ゼッパンドン

登録日:2020/07/19 Sun 00:26:52
更新日:2025/01/10 Fri 20:25:37
所要時間:約 4 分で読めます







憶えているか?お前が引き千切ったマガオロチの尻尾…


そんな馬鹿な…!?


さあ、始めようか。ゼットンよ…

\ゼットン!/
ゼット-ン…

パンドンよ…

\パンドン!/
キェキェ-!



お前達の力、頂くぞ!

ピポポポポ…

ピポポポポ…

画像出典:ウルトラマンオーブ(2016年7月9日~12月24日) 第17話「復活の聖剣」より
@円谷プロ、「ウルトラマンオーブ」製作委員会

ピポポポポ…

超合体……

ゼッパンドン!!!

ゼッ…パン…ドォォン!


ゼッパンドンとは、『ウルトラマンオーブ』などウルトラシリーズに登場する怪獣である。

声:青柳尊哉


【プロフィール】


別名:合体魔王獣
身長:60m
体重:4万5千t


【概要】

初出はウルトラマンオーブ第16話「忘れられない場所」。

今作のライバルキャラジャグラス ジャグラーウルトラマンオーブサンダーブレスターに切断されたマガオロチの尻尾を核として、
ダークリングでゼットンパンドンの怪獣カードを読み込み、その力をマガオロチの尻尾に送り込むことで誕生した合体魔王獣
鳴き声はゼットンパンドンをほぼそのまま混ぜたもので、「ゼッパンドン」と鳴いているようにも聞こえる。
名前の由来もそのまま「ゼットン」と「パンドン」から。
そのせいで「実はネーミングセンスは酷いんじゃないか」「ベリュドラとか寿限無になりそう」などとジャグジャグにあらぬ疑惑がかけられた。「超合体」とかかなり安直な事言っちゃってるし、もしかすると…?もしかした

画像出典:ウルトラマンオーブ(2016年7月9日~12月24日) 第17話「復活の聖剣」より
@円谷プロ、「ウルトラマンオーブ」製作委員会

外見は体の内側はゼットン、外側はパンドン、尻尾には媒体となったマガオロチの尻尾がそのままくっ付いており、全ての意匠を加えた異様な姿となっている。
そしてその頭部は、素材となった3体のどの怪獣とも似ていない頭部が新たに生成されている。

ウルトラシリーズでたまに見られる合体怪獣の一種であり、原理的にはオーブのフュージョンアップと同じ。
「フュージョン怪獣」と言える存在で、この要素は次回作『ウルトラマンジード』のベリアル融合獣へと引き継がれた。
しかし、マガオロチ要素も鑑みると、後の映画『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』に登場したオーブトリニティと同種の「トリニティフュージョン怪獣」とも考えられる。

劇中ではジャグラスジャグラー自身がゼッパンドンと一体化することで、彼の人格と思考を宿した怪獣として登場する。
初登場エピソード以後は出番こそ少ないものの、自力では任意に巨大化出来ないジャグラーの切り札兼代名詞として要所要所で活躍するようになる。


【戦闘能力】

口から吐く強力な火球「ゼッパンドン撃炎弾」が必殺技。
加えてマガ迅雷に似た電撃状光線を吐き、頭部にあるパンドンの口状部分からは紫色の光線「ゼッパン怪光線」を放つ凄まじい攻撃力の持ち主。
また単純な肉体スペックも、オーブのサンダーブレスター以外のフュージョンアップ形態が全く歯が立たないほど非常に優れている。

更に
  • 頭部のゼットンの顔状器官から2枚形成する強固な六角形のバリア「ゼッパンドンシールド」
  • 光線技を問答無用で吸収無効化するゼットン由来の光線吸収能力
  • 胸部の発光体が放つ超高熱により相手の武器を溶解・吸収する力
により防御面でも隙がない。
特に光線吸収能力はかなり強力で、ジャグラーも「ゼッパンドンに光線技は通用しない」と自慢気に豪語する程。
機動力に関してもゼットン由来の瞬間移動によりカバーできるため、見かけ以上に俊敏に行動し敵を翻弄。嘲笑うかのように瞬間移動を繰り返して攻撃や防御、回避に応用する。

これらの攻防共に極めて高い能力に、一体化しているジャグラスジャグラーの知性と狡猾さが加わることで、オーブを完全に凌駕する戦闘能力を発揮する。


【劇中での活躍】

自らを見詰め直すためにかつてナターシャと過ごしマガゼットンと戦ったルサールカを訪れたガイに襲い掛かったジャグラーが、
ガイに「滅びるか、闇に堕ちるかしかない」という現実を突き付け挑発するために生み出す。
いきなりスペシウムゼペリオンスペリオン光輪を能力を使いもせず、口で受け止めて煎餅のように噛み砕いて食べてしまい*1、更にスペリオン光線もゼッパンドンシールドで完全防御する。

ハリケーンスラッシュの高速移動も瞬間移動で逆に翻弄して、移動先を読まれてオーブスラッガーランスを突き立てられビッグバンスラストを食らうものの、
逆にオーブスラッガーランスをオーブが思わず手放すほどの高熱で赤熱化させて取り込んでしまった。

更にはバーンマイトのスワローキックが直撃しても小揺るぎもせず、ストビュームダイナマイトでも全く無傷という脅威の耐久力を見せるが、爆発に紛れて変身解除、撤退したオーブを見失ってしまう。

だが、一旦分離したジャグラーがナオミに襲い掛かり、それを助けるべくガイ=オーブが帰還した事を受けて再度出現。
またもオーブを圧倒し、制御することに成功したサンダーブレスターをも劣勢に追い込んでしまう。
そしてジャグラーは、先のギャラクトロンの一件でビートル隊からも攻撃対象になってしまったオーブを嘲り笑い、勝利を確信した。

しかし、108年前の真実、ナオミに繋がった命、そして彼女が歌う思い出の唄により、尻尾から聖剣オーブカリバーが出現。
それを手に取ったオーブは、ついに本当の姿・オーブオリジンを取り戻した。

それでもなお抵抗するも、復活したオーブオリジンの力は圧倒的。
ゼットシウム光線も弾いたゼッパンドンシールドも、オーブカリバーを地面に突き刺して放つ技「オーブグランドカリバー」に粉砕されてしまう。
そして最期はオーブスプリームカリバーを受けて爆発四散。
ダークリングもとなって消え、絶叫するジャグラスジャグラーの完全敗北という結末となった。


劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!


さぁ……クライマックスだ!


ゼットンさん!

\ゼットン!/
ピポポポ…ゼットン…




パンドンさん……

\パンドン!/
キェキェ-!ギェギェン!


闇の力、お借りします!!


超合体!

ゼットン…キェキェ-!

ゼッパンドン!!


画像出典:「劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!」(2017年3月11日公開)より
©円谷プロ、劇場版ウルトラマンオーブ製作委員会

ハァー…!フハハハハハハハハ!ハァッ!

その後劇場版にてダークリングが今も健在であり、
しかも宇宙で最も邪な心を持つという宇宙魔女賊ムルナウの手元にある事が判明。
密かに執事として彼女に従うふりをしていたジャグラスジャグラーは、隙をついて見事奪還に成功した。

そして、ムルナウの手下たちに苦戦するオーブを見て、
お前を倒すのはこの俺だ。こんな野郎どもに横取りされてたまるか」という名目ながらも、なんと再びゼッパンドンへの超合体を果たし、助っ人として参戦。
しかも今回は後の作品に登場したオーブに憧れる寄生生命体完コピするガイ/オーブそっくりの変身バンク付き&決め台詞黒タイツ、更にぐんぐんカットありと言う豪華ぶりであった。左腕を突き出すゼットンとパンドンが可愛い。*2
なお、ゼットンは光属性、パンドンは火属性なので闇属性の力はどこにもないどころかむしろ真逆の属性(マガオロチもあくまで「全」属性である)である。*3
闇の力とはあくまでも怪獣の力、或いはウルトラマンとは対極の力という意味といえる。スペシウムゼペリオンやサンダーブレスターに対抗したとも言えるか。

SSPからも声援を受け、オーブと協力してムルナウの手下に立ち向かうも、そのSSPが人質に取られてしまった事に動揺してしまい形勢が逆転。
宇宙人2人がかりで追い詰められた事で変身が解かれ、戦線を離脱してしまった。

正義の味方って……面倒くせえ……。

だが、それでもジャグラーは彼なりに奮戦し、ダークリングを次元の狭間に放り込むことで宝石化能力の効力が及ばないようにして、
宝石にされたウルトラ戦士たちを復活させるという大きな働きをする事になる。

ちなみにこの作品での登場のみマガオロチの力を使わず変身しているが詳細は不明。


ウルトラマンZ



ほぉう……フッ、やるねぇ。久しぶりに血が騒ぐぜ!!


HEBIKURA Access granted!


ゼットンさん。パンドンさん。マガオロチ……


〔ZETTON〕 〔PANDON〕 〔MAGA-OROCHI〕


お待たせしました。闇の力、お借りします!!


画像出典:ウルトラマンZ(2020年6月20日~12月26日) 第5話「ファースト・ジャグリング」より
©円谷プロ、「ウルトラマンZ」製作委員会・テレビ東京
……ではなくて、実は上記の画像の使い回し。


Z E P P A N D O N !


そうして『ウルトラマンZ』5話にて不意打ちと言わんばかりに登場。
書籍等で登場自体は判明したもののの予告では一切触れられていなかったため、5話に登場すること自体は誰も予想してなかった。
ヘビクラ隊長ことジャグラスジャグラーが、ウルトラゼットライザーを闇の力でコピーして生み出したダークゼットライザー「ゼットン」「パンドン」「マガオロチ」の怪獣メダルをスキャンして変身する。
ダークリング「合体したのか、俺以外の奴で……」

変身バンクではGo!プリみたいとか言われる動作で謎のカメラ目線をしたり、「お待たせしました」と言ったりと中々にメタいことをしてくれている。ご丁寧にもオーブ劇場版と同じ黒タイツ。
ウルトラシリーズ全体を通しても出番自体が極めて少ないことや、ゼットがそもそも体育会系で座学が苦手であるためかウルトラマンの中での知名度は低く、ゼットもその存在は知らなかった様子。*4
だがそれでも「ウルトラムカつく野郎」「何て強いヤツ」とこれまで戦った怪獣達とは別格扱いの評価を下している。
特にマガオロチ要素に関しては尻尾だけでなくマガオロチ全体のパワーをお借りしているのでもしかしたら当時以上の実力を誇るかもしれない…

ペギラ撃破後に突如乱入し瞬間移動や電撃などの攻撃でゼットを苦しめるが、最後はゼットランスアローによる必殺技・ゼットアイスアローを受けて撃破された。
ただし、ジャグラー自身今回は本気ではなかったようで、一部では「ゼットランスアローのチュートリアル」「闇の稽古」等と呼ばれる。
因みに、撃破後もダークゼットライザーが破壊されたり、ジャグラーの手を離れた描写もなく、ジャグラーも余裕のあり態度を崩さなかったことから、再登場の可能性は多分にあると思われたが、
第8話にてカブラギを襲撃した際にトライキング/ファイブキング変身用のメダルを入手し、飛行能力・光線吸収・熱線と冷凍光線の使い分けが可能・進化による手加減やピンチの演出と言った具合に使い勝手が良いためか基本的にそちらを使用する様になり(ゼッパンドンはどこをとってもラスボスが素材なので手加減しづらいのもある)、ゼッパンドンの再登場は最終回直前の第24話までお預けとなった。


画像出典:ウルトラマンZ(2020年6月20日~12月26日) 第24話「滅亡への遊戯」より
©円谷プロ、「ウルトラマンZ」製作委員会・テレビ東京

再登場となった第24話では、セレブロの変身したファイブキングとの夢の合体怪獣同士の対決が実現。
ファイブキングを一度はダウンさせたが、今度は変身が解除されて倒れていたハルキを人質に取られてしまい、やむなくファイブキングと正面からぶつかり合った結果痛み分けとなり、ライザーが壊れてしまった。
自分の目的よりも誰かの為に身体を張って傷付くのがジャグラーらしい。本人も「またやっちまった」と自嘲気味に呟いていた。

変身時の台詞や演出は「絆の力、おかりします!」の際の超合体バンクを踏襲している。
オマージュ故に、ゼットンとパンドンは当時と同じく「さん」付け。しかし、何故かマガオロチだけは呼び捨て。(この結果放送後サジェストに影響が出た。同期だから呼び捨てという考察の他、空耳から派生して「マガオっち」とあだ名で呼んでいたなんてネタもあった)
ダークゼットライザーを上に掲げるときのポーズもそのままで、腕を掲げるとご丁寧にダークゼットライザーが画面に重なりアップで出てくる。
ぐんぐんカットも「絆の力、おかりします!」からの流用で、ダークゼットライザーのバンクに違和感なく繋がるように編集してある。



余談

  • デザインは楠健吾が担当。
    「左右に分かれたパンドンの間にゼットンが挟まっている」というコンセプトであるが、
    監督の市野龍一の提案により単なる両怪獣のバリエーションとならないよう、サメをイメージした頭部が加えられている。
    そのため、単純な「ゼットンとパンドンの合体怪獣+α(マガオロチ)」というよりかは、
    「マガオロチの骨格にゼットンとパンドンのパーツを組み合わせた新たな怪獣」といった表現が正しいのかもしれない。

  • また、初期のデザイン画の一つにゼットンの胸の発光体がマガゼットンと同じ青になっている物もあるため、
    当初は「マガゼットン+マガパンドン」の合体怪獣としても考えられていたようだ。
    その為マガゼットンもマガパンドンも素体になっていないのに、合体魔王獣という初期構想の肩書きだけが残っている。(一応マガオロチはいるが…)
    また、ゲームの仕様変更によって今では見れなくなったものの、『ウルトラマン フュージョンファイト!』のジャグラーのミッションの中に『ダークリング暴走』というタイトルでマガゼットン・マガパンドンと戦うステージが存在していた。

  • 変身バンクに登場するパンドンはおそらくマガパンドンのスーツをCG加工、もしくは外すかでマガクリスタルをなくし、全体の色調を補正したもの。その為マガパンドン時の名残りで上半身がやや黒っぽく、クチバシもパンドン本来の黒っぽい赤ではなく金色のまま。
    後に本当にパンドンのスーツに改造され、『ウルトラマンタイガ』以降の作品に登場する。

  • 名前は前述の通りゼットンとパンドンを掛け合わせたものだが、市野龍一監督を始めとした撮影関係者曰く、
    名前の中に「ぜっぱん(絶版)」と入っていることから、出版業者からは「縁起でもない」と大不評なんだとか。
    さらにTV放送翌年に「絶版」を口癖とする、時を司る神の力!究極のラスボスライダーが出た為に一時期ネタにされた。
    • 何の因果か、2024年のTVシリーズ『ウルトラマンアーク』ではそのライダーの演者が主題歌を担当することになった。

  • Zでの変身時にマガオロチが呼び捨てだったことについては
    「オーブでジャグラーが生みだした思い入れのある怪獣なので呼び捨てにしたい」と青柳氏が監督に相談して台本から変えさせてもらったと語っている。音声収録では台本通りのさん付けバージョンもやってみたそうな。




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最終更新:2025年01月10日 20:25

*1 オリジナルのゼットンですらシャッターで止めており、また昭和の児童誌では「八つ裂き光輪ならゼットンも倒せる」と書かれていた(設定が今でも残っているかは不明)為、この時点でゼッパンドンが規格外の存在であるかを知らしめている

*2 なお、変身でぐんぐんカットを使った最初の怪獣はゼッパンドンではなくギンガのブラックキング(SD)。

*3 ちなみに、ゼッパンドン自身は火属性。

*4 というかオーブも他のゼッパンドンを見たことあるウルトラマンも光の国所属か怪しい連中ばかりなのでそもそも認知していない可能性すらある。