ムベ(ポケモン)

登録日:2022/02/26 Sat 22:24:03
更新日:2025/03/22 Sat 18:31:36
所要時間:約 7 分で読めます





わしほどの達人となれば

イモモチは一味も二味も違うわけよ



ムベとは『Pokémon LEGENDS アルセウス』に登場するキャラクターである。


概要


一人称は「わし」。
頭巾を巻いた老齢の男性で、黄緑色の髭と襟足を生やしている。
寄る年波ゆえか腰は曲がっている上、お盆を持つ手をよく見てみると小刻みにプルプルと震えていて心配になる

物語の拠点であるコトブキムラにおいて定食屋「イモヅル亭」の店主を務めており、ヒスイ地方の各地で採れるケムリイモを調理したイモモチを主に提供している*1
主人公がキングを鎮めるなど任務をこなした後は、ここでラベン博士と先輩ショウorテル*2と共にイモモチを食して英気を養うのが定番。
主人公がケムリイモを所持していると、個人で店よりも高い値で買い取ってくれる他、その扱いはクラフトにまで及んでおり、ケムリイモを使ったレシピである「めかくしだま」を先輩に教授してもいる。

ギンガ団の団長にしてコトブキムラの実質的なリーダーであるデンボクに対しては、呼び捨てかつため口で接するなど、彼とはどうやら長い付き合いがあるようだ。

子孫に関しては、髪色からしてシンオウ地方四天王のリョウ、あるいは飲食店を営む緑髪の人物という点でデントかと推察されるが……?


劇中での活躍


ラベン博士に連れられ、初めてコトブキムラを訪れた主人公に対し、ムラでは見かけなかった人物で、かつこの時代基準ではおかしな格好をしていた事もあって「うろんな奴」「よそもの」として店前から追い払ったり、ラベン博士に連れられ改めて食事に来た時にも主人公を「おかしな人間」呼ばわりしたりする。
フォローしておくと、コトブキムラに足を踏み入れた当初は他の村人たちからも怪訝そうな顔で見られるので、何もムベだけが特別辛辣というわけではないが。

主人公が調査隊としてギンガ団に入団して活躍し始めると態度を軟化させ、積極的にイモモチを振る舞うようになる。
特にバサギリドレディアなどのキングを鎮めた際には、笑顔で出迎えてくれるようになる

このように、出番としてはイモモチを振る舞う際に出てくるサブキャラにすぎず、メインシナリオにはそこまで関わってこないと思われていた。




ところが……!



※以下、ストーリーのネタバレを含みます!







物語の終盤、「シンオウさま」とデンボクを止めるべく「天冠の山麓」のシンオウ神殿へ急ぐ主人公は、山頂へと続く道である「岩の門」でムベと再会する。
どうやらデンボクに食料補給の指揮を任されたらしく、そのためこんな僻地まで駆り出されたようだ。

しかしムベは愚痴をこぼした直後、とんでもない台詞を吐いてくる。

「さあて 使われついでだ」

「あんたを始末するとしようか」


おそらく大部分のプレイヤーは、ここで表示される主人公の選択肢「本気ですか?」「意味不明です」の両方に共感した事だろう。
何故敵対する必要があるのか、そもそも盆を持つのも精一杯そうな老骨の爺さんに何ができるのか、と。

実はムベはデンボクの懐刀で、デンボクの障害となりうる者が現われた場合にはムベが対象を始末する約束をしていたようである。
ムベ自身もデンボクの「誰もが安心して暮らせる新天地を」という理想に賛同しており、その目的を妨害しようとする主人公を退けようと立ちはだかったのだ。

先輩にもレシピを教授した「めかくしだま」を使って一時的に目を眩ますと、次の瞬間には頭巾として巻いていた布を口元に当て、身体の各部に装甲を装着したシノビとしての装束へと姿を変えていた。アイエエエエ!ニンジャ!?ニンジャナンデ!?
そして主人公がキングを鎮める度、危機感を募らせていたデンボクとは対照的に、血が騒ぎ心が震えていたという思いを明かし、ポケモン勝負を挑んでくる。


「使いどころもなく衰えていくシノビの技」

「最後にふるまう相手が現われよったと!」


一人称は「拙者」へと変化し、戦闘開始時にはシノビらしく印を結んでいる他、モンスターボールもまるで手裏剣のように投げるなど、諸々があからさまにニンジャなのだ!
もう忍んでないじゃん、とか言ってはいけない。*3

敗北後は「勝てぬ相手を何度もねらうのはおろかなシノビのすること」として素直に敗北宣言をするとともに、ポケモンを上手く戦わせる主人公を認める発言をする
続けてポケモンの脅威として、かつて自分とデンボクがポケモンの大暴れによって故郷と同胞たちを失ったという壮絶な過去と、デンボクが時に強硬手段を用いてまでムラの平和とポケモンの沈静化に努めようとする理由を明かした。
そして自分を打ち負かした主人公の強さでデンボクを救うように頼み、無事解決したら「とびっきりのイモモチを食わせてやる」事を約束して激励し送り出すのだった。

クリア後は特訓所で再戦でき、戦闘後の台詞では献立の内容に悩んでいるとの話が聞ける。
また写真屋ではムベとツーショットを撮れるようになる。イモヅル亭での装いまたはシノビ装束の二種類があり、どちらのすがたで来るかはお楽しみ。ちなみに、衣装にバリエーションがあるのは着せ替えのできる主人公を除けばムベだけ。
なおイモヅル亭にいるときに話しかけると、これまでと同じくケムリイモを買い取ってくれるのは変わらないが、「ヒスイ地方でやるべき事は終えた、どこか暖かい土地へ向かおうかと考えている」といったことを話す(とはいえとある誰かのように会えなくなってしまうわけではない)。



手持ちポケモン



弱点が微妙にバラバラな上、初見では対策しにくいポケモンを揃えている。
しかも、相性が悪い場合はすぐにポケモンを入れ替えて効果抜群を狙ってくるなど、これまで相手にしてきた者とは一線を画する実力者。
最初の御三家にヒノアラシを選んでいたら、素早さとゴーストタイプの技で押し切りやすいかもしれないが、このタイプが手持ちにいないと苦戦を強いられることに。

ちなみに特訓所でも同じ手持ちで挑んでくるが、こちらでは全体のレベルが4上がっている。


イモモチについて


イモヅル亭でムベが振る舞うイモモチは、このゲームオリジナルの食品というわけではなく、北海道など*4に実在する歴とした郷土料理である。北海道をモチーフにしたヒスイ地方ならではのチョイスと言えよう。

北海道のイモモチの大まかな作り方としては、

1.皮を剥いたジャガイモを蒸かす
2.熱い内に麺棒などで潰していく
3.潰し終えたら片栗粉を混ぜて、粉っぽさがなくなりモチモチになるまで再度潰す
4.食べやすいサイズに成形しながらチーズなど好みの具を中に入れる
5.フライパン等で両面がキツネ色になるまで焼く
6.好みのタレをかけて完成

なお、「モチ」とは付くものの本物ののように餅米は使わないのが普通。

また、ガチグマの探索で拾える「ふるいポエム」の一部にもイモモチの作り方が記されている。
それによると

ケムリイモを採る
ケムリイモの皮をむく
ケムリイモに火を通す
焼くなり煮るなり好きにしろ
火の通ったケムリイモをつぶす
つぶしたものを練ってこねる
あとは焦げ目が付くまで焼け
ポケモンのわざで言うなら
ひのこでよい
かえんほうしゃはやりすぎ

とのこと。
現実のイモモチとの違いは、ジャガイモがケムリイモに置き換わった点と片栗粉が抜きな点くらいで、大まかな調理法は大体同じである。
ムベが何らかの方法でこのポエムを見てイモモチの作り方を知ったのか、はたまたポエムの筆者とムベでケムリイモの調理法が偶然一致してしまったのか真相は不明。

実際、ムベからも「ポケモンの技でイモモチを焼いて上手く作れた」という話が聞けるが、彼の手持ちが覚えているほのおタイプの技と言えば威力70のマジカルフレイムくらい。
しかしこれは「ちょうどよい」とされるひのこの威力40を優に上回り、「やりすぎ」とされているかえんほうしゃの威力80に匹敵する火力である。早業にしても威力55とひのこを上回っている。こんがり焼ける……のか?
戦闘用のポケモンに調理も担当させていたかは定かではないが、「やりすぎ」一歩手前の火力で調理できていたとすれば、ムベ本人も自負していた通りイモモチに関してはやはり達人なのだろう。


過去作登場人物との関連


瞳の色と頭巾を取ったさい露わになった髪型、ラルトス系統の手持ち、そしてエンディング後の会話で聞かれた「暖かい地に行こうか」との発言で指しているのは恐らくホウエン地方であることから、ミツルの先祖であるとの見方が強い*5*6
デントなどの要素はミスリードだったと思われる。別にデントの先祖であっても矛盾はしないが。

過去の惨劇で同胞を多数失ったためか、シノビとしての姿を明かして以降は自分の代でシノビが絶えてしまう事を度々嘆いている。
……だが、ご存知の通り未来の『ポケモン』作中世界ではガチ忍者が多数生きている
そもそも初代ではカントー地方ジムリーダーとして登場し、続編では四天王にまで上り詰めたキョウ、そしてその後任としてセキチクシティのジムリーダーを務めている彼の娘アンズと、シリーズ初期から社会的地位のあるネームドのシノビたちは登場している。
続く第三世代では、ムベが晩年を過ごしたと思われるホウエン地方からモブトレーナーとして「にんじゃごっこ」が初登場し、第四世代でも未来のヒスイ地方であるシンオウ地方にて引き続き登場している。
ちなみに「にんじゃごっこ」は「ごっこ遊び」の域を出ない者から本格的な者まで、子供とは思えない「忍術」を会得している。
更に第五世代では、ゲーチスの側近であるダークトリニティが「ごっこ」ではない久々のガチ忍者として隠密行動に従事している。
海外モチーフとなった第六世代以降でも、ゲッコウガのように忍者モチーフのポケモンがいる(ついでに、戦闘中のムベの待機モーションはゲッコウガのポーズとそっくり)ほか、
第九世代に登場するスター団の幹部の1人・シュウメイも忍者風の出で立ちで(何気に珍しいネームドの「にんじゃごっこ」といえる)、果てはアカデミーで忍者コスチュームが限定販売される始末……イベリア半島モチーフの地方なのに。

ともかく、このように「シノビ」という勢力はシリーズを通してもかなりの頻度で登場しており、ムベの懸念が全くの杞憂だとがわかる。
惜しむらくは、タイムパラドックスが発生してしまうので彼当人にその事実を伝えられないことか……。

アップデート後の『ヒスイの夜明け』では、コンゴウ団のリーダー・セキがムベのもとに弟子入りし、シノビと料理の技術を学び始めたことが判明した。
ムベの技術が伝わっていることを願うばかりである。

余談


  • 名前のモチーフはアケビ科ムベ属に属する常緑つる性木本植物「ムベ」で、別名「トキワアケビ」とも。
    皇室にも献上されてきた歴史を持つ。
    また、食べると長生きするという言い伝えから「伝説の果実」「不老不死の実」とも呼ばれている。




追記・修正はイモモチを作ってからお願いします。

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最終更新:2025年03月22日 18:31

*1 他にお品書きはあるか不明。特訓所でのバトル後には「そろそろほかの献立も考えんと」と話すようになるため、もしかしたらイモモチ専門なのかもしれない。

*2 男主人公を選んだ場合はショウ、女主人公の場合はテルが先輩になる。

*3 実際のところデンボクやムベはやろうと思えば姿も見せずに主人公を暗殺することも可能であったが、それをしなかった辺り彼らにも思うところがあったのだろう

*4 北海道以外の県にも同じ名前の郷土料理が伝わっているが、材料などに違いがある。

*5 更に言えば、名前の由来である「ムベ」もミツルの名前の由来であると思われる「クランベリー(オオミツルコケモモ)」と同じく「赤紫色の実を食する果物」である。

*6 あくまで非公式の言説であることに留意されたい。