ペギラ

登録日:2018/09/18 Tue 21:35:00
更新日:2023/04/12 Wed 21:25:51
所要時間:これから約 10 分間、あなたの目はあなたの身体を離れ、この不思議な時間の中に入って行くのです





ペギラは、中心点で-130℃の冷凍光線を吐き、その際反重力現象が起こる。
一時的に重力が無くなり、物が紙のように舞い上がる。

出典:ウルトラQ/円谷プロ/第5話「ペギラが来た!」/1966年1月30日放送
出典:ウルトラQ/円谷プロ/第14話「東京氷河期」/1966年4月3日放送

ペギラとは、ウルトラシリーズに登場する怪獣である。初出は『ウルトラQ』。


概要

種別:冷凍怪獣
身長:40m
体重:2万t
能力:口から吐く冷凍光線

南極に住んでいたペンギンが、核実験の放射能の影響で突然変異した怪獣。
最大の武器は口から吐き出す冷凍光線(当時の撮影技術の都合上、どう見てもガスにしか見えないが……)で、マイナス130度にもなるこの光線を浴びた物体は空高く浮き上がってしまう。
このシーンだけを見ると風圧で舞い上がっているように見えるが、実際にはこの光線の反重力効果によるものである。
これは1960年代当時「超低温になると無重力状態になる」という学説があったためだが、ぶっちゃけ当時としてもトンデモ説だった模様。
また怪獣化した影響で、ペンギンでありながら空を飛ぶ事も可能。この飛行の際には黒い煙を纏う。

南極のコケから生成される物質「ペギミンH」が弱点
なお、そのコケはアザラシにも有毒であるが、同じ哺乳類のはずのには栄養価が高い模様。

デザインは成田亨氏、造型は高山良策氏が担当。
後年にガラモン、カネゴン、ゴモラゼットンエレキングキングジョーetc…といった後世に残る名怪獣たちを世に送り出してきたコンビによって最初に産み出された記念すべき怪獣である。
当時の怪獣はゴジラ(肉食恐竜)やキングギドラドラゴン)、ゴロー(猿)にモングラー(モグラ)など、一目でモチーフが分かる「いかにも生物らしい怪獣」が多かったが、このペギラは「現実のどの生物にも相当しない」という点でも特異な存在と言える。
デザインの革新性の面でも、黄金タッグの初仕事という面でも、日本の特撮史に大きな功績を残した怪獣である。


劇中での活躍

映像作品

第5話「ペギラが来た!」、第14話「東京氷河期」に登場。
第5話にて南極の観測所を襲撃。万城目や観測所の隊員達が作り上げたペギミンHを搭載したミサイルによって撃退され、逃亡する。

その1年後に当たる第14話では東京を襲撃。温暖化の影響で南極が住みづらくなったため、北極へと移動する途中に立ち寄った模様。*1
第5話に登場したものと同一個体と思われるが、鳴き声が違うため、別個体とする説もある。
零戦パイロットの沢村照男が操縦するセスナ機(中には爆薬と混合したペギミンHが搭載されていた)の特攻を受け、再び逃走した。
いずれのケースでも死亡していない事から、『ウルトラQ』屈指の強豪怪獣として名高い。

放送当時の漫画版では中城健と古城武司のバージョンに登場。
中城版は概ねTVシリーズ第5話と同様の展開だが、古城版は漫画版独自の後日談が描かれ、なんと南極に出現した岩石怪獣ゴルゴスと激突、さながら怪獣大決闘の様相を見せる展開になっている。
なお、どちらともペギミンHによって死亡することなく退散するのは映像作品と共通である。

藤原カムイ氏の漫画版『ウルトラQ Unbalance zone』でも概ね映像作品と同じ展開を踏襲しているが、こちらではペギラの弱点であるペギミンHの性質についても記述が割かれており、
「生物を発熱させる作用を有し、ペギラのような寒帯の生物が摂取すると適正体温以上に発熱させてしまう」と語られている。

TVシリーズ放送開始前に『ぼくら』誌で連載された絵物語版でも「ペギラが来た!」「東京氷河期」のエピソードが掲載された。
内容は概ね映像作品のシナリオを踏襲しているが、絵物語版「ペギラが来た!」ではペギラがペギミンHの散布を浴びて絶命するという展開になっている。

多数のエピソードに登場。
着ぐるみは2種類が存在しており、一方はアトラクション用で、もう一方は『ウルトラQ』のオリジナルの着ぐるみを改修したもの。
しかし、後者は元がオリジナルとは思えないほど劣化が激しく、特に頭部は新造形となっており、元の面影は欠片も残っていない。
いずれのエピソードでも、特に見せ場もなくレッドマンに倒されている。

  • 『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』におけるペギラ
第1話「怪獣無法惑星」に登場。
レイの操るゴモラと戦い、死亡した状態で登場。
戦闘の末、自身の体内の冷凍液が漏れ出し、氷漬けとなっていた。

第1話「星空の声」に登場。
冒頭、世界各国に怪獣が出現したニュース映像の中に登場し、シンガポールを氷漬けにしていた。その後の消息は不明。
またオープニング映像でウルトラマンエックスが戦う怪獣達の中にも、その姿が確認できる。

Episode3にて登場。
水の惑星リクエターで周囲を氷漬けにしながら暴れ回っており、惑星の住民と思われる子供のラゴンに襲い掛かろうとしたところ、駆けつけたウルトラマンリブットに阻止され、戦闘に。
激闘を繰り広げた末にリブットのギャラクシウムブラスターを受けて撃破された。

初登場から53年となる本作で遂にウルトラ戦士との対決が実現したのみならず、更には相手となるリブットもこれが実写作品初登場だったため、かなり美味しいポジションを頂いたと言えるだろう。

第5話「ファースト・ジャグリング」にて登場。
アラスカに封印されていたが、封印に使われた道具が日本へと運ばれたために封印が解かれてしまった。
これについてストレイジ開発班のオオタ ユカは「封印の道具を狙って日本に襲来したのでは」と推測を立てている。
ナカシマ ヨウコが駆る特空機2号ウインダムと戦うが、冷凍光線でウインダムを氷漬けにして動きを封じ、その後ナツカワ ハルキが駆る特空機1号セブンガーと交戦。
劣勢に陥るような事はなかったが、ハルキはペギラの動きを把握してセブンガーを操ったため、互角の戦いぶりであった。

更に今度はハルキが変身したウルトラマンゼットアルファエッジと交戦。
当初はゼット相手にも有利に立ち回っていたが、封印の道具がゼットの新たな武器「ゼットランスアロー」へと変わると相性の悪さからあっさりと倒された。
この回は最後にゼッパンドンが現れたために前座の扱いだったが、特空機を2機とも退け、ゼットとも互角に戦うなどかなりの強敵であった。

アバンのダイジェストに登場した3番目の巨大不明生物(後の禍威獣)。
『ウルトラQ』同様に東京を氷河期にした事が触れられているが、なんと人類の手による撃破に成功している。
作中ではとある「女性科学者」が弱点を発見したと説明されているが、それが誰かは不明。


その他の媒体

能天気な性格で一人称は「オイラ」。
空も飛べるし冷凍光線の威力も劇中最強レベルのヨクナオール草(本体)を行動不能にするレベル。
しかし飛びながら放つと、自分が冷凍光線を浴びる。

第42話「ジャングルの王者パーザン」に登場。
本放送当時2月だったのに何故か猛暑に襲われていたペンギン村に現れ、あっという間に冬景色に変えていった。

著作権関連の意識や扱いがまだ緩かった時代に実現したゲスト出演で、東映アニメーションが手掛けるペギラというある意味非常に貴重な個体である。

KADOKAWA版で擬人化されている。デザインは今泉昭彦氏。
着物を着た褐色ロリとしてデザインされている。着物を着ているのは雪女のイメージか。
翼は振袖として、角はアホ毛としてアレンジされ、当然ジト目である。

アニメ版と連動した小説『始まりの物語』ではアデリーナ・海堂が変身する怪獣娘として登場。
連載第3話において悪の環境テロ集団「荒野の狼」相手に事態解決のため奔走する活躍が描かれた。

TVアニメ版の後日談である映画『怪獣娘(黒)』ではGIRLメンバーとして登場(アデリーナと同一人物かは不明)。
レイキュバスハネジローライブキングと共に、本部に侵入したブラック指令に齧りついた。


余談

  • 初代『ウルトラマン』には有翼怪獣チャンドラーというペギラそっくりな怪獣が登場する。
    ペギラとの違いは耳がある事、色が焦げ茶色である事、腹の斑点が多い事など。もちろんペギラの着ぐるみの改造である。
    能力面では冷凍光線も飛行能力も持たないなど、ペギラの完全劣化版で、レッドキングに翼を引きちぎられた事で戦意喪失し、逃走した。
    ちなみに劇中では両者がそっくりな点について言及されていないが、各種書籍では兄弟怪獣説(ぺギラが兄、チャンドラーが弟)、他人の空似説などが記載されている。
    なお、『ウルトラマンパワード』にはパワードチャンドラーが登場するが、こちらは完全なオリジナル怪獣としてデザインされている。

  • ウルトラマンレオ』には暴れん坊怪獣ベキラという極めて紛らわしい名前の怪獣が登場するが、特に関連性はない。

  • 「東京氷河期」でペギラが東京へやってきたのは元々棲んでいた南極が人為的原因で温暖化し、北極へ移住を試みたためである。
    だが「温暖化」の原因は温室効果ガスによる気候変動ではなく、なんと南極に設置された原子力発電所の事故
    「なぜ北極も寒いとペギラが知っているのか」「南極の気候が変わる程の原発事故とはどんな大爆発なのか」「怪獣物のお決まりとしてアザラシやシャチが怪獣になって暴れ出さないのか」「そもそも南極が温暖化したら東京は氷河期になる前に水没するのではないか」など謎はつきない。
    • 「南極にわざわざ原発を設置するはずがないのでは?」と思われるかもしれないが、実は1960年代、南極に原発は実在した。
      アメリカのマクマード基地に年間を通じて火力発電用の燃料を供給するのが困難だった事から、「じゃあ燃料補給しなくていい原発を作ろう!」というアメリカらしいワイルド極まる発想により1962年に建設。
      幸い我々の世界ではこの原発は爆発せず、燃料輸送技術の向上により1972年に閉鎖された。


追記・修正はペギミンHを見つけ出してからお願いします。

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最終更新:2023年04月12日 21:25

*1 余談だが北極と南極なら南極の方が寒い。詳細は後述。