ニーネン=シャプチにおける食文化は
民族ごとの多少の差異はあるものの、ダン=ラ=ハン帝国(惑星統一)の文化伝搬によってある程度平準化されており、総じて
チャグマ=ダプラの食文化と言い換えることもできる。
概要
ニーネン=シャプチの母星である
チャグマ=ダプラはサバンナや草原が大部分を占める冷涼な惑星であり、環境や植生に適応した草原の食文化が発達した。
ニーネン=シャプチの食文化とも言えるダン=ラ=ハン帝国の宮廷料理の源流は遊牧民族であるギール人の食文化に遡ることができ、ヴァフリやマグリの酪農・牧畜を中心としたものであった。それにガーク系やタルニ系などの農耕民族の食生活の影響が混じり合い、ダン=ラ=ハン帝国の宮廷料理が成立した。ダン=ラ=ハン帝国の時代ではギール系の影響が強い軍人階級の料理と、ガーク・タルニ系の影響が強い貴族階級の料理とではかなりの差異があったと見られる。
民衆の食事は下級貴族や没落貴族の影響を受け、宮廷料理をより簡素で手早く作れるようマイナーチェンジしたものが多いが、一部には被支配階級特有の郷土料理が残っている。しかしこうした料理は、
チャグマ=ダプラの工業化に伴い多くの平民が工場労働者になったために家事の時間が取られなかったことからあまり多くのレパートリーが残されていない。
料理の特徴
チャグマ=ダプラは冷涼な惑星であることもあり、温かい料理が好まれる。
一般的に冷めた料理は美味しくないものとされ、保存食は存在していても弁当のようなものは存在しなかった。
テリーヌなどの冷製料理はあるものの、冷製料理自体がそれほど多くはないが、冷やした獣肉を生食する文化がある。
17世紀にエルトリアのサラダが輸入されるまで生野菜は食べられてこなかった。
主食
麺類はあまり発達せず、練って円形にするユグムや、パンのように酵母の作用で膨らませるサニョーが存在する。
ユグムやサニョーに使われるのはシャーギュと呼ばれる小麦に似た穀物である。南方(ガーク系)ではニェステイと呼ばれる穀物から作る。ニェステイは粘り気が強く、米に似ている。製粉した時の色はシャーギュは白く、ニェステイはやや黄色い。
シャーギュは秋に収穫される寒冷地に強い穀物であり、ニェステイは春に収穫される温度・湿度に強い穀物である。
ガーク系の一部ではニェステイの粒をそのまま蒸して米飯として属する地域が存在する。
ユグム
ニーネン=シャプチの最もありふれた料理の一つ。
シュームと呼ばれるシャーギュでできた生地を蒸したヒャンプーチ(具なしユグム)に甘辛く味付けされた肉や野菜などの具を詰めたもの。お焼きや肉まんに近い料理。
具を入れたものでなければユグムとは呼ばれず、具なしのものはヒャンプーチと呼ばれ貧民の食事として敬遠される。ヒャンプーチには「
ハズレくじ」や「
貧相な食卓(食事)」という意味もあるほど、ニーネン人にとって具が入っているということは重要なことであるとみなされる。
伝統的には甘い味付けの具を入れたユグム(スイーツ・ユグム)は存在しなかったが、17世紀以降の文化接触で新しく誕生した。
ユグムは15世紀以降の
ニーネン=シャプチでは平民を象徴するシンボルであり、おふくろの味でもある。地域や家庭によってユグムの作り方が異なっていたが、近年(特に17世紀以降)では工場で製造されたユグムが多く食べられており、おふくろの味としてのユグムは失われつつある。
一方で現代でもよく残されているのがユグム屋の屋台である。
ニーネン=シャプチの都市では学生が多く行き交う道に反重力車の屋台が停まっており、香ばしい匂いで客を誘っている風景がよく見られる。屋台のユグムはすでに蒸して置いてあるため、ケースから取り出すだけですぐに食べることができるため人気である。屋台のユグムはおやつユグムとして捉えられており、しょっぱい系のユグムだけでなく、スイーツ・ユグムや様々な具や生地のユグムがある。
平民の象徴としては
パナジェン星衛主席による印象が大きい。パナジェン主席はユグム屋の息子というバックグラウンドを生かして、食品製造関連の政策を行い、
ニーネン=シャプチにおける食文化の発展を促した。政策の一つにユグムの工業化があり、高品質でおいしいユグムを大量生産することに成功した。また、パナジェンはユグム作りの達人としても知られ、ユグムに関する数々の著作、名言を残した。
また、ユグムに関連するものとして、
ニーネン=シャプチにはユグムに基づいた主食の分類方法がある。
- ペグム(Pegum):ユグムのように中に具の入った主食(例:おにぎり、肉まんなど)。
- トガングム(Tghanggum):外に具がついている主食(例:寿司、ホットドッグなど)。
- チグム(Chigum):具が入っていない、または生地に味が練り込んである主食(例:メロンパン、餅など)。
スープ
スープはスナフトと言い、伝統的にはヴァフリの骨のダシで取る。
牛のダシで取ったテリーヌなどの水分の多い惣菜もそう呼ばれる。
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最終更新:2022年04月18日 06:07