小豆洗い/小豆とぎ

登録日:2024/06/09 Sun 08:12:50
更新日:2025/03/08 Sat 02:32:58
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小豆洗い」もしくは「小豆とぎ」は、日本各地に伝わる妖怪の一体。


【概要】

全国各地で語られるが、特に本州に多く伝わる。
多くは川の畔や橋の袂といった水辺に現れ、ショキショキ、シャリシャリと小豆を洗うような音をたてる。
誰かがいるのかと姿を確認して行ってもそこには誰もいないことがほとんど。
地域によっては「小豆とごうか、人取って食おうか」「小豆とごうか、人取って噛もうか」などと物騒な歌を歌うこともあるという。
また、人に対する行いにもバリエーションがあり、大分県では姿を見ようとした人を川に突き落とすとされるが、一方佐渡島では未婚女性が会いに行くと良縁を紹介してくれるとされる。

容貌は、三島平八のような髪型をしジャック・オーのようなポーズで小豆を洗う小柄な老人として描かれることも多いが、これは江戸時代に描かれた『桃山人夜話』の絵が元ネタ。
この小豆洗いは元は新潟県上越市の小僧さんで、障害者ながら小豆を一目で数えられる特技を持ち和尚さんに可愛がられていたが、それを妬んだ悪僧により井戸に突き落とされ殺されてしまった。
それからは井戸の中から……ではなく近くの川の畔から恨めしそうに小豆を洗う声が聞こえてくるようになったという。
水木しげる先生もこの絵をもとに妖怪画を描いている。
岩手県遠野市では百個の目を持ち本当に人を食べてしまうという。また、茨城県那珂郡では佐竹家の姫君が小豆洗いになったと伝わる。


【正体】

障子にとまった際にサッサッサッサと羽音を立てるチャタテムシの幼虫という説が一番有力で、江戸時代の昆虫図鑑にもチャタテムシの別名が「小豆洗い」となっているものがある。
他にはイタチの鳴き声だとか、カエルが体を揺する音だとか、キツネやムジナが小豆を洗う音だとか、風で竹の葉が擦りあう音が正体とも。
また小豆は神聖な食べ物と言われており、河童や一つ目小僧のようにもともとは神の使いだったのではないか?と言う説もある。


【亜種】

  • 小豆婆
小豆を洗う音をさせるのは同じだが老爺ではなく老婆の姿をしている。
埼玉県の小豆婆は子供を攫うようで、大人たちは遅くまで遊んでいる子供に「小豆婆に食われるぞ」と忠告する。
山梨県では「小豆をおあんなすって(小豆をおあがりになって)」と話しかけ、うろたえる人をザルですくい上げるという。

  • 小豆はかり
江戸時代の随筆『怪談老の杖』に記されている。
麻布のとある家に現れ天井裏を歩く音や小豆をパラパラとまくような音をさせたという。
ポルターガイストや家鳴に近い性質の妖怪。

  • アズキトギトギウメボッシャスイスイメンパコロガシ
富山県魚津市の妖怪。雪が降る頃になると現れ日没になっても帰らない子供を攫うという。

  • クネユスリ
秋田県の妖怪で、小豆とぎとセットで登場し生け垣(クネ)を揺するといわれる。

【小豆洗い/小豆とぎが登場する作品】

  • ゲゲゲの鬼太郎(小豆洗い/小豆とぎ)
原作「小豆連合軍」およびアニメ第4期では「小豆とぎ」、それ以外のアニメシリーズや「鬼太郎霊団」では「小豆洗い」と呼ばれる。
小豆婆、小豆はかりと「小豆連合軍」を結成。小豆の不作に悩み、安い和菓子を食べさせて顔を小豆畑にし人間を養分に小豆を収穫しようとしていた。
第5期では準レギュラーとして登場。アマビエに自分が売る饅頭を三流と貶されたり、小豆を誤って川に流してしまったり、鬼太郎のちゃんちゃんこをイメージしたお菓子を売り出したり、妖怪四十七士の山梨代表になったりと良くも悪くも目立つ立ち位置であった。

名前は違うが初登場時の姿はどう見ても『桃山人夜話』の小豆洗いである。
借金まみれのクズであり借金取りとなった鬼太郎に追い回された。
後に姿が変わり『ゲゲゲの鬼太郎』のあまめはぎや『河童の三平』の天邪鬼に流用された。

なぜか悪魔ではなく妖怪扱い。一万年前の悪魔と妖怪の大戦争に参加した猛者で閻魔大王の部下。
妖怪仲間の油すましとともに「なんじゃもんじゃ」を復活させ、閻魔の命で悪魔くんを殺そうとした*1

レギュラーお化けの一人で愛らしい少女ある意味小豆婆ロリバージョン。演じたのは後に「カズン」を結成する古賀泉。
見た目は緑色の髪にピンク色の肌(全身タイツ)、衣装はビキニ風と、一応笊持ちとはいえ小豆洗い要素は薄めである。人間の姿にも化けられるようで、晴れ着姿を見せたことも。

古寺の本堂に住みガイコツや傘化けを差し向けて怖いもの知らずの男・兵六を脅かそうとするも失敗。
巨大なぼたもちを落としても食い尽くされてしまう。
味をしめた兵六は毎晩ぼたもちをごちそうになったが、ある晩……

桃山人夜話』を元にしたミステリ小説。人々が怪談を語り合う際、ある話の中に登場。
基本的な由来は『桃山人夜話』準拠の「小豆数えが得意な知恵遅れの少年」で、「話で語られた」生前は寺の小僧…ではなく雑穀問屋の丁稚。
アニメでその姿が描かれたが、手足の指が切断され脳漿が露出したかなりグロテスクな姿。

正和少年の前に幻覚として恐ろしい形相で現れ、手を洗えと脅していた。
実は正和少年の火事のトラウマが生み出したもので、実際の小豆洗いは心も洗い流してくれる優しい妖怪。

妖怪軍団の一員でセサミストリートのオスカーみたいな姿をしている。
変身能力を持ち、警察官に化けてセイカイを処刑しようとした。
登場回がケイン・コスギ演じるジライヤの初登場回と重なっているため、当時のまだ今も日本語が拙かったケインによる英語訛りの発音でアジュキアルァイと呼ばれるのは否が応にも印象に残る。

演じるのはナインティナインの岡村隆史
戦闘力は皆無で常に小豆を洗っているだけ……だが、その小豆が思わぬ活躍をする事となる。

老婆の姿をしており小豆婆に近い。
あかなめや大入道達とともにボロ屋敷に泊まりに来た子どもたちを驚かそうとするも、先生に小豆を褒められ失敗に終わる。
が、それに自信をつけ小豆専門店を開業し成功を収めている。

巴川に響く小豆を洗うような音がまる子達の間で噂となっていた。

☆4の降臨モンスターとして登場。
何とロボットになっており、進化前はカメラアイから照射される光で小豆のスキャンを行い、進化後は左手のノズルを用いて小豆を高圧洗浄するイラストとなっている。

小豆とごうか、追記・修正しようか、ショキショキ


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最終更新:2025年03月08日 02:32

*1 閻魔大王は悪魔達を使って地上に混乱を招いている者の存在を知り、それが悪魔くんだと誤解していた