ゴジラの「ぬいぐるみ(着ぐるみ)」に入る役として指名されたのだ。
春雄は後に「何故自分だったのか本当のところはよく分からなくて、『太平洋の鷲』で火だるまになった航空兵のスタントの演技が良かったからとも言われてるけどね」と語っている(「俺とゴジラ」第四回前編より)。

撮影前の着ぐるみのテスターには春雄ともう1人の俳優の手塚勝己が挑戦。
先に挑んだもう1人は3mほどでセットにつまずき転んでしまったのとは対照的に、
春雄は海軍上がりだったこともあり、その肉体を遺憾なく発揮して10mも歩いてみせたという。

こうして未知の大怪獣を演じることになった春雄だが、その道のりは険しかった。
100kgを越す重さの着ぐるみ、温度は60度越え、視界も狭い。
そして何より、「ようやく射止めた主役なのに、顔が映らない」という事実…。

それでも春雄は音を上げることはなかった。特技監督円谷英二のアドバイスを受けながら、
自分でも動物園に通っては象や熊といった猛獣の動きを取り入れ、大怪獣に命を吹き込もうとし続けた。
また、プールを使用した撮影では、特技の水泳や素潜りが大いに役立った。


そして、春雄が体当たりで主役に挑んだ水爆大怪獣映画の『ゴジラ』は、評論家による「ゲテモノ映画」という下馬評を覆し、見事に大成功を収める。
ちなみに着ぐるみだけではなく、手塚と共に新聞社の記者役で少しだけだが顔も出して参加している。


この大ヒットで「怪獣映画」という新たな娯楽が日本に根付き、
ゴジラに後続作品が作られていっただけでなく『ウルトラQ』で家庭のテレビでも怪獣が観られるようになり始めた。
それらに登場する怪獣は、春雄演ずるゴジラのように役者が入って演じるものが大半を占めていた。

春雄はこうして「着ぐるみ役者」の草分け的人物となったのである。

英二とは互いに「春坊」「親父さん」と呼び合うほど親交を深めており、
『ウルトラQ』の時に「新しいTVをやるから手伝ってくれ」と声をかけられ、怪獣ゴメスを演じた。
以後も『ウルトラマン』『ウルトラセブン』に登場する怪獣も円谷のオファーにより担当している。
因みに、その中にはゴジラそっくりなやつの姿も…。

春雄演ずるゴジラも、時に激しく立ち回り、またある時はコミカルな仕草を披露し、観客を魅了してきた。
撮影時には、ゴジラの敵役である怪獣を演じる役者を指導することもあった。

50歳まではゴジラを演るつもりでいる春雄だったが、そんな折、悲しい報せが届いた。

――円谷英二の死である――。

自分を見出してくれた人物の死はやはり辛いものであったようで「ゴジラもおしまいか」と思ったと語っている(「俺とゴジラ」第四回後編より)。

春雄自身も東宝の俳優制度の廃止により契約解除となり、以後は東宝傘下のボーリング場に勤務することとなる。
その後、スタッフの願いで受けた1972年の『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』のゴジラ役を最後に、着ぐるみ俳優を引退した。

以後はゴジラ関係の取材やイベントへの出演を中心に活動していた。
海外でも春雄は広く知られており、"ミスター・ゴジラ"の愛称で親しまれていた。

2017年8月7日、肺炎のため死去した。88歳没。

主な出演作品

ドラマ

映画

ゴジラを演じた人々

  • 手塚勝巳
元野球選手という経歴を持ち、大部屋俳優でもトップの存在だったという人物。『ゴジラ』から『地球最大の決戦』まで中島と並びゴジラを演じた。『ゴジラの逆襲』では、ゴジラの敵役であるアンギラスを演じている。

  • 大仲清治
  • 関田裕
『ゴジラの息子』におけるゴジラの着ぐるみはミニラとの対比のため大きめに造られており、
春雄には合わなかったため長身である清治が選ばれた。
しかし、撮影の合間に行っていた野球の最中に指をケガしてしまい、その後は裕が代役を勤めた。
なお、春雄も一部の過去の着ぐるみを使いまわしたシーンではゴジラ役を担当している。

  • 高木真二
  • 図師勲
  • 河合徹
それぞれ『ゴジラ対メガロ』『ゴジラ対メカゴジラ』『メカゴジラの逆襲』でゴジラを演じた。
後者2名は近い時期のウルトラシリーズ等のTV作品でも怪獣等のスーツアクターを担当していた。

  • 薩摩剣八郎
1971年の『ゴジラ対ヘドラ』でヘドラ、1972年の『ゴジラ対ガイガン』でガイガン役を担当(当時は「中山剣吾」名義)。
春雄演ずるゴジラと戦う怪獣を2度も演じた。
そして1984年の『ゴジラ』では自身の劇団の役者をゴジラ役に推挙するが、その役者に断られた為、他に方法もなく初めてゴジラ役を演じ、以後『ゴジラVSデストロイア』まで演じ続けた。
特にバーニングゴジラの過酷な撮影は伝説となっている。
また、ゴジラに影響を受け作られたという北朝鮮の映画『プルガサリ 伝説の大怪獣』でも主役の怪獣プルガサリを演じている。

  • 喜多川2tom
主にスーパー戦隊シリーズ等の東映特撮でスーツアクターとして活躍。
1998年の『モスラ3 キングギドラ来襲』でのキングギドラ役が評価され、『ゴジラ2000 ミレニアム』から『ゴジラ FINAL WARS』までゴジラ役を演じてきた。

  • 吉田瑞穂
ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』にてゴジラ役を担当。
当時放送されていた缶コーヒーのTVCMにてフィーチャーされており、それが印象に残っている人もいるかもしれない。
ゴジラ以外の怪獣映画では『ガメラ2 レギオン襲来』の巨大レギオンや、平成モスラのデスギドラやダガーラを演じている。

  • 野村萬斎
狂言師でありながら『陰陽師』を筆頭に俳優としても活躍。
シン・ゴジラ』のゴジラ(第4形態)の動きを担当した。
なお本作のゴジラは着ぐるみではなくモーションキャプチャーで読み込んだ萬斎氏の動きにCG合成する形で表現されており、
画像検索すると演者の萬斎氏がセンサー付きの全身タイツとゴジラのマスクをつけているというややシュールな画が見られる。
また、「掌を上に向けた」特徴的なあのポーズは萬斎氏の発案によるもので、珠を持つ龍や仏像から着想を得たとのこと。
テレビ番組に出演した際にゴジラ模様のネクタイで現れ自ら進んで劇中の動きをやってみせるなど、ゴジラを演じたことはいい思い出になっている様子。
因みに、彼がゴジラ役であることは公開まで伏せられており、
エンドクレジットに名前が出た際「あれ、出てたっけ?」と思っていたらゴジラ役で驚いたという人が多かったらしい。

  • T・J・ストーム
スタントマン、ダンサー、格闘家とマルチに活躍するアメリカの俳優。『GODZILLA ゴジラ』及び続編の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でゴジラのモーションアクターを担当している。

  • アンディ・サーキス
『猿の惑星』シリーズなどでモーションアクターとして活躍する俳優。
『GODZILLA ゴジラ』の一部シーンでモーションキャプチャーを担当した。
ちなみに、サーキス氏は2005年公開の『キング・コング』にてコングのモーションアクターを担当しているため、着ぐるみとCGという違いこそあれど、中島に次いで世界で2人目となる、ゴジラとキングコングの両方を演じた俳優となった。





追記・修正は
1.すり足でゆっくり歩く
2.両腕をパカパカ動かす
3.「シェー」のポーズをする
これを順番通りにやってからお願いします。

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最終更新:2026年03月20日 11:27