劇場版 仮面ライダー対じごく大使

登録日:2020/03/26 Thu 21:38:54
更新日:2024/12/08 Sun 22:41:09
所要時間:約 4 分で読めます





あっ!新怪人カミキリキッドだ!ぼくらの仮面ライダーが、大型画面でおおあばれ!

出典:仮面ライダー対じごく大使/東映/1972年7月16日公開


1972年7月16日封切の、仮面ライダーシリーズ劇場用作品第二弾。
前作『仮面ライダー対ショッカー』のヒットを受けて制作された。
夏休み興行の「東映まんがまつりへんしん大会」のメインタイトル作品。
タイトルが「地獄大使」ではなく「じごく大使」なのは、普段の視聴者層よりさらに多くの年齢層に見てもらおうという考えによるものから。
内容は原作のエピソード「仮面の世界」を下敷きにしたもので、脚本段階でのタイトルは「仮面ライダー対ショッカー大要塞」だった。

前作のヒットもあって本作にも大きな期待が寄せられたが、様々なトラブルに見舞われてしまった。
いわゆる「藤岡弘失踪騒動」により、主役不在となったため撮影が中断。
テレビシリーズも騒動の影響を受けてスケジュールの変更を余儀なくされてしまい、本作で新怪人として登場するはずだったカミキリキッドが先行してテレビに駆り出される事になってしまった。
撮影が再開された後も、悪天候のために撮影が難航。サイクロンとオートバイ部隊の戦いのシーンでサイクロンを追いきれずピントがずれてしまうという映像として不完全な部分も出てしまっている。

内容についても、あくまでも「前作と比べて」ではあるが、「淡白で地味」という評判がある。
理由として、前作と違ってダブルライダー編でない事や多くの再生怪人が登場するがほとんどが決着を着けずにフェードアウトしてしまう事などがある。
また、本来新怪人として登場するはずだったカミキリキッドが先行してテレビに登場してしまったために単なる再生怪人のような印象になってしまった事も残念な事だった。

しかし、このような評価も前述の通り前作と比べてのものであり、決してこの作品がつまらないというわけではない。
前作が非常に大きな盛り上がりを見せた事と、諸事情によるトラブルが重なったある意味不運な作品と言えるのかもしれない。


【ストーリー】

「東日本ロードレース選手権」に出場した本郷と滝は、ショッカーの襲撃を受ける。
そのままアジトに潜入し、撃破に成功するが富士山に大要塞を築き「スーパー破壊光線」で日本を焦土としようとする新たな陰謀を知る。
我らが仮面ライダーは、ショッカーの陰謀を阻止できるのか……?


【登場人物】


バイクレースに出場していた所をショッカーに襲われ、その陰謀に立ち向かう。


滝和也
演:千葉治郎

本郷と共にレース中にショッカーに襲われる。
前作ではあまり出番が無かったが、本作ではライダーの相棒として大活躍する。


◆立花藤兵衛
演:小林昭二

レース中に姿を消した二人を気遣うが、現れたカミキリキッドに誘拐される。


◆ユリ
演:沖わか子
◆エミ
演:高見エミリー
◆トッコ
演:中島真知子

藤兵衛と一緒にカミキリキッドにさらわれて人質にされる。


地獄大使
演:潮健児

レース中の本郷と滝を拉致し、毒ガスと爆弾で始末しようとする。
更に、富士山に大要塞を築いて「スーパー破壊光線」で日本を焦土にしようと企む。


カミキリキッド
声:二見忠男

出典:同上

本作のメイン怪人。
再生怪人軍団を率い、ショッカー大要塞を警護する事が任務。
口からは白い痺れガスを吐き、角からレーザー光線を発射して攻撃する。
たとえ味方であっても、役立たずと見なせば容赦なく処刑する。


再生怪人軍団
前作と同じく多くの怪人が登場するが、ほとんどは決着を付ける事なくフェードアウトしてしまう。

カブトロング
最初に本郷たちが潜入したアジトで登場。
毒ガス室の出入口を塞いでしまうが、脱出されて「ライダーチョップ」で沈黙。

ハリネズラス
ショッカーを追う本郷を妨害する部隊に命令を出す。
本当にわずかしか登場せず、何のために登場したのかわからない。


カミキリキッドと共にライダーを急襲。
ギリーラは決着が付かず、ゴキブリ男はライダーに情報を漏らそうとしたためカミキリキッドに処刑された。
セミミンガは富士山で騎馬隊を率いて再びライダーを襲うが、滝に人質を解放されたために撤退した。


地獄大使を追うライダーをオートバイ部隊を率いて襲撃する。
オートバイ部隊が全滅したために撤退。


富士五合目で本郷と滝の前に立ちはだかる。
エイキングはテレビでしていなかったベルトを着用しており、ムササビードルは今回は間違えず名前を名乗っている。
倒されたのはザンブロンゾ、ミミズ男、毒トカゲ男のみ。


【その他】
序盤に、アジトとして登場しているのは当時有名だった町田の廃墟「お化けマンション」。
外壁の無い異様な外観のうえ、東映の生田スタジオに近い上に撮影料がタダ、という便利さから本作を含めライダーなどの特撮の撮影で多用された。
しかし、廃墟化した経緯が「工事の途中で『無許可造成による訴訟』と『建築基準法違反の発覚』で『建設を進められず、しかし裁判が終わるまで取り壊しも出来ない』まま吹きさらしのまま放置」だったので当時ですらコンクリートが劣化しており、「撮影中に揺れた」「いつ崩れるかヒヤヒヤしていた」とライダーのスタッフが証言している。
にもかかわらず本作ではヘリコプターを降ろすという無茶をやっている。

本作をはじめとする「へんしん大会」が思ったよりも客足が伸びなかったのか、早々に打ち切る映画館もあった。
大阪の梅田東映では7月30日から大作ヤクザ映画「博奕打ち外伝」の公開に踏み切り、初日には主演の鶴田浩二や高倉健など出演者が舞台挨拶に立つなど力を入れたが客足は「へんしん大会」を下回り支配人を嘆かせたという。




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最終更新:2024年12月08日 22:41