ミゲル(呪術廻戦)

登録日:2020/06/07 Sun 13:38:00
更新日:2025/03/16 Sun 18:36:32
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ノラリクラリ 夏油ノ仕事ガ終ワルマデ 遊ビマショ


呪術廻戦』の前日譚『東京都立呪術高等専門学校』の登場人物。



概要

夏油傑一派の一員として百鬼夜行テロに参加した呪詛師。
ファンブックによれば、海外で夏油にスカウトされて日本に来日したとされる。

アフリカ系の黒人で、サングラスとベレー帽風の帽子を被っているスキンヘッドの男性。劇場版の様子から察するに出身はケニア共和国の可能性が高い。
服装は白に紫のラインが入ったシンプルな上着に、黒無地のシンプルな長ズボン。

夏油一派のメンバーと言っても登場シーンは10ページもないなど文字通りの脇役…の筈だったのだが、『呪術廻戦』本編が進むにつれて存在感が加速度的に増した名脇役。
何気に本編と前日譚を含めても、現状3人しかいない外国人の呪術師の1人である。*1
特級呪術師の九十九由基によると「海外は術師や呪霊の発生が日本と比べて極端に少ない」らしく、その点も後述する強さと異常さを際立てている。

255話にて、本名は「ミゲル・オドゥオール」だと明らかになった。


人物

一人称は「俺」
五条の足止めを行う際もふてぶてしい態度を崩さなかったかなりの自信家である。
日本語には不慣れなのか言動は片言であり、五条曰く「ボビー・オロゴンみたいな喋り方」*2

夏油には軽口を言える程度には親しい或いは対等な仲な様子で、後の『呪術廻戦』本編で、夏油一派の1人であるラルゥと同じく「夏油をにする」という目的のために夏油の配下として活動していたことが明らかになっている。
夏油への忠誠心と好感度は本物であり、「俺は夏油だからついていったんダ」とまで語る程。
夏油への深い情を持つ反面、味方以外の存在にはとことんドライ。
そもそも彼としては見逃して貰った恩は乙骨の面倒を見たことで完全にチャラ扱いであり、日本におけるゴタゴタに関わり合う気は元々ゼロ。
当然対両面宿儺戦への参加を乙骨に依頼された際はラルゥに説得されるまで只管難色と拒否反応を示しており、超重複同化呪霊の出現に対して「俺の祖国までデカい呪霊がゴジラよろしくやって来てモ宿儺とやるよりマシ」と語っていた。

能力


アンタノ相手ハ 俺ダヨ 特級


五条悟から一目見られただけで「面倒くさそうなやつがいる」と極めて高評価を与えられた実力の持ち主。
しかもその場には夜蛾学長冥冥といったベテランの1級術師達もいたにもかかわらず、五条が一目で自分が直接相手しなければならないと判断した程である。
ちなみに特級呪霊の中でも最強格の実力者が揃った真人ですら、そんなことは全く言われてない。
地味に「術式反転:赫」と思わしき無下限呪術による攻撃を受けても殆ど深傷になっていないなどタフネスも一級品*3

しかしミゲルが注目されやすいのは、希少な呪具があったとはいえ、キレた結果六眼を解禁した本気の五条悟相手に10分以上も足止めし、最終的に五体満足で生き残った上で任務を達成する快挙を成し遂げた規格外の人物であるという一点である。
キレた五条の強さと容赦の無さはこの作品においても規格外の一言であり、単純なステゴロと大技ですらない術式の基礎的な運用だけで、上位の特級呪霊達をまとめて縊り殺せる程である。

現状伏黒甚爾と並んで、本気の五条相手に正面からしぶとく抗えた希少な人類の1人。
加えて伏黒甚爾の場合は
  • 数週間にわたる入念な下準備と巧妙な奇襲を駆使して初めて致命傷を与えたこと
  • 当時の五条がまだ呪術師として発展途上であったこと*4
これらの前提条件の上であり、それを踏まえると黒縄以外に大した下準備もなくいきなりキレてる五条の前に出てきて宣戦布告し、そのまま10分以上戦い続け五体満足で役目を完遂・生還したミゲルの偉業が分かりやすい。
夏油のばら撒いた呪霊も利用して戦ったという前提を置いたとしても何なんだお前
後に、呪術廻戦本編で五条は虎杖に「体術等の基礎でゴリ押ししてくる相手の方が僕は怖い」と発言していたが、これはミゲルや甚爾のことを言っていたと思われる。

その為、話が進み五条の強さが明らかになったりアニメで五条のバトルが放送されるに比例して、相対的に評価が上がり続けていくキャラクターとして読者からよくネタにされる。
ファンブックでも殆ど情報が明らかにされておらず、「強い」としか紹介されなかった。そんなのみんな知ってる


そして、2021年12月に『東京都立呪術高等専門学校』が呪術廻戦0(映画)として映画化されると、これまで謎に包まれていた戦闘力が遂に映像化で深掘りされる。
劇場版では、五条との戦闘時間が最低12分以上に拡大。戦闘スタイルも黒縄による攻撃に高速の体術を組み合わせた王道な戦法であることも描写された。
五条の高速打撃+無下限呪術の猛攻に終始圧倒されたりボコボコにタコ殴りにされても、*5肉体欠損やノックダウンをすることなく呪霊を盾にしながら五条の攻撃に食らい付いて捌き切り、原作同様の時間稼ぎを完遂した。
なお、高速打撃戦に関しては比較的真っ向から対応できていた。

ちなみに五条の高速打撃は、特級呪霊の中でも特に高い耐久力を誇る花御が領域展延を使ってようやく耐えきれるレベルのものであり、それに呪力ガードだけで耐えきったミゲルの異常なまでの耐久力の高さが改めて窺える。
実際にミゲルの盾にされる形で間に入った呪霊は全て一撃で消し飛んでいる


このように劇場版で上がりに上がり過ぎたハードルを踏まえて約7年越しに明らかになった実力の実態は、黒人の骨格(フレーム)筋肉(フィジカル)からくる肉体アドバンテージを呪力強化で底上げして武器とする小細工抜きでシンプルに強いタイプの強者。
「術式なし」「呪力強化あり」の条件下の元身体能力を競った場合「点の動きなら多分負ける」と五条に断言されている。
実際宿儺の解の連射を踊るような動きで完璧に回避している点から、身体能力は飛びぬけて高い。
一方でミゲル本人としては黒人だから日本人より強いという意見には不満らしく、それらをレッテル扱いした上で「俺が特別なのは黒人だからじゃない。俺が俺だからサ」と語っている。

黒縄(こくじょう)


(モウ半分モ残ッテナイ…!!)
コレ1本編ムノニ俺ノ国ノ術師ガ何十年カケルト思ッテル!!

ミゲルの母国で作られた黒い縄紐のような呪具。劇場版では黒というより茶色いロープのようなデザインで表現された。
正式名称は第二部で判明。
五条によると珍しい呪いが編み込まれているらしく、ミゲルの母国の術師が1本編み上げるのに何十年も掛けるという国宝レベルと言っても過言ではない貴重な逸品。
等級は不明だがファンブックでは「特級に相当(要約)」と紹介されており、ミゲルはそんな国宝級の特級呪具を束で装備している。

効果は「あらゆる術式効果を乱し相殺する」こと。
劇中ではのように扱って無下限呪術の術式を乱して発動を妨害させ、更にかすり傷とはいえ無限の防御を貫通して五条の身体にダメージを与えることに成功している。
欠点は消耗品なのか術式を妨害する度にどんどん短くなることで、五条との戦いでは無下限呪術が規格外さ故かとんでもない速さで消耗していくことに愚痴っていた。
その為に、ミゲルは事実上呪具の使用回数を制限された状態で任務に当たり、かつキレた五条への対処を要求されていた模様。

劇場版では隠者の紫のように黒縄自体が自在に伸縮する呪具としても描写されており、術式の相殺以外にも
  • 伸びた黒縄で周囲のオブジェクトを絡め捕ってぶん投げる
  • 伸びた黒縄を絡み付かせて物体を引き千切る
  • 電柱に絡み付かせてターザンロープのように移動の補助に用いる
といった感じのトリッキーな攻撃にも用いていた。


術式の妨害・無効化効果を持った呪具は、後に本編でも特級呪具『天逆鉾』が登場して実際に後に並べて挙げられている。
こちらはミゲルの縄と違い消耗はしないので使用制限はなく、またという性質上殺傷力でも天逆鉾に軍配が上がるが、リーチ面では縄の方に軍配が上がる。
加えて天逆鉾と違い、相手の術式発動のタイミングに合わせて縄を相手に命中させないと効力が無いという欠点もある。
裏を返せば五条相手に術式の発動を見極め、且つ縄を併用した体術で喰らいつけるというフィジカルの高さを示し、ミゲル自身の実力の評価はやはり上がっていく。
小説版では、この黒縄を使った対五条の戦法は「鉄の盾一つで砲弾の雨の中に突撃するようなもの」と評された。本当に何で生き残れたんだお前…

『呪術高専』の時間軸における百鬼夜行での戦いで全て消費してしまった為、『呪術廻戦』時点では現存していない。


祈祷の歌(ハクナ・ラーナ)

7年越しに明らかとなったミゲルの生得術式。
肉体でビートを刻むことで自身の身体能力を強化向上させ、逆に相手の呪いを退けるもの。領域無しで自身と相手のバフとデバフを引き出す地味だが堅実で便利な能力。
「身体能力」という自身の強みを最大限に高める術式であり、五条曰く「便利だけどそこまで怖くはない」「やっぱおっかないのはその肉体だよ」

術式名はスワヒリ語で「呪いなどない」を意味する言葉。
踊っていたダンスはアフリカのグロ族のザウリダンス説が挙げられている。


【劇中での活躍】

夏油一派の百鬼夜行テロにて登場。
「五条悟の足止めと時間稼ぎ」という百鬼夜行における最大の大役を任せられ、五条の規格外の強さに冷や汗をかきながらも対応。
縄の呪具を半分以上消耗した上で、「(ノルママデアト10分弱…)死ンダラ祟ルゾ!!夏油! 」と毒吐きながらも、10分以上も一人で五条相手に喰らい付いて時間稼ぎの任を全うした。

呪術廻戦』でも同種のシチュエーションが存在したが、この場合は足止めを求められた時間は最低20分間。しかも周りを一般人で固めて術式を封じ、その後は真人の改造人間を千体以上も投入して撹乱。さらに領域展延などの無下限対策をした特級呪霊が複数がかりで戦っての上である。
これだけの条件を揃えても「五条悟の長時間の足止め」とは、特級呪霊の漏瑚が思いっきりブチギレ、他の特級呪霊達すら例外なく(普段はふざけた言動の多い真人ですら)真顔になる程のトンデモない無茶ぶりである。
実際に五条自身、例え術式を封じられたとしても単純な身体強化によるステゴロ、基礎的な呪力運用だけで特級呪霊を複数まとめて圧倒し、瀕死にまで追い込む程の規格外の怪物である。
殺意の違いはあったことを考慮したとしても、特級呪霊相当4人がかりで同じ時間稼ぎの任務に当たった結果、仲間1人を失いながらも紙一重でようやく達成したことを考えると、改めてミゲルのやった事の凄さが窺える。

百鬼夜行テロ後は逃亡していたが五条に見つかり、百鬼夜行の件をネタに半ば脅迫される形で、里香を失った乙骨憂太を押し付けられる羽目になる。
渋谷事変発生までは、乙骨と共に海外を旅していたことが扉絵やアニメOPから示唆されていたが、後に五条の頼みで母国アフリカで黒縄のストックを探していた*6と明かされた。
小説版によると乙骨の事は素直だとして気に入っており、特に夏油の件でのわだかまりは無い模様。
それに対して百鬼夜行で散々やられたトラウマと、現在進行形でコキ使われている事から五条の事は嫌っているらしく、乙骨と同行時に五条がやってきた際は「会いたくない」と面会を拒否し、五条が現れた際には「何でお前がここにいる」と露骨に嫌そうな顔をしていた。

本編

乙骨帰国後の動向は不明。
乙骨に同行して黒縄の再調達のための窓口のような働きをしていたようだが、本格的な出番はなし。
話が進むたびに五条の強さが跳ね上がり、比例して彼のハードルも上がりに上がっていく状態に陥っていたため、半ばネタ交じりで新宿決戦参戦を期待されていたミゲルであったが…


知らん顔だな

俺を知らないとはモグリだネ

これだから島国の人間はアンテナが低くて困るヨ


新宿での両面宿儺との決戦において、五条と鹿紫雲の戦死、日車・日下部が戦線離脱、乙骨が大ダメージを負うなど戦局に暗雲が立ち込める中、満を持して堂々の参戦を果たした。
日本での生活に適応したのか定かではないが、語尾以外は普通に流暢に話せるようになった模様。


余談

作者曰く「百鬼夜行MVP」。本編での活躍を考えれば納得の評価だろう。
そしてこれをキッカケに苦労する事になるとも語られている。
読者からの渾名は「ボビー」

また、呪術廻戦の主題歌である青のすみかを作曲したキタニタツヤ氏は過去に「PINK」という曲を出していた。
曲のMVではジョエル・ショウヘイというダンサーが禍々しく艶めかしいコンテンポラリーダンスを披露しているのだが、後にそのジョエル氏が舞台版の呪術廻戦にてミゲル役に選ばれる事になった。
「踊ることで強くなる呪術師」の役かつ、「呪術廻戦と縁が深いキタニタツヤ」という謎のつながりはある意味で奇跡かもしれない。




追記修正は五条悟を10分以上足止めしてからお願いします。できるかッ!

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最終更新:2025年03月16日 18:36

*1 一応外国人のハーフ外国の血を引くクオーターはいるが、生粋の外国人はミゲルと同じ仲間のラルゥ、第二部に出てきたシャルルだけ

*2 劇場版においてこのセリフは「僕の1秒の方が勝ってる」に変更されている。(そして夜蛾学長に「建物はあまり破壊するな」と言われたにもかかわらずめちゃくちゃ建物を破壊した…) 

*3 尤も赫は甚爾や漏瑚も普通に耐えきっていたが

*4 反転術式を習得していなかった為、派生技の術式反転:赫及び虚式:茈が使用出来ず領域展開も未習得。

*5 イメージはアニメ7話での漏瑚戦を浮かべると分かりやすいが、それよりもずっと速く激しい

*6 なお上記の通り現存しないため無駄足だった。