死神(BLEACH)

登録日:2023/08/17 Tue 16:59:00
更新日:2024/09/02 Mon 15:43:37
所要時間:約 15 分で読めます







常人に私の姿を見ることなどできん

私は───…“死神”だ


死神とは、漫画『BLEACH』に登場する用語の一つ。





 概要


現世の人間界で死んだ魂が辿り着く、作中における所謂「あの世」である『尸魂界(ソウル・ソサエティ)』の住人が就く職業の一つ。
現世をさまよう霊を浄化し尸魂界へと送ることで、現世と尸魂界にある魂魄の量を一定に保つことが主な役割。

本作品における死神は、“死神”と聞いて一般的に思い浮かぶような「黒いローブを着て大鎌を持つ骸骨」というような姿ではなく、
死覇装(しはくしょう)と呼ばれる黒い着物を身に纏い、斬魄刀という霊を斬り浄化することの出来る特殊な刀を持っている侍のようないでたちが基本的なスタイル。
ごく一部の者を除けば、外見上は普通の人間とほぼ同じである。

一般的な無害な霊を「(プラス)」と呼び、コチラは斬魄刀の刃を使わずとも柄の判を押すことで魂葬(浄化)出来る。
問題は有害な悪霊である「(ホロウ)」であり、こちらの方は徹底して好戦的なタイプのために、これらの魂葬のために斬魄刀を武器として用いる。
小型の虚などは一般隊士でも討伐可能なのだが、大型の虚となると太刀打ち出来ないケースも多い。
なので、これらを退治する時はそれなりの手練れを揃えて数で戦うことになる。

普通の人間には見えないが、霊力や霊能力が高い人間には見える。
当然そういった者は死神だけでなく虚も視えたりするので、否応なく戦闘に巻き込まれたり、中には虚を討伐する者までいる程である。
ちなみに義骸*1に入れば一般人にも見えるようになる。


 尸魂界(ソウル・ソサエティ)


死神を含めた多くの霊的存在が集う場所。生前に大罪を犯した救いようのない魂はこことは別の「地獄」行きとなる。

ややこしいことに尸魂界の住人にも生死や生殖の概念はあり、一般にイメージする「霊」とは異なり霊子で出来た一種の生命体である模様。だからこそ貴族や家系の概念も成立する。
尸魂界での死は完全な死であり、霊子に分解・還元され、やがて現世の新たな魂になっていく(例外あり)。
……尸魂界で生まれる子供の魂については説明がないが、還元された霊子が現世に行かずに魂になっているのだろうか?

一部の富裕層や貴族、死神となった者などは瀞霊廷(せいれいてい)と呼ばれる尸魂界の中心都市に、
それ以外の多くの一般人や流れ着いた死後の魂は、基本的に瀞霊廷の外縁に広がる流魂街(るこんがい)と言われる場所に住んでいる。

流魂街は大きく東西南北の四つの区域があり、そこからさらに1~80の地区に分割される。
その治安はピンからキリまであり、西流魂街1地区「潤林安」のように番号が若いほど住みやすい場所なのだが、地区番号が増える程に治安が酷くなる一方で、
西78地区「戌吊」、北79地区「草鹿」、北80地区「更木」などは世紀末もいいとこであり、盗みや殺しなどが絶えず、常に死体が路上で捨てられている最悪極まるところである。

作中でサラリーマンの霊を朽木ルキアが魂葬する際に「地獄と違って気安いところ」と説明しているのだが、地区によってはそんな気安い場所ではなく、
しかもそれを言った当のルキアは78地区出身で常に悪漢から食料や水を盗んで生きて来た身で、挙句に幼少からの友人は阿散井恋次以外全員死亡している。
本当に(建前もあったのだろうが)よくこのセリフを言えたものである……
一応、後に明かされた地獄の設定を見るに、78地区以下でも地獄よりは本当にマシなので間違いではないが。
それに魂葬の際に余計な事を言ってサラリーマンの霊が尸魂界で暴れまわりでもしたら、
死神が困るのはもちろんだが一番困るのは死神から罪人として扱われるだろうサラリーマンの霊自身である。
なのでルキアのこの対応は、死神としての責務とサラリーマンの霊の両方に配慮した至極正しい対応と言えなくもない。読んでいて納得できるかは別であるが。

「環」という名の独自の通貨が使用されている様子。討伐した虚のランクによって報酬額は上がっていくらしい。
作中では序盤に一度触れられただけの設定だが。

なお、上記の『BLEACH』に登場する尸魂界はあくまで「日本(周辺?)の尸魂界」であり、他国の魂はまた別の尸魂界の管轄。
具体例はこちらを参照(リンク先のネタバレなので注意)


 護廷十三隊


死神となった者が所属する組織で、基本的には多くの死神がここに在籍することになる。
設立は千年程前で、山本元柳斎重國が創り上げ、近年まで彼がずっと総隊長を務めた。
ユーハバッハとの戦闘で彼が戦死したため、後任は京楽春水が務めている。

一番隊から十三番隊まで存在し、それぞれに隊花が用いられている。
階級は隊長、副隊長、第三席から始まる席官、隊士の順に分けられ、基本的に戦闘能力によって決められている。
隊長、副隊長は原則1名だが席官は同階級に複数名に任命されることもある*2
基本的には全隊共通で瀞霊廷の守護と現世の虚の討伐、流魂街の統治*3をしている。
現世の各地に死神を送り、時には常駐させて、霊魂を導いたり虚を討伐したりするのもその仕事の一環である。
また固有の役職もあり、例えば二番隊は隠密機動*4、九番隊は機関紙・瀞霊廷通信の編集、十二番隊は技術開発局などを兼任している。

この尸魂界で霊力が高い者が死神になれるのだが、基本的には瀞霊廷に住む富裕層の方が霊力が高い者が多く、ここから護廷十三隊引いては席官や隊長格に選ばれる者が多い模様。
もちろん、流魂街からも多くの者が志願し死神になっており、特に当代の上位隊士は流魂街出身が多く、日番谷冬獅郎に至っては千年以上の歴史の中で、史上最年少隊長と呼ばれる程の実績と経歴がある程である。

個人の事情でやむを得ず職から離れる時は「休隊」、復隊の目処が立たない時は「除籍」となる。
なお「脱退」の決定が下った者も過去にはいるものの、本来は隊士本人の意思での脱退は制度的には認められていない。
これはどういうことかというと、周囲と隔離する必要があると判断された危険思想の持ち主は「蛆虫の巣」と呼ばれる特別檻理棟に連行・収監されるのだが、それによって隊を離れた死神を脱退扱いとしているためである。
「護廷十三隊は高尚な組織である」という中央四十六室の建前上、そうした汚点を誤魔化すために「脱退」という言葉でぼかしているのだそうだ。

ちなみに尸魂界自体は100万年の歴史があり、なおかつ元柳斎は少なくとも2000年の時を生きている。
つまり護廷設立前にも世界のバランスを保つためのなにかしらの組織があったのだと思われるが、現時点では不明。


  • 中央四十六室
(表向きの)尸魂界最高決定技監。
尸魂界全土から集められた四十人の賢者と、六人の裁判官で構成される司法機関。
護廷十三隊、隠密機動部隊、鬼道衆に指令を与え、その権力は絶対的で例え護廷十三隊隊長でも異を唱えることは出来ない。
……と書くと確かに凄そうに聞こえるのだが、原作での活躍はハッキリ言って皆無どころかロクなものではない。

まず最初にこの存在が言及された時には既にメンバーは全員殺害されている。
この当時のメンバーは権力に胡坐を掻いたロクな連中ではなかったらしい。
ちなみに藍染惣右介らの謀反後から破面編の終盤まではメンバー補充が間に合わずに元柳斎が代理という形で対処していたらしい。

その後にメンバーを補充して『千年血戦篇』に登場するも、この時は京楽を総隊長にするという人事までは良かったが、
京楽が異例の副隊長2名*5にすると言った時は渋り、挙句に更木剣八の力を底上げすると言った時はその意向を全力で否定*6していた。
「このままでは尸魂界は滅却師の襲撃に耐えられない」「そうなった時にはアンタら自分の身は自分で護れんのか」と京楽が言った時にようやく事態の深刻さに気付いて実行を認めた程。

そしてこのメンバーですらとある人物により多くが殺された。

というより保守的な面とその権力による暴走による負の面が強く出ており

  • 藍染の策謀とはいえ、裁判にかけた際に浦原らの意見を碌に聞き入れない
  • 同様に巻き込まれて虚化した平子らを助ける手段や検討をせずに、ただの虚扱いとして殺処分宣告をした
  • 東仙要が慕っていた女性を殺害した犯人が四大貴族の者ゆえに厳重な処罰を与えなかった結果、東仙が歪んだ信念を抱いて凶行に走るようなる
  • 四十六室と彼らの居住区は原則立入禁止という事を利用されて藍染らの隠れ蓑として徹底的に利用される

と様々な理由で一部の隊長から嫌われ、最終的に拘束されて裁判にかけられた藍染から「君達如きがこの私に判決か。些か滑稽に映るな」と煽られ、それに乗るかのように刑期の上乗せと拘束の強化をしたりと読者からは「本当に優秀な集団なのか」と疑問視されている。
血戦篇後に補充された人員は比較的良識的なメンツが多くなり、それまで保守的だった事を大きく改革して手続きの簡略や法の改正で瀞霊廷の復興が急速に上がった。


  • 真央霊術院
死神を養成するための学校。
この霊術院は約2000前に山本元柳斎が設立した。
当初は死神統学院という名称だったが、護廷隊以外の鬼道衆や隠密機動もここの学徒がいるために真央霊術院に改名した。

実は護廷十三隊設立よりも長い歴史を持つ学校である。
にもかかわらずこの霊術院から卒業して隊長になったのは京楽や浮竹十四郎が初と言われているので、もしかしたら当初は護廷と直接的な関係が無い学院だったのかもしれない。
ただ隊長就任は卍解習得が事実上の最低ライン(隊長並~それ以上に強かった更木剣八のみ例外。原作最終盤では人員不足などで基準が変化しているが実力が求められることには変わりない)という非常に狭き門なので当時の霊術院からはそこまで昇り詰めた者が居なかっただけの可能性もある。
もしくは真央霊術院と改名したのは護廷十三隊設立後だったと思われる。
アニメ版『千年血戦篇』のキーワード説明では流派「元流」の開祖である山本重國が元字塾という私塾を開いており、その経験を元に死神統学院(現在の真央霊術院)を開いたと推察されている。

基本的に死神となり護廷に配属されるには、この霊術院を出ている必要がある。
例外としては剣八などの一部十一番隊メンバーが該当しており、最終章の日番谷と朽木白哉の会話から白哉も霊術院から護廷に入っていない可能性がある。
成績優秀の者は一組に入り、特進学級と言われており、原作では恋次、雛森桃吉良イヅルが該当するが、このメンツは若くして副隊長に上り詰めた非常に優秀な者達である。
更に優秀な者は特別待遇の飛び級制度で卒業せずに護廷配属となり市丸ギン志波海燕がこれに該当する。
また檜佐木修兵は飛び級という程ではないが、6年生時に卒業をせずに護廷配属となっている。
ちなみに色々と規格外の経歴を誇る日番谷だが、意外にも彼が一組にいたという情報も飛び級して卒業したという情報も現時点ではない。

塾は選任の講師がいるが、隊長格からも何人か臨時講師として招かれ教鞭をとることになる。
最終章の戦いの後は文字通り存亡の危機と言っても過言ではない程に隊士が死亡した*7ので、かなり範囲を広げて募集しており、修行内容も一新されている。
教師も死亡した者がいて人員不足のようで、吉良*8や既に護廷隊士ではない四楓院夜一*9すら呼んで教員を担っている。
現学院長は五番隊元第三席の石和厳兒で、滅却師との戦争で足を負傷したために一線を引き、平子真子の推薦で学園長を務めるようになった。


 王属特務・零番隊


こちらは護廷十三隊とは完全に切り離された組織である。
一般の死神が守護するのは瀞霊廷だが、彼らは瀞霊廷の遥か上にある霊王宮と霊王を守護する組織。
一応は護廷十三隊から零番隊昇格もあることはあるのだが、余程のことが無い限りそれもなく、確認されているのは百年前の人事異動だけである。
当然、護廷十三隊とは価値観も護るべき者も違うためにハッキリ言って相容れないのだが、それでも世界のバランスを保つという死神の責務は疎かにしていない。
というよりそれを完遂するためならあらゆることをするというスタンスなので、彼らこそが文字通りの死神の極致と言っても過言ではないかもしれない。
詳細は当該項目参照。


 死神代行


ご存じ主人公こと黒崎一護が成ったもの。
当初はルキアから霊力を受けた一護が代行になったのだが、この当初からこの死神代行という存在に不穏な感じを匂わせている。
(藍染が裏から手を回していたとはいえ)危急時だったにもかかわらず霊力を与えてしまったルキアを容赦なく死刑に処す決定を下しており、その霊力を受けた代行も最初は始末しようとしていたが、
ここまで死神代行への排他ぶりを徹底しているのに何故か死神代行戦闘許可証という代物があり、しかも代行が現れた時の法律や制度もあるという。
挙句に空座町の(元)担当死神は死神代行や代行証の存在すら知らないと『破面篇』序盤までの描写を踏まえても疑念が絶えないものがあった。
そしてその謎は完現術者と銀城空吾の存在により遂に明かされることになる。

ちなみに当初こそ代行の存在は一般死神は知らなかったのだが、一護の活躍により代行の存在が認められたばかりか人間に対する価値観も様変わり。
一護は藍染やユーハバッハを打ち破り、尸魂界を救った英雄として名を馳せているらしい。
……当然、一般隊士はともかく護廷の隊長格はそんな重責を一護に片付けさせたこともあり、(良識がある者は)一護に感謝と共に罪悪感もある様子である。
元柳斎ですら自身の技で藍染と心中しようとした際には一護を巻き込まないように配慮し、瀕死となった白哉に至っては心情を全てさらけ出した末に謝罪と懇願を一護に行っている。


 貴族


瀞霊廷に住んでいる富裕層は、ほとんどが貴族か、それに関係する家柄である。
そしてその貴族達は上記の通り霊力が高い者も多いのだが、では彼らが護廷十三隊に入隊し戦うのかと言われれば、それはなのである。
何故なら瀞霊廷の貴族社会は昔から閉鎖的になっており、彼らは戦うということを最後までしなかった。
ユーハバッハが直接尸魂界を滅ぼそうとした時ですら閉じこもっている家がほとんどで、侵攻が終わった後ですらこれは変わることはなかった*10
変わりつつある四十六室以上に問題があるのが、この貴族社会そのものである。
もちろん、貴族全員がこのようなものではないし、実際に本編に出て来る貴族は(ある一家を除いて)ほとんどが護廷隊士として最前線で戦っている。

  • 四大貴族
かつては五大貴族と言われていたのだが、志波家が没落したために、今では四大貴族となっている。
尸魂界の開闢に関わっているとも言われている『始まりの五家』
つまり尸魂界の歴史そのものに関わっている者たちの末裔である。
その権力は強く、護廷十三隊は愚か、その気になれば四十六室にすら圧力をかけることが可能の模様。

+ 作中に登場する貴族家

  • 朽木家
四大貴族の一家。現当主は白哉。
主に六番隊の隊長格も兼任している家系で、蒼純(白哉の父)は戦死した模様。
尸魂界の規律と法を重んじる。

  • 四楓院家
四大貴族の一家。前当主は夜一、現当主は夕四郎。
こちらも二番隊や隠密機動を兼任している家系だったが、現当主の夕四郎は二番隊や護廷に入隊していない。
この家は「天賜兵装番」という特殊な武具や宝具を護る役割も担っている。

  • 綱彌代家
四大貴族の一家。上記に説明した貴族社会の問題点を凝縮したかのような家。
ある意味、古来からの貴族社会を一番体現した家といえよう。
そして現当主の時灘は尸魂界の歴史の闇を具現化したかのような存在でもある。
尸魂界の歴史が記された文献を管理している。
こちらも参照。

  • 志波家
かつては五大貴族だったが、現時点では外され、しかも本家は瀞霊廷ではなく、流魂街に建っている*11
現当主は空鶴で、花火師として名を馳せている。
瀞霊廷と霊王宮の行き来を管理していたと思われる。

もう一つ四大(五大)貴族の家があるのだが、現時点では名称不明。
地獄に関わっていたらしい。

  • 京楽家
上流貴族の一家。
伊勢家と親交が深い。
現当主は護廷総隊長でもある京楽春水。

  • 伊勢家
神官の家系。
女系で、他の家から婿を取る仕来りがある。
ある斬魄刀を代々護っている家系。
こちらも参照。

  • 大前田家
上流階級の貴族家。
莫大な資産を築き上げた(悪く言えば成り上がりの)家。
ただ護廷の席官*12もいるし、事業も堅実という確かな実績がある家系。
こちらも参照。

  • 蜂家
代々隠密機動として二番隊に在籍し、四楓院家に仕えてきた下級貴族の家系。
砕蜂以外の兄弟は皆任務で死亡しており、夜一も百年前に尸魂界を離反したために、彼女が二番隊隊長を務めている。


 歴史


上述した通り尸魂界自体には長い歴史があるのだが、原作で明かされているのは数千年前までである。
羅列するとこのようになる。

  • 2000年以上前から山本重國が私塾を開いて門下生を指導している。この時点の組織(護廷の前身)については詳細不明。
  • 2000年前にこの塾を元にして真央霊術院(当時の名は死神統学院)を設立。
  • 1000年前に山本元柳斎が護廷十三隊設立。同時にユーハバッハ率いる滅却師の帝国『光の帝国(リヒト・ライヒ)』が尸魂界に攻め込んで来るが、これを撃退。
  • 現世で生き延びた滅却師が虚を討伐していたが、それが現世と尸魂界の均衡を崩すことに。死神側は対話を持ちかけたが滅却師側は(自衛の理由があり)拒否
  • 議論の末に滅却師殲滅作戦が200年前に決行。現世の滅却師はほぼ滅ぼされる。
  • 百年前から藍染が密かに暗躍、平子や浦原喜助といった者が彼の策略により尸魂界を追放される。
  • 十数年前*13銀城空吾が死神代行になるも、諸々の理由で尸魂界を離反。多くの死神を殺害した重罪人として護廷の敵となる。

ここから本編に至るという内容。
このように意外にも護廷の歴史自体は(尸魂界の歴史に比べたら)かなり短い。
またユーハバッハは「我ら滅却師を滅ぼして死神は安らかな世を手に入れた」と述べているので、少なくとも千年の間に尸魂界を脅かす外敵は現れなかった模様。

これを踏まえると一護たちが現れてからは本当に激動の時代と言える。
本編では大まかに藍染の反乱と銀城との決着、ユーハバッハ率いる帝国との再戦の3つだが、アニメオリジナルエピソードや映画や小説も正史扱いとなっている*14ので、これらを全て含めると凄まじい密度の戦いが短期間で行われている。
ちなみに原作外の戦いを含めても実は外敵との戦いはあまりなく*15、(恐ろしいことに)ほとんどが尸魂界内や死神同士の戦い、身も蓋もない言い方をすれば「内輪揉め」である。
なのでユーハバッハが語った「我ら滅却師を滅ぼして~」のくだりはなにも間違っていない。なにせ戦いがあったとしてもそれは全部尸魂界内の問題だからである。

更に言うと、これらの歴史は後世の死神に正しく伝わっていない
色々と改竄、改修して伝えられているし、そもそも伝えられていない部分も多い。
それが一番多いのが滅却師関係の歴史なのだが、その理由などはこちらを参照
『千年血戦篇』での戦いについても「霊王護神大戦」という名で霊術院で教えられている*16

………当然、尸魂界100万年の歴史以前にも世界は存在していたのだが、そちらがどのようなものだったかはこちらを参照


 性格・価値観


現世の人間に対しての温情はハッキリ言って皆無
それどころか流魂街の住民ですら非常時には容赦なく抹消する。
これは死神の仕事と存在意義が関係する。

彼らの仕事は徹底的に世界のバランスを保つことが第一なのである。

概要で説明した虚(悪霊)の退治もその一環に過ぎず、逆に言えば世界のバランスが保たれている場合は、(自衛などの理由が無ければ)虚を退治する必要性すらない。
むしろあまりにも虚を退治し過ぎてその魂魄が尸魂界に雪崩れ込めば世界のバランスが崩れてしまう。
それを考慮すると、世界の状態によっては虚退治は控える必要すらあるのだ。
このように大前提として彼らは人間を護るために存在する者ではないのである。
真央霊術院では死神は「友と人間を守る」よう教育を受けるが、実情を考えると建前の側面が大きいと言わざるを得ない。
なので必要とあれば容赦なく、人間ですら切り捨てる。

ただこの価値観も原作初期のもの。
本編での一護を始めとする人間たちの活躍により死神の価値観も一変。
人間に対しても友好的に接する態度と命を尊重する態度を露わにし、特に空座町に在籍する死神は人間に対しても極めて友好的なメンツが多い(とはいえ重霊地で大型虚や大量の数の虚も出る場所なのだから、新人ではなく最低でも車谷善之助ぐらいの力量を持つ死神を配属する必要はある)。
中でも最も現世組と仲が良いルキアと恋次は「友情>超えられない壁>死神」の価値観というスタンスである*17
ちなみに原作初期の状態でも1000年前よりはよっぽどマシな倫理観であり、1000年間で大分良い価値観を育まれていったらしい。
もっとも、ユーハバッハはそのことが気に入らなかったらしく、これを「惰弱な一軍に成り下がった」と全否定していたが。

昨今では現世の技術や流行を尸魂界に取り入れるのが進んでいるらしく、ぼったくりの浦原商店の販売や、現世のノウハウを活かしたコンビニの設立などを山田花太郎が行っている。
これに対する評価も高く、卯ノ花烈は山田に「化粧品も置いてくださいね」と言ったり、松本乱菊も現世に行くときはショッピングを楽しんでいたりする。
檜佐木に至っては、浦原のぼったくりと分割払いに遭ってでもバイクやギターを購入し、バイクを瀞霊廷で乗り回し怒られ、ギターはチャドに習って出来るようになるなど現世を一番堪能してたりする。
『獄頣鳴鳴篇』では浦原の助力もありテレビの普及もされている*18
こういった流れにより(少なくとも瀞霊廷に近い位置の)流魂街でも発展が見られている模様。


 戦闘スタイル


死神の基本戦術は「斬拳走鬼」で分けられる。
斬は斬魄刀による斬術、拳は白打と言われる体術、走は瞬歩による移動歩法、鬼は鬼道である。
この四つを満遍なく鍛えることが安定した死神になると言われるので、席官に至れる者はこれらを過不足なく扱える者が多い*19
また死神は己の体に蓄えている霊力を放出し、霊圧を外部に発する形で戦う*20

死神が最も得意とする戦い方で、これが一番スタンダードなものである。
一部の席官に至れる才ある者は始解を、そしてその中でも数百人、数千人に一人と言われる極一部の天才が卍解を取得出来る。
卍解は死神の頂点と言われる切り札であり、
その習得難度は副隊長を100年ぐらい続けている強者ですら未習得でもおかしくなく、軒並み全員が並の死神を凌駕する霊圧を有する四大貴族の者ですら数世代に一名程度しか習得できないとされる。
現に卍解の使い手が多い原作の時代においても、才あるものでも死神になって50年以上経ってようやく卍解を習得したり、習得出来てもまだ習熟出来ていない者が多い。
それだけにこれを使える者は例外なく尸魂界の歴史に名を刻まれる。
よほどの例外が無い限りはこの卍解こそが死神の最大最強の奥の手であり、これを超える物は存在しない。
当該項目も参照。

  • 白打
体術による戦法。
これはあくまで斬魄刀戦術の補助や斬魄刀が無い時に使うもので、これ自体を一つの戦術として極めている者はあまりいない*21
例外を挙げるとすれば、山本元柳斎や夜一、砕蜂辺りである。
特に夜一と砕蜂は白打と鬼道を組み合わせた技である瞬閧を編み出しており、これは斬魄刀に劣らない一線級の戦闘力を持つ。
ちなみに一護は白打自体は滅多に使わないが、素手で副隊長3人をあしらったり、藍染の剣やキルゲ・オピーの矢を投げ返したりと極めて高い身体能力を見せている。

  • 瞬歩
死神の歩法。いわゆる高速移動である。
似たような技を滅却師、破面、完現術者も使えるが、それぞれ名称が異なる。
このような技を使える者と使えない者で機動力に雲泥の差がある。
ただチャドがガンデンバイン・モスケーダとの戦闘で「速度に慣れた」と言っているように使えない者でも技量次第ではこの手の高速移動を見切ることは可能。
これも夜一や砕蜂が得意とし、特に砕蜂は全盛期の夜一すら超えて護廷十三隊最速を誇る。
……なのにそれが全く活かされずにことごとく敵に追いつかれて負傷しているのは内緒である。

死神の霊術で、いわゆる魔法みたいなもの。
攻撃系は「破道」、防御や捕縛、伝令といった補助系のものは「縛道」、回復系は「回道」に分類される。
確認されている破道と縛道は99番まであり、裏破道*22というものも確認されている。
それぞれ決まった祝詞を持ち、これを詠唱することで鬼道の威力を上げることが出来る。黒棺を使う時に藍染が言っているが、正確には完全詠唱した時の威力が本来の能力である。
ただ戦闘中に詠唱する時間は滅多に無いので、作中ではほとんどの者が詠唱破棄で鬼道を用いている。
一護は鬼道を習っていないので、全く使えない。そもそも作中の描写から、鬼道を使うのに必要となるような緻密な霊力の扱いを一護は苦手としている。
鬼道はコントロールに失敗すれば、暴発により自分自身がダメージを受けることもあるので、一護が手を出さなかったのは妥当な選択と言えるかもしれない。
当該項目も参照。




追記・修正宜しくお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 何故かなかなか立たなかった項目
  • 死神
  • 死神代行
  • 尸魂界
  • 流魂街
  • BLEACH
  • バランサー
  • 王属特務・零番隊
  • 護廷十三隊
  • 斬魄刀
  • 鬼道
  • 瀞霊廷
  • 軍人
  • 過酷なお仕事
  • 上位存在
  • 幽霊
  • 長寿
  • 精霊
  • 産まれた時から死んてる←例外アリ
最終更新:2024年09月02日 15:43

*1 死神が人間に成りすます義体のようなもの。基本的に持ち主と同じ容姿で構成されている

*2 尸魂界篇時点では十三番隊では副隊長不在のため第三席が2名、最も地位が低いと思われる第二十席は九番隊だと15名任命されている。

*3 集落の運営を統治しているような場面は原作では見られないので、虚が流魂街に現れた時の討伐と言った方が正しい。

*4 瀞霊廷に害なす存在の暗殺や要人の警護。

*5 正確には片方は隊長補佐。

*6 理由としては更木剣八が反乱を起こすかもしれないから

*7 護廷隊士は半分死亡したと小説では書かれているが、実際はそれ以上で、アニメ版では第二次侵攻の序盤には戦力が3割以下まで落ちていた。

*8 恋次や雛森も引き受けている。

*9 本人は断る気満々だったが、京楽から「これを断るなら八番隊隊長として護廷復帰してもらう」と脅迫された。

*10 これを悪意的に揶揄したのは時灘だが、京楽が全く反論しなかったことからも、これに関しては正しい意見らしい。

*11 実は五大貴族の時から流魂街に居を構えていた。

*12 しかも副隊長。

*13 少年時代の月島と出会った時には既に死神代行となっていた様子。

*14 『バウント篇』と映画『劇場版BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸』はパラレル設定になっている。

*15 例外はアニオリのバウント篇と映画の地獄篇だが、どちらも元を正せば尸魂界に一因がある。

*16 詳細を知る戦争に参加した席官たちはこの名に複雑な思いを抱いており、夜一に至っては唾棄している。

*17 特にルキアに至っては過去のトラウマから死神という存在自体に懐疑的だったこともある。

*18 マユリは尸魂界の風情に合わないと全否定していたが。

*19 もちろん、それ以前に最低限の実力があるのが必要不可欠である。ちなみに当代の隊長格、またはそれに準ずる実力者たちは割と偏っているというか、この四つを満遍なく扱える者は少ない模様。

*20 ちなみに滅却師は周囲の霊力を自在に操り、自らに取り込むという死神と真逆の戦い方をする。

*21 霊王宮の修行を終えた白哉ですら操られた檜佐木が斬魄刀で斬りかかって来た時に「白打で斬魄刀に対応するには限界がある」と内心で独白している。

*22 恐らく縛道もある