雑記:文或と近代もろもろ、170


10月24日めも。


リアルタイムは2020年10月22日、あー、10月21日日付け越え辺りからこれを再開していて今の時点で雑記3枚(30日分〉を書いてるのか、書いてるとか打ってるとかなんか毎回違うけど毎回なんとなくです。
あとあれ、昨日の分がさすがに迷走してったのであれは捨てて。
大正時代から明治時代くらいの女性の就職みたいな部分に関して触れようと思ってたんだけどなー、あれです、銀座があるじゃん、あそこはかなり早い段階から近代建築があったんだよ、ていうか煉瓦建築を作ったら日本人が「いやー、こわいー!!」みたいなこと言ってたんで政府が肝いりで財閥とかに作らせて(まだ規模的に財商くらいだっけ? 御用商人は確かもう潰されてたような)、無理やり新聞社とかを煉瓦建築に突っ込んでたんじゃなかったっけ…新聞社じゃなかったかな。
「新聞社が無理やり詰め込まれた」案件はあるんだけどねなんだっけ。
記憶力が自慢だったからろくに読んだものをまとめてないのでしっちゃかめっちゃかになってるな、確か新聞社って銀座から有楽町に移されてたんじゃなかったか…。
(菊池さんとか芥川がどの辺通ってたかなって調べてたら出て来てた。)

まあ銀座あるじゃん、百貨店あるじゃないですか。
百貨店に立ってる女性は「買える」という根強い噂があったらしく、呼び名とかよくわからんけど、エレベーターガールは確か初期からいるよね銀座なら。
銀座の生き字引みたいな人はそれを頻繁に聞かれていたそうです。
俺は知らん、そういう老婆がいるんなら存在は知ってると思うけどってしらっと彼は答えたりするわけですよ、銀座にいる全ての女を「売る」老婆がいるって話らしく。


10月25日めも。


ところが銀座の生き字引にそう否定された彼らはだいたい引き下がらない諦めない、俺は聞いたんだ、俺は確信を持ってるんだ!! みたいな感じに頑張ったようですね。
そういや別の本で読んだけど、丸の内のOLさんなんかは買えたっぽい。
こっちはどうも本当ぽいので割愛しときます(そして編集の木佐木さんに対し未明さんが「将来全ての働く女は自然に買えるようになるだろう」と語っていて、どうもそれ以降ドン引きされてしまったようです…言うとは思わなかったって、私もだよ)(スケベ心が言わせた案件じゃなくて悲観が言わせたのかもなぁ、木佐木さんは引いたけども)。

銀座の生き字引はえー、そりゃなんでも知ってるわけでもないけどさー、と言ってから、そういやあれ、「金持ちのお嬢様が街で男を見染め、屋敷に連れ込んだ」コンセプトの娼館があるんだぞと紹介を始めました。
なんでもお金を払うタイミングを間違えると使えない、野暮には使いこなせない感じのシステムになってるらしく、たまにそういう狸に化かされた的な都市伝説っぽいのがあるのは多分本物、金を払わないと家から追い出される、みたいな感じに語っていました。
ところで「素人女でも買える老婆」と「素人女を装ってくれるコンセプト娼婦の館」って似てるけど真逆の内容じゃないですか。
素人女は買えるんだ俺は信じてるって豪語してた男に素人女コンセプトならあるよってお勧めしてたってことですね、銀座の生き字引。
ぶっちゃけ、どうせわかんねーだろうがお前らってニュアンスも感じるし。
恰好いいよね銀座の生き字引、日本の性産業の男ってやっぱりまともな人も多い。
てか一回遭遇したって言ってたけど、お金払うの上手く行ったぽいです、お好きね。


10月26日めも。


そういやなんの本だったか、同じ人の本だったかな、カフェが女給さんによる接待があるのはさすがに有名なんですが、彼女たちがお持ち帰り出来るものなのかどうかはやっぱり皆気にしているのか結構頻繁に聞かれるよみたいなこと語ってまして(ちょっと踏み込んだ話だよね)、出来ないわけでもないけど、当人の意思次第だし、というようなことを語っており、少なくとも店のノルマ的なものではないらしいこと。
そういう人はいるんだろうなということ、多分ですが、断ることは可能なんだろうなと思わせるところもないでもなかったな、いやね、返答の内容とかじゃなくて、ふふふふと笑いながら答えてたので、悲壮感などはないというか。
ガチめに堅気の女性もいたよってのは聞いてるんだけどね。
あとあれ、まだ芸者さんに鑑札がある時代のはずなので(いつ撤廃されたのかはわからんけども、大正なら芸者さんに売られた女の子の話とか出てくるし)、彼女らはね、ぎりぎり問題ないはずなんだ身体を売ることも。
半分というか黙認というか、性病検査をされてたらしいので推して知るべし(辰巳芸者の人が検査の人間が驚いてたね! みたいなこと言ってるのも読んだことがあるので、あれですね、売ってない人が希少価値のほうらしい)。
女給が「それ」を公言サービスにすることは多分不可能だったでしょうね。
そういや、少女劇団の構成員をお座敷に上げた案件が社会的に大問題になっていたのも結構時代が下ってたよな、昭和いってたっけ前だっけ。

個人的にはカフェのおかげでOLを買う、いや、デパートガールは買えるはずだ! みたいなあれは減ったんじゃないかと思ってる、ぎりぎり曖昧なライン、男って面倒い。


10月27日めも。


あと文学全集の菊池さんの身辺の作品の中にファンの女性が押し掛けてくるような内容のものがあるんですが、この人が堅気を装っているのに実は芸者だったんだ、そして彼女は置屋に戻って菊池さんの愛人なんだー、と言い振らしていたらしいんですが。
なんということだ、騙されたんだな! と友人たちが言うわけですよ。
菊池さん、特には怒らないわけです。
うん、私も見ていて「別になんのあれも受けてない、被害も」となったしな、そもそも菊池産の家は女中さんが置けなくてね、それはそんなに特に深い意味はないみたいなんですが大正中期くらいかなもう少しあとかな?
女中さんになるくらいなら、まあ工場に行くよね、年寄りとかならともかく。
菊池さんのところはかなり肉体労働が多いみたいなのであまりご年齢が上だと多分大変だし、そもそも彼女らってお給料じゃなくてお小遣い制みたいなんだよね。働き口がないなら女中もありだよ、奉公人より多分ちょっとマシだよ家族の世話がメインだし。
でも働き口ありそうなんですよね、そろそろ。

菊池さんも知名度はそこそこあるもののがーっと売れる前のようでそんなに条件が良いわけでもなく、小銭を抜いてる女中さんを置いていたくらいのことがあるのも、まあまあ当時はよくあることだったんじゃないかな。
そこにファンの方が来た、しばらく置いて欲しいその間は家事を手伝う、若干あれこれ予定が変わっていたけどもなんだかんだとそこそこの日数いてくれるよく働く。
着物を新しく仕立ててあげてましたが、下心に近いものがあったこともあったようだけど何事もなく「国に帰り」、特に迷惑がない、てか多分嘘もあまりない。


10月28日めも。


この彼女、有名になる前の菊池さんの作品を知ってたり「えええ、なんで知ってるの?!」みたいなゴシップの話もしていたりしていて、菊池さんのことを好きだったことは間違いなく、誘惑の類は特にしていない。
友人たちが怒れって言ったのはまあ愛人と言い触らされた辺りでしょうが、確かにそれはあかんよね、わかるわかる。
だがしかし、彼女が菊池さんのことを愛人と言い張るために来たにしては滞在が長く働き方が真摯にすぎ、堅気のお嬢さんと言われても誰も疑っていなかった、擦れてなかったんでしょうね多分。
誘惑は全くしてないものの、一緒にいたがったりはして、そのつもりなら多分彼女はそういうことを受け入れていたような気もするんだよね、だが、なにぶんにも菊池さんなので特にそういうことはなく、並んで景色を眺めて終了というか。
うん、裏切られたってほどでもねぇな。
というかむしろ彼女、菊池さんに叱りに来て欲しかったのではないかって思えないでもないんだよね、あと、奥さんの耳には入ってないといいんだけども、だってこの時点で全然そういう遊びとかしてなかったはずだし。

あともう一つ、芸者だってことを隠していた点、素人女と期待させておいてって発想は、まあ菊池さんとその周辺じゃなかったらあったような気もしないでもないんだ。
素人女への拘りのすごさは、過去から未来に掛けてよく拝見しており。
だがしかし、しばらく滞在して家事手伝ってくれた女性の身元として言うべきだったかどうかは、いらないよね。彼女の本意は知れなかったけども、そう裏切られてもない。


10月29日めも。


えーとあと、あー、そういえば花袋が辰巳芸者を贔屓にしていたということを「泥臭いwww」と笑っていたらしいんですが、そんなこと言われてもいまいちニュアンスわかんないよとなるんですが。
我々は芸は売っても身体は売らないよ! と誇ってた彼女らだよね。
細かい事情はわからん、わからないんですがとりあえず花袋の株は上げておいていいでしょうか、泥臭いんだか芸に自信があるんだかどっちも正しいのか、そういや確か江戸時代舞台の時代ドラマの中で新橋の半値で買えるみたいなことを言われていたような気がするんですが、お客が漁民中心みたいな感じの。
どれでも特に問題ないですね、いい感じだな花袋!
荷風さんと逆みたいなこと言われてたんだよね、スマートだったのかしらね、金払いいいって言われてたしな、まあ、何人か商売の女性と結婚してまして、なんなら相手の信用調査をして「列女は絶対にごめんだ」とか言ってたそうですが。
列女ってよくわからんけど、素人女性は避けたかったみたいです、家族のために身を売ったなんて人も避けたかったのかしらね。意味がわからないながら、それがなにであっても今の時点で気持ち悪いな…。
そういや結婚した女性の歯を抜かせてお口でご奉仕させてたみたいですね、同情しますよ慰謝料取られてー、とか言われてましたが、ちょっと…(このことをぺろっとばらした時点で同情も口だけだったと思ってるけどね、歯を全部抜かせるって)。

はい、真逆ですか、ああはい。
誉め言葉かな…、今思考のループがどうにも、他に行かなくて。


10月30日めも。


花袋置いておいて荷風さんの話を、結婚を繰り返したそうなんですよ嫁に金を渡さなかったらしく、外でばら撒き続けたそうですね、叱り付けた女性は「芸術のことがなんっにもわかってない!!」って紹介してた本の著者さんに怒られてたんですが、素人女はなにがあっても絶対嫌だと言いながらそれ以上の忍耐と奉仕を求め、歯を抜き。
それを何度か繰り返した人ということを念頭に入れると、なんだ。
まあ、その「歯を抜いた」ってことは本の人は知らなかったかもしれないんだけどね(葬式で挨拶させられてた人が言ってたので)、えーと、荷風さんの本は田端文士村の最後の文士の女性で、歯を抜いたことをチクってたのは確か勝木さん。
あれです、秋声から山田順子さん押し付けられてた編集さん。
いや、本は覚えてるんだけど座談会だったので別の人だったかもしれない、いやでも、歯を抜かれて慰謝料取られたっていう案件に同情とか言い出す時点で他の人の可能性が少ないんだよな…(あと全員紳士的、だがしかし勝木さんの暴走も止めない)。

荷風さんのことは、めっちゃ評価が微妙なところに至ってたんですが一時期。
彼が政府弾圧の文士向けのものを最初に集中的に受けてかなりやさぐれても仕方ない目に遭わされていたこと(本来は自然主義がターゲットだったみたいなんだけど、代表者が花袋と藤村なので多分止めたんだと思う…素行まともだしなぁ)、あとあれ、葬式で「あの変態」と挨拶した人を、そうそうわかってるな! と認めてくれるしっかりした重度のファンたちがたくさんいたと聞き、それはあり、要するに彼はその異様な生活を「本当に」作品に生かしていたということなんだと納得したので保留です。
歯だけは、歯だけは…せめて一人にしとけよあとそれやったら金渡せよ!!


10月31日めも。


女性のことのような、そうでもないような微妙なラインで続いております、さすがに女性絡みじゃないのは煉瓦建築の話くらいしかないんだけども、なんであそこであれを入れようと思ったのかは忘れました。
銀座の特異性みたいなことを話したかったと思うんだけど、荷風さん、どこかから河岸を銀座に移してた気がするんだけど新橋かな(雑)。
まあ単純に商売の女性絡みの案件ってったら芥川が松岡さんとの待ち合わせに置屋だか茶屋だかを使い、松岡さんが来た時点で引き上げるので「恨まれるからやめて欲しいんだけど」みたいなことを松岡さんが言ってるんですよ。
これ、どうも順序が逆で途中で切り上げるために待ち合わせをそうやってセッティングするらしいので、松岡さんが来ていらっしゃーい! と思ってたら女性を返しちゃう構図になるわけで、まるで「松岡さんが女性を嫌がって芥川に切り上げさせた」みたいに見えるって認識でいいのかな(そんなに意図まで書いてない)。
あー、そりゃ恨まれるし事実無根だよな…。
なんでそんなことを芥川がしていたのかわからないものの、友人らと女性を買いに行った時もこう「立たないんかな」と思わせる描写があります、確か宇野さん。
初日に薬持ってって翌日張り型ってさすがに。
多分全く駄目なんじゃなくて、松岡さんが行くまでの無表情で混乱の極みみたいになってるのが原因じゃないかと思うんだけど、顔が整いすぎててバレないんだろうな多分。

久米さんとか松岡さんとか小島くんと女買ってるの見たことないんだよね…、弱み見せるの嫌だったのかしら、いやでも、松岡さん、ううん、微妙な。


11月1日めも。


さすがに前回のは女性絡みなことは間違いないけど「女性の立場」って意味で察することがないうというか、芥川のほうが特殊な存在だなとなるんですが。
あれ、やっぱり芸術のために女性を頑張って買ってるのかなぁ。
愛人も作らなくてはならないと頑張っているみたいなんですけども、芥川って、多分不倫するような人嫌いなんですよね、男が出来るたと聞くと誘いに出るという珍事が報告されてましたっけ、男の友人らの間に突っ込むってのも何件かあったみたいだけど、こう、オッケーとか返されるとドン引きするみたいなんだよね…。
いやほら、文士村で女性を殴って働かせようとしたら客と逃げたみたいな案件があるわけじゃないですか(2大クズの1人、もう1人は愛人作りまくっても金がなくて店独立させようとしてたり腹を刺されて倒れてる間にも愛人を増やした広津くん)。
奥さんに冷たいことを言おうとしたりとか、ところどころに頑張ってる形跡がある。
ただあの、インテリ将校の娘さんに対して暴言を吐いたご友人などというものは全くいないので、シチュエーションと前後を考えて対応したほうがいいような。ご令嬢みたいな存在なので無下に扱うと晒し者にされてたりするよ…(独歩さんがパトロンになるという新聞社社長にやられた)。

菊池さんとこも愛人が家に来たってバレたら奥さんの田舎からご両親来たしね…こちらは特に支援を受けている身なので、即離婚の可能性も高かった、奥さんがやめさせてなきゃまあそうなってたろうね。
菊池さんの場合は大正10年だか11年だかに遊び始め(睡眠薬事件のあと)、翌々年には家に母親付きで転がり込む愛人が…、確かに、焦るのかな…。


11月2日めも。


そういや女性の地位立場と完全に離れるし、何度か触れてるけどもう一個、いるじゃん芥川の晩年に「愛人」っていう名目で侍ってる芸者さん。
あれ、谷崎と春夫さんの細君譲渡事件の妹さんだって、一時俳優もやってた子。
なんで芸者をやってるのか、なんで芥川の側にいるのかは全く不明ながら、江口カンが触れてたし、そういうゴシップ方向では嘘付かないみたいだからなー(小島くんも認識が怪しいことはあるけど女性関係は正確)。
というかぶっちゃけ「なんでぇ??」みたいな調子だったからな。
この芸者さんは小穴さんには引き合わせてるんですが、愛人、ではないような、そのあとで結婚してるしなぁ彼女。
なんのために側にいたんだろう、ごっこ遊びというか、多分おかげでかなり素行が落ち着いたんじゃないかと思うんだけど、小穴さんにも「誰にでも飛びつく」って言われてたからね、男にも飛びついてたよね…小穴さんが一番なのか控えめだったけど、彼がいなくなってたら男も探すようになってたんだろうね。

正直まだ文士村の価値観を見下している分、噛み砕けていないところがあり、それは芥川の表面だけ真似しているように見えるのを鑑みるとなおさらなんですが。
どうにも女性を粗末に扱わなきゃならないんだっていう強迫観念に見えるんだよね、いや、作家見てると本当にしばしばそんな感じで…。
これ、芸術家だけでもなく「欧米にどんなに怒られようとも女を野放しにしてはならない、咎めてくるのならば戦争も辞さない、化粧をされ命令をされたらこの世の終わりだ」って言ってて、軍事映画の第一弾で…、どういう価値観だったんだよ真面目に…。

(文或と近代もろもろ、170)
最終更新:2020年10月23日 01:25